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Patent Searching and Data


Title:
CERAMIC FOR DECORATIVE PART AND DECORATIVE PART COMPRISING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145146
Kind Code:
A1
Abstract:
A ceramic for decorative parts is provided which has a pinkish golden tone, gives a high-grade feeling, a feeling of aesthetic satisfaction, and spiritual comfortableness, and is high in mechanical properties including hardness and toughness.  Also provided are a decorative part for watches and a decorative part for portable terminal appliances, the parts comprising the ceramic. The ceramic for decorative parts comprises a sintered object based on titanium nitride and contains nickel, chromium, niobium, and carbon, the content of the carbon being 1-2 mass%.  The carbon diffuses into the titanium nitride to form a solid solution and accelerate sintering, whereby the ceramic can be high in mechanical properties including hardness and toughness.  In addition, reddishness is added to a golden tone.  The ceramic for decorative parts can hence have a pinkish golden tone which can continuously give a high-grade feeling, a feeling of aesthetic satisfaction, and spiritual comfortableness over long.

Inventors:
MURAKAWA SHUNICHI (JP)
OHTA MIZUHO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059531
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 25, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KYOCERA CORP (JP)
MURAKAWA SHUNICHI (JP)
OHTA MIZUHO (JP)
International Classes:
C22C29/16; A44C25/00; C22C1/05
Domestic Patent References:
WO2009069549A12009-06-04
Foreign References:
JPS569342A1981-01-30
JPS569343A1981-01-30
JPS6029443A1985-02-14
JP2003013154A2003-01-15
JP2003013154A2003-01-15
JPS58204149A1983-11-28
JPS58204150A1983-11-28
EP1767661A12007-03-28
Other References:
See also references of EP 2298948A4
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Claims:
窒化チタン質焼結体からなる装飾部品用セラミックスであって、ニッケル,ニオブ,クロムおよび炭素を含み、該炭素を1質量%以上2質量%以下の含有量で含むことを特徴とする装飾部品用セラミックス。
装飾面の算術平均高さRaが0.03μm以下であるとともに、前記装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が72以上84以下であり、クロマティクネス指数a*,b*がそれぞれ10以上15以下,21以上26以下であることを特徴とする請求項1に記載の装飾部品用セラミックス。
前記窒化チタン質焼結体は、組成式をTiN x としたときに0.8≦x≦0.96であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装飾部品用セラミックス。
前記ニッケルを7質量%以上14.5質量%以下、前記ニオブを2.5質量%以上10質量%以下の含有量で含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の装飾部品用セラミックス。
前記クロムを1.5質量%以上6.5質量%以下の含有量で含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の装飾部品用セラミックス。
前記窒化チタン質焼結体は、熱伝導率が22W/(m・K)以上かつ26W/(m・K)以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の装飾部品用セラミックス。
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスと、該装飾部品用セラミックスと異なる色調の装飾面を有する装飾部品とが並べて配置されていることを特徴とする複合装飾部品。
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする時計用装飾部品。
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする携帯端末機用装飾部品。
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする生活用品用装飾部品。
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする車両用品用装飾部品。
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とするスポーツ用品用装飾部品。
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする楽器用装飾部品。
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする装身具用装飾部品。
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の装飾部品用セラミックスからなることを特徴とする建材用装飾部品。
Description:
装飾部品用セラミックスおよび れを用いた装飾部品

 本発明は、美しい色調のピンク系金色を し出す装飾部品用セラミックスおよびこれ 用いた装飾部品に関するものである。

 従来より、金色を呈する時計用装飾部品 装身具用装飾部品には、金やその合金、ま は各種金属にメッキを施したものが用いら ている。しかしながら、金やその合金、あ いはメッキを施した金属材料は、いずれも 度が低いことから、硬質物質との接触によ 、表面に傷が生じたり変形したりするとい 問題があった。また、嗜好の多様化により 金色の多色化が求められており、このよう 問題の解決や要求に応えるために、種々の 飾部品用セラミックスが提案されている。

 例えば、特許文献1では、硬質相として窒 化チタンを45~75重量%、炭化チタンを7.5~25重量 %、結合相としてクロムを全量中炭化物に換 して1~10重量%、モリブデンを全量中炭化物に 換算して0.1~5重量%、及びニッケルを全量中5~2 0重量%含有して、測色計にて得られるL*a*b*表 系の明度指数がL*=65~69、a*=4~9、b*=5~16である 結合金(装飾部品用セラミックス)が開示さ ている。

 また、特許文献2では、次式(A)で表わされる 硬質相が70~98重量%と、
 (Tia,Mb)(Nw,Cx,Oy)Z・・・(A)
但し、M:Zr,Hf,V,Nb,Ta,Crの中の1種以上
 a+b=1,1≧a≧0.4,0.6≧b≧0
 W+X+Y=1,X+Y>0,1>W≧0.4
 0.19≧X≧0,0.6≧Y≧0,0.93≧Z≧0.6
 Fe,Ni,Co,Cr,Mo,Wの中から選ばれた1種以上の結 相が2~30重量%と不可避不純物とから成る装飾 用焼結合金(装飾部品用セラミックス)が開示 れている。

 また、特許文献3では、Fe,Ni,Co,Cr,Mo,Wの中 ら選ばれた1種以上の結合相が2~30重量%とP,Al, B,Si,Mn,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Taの1種以上の金属、合金又 Al,Y,Zr,Mg,Ni,Siの酸化物、Al,Si,Bの窒化物、Moの 化物もしくはこれらの相互固溶体の1種以上 の化合物から成る強化相が0.1~10重量%と残り 次式(A)で表わされる硬質相と不可避不純物 から成る装飾用焼結合金(装飾部品用セラミ クス)が開示されている。

 (Tia,Mb)(Nw,Cx,Oy)Z・・・(A)
但し、M:Zr,Hf,V,Nb,Ta,Crの中から選ばれた1種以
 a+b=1,1≧a≧0.4,0.6≧b≧0
 W+X+Y=1,X+Y>0,1>W≧0.4
 0.5≧X≧0,0.6≧Y≧0.06,0.93≧Z≧0.6
 そして、特許文献2および3では、TiN Z (0.6≦Z≦0.95)を主体にした硬質相による、黄 色の色調を保持させた装飾用焼結合金(装飾 品用セラミックス)が開示されており、Zの が化学量論組成よりも少なくなるほど黄金 から淡黄金色に変化し、この色調に、更に 金色を呈するTiO,ZrN,HfN,VN,NbN,TaN,CrN,Cr 2 N,TaC,NbCを加えることにより、深みのある淡黄 金色から鮮明な黄金色までの色調コントロー ルが一層容易になると記載されている。

 また、特許文献4では、窒化チタンを主成 分とし、ニッケルを副成分とするとともに、 窒化バナジウム,窒化ニオブ,窒化タンタル,炭 化モリブデン,炭化ニオブ,炭化タングステン よび炭化タンタルのうち少なくともいずれ 1種、を添加成分として含む装飾部品用セラ ミックスであって、少なくとも装飾面の算術 平均高さRaが0.03μm以下であるとともに、前記 装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L* が72~84であり、クロマティクネス指数a*,b*が れぞれ4~9,28~36である装飾部品用セラミック が開示されている。

特開2003-13154号公報

特開昭58-204149号公報

特開昭58-204150号公報

欧州特許出願公開第1767661号明細書

 しかしながら、特許文献1~4に記載された 飾部品用セラミックスは、焼結体そのもの あるため、被膜が剥がれることがなく、硬 や耐食性など優れた機械的特性を備えては るが、特許文献1の装飾部品用セラミックス は色調が銀色と紫色とを併せ持つ色調から銀 色とピンク色とを併せ持った色調であり、特 許文献2および3の装飾部品用セラミックスは みのある淡黄金色から鮮明な黄金色までの 調であり、特許文献4の装飾部品用セラミッ クスは黄金色の色調であり、これらはいずれ も装飾部品として近年人気を博しているピン ク系金色の色調ではなかった。

 本発明は、上記課題を解決すべく案出さ たものであり、ピンク系金色の色調を有し 高級感,美的満足感および精神的安らぎが得 られるとともに、硬度,靱性等の機械的特性 高い装飾部品用セラミックスおよびこれを いた装飾部品を提供することを目的とする

 本発明の装飾部品用セラミックスは、窒 チタン質焼結体からなる装飾部品用セラミ クスであって、ニッケル,ニオブ,クロムお び炭素を含み、該炭素を1質量%以上2質量%以 の含有量で含むことを特徴とするものであ 。

