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Patent Searching and Data


Title:
NOVEL PSEUDOGLYCOLIPID AND USE THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102888
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a novel pseudoglycolipid useful for treatment of cancers and the like. Also disclosed are a novel synthesis intermediate of such a novel pseudoglycolipid, and a pharmaceutical product and the like containing such a novel pseudoglycolipid. Specifically disclosed is a compound represented by the general formula (1) below or a salt thereof. (In the formula, the symbols are as defined in the description.)

Inventors:
TASHIRO TAKUYA (JP)
MORI KENJI (JP)
FUHSHUKU KEN-ICHI (JP)
TANIGUCHI MASARU (JP)
NAKAGAWA RYUSUKE (JP)
WATARAI HIROSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053105
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
RIKEN (JP)
TASHIRO TAKUYA (JP)
MORI KENJI (JP)
FUHSHUKU KEN-ICHI (JP)
TANIGUCHI MASARU (JP)
NAKAGAWA RYUSUKE (JP)
WATARAI HIROSHI (JP)
International Classes:
C07C233/18; A61K31/164; A61P35/00; A61P37/04; A61P43/00; C07C233/36; C07C323/39
Domestic Patent References:
WO2007050668A12007-05-03
WO2003105769A22003-12-24
Foreign References:
US20050222048A12005-10-06
DE10128250A12001-12-20
Other References:
TSUNODA H. ET AL.: "Pseudo sugars, 34-Synthesis of 5a-carba-beta-D-glycosylceramide analogs linked by imino, ether and sulfide bridges", LIEBIFGS ANNALEN, no. 2, 1995, pages 267 - 277, XP000652072
See also references of EP 2133326A4
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J. IMMUNOL., vol. 161, 1998, pages 3271 - 3281
NAT. IMMUNOL., vol. 4, 2003, pages 1164 - 1165
BIOCHIM. BIOPHYS. ACTA, 1973, pages 315 - 335
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J. MED. CHEM., vol. 38, 1995, pages 2176 - 2187
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J. EXP. MED., vol. 198, 2003, pages 1631 - 1641
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CARBOHYDRATE RESEARCH, vol. 329, 2000, pages 7 - 16
TETRAHEDRON LETTERS, vol. 48, 2007, pages 3343 - 3347
Attorney, Agent or Firm:
TAKASHIMA, Hajime (Midosuji Bldg. 1-1, Fushimimachi,4-chome, Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 44, JP)
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Claims:
 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 R 1 が5a-カルバ-α-D-ガラクトピラノシル基である、請求項1記載の化合物又はその塩。
 R 1 が5a-カルバ-α-D-フコピラノシル基である、請求項1記載の化合物又はその塩。
 R 2 が炭素数1~28の置換又は非置換のアルキル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
 R 3 が炭素数1~28の置換又は非置換のアルキル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
 Xが酸素原子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
 Yが-CH(OH)-である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
 下記一般式(2)で表される化合物又はその塩。

[式中、R 1a は水酸基が保護されているα-カルバ糖残基を示し、R 3 は炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Y 1 は-CH 2 -、-CH(OA 1 )-又は-CH=CH-を示し、Zはアミノ基の保護基を示し、A 1 は水素原子又は水酸基の保護基を示す。但し、Y 1 が-CH(OA 1 )-である場合、2つのA 1 が一緒になって保護基を形成していてもよい。]
 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する、医薬。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する、免疫賦活剤。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する、選択的IFN-γ産生誘導剤。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する、抗癌剤。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩の有効量を対象に投与することを含む、免疫賦活方法。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩の有効量を対象に投与することを含む、選択的IFN-γ産生誘導方法。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩の有効量を対象に投与することを含む、癌の治療方法。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 免疫賦活剤を製造するための、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩の使用。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 選択的IFN-γ産生誘導剤を製造するための、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩の使用。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 抗癌剤を製造するための、下記一般式(1)で表される化合物又はその塩の使用。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
 下記一般式(1)で表される化合物又はその塩を含有する組成物、及び該組成物を、免疫賦活、選択的IFN-γ産生誘導または癌治療のために使用し得るか、または使用すべきであることを記載した記載物を含む商業パッケージ。

[式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。]
Description:
新規擬似糖脂質及びその用途

