Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
NEUROINVASION INHIBITOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/148148
Kind Code:
A1
Abstract:
It is found that neuroinvasion in a neuroinvasion model for pancreatic cancer can be inhibited by inhibiting IL-6.  Further, it is demonstrated that an IL-6 receptor is expressed in a human pancreatic cancer cell line and IL-6 can increase the chemotactic ability, the migratory ability and the intercellular signaling of a pancreatic cancer cell, and it is found that pancreatic cancer can be treated by inhibiting IL-6.  Still further, it is found that human pancreatic cancer neuroinvasion can be inhibited by administering an IL-6 inhibitor to a mouse neuroinvasion model.

Inventors:
MITSUNAGA SHUICHI (JP)
OCHIAI ATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060314
Publication Date:
December 10, 2009
Filing Date:
June 05, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
JAPAN GOVERNMENT (JP)
CHUGAI PHARMACEUTICAL CO LTD (JP)
MITSUNAGA SHUICHI (JP)
OCHIAI ATSUSHI (JP)
International Classes:
A61K45/00; A61K39/395; A61P1/18; A61P25/00; A61P35/00; A61P43/00
Domestic Patent References:
WO1993012227A11993-06-24
WO1992003918A11992-03-19
WO1994002602A11994-02-03
WO1994025585A11994-11-10
WO1996034096A11996-10-31
WO1996033735A11996-10-31
WO1992019759A11992-11-12
WO1992001047A11992-01-23
WO1992020791A11992-11-26
WO1993006213A11993-04-01
WO1993011236A11993-06-10
WO1993019172A11993-09-30
WO1995001438A11995-01-12
WO1995015388A11995-06-08
WO1996030394A11996-10-03
WO1994011523A21994-05-26
WO2009041621A12009-04-02
WO1996018648A11996-06-20
WO1996017869A21996-06-13
Foreign References:
JP2007528691A2007-10-18
JPH08208514A1996-08-13
JP2008037875A2008-02-21
JP2008037876A2008-02-21
EP0325474A21989-07-26
JPH03155795A1991-07-03
EP0411946A21991-02-06
JPH0159878B21989-12-20
JPH03139293A1991-06-13
EP0125023A11984-11-14
EP0239400A21987-09-30
JPH03219894A1991-09-27
US5571513A1996-11-05
JPH08291199A1996-11-05
US3773919A1973-11-20
EP0058481A11982-08-25
EP0133988A21985-03-13
Other References:
TAKENAO IDEZAWA ET AL.: "Interleukin-6 Functions as An Autocrine Invasion Factor of Human Pancreatic Cancer Cells", YAMANASHI MED. J., vol. 19, no. 2, 2004, pages 53 - 67, XP008141427
TAKENAO IDEZAWA ET AL.: "Interleukin-6 Functions as an Autocrine Invasion Factor of Human Pancreatic Cancer Cells", YAMANASHI MED. J., vol. 20, no. 2, 2005, pages XXXVI, XP008143075
HIDENOBU KAMOHARA ET AL.: "IL-6 no Suigan Saibo no Zoshoku Ten'i ni Oyobosu Eikyo to Kanshitsu Saibo ni yoru Hatsugen Seigyo Kiko", JAPANESE JOURNAL OF GASTROENTEROLOGICAL SURGERY, vol. 39, no. 7, 2006, pages 1356, XP008141418
HIRANO, T. ET AL., NATURE, vol. 324, 1986, pages 73 - 76
AKIRA, S. ET AL., ADV. IN IMMUNOLOGY, vol. 54, 1993, pages 1 - 78
LOTZ, M. ET AL., J. EXP. MED., vol. 167, 1988, pages 1253 - 1258
TAGA, T. ET AL., J. EXP. MED., vol. 166, 1987, pages 967 - 981
YAMASAKI, K. ET AL., SCIENCE, vol. 241, 1988, pages 825 - 828
TAGA, T. ET AL., CELL, vol. 58, 1989, pages 573 - 581
YASUKAWA, K ET AL., J. BIOCHEM., vol. 108, 1990, pages 673 - 676
EUR. J. BIOCHEM, vol. 168, 1987, pages 543 - 550
J. IMMUNOL., vol. 140, 1988, pages 1534 - 1541
AGR. BIOL. CHEM., vol. 54, 1990, pages 2685 - 2688
KEARNEY, J. F. ET AL., J. LMMUNOL, vol. 123, 1979, pages 1548 - 1550
CURRENT TOPICS IN MICROBIOLOGY AND IMMUNOLOGY, vol. 81, 1978, pages 1 - 7
KOHLER, G.; MILSTEIN, C., EUR. J. IMMUNOL., vol. 6, 1976, pages 511 - 519
MARGULIES, D. H. ET AL., CELL, vol. 8, 1976, pages 405 - 415
SHULMAN, M. ET AL., NATURE, vol. 276, 1978, pages 269 - 270
ST. GROTH, S. F. ET AL., J. IMMUNOL. METHODS, vol. 35, 1980, pages 1 - 21
TROWBRIDGE, I. S., J. EXP. MED., vol. 148, 1978, pages 313 - 323
GALFRE, G. ET AL., NATURE, vol. 277, 1979, pages 131 - 133
KOHLER, G.; MILSTEIN, C., METHODS ENZYMOL., vol. 73, 1981, pages 3 - 46
BORREBAECK, C. A. K.; LARRICK, J. W.: "Therapeutic Monoclonal Antibodies", 1990, MACMILLAN PUBLISHERS LTD
CHIRGWIN, J. M. ET AL., BIOCHEMISTRY, vol. 18, 1979, pages 5294 - 5299
CHOMCZYNSKI, P. ET AL., ANAL. BIOCHEM., vol. 162, 1987, pages 156 - 159
FROHMAN, M. A. ET AL., PROC. NATL. ACAD. SCI. USA, vol. 85, 1988, pages 8998 - 9002
BELYAVSKY, A. ET AL., NUCLEIC ACIDS RES., vol. 17, 1989, pages 2919 - 2932
SATO, K. ET AL., CANCER RES., vol. 53, 1993, pages 851 - 856
MULLIGAN, R. C. ET AL., NATURE, vol. 277, 1979, pages 108 - 114
MIZUSHIMA, S.; NAGATA S., NUCLEIC ACIDS RES., vol. 18, 1990, pages 5322
WARD, E. S. ET AL., NATURE, vol. 341, 1989, pages 544 - 546
WARD, E. S. ET AL., FASEB J., vol. 6, 1992, pages 2422 - 2427
BETTER, M. ET AL., SCIENCE, vol. 240, 1988, pages 1041 - 1043
LEI, S. P. ET AL., J. BACTERIOL., vol. 169, 1987, pages 4379 - 4383
VICKI GLASER, SPECTRUM BIOTECHNOLOGY APPLICATIONS, 1993
EBERT, K. M. ET AL., BIO/TECHNOLOGY, vol. 12, 1994, pages 699 - 702
MAEDA, S. ET AL., NATURE, vol. 315, 1985, pages 592 - 594
JULIAN, K. -C. MA ET AL., EUR. J. IMMUNOL., vol. 24, 1994, pages 131 - 138
CO, M. S. ET AL., J. IMMUNOL., vol. 152, 1994, pages 2968 - 2976
BETTER, M.; HORWITZ, A. H., METHODS IN ENZYMOLOGY, vol. 178, 1989, pages 476 - 496
PLUECKTHUN, A.; SKERRA, A., METHODS IN ENZYMOLOGY, vol. 178, 1989, pages 497 - 515
LAMOYI, E., METHODS IN ENZYMOLOGY, vol. 121, 1989, pages 652 - 663
ROUSSEAUX, J. ET AL., METHODS IN ENZYMOLOGY, vol. 121, 1989, pages 663 - 666
BIRD, R. E. ET AL., TIBTECH, vol. 9, 1991, pages 132 - 137
HUSTON, J. S. ET AL., PROC. NATL. ACAD. SCI. USA, vol. 85, 1988, pages 5879 - 5883
MATSUDA, T. ET AL., EUR. J. IMMUNOL., vol. 18, 1998, pages 951 - 956
SATO K ET AL., THE ABSTRACTS OF THE 21ST ANNUAL MEETING OF THE JAPANESE SOCIETY FOR IMMUNOLOGY, vol. 21, 1991, pages 166
TAMURA, T. ET AL., PROC. NATL. ACAD. SCI. USA, vol. 90, 1993, pages 11924 - 11928
HIRATA, Y. ET AL., J. IMMUNOL., vol. 143, 1989, pages 2900 - 2906
VRIEND ET AL., J. MOL. GRAPHICS, vol. 8, 1990, pages 52 - 56
BRAKENHOFF ET AL., J. BIOL. CHEM., vol. 269, 1994, pages 86 - 93
SAVINO ET AL., EMBO J., vol. 13, 1994, pages 1357 - 1367
"Peptide Synthesis", vol. 14, 1991, HIROKAWA SHOTEN, article "Continuation of Development of Pharmaceuticals"
"Remington's Pharmaceutical Science", 1980
LANGER ET AL., J. BIOMED. MATER. RES., vol. 15, 1981, pages 167 - 277
LANGER, CHEM. TECH., vol. 12, 1982, pages 98 - 105
SIDMAN ET AL., BIOPOLYMERS, vol. 22, 1983, pages 547 - 556
See also references of EP 2305306A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIMIZU, Hatsushi et al. (JP)
Spring water Original aim (JP)
Download PDF:
Claims:
 インターロイキン6(IL-6)阻害剤を有効成分とする膵癌治療剤。
 IL-6阻害剤を有効成分とする細胞の神経浸潤抑制剤。
 癌細胞の神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項2に記載の抑制剤。
 膵癌細胞の神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項3に記載の抑制剤。
 中枢側への神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項2~4いずれかに記載の抑制剤。
 IL-6阻害剤がIL-6受容体に結合する物質であることを特徴とする請求項1~5いずれかに記載の治療剤又は抑制剤。
 IL-6阻害剤が抗IL-6受容体抗体であることを特徴とする請求項6に記載の治療剤又は抑制剤。
 抗IL-6受容体抗体がキメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である請求項7に記載の治療剤又は抑制剤。
 IL-6阻害剤を対象に投与する工程を含む、膵癌の治療方法。
 IL-6阻害剤を対象に投与する工程を含む、細胞の神経浸潤抑制方法。
 癌細胞の神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項10に記載の方法。
 膵癌細胞の神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項11に記載の方法。
 中枢側への神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項10~12いずれかに記載の方法。
 IL-6阻害剤がIL-6受容体に結合する物質であることを特徴とする請求項9~13いずれかに記載の方法。
 IL-6阻害剤が抗IL-6受容体抗体であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
 抗IL-6受容体抗体がキメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である請求項15に記載の方法。
 膵癌治療剤を製造するための、IL-6阻害剤の使用。
 細胞の神経浸潤抑制剤を製造するための、IL-6阻害剤の使用。
 癌細胞の神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項18に記載の使用。
 膵癌細胞の神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項19に記載の使用。
 中枢側への神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項18~20いずれかに記載の使用。
 IL-6阻害剤がIL-6受容体に結合する物質であることを特徴とする請求項17~21いずれかに記載の使用。
 IL-6阻害剤が抗IL-6受容体抗体であることを特徴とする請求項22に記載の使用。
 抗IL-6受容体抗体がキメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である請求項23に記載の使用。
 膵癌を治療する方法に使用するためのIL-6阻害剤。
 細胞の神経浸潤の抑制するための方法に使用するためのIL-6阻害剤。
 癌細胞の神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項26に記載のIL-6阻害剤。
 膵癌細胞の神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項27に記載のIL-6阻害剤。
 中枢側への神経浸潤を抑制することを特徴とする請求項26~28いずれかに記載のIL-6阻害剤。
 IL-6阻害剤がIL-6受容体に結合する物質であることを特徴とする請求項25~29いずれかに記載のIL-6阻害剤。
 IL-6阻害剤が抗IL-6受容体抗体であることを特徴とする請求項30に記載のIL-6阻害剤。
 抗IL-6受容体抗体がキメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体である請求項31に記載のIL-6阻害剤。
Description:
神経浸潤抑制剤

