Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
DEOXIDANT AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/140004
Kind Code:
A1
Abstract:
A deoxidant according to the invention is used for absorbing and removing oxygen in a living environment atmosphere. The deoxidant comprises a cerium oxide which has a superlattice structure similar to that of jewelry and shows reversible oxygen loss caused by forced withdrawal of oxygen. The cerium oxide is preferably one obtained by reducing an oxygen-containing cerium salt or a hydrate thereof. Further, it is preferred that the cerium oxide has an oxygen deficient structure represented by CeO2-x wherein x is 0.5 to 0.7. This cerium oxide is obtained by directly subjecting an oxygen-containing cerium salt or a hydrate thereof to reduction firing at 1000˚C or higher.

Inventors:
KINOSHITA KAZUYA (JP)
YASHIMA ISAMU (JP)
SENOO YUICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058503
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 07, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
MITSUI MINING & SMELTING CO (JP)
KINOSHITA KAZUYA (JP)
YASHIMA ISAMU (JP)
SENOO YUICHI (JP)
International Classes:
B01J20/06; B01D53/14; B32B27/18; B65D65/40; B65D81/26; B65D85/00; C08K3/22; C08L101/00
Domestic Patent References:
WO2005088298A12005-09-22
WO2005070832A12005-08-04
WO2008001745A12008-01-03
WO2008001732A12008-01-03
Foreign References:
JP2005104064A2005-04-21
JP2005105195A2005-04-21
Attorney, Agent or Firm:
HATORI, Osamu (8-6 Akasaka 1-chome,Minato-k, Tokyo 52, JP)
Download PDF:
Claims:
 生活環境雰囲気中の酸素を吸収除去する脱酸素剤であって、
 蛍石類似の超格子構造を有しかつ酸素の強制的な引き抜きによって生じた可逆的な酸素欠損を有する酸化セリウムからなることを特徴とする脱酸素剤。
 請求の範囲第1項において、
 前記酸化セリウムが、含酸素セリウム塩又はその水和物を還元して得られたものであり、CeO 2-x で表される酸素欠損構造を有すると共に、xが0.5~0.7である脱酸素剤。
 請求の範囲第1項又は第2項において、
 マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、ランタン(La)、ニオブ(Nb)、プラセオジム(Pr)又はイットリウム(Y)のいずれか一種又はこれらの混合物からなる添加元素を、前記酸化セリウムに固溶させてなる脱酸素剤。
 請求の範囲第3項において、
 前記添加元素の総添加量が1~20mol%である脱酸素剤。
 請求の範囲第1項に記載の脱酸素剤の製造方法であって、
 含酸素セリウム塩又はその水和物を、強還元雰囲気下、1000℃以上で直接還元焼成して、超格子構造を有する酸化セリウムを製造することを特徴とする脱酸素剤の製造方法。
 請求の範囲第1項ないし第4項のいずれか一項に記載の脱酸素剤が透気抵抗度を有する包装体に内包されてなる脱酸素包装体。
 請求の範囲第1項において、
 前記透気抵抗度を有する包装体の少なくとも一部が透明である脱酸素包装体。
 請求の範囲第1項ないし第4項のいずれか一項に記載の脱酸素剤を含む脱酸素層を有することを特徴とする脱酸素フィルム。
 請求の範囲第8項において、
 前記脱酸素層の一方の面側に設けられた、酸素ガスバリア性を有するガスバリア層、および更にその外側に設けられた、該ガスバリア層を保護するための保護層と、
 前記脱酸素層の他方の面側に設けられた、酸素ガス易透過性を有するガス易透過層とを有する脱酸素フィルム。
 請求の範囲第9項において、
 前記ガスバリア層と前記保護層との間に高度酸素ガスバリア層を設けてなる脱酸素フィルム。
 請求の範囲第9項又は第10項において、
 前記脱酸素層と前記ガスバリア層との間に、緩衝層を設けてなる脱酸素フィルム。
 請求の範囲第1項ないし第4項のいずれか一項に記載の脱酸素剤を、酸素ガス易透過性を有してなる樹脂に分散又は練込んでなることを特徴とする脱酸素樹脂組成物。
Description:
脱酸素剤及び脱酸素剤の製造方

 本発明は、雰囲気中の酸素を吸収除去す 脱酸素剤及び脱酸素剤の製造方法に関する

 近年、食品の安全性や品質維持への強い 求に対して、食品を包装する食品用包装体 内部を無酸素状態にすることにより、食品 酸化劣化を抑制することが行われている。 体的には、雰囲気中の酸素を吸収除去する 酸素剤を食品と共に食品用包装体の内部に れて、食品用包装体の内部の残留酸素を除 して食品用包装体の内部を無酸素状態とす ことが行われている。また、酸素を含まな 不活性ガス中において、食品を前記脱酸素 と共に食品用包装体で包装し、前記食品用 装体の内部に酸素を入れないようにすると に、前記食品用包装体を透過して内部に侵 する僅かな酸素も内包された脱酸素剤によ 除去すること等が行われている。

 このように、雰囲気中の酸素を除去する 酸素剤としては、有機系材料からなるもの 無機系材料からなるものとがあるが、コス 的な観点から、無機系材料である鉄系脱酸 剤が主に利用されている。この鉄系脱酸素 は、下記の化学式(1)に示すように、鉄を雰 気中の僅かな水分と共に、雰囲気中の酸素 反応させることにより、雰囲気中から酸素 除去するようになっている。

 Fe+1/2H 2 O+3/4O 2 →FeOOH ・・・(1)

