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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF SEPARATING AND DISTINGUISHING WALNUT FROM PECAN NUT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093753
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To newly develop a method whereby walnut can be conveniently, quickly and accurately separated and distinguished from pecan nut. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] With the recent increase in the patients with walnut allergy and an increase in pecan nut imports in Japan, it has been urgently required to develop a method of distinguished walnut from pecan nut. Paying attention to chloroplast matK gene having a clarified gene sequence, a PCR method for specifically detecting a nut belonging to the family Juglandaceae is developed. To distinguish walnut from pecan nut, furthermore, pecan nut matK sequence is clarified and thus a method of distinguished walnut from pecan nut with the use of a restriction enzyme is established.

Inventors:
YANO TAKEO (JP)
SAKAI YUMIKO (JP)
UCHIDA KOUJI (JP)
NAKAO YOSHIKI (JP)
ISHIHATA KIMIE (JP)
NAKANO SHIGERU (JP)
YAMADA TOSHIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051454
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ORIENTAL YEAST CO LTD (JP)
NISSIN FOOD PRODUCTS LTD (JP)
YANO TAKEO (JP)
SAKAI YUMIKO (JP)
UCHIDA KOUJI (JP)
NAKAO YOSHIKI (JP)
ISHIHATA KIMIE (JP)
NAKANO SHIGERU (JP)
YAMADA TOSHIHIRO (JP)
International Classes:
C12N15/00; C12N15/09; C12Q1/68
Foreign References:
JP2006333729A2006-12-14
JP2006333729A2006-12-14
Other References:
YANO T. ET AL.: "Detection of walnut residues in processed foods by polymerase chain reaction", BIOSCI. BIOTECHNOL. BIOCHEM., vol. 71, no. 7, July 2007 (2007-07-01), pages 1793 - 1796, XP008110954
STANFORD A.M. ET AL.: "Phylogeny and biogeography of Juglans (Juglandaceae) based on matK and ITS sequence data", AM. J. BOT., vol. 87, no. 6, June 2000 (2000-06-01), pages 872 - 882, XP008110905
BREZNA B. ET AL.: "A novel real-time PCR-based method for th detection of Listeria monocytogenes in food", LETT. APPL. MICROBIOL., vol. 45, no. 5, November 2007 (2007-11-01), pages 568 - 573, XP008110952
EUR. FOOD RES. TECHNOL., vol. 223, 2006, pages 373 - 377
J. FOOD CHEM., vol. 30, 2006, pages 215 - 233
MARCHUK, D. ET AL., NUCLEIC ACIDS RES., vol. 19, 1991, pages 1154
See also references of EP 2110433A4
Attorney, Agent or Firm:
MATSUMOTO, Hisamichi (Hogaku Building 503 19-14 Toranomon 1-chome, Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 クルミ科matK遺伝子において、配列表の配列番号1の塩基配列で15番目の塩基がアデニン(A)の場合はピーカンナッツと判定し、同じくシトシン(C)の場合はクルミと判定すること、を特徴とするクルミとピーカンナッツの分別検出方法。
 配列表の配列番号2、3の塩基配列で示されるDNAをそれぞれプライマーとして用い、試料のDNAを鋳型としてPCRを行い、増幅されたPCR産物について、請求項1に記載の判定を行うこと、を特徴とする同項記載の方法。
 クルミ科matK遺伝子又は請求項2のPCR産物を制限酵素BfaIで処理した後、電気泳動し、その電気泳動パターンの違いによりクルミとピーカンナッツを分別検出すること、を特徴とするクルミとピーカンナッツの分別検出方法。
Description:
クルミとピーカンナッツの分別 出方法

 本発明は、クルミとピーカンナッツの分 検出方法に関するものであり、更に詳細に 、遺伝子を利用して簡便且つ正確に両者を 別、検出できる新規にして有用な方法であ 。

 クルミ(walnut)とピーカンナッツ(pecannut:ペ ンナッツともいう)は、いずれも食用クルミ 科ナッツであって食用に供されるものである 。そして、クルミに関しては、日本において もクルミアレルゲンに対する患者数が増加し ていることから、日本商品標準分類(総務庁) の「クルミ」はアレルギー表示推奨品目に 定され、その検出方法の開発が急がれてい 。

