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Title:
DIAGNOSIS AND TREATMENT OF HEPATIC DISORDER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/151125
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a diagnosis or treatment method which utilizes the content of a specific fatty acid in plasma as a marker that reflects the condition of NASH or NAFLD, or utilizes the above-mentioned content in combination with another test, another marker or the like.

Inventors:
YANO TAKASHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060797
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
June 12, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MOCHIDA PHARM CO LTD (JP)
YANO TAKASHI (JP)
International Classes:
A61K31/202; A61K31/232; A61P1/16; A61P3/06
Domestic Patent References:
WO2007081773A22007-07-19
WO2008021192A22008-02-21
Other References:
M. CAPANNI: "Prolonged n-3 polyunsaturated fatty acid supplementation ameliorates hepatic steatosis in patients with non-alcoholic fatty liver disease: a pilot study", ALIMENTARY PHARMACOLOGY AND THERAPEUTICS, vol. 23, 2006, pages 1143 - 1151
ALLARD JOHANE: "Alteration in fatty acid composition in liver biopsies of patients with non-alcoholic fatty liver disease(NAFLD) compared to those with reported normal liver biopsy", GASTROENTEROLOGY, vol. 130, no. 4, 2006, pages A595
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE Mochitoshi et al. (JP)
Mochitoshi Watanabe (JP)
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Claims:
 被験者の血漿中のオレイン酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、及びオレイン酸/パルミチン酸比からなる群から選ばれる1以上の値を被験者の状態、又は治療効果を評価するための指標として投与される、ω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩及びエステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含有する非アルコール性脂肪肝炎予防及び・又は治療用の医薬組成物。
 被験者の血漿中オレイン酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、及びオレイン酸/パルミチン酸比からなる群から選ばれる1以上の値を、被験者の状態、又は治療効果を評価するための指標として用いる、該被験者にω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩及びエステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含有する医薬組成物を投与する、非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・治療方法。
(1)被験者の血漿中オレイン酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比及びオレイン酸/パルミチン酸比からなる群から選ばれる1以上の値を算出し、
(2)該被験者にω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩及びエステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含有する医薬組成物を一定期間投与し、
(3)その後、再び、該被験者の血漿中オレイン酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、オレイン酸/パルミチン酸比から選ばれる1以上の値を算出し、
(4)医薬組成物の投与前後の、オレイン酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比及びオレイン酸/パルミチン酸比からなる群から選ばれる1以上の値を比較して、被験者の状態、または治療効果を評価し、
(5)その評価に基づいて該被験者に該医薬組成物を投与する、
(6)非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・治療方法。
(1)被験者の血漿中のオレイン酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、オレイン酸/パルミチン酸比の少なくとも1つについて第1の決定を得る、
(2)該被験者にω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩及びエステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含有する医薬組成物を投与する、
(3)該被験者の血漿中のオレイン酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、オレイン酸/パルミチン酸比の少なくとも1つについて第2の決定を得る、
(4)該被験者の状態を評価するために、第1の決定と第2の決定とを比較する、
(5)非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・治療に適する該医薬組成物の適切な治療的用量を決定するために、第1と第2の決定の比較に基づいて、該被験者の治療を評価するステップを含む、
(6)非アルコール性脂肪肝炎に罹患している被験者の、非アルコール性脂肪肝炎を予防/改善・治療する方法。
 非アルコール性脂肪肝炎、またはNAFLD患者の血漿中オレイン酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比及びオレイン酸/パルミチン酸比からなる群から選ばれる1以上を低下させるための、ω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩及びエステルからなる群から選ばれる少なくとも一つを有効成分として含有する、非アルコール性脂肪肝炎、又はNAFLD患者の血中脂肪酸組成改善用医薬組成物。
Description:
肝障害の診断及び治療

 本発明は、非アルコール性脂肪性肝疾患 特に非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・ 治療方法及びそれに用いられる医薬組成物に 関する。

 ウィルス性肝疾患、自己免疫疾患性肝疾 、ヘマクロトーシスやWilson病等の代謝性肝 患などを除外して、飲酒歴のない人に発生 る単純脂肪肝から脂肪性肝炎、線維症、肝 変までの肝障害を含む疾患群は、一括して アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease:以下、NAFLDと記す)と定義される

 NAFLDは、さらに、肝生検(病理所見)により 、一般に予後良好と考えられている単純性脂 肪肝と、予後不良な非アルコール性脂肪肝炎 (non-alcoholic steatohepatitis:以下、NASHと記す)と 分類され、NASHは、NAFLDの重症型と考えられ いる。肝生検によりNASHと判定される炎症、 肪化、線維化ないし肝硬変、肝がんの病態 、他因と同じであり、アルコール性肝障害 ウィルス性肝炎や薬剤性肝障害の否定でき 肝炎の多くがNASHの病態であろうと推定され る(非特許文献1参照)。

 米国では、人口の20%がNAFLD、3%がNASHであ とされる。日本でも一般診療においても比 的頻繁に遭遇する疾患であり、検診受診者 おけるNAFLDの頻度は8%であり、NASHの頻度は少 なくとも成人の0.5~1%と推定される。日本では 、BMI≧25の成人肥満者が、男性で1300万人、女 性で1000万人いることから、国内のNAFLDは500~60 0万人、NASHは約30~50万人と推定される。また NAFLDでのメタボリックシンドローム(以下、Me tSと記す)診断基準に基づく、脂質代謝異常の 合併頻度は約50%、高血圧の合併頻度は約30%、 高血糖の合併頻度は約30%、MetSの合併頻度は 40%であり(非特許文献1参照)、生活習慣病の 加に伴い、今後、NASHの症例数の増加ならび 低年層への拡大が予想される。さらに肝炎 経て一部は星状細胞活性化による肝硬変、 るいは肝がんへの進行が臨床的な問題であ 。

 日本肝臓学会の「NASH・NAFLDの診察ガイド (非特許文献1)には、種々の病態改善を目指 たNASHの治療方法が試みられ、その有効性が 報告されているが、確立した治療法がないの が現状であることが記載されている。

 具体的には、ビグアナイド薬(メトホルミ ン)、PPAR-γアゴニストのチアゾリジン誘導体( ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)などのイ スリン抵抗性改善薬;ビタミン、ベタイン(コ リン誘導体)、N-アセチルシステインなどの抗 酸化剤;フィブラート系薬剤(PPAR-αアゴニスト )、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、プロブ ールなどの高脂血症治療薬;ウルソデオキシ ール酸、ポリエンホスファチジルコリン(EPL )などの肝庇護剤;ロサルタンなどのアンジオ ンシンII受容体拮抗剤などが記載される。

 イコサペント酸(以下、EPA)ないし魚油のNA SH・NAFLDに対する投与の報告例がある。たと ば、ω3多価不飽和脂肪酸(以下、PUFAsと記す) 具体的にはEPA-Eとドコサヘキサエン酸エチ (以下、DHA-Eと記す)との2種混合系によるNAFLD 者における肝炎の改善(非特許文献2参照)が る。

 また、Tanakaらの最新の報告では、高純度E PA-Eを2700mg/日、12ヶ月間投与し、アスパルテ トアミノトランスフェレース(アスパラギン アミノトランスフェラーゼともいう。以下 ASTと記す)、アラニンアミノトランスフェレ ース(アラニンアミノトランスフェラーゼと いう。以下、ALTと記す)酵素観察、炎症性サ トカイン、酸化ストレスマーカー評価なら に投与観察期間後の肝生検により、NASHを改 善することが示される(非特許文献3参照)。

 また、NASHなどの脂肪肝の治療に、ペルオ キソーム及び・又はミトコンドリアにおける β酸化を促進する薬剤としてω3PUFAsを適用す 提案がある(特許文献1参照)。

 NASHと血漿中脂肪酸との関係については、NAS Hと血漿中脂肪酸蓄積との関連を評価するた にNASH患者22人と健常者6人とで、血漿総脂肪 濃度(エステル+遊離)、及び、遊離脂肪酸濃 が比較され、NASH患者では、飽和脂肪酸と一 価の脂肪酸濃度が高く、特にパルミチン酸(C1 6:0)、パルミトレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18 :1)が高いことが示されている。デサチュラー ゼ活性インデックスとしての、C18:1/C18:0、C20: 4/C18:2は、NASH患者とコントロール群で有意差 なかったことが記載されている(非特許文献 4参照)。
 一方、ω3PUFAsは、レプチン欠損により肥満 脂肪肝を呈するob/obマウスの肝臓の成熟型SRE BP1cを低下させ、脂肪酸合成酵素(FAS)、ステア ロイルCoAデサチュラーゼ(SCD1)などの脂肪合成 関連酵素の遺伝子の発現を抑制し、肝臓にお ける脂肪酸の、パルミチン酸(C16:0)、パルミ レイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)を低下させ たことが示されている(非特許文献5参照)。

 NASH発症の機序として、肝細胞へのトリグリ セリド(TG)の沈着(脂肪肝)が起こり(first hit)、 さらに肝細胞障害要因(second hit)が加わり発 するとするtwo-hit-theory が広く指示されてい 。SREBP1cは、脂肪酸合成酵素群の転写を亢進 させることが知られており、脂肪肝発症(first  hit)に関与するといわれ(非特許文献1参照)、 ω3PUFAsはSREBP1cを低下させることが知られてい る。
 しかし、肝生検でNASHと診断された被験者、 つまり、second hitを経験した被験者に、一定 間ω3PUFAsを投与したときの特定の脂肪酸組 比の変動と、NASH治療効果との関係について 調べられたことがなかった。つまり、ω3PUFA sによるNASH治療効果が、一定期間の特定の脂 酸組成の変動により予測、又は評価できる とは知られていない。

 現在のところ、NASHの確定診断には肝生検 が必須とされている。また、疾患治癒の判定 には各種マーカーが用いられているが、必ず しも病態をパラレルに反映しているとはいえ ず、やはり、肝生検が必要と考えられている 。しかし、肝生検には、患者の身体的負担、 医療従事者の負担が大きいという問題があり 、NASH診断、病態を評価する、簡便な方法が められている。

国際公開第2007/081773号パンフレット

日本肝臓学会編、「NASH・NAFLDの診察ガイ ド」、文光堂出版、2006年8月22日 Alimentary Pharmacology & Therapeutics、2006 4月15日、第23巻、第8号、p.1143-1151 Journal of Clinical Gastroenterology、2008年、 42巻、第4号、p.413-418 Clinical Nutrition (2002) p.21(3) 219-223 Hepatology 38(6) (2003) p.1529-1539

 本発明は、NASHの病態を反映する、有効な 指標を提供し、当該指標を利用した治療方法 を提供することを目的とする。

 本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意 究を行った結果、特定の血漿中脂肪酸の組 比が、NASHの病態を反映するよいマーカーと なること、さらには、ω3PUFAsによるNAFLD、特 NASHの予防/改善・治療を行った被験者では、 一定の検査、またはマーカーの組み合わせが 、予防/改善・治療効果の指標として有効で ることをあわせて見出し、本発明を完成し 。

 すなわち、本発明は、当該指標を定期的 測定することによりNASH治療剤、例えばω3PUF As等の効果を判定し、投与した薬剤に対する 験者の反応性を確認しながら治療をすすめ ことができる、NASH/NAFLDの治療方法、及び・ 又は肝硬変/肝癌への移行を抑制する方法を 供するものである。