 本発明の装飾部品用セラミックスによれ 、窒化チタン質焼結体からなる装飾部品用 ラミックスであって、ニッケル,ニオブ,ク ムおよび炭素を含み、該炭素を1質量%以上2 量%以下の含有量で含むことから、炭素が窒 チタンに拡散して固溶体を形成して焼結を 進するため、硬度,靱性等の機械的特性を高 くすることができるとともに、黄金色に赤み が加わり、高級感,美的満足感および精神的 らぎを長期間にわたって与え続けることが きるピンク系金色の装飾部品用セラミック とすることができる。

本発明の複合装飾部品の一例を示す、 飾面を平面視した模式図である。 本発明の時計用装飾部品である時計用 ースの一例を示す、(a)は時計用ケースを表 から見た斜視図であり、(b)は(a)の時計用ケ スを裏側からみた斜視図である。 本発明の時計用装飾部品である時計用 ースの他の例を示す斜視図である。 本発明の時計用装飾部品である時計用 ンドの構成の一例を示す模式図である。 本発明の携帯端末機用装飾部品を用い 携帯電話機の一例を示す斜視図である。 図4に示す例の携帯電話機の筐体を開い た状態を示す斜視図である。 本発明の携帯端末機用装飾部品である ート型パーソナルコンピュータの一例を示 斜視図である。 本発明の生活用品用装飾部品である石 ケースの構成の一例を示す模式図である。 本発明の生活用品用装飾部品であるコ ヒーカップセットの一例を示す斜視図であ 。 本発明の車両用品用装飾部品を取り付 けた車体の一例を示す斜視図である。 本発明の車両用品用装飾部品を用いた コーナーポールの一例を示す正面図である。 本発明のスポーツ用品用装飾部品を用 いたゴルフクラブの一例を示す正面図である 。 本発明のスポーツ用品用装飾部品を用 いたスパイクシューズの一例を示す底面図で ある。 本発明の楽器用装飾部品を用いたギタ ーの一例を示す斜視図である。 本発明の装身具用装飾部品を用いた人 工歯冠の一例を示す模式図である。 本発明の装身具用装飾部品を用いたイ ヤホンユニットの一例を示す正面図である。 本発明の装身具用装飾部品を用いため がねの一例を示す斜視図である。 本発明の建材用装飾部品を用いたドア ハンドルの一例を示す部分拡大図である。

 以下、本発明を実施するための最良の形 を説明する。

 本発明の装飾部品用セラミックスは、窒 チタン質焼結体からなり、ニッケル,ニオブ ,クロムおよび炭素を含むものである。

 窒化チタン質焼結体とは、窒化チタン(TiN )を主成分とする焼結体であり、ここでいう 成分とは、窒化チタン質焼結体を構成する 成分100質量%に対して、50質量%以上を占める 分である。この主成分である窒化チタンは 装飾品として良好な黄金色を呈するととも 、強度や硬度等の機械的特性が高いという 徴を有していることから、本発明の窒化チ ン質焼結体からなる装飾部品用セラミック においては、窒化チタンを65質量%以上の含 量で含有させている。

 また、ニッケルは、展性に富み、主成分で る窒化チタンの結晶を結合する結合剤とし 作用し、ニオブは、色調調整剤として作用 るものであって、金属ニオブ以外に組成式 例えばNbNi 3 ,NbCで示されるニオブ化合物として存在する のも含む。そして、クロムは空気中の酸素 結合し装飾面に緻密な酸化被膜を生成して 食性を向上させることかでき、炭素は靱性 硬度等の機械的特性を向上させることがで る。

 本発明の装飾部品用セラミックスは、窒 チタン質焼結体からなり、ニッケル,ニオブ およびクロムとともに炭素を1質量%以上2質量 %以下の含有量で含むことが重要である。上 構成の窒化チタン質焼結体に炭素がこの含 量で含まれることにより、炭素は窒化チタ に拡散して固溶体を形成して焼結を促進す ため、靱性や硬度等の機械的特性を高くす ことができるとともに、黄金色に赤みが加 りピンク系金色とすることができる。

 炭素の含有量が1質量%未満では、炭素を1 量%以上の含有量で含むものほど靱性や硬度 等の機械的特性が高くならず、炭素の含有量 が少ないために黄金色に加えられる赤みが少 なくなり、本発明の装飾部品用セラミックス の呈するピンク系金色の色調よりも赤みの弱 い金色となる。一方、炭素の含有量が2質量% 超えると、靱性や硬度等の機械的特性が高 なるものの、赤みの強い金色の色調となり 需要者の求める高級感,美的満足感および精 神的安らぎ等の装飾的価値を与えるピンク系 金色とならない。

 そのため、装飾的価値を求める需要者に 級感,美的満足感および精神的安らぎ等を与 えるピンク系金色を呈する装飾部品用セラミ ックスとするには、装飾面の算術平均高さRa 0.03μm以下であるとともに、装飾面のCIE1976L* a*b*色空間における明度指数L*が72以上84以下 あり、クロマティクネス指数a*,b*がそれぞれ 10以上15以下,21以上26以下であることが好まし い。

 このように、本発明の装飾部品用セラミ クスは、装飾面の算術平均高さRaが0.03μm以 であることが好ましく、これにより、光の 射率が高くなり、明度指数L*の値を上昇さ 、高級感,美的満足感および精神的安らぎ等 与えるピンク系金色を呈することができる この装飾面の算術平均高さRaが0.03μmを超え と、明度指数L*の値が低下し、色調は暗く り、高級感が低下するおそれがある。

 なお、算術平均高さRaはJIS B 0601-2001に準 拠して測定すればよく、測定長さおよびカッ トオフ値をそれぞれ5mmおよび0.8mmとし、触針 の表面粗さ計を用いて測定する場合であれ 、例えば、装飾部品用セラミックスの装飾 に、触針先端半径が2μmの触針を当て、触針 の走査速度は0.5mm/秒に設定し、この測定で得 られた5箇所の平均値を算術平均高さRaの値と する。

 そして、装飾面のCIE1976L*a*b*色空間におけ る明度指数L*とは色調の明暗を示す指数であ 、明度指数L*の値が大きいと色調は明るく 明度指数L*の値が小さいと色調は暗くなる。 また、クロマティクネス指数a*は色調の赤か 緑の度合いを示す指数であり、a*の値がプ ス方向に大きいと色調は赤色になり、その 対値が小さくなるにつれて色調は鮮やかさ 欠けたくすんだ色調になり、a*の値がマイナ ス方向に大きいと色調は緑色になる。さらに 、クロマティクネス指数b*は色調の黄から青 度合いを示す指数であり、b*の値がプラス 向に大きいと色調は黄色になり、その絶対 が小さくなるにつれて色調は鮮やかさに欠 たくすんだ色調になり、b*の値がマイナス方 向に大きいと色調は青色になる。

 なお、明度指数L*の値を72以上84以下とし のは、ピンク系金色の色調に程良い明るさ 発現するからであり、クロマティクネス指 a*,b*の値を10以上15以下,21以上26以下とした は、黄金色に程良い赤みを帯びたピンク系 色とするためである。

 また、本発明の装飾部品用セラミックス 、装飾面における開気孔率が2.5%以下である ことが好ましい。装飾面における開気孔率は 、特に明度指数L*の値に影響を及ぼし、開気 率が高いと明度指数L*の値は小さくなり、 気孔率が低いと明度指数L*の値は大きくなる 。装飾面における開気孔率を2.5%以下にする とで、明度指数L*の値を72以上にすることが き、好まれる色調のピンク系金色となる。 らに、装飾面における開気孔率を1.8%以下と し、明度指数L*の値を74以上とすることがよ 好適である。

 この装飾面における開気孔率は、金属顕微 を用いて、倍率を200倍にしてCCDカメラで装 面の画像を取り込み、画像解析装置((株)ニ コ製LUZEX-FS等)により画像内の1視野の測定面 積を2.25×10 -2 mm 2 ,測定視野数を20,つまり測定総面積が4.5×10 -1 mm 2 における開気孔の面積を求めて測定総面積に おける割合を装飾面の開気孔率とすればよい 。

