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Title:
LIGHT SOURCE DEVICE, OBSERVATION DEVICE, AND PROCESSING DEVICE.
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105312
Kind Code:
A1
Abstract:
A light source device (1) includes a laser light source (10) and an optical phase modulation element (15). The optical phase modulation element (15) inputs a coherent light which has been outputted from the laser light source (10) and has passed through a beam splitter (14) and phase-modulates the light in accordance with the position of the light on the light beam cross section so as to output the phase-modulated light to the beam splitter (14). When (p+1) areas are defined by p circles around a predetermined position on the beam cross section of the light inputted to the optical phase modulation element (14), the radial-direction width of each of the (p+1) areas becomes wider in the outer areas, the phase modulation amount in each of the (p+1) areas is constant, and phase modulation amounts are different between two adjacent areas among the (p+1) areas by π.

Inventors:
ANDO TARO (JP)
OHTAKE YOSHIYUKI (JP)
MATSUMOTO NAOYA (JP)
INOUE TAKASHI (JP)
TOYODA HARUYOSHI (JP)
FUKUCHI NORIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052971
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HAMAMATSU PHOTONICS KK (JP)
ANDO TARO (JP)
OHTAKE YOSHIYUKI (JP)
MATSUMOTO NAOYA (JP)
INOUE TAKASHI (JP)
TOYODA HARUYOSHI (JP)
FUKUCHI NORIHIRO (JP)
International Classes:
H01S5/026; H01S3/10; H01S5/183
Foreign References:
JP2005144524A2005-06-09
JP2002098930A2002-04-05
JPH04123017A1992-04-23
JP2002359432A2002-12-13
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 コヒーレント光を出力する光源と、
 前記光源から出力された光を入力し、その光のビーム断面上の位置に応じて該光を位相変調して、その位相変調後の光を出力する光位相変調素子と、
 を備え、
 前記光位相変調素子に入力される光のビーム断面上において、所定位置を中心とするp個の円周によって区分される(p+1)個の領域を設定したときに、前記(p+1)個の領域それぞれの径方向の幅が外側の領域ほど広く、前記(p+1)個の領域それぞれにおいて位相変調量が一定であり、前記(p+1)個の領域のうち隣り合う2つの領域の間で位相変調量がπだけ異なる、光源装置(ただし、pは自然数)。
 コヒーレント光を出力する光源と、
 外部から入力される制御信号に基づいて各画素での位相変調量が設定され、前記光源から出力された光を入力し、その光のビーム断面上の位置に応じて該光を位相変調して、その位相変調後の光を出力する光位相変調素子と、
 を備え、
 前記光位相変調素子に入力される光のビーム断面上において、所定位置を中心とするp個の円周によって区分される(p+1)個の領域を設定したときに、前記(p+1)個の領域それぞれの径方向の幅が外側の領域ほど広く、前記(p+1)個の領域それぞれにおいて位相変調量が一定であり、前記(p+1)個の領域のうち隣り合う2つの領域の間で位相変調量がπだけ異なる、光源装置(ただし、pは自然数)。
 被観察物を観察する装置であって、請求項2記載の光源装置と、前記光源装置から出力される光を前記被観察物中の観察点に集光照射する照射光学系と、前記被観察物中における観察点を走査する走査部と、前記照射光学系による観察点への光の集光照射に伴い生じる光を検出する検出光学系と、を備える、観察装置。
 被加工物を加工する装置であって、請求項2記載の光源装置と、前記光源装置から出力される光を前記被加工物中の加工点に集光照射する照射光学系と、前記被加工物中における加工点を走査する走査部と、を備える、加工装置。
 レーザ発振させるための共振器を有しレーザ光を出射面から出力する面発光レーザ素子と、
 前記面発光レーザ素子の出射面または共振器内に設けられ、入力する光のビーム断面上の位置に応じて該光を位相変調して、その位相変調後の光を出力する光位相変調部と、
 を備え、
 前記光位相変調部に入力される光のビーム断面上において、所定位置を中心とするp個の円周によって区分される(p+1)個の領域を設定したときに、前記(p+1)個の領域それぞれの径方向の幅が外側の領域ほど広く、前記(p+1)個の領域それぞれにおいて位相変調量が一定であり、前記(p+1)個の領域のうち隣り合う2つの領域の間で位相変調量がπだけ異なる、光源装置(ただし、pは自然数)。
 前記面発光レーザ素子の出射面が加工されて前記光位相変調部が形成されている、請求項5記載の光源装置。
 別途に形成された前記光位相変調部が前記面発光レーザ素子の出射面に固定されている、請求項5記載の光源装置。
Description:
光源装置、観察装置および加工 置

 本発明は、光のビーム断面上において所 の位相分布を有する光を発生する光源装置 ならびに、これを用いた観察装置および加 装置に関するものである。

 被観察物を観察する場合や被加工物を加 する場合に、レーザ光源等の光源から出力 れる光は、レンズ等を含む照射光学系を経 被観察物または被加工物に集光照射される このように光を集光する場合、その集光径 大きさの目安であるビームウエスト径は、 の波長の半分程度までしか小さくすること できないことが知られている。これは回折 界と呼ばれる。ただし、この回折限界は、 ウシアンモード(あるいは基本モード)の光 ついてのことである。一方、回折限界より 細な空間構造を持つ高次モード光の存在が られている。

 このような性質をもつ光ビームとしてベ セル(Bessel)ビームやラゲール・ガウス・モ ド(Laguerre-Gaussian Mode)光(以下「LGモード光」 いう。)および偏波モード光が知られている 。このような光ビームを用いれば、実効的に 回折限界以下の微小領域に光のエネルギーを 集中させることが可能となる。この原理にも とづき、これまでに、ベッセルビームを用い た回折限界以下の解像度を持つピックアップ 装置や微細加工技術および顕微鏡などの発明 が提案されている。

 また、LGモード光を出力する光源装置につ ては、例えば非特許文献1~6に記載されてい 。これらの文献に記載された光源装置は、 ビーム断面において円周方向に沿って位相 変化するLGモード光を発生するものである。 このようなLGモード光は、光ピンセット、量 計算および量子通信などへの応用が期待さ 、目下、光学・物理の分野で注目されてい 。
J. Arlt, et al., Journal of Modern Optics, Vol .45, No.6, pp.1231-1237 (1998). D. G. Grier, Nature, Vol.424, pp.810-816 (2003). M. W. Beijersbergen, et al., Optics communicatio ns, Vol.112, pp.321-327 (1994). K. Sueda, et al., Optics Express, Vol.12, No.15 , pp.3548-3553 (2004). N. R. Heckenberg, et al., Optics Letters, Vol.1 7, No.3, pp.221-223 (1992). N. R. Heckenberg, et al., Optical and Quantum  Electronics, Vol.24, No.24, pp.155-166 (1992). K. S. Youngworth and T. G. Brown, Optics Expre ss, Vol.7, No.2, pp.77-87 (2000). R. Oron, et al., Applied Physics Letters, Vol.7 7, No.21, pp.3322-3324 (2000).