 さらに、本発明は、血漿中若しくは肝臓 の特定の脂肪酸組成比、一定の検査、又は ーカーの組み合わせを指標とする、NASHの診 断方法を提供する。

 さらに、本発明は、血漿中又は肝臓中の 定の脂肪酸組成比の高い被験者にω3PUFAsを じめとするNASH治療剤の投与を開始する治療 法を提供する。

 さらに、本発明は、血漿中又は肝臓中の 定の脂肪酸組成比により、治療薬の投与に 応性のある被験者をスクリーニングする方 を提供する。

 さらに、本発明は、ω3PUFAsをはじめとす NASH治療剤の効果を判定しながら投与する方 を提供する。

 すなわち、本発明は以下のものである。
〔1〕被験者の血漿中、血清中、又は肝臓中 肪酸組成比を指標として、被験者の状態、 は治療効果を評価する、NASH又はNAFLDの予防/ 善・治療方法、又は、被験者の管理方法。
〔2〕被験者の血漿中オレイン酸/ステアリン 比、ステアリン酸/パルミチン酸比、オレイ ン酸/パルミチン酸比からなる群から選ばれ 1以上を、被験者の状態、又は治療効果を評 するための指標として、該被験者にω3多価 飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩及 エステルからなる群から選ばれる少なくと 一つを有効成分として含有する医薬組成物 投与する、非アルコール性脂肪肝炎の予防/ 改善・治療方法。
〔3〕(1)被験者の血漿中オレイン酸/ステアリ 酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、オレ イン酸/パルミチン酸比から選ばれる1以上を 出し、
(2)該被験者にω3多価不飽和脂肪酸、その製薬 学上許容しうる塩及びエステルからなる群か ら選ばれる少なくとも一つを有効成分として 含有する医薬組成物を一定期間投与し、
(3)再び、該被験者の血漿中オレイン酸/ステ リン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、 レイン酸/パルミチン酸比から選ばれる1以 を算出し、
(4)医薬組成物の投与前後の、オレイン酸/ス アリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比 オレイン酸/パルミチン酸比から選ばれる1 上を比較して、被験者の状態、又は治療効 を評価し、
(5)その評価に基づいて該被験者に該医薬組成 物を投与する、
(6)非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・治 方法。

〔4〕(1)被験者の血漿中のオレイン酸/ステア ン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、オ レイン酸/パルミチン酸比の少なくとも1つに いて第1の決定を得る、
(2)該被験者にω3多価不飽和脂肪酸、その製薬 学上許容しうる塩及びエステルからなる群か ら選ばれる少なくとも一つを有効成分として 含有する医薬組成物を投与し、
(3)該被験者の血漿中のオレイン酸/ステアリ 酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、オレ ン酸/パルミチン酸比の少なくとも1つにつ て第2の決定を得る、
(4)該被験者の状態を評価するために、第1の 定と第2の決定とを比較する、
(5)非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・治 に適する該医薬組成物の適切な治療的用量 決定するために、第1と第2の決定の比較に基 づいて、該被験者の治療を評価するステップ を含む、
(6)非アルコール性脂肪肝炎に罹患している被 験者の、非アルコール性脂肪肝炎を予防/改 ・治療する方法。
〔5〕前記比較するステップが、第1の決定と 2の決定とを比較したときに、該被験者の血 漿中のオレイン酸/ステアリン酸比、ステア ン酸/パルミチン酸比、オレイン酸/パルミチ ン酸比の少なくとも1つが低下しているかど かの決定をさらに含む、〔4〕に記載の方法
〔6〕前記医薬組成物が、第2の決定の前に1ヶ 月間投与される、〔4〕又は〔5〕に記載の方 。

〔7〕前記被験者の状態、又は治療効果の評 が、他の検査、又はマーカーを組み合わせ 行われる、〔1〕ないし〔6〕のいずれかに記 載の治療方法。
〔8〕前記予防/改善・治療方法を3ヶ月間以上 続ける、〔1〕ないし〔7〕のいずれかに記載 治療方法。
〔9〕前記医薬組成物が、食事療法と併用さ る、〔1〕ないし〔8〕のいずれかに記載の治 療方法。
〔10〕前記NASH又はNAFLDの予防/改善・治療方法 、又は、被験者の管理方法に用いられる、ω3 多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる 塩及びエステルからなる群から選ばれる少な くとも一つを有効成分として含有する医薬組 成物。
〔11〕被験者の血漿中オレイン酸/ステアリン 酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比及びオ イン酸/パルミチン酸比からなる群から選ば る1以上の値を、被験者の状態又は治療効果 を評価するための指標として投与される、非 アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・治療に いられるための、ω3多価不飽和脂肪酸、そ 製薬学上許容しうる塩及びエステルからな 群から選ばれる少なくとも一つを有効成分 して含有する医薬組成物。
〔12〕(1)被験者の血漿中オレイン酸/ステアリ ン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比及び レイン酸/パルミチン酸比からなる群から選 れる1以上の値を算出し、
(2)ω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学上許容し うる塩及びエステルからなる群から選ばれる 少なくとも一つを有効成分として含有する医 薬組成物が、該血漿が採取された後の一定期 間にわたって投与されたときの該被験者の血 漿中オレイン酸/ステアリン酸比、ステアリ 酸/パルミチン酸比及びオレイン酸/パルミチ ン酸比からなる群から選ばれる1以上の値を 出し、
(3)(1)及び(2)で算出された値を比較して、被験 者の状態又は治療効果が評価され、
(4)その評価に基づいて投与される、非アルコ ール性脂肪肝炎予防及び・又は治療用医薬組 成物。

〔13〕非アルコール性脂肪肝炎又はNAFLD患者 血漿中オレイン酸/ステアリン酸比、ステア ン酸/パルミチン酸比、オレイン酸/パルミ ン酸比からなる群から選ばれる1以上の値を 下させるための、ω3多価不飽和脂肪酸、そ 製薬学上許容しうる塩及びエステルからな 群から選ばれる少なくとも一つを有効成分 して含有する医薬組成物。
〔14〕非アルコール性脂肪肝炎、またはNAFLD 者の血漿中オレイン酸/ステアリン酸比、ス アリン酸/パルミチン酸比及びオレイン酸/ ルミチン酸比からなる群から選ばれる1以上 低下させるための、ω3多価不飽和脂肪酸、 の製薬学上許容しうる塩及びエステルから る群から選ばれる少なくとも一つを有効成 として含有する、非アルコール性脂肪肝炎 又はNAFLD患者の血中脂肪酸組成改善用医薬 成物。
〔15〕前記血漿中オレイン酸/ステアリン酸比 、ステアリン酸/パルミチン酸比及びオレイ 酸/パルミチン酸比が、血漿遊離脂肪酸(plasma  free fatty acid)の組成比である、〔10〕ない 〔14〕のいずれかに記載の医薬組成物。
〔16〕被験者の血漿中、血清中、又は肝臓中 脂肪酸組成比を、被験者の状態、又は治療 果を評価するための指標として、NASH又はNAF LDの予防/改善・治療、又は、被験者の管理に 用いられる医薬を製造するための、ω3多価不 飽和脂肪酸、その製薬学上許容しうる塩及び エステルからなる群から選ばれる少なくとも 一つの使用。
〔17〕被験者の血漿中オレイン酸/ステアリン 酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、オレ ン酸/パルミチン酸比からなる群から選ばれ 1以上を、被験者の状態、又は治療効果を評 価するための指標として、NASH又はNAFLDの予防 /改善・治療、又は、被験者の管理に用いら る医薬を製造するための、ω3多価不飽和脂 酸、その製薬学上許容しうる塩及びエステ からなる群から選ばれる少なくとも一つの 用。
〔18〕被験者の血漿中、血清中、又は肝臓中 脂肪酸組成比を、被験者の状態、又は治療 果を評価するための指標として、NASH又はNAF LDの予防/改善・治療、又は、被験者の管理に 用いられるためのω3多価不飽和脂肪酸、その 製薬学上許容しうる塩及びエステルからなる 群から選ばれる少なくとも一つ。
〔19〕被験者の血漿中オレイン酸/ステアリン 酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比、オレ ン酸/パルミチン酸比からなる群から選ばれ 1以上を、被験者の状態、又は治療効果を評 価するための指標として、NASH又はNAFLDの予防 /改善・治療、又は、被験者の管理に用いら るためのω3多価不飽和脂肪酸、その製薬学 許容しうる塩及びエステルからなる群から ばれる少なくとも一つ。

 本発明により、NASHの予防/改善・治療効 を評価する指標が提供され、この指標を用 てより効果的にNASHの予防/改善・治療を行う ことが可能となる。さらに、特定の血漿中脂 肪酸の組成比、他の検査、又はマーカーを指 標として、簡便にNAFLD、NASHの予防/改善・治 効果が得られている被験者、効果が得られ いない被験者を見分けることが可能となる そして、効果が得られていない被験者に対 ては、用量の変更、治療方針の変更を行い より有効な治療を選択することができるた 、臨床上有用である。治療効果の評価が容 であるため、肝生検の実施回数を減らすこ ができ、医師、患者の負担が軽減し、さら は医療事故等のリスクを減少することがで る。

 さらには、1~3ヶ月程度の比較的短期的な 肪酸変動を観察することにより、被験者の 態を把握でき、その時点において治療が奏 しているか、奏功する見込みがあるかを判 できる。本発明で提供される指標は、NASHの 他の検査値、マーカー変動に先んじてNASHの 態を反映するため、指標として有用であり この指標を治療方法に応用することで、被 者により適した治療を提供することが可能 なる。

 以下に本発明を詳細に説明する。
 本発明の第1の態様は、被験者の血漿中、血 清中、又は肝臓中脂肪酸組成比を指標として 、被験者の状態、又は治療効果を評価する、 NASH又はNAFLDの予防/改善・治療方法、又は、 験者の管理方法である。

 好ましくは、被験者の血漿中、血清中、 は肝臓中脂肪酸組成比を指標として、被験 にω3PUFAsを含有する医薬組成物を投与する NASH又はNAFLDの予防/改善・治療方法、又は、 験者の管理方法である。

 本発明の指標(マーカー)として用いられる 肪酸としては、特に限定されないが、好ま くは、脂肪酸24分画等の公知の手法により測 定できる脂肪酸である。例えばミリスチン酸 、パルミチン酸、パルミトレイン酸(16:1)、ス テアリン酸又はオレイン酸等が挙げられ、中 でも、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイ ン酸が好ましく、とりわけオレイン酸が好ま しい。脂肪酸は、全脂肪酸中のモル%で算出 ることが望ましい。特に好ましくは、2種以 の脂肪酸の比であり、2種以上の脂肪酸につ いてその比を算出する場合、具体的な脂肪酸 組成比としては、例えばオレイン酸(OA)/ステ リン酸(SA)比、ステアリン酸(SA)/パルミチン (PA)比、オレイン酸(OA)/パルミチン酸(PA)比、 パルミトレイン酸/パルミチン酸比、ステア ン酸/ミリスチン酸比、パルミチン酸/ミリス チン酸比、等が挙げられ、OA/SA比、SA/PA比、OA /PA比が好ましい。例えば、上記の脂肪酸の3 、4種を組み合わせて用いて指標としてもよ 。
 脂肪酸24分画は、脂肪酸を不飽和脂肪酸も め、特定の24種類に分画しガスクロマトグラ フィーにより定量する検査方法である。具体 的には、血漿中の脂肪酸を、例えばFolchらの 法(Folch J.ら J. Biol. Chem. 226, 497-509(1957)) より抽出する。トリコサン酸(Tricosanoic acid,C 23:0)を内部標準として、各脂肪酸を三フッ化 ウ素とメタノールにてメチルエステル体と 、各脂肪酸のメチルエステル体を、例えば SHIMAZU GC-17Aなどのガスクロマトグラフィー 置(島津製作所社製)およびBPX70などのキャピ ラリーカラム(0.25mmID×30m, SGE International Ltd. )を用いて測定、定量することができるが、 これらに限定されない。