 一方、ピーカンナッツは、同じ食用クル 科ナッツでありながら、日本商品標準分類 は、クルミには分類されていない。

日本商品標準分類
 クルミ: 穀果類→その他穀果類→くるみ
 ピーカンナッツ:穀果類→その他穀果類→他 に分類されない穀果類

 このように両者はその分類が相違してい ため、両者を分別することが必要となる。 た、アレルゲン性については、両者は共通 ているにもかかわらず、表示についてはク ミが推奨されているにすぎないが、アレル ーが発症したとき、アレルゲンがクルミな かピーカンナッツであるのか特定する必要 出てきた。

 そこで、最近開発されたELISAによるクル アレルゲン検出系を適用したものの、クル とピーカンナッツの両アレルゲンを検知し しまい、両者を分別、検出することはでき かった。このように、免疫化学的手法では クルミのみを特異的に検出することは非常 困難であることが示された。たしかに、ク ミアレルギー患者にとっては、食品中のク ミアレルゲンの検出方法としては、その方 は非常に有益である。しかし、日本では、 品表示の観点から、そしてまた、近年のピ カンナッツの輸入量の増加に伴い、クルミ ピーカンナッツの分別方法の必要性は更に まっている。

 最近、ヨーロッパの研究チームによって PCRによるクルミの特異的検出方法が報告さ た(非特許文献1)。しかし、その方法はキャ ラリータイプのリアルタイムPCRであり、日 の食品分析で行われている標準方法である ロックタイプPCRではない。日本におけるPCR よる食品分析は、特定の遺伝子を標的にし ブロックタイプのPCRが主流であり、この方 を利用して、コムギ、ソバ、ラッカセイ、 イズ、キウイの検出方法が既に確立されて る(非特許文献2)。

 食物アレルギーを引き起こす可能性のあ 食用植物については、本発明者らも、該植 を特異的に検出できるプライマーを、それ のクロロプラストのmatK(maturase-encoding gene) 伝子をもとに新たに設計し、これらのプラ マーを用いてPCR法によって試料中のクルミ 検出に成功した(特許文献1)。

 本発明者らが開発した上記方法は、ブナ クルミ科クルミ属のクルミDNAの他、同属の ニグルミDNA、ペルシャグルミDNA、及び同科 ロテカリア属のサワグルミDNAを検出できる で卓越している。しかしながら、近縁種で る同目同科ペカン属のヒッコリーDNA、同目 バノキ科ハシバミ属のヘーゼルナッツDNA、 目ブナ科クリ属のクリDNAや、他の植物を含 その他の生物種DNAは検出しないことが強く 唆されている。

 そして、上記した先願発明においても、 用クルミと近縁種であるブナ目クルミ科ペ ン属の食用ピーカンナッツとを分別、検出 ることについては、何も記載されていない 両者の正確、簡便分別、検出に成功したの 本発明が最先である。

 植物分類は、次のとおりである。
  食用クルミ: Fagales(ブナ目);Juglandaceae(クル ミ科);Juglans(クルミ)
  ピーカン:Fagales(ブナ目);Juglandaceae(クルミ );Carya(ペカン)
  ヘーゼル:Fagales(ブナ目);Betulaceae(カバノキ );Corylus(ハシバミ)

 標的遺伝子(matK)情報は、次のとおりである なお、カッコ内はGene Bank のAccession Number 示す。
  クルミ     :Juglansx nigra(AF118036)、Juglans californica(AFI18027)
  ピーカン    :Carya tomentosa(AFI18039)
  ヘーゼル    :Corylus ubelluna(AY373445)
  食用ピーカン  :Carya illinoensis遺伝子情報 未登録
Eur. Food Res. Technol., 223, 373-377(2006) J. Food chem., 30, 215-233(2006)

特開2006-333729

 本発明は、クルミとピーカンナッツを正 、簡便に分別、検出する方法を新たに開発 る目的でなされたものである。

 上記目的を達成するため、本発明者らは 本発明者らに係る上記先願発明について、 度検討を行った。すなわち、先願発明にお ては、matK遺伝子に着目し、クルミ科ナッツ の特異的検出のためのPCR用プライマーをデザ インした(配列番号2、3)。このプライマーセ ト(図2)の特異性を確認した。その結果、こ プライマーセットを使用したPCRで、クルミ ナッツを特異的に検出できること、すなわ 、クルミもピーカンナッツもともに検出す ことができた(図3)。更に、クルミとピーカ ナッツの精製DNAで該プライマーでのPCRの検 限界を確認したところ、両者の検出感度は 程度であることが確認され(35サイクルで0.1pg (10ppm相当)以下)、結局、上記先願発明方法で クルミとピーカンナッツを分別することは 可能であることが判った。