 本発明は、神経浸潤抑制剤に関する。さ に詳しくは、本発明は、インターロイキン6 (IL-6)阻害剤を有効成分とする神経浸潤抑制剤 に関する。

 インターロイキン6(IL-6)はB細胞刺激因子2( BSF2)あるいはインターフェロンβ2とも呼称さ たサイトカインである。IL-6は、Bリンパ球 細胞の活性化に関与する分化因子として発 され(非特許文献1)、その後、種々の細胞の 能に影響を及ぼす多機能サイトカインであ ことが明らかになった(非特許文献2)。IL-6は Tリンパ球系細胞の成熟化を誘導することが 報告されている(非特許文献3)。

 IL-6は、細胞上で二種の蛋白質を介してそ の生物学的活性を伝達する。一つは、IL-6が 合する分子量約80kDのリガンド結合性蛋白質 IL-6受容体である(非特許文献4、5)。IL-6受容 は、細胞膜を貫通して細胞膜上に発現する 結合型の他に、主にその細胞外領域からな 可溶性IL-6受容体としても存在する。

 もう一つは、非リガンド結合性のシグナ 伝達に係わる分子量約130kDの膜蛋白質gp130で ある。IL-6とIL-6受容体はIL-6/IL-6受容体複合体 形成し、次いでgp130と結合することにより IL-6の生物学的活性が細胞内に伝達される(非 特許文献6)。

 膵がんは、今日でも多くの症例が切除不 な進行した状態で診断され、また唯一治癒 期待できる切除例においても多くは術後早 に再発することが多い。また、切除不能例 、且つ、performance status (PS)や主要臓器機能 が良好である例は化学療法の適応となるが、 現在の標準治療であってもその治療効果は十 分ではない。たとえば,第一選択薬の位置づ にある、塩酸ゲムシタビンであっても、症 緩和効果における有効率は23.8%、生存期間中 央値は5.7ヶ月、1年生存率は18%(海外臨床第3相 試験結果)である。また、日本では年間20000人 が膵がんと診断され、死亡者数も22,260人(2004 ,厚生労働省による人口動態調査)で、がん 死因別では第5位である。

 神経浸潤は膵がんの特徴的な浸潤様式の とつとされ、膵がんでほぼ100%に神経浸潤が 認められること、神経浸潤は重要な予後因子 であること、神経浸潤は肝細胞の機能異常を 招いて貧血、performance status (PS)の低下や低 養などの悪液質症状と相関することなどを これまでに本発明者らは明らかにしてきた また、神経浸潤は癌性疼痛などの原因とさ 、神経浸潤好発部位への放射線照射やその 位に位置する神経の切除により一定の症状 ントロールを得たとの報告を散見する。し し、神経浸潤のメカニズム、および神経浸 に起因する症状が発現するメカニズムはほ んどわかっていないため、神経浸潤の制御 よび神経浸潤に起因する症状の制御につい は知見が乏しいのが現状である。一方、神 浸潤はがん種を問わずに広く認められ,前立 がん,胃がん,頭頚部がんでは予後因子とし 報告されている。

 なお、本出願の発明に関連する先行技術 献情報を以下に示す。

Hirano, T. et al., Nature (1986) 324, 73-76 Akira, S. et al., Adv. in Immunology (1993) 54 , 1-78 Lotz, M. et al., J. Exp. Med. (1988)167, 1253- 1258 Taga, T. et al., J. Exp. Med. (1987) 166, 967 -981 Yamasaki, K. et al., Science (1988) 241, 825-82 8 Taga, T. et al., Cell (1989) 58, 573-581

 従って、本発明は、新規な神経浸潤抑制 を提供することにある。又、本発明は新規 膵癌治療剤を提供する。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意研究した結果、膵癌の神経浸潤モデル おいて、IL-6を阻害することにより神経浸潤 が抑制されることを見出し、本発明を完成し た。さらにヒト膵がん細胞株でIL-6受容体が 現していること、IL-6が膵がん細胞の走化能 よび遊走能および細胞内シグナルを亢進す ことを明らかにし、IL-6を阻害することによ り膵癌を治療することが可能であることを見 出した。さらに、IL-6阻害剤をマウス神経浸 モデルに投与することにより、ヒト膵癌神 浸潤を抑制できることを見出した。

 すなわち、本発明は、より具体的には以下 〔1〕~〔32〕を提供するものである。
〔1〕 インターロイキン6(IL-6)阻害剤を有効 分とする膵癌治療剤。
〔2〕 IL-6阻害剤を有効成分とする細胞の神 浸潤抑制剤。
〔3〕 癌細胞の神経浸潤を抑制することを特 徴とする〔2〕に記載の抑制剤。
〔4〕 膵癌細胞の神経浸潤を抑制することを 特徴とする〔3〕に記載の抑制剤。
〔5〕 中枢側への神経浸潤を抑制することを 特徴とする〔2〕~〔4〕いずれかに記載の抑制 剤。
〔6〕 IL-6阻害剤がIL-6受容体に結合する物質 あることを特徴とする〔1〕~〔5〕いずれか 記載の治療剤又は抑制剤。
〔7〕 IL-6阻害剤が抗IL-6受容体抗体であるこ を特徴とする〔6〕に記載の治療剤又は抑制 剤。
〔8〕 抗IL-6受容体抗体がキメラ抗体、ヒト 抗体またはヒト抗体である〔7〕に記載の治 剤又は抑制剤。
〔9〕 IL-6阻害剤を対象に投与する工程を含 、膵癌の治療方法。
〔10〕 IL-6阻害剤を対象に投与する工程を含 、細胞の神経浸潤抑制方法。
〔11〕 癌細胞の神経浸潤を抑制することを 徴とする〔10〕に記載の方法。
〔12〕 膵癌細胞の神経浸潤を抑制すること 特徴とする〔11〕に記載の方法。
〔13〕 中枢側への神経浸潤を抑制すること 特徴とする〔10〕~〔12〕いずれかに記載の方 法。
〔14〕 IL-6阻害剤がIL-6受容体に結合する物質 であることを特徴とする〔9〕~〔13〕いずれ に記載の方法。
〔15〕 IL-6阻害剤が抗IL-6受容体抗体であるこ とを特徴とする〔14〕に記載の方法。
〔16〕 抗IL-6受容体抗体がキメラ抗体、ヒト 抗体またはヒト抗体である〔15〕に記載の 法。
〔17〕 膵癌治療剤を製造するための、IL-6阻 剤の使用。
〔18〕 細胞の神経浸潤抑制剤を製造するた の、IL-6阻害剤の使用。
〔19〕 癌細胞の神経浸潤を抑制することを 徴とする〔18〕に記載の使用。
〔20〕 膵癌細胞の神経浸潤を抑制すること 特徴とする〔19〕に記載の使用。
〔21〕 中枢側への神経浸潤を抑制すること 特徴とする〔18〕~〔20〕いずれかに記載の使 用。
〔22〕 IL-6阻害剤がIL-6受容体に結合する物質 であることを特徴とする〔17〕~〔21〕いずれ に記載の使用。
〔23〕 IL-6阻害剤が抗IL-6受容体抗体であるこ とを特徴とする〔22〕に記載の使用。
〔24〕 抗IL-6受容体抗体がキメラ抗体、ヒト 抗体またはヒト抗体である〔23〕に記載の 用。
〔25〕 膵癌を治療する方法に使用するため IL-6阻害剤。
〔26〕 細胞の神経浸潤の抑制するための方 に使用するためのIL-6阻害剤。
〔27〕 癌細胞の神経浸潤を抑制することを 徴とする〔26〕に記載のIL-6阻害剤。
〔28〕 膵癌細胞の神経浸潤を抑制すること 特徴とする〔27〕に記載のIL-6阻害剤。
〔29〕 中枢側への神経浸潤を抑制すること 特徴とする〔26〕~〔28〕いずれかに記載のIL- 6阻害剤。
〔30〕 IL-6阻害剤がIL-6受容体に結合する物質 であることを特徴とする〔25〕~〔29〕いずれ に記載のIL-6阻害剤。
〔31〕 IL-6阻害剤が抗IL-6受容体抗体であるこ とを特徴とする〔30〕に記載のIL-6阻害剤。
〔32〕 抗IL-6受容体抗体がキメラ抗体、ヒト 抗体またはヒト抗体である〔31〕に記載のIL -6阻害剤。