 すなわち、本発明の治療方法は、望まし は、血漿中脂肪酸組成比を指標とする治療 果又は疾患の程度の評価と医薬組成物の投 とが並行してまたは交互に繰り返し行われ 治療方法である。

 より具体的には、
(1)被験者の血漿中オレイン酸/ステアリン酸 、ステアリン酸/パルミチン酸比、オレイン /パルミチン酸比から選ばれる1以上を算出 、
(2)該被験者にω3多価不飽和脂肪酸、その製薬 学上許容しうる塩及びエステルからなる群か ら選ばれる少なくとも一つを有効成分として 含有する医薬組成物を一定期間投与し、
(3)その後、再び、該被験者の血漿中オレイン 酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチ 酸比、オレイン酸/パルミチン酸比から選ば れる1以上を算出し、
(4)医薬組成物の投与前後の、オレイン酸/ス アリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比 オレイン酸/パルミチン酸比から選ばれる1 上を比較して、被験者の状態、又は治療効 を評価し、
(5)その評価に基づいて該被験者に該医薬組成 物を一定期間投与し、
(6)所望により、又は必要に応じて、(3)ないし (5)を繰り返す、
(7)非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・治 方法である。

 また、本発明の医薬組成物は、望ましく 、血漿中脂肪酸組成比を指標とする治療効 又は疾患の程度の評価と医薬組成物の投与 が交互に繰り返し行われる医薬組成物であ 。

 治療前後の脂肪酸組成比を比較して治療 果の評価を行う場合、例えば、OA/SA比を指 として用いた場合には、一定期間治療を行 た後における被験者のOA/SA比が、治療前にお けるOA/SA比の値と比較して減少していれば、N ASH又はNAFLDの予防/改善・治療効果が得られる と評価できる。本発明の医薬組成物について も同様に、医薬組成物を一定期間投与した後 における被験者のOA/SA比が、投薬前におけるO A/SA比の値と比較して減少していれば、医薬 成物による治療効果が発揮されていると評 できる。SA/PA比、OA/PA比についても、同様に 価できる。

 治療効果の評価は、OA/SA比、SA/PA比、又は OA/PA比のいずれか1つを指標として評価できる が、これらの脂肪酸比のうち2つ以上を用い 評価することが望ましく、その指標のひと にOA/SA比が含まれることが望ましい。

 本明細書において脂肪酸組成比は、特に 載のない限り、血漿中、血清中、肝臓にお る脂肪酸組成比のいずれを用いてもよい。 た、血液中のLDL,VLDLなど特定の分画におけ 脂肪酸組成比を指標にすることもできる。 かし、測定の簡便さの点から、血漿中、又 血清中の脂肪酸組成比を用いることが望ま い。脂肪酸組成比の算出に用いる各脂肪酸 単位は特に限定されず、モル、モル%、重量 重量%等いずれを用いてもよいが、経時的に 脂肪酸組成比を比較して評価する場合には、 統一した単位、脂肪酸組成比の算出方法を用 いる。とりわけ、全脂肪酸中のモル%により 出するのが望ましい。質量/体積濃度(μg/mlな ど)、体積モル濃度(mol/Lなど)などが用いられ もよい。

 また、本明細書において血漿中脂肪酸と 、特に記載のない限り、血漿中総脂肪酸(pla sma total fatty acid)を指すが、被験者の状態、 又は治療効果を評価するための指標として血 漿中遊離脂肪酸(plasma free fatty acid)を用いて もよい。また、肝臓中脂肪酸とは、特に記載 のない限り、肝臓中総脂肪酸を指すが、場合 により、肝臓中遊離脂肪酸を用いてもよい。

 脂肪酸組成の測定は、本発明の属する技 分野における通常の知識を有する者が実施 うるいかなる方法を用いて行ってもよいが 常法に従って行うことが特に好ましい。

 血漿中総脂肪酸組成は、被験者から採血 て血漿を取り出し、Folch法などの方法によ 抽出した脂質から加水分解により遊離させ 全ての脂肪酸について、ガスクロマトグラ ィーなどにより分画して定量値、組成値を て、脂肪酸組成比を算出することができる 臨床検査の一項目である全脂質中脂肪酸分 (例えば、SRL株式会社等の受託臨床検査事業 によって実施可能である)を実施し、得られ た個々の脂肪酸の値から算出することもでき る。

 血漿中遊離脂肪酸組成は、Folch法などの 法により抽出した脂質を薄層板展開を行う とで遊離型のみを掻きとり、抽出後に加水 解をおこないメチルエステル化処理の後、 スクロマトグラフィーなどにより分画して 量値、組成値を得て、脂肪酸組成比を算出 ることができる。血清にも応用可能である

 肝臓の脂肪酸組成比も、常法に従い、測 可能である。例えば、Folch法などの方法に い、肝臓組織5-10mgからクロロホルム/メタノ ル(2:1vol/vol)により脂質を抽出し、クロマト ラフィーにより分画する。これらの測定方 、算出方法等は特に限定されず、本発明の する技術分野における通常の知識を有する が実施しうる任意の方法を用いることがで ることは言うまでもない。

 本発明において、ω3PUFAsを含有する医薬 成物とは、ω3多価不飽和脂肪酸(ω3PUFAs)、そ 製薬学上許容しうる塩及びエステルからな 群から選ばれる少なくとも一つを有効成分 して含有する医薬組成物をいう。

 医薬組成物を一定期間投与して、その投 前後で脂肪酸組成比を比較して治療効果を 価する場合、医薬組成物が投与される一定 間とは、特に限定されないが、7日間以上1 以下であることが望ましく、好ましくは14日 以上9ヶ月以下、より好ましくは1ヶ月以上6ヶ 月以下、いっそう好ましくは1ヶ月以上3ヶ月 下、よりいっそう好ましくは1ヶ月である。

 本発明のω3PUFAsを含有する医薬組成物を 験者に投与すると、多くの被験者のOA/SA比は 低下傾向を示し、投薬開始から1~2月間程度は 、OA/SA比の低下率は大きく、次第に低下率は さくなる。ここで、本明細書において、脂 酸組成比の低下率とは、一定期間あたり脂 酸組成比の低下した割合をいい、例えば、O A/SA比の1ヶ月あたりの低下率は、(投薬前のOA/ SA比-1ヶ月投与後のOA/SA比)/投薬前のOA/SA比×100 (%)と算出する。

 本発明の治療方法の好ましい態様は、ω3P UFAsを含有する医薬組成物を1ヶ月ないし2ヶ月 間投与し、被験者の血漿中OA/SA比、SA/PA比、OA /PA比のいずれか1以上の値を投薬前後で比較 る。投薬後のOA/SA比、SA/PA比、OA/PA比のいず かが、投薬前と比較して低下していれば、 発明の医薬組成物のNASH治療効果が得られる 判断できる。

 また、本発明の治療方法の好ましい態様で 、ω3PUFAsを含有する医薬組成物を投与開始 ら1ヵ月後、2ヶ月後など、経時的に被験者の 血漿中OA/SA比を測定し、投薬開始前のOA/SA比 値と比較する。NASH治療効果が得られるため は、投薬開始から1ヶ月の間のOA/SA比の低下 が、望ましくは1%以上、より望ましくは2%以 上、さらに望ましくは3%以上、いっそう望ま くは5%以上である。投薬開始から1~2ヶ月間 低下率が大きければ、より本発明の医薬組 物のNASH治療効果が期待できる被験者である で、そのままω3PUFAsを含有する医薬組成物 投与を継続する。投薬開始から2ヶ月あたり らその低下率が小さくなるが、その後は低 したOA/SA比の値を維持するように、投薬を 続することが望ましい。
 被験者にω3PUFAsを数か月以上投薬すると、 薬開始当初は変動していた血漿中の脂肪酸 成の変動がなくなることがある。例えば、ω 3PUFAsの投薬中に、一定期間におけるOA/SA比が 変となることがある。この場合には、脂肪 の測定数値を治療前と比較したり、他の検 を併用して、治療効果が得られているか判 する。

 一方、本発明の治療方法の好ましい態様は 本発明の医薬組成物を1ヶ月投薬した後のOA/ SA比、SA/PA比、OA/PA比のいずれか1以上が、又 2以上が、投薬前と比較して上昇、または不 の場合には、より治療効果を高めるために (1)ω3PUFAsの用量の増加、(2)他の薬剤の追加 変更、(3)食事療法の追加、変更、(4)運動療 の追加、変更等を行うことが望ましい。
 これに対して、OA/SA比、SA/PA比、OA/PA比のい れか1以上が、又は2以上が、投薬前と比較 て低下の場合には、治療効果があり、治療 続けることが有効である。

 また、本発明の治療方法の好ましい態様 は、本発明の医薬組成物を投与開始から2ヶ 月の間のOA/SA比の低下率が小さい被験者に対 ても、上記の治療効果を高めるための手段 とることが望ましい。2ヶ月あたりのOA/SA比 低下率が小さいとは、特に限定されないが 0.5%以下である。

 すなわち、本発明の好ましい態様は、本 明のω3PUFAsを含有する医薬組成物を投薬開 してから1ヶ月間のOA/SA比の低下率を、被験 の状態、又は治療効果を評価するための指 として、該被験者にω3PUFAsを含有する医薬組 成物を投与する、非アルコール性脂肪肝炎の 予防/改善・治療方法である。

 より好ましくは、本発明のω3PUFAsを含有 る医薬組成物を投薬開始してから1ヶ月間のO A/SA比の低下率を、被験者の状態、又は治療 果を評価するための指標として、1ヶ月あた のOA/SA比の低下率が1%以上になるように、該 被験者にω3PUFAsを含有する医薬組成物を投与 る、非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・ 治療方法である。

 とりわけ好ましくは、本発明のω3PUFAsを 有する医薬組成物を投薬開始してから1ヶ月 のOA/SA比の低下率を、被験者の状態、又は 療効果を評価するための指標として、1ヶ月 のOA/SA比の低下率が1%以上になるように、該 被験者にω3PUFAsを含有する医薬組成物を投与 、その後、OA/SA比の低下率が小さくなった は、その低下率を維持するようにω3PUFAsを含 有する医薬組成物を投与する、非アルコール 性脂肪肝炎の予防/改善・治療方法である。

 本発明の好ましい態様は、上記非アルコ ル性脂肪肝炎の予防/改善・治療方法に用い られる、ω3PUFAsを含有する医薬組成物である

 本発明によれば、1~3ヶ月程度の比較的短 的な脂肪酸変動を観察することにより、被 者の状態を把握でき、現時点での治療が奏 しているか、現時点での治療で十分か、治 を変更する必要があるか、奏功する見込み あるかを評価することができる。NASH治療を 反映する他の検査、マーカーの変動に先んじ て、評価ができるため、被験者により適した 治療を提供することが可能となる。