 本発明は、新規擬似糖脂質及びその用途 関し、詳細には糖の環内酸素原子をメチレ 基に変換したカルバ糖を骨格に有する新規 似糖脂質及びその医薬用途に関する。

 免疫系には、生体において自己の正常細 と異常細胞とを区別し、異常細胞のみを排 するための巧みな監視機能が存在する。し しその監視機能が破綻すると、突然変異等 よって生まれる異常細胞を排除することが きず、生体内での増殖を許してしまう。こ して増殖した異常細胞の塊が腫瘍、即ち癌 ある。

 癌の治療法は、外科手術による癌の摘出、 るいは抗癌剤の使用が主である。しかしな ら、これらの治療法は、摘出手術や抗癌剤 副作用による身体的な、あるいは手術痕に る精神的な負担をかける。
 その様な背景の中、免疫療法を併用した治 法が注目を集めている。免疫療法では、患 自身の免疫細胞数を増やし、さらに活性化 ることで癌細胞を攻撃する。癌細胞によっ 形成された腫瘍を小さくすることが出来れ 、その摘出手術による身体への負担は小さ 。また手術痕もわずかですむため、精神的 負担も大幅に軽減される。

 ナチュラルキラー(NK)T細胞は、他のリン 球系列(T, B, NK細胞)と異なる特徴を示す、 規リンパ球系列に属する免疫細胞である。NK T細胞内には細胞障害性パーフォリン顆粒が 在することからNK細胞と類縁である(非特許 献1)。しかしNKT細胞は、NK細胞マーカーのみ らずT細胞受容体(TCR)をも発現していること ら、決定的に異なる新たな細胞群であるこ が明らかとなっている(非特許文献2)。NKT細 は、免疫賦活作用を亢進させるヘルパーT(Th )-1細胞によって産生されるTh-1型サイトカイ (主にインターフェロン(IFN)-γ)と、免疫抑制 用を亢進させるTh-2細胞によって産生される Th-2型サイトカイン(主にインターロイキン(IL) -4)の両方を産生することができ(非特許文献3) 、これによって免疫系のバランスを調節して いる可能性が示唆されている(非特許文献4)。 したがって、NKT細胞の働きを制御することに よって、崩れた免疫系のバランスを調整し、 監視機能を強化させて癌を治療することが可 能となる。

 NKT細胞の特性として最も着目されている は、NKT細胞に発現しているTCRのα鎖が、あ 1つの種の間では全個体で同一であるという である。これは即ち、同種間の生物が持つN KT細胞は全て、同一の物質によって活性化さ るということを示している。このα鎖は、 トではVα24、ネズミではVα14であるが、両種 でも非常に高い相同性を持っている。また そのα鎖と対を成すβ鎖も、ごく限られた種 類しか知られていない。このため、このTCRは 「不可変型TCR」とも呼ばれている。

 生体内には、様々な種類のスフィンゴ糖脂 の存在が知られている。生体内のスフィン 糖脂質は一般的に様々な糖がセラミドとβ- 合しており、器官によってその存在量は異 るが、様々な器官の細胞膜中に存在してい (非特許文献5)。
 一方、糖がセラミドにα-結合しているスフ ンゴ糖脂質が、強力な免疫賦活作用及び抗 瘍活性を有することが近年報告された。ア ラスフィン類に代表されるα-ガラクトシル ラミドは、海綿の一種である Agelas mauritian us の抽出液より単離された糖脂質であり、NK T細胞を強く活性化することが知られている( 特許文献6)。
 α-ガラクトシルセラミドは、樹状細胞(DC)な どに代表される抗原提示細胞(APC)に取り込ま た後、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラ I分子に類似したCD1dタンパク質によって細胞 膜上に提示される。NKT細胞は、こうして提示 されたCD1dタンパク質とα-ガラクトシルセラ ドとの複合体を、TCRを用いて認識すること より活性化され、様々な免疫反応が開始さ る。

 α-ガラクトシルセラミドは、スフィンゴ ン塩基が長鎖脂肪酸によりアシル化されて 成されたセラミドに、ガラクトースがα-配 で結合したスフィンゴ糖脂質であるが、こ までに様々な類縁体が合成され、その構造 活性との相関関係が調査されている。一連 合成類縁体の中で、例えば、下記式(a)で表 れるα-ガラクトシルセラミド(以下、「α-Gal Cer」という)が最も強い活性を示すこと、更 は対応するβ-体(β-GalCer)には免疫賦活活性は 見られないことが明らかとなっている(非特 文献7)。