 従来、集光時の中央スポット径が回折限 以下となるような光ビームはいくつか知ら ているが、いずれも生成に複雑な光学系が 要、あるいは生成されるビームが低品位で るという問題があった。特に、ベッセルビ ムは、LGモード光と最も類似した性質をも 光ビームであるが、現在知られている生成 法では近似的なベッセルビームを生成する としかできない。さらに近似ベッセルビー の生成ですら、従来手法には光学技術的な 難が含まれている。すなわち、近似ベッセ ビームの生成には、高精度な素子を得るこ が困難でかつ使用にあたっても光軸調整が しい、アキシコンが必要であり、上記の目 に充分な品位の近似ベッセルビームを生成 るためには、多大な技術的負担が要求され 。

 本発明は、ベッセルビームと同程度の超 像特性を有し集光特性や生成の容易さ等の 長を有する光を出力することができる光源 置を提供することを目的とする。また、本 明は、このような光源装置を用いて高解像 で被観察物を観察することができる観察装 、および、このような光源装置を用いて高 像度で被加工物を加工することができる加 装置を提供することをも目的とする。

 本発明に係る光源装置は、(1) コヒーレ ト光を出力する光源と、(2) 光源から出力さ れた光を入力し、その光のビーム断面上の位 置に応じて該光を位相変調して、その位相変 調後の光を出力する光位相変調素子と、を備 える。さらに、本発明に係る光源装置では、 光位相変調素子に入力される光のビーム断面 上において、所定位置を中心とするp個の円 によって区分される(p+1)個の領域を設定した ときに、(p+1)個の領域それぞれの径方向の幅 外側の領域ほど広く、(p+1)個の領域それぞ において位相変調量が一定であり、(p+1)個の 領域のうち隣り合う2つの領域の間で位相変 量がπだけ異なる。ただし、pは自然数であ 。

 また、本発明に係る光源装置は、(1) コ ーレント光を出力する光源と、(2) 外部から 入力される制御信号に基づいて各画素での位 相変調量が設定され、光源から出力された光 を入力し、その光のビーム断面上の位置に応 じて該光を位相変調して、その位相変調後の 光を出力する光位相変調素子と、を備える。 さらに、本発明に係る光源装置では、光位相 変調素子に入力される光のビーム断面上にお いて、所定位置を中心とするp個の円周によ て区分される(p+1)個の領域を設定したときに 、(p+1)個の領域それぞれの径方向の幅が外側 領域ほど広く、(p+1)個の領域それぞれにお て位相変調量が一定であり、(p+1)個の領域の うち隣り合う2つの領域の間で位相変調量がπ だけ異なる。ただし、pは自然数である。

 なお、nを整数としたときに任意の位相α 位相(α+2nπ)とは互いに等価であり、また、 相調整量の分布はオフセット値を無視して 対値のみを問題とすればよい。これらのこ を考慮して、光位相変調素子における位相 調量は、位相αから位相(α+2π)までの範囲に 制限することが可能であり、また、αを値0と してもよい。

 本発明に係る観察装置は、被観察物を観 する装置であって、上記の本発明に係る光 装置と、光源装置から出力される光を被観 物中の観察点に集光照射する照射光学系と 被観察物中における観察点を走査する走査 と、照射光学系による観察点への光の集光 射に伴い生じる光を検出する検出光学系と を備える。

 本発明に係る加工装置は、被加工物を加 する装置であって、上記の本発明に係る光 装置と、光源装置から出力される光を被加 物中の加工点に集光照射する照射光学系と 被加工物中における加工点を走査する走査 と、を備える。

 また、本発明に係る光源装置は、(1) レ ザ発振させるための共振器を有しレーザ光 出射面から出力する面発光レーザ素子と、(2 ) 面発光レーザ素子の出射面または共振器内 に設けられ、入力する光のビーム断面上の位 置に応じて該光を位相変調して、その位相変 調後の光を出力する光位相変調部と、を備え る。さらに、本発明に係る光源装置では、光 位相変調部に入力される光のビーム断面上に おいて、所定位置を中心とするp個の円周に って区分される(p+1)個の領域を設定したとき に、(p+1)個の領域それぞれの径方向の幅が外 の領域ほど広く、(p+1)個の領域それぞれに いて位相変調量が一定であり、(p+1)個の領域 のうち隣り合う2つの領域の間で位相変調量 πだけ異なる。ただし、pは自然数である。

 上記光源装置では、面発光レーザ素子の 射面が加工されて光位相変調部が形成され いるのが好適であり、別途に形成された光 相変調部が面発光レーザ素子の出射面に固 されているのも好適である。

 本発明に係る光源装置は、ベッセルビー と同程度の超解像特性を有し集光特性や生 の容易さ等の特長を有する光を出力するこ ができる。また、この光源装置を用いるこ により、高解像度で被観察物を観察するこ ができ、また、高解像度で被加工物を加工 ることができる。

第1実施形態に係る光源装置1の構成図 ある。 空間光変調素子15における位相変調に いて説明する図である。 光位相変調素子15における位相変調量 分布の例を示す図である。 光位相変調素子15における入射光およ 反射光それぞれのビーム断面における強度 布を示す図である。 第2実施形態に係る光源装置2の構成図 ある。 本実施形態に係る観察装置3の構成図で ある。 本実施形態に係る加工装置4の構成図で ある。 第3実施形態に係る光源装置101の断面図 である。 第3実施形態に係る光源装置101の斜視図 である。 透過型の光位相変調部120の断面図であ る。 透過型の光位相変調部120の斜視図であ る。 透過型の光位相変調部120の平面図であ る。 第3実施形態の変形例に係る光源装置 断面図である。 第4実施形態に係る光源装置102の断面 である。 第4実施形態の変形例に係る光源装置 断面図である。 第5実施形態に係る光源装置103の断面 である。 第5実施形態の変形例に係る光源装置 断面図である。 反射型の光位相変調部170の断面図であ る。 反射型の光位相変調部180の断面図であ る。 本実施例の光源装置の断面図である。

符号の説明

 1,2…光源装置、3…観察装置、4…加工装 、8…被観察物、9…被加工物、10…レーザ光 、11,12…凸レンズ、13…アパーチャ、14…ビ ムスプリッタ、15…光位相変調素子、16…ミ ラー、17,18…凸レンズ、19…CCDカメラ、20…光 位相変調素子、21…ミラー、30…ミラー、31… ビームスプリッタ、32…対物レンズ、33…フ ルタ、34…光検出器、35…制御部、36…表示 、37…移動ステージ、101~103…光源装置、110 面発光レーザ素子、111…基板、112…DBR層、11 3…クラッド層、114…コア層、115…活性層、11 6…コア層、117…クラッド層、118…DBR層、120 光位相変調部、121…第1媒質、122…第2媒質、 130…面発光レーザ素子、131…基板、132…DBR層 、133…クラッド層、134…コア層、135…活性層 、136…コア層、137…クラッド層、138…DBR層、 140…光位相変調部、141…第1媒質、142…第2媒 、150…面発光レーザ素子、151…基板、152…D BR層、153…クラッド層、154…コア層、155…活 層、156…コア層、157…クラッド層、158…DBR 、160…光位相変調部、161…第1媒質、162…第 2媒質、170…反射型光位相変調部、171…第1媒 、172…第2媒質、180…反射型光位相変調部、 181…第1媒質、182…第2媒質、191…p電極、192… n電極。