 なお、本発明の装飾部品用セラミックス おける装飾面とは、装飾部品の装飾的価値 要求される面を指し、全ての面を指すもの はない。例えば、本発明の装飾部品用セラ ックスを時計用ケースに用いる場合では、 の時計用ケースの外側の面は、鑑賞の対象 なるものでもあり装飾的価値が要求される で装飾面であるが、時計の駆動機構が嵌め まれる内側の面等は、通常は装飾的価値を 求される面ではないので装飾面に含まない

 そして、このような装飾面のCIE1976L*a*b*色 空間における明度指数L*の値およびクロマテ クネス指数a*,b*の値は、JIS Z 8722-2000に準拠 して測定することで求められる。例えば、分 光測色計(コニカミノルタホールディングス( )製CM-3700d等)を用い、光源をCIE標準光源D65, 野角を10°,測定範囲を5mm×7mmに設定して測定 ることができる。

 また、本発明の装飾部品用セラミックスは 窒化チタン質焼結体の組成式をTiN x としたときに0.8≦x≦0.96であることが好まし 。後述するように組成式をTiN x としたときの原子数xの値により、その色調 影響を受ける。原子数xが小さくなると色調 ピンク系金色から薄いピンク系金色になり 原子数xが大きくなると色調はくすんだ濃い ピンク系金色になる。このような観点から組 成式をTiN x としたときの原子数xの値は、0.8以上0.96以下 あることが好ましく、原子数xの値がこの範 囲であるときには、光沢のある色調感がさら に増すため、より高い高級感および美的満足 感を得ることができる。

 窒化チタンは、脱脂または焼成雰囲気中に まれる酸素および炭素と置換または反応し 酸炭窒化チタン(TiCNO)に成りうるため、窒化 チタン質焼結体の組成式をTiN x としたときの原子数xの値は、酸素・窒素分 装置および炭素分析装置を用いて、次のよ にして求めることができる。具体的には、 れら分析装置により窒化チタン質焼結体の 素、窒素および炭素の含有量を測定した後 100質量%より酸素,窒素および炭素の含有量を 引いた値をチタンの含有量とする。そして、 チタンの含有量と窒素の含有量とをそれぞれ の原子量で除すことによりモル数が求められ るので、チタンのモル数を1としたときの窒 の比の値を原子数xとする。

 本発明の装飾部品用セラミックスは、ニッ ルを7質量%以上14.5質量%以下、ニオブを2.5質 量%以上10質量%以下の含有量で含むことが好 しい。
ニッケルは、展性に富み、主成分である窒化 チタンの結晶同士を結合する結合剤として作 用するために、できる限り多く加えることが 好ましいが、一方で、装飾部品用セラミック スを構成する全成分100質量%における比率が 過ぎる場合は、装飾部品用セラミックスを に付けていると汗と反応してニッケルが溶 してしまい、需要者の求める高級感,美的満 感および精神的安らぎ等の装飾的価値を与 るピンク系金色から色調が変化するおそれ ある。

 また、CIE1976L*a*b*色空間におけるクロマテ ィクネス指数a*は高くなるものの、明度指数L *,クロマティクネス指数b*とも低くなるため ニッケルの含有量は7質量%以上14.5質量%以下 あることが好ましい。特に、この装飾用部 用セラミックスが腕時計用ケース,バンド駒 等を始めとする身に付けるものである場合は 、ニッケルの含有量は7質量%以上10質量%以下 あることがより望ましい。

 また、ニオブの含有量を2.5質量%以上10質 %以下としたのは、ニオブが窒化チタンに固 溶する、あるいはニッケルの内部に溶融する ことによって、明度指数L*の値を高くする色 調整剤としての作用がある反面、ニオブの 有量が多いと共有結合性が高いために焼結 難しくなるおそれがあるからである。

 また、ニオブの含有量は3質量%以上8質量% 以下であることがより望ましい。これは、ニ オブは粒成長を抑制するように働くので、結 晶粒界は増加し、入射した光は装飾面を形成 する結晶による鏡面反射と併せて結晶粒界に よる拡散反射の影響を強く受ける結果、装飾 面における明度指数L*は高くなるとともに、 の色調は優れた相乗効果を生むため、光沢 ある色調感が増し、さらに高級感,美的満足 感を得ることができる。その結果、視覚を通 じて精神的安らぎが得られるからである。

 なお、反射は一般的に鏡面反射と拡散反 とからなり、本発明における鏡面反射とは 光が鏡面である装飾面、微視的には装飾面 形成する結晶に入射した後、反射したとき その入射角と反射角が同じになる反射をい 、拡散反射とは光が結晶粒界に入り込み、 ンダムな反射を繰り返した後、再び外部に かう反射をいう。

 ただし、装飾面を形成する結晶を後述す バレル研磨により表面粗さを調整すること でき、原子間力顕微鏡で測定したときの粒 を含まない結晶面の表面粗さを算術平均高 Raで1~2nmにすると、結晶面での反射が鏡面反 射から拡散反射に一部変化する傾向が見られ 、装飾面におけるクロマティクネス指数b*を2 4以上にすることができて鮮やかなピンク系 色となるので好適である。

 また、ニッケルはニオブと化合してニッケ ニオブ、例えばNbNi 3 として析出していることが好適で、NbNi 3 の析出により、明度指数L*の値は大きくなっ 、気品漂う明るさが醸し出される。このNbNi 3 等のニッケルニオブは、X線回折法で検出す ことができる。

 また、本発明の装飾部品用セラミックス 、クロムを1.5質量%以上6.5質量%以下の含有 で含むことが好ましい。クロムは、空気中 酸素と結合して装飾面に緻密な酸化被膜を 成するので耐食性を向上させることができ とともに、ニッケルがクロムを包囲した状 で窒化チタンを結合する粒界相を形成する 、ニッケルがクロムと反応してニッケルク ム化合物を生成して、ニッケルがイオン化 て流出することを抑制することができる。 かしながら、クロムの含有量は色の鮮やか に影響を及ぼすため、ニッケルの流出を抑 し、耐食性と鮮やかさを兼ね備えるために 、クロムを1.5質量%以上6.5質量%以下の含有量 で含むことが好ましいのである。

 なお、ニッケルがクロムを包囲した状態 は、クロムが窒化チタンの結晶と接するこ なく粒界相に周囲を取り囲まれた状態をい 、この状態については、走査型電子顕微鏡 得られた装飾面の画像と、エネルギー分散 (EDS)X線マイクロアナライザーによって検出 れるニッケル,クロムの分布状態を示す装飾 面の画像とを照合することで確認することが できる。

 チタン,ニッケル,ニオブおよびクロムの 有量は、蛍光X線分析(XRF)法を用いて測定す ことができる。具体的には、予め窒化チタ ,ニッケル,ニオブおよびクロムの各元素の濃 度の異なる混合粉末を少なくとも2種類以上 意して、それぞれプレス法により成形して 準試料とする。次に、これら各標準試料にX を照射して、蛍光X線の強度と既知の濃度と の関係から最小二乗法を用いて検量線を作成 する。そして、本発明の装飾部品用セラミッ クスを粉砕して粉末とし、プレス法により成 形して測定試料とする。この測定試料にX線 照射して、蛍光X線の強度を測定し、検量線 り濃度である含有率を求める。また、窒素 ついては酸素・窒素分析装置で測定するこ ができ、炭素は炭素分析装置で測定すれば い。

 また、窒化チタン質焼結体からなる本発 の装飾部品用セラミックスは、熱伝導率が2 2W/(m・K)以上かつ26W/(m・K)以下であることが好 適である。熱伝導率が22W/(m・K)以上であれば 放熱特性に優れたものとなり、絶縁ゲート バイポーラ・トランジスタ(IGBT)素子等の発 する電子部品から発生した熱を速やかに外 に逃がして誤作動のおそれを少なくするこ ができるので、電子部品が搭載された携帯 末機の一部に本発明の装飾部品用セラミッ スを用いると好適である。

 また、熱伝導率が26W/(m・K)以下であれば、 発明の装飾部品用セラミックスの表面にお る結露を抑制することができるので、車両 取り付けるエンブレム等に本発明の装飾部 用セラミックスを用いたときには、冬の寒 朝であっても結露を生じにくいため、美的 足感が損なわれることがほとんどない。さ に、熱伝導率が22W/(m・K)以上かつ26W/(m・K)以 の範囲であれば、放熱特性および熱衝撃抵 性の2つの特性を併せ持つことができるので 好適であり、40℃~800℃における熱膨張係数が 8.5×10― 6 /℃以上9.7×10― 6 /℃以下であることが、より好適である。こ 熱膨張係数は、JIS R 1618-2002に準拠して求め ることができる。