ヒト膵がん細胞株における、IL-6α受容 (IL6R) mRNA発現量(A)およびIL-6β受容体(gp130)の mRNA発現量(B)を示す図である。 ヒトリコンビナントIL-6を用いた、IL-6 ヒト膵がん細胞株に対する増殖能、走化能 遊走能への影響を測定した結果を示す図で る。AおよびB:細胞数の経時的計測による細 増殖能の測定、C:chemotaxis assayによる走化能 測定、D:wound healing assayによる遊走能の測 、の結果を示す。 ヒトリコンビナントIL-6(rhIL6)を用いた IL-6のヒト膵がん細胞株Capan-1に対する細胞内 シグナルへの影響をウエスタンブロット法を 用いて評価した結果示す図である。A:細胞内 ン酸化STAT3タンパク質発現、B:細胞内リン酸 化Erk1/2タンパク質発現、C:細胞内リン酸化Akt ンパク質発現、を示す。 ヒト膵がん細胞株を用いた、マウス神 浸潤モデルを示す写真および図である。A:4 間後の神経浸潤肉眼像、B:経時的浸潤距離 示すグラフ、C:4週間後の神経浸潤組織像、 示す。 神経浸潤モデルと各種神経損傷モデル おけるマウスIL-6発現分布を示す写真および 図である。A:神経浸潤モデル像、BおよびC:RT-P CR(B)または蛍光免疫染色(C)による神経浸潤モ ルおよびその他神経損傷モデルにおけるマ スIL-6発現量、を示す。 神経浸潤部における膵がん細胞のリン 化STAT3タンパク発現の結果を示す図である gp130ノックダウンによる神経浸潤距離 制効果を示す図である。 IL-6Rノックダウンによる神経浸潤距離 制効果を示す図である。 マウス神経浸潤モデルへのJAK阻害剤 AG 490又は抗IL-6受容体抗体の投与の、神経浸潤 の影響を示す図である。A:JAK阻害剤 AG490投 時の経時的浸潤距離を示すグラフである。DM SO:コントロール群、AG490:AG490投与群を示す。B :抗IL-6受容体抗体投与時の経時的浸潤距離を すグラフである。hIgG:コントロール群、MRA: IL-6受容体抗体の投与群を示す。

 本発明において「IL-6阻害剤」とは、IL-6 よるシグナル伝達を遮断し、IL-6の生物学的 性を阻害する物質である。IL-6阻害剤の具体 的な例として、IL-6に結合する物質、IL-6受容 に結合する物質、gp130に結合する物質など 挙げることができる。また、IL-6阻害剤とし は、IL-6による細胞内シグナルとして重要な STAT3リン酸化を阻害する物質、例えばAG490な を挙げることができる。IL-6阻害剤には、特 限定されないが、抗IL-6抗体、抗IL-6受容体 体、抗gp130抗体、IL-6改変体、可溶性IL-6受容 改変体、IL-6部分ペプチド、IL-6受容体部分 プチド、これらと同様の活性を示す低分子 合物などが含まれる。

 IL-6阻害剤の好ましい態様として、IL-6受 体阻害剤、特に抗IL-6受容体抗体を挙げるこ ができる。

 本発明で用いられる抗体の由来は特に限 されるものではないが、好ましくは哺乳動 由来であり、より好ましくはヒト由来の抗 を挙げることが出来る。

 本発明で使用される抗体は、公知の手段 用いてポリクローナル又はモノクローナル 体として得ることができる。本発明で使用 れる抗体として、特に哺乳動物由来のモノ ローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来の ノクローナル抗体としては、ハイブリドー に産生されるもの、および遺伝子工学的手 により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形 転換した宿主に産生されるものがある。通 、この抗体はIL-6、IL-6受容体、gp130等と結合 することにより、IL-6の生物学的活性の細胞 への伝達を遮断する。

 モノクローナル抗体産生ハイブリドーマ 、基本的には公知技術を使用し、以下のよ にして作製できる。すなわち、IL-6受容体、 IL-6、gp130等を感作抗原として使用して、これ を通常の免疫方法にしたがって免疫し、得ら れる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公 知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニン グ法により、モノクローナルな抗体産生細胞 をスクリーニングすることによって作製でき る。

 具体的には、モノクローナル抗体を作製 るには次のようにすればよい。例えば、抗I L-6受容体抗体を作製する場合、抗体取得の感 作抗原として使用されるヒトIL-6受容体は、 州特許出願公開番号EP 325474に、マウスIL-6受 容体は日本特許出願公開番号特開平3-155795に 示されたIL-6受容体遺伝子/アミノ酸配列を いることによって得られる。

 IL-6受容体蛋白質は、細胞膜上に発現して いるものと細胞膜より離脱しているもの(可 性IL-6受容体)(Yasukawa, K. et al., J. Biochem. (1 990) 108, 673-676)との二種類がある。可溶性IL-6 受容体は細胞膜に結合しているIL-6受容体の 質的に細胞外領域から構成されており、細 膜貫通領域あるいは細胞膜貫通領域と細胞 領域が欠損している点で膜結合型IL-6受容体 異なっている。IL-6受容体蛋白質は、本発明 で用いられる抗IL-6受容体抗体の作製の感作 原として使用されうる限り、いずれのIL-6受 体を使用してもよい。

 IL-6受容体の遺伝子配列を公知の発現ベク ター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換 させた後、その宿主細胞中又は、培養上清中 から目的のIL-6受容体蛋白質を公知の方法で 製し、この精製IL-6受容体蛋白質を感作抗原 して用いればよい。また、IL-6受容体を発現 している細胞やIL-6受容体蛋白質と他の蛋白 との融合蛋白質を感作抗原として用いても い。

 同様に、IL-6を抗体取得の感作抗原として 用いる場合には、ヒトIL-6は、Eur. J. Biochem ( 1987) 168, 543-550 、J. Immunol.(1988)140, 1534-1541  、あるいはAgr. Biol. Chem. (1990)54, 2685-2688に 示されたIL-6遺伝子/アミノ酸配列を用いるこ とによって得られる。また、抗gp130抗体取得 感作抗原としは、欧州特許出願公開番号EP  411946に開示されたgp130遺伝子/アミノ酸配列を 用いることができる。

 感作抗原で免疫される哺乳動物としては 特に限定されるものではないが、細胞融合 使用する親細胞との適合性を考慮して選択 るのが好ましく、一般的にはげっ歯類の動 、例えば、マウス、ラット、ハムスター等 使用される。

 感作抗原を動物に免疫するには、公知の 法にしたがって行われる。例えば、一般的 法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内又 、皮下に注射することにより行われる。具 的には、感作抗原をPBS(Phosphate-Buffered Saline )や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁した のを所望により通常のアジュバント、例え 、フロイント完全アジュバントを適量混合 、乳化後、哺乳動物に4-21日毎に数回投与す るのが好ましい。また、感作抗原免疫時に適 当な担体を使用することができる。

 このように免疫し、血清中に所望の抗体 ベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動 から免疫細胞が取り出され、細胞融合に付 れる。細胞融合に付される好ましい免疫細 としては、特に脾細胞が挙げられる。

 前記免疫細胞と融合される他方の親細胞 しての哺乳動物のミエローマ細胞は、すで 、公知の種々の細胞株、例えば、P3X63Ag8.653( Kearney, J. F. et al. J. Immunol. (1979) 123, 1548- 1550)、P3X63Ag8U.1 (Current Topics in Microbiology and  Immunology (1978) 81, 1-7) 、NS-1(Kohler. G. and M ilstein, C. Eur. J. Immunol.(1976) 6, 511-519 )、MPC -11(Margulies. D. H. et al., Cell (1976) 8, 405-415 )、SP2/0 (Shulman, M. et al., Nature (1978) 276, 2 69-270 )、FO(de St. Groth, S. F. et al., J. Immuno l. Methods (1980) 35, 1-21 )、S194(Trowbridge, I. S.  J. Exp. Med. (1978) 148, 313-323)、R210(Galfre, G. et al., Nature (1979) 277, 131-133 )等が適宜使 される。

 前記免疫細胞とミエローマ細胞の細胞融 は基本的には公知の方法、たとえば、ミル ュタインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C., Methods Enzymol. (1981) 73, 3-46)等に準じて行う とができる。

 より具体的には、前記細胞融合は例えば 細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養 中で実施される。融合促進剤としては例え 、ポリエチレングリコール(PEG)、センダイ ィルス(HVJ)等が使用され、更に所望により融 合効率を高めるためにジメチルスルホキシド 等の補助剤を添加使用することもできる。

 免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合 、例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細 を1~10倍とするのが好ましい。前記細胞融合 に用いる培養液としては、例えば、前記ミエ ローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、M EM培養液、その他、この種の細胞培養に用い れる通常の培養液が使用可能であり、さら 、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用する ともできる。

 細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ 胞との所定量を前記培養液中でよく混合し 予め、37℃程度に加温したPEG溶液、例えば 平均分子量1000~6000程度のPEG溶液を通常、30~60 %(w/v)の濃度で添加し、混合することによって 目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)が形成 れる。続いて、適当な培養液を逐次添加し 遠心して上清を除去する操作を繰り返すこ によりハイブリドーマの生育に好ましくな 細胞融合剤等を除去できる。

 当該ハイブリドーマは、通常の選択培養 、例えば、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミ ノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で 養することにより選択される。当該HAT培養 での培養は、目的とするハイブリドーマ以 の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時 間、通常数日~数週間継続する。ついで、通 の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を 生するハイブリドーマのスクリーニングお びクローニングが行われる。

 また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して 記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ をin vitroで所望の抗原蛋白質又は抗原発現 胞で感作し、感作Bリンパ球をヒトミエロー マ細胞、例えばU266と融合させ、所望の抗原 は抗原発現細胞への結合活性を有する所望 ヒト抗体を得ることもできる(特公平1-59878参 照)。さらに、ヒト抗体遺伝子のレパートリ を有するトランスジェニック動物に抗原又 抗原発現細胞を投与し、前述の方法に従い 望のヒト抗体を取得してもよい(国際特許出 公開番号WO 93/12227、WO 92/03918、WO 94/02602、W O 94/25585、WO 96/34096、WO 96/33735参照)。

 このようにして作製されるモノクローナ 抗体を産生するハイブリドーマは、通常の 養液中で継代培養することが可能であり、 た、液体窒素中で長期保存することが可能 ある。

 当該ハイブリドーマからモノクローナル 体を取得するには、当該ハイブリドーマを 常の方法にしたがい培養し、その培養上清 して得る方法、あるいはハイブリドーマを れと適合性がある哺乳動物に投与して増殖 せ、その腹水として得る方法などが採用さ る。前者の方法は、高純度の抗体を得るの 適しており、一方、後者の方法は、抗体の 量生産に適している。

 例えば、抗IL-6受容体抗体産生ハイブリド ーマの作製は、特開平3-139293に開示された方 により行うことができる。PM-1抗体産生ハイ ブリドーマをBALB/cマウスの腹腔内に注入して 腹水を得、この腹水からPM-1抗体を精製する 法や、本ハイブリドーマを適当な培地、例 ば、10%ウシ胎児血清、5%BM-Condimed H1(Boehringer Mannheim製)含有RPMI1640培地、ハイブリドーマSFM 培地(GIBCO-BRL製)、PFHM-II培地(GIBCO-BRL製)等で培 し、その培養上清からPM-1抗体を精製する方 法で行うことができる。