 しかしながら、前述したような従来の鉄系 脱酸素剤を用いた場合には、以下のような 題がある。
(1)酸素との反応の際に水分を僅かながらも必 要とするため、乾燥食品や電子部品や半田粉 等のように水分を嫌うものを保存する場合に は、従来の脱酸素剤の性能を十分に発揮する ことができないという問題がある。
(2)包装体で不活性ガスと共に、従来の脱酸素 剤を包装した食品中に金属等の異物が混入し ているか否かの検査を行う場合には、鉄系脱 酸素剤に金属探知機が反応し、簡便な審査を 行うことができない、という問題がある。
(3)電子レンジ等のマイクロ波によって急加熱 されて発火する、という問題がある。

 このため、鉄系の脱酸素剤の代わりに、 化チタン等の無機酸化物を用いた脱酸素剤 提案されている(特許文献1~5)。しかしなが 、酸化チタン等の無機酸化物のみを用いた 酸素剤では酸素吸収能力が十分ではない、 いう問題がある。そこで、前記無機酸化物 おいて、前記酸化チタンの代わりに酸化セ ウムを脱酸素剤として用いることが提案さ ている。

 従来技術に係る酸素欠損を有する酸化セリ ムの製造方法について、図14を参照して説 する。図14に示すように、先ず硝酸セリウム 水溶液と沈殿剤溶液とを調製し、滴下工程に おいて沈殿剤溶液に硝酸セリウム水溶液を添 加して逆中和し、炭酸セリウムを得る。炭酸 セリウムを沈殿工程で沈殿させ、その後洗浄 工程で洗浄を2回程度行う。ろ過工程で炭酸 リウムをろ過して粉末状の炭酸セリウム粉 を得る。その後、得られた炭酸セリウム粉 を焼成工程に送り、焼成炉において大気中30 0~1100℃で1時間以上焼成し、酸化セリウム粉 を得る。次いで、得られた酸化セリウム粉 を還元焼成工程に送り、還元雰囲気下(例え H 2 :100%、400CCM)の還元炉内において還元焼成する 。このようにして得られた酸化セリウムをフ ィルムパック処理工程に送り、フィルムパッ ク処理装置において酸化セリウムを酸素透過 性のフィルム内に充填して、脱酸素剤を得る 。還元焼成工程とフィルムパック処理工程と は不活性ガス(例えばN 2 ,Ar)雰囲気で行っている。

 このように、従来においては、炭酸セリウ を大気中で一度焼成処理して、酸化セリウ (CeO 2 )にした後に、得られた酸化セリウム還元雰 気下において該酸化セリウムの結晶格子か 水素によって酸素を引き抜き、酸素欠損を するCeO 2-x (例えばx=0.34:CeO 1.66 )としている。しかしながら、得られた酸素 損を有する酸化セリウムの酸素吸収量は、 化チタンよりも勝るものの未だに鉄粉系脱 素剤よりも劣る、という問題がある。

特開2005-104064号公報

特開2005-105194号公報

特開2005-105195号公報

特開2005-105199号公報

特開2005-105200号公報

 本発明は、前記問題に鑑み、酸化セリウ 系脱酸素剤において酸素吸収能力が更に増 した脱酸素剤及び脱酸素剤の製造方法を提 することを課題とする。

 上述した課題を解決するための本発明の第1 の発明は、生活環境雰囲気中の酸素を吸収除 去する脱酸素剤であって、
 蛍石類似の超格子構造を有しかつ酸素の強 的な引き抜きによって生じた可逆的な酸素 損を有する酸化セリウムからなることを特 とする脱酸素剤にある。

 第2の発明は、第1の発明において、前記酸 セリウムが、含酸素セリウム塩又はその水 物を還元して得られたものであり、CeO 2-x で表される酸素欠損構造を有すると共に、x 0.5~0.7である脱酸素剤にある。

 第3の発明は、第1又は2の発明において、 グネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロン ウム(Sr)、ランタン(La)、ニオブ(Nb)、プラセ ジム(Pr)又はイットリウム(Y)のいずれか一種 はこれらの混合物からなる添加元素を、前 酸化セリウムに固溶させてなる脱酸素剤に る。

 第4の発明は、第3において、前記添加元 の総添加量が1~20mol%である脱酸素剤にある。

 第5の発明は、第1の脱酸素剤の製造方法 あって、含酸素セリウム塩又はその水和物 、強還元雰囲気下、1000℃以上で直接還元焼 して、超格子構造を有する酸化セリウムを 造することを特徴とする脱酸素剤の製造方 にある。

 第6の発明は、第1ないし4のいずれか一つ 脱酸素剤が透気抵抗度を有する包装体に内 されてなる脱酸素包装体にある。

 第7の発明は、第6の発明において、前記 気抵抗度を有する包装体の少なくとも一部 透明である脱酸素包装体にある。

 第8の発明は、第1ないし4のいずれか一つ 脱酸素剤を含む脱酸素層を有することを特 とする脱酸素フィルムにある。

 第9の発明は、第8の発明において、前記脱 素層の一方の面側に設けられた、酸素ガス リア性を有するガスバリア層、および更に の外側に設けられた、該ガスバリア層を保 するための保護層と、
 前記脱酸素層の他方の面側に設けられた、 素ガス易透過性を有するガス易透過層とを する脱酸素フィルムにある。

 第10の発明は、第9の発明において、前記 スバリア層と前記保護層との間に高度酸素 スバリア層を設けてなる脱酸素フィルムに る。

 第11の発明は、第9又は10の発明において 前記ガスバリア層と前記保護層との間に高 酸素ガスバリア層を設けてなる脱酸素フィ ムにある。

 第12の発明は、第1ないし4のいずれか一つ の脱酸素剤を、酸素ガス易透過性を有してな る樹脂に分散又は練込んでなることを特徴と する脱酸素樹脂組成物にある。

 本発明の脱酸素剤によれば、従来のよう 炭酸セリウムから酸化セリウムに焼成した に還元処理を行う手法に対し、前駆体であ 炭酸セリウムを直接還元処理することによ 、酸素イオン導電性を有する蛍石類似の超 子構造となることで安定化し、酸素欠損量 多く保持することで酸素吸収効果が高いも となる。