 本発明の予防/改善・治療方法は、少なく とも1ヶ月以上継続されることが望ましく、 ましくは3ヶ月以上、より好ましくは6ヶ月以 上、さらに好ましくは1年以上、いっそう好 しくは3年以上、よりいっそう好ましくは5年 以上の期間にわたり継続される。後述する他 の検査、又はマーカーを指標にして治療を終 了できると評価されるまで継続されることが 望ましい。

 本発明の医薬組成物は、少なくとも1ヶ月 以上投与されることが望ましく、好ましくは 3ヶ月以上、より好ましくは6ヶ月以上、さら 好ましくは1年以上、いっそう好ましくは3 以上、よりいっそう好ましくは5年以上の期 にわたり投与される。後述する他の検査、 はマーカーを指標にして治療を終了できる 評価されるまで投与されることが望ましい

 治療効果の評価に基づいて該被験者に前 医薬組成物を投与する場合には、NASH治療に とって望ましい被験者の状態、又は治療効果 を得るために、(1)ω3PUFAsの用量の増減、(2)他 薬剤の追加、用量の増減、中止、又は休薬 (3)食事療法、又は運動療法の追加、変更等 、所望により、又は必要に応じて行っても い。

 被験者の状態、又は治療効果の判断は、 験者自身又は医師が、被験者の身体的、精 的症状から判断し、判断手法は特に限定さ ないが、例えば、KleinerらのNASスコアを用い た場合には、スコアが改善することをいう。 Kleinerらは、NAFLDの肝組織所見の中から3項目 すなわち脂肪肝(steatosis)、肝細胞風船様腫大 (hepatocellular ballooning)、実質炎症(lobular inflamm ation)の程度をスコア化し(NAFLD activity score:NAS )、NASが5以上をNASHとした。望ましい被験者の 状態、又は治療効果とはNASスコアが1以上低 することが望ましく、より望ましくは2低下 さらに望ましくはNASスコアが4以下になるこ とである。

 Matteoniらは、NAFLDを病理所見から、type1:脂 肪肝のみ、type2:脂肪肝プラス小葉内の炎症(lo bular inflammation)、type3:脂肪肝プラス肝細胞風 様腫大(肝細胞膨化:ballooning degeneration)、type 4:脂肪肝、肝細胞風船様腫大プラス肝線維化 るいはマロリー体形成に分類し、type3、4をN ASHと診断することを提唱した。Bruntらは、NASH の病理所見を炎症(grading)と線維化の程度(stagi ng)で評価・分類することを提案し、NASHの病 分類として広く用いられている。被験者の 態、又は治療効果はこれらの分類を使って 断してもよい。望ましい被験者の状態、又 治療効果とは、例えば、Matteoniらの分類を用 いて、type3がtype2になる、type4がtype3になる等 挙げられ、例えば、Bruntらの分類を用いて 炎症(grading)が改善すること、及び・又は、 維化の程度(staging)が改善することなどをい 。

 本発明の第2の態様は、被験者の血漿中オ レイン酸/ステアリン酸比が3以上の被験者に 与を開始し、血漿中オレイン酸/ステアリン 酸比が2.6未満になるまで投与を継続し、さら に、血漿中オレイン酸/ステアリン酸比が2.6 満に維持するよう本発明の医薬組成物の投 を継続する、非アルコール性脂肪肝炎、又 NAFLDの予防/改善・治療方法である。この場 、血漿中脂肪酸組成比は、血漿中の総脂肪 組成を用い、測定単位はモル、又はモル%を いて算出する。血漿脂肪酸24分画の検査数 を用いて算出することが望ましい。

 本発明の第3の態様は、検査、若しくはマ ーカー、又はこれらの組み合わせを被験者の 状態、又は治療効果を評価するための指標と して、該被験者にω3PUFAsを含有する医薬組成 を投与する、非アルコール性脂肪肝炎、又 NAFLDの予防/改善・治療方法である。ここで う検査、マーカーは、特に限定されず、脂 酸組成比をマーカーのひとつとしてもよい また、脂肪酸のモル%をマーカーのひとつと してもよい。例えば、血漿中オレイン酸のモ ル%が健常人の平均値より高い被験者に対し 、血漿中オレイン酸の測定数値を指標とし 、該被験者にω3PUFAsを含有する医薬組成物を 投与することができる。

 検査、マーカーとしては、例えば、画像 断(超音波(エコー)、CT、MRIなど)、インスリ 抵抗性検査(HOMA-IRなど)、血中インスリン値 食後血糖値、BMI、血中酸化ストレスマーカ (チオレドキシン、マロンジアルデヒド、4-h ydroxynonenal、一酸化窒素など)、8-イソプロス ン、アディポサイトカイン(アディポネクチ 、TNFα、レプチン、MCP1、レジスチンなど)、 線維化マーカー(ヒアルロン酸、IV型コラーゲ ン、プロコラーゲンIIIポリペプチド(PIIIP)、TI MP-1(Tissue inhibitor of metalloproteinase-1)、CTGF(conn ective tissue growth factor)など)、sTNF-R、血小板 、血清フェリチン、血清鉄、ALT、AST、ALT/AST 比、γ-GTP、ALP(アルカリホスターゼ)、KICG、高 感度CRP、トリグリセリド(TG)、LDL-C、HDL-C、総 レステロール、遊離脂肪酸(FFA)、リン脂質 アルブミン、トータルプロテイン、トータ ビリルビン、キニノーゲン、17-OH-oleic acid [ omega1-OH-oleic acid],18-OH-oleic acid [omega-oleic acid ]、PDGF-A、PDGF-B、IL-1β、IL-2、IL-6などが挙げら れ、これらの検査は、本発明の属する技術分 野における通常の知識を有する者が実施しう る任意の方法で行うことができる。好ましく は、常法に従って実施することが可能である 。

 特に、本発明の医薬組成物の治療効果を 価するための指標として望ましいものとし は、AST、ALT、ALP、トータルビリルビン、チ レドキシン、フェリチン、MCP1、ヒアルロン 酸、IV型コラーゲン、TIMP-1、CTGF、TG、アルブ ン、トータルプロテイン、17-OH-oleic acid[omeg a1-OH-oleic acid],18-OH-oleic acid[omega-oleic acid]な が挙げられる。画像診断と組み合わせるの より望ましい。

 これらの検査、マーカーは、被験者の状 に合わせて組み合わせて選択されることが ましい。

 例えば、前記Matteoniらの分類でtype4(脂肪 、肝細胞風船様腫大プラス肝線維化あるい マロリー体形成肝線維化)に分類される被験 は、ヒアルロン酸、IV型コラーゲン、TIMP-1 アルブミン、トータルプロテイン、ALP、ト タルビリルビンのいずれか1以上と、その他 検査(HOMA-IR、血中インスリン値、BMI、TGなど )と組み合わせて治療効果を評価する。

 例えば、前記Matteoniらの分類でtype3(脂肪 プラス肝細胞風船様腫大)に分類される被験 は、MCP1、AST、ALT、チオレドキシン、フェリ チン、血小板数、血中インスリン値、BMI、な どにより評価されることが望ましい。

 これらの望ましい検査、マーカーは、ω3P UFAsによるNASHの治療効果、すなわち、病理所 の改善などを反映して段階的に検査数値が 善するので、これらを測定することにより 肝生検の検査の必要性を減らし、被験者負 を軽減できる。

 これらの検査、マーカーは、ω3PUFAsによ NASH治療効果が得られると段階的に検査数値 改善するため、NASH治療の進行状況を把握す るために有効である。また、これらの検査、 マーカーは、疾患が治癒し、治療を終了する 指標(目標値)を設定するために使用可能であ 。疾患が治癒したといえる場合の目標値設 は、各検査数値の正常値とすることができ 。

 本発明の医薬組成物は、これらの検査、 はマーカーを指標にして、目標とするマー ー値を達成するために投与される。本発明 医薬組成物は、NASH又はNAFLD患者の画像によ 所見、検査値、又はマーカー値を改善させ ための、ω3PUFAsを有効成分として含有する 薬組成物である。本発明の治療方法は、こ らの検査、マーカーを指標にして、目標値 達成するために、ω3PUFAsを含有する医薬組成 物を投与する、NASHの予防/改善・治療方法で る。

 本発明の第4の態様は、NASH又はNAFLD患者の 血漿、血清、又は肝臓中の脂肪酸組成比を改 善させるための、ω3PUFAsを有効成分として含 する医薬組成物である。また、NASH又はNAFLD 者の血漿中遊離脂肪酸組成比を改善するた のω3PUFAsを有効成分として含有する医薬組 物である。

 被験者の脂肪酸組成比を改善させるとは 例えば、OA/SA比についていえば、医薬組成 の一定期間投与後のOA/SA比の値が、投与前の 値と比較して、低下することをいう。SA/PA比 又はOA/PA比についても同様に判断する。本 明の第4の態様の医薬組成物の製造方法及び 用方法は、第1の態様の治療方法で使用する 医薬組成物と同様である。

 本発明の第5の態様は、ω3PUFAsを有効成分 して含有する医薬組成物の投与による治療 応答する見込みのあるNASH、又はNAFLD患者を 択する方法である。ω3PUFAsに応答する見込 のあるNASH(又はNAFLD)患者とは、特に身体的症 状の有無は問わないが、血漿中脂肪酸組成比 のOA/SA比が高値の被験者である。健常人の平 のOA/SA比と比較してより高値を示す被験者 あり、具体的には、血漿中OA/SA比が1.5以上の ヒトを意味し、より好ましくは、2以上、と わけ好ましくは3以上のヒトを意味する。こ での測定単位はモル、モル%である。

 また、本願発明のω3PUFAsを有効成分として 有する医薬組成物の投与による治療に応答 る見込みのあるNASH、又はNAFLD患者とは、投 開始前と、ω3PUFAsを有効成分として含有する 医薬組成物の投薬開始から1ヶ月ないし3ヶ月 の血中脂肪酸濃度を測定し、OA/SA比、SA/PA比 、OA/PA比から選ばれる1以上を比較して、血中 脂肪酸比が低下している被験者である。
 望ましくは、これらの血中脂肪酸比の低下 が大きい被験者であり、望ましくは、前記 望ましい脂肪酸組成比の低下率を示す被験 であって、このような被験者は、本発明の 薬組成物により、大きな治療効果が得られ 。
 上記被験者を対象として本願の医薬組成物 投与を継続することが好ましい。

 すなわち、(1)被験者の血漿中オレイン酸/ス テアリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸 、オレイン酸/パルミチン酸比から選ばれる1 以上を算出し、
(2)該被験者にω3多価不飽和脂肪酸、その製薬 学上許容しうる塩及びエステルからなる群か ら選ばれる少なくとも一つを有効成分として 含有する医薬組成物を一定期間投与し
(3)その後、再び、該被験者の血漿中オレイン 酸/ステアリン酸比、ステアリン酸/パルミチ 酸比、オレイン酸/パルミチン酸比から選ば れる1以上を算出し、
(4)医薬組成物の投与前後の、オレイン酸/ス アリン酸比、ステアリン酸/パルミチン酸比 オレイン酸/パルミチン酸比から選ばれる1 上を比較して、投与後の数値が低下してい 被験者に対して医薬組成物の投与を継続す 、非アルコール性脂肪肝炎の予防/改善・治 方法である。