 しかしながら、現在の日本商品標準分類 は、ピーカンナッツはクルミに分類されて らず、したがって、ピーカンナッツとクル の分別検出方法の確立が必要である。そこ 本発明者らは、各方面から検討の結果、再 、先願発明に係るmatK遺伝子に着目した。

 ブナ目クルミ科ペカン属としては、Carya  illinoensis、Carya myristicacfrmis、Carya pallida、Cary a texana、Carya ovata、Carya tomentosaが知られて るが、該発明の標的遺伝子であるmatKの配列 既知のものはCarya tomentosaのみである。食用 ナッツとしては利用されている種類はCarya il lmoensis(matK 未知)であり、その他は木材とし 利用されている種類である。

 このように食用ピーカンナッツであるカ ヤ・イリノエンシス((Carya illinoensis)ではmatK 遺伝子の配列が未知である。そこで、本発明 者らはピーカンナッツのmatK遺伝子の解析を い、その遺伝子配列を同定した。その塩基 列を配列番号1(図1)に示す。本配列と木材用 カン(C.トメントーサ:ヒッコリー)のmatK遺伝 配列と比較したところ、相違することが明 かとなり、また、クルミmatK遺伝子とは1塩 の違いがあることも明らかとなり、ピーカ ナッツのmatK遺伝子は、従来未知の新規配列 あることが確認された。

 本発明者らは、クルミとピーカンナッツ PCRで増幅される遺伝子領域でのわずか1塩基 の相違(5’側から15番目の塩基:クルミがシト ン(C)であるのに対してピーカンナッツでは デニン(A)に置換している)にあえて着目し、 このわずか1塩基の違いによる両者の分別と う技術課題を新たに設定した。

 そこで、本発明者らは、同定した配列情 を基に、クルミとピーカンナッツの分別の 能性を検討するため、新たに同定した食用 カン(Pecan nut)のmatK遺伝子と既知のクルミ(Wa lnut)matK遺伝子及び木材用ペカン(Hickory)のmatK 伝子配列を比較検討した(図1)。

 その結果、上記わずか1塩基の置換によっ て、ピーカンナッツではクルミ遺伝子配列中 に存在する制限酵素BfaIの部位が消失してい ことを発見した。また、木材用ペカン品種 は、制限酵素BfaIの部位の他、クルミとピー ンナッツ共通に存在する制限酵素AclIの部位 も消失していることを発見した。以上の発見 を基に、制限酵素を利用して、クルミとピー カンナッツの分別の可否を検討し、可能であ ることを証明した。

 すなわち、制限酵素BfaIとAclIを利用する とで、クルミとピーカンナッツの分別検出 できるとの観点にたち、本発明者らは、こ ことを検証するため、クルミDNAから増幅さ た増幅産物とピーカンナッツから増幅させ 増幅産物とを用いて制限酵素による切断を った。その結果、クルミとピーカンナッツ PCRで増幅される遺伝子領域にはAclI部位が共 して存在していること、クルミのPCRで増幅 れる遺伝子領域にはBfaIの制限酵素部位が存 在するが、ピーカンナッツのPCRで増幅される 遺伝子領域ではBfaIの制限酵素部位が消失し いること、を確認した(図4)。

 すなわち、アガロースゲル電気泳動図か も明らかなように、BfaI処理した後、BfaIサ トを有するクルミにおいては、切断されて ルミ特異断片(40bp、80bp)の2本のバンドが認め られるのに対して、該サイトを有していない ピーカンナッツでBfaI処理によっても切断さ ることなく120bpのバンドが1本認められるだ であることが確認された。

 このことは、ピーカンナッツとクルミと 、matK遺伝子のわずか1塩基の相違によって 別できること、しかもその配列を直接比較 なくても、それぞれのPCR産物を制限酵素BfaI 理し、処理物の電気泳動パターンを比較す だけで簡単且つ正確に分別できることを明 するものであり、本発明は、これらの有用 知見に基づき更に研究の結果、遂に完成さ たものである。

 近年、日本において、クルミアレルゲン 対する患者数の増加および食用クルミ科ナ ツであるペカンナッツの輸入量の増加に伴 、クルミとナッツの分別方法の開発が急が ていた。我々は遺伝子配列の明らかな、ク ロプラストmatK遺伝子に着目し、クルミ科ナ ッツの特異的検出のためのPCR法を開発し、さ らに、クルミとピーカンナッツの分別のため 、ピーカンナッツmatKの配列を明らかにし、 限酵素を用いた、クルミとピーカンナッツ 分別法を確立した。