 また、本発明の装飾部品用セラミックス おいては、装飾面の光沢を維持するという 点から、結晶の平均結晶粒径が1μm以上10μm 下であることが好適である。この平均結晶 径は、本発明の装飾部品用セラミックスの 断面を走査型電子顕微鏡によって1000倍~3000 に拡大した86~110μm×65~92μmの範囲で、同じ長 さの直線を8本引き、この8本の直線上に存在 る結晶の個数をこれら直線の合計長さで除 ことで求められる。なお、倍率が1000倍のと きには、直線1本当たりの長さを80μmとし、倍 率が3000倍のときには、直線1本当たりの長さ 27μmとすればよい。

 図1は、本発明の複合装飾部品の一例を示 す、装飾面を平面視した模式図である。

 図1に示す複合装飾部品3は、装飾面を平 視して、ピンク系金色を呈する本発明の装 部品用セラミックス1と、装飾部品用セラミ クス1と異なる色調の装飾面を有する装飾部 品2とが並べて配置されているものの例であ 。装飾部品用セラミックス1および装飾部品2 の形状として、図1(a)はいずれも三角形状で り、(b)はいずれも四角形状であり、(c)はい れも平行四辺形状であり、(d)は六角形状と 角形状との組み合わせであり、(e)は八角形 と四角形状との組み合わせであり、(f)は四 形状の装飾部品2と装飾部品2の周囲を囲んだ 装飾部品用セラミックス1との組み合わせを すものである。

 そして、装飾部品用セラミックス1と異な る色調として、具体的には、装飾部品2の色 が紫色であれば、装飾が求められる店頭広 やインテリア雑貨に用いたときに、消費者 購買意欲を刺激することができる。

 また、装飾部品2の色調が黒色であれば、 本発明の装飾部品用セラミックス1の呈する 調のピンク系金色との組み合わせによって 視認性が高まり、遠方からの視認が求めら る用途、例えば、案内板等の表示部品とし 好適に用いることができる。さらに、装飾 品2の色調が銀色であれば、より高級感に溢 たものとして装飾性を高めることができる

 なお、装飾部品2は、本発明の装飾部品用 セラミックス1と異なる色調で装飾性を高め ものであればよいため、材質は問わず、ま 、装飾部品用セラミックス1および装飾部品2 の形状や組み合わせについては、これらの図 1(a)~(f)に示す例に限定されるものでないこと いうまでもない。

 また、本発明の時計用装飾部品は、上記構 の本発明の装飾部品用セラミックスからな ことを特徴とし、その例としては、時計用 ースや時計用バンド駒がある。
図2は本発明の時計用装飾部品である時計用 ースの一例を示しており、(a)は時計用ケー を表側から見た斜視図であり、(b)は(a)の時 用ケースを裏側から見た斜視図である。ま 、図3は本発明の時計用装飾部品である時計 ケースの別の例を示す斜視図である。また 図4は本発明の時計用装飾部品である時計用 バンドの構成の一例を示す模式図である。な お、これらの図において同じ部位を示す場合 は同じ符号を付してある。

 図2に示す時計用ケース10Aは、図示しない ムーブメント(駆動機構)を収容する凹部11と 腕に時計を装着するための時計用バンド(図 しない)を固定する足部12とを備えており、 部11は厚みの薄い底部13と厚みの厚い胴部14 からなる。また、図3に示す時計用ケース10B は、図示しないムーブメント(駆動機構)が入 穴部15と、胴部14に形成された腕に時計を装 着するための時計用バンド(図示しない)を固 する足部12とを備えている。

 図4に示す時計用バンド50を構成するバン 駒は、ピン40が挿入される貫通孔21を有する 中駒20と、中駒20を挟むようにして配置され ピン40の両端が差し込まれるピン穴31を有す 外駒30とから構成されており、中駒20の貫通 孔21にピン40が挿入され、挿入されたピン40の 両端が外駒30のピン穴31に差し込まれること より、中駒20と外駒30とが順次連結されて時 用バンド50が構成されている。

 これら、時計用ケース10A,10Bおよび時計用 バンド50を構成するバンド駒として用いられ 本発明の時計用装飾部品は、本発明の装飾 品用セラミックスからなるものであること ら、時計としての高級感,美的満足感を十分 に得ることができ、視覚を通じて精神的安ら ぎを得ることができる。

 なお、本発明の装飾部品用セラミックス は、装飾面のビッカース硬度(Hv)が長期信頼 性に影響を与える要因の一つとなり、ビッカ ース硬度(Hv)が8GPa以上であることが好ましい ビッカース硬度(Hv)をこの範囲にすると、装 飾面は傷が入りにくくなるので、ガラスまた は金属からなる塵埃のような硬度の高い物質 と接触しても装飾面に容易に傷が生じること がないからである。この装飾面のビッカース 硬度(Hv)はJIS R 1610-2003に準拠して測定するこ とができる。

 また、破壊靱性は装飾面の耐摩耗性に影響 、その値は高いほどよく、本発明の装飾部 用セラミックスでは4MPa・m 1/2 以上であることが好ましい。この破壊靱性は JIS R 1607-1995で規定する圧子圧入法(IF法)に準 拠して測定することができる。

 また、装飾部品用セラミックスが身に付け 用いられるようなものである場合は、軽い が好まれるため、本発明の装飾部品用セラ ックスでは、その見掛け密度は6g/cm 3 以下(0g/cm 3 を除く)であることが好適であり、この見掛 密度はJIS R 1634-1998に準拠して測定される。 装飾部品用セラミックスが時計用バンド駒の 一部である中駒20の場合であれば、引張荷重 頻繁に中駒20にかかるため、本発明の装飾 品用セラミックスでは、引張強度は196N以上 あることが好適である。この引張強度を求 るには、貫通孔21の長さより長い、超硬製 ピン(図示しない)を中駒20の貫通孔21a,21bに挿 入した後、このピンを引き離す方向に引っ張 り、中駒20が破壊したときの強度をロードセ で読み取ればよい。

 また、装飾部品用セラミックスが時計用ケ スまたは時計用バンド駒である場合、図示 ないムーブメント(駆動機構)への悪影響を 慮すると、質量磁化が162G・cm 3 /g以上の強磁性金属、例えばコバルト(Co)の比 率は、装飾部品用セラミックス100質量%に対 、合計で0.1質量%以下であることが好適であ 。このような強磁性金属の比率は、ICP(Induct ively Coupled Plasma:誘導結合高周波プラズマ)発 光分析法で測定することができる。

 次に、図5は、本発明の携帯端末機用装飾 部品を用いた携帯電話機の一例を示す斜視図 であり、図6は、図5に示す例の携帯電話機の 体を開いた状態を示す斜視図である。

 本発明の携帯端末機用装飾部品は、本発 の装飾部品用セラミックスからなることが 適であり、その具体例としては、図5,6に示 例の携帯電話機の各種操作キー,ケース,ス ッチ等がある。

 図5に示す例の携帯電話機60は、携帯電話 60のモードを、ラジオを聴くモードである ジオモードや音楽を聴くモードである音楽 ードなどに変更するモードキー61aと、携帯 話機60をマナーモードにするマナーキー61bと を第1の筐体62に備え、指などの接触を検知し てこの接触により入力が行なわれるタッチセ ンサ63と、被写体を撮像するカメラ64と、ラ ト65と、タッチセンサ63等の入力の有効また 無効を設定するスライドスイッチ66とを第2 筐体67に備えている。

 そして、図6に示す例の携帯電話機60は、 2の筐体67を開いた状態を示すものであり、 1の筐体62と第2の筐体67とはヒンジ68を介し 連結されており、これにより第2の筐体67は 在に開閉することができる。また、第2の筐 67は、フロントケース69aとリアケース69bと 有しており、フロントケース69aには液晶表 ユニット70が設けられている。

 また、第1の筐体62もフロントケース71aと アケース71bとを有しており、フロントケー 71aには各種操作キーが設けられている。こ 操作キーには、電話番号等を入力するテン ー72a,各種機能のメニューについてカーソル を移動するカーソル移動キー72b,着信時に押 ことによって通話を開始する通話キー72c,電 のオンオフおよび通話後に押すことによっ 通話を終了する電源/終話キー72d,カーソル 動キー72bの中心に配置されたセンターキー72 fの左右に配置されたファンクションキー73L,7 3R等がある。