 近年、このようなNKT細胞の機能に着目し α-GalCerを有効成分として含有する治療薬が 案・開発されている。しかしながら、α-GalC erの投与によって活性化されたNKT細胞は、癌 療のために有用な、免疫賦活活性を誘導す サイトカインであるIFN-γを産生するととも 、免疫抑制作用を誘導するサイトカインで るIL-4や免疫調節作用を誘導するサイトカイ ンであるIL-10も同時に産生してしまう。その 果、免疫賦活活性の働きが抑制されてしま 、癌治療に対する効果が十分に得難くなる いう問題がある。

 近年、NKT細胞に対して免疫賦活作用を誘導 るサイトカインであるIFN-γを優先的に産生 せる糖脂質、α-C-GalCerが開発された(特許文 1~3、非特許文献8)。α-C-GalCerは、α-GalCerのグ ルコシド結合を形成する酸素原子をメチレン 基で置き換えた類縁体である。α-C-GalCerでは 糖とセラミドとの結合がグリコシド結合か 炭素-炭素結合へと変換されているため、生 体内での安定性が増大し、薬効が長時間持続 することが報告されている(非特許文献9)。し かし、α-C-GalCerがIFN-γを優先的に産生させる 由は未だ解明されていない。またIFN-γ/IL-4 も臨床上充分であるとは言い難く、更なる 上が求められている。

米国特許出願公開第2005/0222048号明細書

国際公開第2003/105769号パンフレット

独国特許出願公開第10128250号明細書 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1998, 95, 5690-5693 J. Immunol. 1995, 155, 2972-2983 J. Immunol. 1998, 161, 3271-3281 Nat. Immunol. 2003, 4, 1164-1165 Biochim. Biophys. Acta 1973, 315-335 Science 1997, 278, 1626-1629 J. Med. Chem. 1995, 38, 2176-2187 Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2004, 43, 3818-3822 J. Exp. Med. 2003, 198, 1631-1641

 本発明はこのような実情に鑑みてなされ ものであり、その解決しようとする課題は 治療に有効な新規擬似糖脂質及び該擬似糖 質の合成に有用な中間体を提供することに る。本発明はまた、該新規擬似糖脂質を含 する抗癌剤等の医薬を提供することを目的 する。

 本発明者らは上記課題を解決するため鋭 研究を重ねた結果、糖のピラノース環内酸 原子をメチレン基へと変換したカルバ糖を 格に有する擬似糖脂質が特定のサイトカイ を選択的に産生するとの知見を得た。更に 発明者らは詳細に検討したところ、特定サ トカインの選択的産生により特異的な免疫 活能が発現され、癌治療に極めて有効であ ことを見出し、本発明を完成するに至った

 すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]下記一般式(1)で表される化合物(以下、「 合物(1)」という)又はその塩。

 式中、R 1 はα-カルバ糖残基を示し、R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置 の炭化水素基を示し、Xは酸素原子、硫黄原 、-CH 2 -又は-NH-を示し、Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示す。

[2]R 1 が5a-カルバ-α-D-ガラクトピラノシル基である 、上記[1]記載の化合物又はその塩。
[3]R 1 が5a-カルバ-α-D-フコピラノシル基である、請 求項1記載の化合物又はその塩。
[4]R 2 が炭素数1~28の置換又は非置換のアルキル基 ある、上記[1]~[3]のいずれかに記載の化合物 はその塩。
[5]R 3 が炭素数1~28の置換又は非置換のアルキル基 ある、上記[1]~[4]のいずれかに記載の化合物 はその塩。
[6]Xが酸素原子である、上記[1]~[5]のいずれか 記載の化合物又はその塩。
[7]Yが-CH(OH)-である、上記[1]~[6]のいずれかに 載の化合物又はその塩。

[8]下記一般式(2)で表される化合物(以下、 化合物(2)」という)又はその塩。

 式中、R 1a は水酸基が保護されているα-カルバ糖残基を 示し、R 3 は炭素数1~28の置換又は非置換の炭化水素基 示し、Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、Y 1 は-CH 2 -、-CH(OA 1 )-又は-CH=CH-を示し、Zはアミノ基の保護基を し、A 1 は水素原子又は水酸基の保護基を示す。但し 、Y 1 が-CH(OA 1 )-である場合、2つのA 1 が一緒になって保護基を形成していてもよい 。