 また、定期的に血漿中のOA/SA比、SA/PA比、OA/ PA比の1以上を測定し、その値が前回測定時に 比較して上昇している被験者では、肝病変(NA SH、又はNAFLD)が進展している可能性がある。
 このような被験者には、これらの値が正常 範囲を超えているか否かに関わらず、早期 治療及び予防的治療を開始することができ 。このような被験者は、ω3PUFAsへの反応性 期待できる。
 すなわち、本願発明のω3PUFAsを有効成分と て含有する医薬組成物の投与による治療に 答する見込みのあるNASH、又はNAFLD患者とは 血漿中のOA/SA比、SA/PA比、OA/PA比の1以上を測 して、過去1年以内の値と比較して、その値 が上昇している被験者である。特に、血漿中 脂肪酸組成比のOA/SA比が前回の測定時と比較 て0.5以上、より好ましくは1.0以上、さらに ましくは1.5以上上昇した被験者を選択する このとき、前回の測定は、過去1年以内に、 より望ましくは過去6ヶ月以内に行われてい ことが望ましい。被験者の選択は、上記の 標による判断に加えて、肝機能の検査値の 動も考慮して判断されることが望ましい。 のように選択した被験者に対して、NASH治療 果を持つ任意の薬剤を投与する。薬剤は、 験者の身体状態に応じて適宜選択できるが ω3PUFAsを使用することが好ましい。薬剤の 与は、患者の身体状況を観察しながら、用 の増減、他の薬剤の追加を行うことができ 。

 本願発明のω3PUFAsを有効成分として含有 る医薬組成物の投与による治療に応答する 込みのあるNASH、又はNAFLD患者とは、血中遊 脂肪酸濃度の高い被験者である。血中遊離 肪酸濃度の測定は、本発明の属する技術分 における通常の知識を有する者が実施しう 任意の方法によって、一般的に測定可能で る。また、例えば、SRL株式会社等の受託臨 検査事業者に委託する等によっても測定可 である。基準値は140~850(μEq/L)とされるが、 事の影響を受けやすいため、例えば、一夜 食するなど条件を一定にして測定すること 望ましい。血中遊離脂肪酸濃度の高い状態 長く続いている被験者が望ましく、例えば6 月以上、より望ましくは1年以上継続してい る被験者が望ましい。血中遊離脂肪酸濃度が 高いとは、健常者の血中遊離脂肪酸濃度の平 均値と比較して高値を示すことをいう。

 本願発明のω3PUFAsを有効成分として含有 る医薬組成物の投与による治療に応答する 込みのあるNASH、又はNAFLD患者とは、本発明 医薬組成物投与により、血中トリグリセリ 値(TG)が低下する被験者である。中でも、投 開始前に血中のTG濃度は基準値以上で、本 明の医薬組成物投与開始から1~6ヶ月程度は TGの低下がほとんど見られないが、その後次 第にTG値の低下が見られる被験者がより望ま い。

 本願発明のω3PUFAsを有効成分として含有す 医薬組成物の投与による治療に応答する見 みのあるNASH、又はNAFLD患者とは、NASHの初期 被験者である。例えば、Bruntらの分類によ ば、線維化分類(staging)のステージ1もしくは2 の被験者である。Bruntらは、NASHの病理所見を 炎症(grading)と線維化の程度(staging)で評価・分 類した。中でも線維化の程度(staging)は、以下 の4段階に分類されている。
ステージ1:中心静脈周囲性線維化(肝細胞周囲 性) 限局性、あるいは広範囲、
ステージ2:中心静脈周囲性線維化と門脈域の 維化、
ステージ3:中心静脈周囲性線維化と架橋形成 伴う門脈域の線維化、
ステージ4:肝硬変

 本願発明のω3PUFAsを有効成分として含有 る医薬組成物の投与による治療に応答する 込みのあるNASH、又はNAFLD患者とは、体内の 化度が高い被験者である。例えば、活性酸 種(ROS)の産生が促進している被験者、鉄の過 剰蓄積のある被験者である。血清フェリチン の上昇、血清チオレドキシン濃度、8-イソプ スタン値の上昇により評価することができ 。

 本願発明のω3PUFAsを有効成分として含有 る医薬組成物の投与による治療に応答する 込みのあるNASH、又はNAFLD患者とは、炎症が 度に起こっている被験者である。例えば、MC P1、高感度CRPなどの測定により評価できる。

 本願発明のω3PUFAsを有効成分として含有 る医薬組成物の投与による治療に応答する 込みのあるNASH、又はNAFLD患者とは、AST、ALT 上昇している被験者である。

 本願発明のω3PUFAsを有効成分として含有 る医薬組成物の投与による治療に応答する 込みのあるNASH、又はNAFLD患者とは、アディ ネクチン遺伝子、TNF遺伝子の1塩基遺伝子多 性(SNP)のある被験者にも好ましく用いられ 。

 本発明の治療方法は、上記ω3PUFAsに応答 る見込みのある被験者を選択し、被験者の 肪酸組成比、他の検査、若しくはマーカー 又はこれらの組み合わせを指標に、EPA-E等の ω3PUFAsを有効成分とする医薬組成物を、必要 あれば、その他の併用薬、食事制限などを み合わせて治療し、検査数値の目標値を達 するまで投与する、NASHの治療方法でもある 。

 本発明の第6の態様は、肝生検によってNAS Hと診断され、かつ、血漿中トリグリセリド(T G)が正常値より高い(高トリグリセライド血症 )の被験者のための、ω3PUFAsを有効成分として 含有する、NASHの改善、治療用医薬組成物で る。動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年 (日本動脈硬化学会編集・発行)における診 基準に従い、血漿中TGが高い、又は高トリグ リセライド血症とは、空腹時採血による検査 により、トリグリセリドが150mg/dL以上を示す とをいう。

 また、「脂質異常症の被験者」にも望まし 用いられる。「脂質異常症」の語は、動脈 化性疾患予防ガイドライン2007年版(日本動 硬化学会編集・発行)における診断基準に従 、高LDLコレステロール血症、すなわち、空 時採血による血清中LDLコレステロール値が1 40mg/dL以上、低HDLコレステロール血症、すな ち、空腹時採血による血清中HDLコレステロ ル値が40mg/dL未満、及び高トリグリセライド( トリグリセリドと同義、以下同)血症、すな ち、空腹時採血による血清中トリグリセラ ド値が150mg/dL以上、の少なくとも一つに該当 する状態を意味する。
 また、「脂質異常症」の語は、米国の国立 生研究所(NIH)が2001年5月に発行したATPIIIガイ ドライン(ATP III Guidelines At-A-Glance Quick Desk Reference)に従って、血清中LDLコレステロール が130mg/dL以上、血清総コレステロール値が20 0mg/dL以上、血清中HDLコレステロール値が40mg/d L未満の少なくとも一つに該当する状態であ てもよい。

 本発明の第7の態様は、「肝生検によって NASHと診断された被験者」又は、「画像診断 によって脂肪肝と判定された被験者で、か 、AST又はALTの上昇を認める被験者」のため 、ω3PUFAsを有効成分として含有するNASHの改 、治療用医薬組成物である。

 「脂肪肝」の判定は、肝細胞の1/3以上に 肪滴が存在すれば脂肪肝と診断されるが、 義には、肝細胞の10%以上に脂肪肝を認めれ 脂肪肝と診断する。一般的に脂肪肝の判定 、超音波、エコー、CT、MRIなど画像診断に って行われるが、特に限定されない。例え 、エコー輝度からbright liverと表現される所 を認めれば脂肪肝と診断できる。

 AST(GOTともいう)、ALT(GPTともいう)の上昇と は、通常、正常上限の2~4倍になることをいい 、ASTの正常値は10~40IU/L程度、ALTの正常値は5~4 0IU/L程度といわれているが、正常値(基準値) 診断の目安であって、医療施設によっても なる。AST、及びALTが正常でも肝生検によっ NASHと診断されることもある。

 本発明の医薬組成物は、このような被験 に対して好ましく用いられ、投薬開始時期 特に限定されないが、好ましくは、上記診 を初めて受けてから、3年以内に投薬を開始 することが望ましく、より望ましくは1年以 に投薬を開始することが望ましい。

 本発明の第8の態様は、肝生検によってNASH 診断され、かつ、AST、又はALTの上昇を認め 被験者のAST、又はALTを低下させるための、ω 3PUFAsを有効成分として含有するNASHの改善、 療用医薬組成物である。AST、又はALTを低下 せるとは、投薬開始前の検査数値を低下さ ればよいが、好ましくは投薬開始前の検査 値の2/3に、より好ましくは1/2に、さらに好 しくは正常値(基準値)といわれる程度にまで 低下させることが望ましい。
 本発明の医薬組成物の使い方は上述のとお である。

 本発明の第9の態様は、被験者の血漿中、 血清中、又は肝臓中のOA/SA比、SA/PA比、OA/PA比 、他の検査、若しくはマーカー、又はこれら の組み合わせを、肝生検によるNASH確定診断 代わるNASH発症のマーカーとして使用する方 である。ここでの脂肪酸組成比、他の検査 又はマーカーは、本発明の第1から3の態様 記載したとおり組み合わせて使用され、診 の信頼性を高めることができる。

 本発明の第10の態様は、被験者の脂肪酸 成比、他の検査、若しくはマーカー、又は れらの組み合わせを指標として、脂肪肝を つ被験者の中で、NASHに移行する可能性の高 被験者を見出す方法である。例えば、被験 のOA/SA比、SA/PA比、又はOA/PA比が継続的に高 を示す場合には、NASH発症の危険性が高い。 OA/SA比が1ヶ月以上、3ヶ月以上、6ヶ月以上、1 年以上高値が持続する場合、NASH発症の危険 が高まる。

 本発明の第11の態様は、脂肪肝をもつ被 者の中で、NASHに移行する可能性の高い被験 を見出し、検査値を指標に治療を開始する 期を見出し、治療を開始するNASHの予防方法 である。OA/SA比が1ヶ月以上、3ヶ月以上、6ヶ 以上、1年以上高値が持続する場合、又は、 OA/SA比が前回の測定と比較して、上昇が続い いる被験者は、他の検査、マーカーと総合 に判断して、NASHの予防を開始することが望 ましい。

 本発明の第12の態様は、ω3PUFAsを有効成分 として含有する、NASHによる肝臓の線維化を 善するための医薬組成物である。改善する めの指標としては、OA/SA比を指標とすること ができる。本発明の医薬組成物は、好ましく は、食事療法と組み合わせて、血漿中OA/SA比 指標として、それが前回の測定値より低下 るように投与する。

 すなわち、好ましくは食事療法と組み合 せて、血漿中OA/SA比が前回の測定値と比較 て低下するように投与される、ω3PUFAsを有効 成分として含有する、NASHによる肝臓の線維 を改善するための医薬組成物である。

 対象となる被験者は、好ましくは、すで 肝臓が線維化している被験者である。具体 には、好ましくは、例えば、Matteoniらの分 によれば、type3後期からtype4に分類される被 者(脂肪肝プラス肝細胞風船様腫大プラス肝 線維化あるいはマロリー形成)である。例え 、線維化マーカー(ヒアルロン酸、IV型コラ ゲン、TIMP-1など)で肝の線維化が起きている 判断される被験者が好ましい。

 本発明の第13の態様は、ω3PUFAsを有効成分 として含有する、脂肪肝を有する被験者の肝 臓の線維化を抑制するための医薬組成物であ る。また、ω3PUFAsを有効成分として含有する NAFLD、又はNASH患者の、肝癌への移行を抑制 るための医薬組成物である。本発明の非ア コール性脂肪肝炎の予防/改善・治療方法を 用いることができる。