 以下、添付図面を参照して、本発明を実 するための最良の形態を詳細に説明する。 お、図面の説明において同一の要素には同 の符号を付し、重複する説明を省略する。

 先ず、本発明に係る光源装置の第1実施形 態について説明する。図1は、本実施形態に る光源装置1の構成図である。この図に示さ る光源装置1は、レーザ光源10、凸レンズ11 凸レンズ12、アパーチャ13、ビームスプリッ 14、反射型の光位相変調素子15、ミラー16、 レンズ17および凸レンズ18を備える。また、 この図には、凸レンズ18から出力される光の ーム断面における強度分布を観察するため CCDカメラ19も示されている。

 レーザ光源10は、コヒーレントなレーザ を出力するものであり、例えばHe-Neレーザ光 源等である。レンズ11およびレンズ12は、ビ ムエクスパンダとして作用するものであっ 、レーザ光源10から出力された光を入力し、 その光のビーム径を拡大して、該光を平行光 として出力する。アパーチャ13は、円形の開 を有し、レンズ11およびレンズ12から出力さ れた光を入力して、その光のビーム断面のう ち開口を通過する部分を出力する。ビームス プリッタ14は、アパーチャ13から到達した光 一部を透過させて光位相変調素子15へ出力す るとともに、光位相変調素子15から到達した の一部を反射させてミラー16へ出力する。

 光位相変調素子15は、レーザ光源10から出 力されてビームスプリッタ14を経た光を入力 、その光のビーム断面上の位置に応じて該 を位相変調して、その位相変調後の光をビ ムスプリッタ14へ反射させる。光位相変調 子15は、例えば、外部から入力される制御信 号に基づいて反射の際の各画素の位相変調量 が設定される素子(SLM: Spatial Light Modulator)で ある。光位相変調素子15としてSLMが用いられ 場合、位相変調量の空間的分布を電気的に き込むことが可能であり、必要に応じて様 な位相変調分布を与えることができる。

 ミラー16は、ビームスプリッタ14から到達 した光を反射させて、その反射された光をレ ンズ17へ出力する。レンズ17およびレンズ18は 、ミラー16により反射された光を入力し、そ 光のビーム径を調整して、該光を平行光と て出力する。CCDカメラ19は、レンズ17および レンズ18から出力された光を入力して、その のビーム断面における光強度分布を検出す 。

 この光源装置1では、レーザ光源10から出 されたコヒーレントなレーザ光は、凸レン 11および凸レンズ12によりビーム径が拡大さ れた後、そのビーム断面の一部分がアパーチ ャ13の円形の開口を通過して、ビーム断面が 形とされ、さらにビームスプリッタ14を透 して光位相変調素子15に入力される。光位相 変調素子15に入力された光は、この光位相変 素子15によりビーム断面上の位置に応じて 相変調を受けて反射される。光位相変調素 15により位相変調を受けて反射された光は、 ビームスプリッタ14により反射され、さらに ラー16により反射され、凸レンズ17および凸 レンズ18によりビーム径が調整されて、CCDカ ラ19の受光面に入射して、このCCDカメラ19に より光ビーム断面における光強度分布が検出 される。

 光位相変調素子15において反射光に与えら る位相変調量について更に詳細に説明する 以下のとおりである。図2に示されるように 光位相変調素子15に入力される光のビーム 面上において、所定位置を中心とするp個の 径r 1 ~r p の各円周によって区分される(p+1)個の領域A 0 ~A p を設定する。内側から順に領域A 0 ,A 1 ,A 2 ,…,A p とする。領域A 0 は、半径r 1 の円周の内側の領域である。領域A i は、半径r i の円周と半径r i+1 の円周との間の領域である(i=1,2,3,…,p-1)。領 A p は、半径r p の円周の外側であって光ビーム(ウェスト半 w)内の領域である。

 このとき、(p+1)個の領域A 0 ~A p それぞれの径方向の幅は、外側の領域ほど広 い。すなわち、半径r 1 ~r p の間に以下の関係式が成り立つ。なお、最も 内側にある領域A 0 については、半径r 1 を径方向の幅とする。

 さらに、(p+1)個の領域A 0 ~A p それぞれにおいて位相変調量は一定であり、 (p+1)個の領域A 0 ~A p のうち隣り合う2つの領域の間で位相変調量 πだけ異なる。すなわち、偶数番目の領域A 0 ,A 2 ,A 4 ,…それぞれの領域内における位相変調量φ 0 は一定である。また、奇数番目の領域A 1 ,A 3 ,A 5 ,…それぞれの領域内における位相変調量φ 1 は一定である。そして、これら位相変調量φ 0 と位相変調量φ 1 とは互いにπだけ異なる。

 動径方向rについて設定されるべきp個の半 r 1 ~r p の円周で表される位相不連続線は以下のよう に設定される。位相不連続線は、光強度が0 なる部分(「節」)に存在する。LGモードの場 、光強度分布の節はSonine多項式の零点から めることができる。つまり、下記(2)式で定 されるSonine多項式S p q (z)が値0となる変数zの値を求める。なお、pは 、動径指数と呼ばれ、自然数である。また、 qは、偏角指数と呼ばれ、0以外の整数である

 特に、本実施形態では偏角指数qは値0とさ る。このとき、上記(2)式は、下記(3)式で表 れるLaguerre多項式となる。Laguerre多項式は、p 次の多項式であり、p個の異なる正の実数根a 1 ~a p を持つ。これらの根a i と光ビームウェスト半径wとを用いれば、位 不連続線の半径r i は、下記(4)式で表される(i=1,2,3,…,p)。

 このような位相変調φ(r)を光位相変調素子15 により受けて反射された光は、動径指数がp 偏角指数が0であるLGモード光となる。このLG モード光は、偏角変数θを固定したとき、位 不連続線を境界線として接する二つの領域 属する点における位相値がπの差を持つ。 た、(p+1)個の領域A 0 ~A p それぞれの径方向の幅は、外側の領域ほど広 い。

 図3は、光位相変調素子15における位相変 量の分布の例を示す図である。同図(a)は、 径指数pを5とした場合の位相変調量の分布 示す。また、同図(b)は、動径指数pを10とし 場合の位相変調量の分布を示す。この図に いて、位相不連続線は上記の(3)式および(4) から得られたものであり、黒色の各領域で 位相変調量が0であり、灰色の各領域では位 変調量がπである。各領域の径方向の幅は 外側の領域ほど広い。