 本発明には、モノクローナル抗体として 抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニ グし、適当なベクターに組み込んで、これ 宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて 生させた組換え型抗体を用いることができ (例えば、Borrebaeck C. A. K. and Larrick J. W. THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Published in the U nited Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD, 1990参照) 。

 具体的には、目的とする抗体を産生する 胞、例えばハイブリドーマから、抗体の可 (V)領域をコードするmRNAを単離する。mRNAの 離は、公知の方法、例えば、グアニジン超 心法(Chirgwin, J. M. et al., Biochemistry (1979) 1 8, 5294-5299 )、AGPC法(Chomczynski, P. et al., Anal.  Biochem. (1987)162, 156-159)等により全RNAを調製 、mRNA Purification Kit (Pharmacia製)等を使用し mRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purificati on Kit(Pharmacia製)を用いることによりmRNAを直 調製することができる。

 得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗体 V領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reve rse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit等を 用いて行うことができる。また、cDNAの合成 よび増幅を行うには5'-Ampli FINDER RACE Kit(Clon tech製)およびPCRを用いた5'-RACE法(Frohman, M. A. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA(1988)85, 8998-900 2;Belyavsky, A. et al., Nucleic Acids Res.(1989)17, 2 919-2932)を使用することができる。得られたPCR 産物から目的とするDNA断片を精製し、ベクタ ーDNAと連結する。さらに、これより組換えベ クターを作成し、大腸菌等に導入してコロニ ーを選択して所望の組換えベクターを調製す る。目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、 例えば、デオキシ法により確認する。

 目的とする抗体のV領域をコードするDNAが 得られれば、これを所望の抗体定常領域(C領 )をコードするDNAと連結し、これを発現ベク ターへ組み込む。又は、抗体のV領域をコー するDNAを、抗体C領域のDNAを含む発現ベクタ へ組み込んでもよい。

 本発明で使用される抗体を製造するには 後述のように抗体遺伝子を発現制御領域、 えば、エンハンサー、プロモーターの制御 もとで発現するよう発現ベクターに組み込 。次に、この発現ベクターにより宿主細胞 形質転換し、抗体を発現させることができ 。

 本発明では、ヒトに対する異種抗原性を 下させること等を目的として人為的に改変 た遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chi meric)抗体、ヒト化(Humanized)抗体等を使用でき 。これらの改変抗体は、既知の方法を用い 製造することができる。

 キメラ抗体は、前記のようにして得た抗 V領域をコードするDNAをヒト抗体C領域をコ ドするDNAと連結し、これを発現ベクターに み込んで宿主に導入し産生させることによ 得られる(欧州特許出願公開番号EP 125023、国 際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。この既 の方法を用いて、本発明に有用なキメラ抗 を得ることができる。

 ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体ま たはヒト型化抗体とも称され、ヒト以外の哺 乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域 (CDR)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植した のであり、その一般的な遺伝子組換え手法 知られている(欧州特許出願公開番号EP 12502 3、国際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。

 具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体 フレームワーク領域(FR; framework region)を連 するように設計したDNA配列を、末端部にオ バーラップする部分を有するように作製し 数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により 成する。得られたDNAをヒト抗体C領域をコー ドするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組 み込んで、これを宿主に導入し産生させるこ とにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 2 39400、国際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。

 CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、 補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成 るものが選択される。必要に応じ、再構成 ト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合 位を形成するように抗体の可変領域のフレ ムワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(S ato, K.et al., Cancer Res. (1993) 53, 851-856)。

 キメラ抗体、ヒト化抗体には、通常、ヒ 抗体C領域が使用される。ヒト抗体重鎖C領 としては、Cγなどが挙げられ、例えば、Cγ1 Cγ2、Cγ3又はCγ4を使用することができる。 ト抗体軽鎖C領域としては、例えば、κまた λを挙げることができる。また、抗体又は の産生の安定性を改善するために、ヒト抗 C領域を修飾してもよい。

 キメラ抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗 の可変領域とヒト抗体由来のC領域からなり 、またヒト化抗体はヒト以外の哺乳動物由来 抗体の相補性決定領域とヒト抗体由来のフレ ームワーク領域およびC領域からなり、これ はヒト体内における抗原性が低下している め、医薬品として使用される抗体として有 である。

 本発明に使用されるヒト化抗体の好まし 具体例としては、ヒト化PM-1抗体が挙げられ る(国際特許出願公開番号WO 92-19759参照)。

 また、ヒト抗体の取得方法としては先に べた方法のほか、ヒト抗体ライブラリーを いて、パンニングによりヒト抗体を取得す 技術も知られている。例えば、ヒト抗体の 変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージデ スプレイ法によりファージの表面に発現さ 、抗原に結合するファージを選択すること できる。選択されたファージの遺伝子を解 すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領 をコードするDNA配列を決定することができ 。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかにな れば、当該配列を含む適当な発現ベクターを 作製し、ヒト抗体を取得することができる。 これらの方法は既に周知であり、WO 92/01047,  WO 92/20791, WO 93/06213, WO 93/11236, WO 93/19172,  WO 95/01438, WO 95/15388を参考にすることができ る。

 前記のように構築した抗体遺伝子は、公 の方法により発現させることができる。哺 類細胞を用いた場合、常用される有用なプ モーター、発現される抗体遺伝子、その3' 下流にポリAシグナルを機能的に結合させたD NAあるいはそれを含むベクターにより発現さ ることができる。例えばプロモーター/エン ハンサーとしては、ヒトサイトメガロウィル ス前期プロモーター/エンハンサー(human cytome galovirus immediate early promoter/enhancer)を挙げる とができる。

 また、その他に本発明で使用される抗体 現に使用できるプロモーター/エンハンサー として、レトロウィルス、ポリオーマウィル ス、アデノウィルス、シミアンウィルス40(SV4 0)等のウィルスプロモーター/エンハンサーや ヒトエロンゲーションファクター1α(HEF1α)な の哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハン サーを用いればよい。

 例えば、SV40プロモーター/エンハンサー 使用する場合、Mulliganらの方法(Mulligan, R. C.  et al., Nature (1979) 277, 108-114) 、また、HEF1 αプロモーター/エンハンサーを使用する場合 、Mizushimaらの方法(Mizushima, S. and Nagata, S. N ucleic Acids Res. (1990) 18, 5322 )に従えば容易 実施することができる。

 宿主として原核細胞を使用する場合、細 細胞を用いる産生系がある。細菌細胞とし は、大腸菌(E.coli)、枯草菌が知られている

 大腸菌の場合、常用される有用なプロモ ター、抗体分泌のためのシグナル配列、発 させる抗体遺伝子を機能的に結合させて発 させることができる。例えばプロモーター しては、lacZプロモーター、araBプロモータ を挙げることができる。lacZプロモーターを 用する場合、Wardらの方法(Ward, E. S. et al.,  Nature (1989) 341, 544-546;Ward, E. S. et al. FASE B J. (1992) 6, 2422-2427 )、araBプロモーターを 用する場合、Betterらの方法(Better, M. et al. Science (1988) 240, 1041-1043 )に従えばよい。

 抗体分泌のためのシグナル配列としては 大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、p elBシグナル配列(Lei, S. P. et al J. Bacteriol.  (1987) 169, 4379-4383)を使用すればよい。ペリプ ラズムに産生された抗体を分離した後、抗体 の構造を適切にリフォールド(refold)して使用 る(例えば、WO96/30394を参照)。

 複製起源としては、SV40、ポリオーマウィ ルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィ ルス(BPV)等の由来のものを用いることができ さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅 ため、発現ベクターは選択マーカーとして アミノグリコシドホスホトランスフェラー (APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、 腸菌キサンチングアニンホスホリボシルト ンスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉 還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる

 本発明で使用される抗体の製造のために 任意の産生系を使用することができる。抗 製造のための産生系は、in vitroおよびin viv oの産生系がある。in vitroの産生系としては 真核細胞を使用する産生系や原核細胞を使 する産生系が挙げられる。

 宿主として真核細胞を使用する場合、動 細胞、植物細胞、又は真菌細胞を用いる産 系がある。動物細胞としては、(1)哺乳類細 、例えば、CHO、COS、ミエローマ、BHK(baby ham ster kidney)、HeLa、Veroなど、(2)両生類細胞、例 えば、アフリカツメガエル卵母細胞、あるい は(3)昆虫細胞、例えば、sf9、sf21、Tn5などが られている。植物細胞としては、ニコチア ・タバクム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知ら れており、これをカルス培養すればよい。真 菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミ セス(Saccharomyces)属、例えばサッカロミセス・ セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌、例 えばアスペルギルス属(Aspergillus)属、例えば スペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)などが 知られている。

 これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子 形質転換により導入し、形質転換された細 をin vitroで培養することにより抗体が得ら る。培養は、公知の方法に従い行う。例え 、培養液として、DMEM、MEM、RPMI1640、IMDMを使 用することができ、牛胎児血清(FCS)等の血清 液を併用することもできる。また、抗体遺 子を導入した細胞を動物の腹腔等へ移すこ により、in vivoにて抗体を産生してもよい

 一方、in vivoの産生系としては、動物を 用する産生系や植物を使用する産生系が挙 られる。動物を使用する場合、哺乳類動物 昆虫を用いる産生系などがある。

 哺乳類動物としては、ヤギ、ブタ、ヒツ 、マウス、ウシなどを用いることができる( Vicki Glaser, SPECTRUM Biotechnology Applications, 1993 )。また、昆虫としては、カイコを用いるこ ができる。植物を使用する場合、例えばタ コを用いることができる。

 これらの動物又は植物に抗体遺伝子を導 し、動物又は植物の体内で抗体を産生させ 回収する。例えば、抗体遺伝子をヤギβカ インのような乳汁中に固有に産生される蛋 質をコードする遺伝子の途中に挿入して融 遺伝子として調製する。抗体遺伝子が挿入 れた融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ 入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を 容したヤギから生まれるトランスジェニッ ヤギ又はその子孫が産生する乳汁から所望 抗体を得る。トランスジェニックヤギから 生される所望の抗体を含む乳汁量を増加さ るために、適宜ホルモンをトランスジェニ クヤギに使用してもよい(Ebert, K.M. et al., B io/Technology (1994) 12, 699-702 )。