 本発明の第14の態様は、本願発明のω3PUFAsを 用いるNASH又はNAFLDの予防/改善・治療方法、 は被験者の管理方法を宣伝する方法である 本願発明のNASH又はNAFLDの治療方法、又は被 者の管理方法に用いられるω3PUFAsを含有する 医薬組成物を宣伝する方法である。
 医師や被験者に対して、本願発明のNASH又は NAFLDの治療方法、又は被験者の管理方法に関 る情報を提供する。具体的には、被験者の 定期間における特定の脂肪酸組成の変動に り、ω3PUFAsによるNASH治療効果の予測・評価 できること等の情報を提供し、宣伝するこ ができる。宣伝方法の手段は問わないが、 えば、パンフレットの配布、電子媒体の頒 、インターネットを通じた情報提供などが げられる。

 以上、本発明を実施するための最良の形 を説明したが、本発明の範囲から離れるこ なく好ましい変更を行うことが可能である とは言うまでも無い。

 以上述べてきた本発明の各態様で用いた 語について、さらに詳しく以下に説明する

 多価不飽和脂肪酸(PUFAs)は、分子内に複数 の炭素-炭素二重結合を有する脂肪酸と定義 れ、二重結合の位置により、ω3、ω6などに 類される。ω3PUFAsとしては、α-リノレン酸、 EPA、ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと記す)な が例示される。本発明で用いられる「PUFAs の語は、特に断らない限りは、多価不飽和 肪酸だけでなく、その製薬上許容される塩 あるいはエステル、アミド、リン脂質、グ セリドなどの多価不飽和脂肪酸誘導体も含 意味で用いられる。

 本発明で用いられるω3PUFAsは、合成品、 合成品又は天然品のいずれでもよく、これ を含有する天然油の形態でもよい。ここで 天然品とは、ω3PUFAsを含有する天然油から公 知の方法によって抽出されたもの、粗精製さ れたもの、あるいはそれらを更に高度に精製 したものを意味する。半合成品は、微生物な どにより産生された多価不飽和脂肪酸を含み 、また該多価不飽和脂肪酸あるいは天然の多 価不飽和脂肪酸にエステル化、エステル交換 等の化学処理を施したものも含まれる。本発 明では、ω3PUFAsとして、これらのうちの1種を 単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用 ることができる。

 本発明では、ω3PUFAsとして、具体的には EPA、DHA、α-リノレン酸及びこれらの製薬学 許容しうる塩及びエステルが例示される。 薬学上許容しうる塩及びエステルは、ナト ウム塩、カリウム塩などの無機塩基、ベン ルアミン塩、ジエチルアミン塩などの有機 基、アルギニン塩、リジン塩などの塩基性 ミノ酸との塩及びエチルエステル等のアル ルエステルやモノ-、ジ-及びトリ-グリセリ 等のエステルが例示される。好ましくはエ ルエステルであり、特にEPA-E及び・又はDHA-E 好ましい。とりわけ好ましいのは、EPA-E(イ サペント酸エチルエステル)である。

 ω3PUFAsの純度は特に限定されないが、通 、本剤組成物の全脂肪酸中のω3PUFAsの含量と して、好ましくは25質量%以上、さらに好まし くは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以 上、より好ましくは85質量%以上であり、とり わけ好ましくは本剤組成物がω3PUFAs以外の他 脂肪酸成分を実質的に含まない態様である

 例えば、EPA-E及びDHA-Eを用いる場合、EPA-E/ DHA-Eの組成比及び全脂肪酸中のEPA-E+DHA-Eの含 比は特に問わないが、好ましい組成比とし 、EPA-E/DHA-Eは、0.8以上であることが好ましく 、更に好ましくは、1.0以上、より好ましくは 、1.2以上である。EPA-E+DHA-Eは高純度のもの、 えば、全脂肪酸及びその誘導体中のEPA-E+DHA- E含量比が40質量%以上のものが好ましく、55質 量%以上のものがさらに好ましく、84質量%以 のものがさらに好ましく、96.5質量%以上のも のが更に好ましい。他の長鎖飽和脂肪酸含量 は少ないことが好ましく、長鎖不飽和脂肪酸 でもω6系、特にアラキドン酸含量は少ないこ とが望まれ、2質量%未満が好ましく、1質量% 満がさらに好ましい。

 本発明の組成物に用いられるEPA-E及び・ はDHA-Eは、魚油あるいは魚油の濃縮物に比べ 、飽和脂肪酸やアラキドン酸等の心血管イベ ントに対して好ましくない不純物が少なく、 栄養過多やビタミンA過剰摂取の問題もなく 用効果を発揮することが可能である。また エステル体のため主にトリグリセリド体で る魚油等に比べて酸化安定性が高く、通常 酸化防止剤添加により十分安定な組成物を ることが可能である。

 このEPA-Eは、日本において、閉塞性動脈 化症(ASO)及び高脂血症治療薬として入手可能 な高純度EPA-E(96.5質量%以上)含有軟カプセル剤 (商品名エパデール:持田製薬社製)を用いるこ とができる。また、EPA-EとDHA-Eの混合物は、 とえば、米国で高TG血症治療薬として市販さ れているロバザ(Lovaza:グラクソ・スミス・ク イン:EPA-E約46.5質量%、DHA-E約37.5質量%含有す 軟カプセル剤)を使用することもできる。

 ω3PUFAsとして、精製魚油も使用できる。 た、ω3PUFAsのモノグリセリド、ジグリセリド 、トリグリセリドまたはこれらの組合せなど も好ましい態様の一つである。例えばインク ロメガ(lncromega)F2250、F2628、E2251、F2573、TG2162 TG2779、TG2928、TG3525及びE5015(クローダ インタ ーナショナル ピーエルシー(Croda International PLC、Yorkshire、England))、及びEPAX6000FA、EPAX5000TG 、EPAX4510TG、EPAX2050TG、EPAX7010EE、K85TG、K85EE及 K80EE(プロノバ バイオファーマ(Pronova Biopharm a、Lysaker、Norway))などの種々のω3PUFAs、その塩 及びエステルを含有する製品が市販されてお り、これらを入手して使用することもできる 。

 本発明の医薬組成物及び治療方法は、ω3P UFAsの他に、他の薬剤と組み合わせて、併用 て用いられてもよい。本発明における他の 剤は、特に限定されないが、本発明の効果 減弱しないことが好ましく、例えば、肝庇 剤、血糖降下剤、高脂血症治療薬、降圧剤 抗酸化剤、抗炎症剤などが例示される。

 ここで肝庇護剤としては、例えば、ウル デオキシコール酸やベタインがあげられる また、血糖降下剤としては、例えば、メト ルミンのようなビグアナイド薬、インスリ やインスリン誘導体、トルブタミド、グリ ラジド、グリベンクラミド、グリメピリド ようなスルホニルウレア剤、ナテグリニド レパグリニド、ミチグリニドのような速効 インスリン分泌促進剤、アカルボース、ボ リボース、ミグリトールのようなαグルコ ダーゼ阻害剤、ピオグリタゾン、ロジグリ ゾン、トログリタゾンのようなチアゾリジ 類等があげられる。また、高脂血症治療薬 しては、例えば、プラバスタチン、シンバ タチン、アトルバスタチン、フルバスタチ 、ピタバスタチン、ロスバスタチン、セリ スタチンのようなHMG-CoA還元酵素阻害剤やシ フィブラート、クロフィブラート、クリノ ィブラート、ベザフィブラート、フェノフ ブラートのようなフィブラート系薬剤、あ いはオルリスタットのような脂肪分解酵素 害剤、エゼチミブがあげられる。また、降 剤としては、例えば、カプトプリル、アラ プリル、イミダプリル、エナラプリル、シ ザプリル、テモカプリル、デラプリル、リ ノプリル、ベナゼプリルのようなアンジオ ンシン変換酵素阻害剤、ロサルタン、バル ルタン、カンデサルタン、テルミサルタン オルメサルタン、イルベサルタン、エプロ ルタンのようなアンジオテンシン受容体阻 剤、アリスキレンのようなレニン阻害剤、 ムロジピン、ニフェジピン、ベニジピン、 カルジピン、ニルバジピン、シルニジピン アゼルニジピン、マニジピン、ニトレンジ ン、パルニジピン、ニソルジピン、エホニ ピン、フェロジピン、アラニジピン、ジル アゼム、ベラパミル、ベプリジルのような ルシウム拮抗剤等があげられる。また、抗 化剤としては、例えば、ビタミンCやビタミ ンE等のビタミン類、Nアセチルシステイン、 ロブコールなどがあげられる。また、抗炎 剤としては、例えば、ペントキシフィリン のサイトカイン産生抑制剤、ロイコトリエ 受容体拮抗剤、ロイコトリエン生合成阻害 、NSAIDs、COX-2選択的阻害剤、M2/M3拮抗剤、コ ルチコステロイド、ファルネシル酸プレドニ ゾロンなどのステロイド、Hi(ヒスタミン)受 体拮抗剤、サラゾスルファピリジン、メサ ジンなどのアミノサリチル酸、等があげら る。また、免疫抑制剤としては、例えば、 ザチオプリン、6-メルカプトプリン、タクロ リムスなどがあげられる。また、C型肝炎ウ ルス(HCV)用の抗ウイルス薬としては、例えば 、インターフェロン、プロテアーゼ阻害剤、 ヘリカーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤など があげられる。

 本発明において予防とは、疾患の発症を 防することのみでなく、発症時期を遅延さ ることおよび発症率を低下させることも含 。本発明において改善とは、疾患の何らか パラメーターを改善することのみでなく、 者の自覚症状や生活の質(Quality of life)を改 善することを含む。また、本発明において治 療とは、既に疾患を発症した患者に薬物を投 与することのみでなく、疾患を発症するリス クの高い患者に薬物を投与する予防的治療も 含む。

 本発明において、有効成分の「併用」と 、有効成分を組合せて用いることであり、 3PUFAs及び他の薬剤を共に含む配合剤として 与すること、及びω3PUFAsと他の薬剤とがそれ ぞれ別個の製剤として同時期にもしくは時間 差をおいて別々に投与されることを含む。「 別個の製剤として同時期にもしくは時間差を おいて別々に投与される」態様には、(1)ω3PUF Asを投与される被験者に、他の薬剤を有効成 として含有する組成物を投与する態様、及 (2)他の薬剤を投与される被験者に、ω3PUFAs 効成分として含有する組成物を投与する態 が含まれる。また、「併用」とは必ずしも 験者の体内、例えば血中において同時に存 する場合に限られないが、本発明において 併用」とは、いずれか一方の薬剤の作用・ 果が被験者の体内に発現している状態で他 の薬剤を投与する使用態様をいう。本発明 組成物を用いてNAFLDもしくはNASHに関連する 患の予防/改善または治療効果が得られるよ な使用態様である。好ましくは、被験者の 内、例えば血中において同時に存在する使 態様が望ましく、また好ましくは、被験者 対して、一方の薬剤を投与してから24時間 内に他方の薬剤を投与する使用態様が好ま い。