 図4は、光位相変調素子15における入射光お び反射光それぞれのビーム断面における強 分布を示す図である。同図(a)は入射光の強 分布を示し、同図(b)は反射光の強度分布を す。ここでは、動径指数pを13とした。すな ち、同図(b)は、13次の動径指数を有するLGモ ード光の強度分布を示す。なお、同図(b)では 、光ビームの断面構造を観測し易くするため 、階調の補正を行っている。したがって、入 射光の強度分布(同図(a))と比較して、LGモー 光である反射光の強度分布(同図(b))では、中 央スポット(最も内側にある領域A 0 )が入射光と同程度の大きさに見えているが 実際には非常に小さいスポットとなってい 。

 このような高次動径指数を有するLGモード をレンズにより集光させた場合、ビームウ スト径を波長の半分程度よりも小さくする とは不可能である(回折限界)。しかし、LGモ ド光の内部構造は保存されるので、集光点 において高次動径指数LGモード光の中央ス ット(領域A 0 )は回折限界以下の大きさを有することにな 。

 なお、中央スポット(領域A 0 )の周囲に存在するリング(サイドローブ、す わち、領域A 1 ,A 2 ,A 3 ,…)は、ベッセルビームと同様の挙動を示し ベッセルビームに関して確立されている技 を用いることにより、それらの影響を低減 せることも可能である。高次動径指数LGモ ド光に特有の性質としては、動径指数pを大 くするほど、中央スポット(領域A 0 )の大きさを小さくすることが可能である点 挙げられる。

 また、サイドローブ(領域A 1 ,A 2 ,A 3 ,…)の広がりは、ベッセルビームでは理論的 無限であるのに対し、高次動径指数LGモー 光では有限である。このことから、光学系 径をサイドローブ全体が完全に含まれるよ に設定しておくことにより、より理想的な 件のもとで高次動径指数LGモード光の特性を 利用することができる。

 次に、本発明に係る光源装置の第2実施形 態について説明する。図5は、第2実施形態に る光源装置2の構成図である。この図に示さ れる光源装置2は、レーザ光源10、凸レンズ11 凸レンズ12、アパーチャ13、透過型の光位相 変調素子20、ミラー21、ミラー16、凸レンズ17 よび凸レンズ18を備える。また、この図に 、凸レンズ18から出力される光のビーム断面 における強度分布を観察するためのCCDカメラ 19も示されている。図1に示された光源装置1 構成と比較すると、この図5に示される光源 置2は、ビームスプリッタ14および反射型の 位相変調素子15に替えて、透過型の光位相 調素子20およびミラー21を備える点で相違す 。

 光位相変調素子20は、レーザ光源10から出 力されてアパーチャ13の開口を通過した光を 力し、その光のビーム断面上の位置に応じ 該光を位相変調して、その位相変調後の光 ミラー21へ透過させる。光位相変調素子20は 、外部から入力される制御信号に基づいて透 過の際の各画素の位相変調量が設定される素 子(SLM)である。光位相変調素子20としてSLMが いられる場合、位相変調量の空間的分布を 気的に書き込むことが可能であり、必要に じて様々な位相変調分布を与えることがで る。ミラー21は、光位相変調素子20から透過 れて出力された光を反射させて、その反射 た光をミラー16へ出力する。

 この光源装置2では、レーザ光源10から出 されたコヒーレントなレーザ光は、凸レン 11および凸レンズ12によりビーム径が拡大さ れた後、そのビーム断面の一部分がアパーチ ャ13の円形の開口を通過して、ビーム断面が 形とされ、光位相変調素子20に入力される 光位相変調素子20に入力された光は、この光 位相変調素子20によりビーム断面上の位置に じて位相変調を受けて透過される。光位相 調素子20により位相変調を受けて透過され 光は、ミラー21およびミラー16により反射さ 、凸レンズ17および凸レンズ18によりビーム 径が調整されて、CCDカメラ19の受光面に入射 て、このCCDカメラ19により光ビーム断面に ける光強度分布が検出される。

 透過型の光位相変調素子20において透過光 与えられる位相変調量は、反射型の光位相 調素子15において反射光に与えられる位相変 調量と同様である。すなわち、光位相変調素 子20に入力される光のビーム断面上において 所定位置を中心とするp個の半径r 1 ~r p の各円周によって区分される(p+1)個の領域A 0 ~A p を設定する。内側から順に領域A 0 ,A 1 ,A 2 ,…,A p とする。このとき、(p+1)個の領域A 0 ~A p それぞれの径方向の幅は、外側の領域ほど広 い。すなわち、半径r 1 ~r p の間に上記(1)式が成り立つ。さらに、(p+1)個 領域A 0 ~A p それぞれにおいて位相変調量は一定であり、 (p+1)個の領域A 0 ~A p のうち隣り合う2つの領域の間で位相変調量 πだけ異なる。そして、動径方向rについて 定されるべきp個の半径r 1 ~r p の円周で表される位相不連続線は、上記の(3) 式および(4)式で得られる。

 このように構成される光源装置2においても 、図3に示されたような光位相変調素子20にお ける位相変調量の分布が可能であり、また、 図4に示されたような光位相変調素子20におけ る入射光および反射光それぞれのビーム断面 における強度分布が可能である。そして、光 源装置2においても、集光点上において高次 径指数LGモード光の中央スポット(領域A 0 )は回折限界以下の大きさを有することがで る。

 次に、本発明に係る観察装置の実施形態 ついて説明する。図6は、本実施形態に係る 観察装置3の構成図である。この図に示され 観察装置3は、被観察物8を観察する装置であ って、図1に示された構成のうちCCDカメラ19を 除いた光源装置1の構成に加えて、走査型顕 鏡を構成する構成要素として、ミラー30、ビ ームスプリッタ31、対物レンズ32、フィルタ33 、光検出器34、制御部35、表示部36および移動 ステージ37を更に備えている。

 ミラー30は、レンズ18から出力された光を 反射して、その反射した光をビームスプリッ タ31へ出力する。ビームスプリッタ31は、ミ ー30から到達した光を入力して該光を対物レ ンズ32へ透過させるとともに、対物レンズ32 ら到達した光を入力して該光をフィルタ33へ 反射させる。対物レンズ32は、ビームスプリ タ31から到達した光を入力して該光を被観 物8の観察点へ集光照射する。すなわち、ミ ー30からビームスプリッタ31を経て対物レン ズ32に到るまでの光学系は、光源装置1から出 力される光を被観察物8中の観察点に集光照 する照射光学系を構成している。

 また、対物レンズ32は、該観察点への光 集光照射に伴い生じる光を入力して該光を ームスプリッタ31へ出力する。フィルタ33は ビームスプリッタ31から到達した光を入力 て該光のうち特定波長域の光を選択的に光 出器34へ透過させる。光検出器34は、フィル 33から到達した光を受光して該光の強度を 出し、その検出した受光強度に応じた値の 気信号を制御部35へ出力する。光検出器34は 高感度の光検出が可能な光電子増倍管であ のが好適である。すなわち、対物レンズ32 らビームスプリッタ31およびフィルタ33を経 光検出器34に到るまでの光学系は、照射光 系による観察点への光の集光照射に伴い生 る光を検出する検出光学系を構成している

 制御部35は、被観察物8を載置する移動ス ージ37を移動させて、被観察物8中の観察点 位置を変更する。すなわち、制御部35およ 移動ステージ37は、被観察物8中における観 点を走査する走査部を構成している。