 以下、この発明につき図面を参照しつつ 細に説明する。なお、以下の実施の形態及 実施例によりこの発明が限定されるもので ない。また、以下の実施の形態及び実施例 おける構成要素には、当業者が容易に想定 きるもの、あるいは実質的に同一のものが まれる。

 本発明の脱酸素剤は、生活環境雰囲気中の 素を吸収除去する脱酸素剤であって、含酸 セリウム塩又はその水和物を前駆体とし、 れを直接還元してなると共に、蛍石類似の 格子構造を有する酸化セリウムからなるも である。蛍石類似とは、通常の酸化セリウ のような蛍石型構造の結晶体から酸素が抜 ていくにしたがって、最初ランダムに存在 る酸素欠損が、規則配列の酸素欠損へと変 った状態であり、厳密には蛍石型構造と呼 ない状態をいう。例えばPbFe 12 O 19 で表されるようなマグネトプランバイト型構 造や、超伝導性を示すYBa 2 Cu 3 O 6.9 等の構造が挙げられる。また、超格子とは、 複数の種類の結晶格子の重ね合わせによって 、その周期構造が基本単位格子よりも長くな った結晶格子のことである。酸化セリウムが 、蛍石類似の超格子構造を有することは、例 えばX線構造解析によって確認できる。

 本発明では、含酸素セリウム塩又はその水 物に直接高温還元処理を施して、超格子構 を有する酸化セリウム還元粉を得る。従来 ような炭酸セリウムから酸化セリウムを経 した後に、酸化セリウムを還元処理して結 格子中から酸素を引き抜き酸素欠損状態(CeO 2-x )とするものとは異なり、本発明の酸化セリ ムの製造においては、酸素の供給源は炭酸 中の酸素のみとなる。その結果、酸化セリ ムは酸素欠乏状態で焼成され、酸素欠損を 常に多く含んだ超格子構造(CeO 2-x :x=0.5~0.7)となる。このような理由により、従 法の炭酸セリウムから酸化セリウムを経由 て還元するものと比較して、本発明の酸化 リウムは、大幅に酸素吸収能力が向上する ととなる。前記の直接還元処理は、例えば 素ガスやアセチレンガスや一酸化炭素ガス の還元性ガスの濃度が高濃度でかつ高温熱 理である強還元雰囲気中で行われる。直接 元とは、還元ガス雰囲気下で含酸素セリウ 塩又はその水和物を原料として還元焼成し 一工程で酸化セリウムを得ることをいう。 たがって従来の方法、つまり含酸素セリウ 塩又はその水和物を含酸素ガス雰囲気下で 成して酸化セリウムを得て、この酸化セリ ムを還元ガス雰囲気下で焼成して目的とす 酸化セリウムを得る方法は、直接還元に該 しない。

 本発明においては、酸化セリウム中の可逆 な酸素欠損が、空気等の生活環境雰囲気中 酸素と下記式(2)に示すようにして反応する で脱酸素剤としての効果が発揮される。本 明の酸化セリウムは、超格子構造の酸化セ ウムであるものの、蛍石類似構造であるの 、構造的には安定である。その結果、酸素 損を安定して保持できる。また、蛍石類似 造であるので、酸素イオン導電性が高く、 晶内部まで酸素が出入りすることができる この結果、従来法の酸素欠損を有する酸化 リウムと較べて、酸素吸収能力が増大する ととなる。
 CeO 2-x +(X/2)O 2 →CeO 2  ・・・(2)

 通常のセリウム(Ce)の価数は四価又は三価で あるため、CeO 2 を還元処理すると、下記のように、四価のと きは2個のO 2- を有するが、三価のときには1.5個のO 2- を有することとなり、単位グラムあたりの最 大酸素吸収量は計算上34mL/gとなる。しかしな がら、含酸素セリウム塩又はその水和物を直 接還元処理した酸化セリウム(以下「直接還 酸化セリウム」ともいう)は、超格子構造と るので、長周期的に安定構造となり、かつ こから酸素欠損が生成するので、通常の酸 セリウム型よりも酸素吸収量が多くなり、 算量の34mL/g以上の酸素吸収量を示すことと る。それに伴い、酸化セリウムの価数は異 原子価の状態となるので、一部二価以下に っている。

 本発明で用いられる可逆的な酸素欠損を有 る酸化セリウムの酸素吸収量は、25℃、1気 の環境下で37~50mL/gという極めて高いもので る。酸素吸収量の測定は次の方法で行われ 。可逆的な酸素欠損を有する酸化セリウム2 gを分取し、透気抵抗度を有する包装体(透気 抗度10~1000000秒)へ内包する。透気抵抗度を する包装体の大きさは酸化セリウム2gを内包 できればよく、大きさに特に制限はない。こ れとは別に、可逆的な酸素欠損を有する酸化 セリウムを内包しない同一材質・同一サイズ で同一の透気抵抗度を有する包装体を用意す る。なお、本作業は、窒素、アルゴンなどの 不活性雰囲気下で行うことが望ましい。次に 、作製した酸化セリウムの入った包装体を大 気(25℃、1気圧)に曝露させ、一定時間毎に精 電子天秤(小数点以下4桁以上)にて重量を測 する。重量の増加は酸素の吸収に起因する のであるから、気体の状態方程式を用い、 収した酸素量を求めることができる。なお 包装体自身に吸着される水分に起因する重 増加を補正するため、酸化セリウムを内包 ていない包装体の重量も同時に測定し、そ 重量を、酸化セリウムを内包した包装体の 量から減じる。ここで透気抵抗度とは、JIS P8117にしたがい測定され、空気100mLが0.000642m 2 の面積を気圧差1.23kPaで透過し終えるまでの 間を意味する。