 本発明の医薬における併用の形態は、特 限定されず、有効成分が組み合わされてい ばよい。このような薬剤の形態としては、 えば(1)有効成分を同時製剤化して得られる 一の製剤の投与、(2)有効成分を別々に製剤 して得られる2種類の製剤を組合せてキット とし、または組み合わせないで別々に用意し 、同一投与経路での同時投与に使用する。(3) 有効成分を別々に製剤化して得られる2種類 製剤を組合せてキットとし、または組み合 せないで別々に用意し、同一投与経路で時 差をおいて投与する。(4)有効成分を別々に 剤化して得られる2種類の製剤を組合せてキ トとし、または組み合わせないで別々に用 し、異なる投与経路(同一被験者の異なる部 位から投与する)で同時に投与する。(5)有効 分を別々に製剤化して得られる2種類の製剤 組合せてキットとし、または組み合わせな で別々に用意し、異なる投与経路(同一被験 者の異なる部位から投与する)で時間差をお て投与する。

 これらの時間差をおいて投与する場合は 例えば、ω3PUFAsと他の薬剤の順序での投与 または逆の順序での投与がある。同時に投 する場合、投与経路が同一であれば投与直 に両薬剤を混合してもよく、別々に投与し も良い、また種々の目的で計画的に投与時 をずらして用いることができる。具体的な としては、一方の薬剤を投与し、その効果 発現し始める時期もしくは十分に発現して る間に、他方の薬剤を投与して作用させる 法がある。また、一方の薬剤を徐放化して1 1回投与とし、他方の薬剤を1日複数回、例 ば2ないし3回投与としてもよいし、同様に1 1回投与としてもよい。両薬ともに1日1回投 、さらには1日1回同時投与あるいは配合剤と すれば、被験者の服薬の負担を軽減し、服薬 コンプライアンスが向上して予防/改善・治 効果及び副作用軽減効果も増すことが期待 れ、好ましい。また、例えば、両薬剤を投 し、その効果が発現し始める時期もしくは 分発現している時期に、一方の薬剤の投薬 中止する方法がある。薬剤の投薬を中止す 場合には、段階的に薬剤の用量を減量して よい。また、例えば、一方の薬剤の休薬期 に他方の薬剤を投与する方法が挙げられる

 望ましくは、ω3PUFAs及び他の薬剤を併用 た治療効果が、併用の場合と同じ用量のω3PU FAs及び他の薬剤を個々に用いて得られる治療 効果の和よりも大きな効果を得られる態様が 好ましい。ここでの治療効果とは、NAFLDもし はNASHに関連する疾患の予防/改善または治 効果あるいは肝硬変や肝癌への進行抑制で れば、特に限定されないが、上述の脂肪酸 の改善の他、例えば、画像検査(超音波、CT MRIなど)、肝生検あるいは血漿中の線維化マ カー(IV型コラーゲン、ヒアルロン酸、TIMP-1 )により測定した肝線維化の程度、血清ASTや ALT値の減少、AST/ALT比の減少、アディポネク ンの増加、TNFα減少、高感度CRPの減少や血中 酸化ストレスマーカー(フェリチン、チオレ キシン)の減少、HOMA-IR改善などが例示される 。その他のNAFLDもしくはNASHに関連する生化学 的・病理学的あるいは病態パラメータにより 予防/改善または治療効果をモニタリングし もよい。

 本発明の組成物に用いられるω3PUFAs及び の薬剤の投与量及び投与期間は対象となる 用を現すのに十分な量及び期間とされるが その剤形、投与方法、1日当たりの投与回数 症状の程度、体重、年齢等によって適宜増 することができる。

 経口投与する場合は、例えばEPA-E及び・ はDHA-Eとして0.1~10g/日、好ましくは0.3~6g/日、 より好ましくは0.6~4g/日、さらに好ましくは0. 9~2.7g/日を1ないし3回に分けて投与するが、必 要に応じて全量を1回あるいは数回に分けて 与してもよい。また、他の薬剤の投与量に じて減量することも可能である。投与時間 食中ないし食後が好ましく、食直後(30分以 )投与が更に好ましい。上記投与量を経口投 する場合、投与期間は1年以上、好ましくは 2年以上、より好ましくは3.5年以上、更に好 しくは5年以上であるが、NASHに関連する病態 あるいは生化学的指標などが継続している間 、NASHの発症及び・又は再発の危険度が高い 態が続いている間は投与を継続することが ましい。また、例えば1日おきに投与する、1 週間に2~3日投与する態様や、場合により1日~3 ヵ月程度、好ましくは1週間~1ヵ月程度の休薬 期間を設けることもできる。

 本発明の組成物に用いられる他の薬剤の 与量は、その薬剤単独での用法・用量の範 内で使用されることが好ましいが、その種 、剤形、投与方法、1日当たりの投与回数は 、症状の程度、体重、性別、年齢等によって 適宜増減することができる。ω3PUFAsの投与量 応じて減量することも可能である。副作用 減の観点で1日投与量をできるだけ減量し、 徐放化錠を使用して1日1回投与とすることが り好ましい。上記投与量を経口投与する場 、投与期間は1年以上、好ましくは2年以上 より好ましくは3.5年以上、更に好ましくは5 以上であるが、NASHに関連する病態あるいは 生化学的指標などが継続している間、NASHの 症及び・又は再発の危険度が高い状態が続 ている間は投与を継続することが望ましい また、例えば1日おきに投与する、1週間に2~3 日投与する態様や、場合により1日~3ヵ月程度 、好ましくは1週間~1ヵ月程度の休薬期間を設 けることもできる。

 ω3PUFAs及び他の薬剤の併用では、ω3PUFAs及 び・又は他の薬剤の用量を一般的に使用され る通常の用量より低く設定することも可能で ある。例えば、個々の薬剤を単独で治療効果 を得るには不十分な用量を用いることも可能 である。これにより、薬剤投与による副作用 を軽減することができる利点を有する。

 ω3PUFAs及び・又は他の薬剤単独の用量が 治療効果を得るには不十分な用量であって ω3PUFAs及び他の薬剤を併用した治療効果が、 併用の場合と同じ用量のω3PUFAs及び他の薬剤 個々に用いて得られる治療効果の和よりも きな効果を得られるような使用態様も望ま い。

 ω3PUFAs単独の用量が、治療効果を得るに 不十分な用量とは、被験者の個々の状態や 型により変動し、限定されるものではない 、例えば、EPA-E及び・又はDHA-Eの場合、1日あ たりの投与量が、0.1g以上2g未満、好ましくは 0.2g以上1.8g以下、さらに好ましくは0.3g以上~0. 9g以下、また好ましくは、0.3g以上~0.6g以下で る。

 他の薬剤及びω3PUFAsの1日投与量、投与回 あるいは投与比率は、特に限定されないが 肝線維化の程度、血清ASTやALTの減少、AST/ALT 比の減少、アディポネクチンの増加、TNFαの 少や血中酸化ストレスマーカーの減少、HOMA -IR改善などの検査値を確認しながら適宜増減 できる。

 本発明の医薬組成物は、有効成分を化合 (精製の際に不可避的に含まれる他の成分を 含む場合もある)をそのまま投与するか、或 は一般的に用いられる適当な担体または媒 、賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、香味 、必要に応じて滅菌水や植物油、更には無 性有機溶媒あるいは無害性溶解補助剤(たと ばグリセリン、プロピレングリコール)、乳 化剤、懸濁化剤(例えばツイーン80、アラビア ゴム溶液)、等張化剤、pH調整剤、安定化剤、 無痛化剤、嬌味剤、着香剤、保存剤、抗酸化 剤、緩衝剤、着色剤などの添加剤と適宜選択 組み合わせて適当な医薬用製剤に調製するこ とができる。添加剤として、たとえば乳糖、 部分α化デンプン、ヒドロキシプロピルセル ース、マクロゴール、トコフェロール、硬 油、ショ糖脂肪酸エステル、ヒドロキシプ ピルメチルセルロース、酸化チタン、タル 、ジメチルポリシロキサン、二酸化ケイ素 カルナウバロウなどを含有しうる。

 特に、ω3PUFAsは高度に不飽和であるため 抗酸化剤たとえばブチレート化ヒドロキシ ルエン、ブレチート化ヒドロキシアニソー 、プロピルガレート、没食子酸、医薬とし 許容されうるキノン及びα-トコフェロール ら選ばれる少なくとも1種を抗酸化剤として 効量含有させることが望ましい。

 製剤の剤形は、本発明の有効成分の併用 態によっても異なり、特に限定されないが 経口製剤としては、例えば、錠剤、フィル コーティング錠、カプセル剤、マイクロカ セル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、経口用液 製剤、シロップ剤、ゼリー剤、吸入剤の形 、非経口製剤としては、例えば、軟膏、坐 、注射剤(乳濁性、懸濁性、非水性)あるい 用時乳濁または懸濁して用いる固形注射剤 輸液製剤、経皮吸収剤などの外用剤で、経 及び静脈内あるいは動脈内、吸入、直腸内 膣内あるいは外用を問わず被験者に投与さ るが、経口服用できる被験者に対しては、 便な経口製剤が望ましく、とりわけカプセ たとえば、軟質カプセルやマイクロカプセ に封入して、あるいは錠剤、フィルムコー ィング錠での経口投与が好ましい。また、 溶製剤や徐放化製剤として経口投与しても く、透析患者や嚥下困難な患者などにはゼ ー剤として経口投与することも好ましい。

 本発明の組成物は、ω3PUFAsと他の薬剤と 別々に製剤して得られる2種類の製剤を組み わせて使用する場合には、それぞれ公知の 法により製剤化する。また、本発明の組成 は、ω3PUFAsと他の薬剤とを有効成分とする 合剤とすることができる。

 本発明の医薬組成物を、ω3PUFAsと他の薬 とを有効成分とする配合剤とする場合には 配合剤の剤形は特に限定されず、経口製剤 しては、例えば、錠剤、フィルムコーティ グ錠、カプセル剤、マイクロカプセル剤、 粒剤、細粒剤、散剤、経口用液体製剤、シ ップ剤、ゼリー剤の形で、非経口製剤とし は、例えば、注射剤、輸液製剤、経皮吸収 などの外用剤で被験者に投与される。例え 、徐放化した製剤、あるいは、2剤を時間差 放出する製剤なども含む。

 本発明の配合剤は、有効成分に加え、薬 的に許容され得る賦形剤を含むことができ 。適宜、公知の抗酸化剤、コーティング剤 ゲル化剤、嬌味剤、着香剤、保存剤、抗酸 剤、乳化剤、pH調整剤、緩衝剤、着色剤な を含有させてもよい。

 本発明の配合剤は、本発明の属する技術 野における通常の知識を有する者が実施し る任意の方法によって製剤化することがで る。好ましくは、常法に従って製剤化する とが可能である。ω3PUFAsの粉末は、例えば (A)EPA-E、(B)食物繊維、(C)デンプン加水分解物 及び・又は低糖化還元デンプン分解物、及び (D)水溶性抗酸化剤を含有する水中油型乳化液 を、高真空下で乾燥させ、粉砕処理する(特 平10-99046)など公知の方法により得られる。 られたEPA-Eの粉体と、ビグアナイド系血糖降 下薬の粉体とを用いて、好ましくは常法に従 い、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤、フィルム コーティング錠、チュアブル錠、徐放錠、口 腔内崩壊錠(OD錠)などを得ることができる。 ュアブル錠であれば、例えば、EPA-Eをヒドロ キシプロピルメチルセルロースなどの水溶性 高分子溶液中に乳化し、得られた乳化液を乳 糖などの添加剤に噴霧して粉粒体を得(特開 8-157362)、ビグアナイド系血糖降下薬の粉体 混合して打錠することなど公知の方法によ 得ることができる。徐放錠であれば、例え (1)EPA-E及びビグアナイド系血糖降下薬のいず れかを内層に、他方を外層に形成する、(2)各 成分を含有する円盤状のマトリックスを2層 重ねる、(3)一成分を含有する粒状カプセル 他方の成分を含有するマトリックス中に埋 込む、(4)両剤を予め混合した後に何らかの 放のための工夫が施される、などが挙げら る。各有効成分は放出速度を調整されてい ことが望ましく、両剤同時に放出されても いし、別々に時間差で放出されてもよい。 腔内崩壊錠であれば、例えば特開平8-333243な ど、口腔用フィルム製剤であれば、例えば特 開2005-21124など、公知の方法に準じて製造す ことができる。