 本発明を実施するには、クルミ科matK遺伝 子において配列番号1(図1、その中段(Pecan nut) にその配列を示す)の塩基配列で5’側から15 目の1塩基を検討すればよく、具体的には各 料からmatK遺伝子を分離して15番目の塩基がA であるかCであるかをその配列から直接確認 てもよく、あるいはSNPs解析技術、たとえばS MAP法(理研)を利用してこれを実施することも 能である。

 また、本発明は、上記のようにmatK遺伝子 の配列自体を直接検討することなく、PCR法に よって簡便に且つ迅速に、しかもそれでいて 正確に両者を分別、検出することができる。

 プライマーとしては、配列番号2の塩基配 列で示されるDNAをセンスプライマー、配列番 号3の塩基配列で示されるDNAをアンチセンス ライマーとして用いる(図2)。これらのプラ マーは、先願発明においてクルミ用に本発 者らが開発したものであるが、ピーカンナ ツにも利用できる点で特徴的である。

 これらのDNAをプライマーとして用い、試 から抽出したゲノムDNAを鋳型として、PCRを う。PCRは常法によればよく、例えば、Gene A mp(登録商標)PCR system 9700(Applied Biosystems)を用 いて行う。増幅反応条件は以下のとおりであ る。:95℃、10分間のプレインキュベーション; 95℃で0.5分間保持、64℃で0.5分間アニーリン 、72℃で0.5分間エクステンション、72℃で7分 間の最終エクステンションからなる増幅サイ クルを35回実施する。

 このようにして得たPCR増幅産物について 、その塩基配列を確認し、既述したmatK遺伝 子の場合と同様に特定1塩基を検討すること よって両者の分別検出が可能となる。また PCR産物の配列を検討するまでもなく、制限 素BfaIで処理した後、PCR断片を電気泳動で検 することによっても、両者の分別検出が迅 且つ正確に行われる。

 以下、本発明の実施例について述べるが 本発明はこれらのみに限定されるものでは い。

(実施例1)
 (1)配列番号2(図2上段)、配列番号3(図2下段) 塩基配列でそれぞれ示されるDNAからなるプ イマーを用い、各試料から抽出したゲノムDN Aを鋳型として、PCRを行った。PCR反応は、常 によって行い、例えば既述した条件で行う とができる。

 PCR反応終了後、アガロースゲル電気泳動に ってPCR増幅産物を分離し、分離後のゲルを チジウムブロマイドで染色後、UV照射下に いて増幅産物を視覚化することによって、 幅産物の有無を確認した。分子量マーカー して100bp DNA Lader(New England BioLabs Inc., USA) 使用した。これらのPCRの結果を図3に記載し た。その結果、ピーカンナッツ(レーン7)及び クルミ(レーン8)のいずれも同一パターンを示 し、単なる電気泳動では両者は分別できない ことが確認された。
 (2)そこで、PCR産物の配列を確認することと た。配列確認方法は、次のとおりである。 ーカンナッツ(Carya illinoensis)のmatK遺伝子配 は未知であるので、スタンダードPCRクロー ング技術によってその配列を同定した。

 ピーカンナッツ(Carya illinoensis)のmatK遺伝 配列は未知であるため、PCR産物の塩基配列 確認することとした。塩基配列の確認方法 常法のTAクローニング技術(Marchuk,D,Drumm,M,Saul ino,A., and Collins,F,S,Nuclwic Acids Res,19 1154,1991) によってその塩基配列を決定した。

 具体的には、公知であるクルミmatK塩基配 列(Genbank accession #AF118027)に照らして、クル プライマーの外側の領域でプライマーセッ (センスプライマー:クルミAF118027の378から402 目、すなわち、GGATTTCTAACCATCTTGTTATCCT、アンチ センスプライマー:クルミAF118027の1295から1319 目、すなわち、TCCAGAAGATGTTAATCGTAAATGA)を設計 た。そのプライマーセットを用いてピーカ ナッツDNAを鋳型にPCR反応を行った。得られ PCR産物のクローニングはTAクローニング用キ ットTOPO TA Cloning (Invitrogen社登録商標)を用 て行った。キットに添付されているクロー ング用ベクターpCRII-TOPO vector(登録商標)にPCR 産物を組み込み、当該クローニング用ベクタ ーで宿主大腸菌(JM109)を常法に従い形質転換 行った。

 当該ベクターにはアンピシリン耐性遺伝 が組込まれているため、アンピシリンを含 LBプレートで培養することで当該ベクター 導入された宿主のみを選択できる。得られ コロニーから任意に10個を選択し、ベクター にPCR産物遺伝子が組込まれているか否かをプ ライマーセットを用いたコロニーPCR法で確認 した。選択した全てのコロニーでPCR産物遺伝 子が組込まれていたことが確認できた。