 また、カイコを用いる場合、目的の抗体 伝子を挿入したバキュロウィルスをカイコ 感染させ、このカイコの体液より所望の抗 を得る(Maeda, S. et al., Nature (1985) 315, 592- 594)。さらに、タバコを用いる場合、目的の 体遺伝子を植物発現用ベクター、例えばpMON5 30に挿入し、このベクターをAgrobacterium tumefac iensのようなバクテリアに導入する。このバ テリアをタバコ、例えばNicotiana tabacumに感 させ、本タバコの葉より所望の抗体を得る(J ulian, K.-C. Ma et al., Eur. J. Immunol.(1994)24, 13 1-138)。

 上述のようにin vitro又はin vivoの産生系 て抗体を産生する場合、抗体重鎖(H鎖)又は 鎖(L鎖)をコードするDNAを別々に発現ベクタ に組み込んで宿主を同時形質転換させても いし、あるいはH鎖およびL鎖をコードするDNA を単一の発現ベクターに組み込んで、宿主を 形質転換させてもよい(国際特許出願公開番 WO 94-11523参照)。

 本発明で使用される抗体は、本発明に好 に使用され得るかぎり、抗体の断片やその 飾物であってよい。例えば、抗体の断片と ては、Fab、F(ab')2、Fv又はH鎖とL鎖のFvを適当 なリンカーで連結させたシングルチェインFv( scFv)が挙げられる。

 具体的には、抗体を酵素、例えば、パパ ン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させ か、又は、これら抗体断片をコードする遺 子を構築し、これを発現ベクターに導入し 後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、 Co, M.S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976 Better, M. & Horwitz, A. H. Methods in Enzymolo gy (1989) 178, 476-496 、Plueckthun, A. & Skerra , A. Methods in Enzymology (1989) 178, 497-515 、La moyi, E., Methods in Enzymology (1989) 121, 652-663  、Rousseaux, J. et al., Methods in Enzymology (1989)  121, 663-66、Bird, R. E. et al., TIBTECH (1991) 9 , 132-137参照)。

 scFvは、抗体のH鎖V領域とL鎖V領域を連結 ることにより得られる。このscFvにおいて、H 鎖V領域とL鎖V領域はリンカー、好ましくは、 ペプチドリンカーを介して連結される(Huston, J. S. et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. (1988)  85, 5879-5883)。scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖 V領域は、上記抗体として記載されたものの ずれの由来であってもよい。V領域を連結す ペプチドリンカーとしては、例えばアミノ 12-19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが いられる。

 scFvをコードするDNAは、前記抗体のH鎖又 、H鎖V領域をコードするDNA、およびL鎖又は L鎖V領域をコードするDNAを鋳型とし、それら の配列のうちの所望のアミノ酸配列をコード するDNA部分を、その両端を規定するプライマ ー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さ らにペプチドリンカー部分をコードするDNAお よびその両端を各々H鎖、L鎖と連結されるよ に規定するプライマー対を組み合せて増幅 ることにより得られる。

 また、一旦scFvをコードするDNAが作製され れば、それらを含有する発現ベクター、およ び該発現ベクターにより形質転換された宿主 を常法に従って得ることができ、また、その 宿主を用いて常法に従って、scFvを得ること できる。

 これら抗体の断片は、前記と同様にして の遺伝子を取得し発現させ、宿主により産 させることができる。本発明でいう「抗体 にはこれらの抗体の断片も包含される。

 抗体の修飾物として、ポリエチレングリ ール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使 することもできる。本発明でいう「抗体」 はこれらの抗体修飾物も包含される。この うな抗体修飾物を得るには、得られた抗体 化学的な修飾を施すことによって得ること できる。これらの方法はこの分野において でに確立されている。

 前記のように産生、発現された抗体は、 胞内外、宿主から分離し均一にまで精製す ことができる。本発明で使用される抗体の 離、精製はアフィニティークロマトグラフ ーにより行うことができる。アフィニティ クロマトグラフィーに用いるカラムとして 、例えば、プロテインAカラム、プロテイン Gカラムが挙げられる。プロテインAカラムに いる担体として、例えば、HyperD、POROS、Sepha roseF.F.等が挙げられる。その他、通常のタン ク質で使用されている分離、精製方法を使 すればよく、何ら限定されるものではない

 例えば、上記アフィニティークロマトグ フィー以外のクロマトグラフィー、フィル ー、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、 み合わせれば、本発明で使用される抗体を 離、精製することができる。クロマトグラ ィーとしては、例えば、イオン交換クロマ グラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲ ろ過等が挙げられる。これらのクロマトグ フィーはHPLC(High performance liquid chromatography )に適用し得る。また、逆相HPLC(reverse phase HP LC)を用いてもよい。

 上記で得られた抗体の濃度測定は吸光度 測定又はELISA等により行うことができる。 なわち、吸光度の測定による場合には、PBS(- )で適当に希釈した後、280nmの吸光度を測定し 、1mg/mlを1.35ODとして算出する。また、ELISAに る場合は以下のように測定することができ 。すなわち、0.1M重炭酸緩衝液(pH9.6)で1μg/ml 希釈したヤギ抗ヒトIgG(TAG製)100μlを96穴プレ ート(Nunc製)に加え、4℃で一晩インキュベー ョンし、抗体を固相化する。ブロッキング 後、適宜希釈した本発明で使用される抗体 は抗体を含むサンプル、あるいは標品とし ヒトIgG(CAPPEL製)100μlを添加し、室温にて1時 インキュベーションする。

 洗浄後、5000倍希釈したアルカリフォスフ ァターゼ標識抗ヒトIgG(BIO SOURCE製)100μlを加 、室温にて1時間インキュベートする。洗浄 、基質溶液を加えインキュベーションの後 MICROPLATE READER Model 3550(Bio-Rad製)を用いて405 nmでの吸光度を測定し、目的の抗体の濃度を 出する。

 抗IL-6抗体の具体的な例としては、特に限 定されないが、MH166(Matsuda, T. et al., Eur. J. Immunol. (1998) 18, 951-956)やSK2抗体(Sato K et al ., 第21回日本免疫学会総会、学術記録 (1991) 21, 166)などを挙げることができる。

 抗IL-6受容体抗体の具体的な例としては、 特に限定されないが、MR16-1抗体(Tamura, T. et  al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1993) 90, 11924-1192 8)、PM-1抗体 (Hirata, Y. et al., J. Immunol. (1989 ) 143, 2900-2906)、AUK12-20抗体、AUK64-7抗体ある はAUK146-15抗体(国際特許出願公開番号WO 92-197 59)などが挙げられる。これらのうちで、ヒト IL-6受容体に対する好ましいモノクローナル 体としてはPM-1抗体が例示され、またマウスI L-6受容体に対する好ましいモノクローナル抗 体としてはMR16-1抗体が挙げられるが、これに 限定されない。又、ヒト化抗IL-6受容体抗体 好ましい例としては、ヒト化PM-1抗体(Tocilizum ab、MRA)を挙げることができる。ヒト化抗IL-6 容体抗体の他の好ましい例としてはWO2009/0416 21に記載された抗体を挙げることができる。 らに、抗IL-6受容体抗体の他の好ましい態様 として、ヒト化PM-1抗体(Tocilizumab、MRA)が認識 るエピトープと同じエピトープを認識する IL-6受容体抗体を挙げることができる。

 抗gp130抗体の具体的な例としては、特に 定されないが、AM64抗体(日本公開公報 特開 3-219894)、4B11抗体、2H4抗体(アメリカ特許公  US5571513)、B-P8抗体(日本公開公報 特開平8-29 1199)などが挙げられる。

 本発明で使用されるIL-6改変体は、IL-6受 体との結合活性を有し、且つIL-6の生物学的 性を伝達しない物質である。即ち、IL-6改変 体はIL-6受容体に対しIL-6と競合的に結合する 、IL-6の生物学的活性を伝達しないため、IL- 6によるシグナル伝達を遮断する。

 IL-6改変体は、IL-6のアミノ酸配列のアミ 酸残基を置換することにより変異を導入し 作製される。IL-6改変体のもととなるIL-6はそ の由来を問わないが、抗原性等を考慮すれば 、好ましくはヒトIL-6である。具体的には、IL -6のアミノ酸配列を公知の分子モデリングプ グラム、たとえば、WHATIF(Vriend et al., J. Mo l. Graphics (1990) 8, 52-56 )を用いてその二次 造を予測し、さらに置換されるアミノ酸残 の全体に及ぼす影響を評価することにより われる。適切な置換アミノ酸残基を決定し 後、ヒトIL-6遺伝子をコードする塩基配列を むベクターを鋳型として、通常行われるPCR によりアミノ酸が置換されるように変異を 入することにより、IL-6改変体をコードする 遺伝子が得られる。これを必要に応じて適当 な発現ベクターに組み込み、前記組換え型抗 体の発現、産生及び精製方法に準じてIL-6改 体を得ることができる。

 IL-6改変体の具体例としては、Brakenhoff et al., J. Biol. Chem. (1994) 269, 86-93 、及びSavin o et al., EMBO J. (1994) 13, 1357-1367 、WO 96-186 48 、WO96-17869に開示されているIL-6改変体を挙 げることができる。

 IL-6受容体部分ペプチドはIL-6受容体のア ノ酸配列においてIL-6とIL-6受容体との結合に 係わる領域の一部又は全部のアミノ酸配列か らなるペプチドである。このようなペプチド は、通常10~80、好ましくは20~50、より好まし は20~40個のアミノ酸残基からなる。

 IL-6受容体部分ペプチドはIL-6受容体のア ノ酸配列において、IL-6とIL-6受容体との結合 に係わる領域を特定し、その特定した領域の 一部又は全部のアミノ酸配列に基づいて通常 知られる方法、例えば遺伝子工学的手法又は ペプチド合成法により作製することができる 。

 IL-6受容体部分ペプチドを遺伝子工学的手 法により作製するには、所望のペプチドをコ ードするDNA配列を発現ベクターに組み込み、 前記組換え型抗体の発現、産生及び精製方法 に準じて得ることができる。

 IL-6受容体部分ペプチドをペプチド合成法 により作製するには、ペプチド合成において 通常用いられている方法、例えば固相合成法 又は液相合成法を用いることができる。