 本発明の配合剤は、有効成分の薬理作用 発現できるように、放出、吸収されること 望ましい。本発明の配合剤は、有効成分の 出性に優れる、有効成分の吸収性に優れる 有効成分の分散性に優れる、配合剤の保存 定性に優れる、被験者の服用利便性、ある はコンプライアンスに優れる製剤の少なく もいずれか1以上の効果を持つことが望まし い。

 本発明の組成物は、動物とりわけ哺乳動 のNAFLD、特にNASHの予防/改善または治療、再 発予防あるいは肝硬変や肝癌への進行抑制に 有効である。哺乳動物とは、例えば、ヒトや ウシ、ウマ、ブタなどの家畜動物やイヌ、ネ コ、ウサギ、ラット、マウスなどの家庭用動 物等があげられ、好ましくはヒトである。特 に、糖尿病、高脂血症、高TG血症、メタボリ クシンドローム、高血圧、インスリン抵抗 を有するNASH患者において好ましく用いられ る。尿酸値の高い被験者、全身の炎症状態の 高い被験者、ω3PUFAs以外に多種類の薬剤を服 している被験者、ω3PUFAs以外の薬剤を服用 より副作用の経験のある被験者などにも有 である。また、配合剤やキット剤とするこ で被験者の服薬の負担を軽減し、服薬コン ライアンスを高めることで更に予防/改善ま は治療効果を高めることができる。

 以下に本発明の実施例を示すが、本発明 、実施例に限定して解釈されるべきではな 。

 NASHと確定診断された被験者を2群(各群15 )に分けて、EPA-E群にはエパデールS900(EPA-E900m g含有)を、コントロール群にはプラセボを、 れぞれ1日2回服用させる。被験者の状況に じて投与量を適宜増減する。被験者のクラ テリア、モニタリング、組織検査、統計学 解析等はAmerican Journal of Gastroenterology、2001 、第96巻、p.2711-2717の方法に準じ、1年間の 与期間中経時的にALT、AST等の血液生化学検 、血漿中脂肪酸組成の測定を行うと共に、 与終了後に肝生検を行い、組織学的評価を う。

 EPA-E群は、コントロール群と比較して、AL T、AST等の血液生化学パラメーターの平均値 治療前に比べ低下する。また、EPA-E群では、 肝組織の病理学的検査像についても、Bruntら 方法による線維化ステージの平均はステー 2から1へ改善がみられる。

 EPA-E群15例の中で、Bruntらの方法によるス アの投薬前後における変化が1または2であ た症例(有効群)と0であった症例(無効群)とに 分けて、1年間の投与期間中経時的な血漿中 肪酸組成の変化を解析する。投与開始前のOA /SA比は、有効群と無効群の両群において差が ない。投与開始から2ヶ月間におけるOA/SA比は 、両群とも低下傾向を示すものの、有効群は 無効群と比較して、投与開始から2ヶ月間のOA /SA比の低下率が大きい。ここで2ヶ月間のOA/SA 比の低下率は、(投与開始前のOA/SA比-投与開 後2ヶ月におけるOA/SA比)/投与開始前のOA/SA比 100(%)で算出する。投与開始後2ヶ月後の時点 おいて、有効群のOA/SA比は、無効群と比較 て低値を示す。2ヶ月以降のOA/SA比の変化は 両群ともそれぞれ若干低下傾向を示すが、 与開始から2ヶ月間と比較してその変化は小 い。有効群では、ヒアルロン酸、IV型コラ ゲン、TIMP-1の値が段階的に低下する。一方 無効群では、ヒアルロン酸、IV型コラーゲン 、TIMP-1の値は、ほとんど変化しない。

 NASHと確定診断された被験者を、過去1年 内にOA/SA比が前回の測定時と比較して上昇し た被験者(OA/SA上昇群)と、それ以外の群(OA/SA 上昇群)とに分けて、EPA-E群にはエパデールS9 00(EPA-E900mg含有)を1日2回服用させる。被験者 状況に応じて投与量を適宜増減する。被験 のクライテリア、モニタリング、組織検査 統計学的解析等はAmerican Journal of Gastroentero logy、2001年、第96巻、p.2711-2717の方法に準じ、 1年間の投与期間中経時的にALT、AST等の血液 化学検査、血漿中脂肪酸組成の測定を行う 共に、投与終了後に肝生検を行い、組織学 評価を行う。Kleinerらの方法によるNASスコア より治療効果を評価する。

 OA/SA上昇群、OA/SA下降群の両群とも、1年 の投薬によりNASスコアの改善が見られる。 かし、OA/SA上昇群では、OA/SA非上昇群と比較 て、NASスコアの改善度が大きい。

 肝線維化のあるNASH患者、すなわち、Brunt の線維化の程度(Staging)による評価でstage1ま は2に分類される被験者(15例)を集めて試験 行う。1ヶ月毎の血中OA/SA比が前回の測定値 り低下するように、食事制限、運動療法を うとともに、EPA-E900mgを1日2回投与し、1年間 過を観察する。被験者の中で、OA/SA比に変 が見られない被験者には、EPA-E900mgを1日3回 与とする。

 投与開始から1ヶ月間におけるOA/SA比低下 が5%以上であった被験者をA群とし、投与開 から1ヶ月間におけるOA/SA比低下率が1%未満 あった被験者をB群とする。ここで1ヶ月間に おけるOA/SA比低下率は、(投与開始前のOA/SA比- 投与開始後1ヶ月におけるOA/SA比)/投与開始前 OA/SA比 × 100(%)で算出する。

 治療開始から1年後に肝生検を実施すると 、A群はStage2の被験者は1または0に、Stage1の被 験者は0に、線維化が改善する。一方、B群は わずかな線維化改善が見られるが、A群ほど 改善しない。

 アディポネクチン遺伝子SNP276の型には、T /T、G/T、G/Gがあるが、G/G型の人は、T/T型の人 り、アディポネクチンの血中濃度が低いと われている。

 アディポネクチン遺伝子SNP276の型がG/G型 NASH患者とG/G型以外のNASH患者(各群15例)に対 て、EPA-E900mg 1日2回、1年間投与する。Kleiner らの方法によるNASスコアにより1年後の治療 果を評価する。G/G型のNASH患者群、G/G型以外 NASH患者群の両群とも、1年間の投薬によりNA Sスコアの改善が見られる。しかし、G/G型のNA SH患者群では、G/G型以外のNASH患者群と比較し て、NASスコアの改善度が大きい。

 NASHと確定診断された被験者に、本発明の治 療方法を用いて治療を行う。
 治療開始前に被験者の血漿中脂肪酸組成を 定し、OA/SA比を算出すると3.5である。エパ ールS900(EPA-E900mg含有)を1日2回服用させる。1 月後、被験者のOA/SA比は3.5のままである。 験者に食事指導を行い、運動療法を追加す 。投薬開始から3ヵ月後、被験者のOA/SA比は3. 4に低下する。エパデールS900(EPA-E900mg含有)を1 日3回に増量する。投薬開始から6ヵ月後、被 者のOA/SA比は3.2に低下する。その後、食事 限、運動療法を継続するとともに、エパデ ルS900(EPA-E900mg含有)を1日3回の投薬も継続す 。OA/SA比は3.2、3.1付近で維持される。

 1年間の投与期間中経時的にALT、AST等の血 液生化学検査、血漿中脂肪酸組成の測定を行 うと共に、投与終了後に肝生検を行い、組織 学的評価を行う。Bruntらの方法による線維化 テージの平均はステージ2から1へ改善がみ れる。ALT、AST、ヒアルロン酸、IV型コラーゲ ン、TIMP-1の値も1年間にわたり低下する。

 肝生検によりNASHと診断された被験者30例を2 群に分けて、治療群20例には高純度EPA-E(96.5質 量%以上 商品名:エパデールS)2700mg/日、コン ロール群10例にはプラセボを12ヶ月間投薬す 。
 被験者は、投薬開始前、投薬開始から1ヶ月 後、3ヶ月後、6ヵ月後、12ヵ月後等の時点で 次の各種検査が実施され、治療効果が評価 れる。
 検査項目は、血漿中総脂肪酸、血漿中遊離 肪酸、肝臓超音波、体重、ALT、AST、HbA1c、 糖値、HOMA-IR、TNFα、sTNF-R1、R2、フェリチン チオレドキシン、TGF-β1、TIMP-1、ヒアルロン 、などであり、適宜選択される。被験者の 療効果は、投薬開始から12ヵ月後に、NASス アにより評価される。
 治療群は、コントロール群と比較して、投 開始から12ヶ月後の平均のNASスコア改善度 大きい。ω3PUFAsはNASH治療薬として有用であ 。

 治療群20例において、NASスコア改善度と、 薬開始から1ヶ月間の血中脂肪酸比の変動と 関係をみる。投薬開始から1ヶ月間の血中脂 肪酸比の変動は、投薬開始前と、ω3PUFAsの投 開始から1ヵ月後の血中脂肪酸濃度を測定し 、
 (1)オレイン酸/ステアリン酸比、(2)ステアリ ン酸/パルミチン酸比、
 (3)オレイン酸/パルミチン酸比、(4)パルミト レイン酸/パルミチン酸比
のうちのいずれか1以上の比を算出し、投薬 始前と、投薬開始から1ヶ月後の数値を比較 る。
 NASスコアが改善している被験者、すなわち ω3PUFAsを投薬することにより、NASH治療効果 得られる被験者の、投薬開始から1ヶ月後の 前記血中脂肪酸濃度の比は、投薬開始前と比 較して低下する。
 すなわち、特に、投薬開始から1ヶ月後のオ レイン酸/ステアリン酸比が、投薬開始前の 値と比較して低下している被験者は、ω3PUFAs の投薬によりNASH治療効果の得られる被験者 あり、このような被験者を対象にω3PUFAsの投 与を継続して、NASHの治療をすることができ 。
 NASスコア改善度がより大きい被験者、すな ち、ω3PUFAsを投薬することにより、より大 なNASH治療効果の利益を得られる被験者は、 薬開始から1ヶ月間の前記血中脂肪酸比の低 下率が大きい傾向がみられる。ω3PUFAsにより 療効果が得られるかどうかは、投薬開始前 、投薬開始から1ヵ月後の血中脂肪酸を測定 し、特定の血中脂肪酸比の低下率をみること によって予測可能である。

 前記血中脂肪酸比の算出に用いられる血中 肪酸は、血漿中総脂肪酸、血漿中遊離脂肪 のいずれを用いてもよい。また、血中脂肪 比の低下率は、投薬開始前と一定期間投薬 の変動の比較のみではなく、投薬期間内に ける一定期間の変動を比較してもよい。
 ω3PUFAsの投薬によるNASH治療効果は、血中脂 酸比の変動のみではなく、TNFα、フェリチ 、チオレドキシン、TIMP-1、TGF-β1などを適宜 み合わせて、総合的に評価してもよい。