 上述のケースであるフロントケース69aや7 1a,リアケース69bや71b,操作キーであるテンキ 72a,カーソル移動キー72b,通話キー72c,電源/終 キー72d,センターキー72f,ファンクションキ 73Lや73R等の少なくともいずれか1種を本発明 装飾部品用セラミックスで形成することに り、需要者に高級感,美的満足感および精神 的安らぎを長期間にわたって与え、このよう な色調を呈する携帯電話機60を所有すること よる満足感を感じさせることができる。ま 、本発明の装飾部品用セラミックスは、他 色調との相性がよいことから、様々な色調 部材と組み合わせて用いることもできるの 、需要者の嗜好の多様化に応えることがで る。

 次に、図7は、本発明の携帯端末機用装飾 部品を用いたノート型パーソナルコンピュー タの一例を示す斜視図である。

 図7に示すノート型パーソナルコンピュー タ80は、キーボード81,トラックパッド82およ ボタンスイッチ83L,83Rを備えた本体側ケーシ グ84と、この本体側ケーシング84にヒンジ85L ,85Rを介して開閉自在に取り付けられたディ プレイ86を備えたディスプレイ側ケーシング 87とからなる。

 キーボード81は、複数のキーからなり、 ーを押すことによって文字の入力や機能を び出すことができるものである。また、ト ックパッド82は、感圧式または静電式のポイ ンティングデバイスからなるものであり、デ ィスプレイ86の画面におけるポインタの移動 命令入力等に利用されるものである。例え 、ディスプレイ86にアイコン表示されたフ イルの指定やアプリケーションプログラム 選択等に用いられ、ボタンスイッチ83L,83Rと コンビネーション操作によって、ディスプ イ86上のアイコンのドラッグやテキストフ イル上の文字列の複数選択等にも用いられ 。

 また、ボタンスイッチ83Lは、前述のコン ネーション操作の他、トラックパッド82の インティング機能で指定または選択された ァイルの開閉もしくは処理の実行等の指令 も用いられるものであり、ボタンスイッチ83 Rには、ディスプレイ86の画面上にコンテキス トメニューを表示させたり、トラックパッド 82のポインティング機能で指定あるいは選択 れたファイルの属性情報を表示させたりす 機能がある。なお、ここでいうコンテキス メニューとは、選択可能な処理をディスプ イ86の画面にポップアップ表示する機能の とである。

 そして、上述のキーボード81のキーおよ ボタンスイッチ83a,83bの少なくともいずれか1 種を本発明の装飾部品用セラミックスで形成 することにより、需要者に高級感,美的満足 および精神的安らぎを長期間にわたって与 、このような色調を呈するノート型パーソ ルコンピュータ80を所有することによる満足 感を感じさせることができる。

 なお、携帯端末機の一例として携帯電話 60およびノート型パーソナルコンピュータ80 を用いて説明したが、本発明の装飾部品用セ ラミックスが用いられる携帯端末機は携帯電 話機60およびノート型パーソナルコンピュー 80に限定されるものではなく、携帯情報端 (PDA:Personal Digital Assistant),携帯型のカーナビ ゲーションやオーディオプレーヤー等の携帯 型の端末機であって、部品に装飾性が求めら れるものであれば、様々な携帯端末機が該当 する。

 次に、図8は、本発明の生活用品用装飾部 品である石鹸ケースの構成の一例を示す模式 図である。

 この石鹸ケース90は、本体93と蓋92とから り、石鹸91を載置する本体93の載置面94には 石鹸91の表面に付着している水を切るため 排出孔95が形成されている。石鹸91を使用し いときには、本体93の載置面94に石鹸91は載 され、蓋92を本体93に嵌め合わせることによ り収納されている。石鹸91を使用するときに 、本体93から蓋92を外して石鹸91を取り出し 使用する。そして、使用後の石鹸91を本体93 の載置面94に載置することにより、排出孔95 より石鹸91の表面に付着している水を切るこ とができ、石鹸91が水に溶けるのを防ぐこと できるものである。

 この石鹸ケース90である蓋92または本体93 本発明の装飾部品用セラミックスで形成す ことにより、多くの需要者に所有すること よる満足感および使用の際に視覚を通じて 級感,美的満足感および精神的安らぎを与え ることができる。

 また、図9は、本発明の生活用品用装飾部 品の別の例であるコーヒーカップセットの一 例を示す斜視図である。

 図9に示すコーヒーカップセット100は、コ ーヒーカップ101とソーサー102とスプーン103と からなり、このコーヒーカップ101,ソーサー10 2およびスプーン103を本発明の装飾部品用セ ミックスで形成することにより、多くの需 者に対し、所有することによる満足感およ 使用の際に視覚を通じて高級感,美的満足感 よび精神的安らぎを与えることができる。

 また、本発明の装飾部品用セラミックス 他の色調との相性がよいので、コーヒーカ プ101,ソーサー102およびスプーン103の少なく とも1つを本発明の装飾部品用セラミックス 形成し、他を異なる色調として組み合わせ 用いることもできる。

 また、本発明の生活用品用装飾部品は、 鹸ケース90やコーヒーカップセット100だけ はなく、歯ブラシやカミソリの柄,耳かきお びハサミ等の生活用品用装飾部品に好適に いることができる。特に、ホテルの浴室や 面所において、各種ロゴ等のマーキングさ たアメニティーグッズに本発明の装飾部品 セラミックスを用いることにより、高級感, 美的満足感および精神的安らぎを与えること ができる。

 次に、図10は、本発明の車両用品用装飾 品を取り付けた車体の一例を示す斜視図で る。

 図10に示す車体110には、車両用品用装飾 品であるエンブレム111が取り付けられてお 、このエンブレム111を本発明の装飾部品用 ラミックスで形成することにより、需要者 対し、視覚を通じて高級感,美的満足感およ 精神的安らぎを与えることができるので車 110の装飾的価値を高めることができる。な 、図10では車体110の前方に取り付けたエン レム111を示したが、車体110の後方に本発明 装飾部品用セラミックスで形成したメーカ 名や車種名等を示すエンブレム111を取り付 ることによっても、車体110の装飾的価値を めることができる。

 また、図11は、本発明の車両用品用装飾 品を用いたコーナーポールの一例を示す正 図である。

 図11に示すコーナーポール112は、駐車場 おける車両の出し入れ時等に運転席から見 にくい車体の左前方(右ハンドル車の場合)の 目印とするために取り付けられるものであり 、車体への取り付け部113とポール部114とLED等 からなる点灯部115と、を有している。このコ ーナーポール112のポール部114を本発明の装飾 部品用セラミックスで形成したり、点灯部115 に替えて本発明の装飾部品用セラミックスで 形成したエンブレムを取り付けたりすること により、コーナーポール112はもとより車体の 装飾的価値が向上するので好適である。

 また、本発明の車両用装飾部品は、エン レム111やコーナーポール112だけでなく、ホ ールキャップの一部や車体のボンネット上 設けられるフードオーナメントの一部、さ に車内に取り付ける小物やアクセサリーま はこれらの一部として用いても、装飾的価 が向上するので好適である。

 次に、図12は、本発明のスポーツ用品用 飾部品を用いたゴルフクラブの一例を示す 面図である。

 図12に示すゴルフクラブ120は、シャフト12 1と、このシャフト121の一端に取り付けられ グリップ122と、シャフト121の他端に取り付 られたヘッド123とを備えている。ヘッド123 、ゴルフボールを捉える部分であるフェー 面123Fや地面に接地する部分となるソール面1 23Sを有しており、図12に示すように、本発明 装飾部品用セラミックスで形成したアクセ リー124がフェース面123Fに埋め込まれていれ ば装飾的価値が向上するので好適である。

 また、本発明のスポーツ用品用装飾部品 、フェース面123Fだけではなく、ソール面123 Sやグリップ122に本発明の装飾部品用セラミ クスで形成したアクセサリー124が埋め込ま ていたり、グリップ122そのものが本発明の 飾部品用セラミックスで形成されていたり ても好適である。

 また、図13は、本発明のスポーツ用品用 飾部品を用いたスパイクシューズの一例を す底面図である。

 図13に示すスパイクシューズ130は、例え 、サッカーやラグビーに用いられるもので り、靴底131にはボールを蹴るときに軸足を 定するための突起状に形成されたスタッド13 2が複数装着されている。本発明の装飾部品 セラミックスがこのスタッド132として用い れると、装飾的価値が向上することに加え 従来から用いられているアルミニウム合金 のスタッドよりも耐磨耗性が優れているの 、スタッド132の交換頻度を少なくできるた 、交換によるコストを低減することができ 。なお、競技中に発生するおそれがあるス ッド132の欠けを防止するために、透明な樹 でスタッド132の表面を被覆してもよい。