 具体的には、続医薬品の開発第14巻ペプ ド合成 監修矢島治明廣川書店1991年に記載 方法に準じて行えばよい。固相合成法とし は、例えば有機溶媒に不溶性である支持体 合成しようとするペプチドのC末端に対応す アミノ酸を結合させ、α-アミノ基及び側鎖 能基を適切な保護基で保護したアミノ酸をC 末端からN末端方向の順番に1アミノ酸ずつ縮 させる反応と樹脂上に結合したアミノ酸又 ペプチドのα-アミノ基の該保護基を脱離さ る反応を交互に繰り返すことにより、ペプ ド鎖を伸長させる方法が用いられる。固相 プチド合成法は、用いられる保護基の種類 よりBoc法とFmoc法に大別される。

 このようにして目的とするペプチドを合 した後、脱保護反応及びペプチド鎖の支持 からの切断反応をする。ペプチド鎖との切 反応には、Boc法ではフッ化水素又はトリフ オロメタンスルホン酸を、又Fmoc法ではTFAを 通常用いることができる。Boc法では、例えば フッ化水素中で上記保護ペプチド樹脂をアニ ソール存在下で処理する。次いで、保護基の 脱離と支持体からの切断をしペプチドを回収 する。これを凍結乾燥することにより、粗ペ プチドが得られる。一方、Fmoc法では、例え TFA中で上記と同様の操作で脱保護反応及び プチド鎖の支持体からの切断反応を行うこ ができる。

 得られた粗ペプチドは、HPLCに適用するこ とにより分離、精製することができる。その 溶出にあたり、蛋白質の精製に通常用いられ る水-アセトニトリル系溶媒を使用して最適 件下で行えばよい。得られたクロマトグラ ィーのプロファイルのピークに該当する画 を分取し、これを凍結乾燥する。このよう して精製したペプチド画分について、マス ペクトル分析による分子量解析、アミノ酸 成分析、又はアミノ酸配列解析等により同 する。

 本発明のIL-6阻害剤は神経浸潤の抑制に使 用することが可能である。本発明において「 神経浸潤」とは、癌細胞その他の細胞が神経 組織へ侵入して発育する様式であり、組織破 壊(破壊性発育)などを伴うこともある。本発 において好ましい神経浸潤として、癌細胞 神経浸潤を挙げることができる。癌細胞の 潤を抑制する場合、対象となる癌種は特に 定されず、膵癌、胃癌、前立腺癌、頭頚部 、乳癌、肺癌、大腸癌、卵巣癌など如何な 癌種でもよいが、膵癌細胞の浸潤を抑制す ことが好ましい。神経浸潤の抑制は末梢側 の神経浸潤の抑制でも、中枢側への神経浸 の抑制でもどちらでもよいが、膵癌細胞が 枢側に神経浸潤する傾向があることから、 枢側への神経浸潤(例えば、神経損傷部位か ら中枢側への神経浸潤)を抑制することが好 しい。

 本発明において「神経浸潤の抑制」とは 神経浸潤の発生の抑制、神経浸潤の発生率 低下、神経浸潤距離の短縮、神経浸潤速度 遅延などを意味する。

 本発明のIL-6阻害剤により神経浸潤を抑制 することにより、神経浸潤に伴う諸症状(例 ば、癌性疼痛などの痛み、貧血、performans st atus(PS)の低下、低栄養、等)を治療、抑制する ことが可能である。従って、本発明にはIL-6 害剤を含む神経浸潤に伴う諸症状の治療剤 抑制剤も含まれる。

 本発明の膵癌治療剤は、膵癌の治療およ /または予防において使用することが可能で ある。

 本発明において「膵癌治療」とは、膵癌 発生の抑制、膵癌の発生率の低下、膵癌細 の増殖の抑制、膵癌組織の縮小、膵癌の症 の改善、膵癌の転移の抑制などを意味する

 本発明で使用されるIL-6阻害剤の効果は、例 えばシグナル伝達阻害活性を指標として評価 することができるがこれに限定されない。IL- 6阻害剤のシグナル伝達阻害活性は、通常用 られる方法により評価することができる。 体的には、IL-6依存性ヒト骨髄腫株(S6B45,KPMM2) 、ヒトレンネルトTリンパ腫細胞株KT3、ある はIL-6依存性細胞MH60.BSF2を培養し、これにIL-6 を添加し、同時にIL-6阻害剤を共存させるこ によりIL-6依存性細胞の 3 H-チミジン取込みを測定すればよい。また、I L-6受容体発現細胞であるU266を培養し、 125 I標識IL-6を添加し、同時にIL-6阻害剤を加える ことにより、IL-6受容体発現細胞に結合した 125 I標識IL-6を測定する。上記アッセイ系におい 、IL-6阻害剤を存在させる群に加えIL-6阻害 を含まない陰性コントロール群をおき、両 で得られた結果を比較すればIL-6阻害剤のIL-6 阻害活性を評価することができる。

 本発明の治療剤または抑制剤が投与され 対象は哺乳動物である。哺乳動物は、好ま くはヒトである。

 本発明の治療剤または抑制剤は、医薬品 形態で投与することが可能であり、経口的 たは非経口的に全身あるいは局所的に投与 ることができる。例えば、点滴などの静脈 注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射 坐薬、注腸、経口性腸溶剤などを選択する とができ、患者の年齢、症状により適宜投 方法を選択することができる。有効投与量 、一回につき体重1kgあたり0.01mgから100mgの 囲で選ばれる。あるいは、患者あたり1~1000mg 、好ましくは5~50mgの投与量を選ぶことができ る。好ましい投与量、投与方法は、たとえば 抗IL-6受容体抗体の場合には、血中にフリー 抗体が存在する程度の量が有効投与量であ 、具体的な例としては、体重1kgあたり1ヶ月( 4週間)に0.5mgから40mg、好ましくは1mgから20mgを 1回から数回に分けて、例えば2回/週、1回/週 1回/2週、1回/4週などの投与スケジュールで 滴などの静脈内注射、皮下注射などの方法 、投与する方法などである。投与スケジュ ルは、患者の状態の観察および血液検査値 動向を観察しながら2回/週あるいは1回/週か ら1回/2週、1回/3週、1回/4週のように投与間隔 を延ばしていくなど調整することも可能であ る。

 本発明の治療剤または抑制剤には、保存 や安定剤等の製剤上許容しうる担体が添加 れていてもよい。製剤上許容しうる担体と 、上記の薬剤とともに投与可能な材料を意 する。製剤上許容される材料としては、例 ば、滅菌水や生理食塩水、安定剤、賦形剤 緩衝剤、防腐剤、界面活性剤、キレート剤( EDTA等)、結合剤等を挙げることができる。

 本発明において、界面活性剤としては非 オン界面活性剤を挙げることができ、例え ソルビタンモノカプリレート、ソルビタン ノラウレート、ソルビタンモノパルミテー 等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン モノカプリレート、グリセリンモノミリステ ート、グリセリンモノステアレート等のグリ セリン脂肪酸エステル;デカグリセリルモノ テアレート、デカグリセリルジステアレー 、デカグリセリルモノリノレート等のポリ リセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレ ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエ レンソルビタンモノオレエート、ポリオキ エチレンソルビタンモノステアレート、ポ オキシエチレンソルビタンモノパルミテー 、ポリオキシエチレンソルビタントリオレ ート、ポリオキシエチレンソルビタントリ テアレート等のポリオキシエチレンソルビ ン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソル ビットテトラステアレート、ポリオキシエチ レンソルビットテトラオレエート等のポリオ キシエチレンソルビット脂肪酸エステル;ポ オキシエチレングリセリルモノステアレー 等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸 ステル;ポリエチレングリコールジステアレ ト等のポリエチレングリコール脂肪酸エス ル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル等 のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポ オキシエチレンポリオキシプロピレングリ ール、ポリオキシエチレンポリオキシプロ レンプロピルエーテル、ポリオキシエチレ ポリオキシプロピレンセチルエーテル等の リオキシエチレンポリオキシプロピレンア キルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフ ニルエーテル等のポリオキシエチレンアル ルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンヒ マシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油( リオキシエチレン水素ヒマシ油)等のポリオ シエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレ ンソルビットミツロウ等のポリオキシエチレ ンミツロウ誘導体;ポリオキシエチレンラノ ン等のポリオキシエチレンラノリン誘導体; リオキシエチレンステアリン酸アミド等の リオキシエチレン脂肪酸アミド等のHLB6~18を 有するもの、等を典型的例として挙げること ができる。

 また、界面活性剤としては陰イオン界面 性剤も挙げることができ、例えばセチル硫 ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オ イル硫酸ナトリウム等の炭素原子数10~18の ルキル基を有するアルキル硫酸塩;ポリオキ エチレンラウリル硫酸ナトリウム等の、エ レンオキシドの平均付加モル数が2~4でアル ル基の炭素原子数が10~18であるポリオキシ チレンアルキルエーテル硫酸塩;ラウリルス ホコハク酸エステルナトリウム等の、アル ル基の炭素原子数が8~18のアルキルスルホコ ハク酸エステル塩;天然系の界面活性剤、例 ばレシチン、グリセロリン脂質;スフィンゴ エリン等のフィンゴリン脂質;炭素原子数12~ 18の脂肪酸のショ糖脂肪酸エステル等を典型 例として挙げることができる。

 本発明の薬剤には、これらの界面活性剤 1種または2種以上を組み合わせて添加する とができる。本発明の製剤で使用する好ま い界面活性剤は、ポリソルベート20,40,60又は 80などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪 エステルであり、ポリソルベート20及び80が 特に好ましい。また、ポロキサマー(プルロ ックF-68(登録商標)など)に代表されるポリオ シエチレンポリオキシプロピレングリコー も好ましい。

 界面活性剤の添加量は使用する界面活性 の種類により異なるが、ポリソルベート20 はポリソルベート80の場合では、一般には0.0 01~100mg/mLであり、好ましくは0.003~50mg/mLであり 、さらに好ましくは0.005~2mg/mLである。

 本発明において緩衝剤としては、リン酸 クエン酸緩衝液、酢酸、リンゴ酸、酒石酸 コハク酸、乳酸、リン酸カリウム、グルコ 酸、カプリル酸、デオキシコール酸、サリ ル酸、トリエタノールアミン、フマル酸等 他の有機酸等、あるいは、炭酸緩衝液、ト ス緩衝液、ヒスチジン緩衝液、イミダゾー 緩衝液等を挙げることが出来る。

 また溶液製剤の分野で公知の水性緩衝液 溶解することによって溶液製剤を調製して よい。緩衝液の濃度は一般には1~500mMであり 、好ましくは5~100mMであり、さらに好ましく 10~20mMである。

 また、本発明の薬剤は、その他の低分子 のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチ や免疫グロブリン等の蛋白質、アミノ酸、 糖及び単糖等の糖類や炭水化物、糖アルコ ルを含んでいてもよい。