 また、制御部35は、空間光変調素子15にお ける光反射の際の各画素の位相変調量を設定 するための制御信号を空間光変調素子15に与 ることで、光源装置1から出力される光のビ ーム断面における光強度分布を上述の如く設 定する。さらに、制御部35は、光検出器34か 出力された電気信号を入力し、この電気信 の値と被観察物8中における観察点の位置情 とから被観察物8の2次元観察像を作成し、 の像を表示部36により表示させる。

 この観察装置3では、光源装置1における レンズ17および凸レンズ18によりビーム径が 整されて出力された光は、そのビーム断面 において、所定位置を中心とするp個の円周 によって区分される(p+1)個の領域を設定した きに、(p+1)個の領域それぞれの径方向の幅 外側の領域ほど広く、(p+1)個の領域それぞれ において位相変調量が一定であり、(p+1)個の 域のうち隣り合う2つの領域の間で位相変調 量がπだけ異なるものとなっている。

 そして、凸レンズ18から出力された光は ミラー30により反射され、ビームスプリッタ 31を透過して、対物レンズ32により被観察物8 の観察点に集光照射される。この集光照射 伴い観察点で発生する光(散乱光や蛍光など )は、対物レンズ32を経て、ビームスプリッタ 31により反射され、フィルタ33を透過して、 検出器34により受光される。その受光強度は 電気信号として光検出器34から出力される。

 また、対物レンズ32から被観察物8への光 集光照射の位置(観察点)は、制御部35および 移動ステージ37により走査される。この走査 より、被観察物8における各位置で発生した 光が光検出器34により受光される。そして、 御部35により、光検出器34から出力された電 気信号の値と、被観察物8中における観察点 位置情報とから、被観察物8の2次元観察像が 作成される。その像は表示部36により表示さ る。

 上述したように、光源装置1から出力される 高次動径指数を有するLGモード光を対物レン 32により集光させた場合、全体のビーム径 波長の半分程度よりも小さくすることは不 能であるが、LGモード光の内部構造は保存さ れる。したがって、観察装置3において、対 レンズ32による集光点(観察点)の大きさ、す わち、LGモード光の中央スポット(領域A 0 )は、回折限界以下の大きさを有することに る。このことから、移動ステージ37による被 観察物8の走査ステップを、被観察物8への照 時のLGモード光の中央スポット(領域A 0 )の大きさより小さくすることで、極めて高 解像度で被観察物8を観察することができる なお、移動ステージ37の駆動には、ピエゾ クチュエータ等を用いて行うのが望ましい

 なお、これまでに説明してきた観察装置3 は、走査型レーザ顕微鏡の構成を有していて 、観察点からの後方散乱光を対物レンズ32に り集光し、フィルタ33を経由して光検出器34 により光検出するものである。このように散 乱光を検出する場合、フィルタ33の透過波長 は、照射レーザ光の波長を含むように設定 れる。光ピックアップ装置や走査レーザ検 鏡等も同様の構成で実現することができる 被観察物8を走査するのではなく、光源装置 1側を走査してもよい。走査レーザ検眼鏡で 、光源装置1側を走査することが多い。走査 二光子顕微鏡も略同様の構成で実現するこ ができ、この場合、フィルタ33の透過波長 は、照射レーザ波長に対して1/2の波長成分 透過するように設定される。また、これま に説明してきた観察装置3は落射照明方式の のであったが、照射用の対物レンズと検出 の対物レンズとを被観察物を挟んで対向配 する構成とすることにより、透過照明方式 観察装置も実現することができる。光源装 1に替えて光源装置2が用いられてもよい。

 次に、本発明に係る加工装置の実施形態 ついて説明する。図7は、本実施形態に係る 加工装置4の構成図である。この図に示され 加工装置4は、被加工物9を加工する装置であ って、図1に示された構成のうちCCDカメラ19を 除いた光源装置1の構成に加えて、ミラー30、 対物レンズ32、制御部35および移動ステージ37 を更に備えている。

 ミラー30は、レンズ18から出力された光を 反射して、その反射した光を対物レンズ32へ 力する。対物レンズ32は、ミラー30から到達 した光を入力して該光を被加工物9の加工点 集光照射する。すなわち、ミラー30から対物 レンズ32に到るまでの光学系は、光源装置1か ら出力される光を被加工物9中の加工点に集 照射する照射光学系を構成している。

 制御部35は、被加工物9を載置する移動ス ージ37を移動させて、被加工物9中の加工点 位置を変更する。すなわち、制御部35およ 移動ステージ37は、被加工物9中における加 点を走査する走査部を構成している。また 制御部35は、空間光変調素子15における光反 の際の各画素の位相変調量を設定するため 制御信号を空間光変調素子15に与えること 、光源装置1から出力される光のビーム断面 おける光強度分布を上述の如く設定する。

 この加工装置9では、光源装置1における レンズ17および凸レンズ18によりビーム径が 整されて出力された光は、そのビーム断面 において、所定位置を中心とするp個の円周 によって区分される(p+1)個の領域を設定した きに、(p+1)個の領域それぞれの径方向の幅 外側の領域ほど広く、(p+1)個の領域それぞれ において位相変調量が一定であり、(p+1)個の 域のうち隣り合う2つの領域の間で位相変調 量がπだけ異なるものとなっている。そして 凸レンズ18から出力された光は、ミラー30に より反射され、対物レンズ32により被加工物9 中の加工点に集光照射される。また、対物レ ンズ32から被加工物9への光の集光照射の位置 (加工点)は、制御部35および移動ステージ37に より走査される。

 上述したように、光源装置1から出力される 高次動径指数を有するLGモード光を対物レン 32により集光させた場合、全体のビーム径 波長の半分程度よりも小さくすることは不 能であるが、LGモード光の内部構造は保存さ れる。したがって、加工装置9において、対 レンズ32による集光点(加工点)の大きさ、す わち、LGモード光の中央スポット(領域A 0 )は、回折限界以下の大きさを有することに る。このことから、移動ステージ37による被 加工物9の走査ステップを、被加工物9への照 時のLGモード光の中央スポット(領域A 0 )の大きさより小さくすることで、極めて高 解像度で被加工物9を加工(変性、破壊、等) ることができる。なお、移動ステージ37の駆 動には、ピエゾアクチュエータ等を用いて行 うのが望ましい。

 なお、被加工物9の加工点に集光照射され る光は、連続光およびパルス光の何れであっ てもよいが、その加工点を加工し得るだけの 充分な強度を有していることが必要である。 光源装置1に替えて光源装置2が用いられても い。

 本発明に係る光源装置は、一般的であり 上述した観察装置や加工装置の他にも多く 応用を持つ。例えば、従来から知られてい ようなベッセルビームにより実現できる超 像効果は、本発明により置換することが可 である。

 続いて、本発明に係る光源装置の第3実施 形態について説明する。図8は、第3実施形態 係る光源装置101の断面図である。図9は、第 3実施形態に係る光源装置101の斜視図である この図に示される光源装置101は、面発光レ ザ素子110および透過型の光位相変調部120を える。面発光レーザ素子110は、コヒーレン 光を出力する光源の一例である。光位相変 部120は、光位相変調素子の一例である。