[9]化合物(1)又はその塩を含有する、医薬。
[10]化合物(1)又はその塩を含有する、免疫賦 剤。
[11]化合物(1)又はその塩を含有する、選択的IF N-γ産生誘導剤。
[12]化合物(1)又はその塩を含有する、抗癌剤
[13]化合物(1)又はその塩の有効量を対象に投 することを含む、免疫賦活方法。
[14]化合物(1)又はその塩の有効量を対象に投 することを含む、選択的IFN-γ産生誘導方法
[15]化合物(1)又はその塩の有効量を対象に投 することを含む、癌の治療方法。
[16]免疫賦活剤を製造するための、化合物(1) はその塩の使用。
[17]選択的IFN-γ産生誘導剤を製造するための 化合物(1)又はその塩の使用。
[18]抗癌剤を製造するための、化合物(1)又は の塩の使用。
[19]化合物(1)又はその塩を含有する組成物、 び該組成物を、免疫賦活、選択的IFN-γ産生 導または癌治療のために使用し得るか、ま は使用すべきであることを記載した記載物 含む商業パッケージ。

 本発明の化合物(1)又はその塩がAPCの持つCD1d タンパク質と複合体を形成しNKT細胞に提示さ れると、NKT細胞はこの複合体をTCRを介して認 識し、それ自身の有する免疫調節能のうち、 免疫細胞の働きを活性化するサイトカインの 一種であるIFN-γを選択的に且つ大量に産生さ せることができる。これにより、免疫賦活作 用が亢進され、異常細胞を有意に攻撃するこ とが可能になる。
 また、本発明の化合物(1)又はその塩は、α-G alCerに比べて生体内での安定性が極めて高め れており、しかも少量の投与でもNKT細胞を 力に活性化するため、従来公知の糖脂質に べてIFN-γ産生能を増大させることが可能で る。
 したがって、本発明の化合物(1)又はその塩 、癌治療に極めて有用であり、特に留意す き副作用がない点においても有効である。 の結果、従来の癌の摘出手術等による患者 の身体的、精神的負担を軽減できる。また 生物学的な試験・研究における試薬類とし も使用可能である。
 本発明の化合物(2)又はその塩は、化合物(1) はその塩の合成中間体として有用である。

試験例1におけるIFN-γ産生量の測定結果 を示す図である。図中、μg/kgはμg/kg体重を示 す。 試験例1におけるIL-4産生量の測定結果 示す図である。図中、μg/kgはμg/kg体重を示 。 試験例2における生存率を示す図である 。 試験例3におけるIFN-γ及びIL-4の産生量 測定結果を示す図である。

 以下、本発明をその好適な実施形態に即し 詳細に説明する。
 先ず、本明細書において使用する式中の記 の定義を説明する。
 R 1 はα-カルバ糖残基を、R 1a は水酸基が保護されているα-カルバ糖残基を 、それぞれ示す。R 1a のα-カルバ糖残基は、通常、すべての水酸基 が保護されている。ここで、「カルバ糖残基 」とは、糖の環内酸素原子をメチレン基に変 換した擬似糖質における還元末端水酸基を除 いた残基をいう。
 カルバ糖残基としては、例えば、5a-カルバ- α-D-ガラクトピラノシル、5a-カルバ-α-D-グル ピラノシル、5a-カルバ-α-D-フコピラノシル 好適である。

 カルバ糖残基における水酸基の保護基とし は、例えば、アシル基、t-ブチルジメチル リル(TBS)基、トリメチルシリル(TMS)基、ベン ル(Bn)基、p-メトキシベンジル(PMB)基等が例 される。中でも、Bn基、PMB基が好適である。
 本明細書において「アシル基」とは、例え 、ホルミル基;アルキル-カルボニル基(例え 、アルキル部分が、炭素数1~24(好ましくは 素数1~12)の直鎖若しくは分岐状のアルキル基 である、アルキル-カルボニル基(例えば、ア チル基、プロピオニル基、ブチリル基、イ ブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、 キサノイル基));シクロアルキル-カルボニル 基(例えば、シクロアルキル部分が、炭素数3~ 10のシクロアルキル基である、シクロアルキ -カルボニル基);アルケニル-カルボニル基( えば、アルケニル部分が炭素数2~12の直鎖若 くは分岐状のアルケニル基である、アルケ ル-カルボニル基(例えば、アクリロイル基 メタクリロイル基));アリール-カルボニル基( 例えば、アリール部分が、炭素数6~14のアリ ル基である、アリール-カルボニル基(例えば 、ベンゾイル基、ナフトイル基))等をいう。 リール-カルボニル基におけるアリール基と は、例えば、単環~3環式芳香族炭化水素基を し、具体的に例えば、フェニル基、ナフチ 基、アントリル基、フェナントリル基が例 される。中でも、アシル基としては、ホル ル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチ ル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、ナ トイル基等が好ましく、アセチル基、ベン イル基がより好ましい。