 次に、図14は、本発明の楽器用装飾部品 用いたギターの一例を示す斜視図である。

 図14に示すギター140の主な構成は、本体14 1と本体141から前方に延設されたネック142と らなる。ネック142の先端部にはナット143が 設され、ナット143より前方には弦144の張力 調整することができるチューニングベグ145 それぞれの弦144毎に設けられている。また 弦144を保持してナット143に対して動かない うにするためのクランプ機構146がナット143 近くに配設されている。

 一方、本体141には、弦144の張力を同時に 大、あるいは減少させて印象的な音効果を えるためのトレモロ装置147が取り付けられ いる。トレモロ装置147は、本体141に取り付 られているベースプレート148と、このベー プレート148に保持されて弦144を調律可能に 持するブリッジサドル149と、トレモロ装置1 47を稼動させるトレモロバー150とにより構成 れている。このギター140のベースプレート1 48,ブリッジサドル149,トレモロバー150等を、 発明の装飾部品用セラミックスで形成する とにより、ギター140の装飾的価値が向上す ため、このギター140を所有することによる 足感を感じさせることができるとともに多 の観客を魅了することができる。

 次に、図15は、本発明の装身具用装飾部 を用いた人工歯冠の一例を示す模式図であ 。

 図15の模式図は、歯肉155の内部の顎骨152 埋め込まれた人工歯根(インプラント)153に固 定された支台(アパットメント)154に装着され 人工歯冠151を示すものである。この人工歯 151を本発明の装飾部品用セラミックスで形 することにより、歯がピンク系金色の輝き 放つため、歯の装飾を好む需要者に高い陶 感を与えることができる。

 また、顎骨152に埋め込まれる人工歯根153 スクリュー状に形成され、このスクリュー に形成された部分に、新生骨の生成を誘導 る能力が高いキチン,コラーゲンおよびこれ らの誘導体の少なくともいずれか1種を含む 体分解性基材からなる硬質の接合層が形成 れていてもよい。また、支台154の基部には 架橋された上記生体分解性基材よりなる軟 の接合層が、顎骨152の上側に位置する歯肉15 5に当接するように形成されていてもよい。

 そして、本発明の装飾部品用セラミック は、窒化チタン質焼結体からなるので、生 に適合しやすく、この利点を生かして、人 歯冠151だけでなく、人工歯根153や支台154に いても好適である。

 また、図16は、本発明の装身具用装飾部 を用いたイヤホンユニットの一例を示す正 図である。

 図16に示すイヤホンユニット160は、聴取 の耳殻内に挿入されて音波を発するスピー 161と、このスピーカ161を収容するケース162 、このケース162に当接するコード導出部163 介してスピーカ161に電気信号を供給するコ ド164と、を備えている。

 このイヤホンユニット160のケース162を、 発明の装飾部品用セラミックスで形成する とにより、装飾的価値が高まり、多くの需 者に視覚を通じて高級感,美的満足感および 精神的安らぎを与えられる装身具用装飾部品 とすることができる。

 さらに、図17は、本発明の装身具用装飾 品を用いためがねの一例を示す斜視図であ 。

 図17に示すめがね170は、視力を矯正した 、紫外線から目を保護したりするための一 のレンズ171a,171bと、一対のレンズ171a,171bを 結するブリッジ172と、それぞれのレンズ171a, 171bに連結される鎧173a,173bと、ヒンジを介し 回動することができるように鎧173a,173bに連 されるテンプル174a,174bと、レンズ171a,171bに れぞれノーズパッド連結部材を介して取り けられるノーズパッド175と、を備えている

 このめがね170のブリッジ172,テンプル174a,1 74bおよびノーズパッド175の少なくとも1つを 発明の装飾部品用セラミックスで形成する とにより、装飾的価値が高まり、多くの需 者に視覚を通じて高級感,美的満足感および 神的安らぎを与えられる装身具用装飾部品 することができる。

 次に、図18は、本発明の建材用装飾部品 用いたドアハンドルの一例を示す部分拡大 である。

 図18に示すドアハンドル180は、L字状に延 る本体181および本体181の端部に嵌合される 状のグリップ182を備えており、グリップ182 フランジ183aが形成されたナット183とフラン ジ184とに挟まれることによって本体181に固定 されている。

 このようなドアハンドル180のグリップ182 本発明の装飾部品用セラミックスで形成す ことにより、装飾的価値が高まり、多くの 要者に視覚を通じて高級感,美的満足感およ び精神的安らぎを与えられる建材用装飾部品 とすることができる。

 次に、本発明の装飾部品用セラミックス 製造方法について説明する。

 本発明の装飾部品用セラミックスを得る は、まず、焼結体中で主成分となる窒化チ ンと、ニッケル,ニオブ,クロムおよび炭素 各粉末とを所定量秤量し、粉砕・混合して 合原料とする。より具体的には、平均粒径 10~30μmの窒化チタンの粉末と、平均粒径が10~ 20μmのニッケルの粉末と、平均粒径が20~50μm ニオブの粉末と、平均粒径が20~50μmのクロム の粉末および平均粒径が0.1~10μmの炭素の粉末 とを準備し、ニッケルの粉末が7~14.5質量%、 オブの粉末が2.5~10質量%、クロムの粉末が1.5~ 6.5質量%および炭素の粉末が1~2質量%であって 残部が窒化チタンの粉末となるように秤量 て粉砕・混合すればよい。

 なお、ニッケルがクロムを包囲した状態 窒化チタンを結合する粒界相を形成するに 、ニッケルの粉末とクロムの粉末とが接触 る頻度を高くすることが必要である。この 度を高くするためには、粉砕・混合時間を くすればよく、例えば、粉砕・混合時間を1 50時間以上にすればよい。このとき、この調 原料における不可避不純物としては珪素,リ ン,イオウ,マンガン,鉄等が挙げられるが、こ れらは装飾面の色調に悪影響を及ぼすおそれ があるので、各々0.5質量%未満であることが 適である。

 また、窒化チタンの粉末は化学量論的組成 TiNであっても、あるいは非化学量論的組成 TiN 1-x (0<x<1)であってもよいが、耐摩耗性およ 装飾的価値が高い色調という観点からは、 粉末の純度は99%以上であることが好ましく 窒化チタンの粉末が一部ニッケルの粉末と 応してTiNiを微量生成しても何等差し支えな 。特に、装飾部品用セラミックスを成す窒 チタン質焼結体について組成式をTiN x としたときに0.8≦x≦0.96とするには、窒化チ ンの粉末は組成式をTiN x としたときに0.7≦x≦0.9のものを用いればよ 。

 次いで、調合原料に有機溶媒として、例 ばイソプロパノールを加え、ミルを用いて 合粉砕した後、結合剤としてパラフィンワ クスを所定量添加し、所望の成形法、例え 、乾式加圧成形法,冷間静水圧加圧成形法, し出し成形法等により円板,平板,円環体等の 所望形状に成形する。

 また、成形法として乾式加圧を選択した 合は、成形圧力は装飾面における開気孔率 よびビッカース硬度(Hv)に影響を与えること から、成形圧力を49~196MPaとすることが好適で ある。成形圧力を49~196MPaとするのは、相対密 度が95%以上で開気孔率が2.5%以下の焼結体を ることができるとともに、ビッカース硬度(H v)を8GPa以上にすることができるからである。 また、金型の寿命を長くすることもできる。

 そして、得られた成形体を必要に応じて窒 雰囲気または不活性ガス雰囲気等の非酸化 雰囲気中で脱脂した後、窒素および不活性 スから選択される少なくとも1種のガス雰囲 気中あるいは真空中で焼成し、理論密度に対 する相対密度が95%以上の焼結体を得る。なお 、窒素および不活性ガスから選択される少な くとも1種のガス雰囲気中あるいは真空中で 成するのは、酸化性雰囲気中で焼成すると チタンが酸化してそのほとんどが組成式TiO 2 で表される酸化チタンとなり、この酸化チタ ンが本質的に備えている白色の色調の影響を 受けてしまい、装飾部品用セラミックスの全 体の色調が白っぽくかすむからである。