 本発明の脱酸素剤における酸素吸収は、 活環境雰囲気中で起こるものである。本明 書において、例えば化石燃料で動作する動 用エンジンから排出される排気ガス等の高 及び/又は高圧の過酷な雰囲気は、この生活 環境雰囲気には含まれない。生活環境雰囲気 とは例えば食品、電子部品、医薬品などの商 品を保存する際の一般的な雰囲気を指す。気 圧については、例えば商品包装における減圧 状態(真空包装など)から、加圧状態(レトルト 処理における加圧・加熱殺菌や包装体の形状 維持用途など)を包含する。温度については -50℃(冷凍保存時)から180℃(食品のレトルト 理)程度を包含する。また、雰囲気は空気で る場合が多いが必ずしも空気である必要は い。例えば窒素ガスなどの不活性ガスにて ージを行い、酸素濃度を低下させた空気で 良い。

 酸化セリウムが有している酸素欠損には 可逆的欠損と不可逆的欠損の2種類があるこ とが知られている。可逆的欠損とは、本発明 の脱酸素剤を構成する酸化セリウムが有する 酸素欠損のことであり、強力な還元条件下の 処理によって酸素が強制的に引き抜かれるこ とで生成するものである。可逆的欠損は、欠 損したサイトに酸素が取り込まれることが可 能な欠損である。可逆的欠損を有する酸化セ リウムにおいては、酸素不足に起因する電荷 のアンバランスな状態を、四価のセリウムの 一部が三価に還元されることで補償している 。三価のセリウムは不安定であり、四価に戻 りやすいものである。したがって、欠損した サイトに酸素が取り込まれることで、三価と なっているセリウムが四価に戻り、電荷のバ ランスが常にゼロに保たれる。

 一方、不可逆的欠損とは、酸化セリウムに セリウムの価数よりも低価数の元素をドー することで形成されるものである。不可逆 欠損は、可逆的欠損と異なり、強力な還元 件下の処理で発生した欠損ではない。不可 的欠損は、例えば、酸素欠損を有していな 酸化セリウムに、酸化セリウムの価数より 低価数の元素の酸化物を混合し、大気下で 成することによって得られる。不可逆的欠 を有する酸化セリウムにおけるセリウムの 数はすべて四価である。したがって、欠損 たサイトに酸素が取り込まれることはない 例えば、CeO 2 に20mol%のCaを固溶させた場合(Ce 0.8 Ca 0.2 O 2 )、陽イオンの平均価数は4×0.8+2×0.2=3.6なので 、酸素の電荷をこの価数にバランスさせるた めの酸素原子の数は3.6í2=1.8個となり、必要 酸素原子の数は2個よりも少なくなる。その だけ酸素欠損が生じる。しかし、この酸素 損は酸素の吸収が可能なものではない。こ ように不可逆的欠損は、酸素の強制的な引 抜きによって生じるものではなく、酸化セ ウムにおける電荷補償によって生じるもの ある。

 ところで、本発明で用いられる、可逆的 酸素欠損を有する酸化セリウムの他に、酸 の吸収が可能な無機酸化物として、OSC(酸素 吸蔵放出能力)材料が知られている。OSC材料 自動車用触媒の助触媒としてよく用いられ 。OSC材料は酸化セリウムが有する酸素イオ 伝導性と価数変化を利用して、雰囲気中か 酸素を取り込み、それと同時に酸素を放出 て、雰囲気中の酸素の量を一定にさせる材 である。しかし、OSC材料による酸素の取り み及び放出は、数百℃という高温下で初め 起こる。したがって、大気中の生活環境雰 気では、OSC材料による酸素の取り込み及び 出は生じない。この理由は、OSC材料は、生 環境雰囲気において可逆的な酸素欠損を有 ていないからである。

 以下、本発明に係る直接還元酸化セリウム 、従来の還元処理によって得られた酸化セ ウムとの相違について説明する。図1は本発 明の直接還元酸化セリウムの還元時間(還元 理時間I~IV)と酸素吸収量との関係図である。 図2(a)ないし図2(d)は還元処理時間I~IVに対応す るX線回析パターンである。還元処理時間I~IV 対応する酸化セリウムの模式構造が図3(a)な いし図3(d)である。還元は1000℃において行い 大凡、還元処理時間Iは還元前であり、還元 処理時間IIは理論限界まで(1時間還元)の還元 あり、還元処理時間IIIは理論限界をすぎた たり(2時間還元)であり、還元処理時間IVは 素吸収量が低下し始めてから(3時間還元)で る。図2(a)及び図3(a)は一般的な炭酸セリウム を焼成処理して酸化してなる還元処理時間I 酸化セリウム(CeO 2 )のX線回析パターンとその構造である。

 図2(b)及び図3(b)は還元処理時間IIのものであ り、前記CeO 2 を還元処理した還元酸化セリウム(CeO 2-X :x=0.34)のX線回析パターンとその構造である。 図2(b)に示すように、酸素欠損の生成と共に 角側にピークがシフトしている。すなわち 酸素の一部がなくなり格子が大きくなって る。このように、CeO 1.5 までは蛍石構造を維持したまま、可逆的な酸 素欠損だけが増加していくこととなる。

 これに対し、図2(c)及び図3(c)は還元処理時 IIIのものであり、本発明に係る直接還元処 した直接還元酸化セリウム(CeO 2-X :x=0.5~0.7)のX線回析パターンとその構造である 。図2(c)に示すように、直接還元酸化セリウ (CeO 2-X :x=0.5以上)の場合には、小さなピークが出現 ており、超格子構造を示している。この理 は、図3(b)の蛍石構造において、酸素が規則 に外れて、超格子構造となるからである。 なわち、最初は酸素の欠損がランダムであ が、欠損が多くなるにつれて長周期的に安 化し、フェイズ(Ia-3)の蛍石類似の超格子構 を示すことになる。