 面発光レーザ素子110は、基板111上に順にD BR層112、クラッド層113、コア層114、活性層115 コア層116、クラッド層117およびDBR層118が形 されたものであり、レーザ発振させるため 共振器がDBR層112およびDBR層118により構成さ ている。基板111側にあるDBR層112は発振波長 おいて高反射率とされ、他方のDBR層118は発 波長において低反射率とされている。

 この面発光レーザ素子110では、駆動電流 供給されると活性層115で光が放出され、そ 光がDBR層112とDBR層118との間を往復すること より活性層115で誘導放出が生じて、レーザ 振する。そして、共振器において発振した の一部は、DBR層118を透過して、上部の出射 からレーザ光として出力される。

 光位相変調部120は、面発光レーザ素子110 出射面上に設けられ、入力する光のビーム 面上の位置に応じて該光を位相変調して透 させ、その位相変調後の光を出力する。光 相変調部120は、一般に屈折率が異なる複数 類の媒質が積層された構造として実現され が、最も簡単な構成としては屈折率が異な 2種類の媒質が積層された構造として実現さ れる。

 図10は光位相変調部120の断面図であり、 11は光位相変調部120の斜視図であり、また、 図12は光位相変調部120の平面図である。光位 変調部120は、互い異なる屈折率を有する第1 媒質121および第2媒質122からなる。第1媒質121 上面および第2媒質122の下面は互いに平行で ある。第2媒質122の下面は面発光レーザ素子11 0の出射面に接している。第1媒質121および第2 媒質122は、例えば透明なガラスまたは半導体 等の材料からなり、図11および図12に示され ように、何れか一方が気体または真空であ てもよい。なお、図12においてハッチング領 域は、第2媒質122において凹部となっている 域である。

 光位相変調部120において、第1媒質121と第2 質122との境界は段差xの凹凸形状を有してい 、この境界における各凹部および各凸部は 複数の同心円で区分される円または円環の 状を有している。光位相変調部120における 差xおよび複数の同心円それぞれの半径r 1 ,r 2 ,r 3 ,…は、透過光に与えられるべき位相変調量 布から、以下のように決定される。また、 宜上「r 0 =0」と定義する。

 図10~図12に示されるように、光位相変調部12 0に入力される光のビーム断面上において、 定位置を中心とするp個の半径r 1 ~r p の各円周によって区分される(p+1)個の領域A 0 ~A p を設定する。内側から順に領域A 0 ,A 1 ,A 2 ,…,A p とする。領域A 0 は、半径r 1 の円周の内側の領域である。領域A i は、半径r i の円周と半径r i+1 の円周との間の領域である(i=1,2,3,…,p-1)。領 A p は、半径r p の円周の外側であって光ビーム(ウェスト半 w)内の領域である。

 このとき、(p+1)個の領域A 0 ~A p それぞれの径方向の幅は、外側の領域ほど広 い。すなわち、半径r 1 ~r p の間に上記(1)式の関係式が成り立つ。なお、 最も内側にある領域A 0 については、半径r 1 を径方向の幅とする。

 さらに、(p+1)個の領域A 0 ~A p それぞれにおいて位相変調量は一定であり、 (p+1)個の領域A 0 ~A p のうち隣り合う2つの領域の間で位相変調量 πだけ異なる。すなわち、偶数番目の領域A 0 ,A 2 ,A 4 ,…それぞれの領域内における位相変調量φ 0 は一定である。また、奇数番目の領域A 1 ,A 3 ,A 5 ,…それぞれの領域内における位相変調量φ 1 は一定である。そして、これら位相変調量φ 0 と位相変調量φ 1 とは互いにπだけ異なる。

 動径方向rについて設定されるべきp個の半 r 1 ~r p の円周で表される位相不連続線は以下のよう に設定される。位相不連続線は、光強度が0 なる部分(「節」)に存在する。LGモードの場 、光強度分布の節はSonine多項式の零点から めることができる。つまり、上記(2)式で定 されるSonine多項式S p q (z)が値0となる変数zの値を求める。なお、pは 、動径指数と呼ばれ、自然数である。また、 qは、偏角指数と呼ばれ、任意の整数である

 特に、本実施形態では偏角指数qは値0とさ る。このとき、上記(2)式は、上記(3)式で表 れるLaguerre多項式となる。Laguerre多項式は、p 次の多項式であり、p個の異なる正の実数根a 1 ~a p を持つ。これらの根a i と光ビームウェスト半径wとを用いれば、位 不連続線の半径r i は、上記(4)式で表される(i=1,2,3,…,p)。

 このような位相変調φ(r)を光位相変調部120 より受けて透過された光は、動径指数がpで 角指数が0であるLGモード光となる。このLG ード光は、位相分布面上に設定した極座標 における偏角θを固定したとき、位相不連続 線を境界線として接する二つの領域に属する 点における位相値がπの差を持つ。また、(p+1 )個の領域A 0 ~A p それぞれの径方向の幅は、外側の領域ほど広 い。

 偶数番目の領域A 0 ,A 2 ,A 4 ,… それぞれの領域内における位相変調量φ 0 と、奇数番目の領域A 1 ,A 3 ,A 5 ,…それぞれの領域内における位相変調量φ 1 とを、互いに一定値δφだけ異ならせる為に 光位相変調部120における第1媒質121と第2媒質 122との境界での凹凸形状の段差xは、下記(5) で表される値に設定される。ここで、n 1 は第1媒質121の屈折率であり、n 2 は第2媒質122の屈折率であり、λは真空中での 光の波長である。なお、本実施形態では、「 δφ=π」として、段差xが決定される。

 以上のように構成される光源装置101から出 される光は、動径指数pで偏角指数0のLGモー ド光となる。このような高次動径指数を有す るLGモード光をレンズにより集光させた場合 全体のビーム径を波長の半分程度よりも小 くすることは不可能である(回折限界)。し し、LGモード光の内部構造は保存されるので 、集光点上において高次動径指数LGモード光 中央スポット(領域A 0 )は回折限界以下の大きさを有することにな 。

 なお、中央スポット(領域A 0 )の周囲に存在するリング(サイドローブ、す わち、領域A 1 ,A 2 ,A 3 ,…)は、ベッセルビームと同様の挙動を示し ベッセルビームに関して確立されている技 を用いることにより、それらの影響を低減 せることも可能である。高次動径指数LGモ ド光に特有の性質としては、動径指数pを大 くするほど、中央スポット(領域A 0 )の大きさを小さくすることが可能である点 挙げられる。

 また、サイドローブ(領域A 1 ,A 2 ,A 3 ,…)の広がりは、ベッセルビームでは理論的 無限であるのに対し、高次動径指数LGモー 光では有限である。このことから、光学系 径をサイドローブ全体が完全に含まれるよ に設定しておくことにより、より理想的な 件のもとで高次動径指数LGモード光の特性を 利用することができる。