 また、真空中で焼成して装飾部品用セラ ックスを得る場合は、その真空度が1.33Pa以 であることが好適である。真空度を1.33Pa以 とするのは、チタンが焼成中に酸化して装 部品用セラミックスの色調が白っぽくかす ことなく、ピンク系金色の装飾部品用セラ ックスを得るためである。さらに、焼成温 を1200~1800℃とすることが好適である。これ より、相対密度が95%以上で開気孔率が2.5%以 下の焼結体を得ることができるとともに、焼 成コストも下げられるからである。

 また、窒化チタン質焼結体の熱伝導率を2 2W/(m・K)以上とするには、熱伝導率を低下さ る要因となるリチウム,ナトリウム,カリウム ,鉄,カルシウム,マグネシウム,ストロンチウ ,バリウム,マンガンおよび硼素の含有量は、 装飾部品用セラミックス100質量%に対し、合 で0.3質量%以下にすればよい。一方、窒化チ ン質焼結体の熱伝導率を26W/(m・K)以下とす には、粒成長を抑制することが求められる め、1200℃以上1550℃以下とすればよい。

 そして得られた焼結体の装飾的価値が求 られる面に、ラップ盤を用いてラップ加工 行なった後、バレル研磨を行なうことによ 、焼結体のその表面はピンク系金色の色調 有する装飾面となって、本発明の装飾部品 セラミックスを得ることができる。なお、 のような装飾面に現れる気孔は、その開口 の最大径を30μm以下にすることが好適で、 の範囲にすることで、気孔内への雑菌,異物 汚染物等の凝着を低減することができる。

 ここで、装飾面となる表面の算術平均高 Raを0.03μm以下とするには、錫製のラップ盤 平均粒径の小さいダイヤモンド砥粒を供給 てラップ加工すればよく、例えば平均粒径1 μm以下のダイヤモンド砥粒を用いればよい。 また、バレル研磨では、回転バレル研磨機を 用い、メディアとしてグリーンカーボランダ ム(GC)を回転バレル研磨機に投入し、湿式で24 時間行なえばよい。

 また、装飾部品用セラミックスからなる 品の形状が複雑な形状の場合には、予め乾 加圧成形法,冷間静水圧加圧成形法,押し出 成形法等によってブロック形状または製品 状に近い形状に成形した後に切削加工を施 たり、成形体を焼結した後に研削加工を施 たりして製品形状とし、順次ラップ加工,バ ル研磨を行なってもよく、あるいは最初か 射出成形法によって製品形状とし、焼成後 、順次ラップ加工,バレル研磨を行なっても よい。

 以上のようにして得られる本発明の装飾 品用セラミックスは、特に美しい色調とし 評価の高いピンク系金色を呈し、高級感が って、美的満足感を得ることができ、その 果、視覚を通じて精神的安らぎを得ること できるので、上述のように、時計用ケース, 時計用バンド駒等の時計用装飾部品や携帯電 話機,ノート型パーソナルコンピュータ等の 帯端末機用装飾部品を始め、石鹸ケース,コ ヒーカップセット,ナイフ,フォーク,ハブラ やカミソリの柄,耳かき,ハサミ,印材や名刺 の生活部品用装飾部品や、メーカー名や車 名等のエンブレムやコーナーポール等の車 用装飾部品や、ゴルフクラブやスパイクシ ーズを装飾するスポーツ用品用装飾部品や ギター等を装飾する楽器用装飾部品や、イ ホンユニットの装飾や人工歯冠,めがね,ブ ーチ,ネックレス,イヤリング,リング,ブレス ット,アンクレット,ネクタイピン,タイタッ ,メダル,ボタン等の装身具用装飾部品や、 ,壁,天井を飾るタイルあるいはドアハンドル 用のグリップ等の建材用装飾部品として好適 に用いることができる。また、時計と携帯電 話とが複合化され、両者の機能を兼ね備えた 腕時計型携帯電話機用装飾部品としても好適 に用いることができる。

 以下、本発明の実施例を具体的に説明す が、本発明はこれらの実施例に限定される のではない。

 まず、窒化チタン粉末(純度が99%,平均粒 が22.3μm),ニッケル粉末(純度が99.5%,平均粒径 12.8μm),ニオブ粉末(純度が99.5%,平均粒径が33 m),クロム粉末(純度が99%,平均粒径が55μm)およ び炭素粉末(純度が99%以上,平均粒径が0.5μm)を 焼結体での比率(含有量)が表1に示す比率にな るように秤量し、粉砕・混合して調合原料と した。

 次に、得られた各調合原料にイソプロパ ールを加えて、振動ミルを用いて72時間粉 ・混合した後、結合剤としてパラフィンワ クスを調合原料に対し3質量部添加して、噴 乾燥法により乾燥させて顆粒とした。そし 、得られた顆粒を98MPaの圧力で加圧成形し 、成形体を作製した。次に、この成形体を 素雰囲気中にて600℃で脱脂した後、1530℃で2 時間保持して焼成し、直径が16mmの円板状の 結体を得た。

 そして、錫製のラップ盤に平均粒径が1μm のダイヤモンド砥粒を供給して焼結体の表面 を1時間ラップ加工した。引き続き、回転バ ル研磨機を用いて、水とメディアとしてグ ーンカーボランダム(GC)とを入れて、24時間 レル研磨を行ない、試料No.1~23の窒化チタン 焼結体からなる装飾部品用セラミックスを た。

 その後、各試料を構成するニッケル,ニオブ およびクロムの含有量について蛍光X線分析(X RF)装置を用いて測定し、炭素については、炭 素分析装置を用いて測定した。また、装飾面 の算術平均高さRaについては、JIS B 0601-2001 準拠して触針式の表面粗さ計を用い、測定 さを5mm,カットオフ値を0.8mm,触針先端半径を2 μm,触針の走査速度を0.5mm/秒として5箇所を測 し、その平均値を算出した。さらに、破壊 性K 1c については、JIS R 1607-1995で規定された圧子 入法(IF法:indentation-Fracture法)に準拠して破壊 靱性K 1c を測定し、硬度については、JIS R 1610-2003に 拠して、装飾面のビッカース硬度Hv(以下、 度という。)を5箇所測定し、その平均値を 出した。

 また、各試料の明度指数とクロマティク ス指数について、JIS Z 8722-2000に準拠して 分光測色計(コニカミノルタホールディング (株)製CM-3700d)の光源をCIE標準光源D65,視野角 10°,測定範囲を3×5mmに設定して装飾面の色 を測定した。

 また、色調については、20歳代~50歳代の各 代について男女5名ずつ計40名のピンク系金 に興味を抱くモニターに、高級感,美的満足 および精神的安らぎの3項目でアンケート調 査を実施した。高級感,美的満足感,精神的安 ぎの3項目の調査結果に対して、「得られる 」と回答したモニターの比率がいずれも90%以 上のものは「優」、上記3項目のうち1項目で 70%以上90%未満があるものは「良」、1項目で も70%未満となっているものは「劣」と評価し た。
結果を表1に示す。

 表1に示す通り、本発明の範囲外である試料 No.1,2は、炭素が1質量%未満であることから、 壊靱性および硬度がともに低く、標準試料 ある試料No.4に対する色差(△E*ab)が大きいこ とがわかる。また、試料No.6は、炭素が2質量% を超えていることから、破壊靱性および硬度 は高いものの、クロマネティクス指数a*も高 ため、モニターが求める装飾的価値が得ら ず、モニターを満足させることはできなか たことがわかる。

 また、試料No.11は、窒化チタンの結晶を 合する結合剤として作用するニッケルが0質 %であることから、未焼結部分が確認され、 装飾部品に用いることはできなかった。試料 No.17は、ニオブが0質量%であることから、モ ターが求める装飾的価値が得られず、モニ ーを満足させることはできなかったことが かる。

 一方、本発明の試料No.3~5,7~10,12~16,18~23は 炭素を1質量%以上2質量%以下の含有量で含む とから、モニターが求める装飾的価値が得 れ、モニターを満足させられることがわか 。特に、本発明の試料No.3~5,9,13~15,19~21は、 飾面の算術平均高さRaが0.03μm以下であると もに、装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明 指数L*が72以上84以下であり、クロマティク ス指数a*,b*がそれぞれ10以上15以下,21以上26 下であることから、装飾面における光の反 率が高いため、光沢が増し、高級感,美的満 感および精神的安らぎともに「得られる」 回答したモニターの比率が90%以上となって り、モニターを十分満足させられているこ がわかる。