 しかし、還元が進みすぎると、図2(d)及び 図3(d)に示すように、フェイズ(P321)の構造と り、蛍石類似構造とは異なる別構造となる このP321は短期的(酸素吸収能力:10時間程度) みた場合には酸素の吸収に乏しいものとな 。なお、このP321においても長期的(例えば100 時間程度酸素吸収能力)の場合には酸素吸収 果が発現する。よって、短期的(酸素吸収能 :10時間程度)な酸素吸収能力を発揮した脱酸 素剤とする場合には、後述する試験例に示す ように、還元処理を過度に長くする等しない ようにするのが好ましい。

 よって、本発明における還元処理時間と 度との関係においては、後述する実施例の 果(図13参照)に示すように、900℃以上で2.5時 間程度、1000℃以上で2時間程度、1050℃以上で 1時間程度とするのが好ましい。還元温度は 元促進のためには高いほうが好ましく、例 ば1200℃以上、好ましくは1400℃以上とするこ ともできる。工業的に量産する場合には、105 0℃程度とするのが好ましい。なお、図13中STD 法は、従来の還元処理方法(酸化セリウムを10 00℃で還元処理した)であり、還元処理をし続 けても酸素吸収能力の低下は顕著ではなかっ た。

 本発明の一例として、図4に、1000℃で1時 還元処理した直接還元酸化セリウムの酸素 収能力の計測結果を従来との比較において す。図4に示すように、従来の還元方法(炭 セリウムを大気焼成し酸化セリウムとした のを1000℃で1時間還元処理した従来品)によ ば、10時間を経過するあたりで飽和状態とな り、25mL/gの酸素吸収量であった。これに対し 本発明の直接還元酸化セリウム(炭酸セリウ を1000℃で1時間直接還元処理した本発明品) よれば、10時間を経過するあたりでもまだ酸 素吸収能力の向上が認められ、約20時間経過 たあたりで飽和状態となり、32mL/gの酸素吸 量であった。

 この直接炭酸セリウムの還元処理方法につ て図5を参照しつつ説明する。本発明におい て用いられる原料である含酸素セリウム塩又 はその水和物は、セリウム(III)イオンと対に るアニオンが酸素を含んでいる化学種から るセリウム(III)の化合物である。酸素を含 でいるアニオンとしては、例えば炭酸イオ 、硝酸イオン、硫酸イオン、水酸化物イオ などが挙げられる。これらの含酸素アニオ を有するセリウム化合物としては、例えば 酸セリウム水和物(六水和物、八水和物等)、 硝酸セリウム、硫酸セリウム、水酸化セリウ ムなどが挙げられる。以下、含酸素セリウム 塩として硝酸セリウムを例にとり説明する。 図5に示すように、先ず硝酸セリウム水溶液 沈殿剤溶液とを調製し、滴下工程において 殿剤溶液に硝酸セリウム水溶液を滴下して 中和し、炭酸セリウムを沈殿工程で沈殿さ る。その後洗浄工程で洗浄を2回程度行い、 過工程でろ過して炭酸セリウム粉末を得る 得られた炭酸セリウムを還元焼成工程に送 、還元雰囲気下(例えばH 2 :100%、400CCM)の還元炉内において還元焼成し、 その後フィルムパック処理工程に送り、フィ ルムパック処理装置において酸素透過性のフ ィルム内に充填して、脱酸素剤を得る。なお 、還元焼成工程とフィルムパック処理工程と は不活性ガス(例えばN 2 ,Ar)雰囲気で行っている。

 還元処理は、例えば水素ガスやアセチレ ガスや一酸化炭素ガス等の還元性ガスの濃 が高濃度でかつ高温熱処理である強還元雰 気中で行われる。還元性ガス濃度は好まし は爆発下限以上~100体積%、更に好ましくは20 体積%~100体積%である。処理温度は好ましくは 500℃以上、更に好ましくは700℃~1200℃、一層 ましくは1000℃~1050℃である。強還元雰囲気 一般に常圧であるが、これに代えて加圧条 を用いてもよい。還元処理中、反応系内は 元性ガス雰囲気が終始維持され、反応系内 含酸素ガス雰囲気に曝されることはない。

 本発明では、酸化セリウムに特定の添加 素を添加して置換固溶した酸素欠損を有す 複合酸化物とするようにしてもよい。この 素欠損を有する複合酸化物とすることで、 素欠損を有する単なる酸化セリウムよりも 素吸収量を大幅に増大させることができる この特定の添加元素としては、例えばイッ リウム(Y)、カルシウム(Ca)又はプラセオジム (Pr)のいずれか一種又はこれらの混合物を用 るのが望ましい。この酸素欠損を有する複 酸化物は、これらの添加元素の炭酸塩と含 素セリウム塩又はその水和物とを混合し、 の混合物を直接還元処理することで得られ 。

 この特定の添加元素を添加することで酸 吸収量が増大する理由は次の通りである。 ず、酸化セリウムの価数は通常は4+である 、高温で還元処理すると価数が3+又はそれ以 下へと変化する。この価数の変化に伴い、セ リウムのイオン半径が膨張し、結晶格子自体 は膨張する。前記イットリウム、カルシウム 及びプラセオジムは、膨張した3+のセリウム オンよりもイオン半径が小さく、これらの ずれかを添加したことで格子の膨張を抑制 きることとなる。この結果、結晶が安定化 、より多くの酸素欠損を保持することがで るものとなる。