 さらに、それら10個のコロニーから任意 3個を選択し、塩基配列を確認するためPCR産 の組込まれたベクタープラスミドを精製し 当該クローニングベクターの塩基配列確認 に既に設計されているプライマー(M13 Foward( -20)PrimerおよびM13 Reverse Primer)を用い常法に い塩基配列の決定を行った。確認した3クロ ン全てが同一の塩基配列であった。

 決定したピーカンナッツmatK遺伝子のクル ミプライマーで増幅される領域の塩基配列を 図1に示す。また、食用を目的として市販さ ているピーカンナッツ2品目、アメリカアリ ナ州産ピーカンナッツ(プロフーズ社)およ アメリカ/オーストラリア産ウェスタンシュ 種(キッチンガーデン お菓子の材料ネット ト アパテリス)からDNAを抽出し、同様の方 にて塩基配列を確認したところ、2品目とも 図1に示したピーカンナッツの塩基配列と一 していた。図中、Walnutはクルミ、Pecan nutは ーカンナッツ、Hickoryはヒッコリーを示す。 ピーカンナッツの配列は、従来未知の新規配 列であって、その塩基配列を配列番号1に示 た。

 これらの配列比較から、クルミとピーカ ナッツでは15番目の塩基が1つだけ相違して るのはわかるが、わずか1塩基の違いで両者 を分別検出できるとは予測できなかった。し かし、後記するように制限酵素処理によって 1塩基の違いで両者が分別検出可能であるこ が確認された。わずか1塩基の違いで両者の 別が可能となることはまさに画期的なこと あって極めて特徴的であり、高い特許性を するものである。

 したがって、両者を分別するためには、m atK遺伝子の配列を比較して、15番目の塩基がA かCかによって両者を分別することができる 、また、SMAP法(理研)等によることもできる しかしながら、本発明者らは更に簡便な方 を開発した。

 (3)PCR断片の制限酵素処理によるクルミとピ カンナッツの分別を行った。
 すなわち、試料として1、3、5、7はクルミPCR 断片(50ng/ml)、2、4、6、8はピーカンナッツPCR 片(50ng/ml)を用いた。反応組成は、DNA量 2μL 酵素量 1μL(AclI:3000U/ml、BfaI: 5000U/ml)、全量 20μLとし、37℃で3.5時間インキュベートした 制限酵素処理物は、2.5%アガロースゲルで電 気泳動した(3μL)。

 電気泳動図を図4に示す。図面の結果から 明らかなように、ピーカンナッツ(レーン6)と クルミ(レーン5、7)とは一見しても明らかな うにパターンが相違しており、レーン5、7に おいてはBfaIによって切断された2つのクルミ 異断片のパターンが示された。

 この結果は、予想される断片長、すなわ 、切断なしの場合は、両者とも120bp、AclIで 断した場合は、両者とも59bp、61bp、BfaIの場 は、クルミが40bp、80bpであるのに対してピ カンナッツが120bp、AclI+BfaIの場合は、クルミ が19bp、40bp、61bpであるのに対してピーカンナ ッツが59bp、61bpであるので、予想される断片 とよく一致するものである。

 したがって、PCR産物のBfaI処理物の電気泳 動処理によって、ピーカンナッツとクルミと を簡便、迅速、且つ正確に分別、検出するこ とができるのである。

クルミ科matK遺伝子配列比較を示す。図 中、中段(Pecan nut)に配列番号1の配列を示す プライマーを示す。上段がセンスプラ マー(配列番号2)、下段がアンチセンスプラ マー(配列番号3)を示す。 ナッツ類のPCR増幅産物の電気泳動パタ ンを示す図面代用写真である。図中、上段 植物標準プライマーの結果(コントロールに 相当する)、下段がクルミ用プライマーの結 を示す。なお、CP03-5’、CP03-3’は、植物DNA 出用プライマーを指し、前者(F-primer)の配列 、CGGACGAGAATAAAGATAGAGT、後者(R-primer)の配列は TTTTGGGGATAGAGGGACTTGAである。これらのプライマ に関する配列及びPCR条件は、平成18年6月22 付けの厚生労働省医薬品食品局からの通知 アレルギー物質を含む食品の検査方法につ て」(食安発第0622003号)に記載されている。 PCR断片の制限酵素処理による分別を示 電気泳動パターンの図面代用写真である。 図中、Walnutはクルミ、Pecan nutはピーカンナ ツを示す。