 次に、窒化チタン粉末の組成式の違いによ 特性の変化を確認する試験を行なった。
まず、窒化チタンの粉末の組成式をTiNxとし ときの原子数xが表2に示す窒化チタン粉末を 用意し、他の原料については実施例1と同じ 料を用意した。次に、焼結体での比率(含有 )が表2に示す比率となるように秤量し、粉 ・混合して調合原料とした。そして、実施 1と同様の製造方法にて試料No.24~28の窒化チ ン質焼結体からなる装飾部品用セラミック を得た。

 その後、実施例1と同様にニッケル,ニオブ, ロムおよび炭素の含有量、算術平均高さRa 色調を測定し、ピンク系金色に興味を抱く ニターに高級感,美的満足感および精神的安 ぎの3項目についてアンケート調査を行なっ た。さらに、組成式をTiN x としたときの原子数xの値を求めた。具体的 は、酸素・窒素分析装置を用いて酸素,窒素 含有量を測定し、炭素の含有量と合わせて1 00質量%から引いた値をチタンの含有量として 、チタンと窒素の含有量をそれぞれの原子量 で除すことによりモル数を求めて、チタンの モル数を1としたときの窒素の比の値を原子 xとした。
結果を表2に示す。

 表2に示す通り、焼結体の原子数xの値が0.8 満の試料No.24および焼結体の原子数xの値が0. 96を超える試料No.28と比較して、焼結体の原 数xが0.8以上0.96以下である試料No.25~27は、光 のある色調感が増すために、より高い高級 ,美的満足感および精神的安らぎをモニター に与えていることがわかる。

 ニッケルおよびニオブの含有量の違いによ 特性の変化を確認する試験を行なった。
まず、試料No.27に用いた窒化チタン粉末を用 し、他の原料については実施例1と同じ原料 を用意した。次に、焼結体での比率(含有量) 表3に示す比率となるように秤量し、粉砕・ 混合して調合原料とした。そして、実施例1 同様の製造方法にて試料No.29~40の窒化チタン 質焼結体からなる装飾部品用セラミックスを 得た。

 その後、実施例1と同様にニッケル,ニオブ, ロムおよび炭素の含有量、算術平均高さRa 色調を測定し、ピンク系金色に興味を抱く ニターに高級感,美的満足感および精神的安 ぎの3項目についてアンケート調査を行なっ た。また、実施例2と同様の算出方法で原子 xを求めた。
結果を表3に示す。

 表3に示す通り、試料No.30~32,35~39は、ニッケ を7質量%以上14.5質量%以下、ニオブを2.5質量 %以上10質量%以下の含有量で含むことから、 度指数L*が72以上84以下,クロマティクネス指 a*,b*がそれぞれ10以上15以下,21以上26以下と り、高級感,美的満足感および精神的安らぎ ともに「得られる」と回答したモニターの 率が90%以上となっており、モニターを十分 足させられていることがわかる。

 クロムの含有量の違いによる特性の変化を 認する試験を行なった。
まず、実施例1と同じ原料を用意し、焼結体 の比率(含有量)が表4に示す比率となるよう 秤量し、粉砕・混合して調合原料とした。 して、実施例1と同様の製造方法にて試料No.4 1~46の窒化チタン質焼結体からなる装飾部品 セラミックスを得た。

 その後、実施例1と同様にニッケル,ニオブ, ロムおよび炭素の含有量、算術平均高さRa 色調を測定した。さらに、JIS B 7001-1995で規 定する耐食試験のうち、人工汗半浸せき試験 (23±2℃、24時間放置)を行ない、試験後の各試 料の色調を測定し、試験前後の明度指数L*,ク ロマティクネス指数a*,b*の差を算出した。
結果を表4に示す。

 表4に示す通り、クロムを1.5質量%未満の含 量で含む試料No.41に比べて、試料No.42~45は、 ロムを1.5質量%以上の含有量で含むことから 、空気中の酸素と結合して装飾面に緻密な酸 化被膜を生成して耐食性を向上させ、明度指 数L*,クロマティクネス指数a*,b*とも試験前後 変化が少なく、耐食性が良好であることが かる。

 但し、クロムの含有量が6.5質量%を超える と、試料No.46からわかるように耐食性は良好 あるものの、鮮やかさを示すクロマティク ス指数a*、b*がともに低下するため、耐食性 と鮮やかさを兼ね備えたものにするには、試 料No.42~45に示すように、クロムを1.5質量%以上 6.5質量%以下の含有量で含むことがより好適 ある。

 開気孔率の違いによる特性の変化を確認す 試験を行なった。
まず、実施例1と同じ原料を用意し、焼結体 の比率(含有量)が表5に示す比率となるよう 秤量し、粉砕・混合して調合原料とした。 して、バレル研磨前まで実施例1と同様の製 方法を行ない、開気孔率による影響を確認 るため、バレル研磨時間を異ならせた試料N o.47~50の窒化チタン質焼結体からなる装飾部 用セラミックスを得た。

 その後、装飾面の開気孔率は金属顕微鏡を いて、倍率を200倍にしてCCDカメラで装飾面 画像を取り込み、画像解析装置((株)ニレコ LUZEX-FS)により画像内の1視野の測定面積を2.2 5×10 -2 mm 2 とし、測定視野数を20,つまり測定総面積が4.5 ×10 -1 mm 2 における開気孔率を求めて装飾面の開気孔率 とした。また、実施例1と同様にニッケル,ニ ブ,クロムおよび炭素の含有量、算術平均高 さRa、色調を測定し、ピンク系金色に興味を くモニターに高級感,美的満足感および精神 的安らぎの3項目についてアンケート調査を なった。
結果を表5に示す。

 表5に示す通り、開気孔率が2.5%を超える試 No.50に比べて、開気孔率が2.5%以下の試料No.47 ~49は、明度指数L*の値を72以上にすることが き、より好まれる色調となり、高級感,美的 足感および精神的安らぎをともに「得られ 」と回答したモニターの比率が90%以上とな ており、モニターを十分に満足させられて ることがわかる。

 また、実施例1と同様の原料を用いて、同 様の製造方法で作製した窒化チタン質焼結体 からなる装飾部品用セラミックスは、リチウ ム,ナトリウム,カリウム,鉄,カルシウム,マグ シウム,ストロンチウム,バリウム,マンガン よび硼素の含有量が、装飾部品用セラミッ ス100質量%に対し、合計で0.3質量%以下であ 、熱伝導率が22W/(m・K)以上かつ26W/(m・K)以下 あることから、電子部品が搭載された携帯 末機の一部に本発明の装飾部品用セラミッ スを用いたところ、放熱特性に優れている で、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジス (IGBT)素子等の発熱する電子部品から発生し 熱を速やかに外部に逃がして誤作動を少な することができた。また、車両に取り付け エンブレム等に本発明の装飾部品用セラミ クスを用いたところ、熱衝撃抵抗性に優れ いるので、冬の寒い朝であっても結露を生 にくく、美的満足感が損なわれないことが かった。

 さらに、本発明の装飾部品用セラミック と、本発明の装飾部品用セラミックスと異 る色調の装飾面を有する装飾部品とが並べ 配置されている複合装飾部品を作製したと ろ、他の色調との相性がよく装飾性が高め れることから、需要者の嗜好の多様化に応 ることができることがわかった。

 以上説明したような本発明の装飾部品用 ラミックスを用いて、時計用装飾部品,携帯 端末機用装飾部品,生活部品用装飾部品,車両 装飾部品,スポーツ用品用装飾部品,楽器用 飾部品,装身具用装飾部品および建材用装飾 品として用いれば、美しい色調として評価 高いピンク系金色を呈し、高級感があって 美的満足感を得ることができ、その結果、 覚を通じて精神的安らぎを得ることができ 好適である。

 1:装飾部品用セラミックス
 2:装飾部品
 3:複合装飾部品
 10A,10B:時計用ケース
 20:中駒
 30:外駒
 40:ピン
 50:時計用バンド
 60:携帯端末機
 80:ノート型パーソナルコンピュータ
 90:石鹸ケース
 100:コーヒーカップセット
 111:エンブレム
 112:コーナーポール
 120:ゴルフクラブ
 130:シューズ
 140:ギター
 151:人工歯冠
 160:イヤホンユニット
 170:めがね
 180:ドアハンドル