 したがって、この光源装置101は、高解像 で被観察物を観察する観察装置や、高解像 で被加工物を加工する加工装置において、 適に用いられ得る。

 ところで、このような回折限界以下の集 径を実現できる光ビームを発生する光源装 は、高密度にデータを記録することができ 光ディスクに対してデータの書き込み又は み取りを行う光ピックアップ装置に応用す ことも考えられる。

 従来、回折限界以下の集光径を実現でき ビームとして、主に0次ベッセルビームが注 目されてきた。0次ベッセルビームは、アキ コンを用いて集光することにより発生され ことが知られており、その中央スポット径 回折限界以下となるものである。あわせて 光の焦点深度が非常に深いことが特徴で、 常のビームの焦点深度と比較して非常に広 範囲において、同一の光強度パターンを有 ている。ベッセルビームのこの特徴は無回 伝播ともよばれ、高アスペクト比加工など 用いられる場合には望ましい特性となるが 多層記録媒体を読み取るなどの場合には、 度方向の集光制御を難しくし、好ましくな 特性となる。

 さらに近年では、高NA集光時に回折限界以 の集光径を実現する光ビームとして、特殊 偏光状態に伴う光モードのひとつである動 方向偏波モード光(radially polarized mode: R-TEM *  モードとも表記)も注目されている(非特許 献7)。しかしながら、このような光ビームで は偏波方向がビーム内の位置に依存して変化 しており、光磁気効果を利用した記録媒質の 読み取りには適さない。何故なら、直線偏光 または楕円偏光の光源が望ましいからである 。さらに、このようなビームを生成するため の従来技術では、レーザ媒質中に複屈折媒質 を挿入するなどの構成が必要とされ、装置と して大型となることは避けられない(非特許 献8)。

 以上より、光ピックアップ装置への応用 考えたとき、集光による伝播特性および偏 特性の両面において、偏角指数0のLGモード は他の光ビームよりもより望ましい特性を つと言える。しかし、LGモード光を発生す 従来の光源装置はいずれも大型であること ら、小型化が要求される光ピックアップ装 に応用することは困難である。

 一方、第3実施形態に係る光源装置101は、 面発光レーザ素子110および光位相変調部120か ら構成されるので小型化可能であり、それ故 、高解像度および小型化が要求される光ピッ クアップ装置においても好適に用いられ得る 。

 なお、これまでに説明してきた第3実施形 態に係る光源装置101は、面発光レーザ素子110 および光位相変調部120を備えるものであって 、面発光レーザ素子110の出射面上に光位相変 調部120が設けられていた。ここで、面発光レ ーザ素子110の出射面が加工されて光位相変調 部120が形成されていてもよいし、或いは、図 13に示されるように別途に形成された光位相 調部120が面発光レーザ素子110の出射面に固 されていてもよい。後者の場合、光位相変 部120は例えば接着剤により面発光レーザ素 110の出射面に接着固定される。

 次に、本発明に係る光源装置の第4実施形 態について説明する。図14は、第4実施形態に 係る光源装置102の断面図である。この図に示 される光源装置102は、面発光レーザ素子130の 共振器の内部に光位相変調部140が設けられて いる。

 面発光レーザ素子130は、基板131上に順にD BR層132、クラッド層133、コア層134、活性層135 コア層136、クラッド層137およびDBR層138が形 されたものであり、レーザ発振させるため 共振器がDBR層132およびDBR層138により構成さ ている。基板131側にあるDBR層132は発振波長 おいて高反射率とされ、他方のDBR層138は発 波長において低反射率とされている。

 光位相変調部140は、面発光レーザ素子130 クラッド層137とDBR層138との間に設けられて る。この光位相変調部140は、面発光レーザ 子130の共振器内に設けられており、共振器 を伝播する光のビーム断面上の位置に応じ 該光を位相変調して透過させ、その位相変 後の光を出力する。光位相変調部140は、一 に屈折率が異なる複数種類の媒質が積層さ た構造として実現されるが、最も簡単な構 としては屈折率が異なる2種類の媒質が積層 された構造として実現される。

 第4実施形態における光位相変調部140は、 第3実施形態において図10~図12を用いて説明し た光位相変調部120と同様のものであるが、面 発光レーザ素子130の内部に形成されることか ら、面発光レーザ素子130の材料と同様の材料 である半導体からなるのが好ましい。

 この光源装置102では、駆動電流が供給さ ると活性層135で光が放出され、その光がDBR 132とDBR層138との間を往復することにより活 層135で誘導放出が生じて、レーザ発振する また、共振器において光が往復する間に光 相変調部140を透過する光は、その透過の際 ビーム断面上の位置に応じて位相変調を受 る。そして、共振器において発振した光の 部は、DBR層138を透過して、上部の出射面か レーザ光として出力される。

 光位相変調部140が上記(1)~(5)式の如く設定 されていることにより、光源装置102から出力 される光は、動径指数pで偏角指数0のLGモー 光となる。したがって、この光源装置102も 高解像度で被観察物を観察する観察装置や 高解像度で被加工物を加工する加工装置に いて、好適に用いられ得る。また、この光 装置102も、面発光レーザ素子130および光位 変調部140から構成されるので小型化可能で り、それ故、高解像度および小型化が要求 れる光ピックアップ装置においても好適に いられ得る。

 なお、これまでに説明してきた第4実施形 態に係る光源装置102は、面発光レーザ素子130 の共振器内に光位相変調部140を備えるもので あった。ここで、面発光レーザ素子130の製造 工程の途中に光位相変調部140が一体に形成さ れていてもよいし、或いは、図15に示される うに別途に形成された光位相変調部140およ DBR層138が面発光レーザ素子130(ただし、DBR層 138を除く。)に固定されていてもよい。後者 場合、光位相変調部140は例えば接着剤によ 面発光レーザ素子130のクラッド層137に接着 定される。

 次に、本発明に係る光源装置の第5実施形 態について説明する。図16は、第5実施形態に 係る光源装置103の断面図である。この図に示 される光源装置103は、面発光レーザ素子150の 共振器の内部に光位相変調部160が設けられて いる。

 面発光レーザ素子150は、基板151上に順にD BR層152、クラッド層153、コア層154、活性層155 コア層156、クラッド層157およびDBR層158が形 されたものであり、レーザ発振させるため 共振器がDBR層152およびDBR層158により構成さ ている。基板151側にあるDBR層152は発振波長 おいて高反射率とされ、他方のDBR層158は発 波長において低反射率とされている。

 光位相変調部160は、面発光レーザ素子150 DBR層152とクラッド層153との間に設けられて る。この光位相変調部160は、面発光レーザ 子150の共振器内に設けられており、共振器 を伝播する光のビーム断面上の位置に応じ 該光を位相変調して透過させ、その位相変 後の光を出力する。光位相変調部160は、一 に屈折率が異なる複数種類の媒質が積層さ た構造として実現されるが、最も簡単な構 としては屈折率が異なる2種類の媒質が積層 された構造として実現される。