 添加元素の添加量は、1~20mol%とするのが ましい。これは、1mol%未満ではその添加効果 の発現量が小さいからである。

 また、一般に価数変化がないか又は少な 元素を酸化セリウムに添加する場合には、 素の吸収量の増大効果は発現されない。し し、特定のイオン半径を有する前記添加元 (Y、Ca、Pr)の添加量として20mol%程度迄の添加 であれば、酸化セリウムの蛍石型の格子の膨 張抑制機能が十分に発揮され、この結果、酸 素吸収量の増加を図ることができるからであ る。

 本発明の脱酸素剤が、タブレットやフレー 等の成形体の形態をしている場合には、添 元素の炭酸塩と含酸素セリウム塩又はその 和物との混合粉を、所定圧力(例えば0.5t/cm 2 以上)で加圧して成形体を製造し、その後に 例えば水素等の還元性ガス気流中で1000℃1時 間直接還元し、加圧成形体とすることができ る。

 このようにして製造された脱酸素剤は、 素を必要十分に透過させ得る公知の多孔性 ィルム等の脱酸素用包装体でラミネート等 処理により封入されることにより、利用さ る。

 本発明に係る脱酸素剤においては、前記 (2)に示したように生活環境雰囲気中の酸素 反応することにより、生活環境雰囲気中か 酸素を大幅に吸収・除去することができる

 直接還元処理による酸化セリウム又は複 酸化物からなる脱酸素剤では、(1)水分を全 必要とすることなく、酸素と反応すること できるので、例えば乾燥食品、電子部品、 田粉等のような水分を嫌うものの場合の保 に利用することができる。また、(2)酸化セ ウムは非金属であるので、金属探知機には 知されることがなく、金属探知機を用いて 品中の異物を発見することができる。また (3)耐マイクロ波の特性も優れているので、 化セリウムからなる脱酸素剤はマイクロ波 理における加熱を防ぐことができる。さら 、(4)酸化セリウムに添加物を添加すること より、酸素吸収量が増大するので、酸化セ ウム単独の場合に較べて単位重量当りの酸 吸収量の大幅な増大を図ることができる。

 このように、本発明によれば、無機酸化 である酸化セリウムを用いて脱酸素機能を 揮する脱酸素剤及び密封雰囲気中の脱酸素 法を提供することができる。よって、例え 医薬品やサプリメント、化学薬品(例えば色 素、香料、脂質、酵素、ビタミン、脂肪酸) は酸化され易い食品素材並びに食品、精密 械及びその部品、半導体基板等を安定保存 きるようにすることが可能となる。

 本発明においては、酸化セリウムに含まれ 酸素欠損である酸素吸収サイトを、ユーザ が使用開始するまでサイト閉塞因子体によ 脱離可能に閉塞することで、活性を制御す ようにするようにしてもよい。すなわち、 記酸素吸収サイトの少なくとも一部を、サ ト閉塞因子体により脱離可能に閉塞するよ にしている。具体的には、例えば二酸化炭 (CO 2 )等のカルボニル基を有してなるサイト閉塞 子体を用いて酸化セリウムの酸素欠損を被 した被覆酸化セリウムとなして用いること できる。

 模式的には、図6に示すように、酸素の強制 的な引き抜きによる還元によって生じた可逆 的な酸素欠損を有する還元酸化セリウム(CeO 2-x )の表面を二酸化炭素(CO 2 )で被覆することにより、酸素(O 2 )の酸素欠損へのアタックを阻害することが き、活性を低下させ、急激な酸素吸収によ 発火を抑制することができる。

 図7に示すように、二酸化炭素(CO 2 )を被覆していない従来の場合(図7中、破線で 示す。)には、酸化セリウムが脱酸素剤とし 機能する際に、酸素吸収曲線が時間の経過 共に急激に立ち上がる結果、発火していた これとは対照的に、酸化セリウムを被覆酸 セリウムとすることにより(図7中、実線で示 す。)、所定の経過時間までは酸素吸収が緩 かであり(すなわち最初はしばらく酸素を吸 ない状態となる。)、所定の経過時間後に、 酸素吸収曲線が立ち上がり、脱酸素剤として 機能することとなる。

 この理由は、酸化セリウムの周囲に二酸化 素(CO 2 )が存在するので、所定の間はしばらく酸素 吸収しない状態となるからである。よって ユーザーが自己の製品のパッケージ内に脱 素剤を入れて封印するまでの時間において 素吸収機能が抑制された状態にあり、ハン リング時間が存在することとなる。

 本発明においては酸素吸収サイトの少な とも一部を、サイト閉塞因子体により一時 に脱離可能閉塞する。「一時的に閉塞」と 、脱酸素剤を製造し、所定雰囲気(窒素充填 による酸素がない状態)の元で管理され、そ 後ユーザーの元において脱酸素剤として機 する所定濃度の酸素雰囲気下に至るまでの (例えば御菓子等のパッケージ内におかれた 、酸素吸収機能を少なくとも発揮するまで 時間)をいう。また、「脱離可能」とは、生 活環境雰囲気において、脱酸素剤の酸素吸収 サイトを閉塞しているサイト閉塞因子体が、 該酸素吸収サイトから自発的に脱離できるこ とをいう。

 ハンドリング時間とは、図7示すように、 不活性雰囲気状態にした脱酸素剤を常温(25℃ 、以下「常温」というときにはこれと同じ。 )・常圧(1気圧、以下「常圧」というときには これと同じ。)の大気中に開放した時点を開 点とし、該開始点からの経過時間(h)と酸素 収量(mL/g)との関係において、酸素吸収が緩 かな初期状態の酸素吸収ラインL1と、それに 引き続き、かつラインL1よりも傾きの大きな 素吸収ラインL2との交点Xでの時間をhとした とき、開始点から時間hまでの時間で定義さ る。初期状態の吸収ラインL1の傾きは一般に 3mL/g/h以下であり、それに引き続く吸収ライ L2の傾きはそれよりも大きい。ユーザーにお けるハンドリング時間は好ましくは0.5時間以 上7時間未満程度、更に好ましくは1時間以上2 時間以下程度である。ハンドリング時間経過 後は、酸化セリウムの酸素吸収能が急激に増 加し、脱酸素剤として機能することとなる。