 本発明においてアミノ酸としては、塩基 アミノ酸、例えばアルギニン、リジン、ヒ チジン、オルニチン等、またはこれらのア ノ酸の無機塩(好ましくは、塩酸塩、リン酸 塩の形、すなわちリン酸アミノ酸)を挙げる とが出来る。遊離アミノ酸が使用される場 、好ましいpH値は、適当な生理的に許容され る緩衝物質、例えば無機酸、特に塩酸、リン 酸、硫酸、酢酸、蟻酸又はこれらの塩の添加 により調整される。この場合、リン酸塩の使 用は、特に安定な凍結乾燥物が得られる点で 特に有利である。調製物が有機酸、例えばリ ンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマ ル酸等を実質的に含有しない場合あるいは対 応する陰イオン(リンゴ酸イオン、酒石酸イ ン、クエン酸イオン、コハク酸イオン、フ ル酸イオン等)が存在しない場合に、特に有 である。好ましいアミノ酸はアルギニン、 ジン、ヒスチジン、またはオルニチンであ 。さらに、酸性アミノ酸、例えばグルタミ 酸及びアスパラギン酸、及びその塩の形(好 ましくはナトリウム塩)あるいは中性アミノ 、例えばイソロイシン、ロイシン、グリシ 、セリン、スレオニン、バリン、メチオニ 、システイン、またはアラニン、あるいは 香族アミノ酸、例えばフェニルアラニン、 ロシン、トリプトファン、または誘導体のN- アセチルトリプトファンを使用することもで きる。

 本発明において、多糖及び単糖等の糖類 炭水化物としては、例えばデキストラン、 ルコース、フラクトース、ラクトース、キ ロース、マンノース、マルトース、スクロ ス、トレハロース、ラフィノース等を挙げ ことができる。

 本発明において、糖アルコールとしては 例えばマンニトール、ソルビトール、イノ トール等を挙げることができる。

 本発明の薬剤を注射用の水溶液とする場 には、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその の補助薬(例えば、D-ソルビトール、D-マン ース、D-マンニトール、塩化ナトリウム)を む等張液と混合することができる。また該 溶液は、適当な溶解補助剤(例えばアルコー (エタノール等)、ポリアルコール(プロピレ グリコール、PEG等)、非イオン性界面活性剤 (ポリソルベート80、HCO-50)等)と併用してもよ 。

 所望によりさらに希釈剤、溶解補助剤、p H調整剤、無痛化剤、含硫還元剤、酸化防止 等を含有してもよい。

 本発明において、含硫還元剤としては、 えば、N-アセチルシステイン、N-アセチルホ モシステイン、チオクト酸、チオジグリコー ル、チオエタノールアミン、チオグリセロー ル、チオソルビトール、チオグリコール酸及 びその塩、チオ硫酸ナトリウム、グルタチオ ン、並びに炭素原子数1~7のチオアルカン酸等 のスルフヒドリル基を有するもの等を挙げる ことができる。

 また、本発明において酸化防止剤として 、例えば、エリソルビン酸、ジブチルヒド キシトルエン、ブチルヒドロキシアニソー 、α-トコフェロール、酢酸トコフェロール L-アスコルビン酸及びその塩、L-アスコルビ ン酸パルミテート、L-アスコルビン酸ステア ート、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナト ウム、没食子酸トリアミル、没食子酸プロ ルあるいはエチレンジアミン四酢酸二ナト ウム(EDTA)、ピロリン酸ナトリウム、メタリ 酸ナトリウム等のキレート剤を挙げること 出来る。

 また、必要に応じ、マイクロカプセル(ヒド ロキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリ[ チルメタクリル酸]等のマイクロカプセル)に 封入したり、コロイドドラッグデリバリーシ ステム(リポソーム、アルブミンミクロスフ ア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子及び ノカプセル等)とすることもできる("Remington's  Pharmaceutical Science 16 th  edition", Oslo Ed., 1980等参照)。さらに、薬剤 を徐放性の薬剤とする方法も公知であり、本 発明に適用し得る(Langer et al., J.Biomed.Mater.Re s. 1981, 15: 167-277; Langer, Chem. Tech. 1982, 12: 98-105;米国特許第3,773,919号;欧州特許出願公開 (EP)第58,481号; Sidman et al., Biopolymers 1983, 22:  547-556;EP第133,988号)。

 使用される製剤上許容しうる担体は、剤 に応じて上記の中から適宜あるいは組合せ 選択されるが、これらに限定されるもので ない。

 本発明は、IL-6阻害剤を、神経浸潤が発症し た対象または発症する可能性がある対象に投 与する工程を含む、対象において神経浸潤を 抑制する方法に関する。
 又、本発明はIL-6阻害剤を、膵癌を発症した 対象または発症する可能性がある対象に投与 する工程を含む、対象において膵癌を治療お よび/または予防する方法に関する。

 本発明において、「対象」とは、本発明 治療剤または抑制剤を投与する生物体、該 物体の体内の一部分をいう。生物体は、特 限定されるものではないが、動物(例えば、 ヒト、家畜動物種、野生動物)を含む。

 また、「生物体の体内の一部分」につい は特に限定されないが、好ましくは疾患部 などを挙げることが出来る。

 本発明において、「投与する」とは、経 的、あるいは非経口的に投与することが含 れる。経口的な投与としては、経口剤とい 形での投与を挙げることができ、経口剤と ては、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、 剤、乳剤、あるいは懸濁剤等の剤型を選択 ることができる。

 非経口的な投与としては、注射剤という での投与を挙げることができ、注射剤とし は、皮下注射剤、筋肉注射剤、あるいは腹 内注射剤等を挙げることができる。また、 与すべきオリゴヌクレオチドを含む遺伝子 遺伝子治療の手法を用いて生体に導入する とにより、本発明の方法の効果を達成する とができる。また、本発明の薬剤を、処置 施したい領域に局所的に投与することもで る。例えば、手術中の局所注入、カテーテ の使用、または本発明のペプチドをコード るDNAの標的化遺伝子送達により投与するこ も可能である。

 本発明の方法を実践する際に、本発明の 剤は、少なくとも1つの他の薬剤(例えば、 の神経浸潤抑制剤や他の膵癌治療剤)と共に 学的組成物の一部として投与されてもよい 一つの態様において、本発明の薬剤および の薬剤は、実質的に同時に投与されてもよ 。

 なお本明細書において引用された全ての 行技術文献は、参照として本明細書に組み れられる。

 本発明を実施例によりさらに詳しく説明 るが、本発明はこれに限定されない。種々 変更、修飾が当業者には可能であり、これ の変更、修飾も本発明に含まれる。

<材料と方法>
細胞
 ヒト膵癌細胞株である、Capan-1、BxPC-3をAmeric an Type Culture Collection (ATCC)より購入し、ATCC 推奨するマニュアルに沿って、培養および 代を37度で5%CO 2 の条件を維持できる恒温槽を用いて行った。

細胞数計測
 細胞をdishより採取し、トリパンブルーおよ び血球計測盤を用いて生細胞を計測した。

Chemotaxis assay
 底面に8μmのポアを有するCell culture insert ( BD Falcon)を24ウェルに挿入し、Cell culture inser tをupper chamberとして、ウェルをlower chamberと て用いた。Lower chamberに、非血清培養液と トリコンビナントIL-6(hrIL6)(R&D systems)を用 いて調製したhrIL6 vehicle 0、1、10、100ng/mlを60 0μl注入し、upper chamberに2×10 6 個/mlの細胞浮遊液 100μlを注入した。24時間 養した後、ポアを通過した細胞数を計測し 。各群12回の測定を行い、hrIL6 0ng/ mlでポア を通過する平均細胞数を除算した数を補正値 として記録した。

Wound healing assay
 24ウェルに3×10 5 個/mlの細胞浮遊液を1 mlずつ注入して24時間 養する。非血清培地に交換して24時間培養し た後、ウェルの中央部分をガラス棒でこすり 帯状の無細胞領域を作製し、その幅を計測し 、hrIL6 vehicle 0、1、10、100ng/mlに培地を交換 る。24時間培養した後、無細胞領域の幅の変 化を測定した。各群12回の測定を行い、hrIL6  0ng/ mlでの平均変化長を除算した数を補正値 して記録した。

抗体
 ウエスタンブロットに使用した一次抗体は 抗リン酸化STAT3抗体(Santa Cruz)、抗STAT3抗体(S anta Cruz)、抗リン酸化Erk1/2抗体(Cell Signaling) 抗Erk1/2抗体(Cell Signaling)、抗リン酸化Akt抗体 (Cell Signaling)、抗Akt抗体(Cell Signaling)、抗Actin 抗体(Santa Cruz)であった。蛍光免疫染色に用 た一次抗体は、抗S100抗体(DAKO)、抗マウスIL-6 抗体(Santa Cruz)であり、核染色はDRAQ5(AXXORA)を いた。免疫染色には、抗リン酸化STAT3抗体(S anta Cruz)を用いた。

ウエスタンブロット
 Lysate buffer (20mM Hepes-NaOH pH7.0、0.5% NP-40、1 5% Glycerol、300mM NaCl、1mM EDTA、10mM NaF)を用い て細胞溶解液を作製した。蛋白濃度をBCA Prot ein Assay Kit (PIERCE)を用いて測定した後、20 m gの蛋白を含有する細胞溶解液を7.5%もしくは1 2% アクリルアミドゲルを用いて電気泳動し polyvinylidene difluoride membrane (Millipore)に転写 た。メンブレンに抗体を添加し、蛋白発現 Enhanced Chemiluminescence Reagent (Amersham Bioscienc es)を用いて画像化した。

リン酸化STAT3免疫染色とその評価
 抗原賦活は10mMクエン酸バッファー内で95℃ 10分間のマイクロウェーブを用いた加熱処理 にて行い、発色はDABを用いた。検体として、 4週経過した26匹のマウス神経浸潤モデルより 採取した坐骨神経26本を用いた。神経浸潤部 中枢側先端および末梢側先端を関心領域と て、対物40倍レンズを用いて、1視野当たり がん細胞数とリン酸化STAT3陽性がん細胞数 計測してlabeling indexを次の計算式で算出し :(リン酸化STAT3陽性がん細胞数)/(がん細胞数) 。