 第5実施形態における光位相変調部160は、 第3実施形態において図10~図12を用いて説明し た光位相変調部120と同様のものであるが、面 発光レーザ素子150の内部に形成されることか ら、面発光レーザ素子150の材料と同様の材料 である半導体からなるのが好ましい。

 この光源装置103では、駆動電流が供給さ ると活性層155で光が放出され、その光がDBR 152とDBR層158との間を往復することにより活 層155で誘導放出が生じて、レーザ発振する また、共振器において光が往復する間に光 相変調部160を透過する光は、その透過の際 ビーム断面上の位置に応じて位相変調を受 る。そして、共振器において発振した光の 部は、DBR層158を透過して、上部の出射面か レーザ光として出力される。

 光位相変調部160が上記(1)~(5)式の如く設定 されていることにより、光源装置103から出力 される光は、動径指数pで偏角指数0のLGモー 光となる。したがって、この光源装置103も 高解像度で被観察物を観察する観察装置や 高解像度で被加工物を加工する加工装置に いて、好適に用いられ得る。また、この光 装置103も、面発光レーザ素子150および光位 変調部160から構成されるので小型化可能で り、それ故、高解像度および小型化が要求 れる光ピックアップ装置においても好適に いられ得る。

 なお、これまでに説明してきた第5実施形 態に係る光源装置103は、面発光レーザ素子150 の共振器内に光位相変調部160を備えるもので あった。ここで、面発光レーザ素子150の製造 工程の途中に光位相変調部160が一体に形成さ れていてもよいし、或いは、図17に示される うに別途に形成された光位相変調部160およ DBR層152が面発光レーザ素子150(ただし、DBR層 152を除く。)に固定されていてもよい。後者 場合、光位相変調部160は例えば接着剤によ 面発光レーザ素子150のクラッド層153または 板151に接着固定される。また、後者の場合 基板151を研削して薄肉化し又は基板151の一 に開口を設けてもよい。

 (変形例)

 本発明は、上記実施形態に限定されるも ではなく、種々の変形が可能である。例え 、光位相変調部は、上記実施形態では透過 に対して位相変調を与えるものであったが 反射光に対して位相変調を与えるものであ てもよい。このような反射型の光位相変調 は、面発光レーザ素子の共振器を構成するD BR層において用いられ得る。

 図18は、反射型の光位相変調部170の断面図 ある。光位相変調部170は、第1媒質171および 2媒質172からなり、第1媒質171と第2媒質172と 境界が反射面となっている。第1媒質171と第 2媒質172との境界は段差xの凹凸形状を有して て、この境界における各凹部および各凸部 、複数の同心円で区分される円または円環 形状を有している。光位相変調部170におけ 複数の同心円それぞれの半径r 1 ,r 2 ,r 3 ,…は、上記(1)~(4)式の如く設定されている。 1媒質171の側から入射した光が境界で反射す る場合を考えると、隣り合う領域の間で位相 変調量を互いに一定値δφだけ異ならせる為 、光位相変調部170における第1媒質171と第2媒 質172との境界での凹凸形状の段差xは、下記(6 )式で表される値に設定される。ここで、n 1 は第1媒質171の屈折率であり、n 2 は第2媒質172の屈折率であり、λは真空中での 光の波長である。なお、「δφ=π」として、 差xが決定される。

 図19は、反射型の光位相変調部180の断面図 ある。光位相変調部180は、第1媒質181および 2媒質182からなり、第2媒質182の下面が反射 となっている。第2媒質182の下面に反射コー ィングが施されているのが好ましい。第1媒 質181と第2媒質182との境界は段差xの凹凸形状 有していて、この境界における各凹部およ 各凸部は、複数の同心円で区分される円ま は円環の形状を有している。光位相変調部1 80における複数の同心円それぞれの半径r 1 ,r 2 ,r 3 ,…は、上記(1)~(4)式の如く設定されている。 1媒質181の側から入射した光が境界で反射す る場合を考えると、隣り合う領域の間で位相 変調量を互いに一定値δφだけ異ならせる為 、光位相変調部180における第1媒質181と第2媒 質182との境界での凹凸形状の段差xは、下記(7 )式で表される値に設定される。ここで、n 1 は第1媒質181の屈折率であり、n 2 は第2媒質182の屈折率であり、λは真空中での 光の波長である。なお、「δφ=π」として、 差xが決定される。

(実施例)
 次に、実施例の光源装置の構成について説 する。図20は、本実施例の光源装置の断面 である。本実施例の光源装置は、上記の第3 施形態の構成の変形例に相当するものであ 。本実施例の光源装置では、光位相変調部1 20の第1媒質121が空気とされ、光位相変調部120 の第2媒質122の上にp電極191が設けられ、基板1 11の裏面にn電極192が設けられている。また、 コア層114,116は設けられていない。

 基板111は、n + -GaAsからなる。DBR層112は、n - -GaAs(68nm厚)とn - -AlAs(82nm厚)とが交互に積層されたものであり 各々の層数が20である。クラッド層113は、n - -Al 0.45 Ga 0.55 As(71.5nm厚)からなる。活性層115は、In 0.2 Ga 0.8 As(8nm厚)からなる。クラッド層117は、p - -Al 0.45 Ga 0.55 As(71.5nm厚)からなる。DBR層118は、p - -GaAs(68nm厚)とp - -AlAs(82nm厚)とが交互に積層されたものであり 各々の層数が20である。第2媒質122は、p + -GaAs(400nm厚)からなる。

 p電極191は、Cr(50nm厚)/Au(150nm厚)の多層金属 層からなり、光位相変調部120の第2媒質122の 面に設けられ、特に、凹凸形状とされてい 第2媒質122の表面のうちでも最外領域にリン 状に設けられている。n電極192は、Au(100nm厚) /AuGe(150nm厚)/Ni(50nm厚)の多層金属層からなり、 基板111の裏面の略全体に設けられている。

 光位相変調部120の第2媒質122の表面は、段 差xの凹凸形状を有していて、この境界にお る各凹部および各凸部は、複数の同心円で 分される円または円環の形状を有している これら複数の同心円それぞれの半径および 差xは、前述したように決定される。光位相 調部120の第2媒質122の屈折率は3.5であり、段 差xは196nmとされる。

 DBR層112とDBR層118との間の間隔(すなわち、 共振器の共振器長)yは、この間の屈折率およ 発振波長に基づいて決定される。クラッド 113,117それぞれの屈折率は3.25であり、間隔y 151nmとされる。また、DBR層112およびDBR層118 れぞれにおいて、GaAs層およびAlAs層それぞれ の厚みは、ブラッグ反射波長が発振波長とな るように設定される。

 このように構成される本実施例の光源装 では、電極191と電極192との間に駆動電流が 給されると、活性層115で光が放出され、そ 光がDBR層112とDBR層118との間を往復すること より活性層115で誘導放出が生じてレーザ光 振する。そして、共振器において発振した の一部は、DBR層118を透過して、上部の出射 から波長890nmのレーザ光として出力される そのレーザ光は、光位相変調部120の第2媒質1 22により、ビーム断面上の位置に応じて位相 調を受けて、偏角指数0のLGモード光として 力される。