 被覆酸化セリウムの製造法について図8を用 いて説明する。図5に示す操作と同様の操作 炭酸セリウム粉末を製造し、その還元焼成 程で炭酸セリウムを直接還元処理する。そ 後二酸化炭素(CO 2 )処理工程でCO 2 被覆処理を行う。その後フィルムパック処理 工程でフィルムパックを施し、脱酸素剤とす る。

 本発明の脱酸素剤は、図9に示すように、 脱酸素フィルム20Aの形態で用いてもよい。こ の脱酸素フィルム20Aは、図9に示すように、 記直接還元酸化セリウムの脱酸素剤を含む 酸素層21と、該脱酸素層21の一方の面側に設 られ、酸素ガスバリア性を有するガスバリ 層22と、前記脱酸素層21の他方の面側に設け られ、酸素ガス易透過性を有してなるガス易 透過層23とから構成されており、脱酸素フィ ムを提供するようにしてもよい。ここで、 9中、符号25は酸素を図示する。なお、図9に おいては、前記ガスバリア層22の外側に保護 24を設け、前記ガスバリア層22を保護するよ うにしている。

 前記脱酸素層21としては、前記酸化セリ ムに添加元素を固溶させた脱酸素剤を含有 る樹脂からなる。樹脂としては、例えば酸 易透過性のものを用いることができる。例 ばポリエチレン(超低密度ポリエチレン、低 度ポリエチレン、低密度直鎖ポリエチレン 中密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポ リスチレン、エチレン―プロピレン共重合体 、エチレン―プロピレンランダム重合体、エ チレン―αオレフィン共重合体、エチレン― 酸ビニル共重合体、エチレンプロピレンゴ 、エチレン―アクリル酸エチル共重合体が げられる。前記の樹脂としては、酸素ガス バリア性を有する樹脂も用いることができ 。そのような樹脂としては、例えばポリエ レンテレフタレート、ポリビニルアルコー 、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、 レフタル酸―トリメチルヘキサメチレンジ ミン縮重合体、2,2―ビス(p―アミノシクロ キシル)プロパン―アジピン酸共重合体、エ レンビニルアルコール共重合体、ナイロンM XD(商品名)、ナイロン6(商品名)、ナイロン6,6( 品名)、アクリル樹脂が挙げられる。前記の 樹脂として、酸素易透過性のものを用いるか 、あるいは酸素ガスのバリア性を有する樹脂 を用いるかは、脱酸素フィルム20Aの具体的な 用途に応じ適宜選択すればよい。

 前記ガスバリア層22としては、アルミ箔 の金属箔や、各種樹脂、例えばポリエチレ テレフタレート、ポリビニルアルコール、 リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、テレ タル酸―トリメチルヘキサメチレンジアミ 縮重合体、2,2―ビス(p―アミノシクロヘキシ ル)プロパン―アジピン酸共重合体、エチレ ビニルアルコール共重合体、ナイロンMXD(商 名)、ナイロン6(商品名)、ナイロン6,6(商品 )、アクリル樹脂等の単層又は多層からなる のを例示することができるが、本発明はこ らに限定されるものではない。

 前記ガス易透過層23としては、例えばポ エチレン(超低密度ポリエチレン、低密度ポ エチレン、低密度直鎖ポリエチレン、中密 ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポリスチ レン、エチレン―プロピレン共重合体、エチ レン―プロピレンランダム重合体、エチレン ―αオレフィン共重合体、エチレン―酢酸ビ ル共重合体、エチレンプロピレンゴム、エ レン―アクリル酸エチル共重合体等の単層 は多層からなるものを例示することができ が、本発明はこれらに限定されるものでは く、例えば紙、不織布等の繊維類からなる も用いることもできる。また、前記ガス易 過層23はシーラント層(例えばPP又はPE等のポ リオレフィン)の機能を併用するようにして よい。

 前記保護層24としては、例えばポリエチ ン・ポリプロピレン・ポリエチレンテレフ レート(PET)、ポリアミド等を例示することが できるが、本発明はこれらに限定されるもの ではない。

 図10には脱酸素フィルムの別の実施形態 示されている。同図に示す脱酸素フィルム20 Bは、脱酸素層21とガスバリア層22との間に、 衝層27が設けられたものである。この層構 によって、接着性及び緩衝性をフィルムに 与することができる。また、ガスバリア層22 と外層24との間に高度酸素ガスバリア層28を け、外部からの酸素ガスの侵入を防止の確 性を向上させるようにしてもよい。

 緩衝層27としては、例えばポリエチレン ポリプロピレン等の緩衝作用及び接着作用 備えた樹脂を例示することができるが、本 明はこれらに限定されるものではない。

 高度酸素ガスバリア層28としては、例え アルミ箔をはじめとする各種金属箔、アル 蒸着フィルム、各種酸化物(シリカ、チタニ 、ジルコニア、アルミナ)蒸着フィルム等を 例示することができるが、本発明はこれらに 限定されるものではない。

 図10に示すような6層構造の脱酸素フィル 20Bとすることで、緩衝作用が向上すると共 外部からのガスの侵入が困難になり、より 加価値の高いフィルムを提供することがで る。

 本発明においては、図11(a)に示すように 直接還元処理した酸化セリウムからなる脱 素剤30と、該脱酸素剤30を包装すると共に、 気抵抗度を有してなる包装体31とから脱酸 包装体32を構成するようにしてもよい。