神経浸潤モデル
 使用するマウスは、6週令、オスの重度免疫 不全マウス(SCIDマウス)である。バルビタール 50mg/kgをマウス腹腔内投与して麻酔し、左坐 神経を露出して、坐骨神経内に1.0×10 4 個/μlのがん細胞浮遊液2.5μlをマイクロシリ ジおよび30ゲージ針を用いて直接注入した。 評価する時期にがん細胞を注入した坐骨神経 を採取し、組織標本を作製する場合には、4% ラホルムアルデヒドの中で4℃ 一昼夜の間 置して固定した。固定した前記坐骨神経は 3μmの厚みで薄切し、神経浸潤距離の測定の ためヘマトキシリン・エオジン染色または、 免疫染色した。神経浸潤距離の測定は、神経 長軸方向に薄切された切片と対物ミクロメー ター(三啓)を用い、全腫瘍範囲の長軸を計測 た。組織中mRNA抽出には、採取組織をただち にマルチビーズショッカー(安井器械)で破砕 た検体を用いた。

RNA抽出とreal time RT-PCR
 Dishより採取した細胞ペレット、もしくは破 砕した組織断片をからTRIzol(Life Technologies)を いてtotal RNAを採取した。cDNAは、1×10 3  ngのtotal RNAより、ExScript RT reagent Kit (Takar a-bio)およびTakara PCR Thermal Cycler Dice (Takara-b io)を用いて、Takara-bio社が推奨するマニュア に従って合成した。Real time RT-PCRは、Smart C ycler II System(Cepheid)、SYBR RT-PCR kit (Takara-bio) を用いた。プライマーは、ヒトIL-6α受容体(IL 6R)、ヒトIL-6β受容体(gp130)、ヒトGAPDH、マウス IL-6、マウスEGF、マウスGAPDHのcDNAをそれぞれ 異的に増幅するプライマーを用いた。プラ マー配列は、ヒトIL6R:forward tgagctcagatatcgggctga ac(配列番号:1);reverse cgtcgtggatgacacagtgatg(配列番 号:2)、ヒトgp130:forward gaagcaagtgggatcacctatgaa(配 番号:3);reverse ctgtagccttgagtatgggatgga(配列番号:4) 、ヒトGAPDH:forward gcaccgtcaaggctgagaac(配列番号:5) ;reverse atggtggtgaagacgccagt(配列番号:6)、マウスIL -6:forward ccacttcacaagtcggaggctta(配列番号:7);reverse gcaagtgcatcatcgttgttcatac(配列番号:8)、マウスEGF:fo rward catcatggtggtggctgtctg(配列番号:9);reverse cacttc cgcttggctcatca(配列番号:10)、マウスGAPDH:forward aa atggtgaaggtcggtgtg(配列番号:11);reverse tgaaggggtcgttga tgg(配列番号:12)、であった。定量はTakara-bio社 が推奨する方法にて行った。

mRNAノックダウン
 mRNA発現のノックダウンには、Ambion社が作製 したsiRNAを用いた。使用したsiRNAは、ヒトIL6R siRNA、ヒトgp130 siRNA、Negative Control#1 siRNAで った。がん細胞を3.5cm dishに2×10 5 個撒き、48時間培養した後、siRNA 20μMおよびD harmaFECT transfection reagent 4 (Dharmacon) 8μlを加 えた。24時間後に細胞を採取し、mRNA発現解析 もしくは神経浸潤モデルに使用した。

統計解析
 解析ソフトは、STATVIEW 5.0を用いた。平均値 の差の検定は、student-t両側検定を用いた。図 中のエラーバーは標準偏差を示すように作成 した。

〔実施例1〕
 ヒト膵がん細胞株における、IL-6α受容体(IL6 R)およびIL-6β受容体(gp130)の細胞内mRNA発現をre al time RT-PCRを用いて検討した。ヒト膵がん 胞株において、IL6R mRNA(図1A)およびgp130 mRNA( 図1B)の明瞭な発現を認めた。

〔実施例2〕
 ヒトリコンビナントIL-6を用いて、IL-6のヒ 膵がん細胞株に対する増殖能、走化能、遊 能への影響を、細胞数の経時的計測(図2Aお びB)、chemotaxis assay(図2C)、wound healing assay( 2D)を用いて検討した。IL-6は膵がん細胞株の 胞増殖には影響を及ぼさないが、走化能お び遊走能を亢進させることが明らかとなっ 。

〔実施例3〕
 ヒトリコンビナントIL-6(rhIL6)を用いて、IL-6 ヒト膵がん細胞株Capan-1に対する細胞内シグ ナルへの影響を、リン酸化STAT3(pSTAT3)(図3A)、 ン酸化Erk1/2 (pErk1/2)(図3B)、リン酸化Akt(pAkt) (図3C)についてウエスタンブロット法を用い 評価した。細胞内のリン酸化STAT3蛋白発現 rhIL6を添加して15分後に、リン酸化Erk1/2蛋白 現は1時間後にそれぞれ明らかな亢進を認め た。リン酸化Akt発現への影響は認められなか った。

〔実施例4〕
 膵がんの重要な浸潤様式は神経浸潤距離で る。神経浸潤を再現し、かつ神経浸潤距離 計測可能なマウス神経浸潤モデルを作製す ことは、膵がんの重要な腫瘍浸潤様式を制 する治療法を検討する上で重要である。神 浸潤モデルは、免疫不全マウスの坐骨神経 にヒト膵がん細胞株Capan-1を直接注入するこ とで作製された。肉眼的に、神経浸潤部は表 面不整で明らかに正常神経より太い(図4A)。 織学的神経浸潤距離は、注入時Capan-1神経内 散距離よりも、1週間後で明らかに長く、そ の距離は経時的に増大する(図4B)。また、神 浸潤は注入部より中枢側へ進展しており(図4 C)、これはヒト膵がん神経浸潤と同一の特徴 ある。

〔実施例5〕
 ヒト膵がん神経浸潤は、腫瘍周囲の神経組 を損傷することが報告されている。神経損 は、損傷部より末梢側の神経組織においてI L-6発現を亢進させることがわかっている。神 経浸潤による神経組織のIL-6発現動態を検討 るため、神経浸潤モデルを用いて、神経浸 中枢側および末梢側の神経組織内(図5B)に発 するマウスIL-6(mIL6) mRNAをそれぞれreal time  RT-PCR法にて評価した。mIL6は神経浸潤中枢側 高発現していたが、その他の神経損傷モデ ではその傾向を認めなかった(図5B)。mIL6蛋白 発現を蛍光免疫染色にて確認すると、シュワ ン細胞のマーカーであるS100陽性細胞領域に 致してIL6陽性顆粒を認めた(図5C)。神経浸潤 デルにおいてmIL6分泌細胞の一つはシュワン 細胞であることが明らかとなった。また、EGF は神経損傷において高発現するとされる分子 であるが、マウスEGF(mEGF) mRNA発現動態はmIL6 は異なり中枢側で高発現する傾向を認めな った。この結果は、神経浸潤部における腫 -神経相互作用にはIL-6が強く関わっているこ とを示唆する。

〔実施例6〕
 IL-6の重要な細胞内シグナルであるリン酸化 STAT3(pSTAT3)蛋白の膵がん細胞内発現を、免疫 色を用いて検討すると、神経浸潤中枢方向 一致してリン酸化STAT3発現が亢進していた( 6)。この結果は、神経浸潤中枢側の神経組織 におけるIL-6発現の亢進と分布が一致する。

〔実施例7〕
 IL-6による細胞内シグナルには、gp130の介在 必要である。siRNAを用いて膵がん細胞のgp130  mRNA発現をノックダウンした膵がん細胞株を 用いて神経浸潤モデルを作製すると、神経浸 潤距離が抑制された(図7)。この結果は、神経 浸潤には、IL-6由来を含むgp130を介するシグナ ルが重要であることを示す。

〔実施例8〕
 IL-6による細胞内シグナルには、IL-6受容体(I L6R)の介在が必要である。siRNAを用いて膵がん 細胞のIL6R mRNA発現をノックダウンした膵が 細胞株を用いて神経浸潤モデルを作製する 、神経浸潤距離が抑制された(図8)。この結 は、神経浸潤には、IL-6を介するシグナルが 要であることを示す。

〔実施例9〕
 次に、マウス神経浸潤モデルにJAK阻害剤又 抗IL-6受容体抗体を投与し、これらの阻害剤 の神経浸潤への影響を確認した。
JAK阻害剤のマウス神経浸潤モデル への投与実験
 STAT3リン酸化を阻害するJAK阻害剤 AG490(CALBIO CHEM)をDMSOに溶解し、生理食塩水で希釈し、DMS O 1%のAG490液を調製した。神経浸潤モデル作 2日後より、AG490 0.5mgをマウスの腹腔内へ連 投与し、モデル作製から2週後にがん細胞を 注入した坐骨神経を採取し、神経浸潤距離を 測定した。コントロール群は、DMSO 1%液を同 の方法で投与した。使用したマウスの数は AG490群とDMSO群ともに7匹であった。
抗IL-6受容体抗体のマウス神経浸 モデルへの投与実験
 ヒトIL-6受容体を阻害する抗IL-6受容体抗体( 外製薬、トシリズマブ)を生理食塩水に溶解 し、マウス神経浸潤モデルにモデル作製1週 より、抗IL-6抗体阻害抗体 5μg/gを週2回投与 た。モデル作製から3週後にがん細胞を注入 した坐骨神経を採取し、神経浸潤距離を測定 した。コントロール群は、生理食塩水に溶解 したヒトIgG(Sigma)5μg/gを同様の方法で投与し 。使用したマウスの数は、抗IL-6受容体抗体  6匹、コントロール群4匹であった。
統計解析
 解析ソフトは、STATVIEW 5.0を用いた。平均値 の差の検定は、student-t両側検定を用いた。図 中のエラーバーは標準偏差を示すように作成 した。

 IL-6による細胞内シグナルとして重要なSTAT3 ン酸化のJAK(Janus Kinase)阻害剤AG490を、がん 胞注入2日後より12日間連日腹腔内投与する 、神経浸潤が抑制されることが明らかとな た(図9A)。この結果は、神経浸潤には、IL-6よ り下流の細胞内シグナルであるJAK-STATが重要 あることを示している。
 また、ヒトIL-6の阻害作用をするため、抗ヒ トIL-6受容体抗体をがん細胞注入1週後より週2 回投与を2週間継続すると、神経浸潤が抑制 れることが明らかとなった(図9B)。この結果 ら、ヒト膵癌神経浸潤が抗ヒトIL-6受容体抗 体により阻害されたと考えられる。

 本発明において、抗IL-6受容体抗体を投与 することにより、膵癌において神経浸潤を抑 制することが可能であることが示された。さ らに抗IL-6受容体抗体を投与することにより 膵癌の治療が可能であることが示された。