 また、図11(b)に示すように、包装体31の少 なくとも一部又は全部を透明にして、透明部 分を窓32として利用し、該窓32を通じて内部 視認するようにしてもよい。これによって 包装体31に封入されている脱酸素剤の状態を 確認できる。脱酸素剤は、酸素を吸収する前 の酸素欠損を有する状態では黒色である。酸 素を吸収すると黄白色に変色する。よって、 黄白色となっているものはもはや脱酸素剤と して機能することができないので、脱酸素剤 の健全性を一目で確認することができる。

 本発明においては、図12に示すように、 酸素剤40を樹脂層41内に分散又は練込んで脱 素樹脂組成物42を構成するようにしてもよ 。

 前記樹脂層41を構成する材料としては、 素を透過することができる素材であればよ 。例えばポリエチレン(超低密度ポリエチレ 、低密度ポリエチレン、低密度直鎖ポリエ レン、中密度ポリエチレン)、ポリプロピレ ン、ポリスチレン、エチレン―プロピレン共 重合体、エチレン―プロピレンランダム重合 体、エチレン―αオレフィン共重合体、エチ ン―酢酸ビニル共重合体、エチレンプロピ ンゴム、エチレン―アクリル酸エチル共重 体等を挙げることができる。このような脱 素樹脂組成物42を用いて、例えば樹脂トレ を成形して、例えば電子部品の搬送用トレ を構成するようにしてもよい。

 以下、本発明の効果を確認するための一 施例について説明する。しかしながら、本 明はこの実施例に限定されるものではない

  〔実施例1〕
 炭酸水素アンモニウムとアンモニアと炭酸 ンモニウムとシュウ酸とを水に溶解した水 液を攪拌しながら、硝酸セリウム水溶液を 下し逆中和した。生成した沈殿物をイオン 換水で洗浄(本実施例では2回)してろ過し、 酸セリウムを得た。得られた炭酸セリウム 末を還元処理(水素100%ガスで400SCCMフロー)し た。

 還元処理条件は、900℃で還元処理したも は、1時間、2時間、2.5時間及び4時間処理し (図13中、白抜きの三角印)。また、これと異 なる還元処理条件として、1000℃及び1050℃そ ぞれで還元処理を行った。1000℃及び1050℃ 還元処理したものの処理時間は、0.5時間、1 間、1.5時間、2時間、2.5時間及び3時間とし (図13中、白抜きの丸印及び四角印)。

  〔実施例2〕
 実施例1と同様に操作し、還元処理工程の前 において、炭酸セリウム粉と添加元素として のカルシウム(Ca)を含む塩である炭酸カルシ ム粉(10mol%)とを混合した。その後、混合物を 還元処理(水素100%ガスで400SCCMフロー)した。

 還元処理条件は、1000℃、1050℃で行った( 13中、黒色の丸印及び四角印)。1000℃で還元 処理したものの処理時間は、2時間、2.5時間 び3時間とした。1050℃で還元処理したものの 処理時間は、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間 び3時間とした。比較として、従来技術に係 る炭酸セリウムを、1000℃で焼成して酸化セ ウムにとし、この酸化セリウムを1000℃で1時 間、2時間及び3時間還元処理した(STD法:図13中 ×印)。

 これらの酸化セリウムの還元時間と酸素 収量との関係を図13に示す。図13に示すよう に、実施例1の直接還元酸化セリウムにおい は、900℃以上で2.5時間程度、1000℃以上で2時 間程度、1050℃以上で1時間程度において各々 大酸素吸収量(900℃で32mL/g、1000℃で45mL/g、10 50℃で42mL/g、)を得ることができた。各々この 時間を超えると酸素吸収量の低下がみられた 。

 酸化セリウムにカルシウムを添加した実 例2では、1000℃以上で2.5時間程度、1050℃以 で1.5時間程度において各々最大酸素吸収量( 1000℃で46mL/g、1050℃で48mL/g、)を得ることがで きた。各々この時間を超えると酸素吸収量の 低下がみられた。このように、本発明による 直接還元処理して得られる超格子構造の酸化 セリウムは、各焼成温度において対応する好 適な直接還元処理時間があることが判明した 。

 実施例1及び2で得られた酸化セリウムは X線回折による構造解析の結果、蛍石類似の 格子構造を有していることが確認された。

 以上のように、本発明においては、炭酸 リウムを直接還元処理して、蛍石類似の超 子構造を有する酸化セリウムを脱酸素剤と て用いることにより、酸素吸収能力の大幅 向上を図ることができる。この結果、本発 の脱酸素剤は、例えば食品の包装体の酸素 除去に用いることが適している。

直接還元酸化セリウムの還元時間と酸 吸収量との関係図である。 還元処理時間Iに対応するX線回析パ ーンを示す図である。 還元処理時間IIに対応するX線回析パ ーンを示す図である。 還元処理時間IIIに対応するX線回析パ ターンを示す図である。 還元処理時間IVに対応するX線回析パ ーンを示す図である。 還元処理時間Iに対応する結晶格子構 造模式図である。 還元処理時間IIに対応する結晶格子 造模式図である。 還元処理時間IIIに対応する結晶格子 造模式図である。 還元処理時間IVに対応する結晶格子 造模式図である。 酸化セリウムのハンドリング時間(酸素 吸収経過時間)と酸素吸収量との関係図であ 。 直接還元酸化セリウム(本発明品)と還 酸化セリウム(従来品)との経過時間と酸素吸 収量との関係図である。 本発明の直接還元酸化セリウムの製造 程の模式図である。 二酸化炭素(CO 2 )処理時間とハンドリング時間との関係図で る。 本発明の直接還元酸化セリウムの他の 造工程の模式図である。 脱酸素フィルムの模式図である。 他の脱酸素フィルムの模式図である。 脱酸素包装体の模式図である。 他の脱酸素包装体の模式図である。 脱酸素樹脂組成物の模式図である 各温度における還元時間と酸素吸収量 との関係図である。 従来法による還元酸化セリウムの他の 製造工程の模式図である。