 R 2 及びR 3 はそれぞれ独立に炭素数1~28の置換又は非置 基の炭化水素基を示すが、本明細書におい 「炭化水素基」とは、置換又は非置換の、 素数1~28のアルキル基、炭素数2~28のアルケニ ル基、炭素数2~28のアルキニル基、炭素数3~28 シクロアルキル基、炭素数3~28のシクロアル ケニル基、炭素数6~14のアリール基をも包含 る概念であり、直鎖状、分岐状及び環状の ずれの形態であってもよく、また飽和炭化 素基でも不飽和炭化水素基でもよく、不飽 結合を分子内及び末端のいずれに有してい もよい。中でも、R 2 及びR 3 としては、炭素数1~28の置換又は非置換のア キル基が好ましい。

 R 2 及びR 3 で示される炭化水素基の置換基としては、ハ ロゲン(好ましくは塩素原子、フッ素原子);メ トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソ プロポキシ基、ブトキシ基、tert-ブトキシ基 のアルコキシ基(好ましくは炭素数1~24、よ 好ましくは炭素数1~16、更に好ましくは炭素 1~10、特に好ましくは炭素数1~4);フェノキシ 等のアリールオキシ基(好ましくは炭素数6~1 4);水酸基;アミノ基;メチルアミノ基、ジメチ アミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミ 基等のアルキルアミノ基;シクロアルキルア ミノ基;アセトアミド基等のアルキルカルボ ルアミノ基;シクロアルキルカルボニルアミ 基;ベンゾイルアミノ基等のアリールカルボ ニルアミノ基(好ましくは、アリール部分の 素数が6~14のアリール基である、アリールカ ボニルアミノ基)等の電子供与性基、更には カルボキシル基;アルコキシカルボニル基;ア ル基(アシル基としては前述の通りである。 好ましくはアルキル部分が炭素数1~24の直鎖 は分岐状のアルキル基である、アルキル-カ ボニル基);カルバモイル基;トリフルオロメ ル基等の電子求引性基が例示される。
 上記アルキルアミノ基、アルキルカルボニ アミノ基のアルキル部分としては、メチル 、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル 、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基 tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘ プチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基 、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基 、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサ デシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基 等の直鎖または分岐状のアルキル基(好まし は炭素数1~24、より好ましくは炭素数1~16、更 に好ましくは炭素数1~10、特に好ましくは炭 数1~4)が例示される。
 上記シクロアルキルアミノ基、シクロアル ルカルボニルアミノ基のシクロアルキル部 としては、シクロペンチル基、シクロヘキ ル基等のシクロアルキル基(好ましくは炭素 数3~24、より好ましくは炭素数3~16、更に好ま くは炭素数3~10、特に好ましくは炭素数3~6) 例示される。
 上記アルコキシカルボニル基のアルコキシ 分としては上記アルコキシ基と同様のもの 例示される。

 上記した置換基は、置換可能な位置に、さ に、ハロゲン、アルキル基、シクロアルキ 基、アルケニル基、アルキニル基、フェニ 基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、ア キルアミノ基及びシクロアルキルアミノ基 うちの少なくとも1種で置換されていてもよ い。
 該ハロゲン、アルコキシ基、アルキルアミ 基、シクロアルキルアミノ基としては上記 同様のものが例示される。
 該アルキル基としては、メチル基、エチル 、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル 基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル 基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、 オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシ ル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデ シル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、 ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキ ル基(好ましくは炭素数1~24、より好ましくは 素数1~16、更に好ましくは炭素数1~10、特に ましくは炭素数1~4)が例示される。
 該シクロアルキル基としては、シクロペン ル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキ 基(好ましくは炭素数3~24、より好ましくは 素数3~16、更に好ましくは炭素数3~10、特に好 ましくは炭素数3~6)が例示される。
 該アルケニル基としては、ビニル基、プロ ニル基、ブテニル基等のアルケニル基(好ま しくは炭素数2~24、より好ましくは炭素数2~16 更に好ましくは炭素数2~10、特に好ましくは 炭素数2~4)が例示される。
 該アルキニル基としては、エチニル基、プ パルギル基、ブチニル基、ペンチニル基等 アルキニル基(好ましくは炭素数2~24、より ましくは炭素数2~16、更に好ましくは炭素数2 ~10、特に好ましくは炭素数2~4)が例示される

 中でも、R 2 としては、置換又は非置換のアルキル基が好 適であり、その炭素数は好ましくは18~26、よ 好ましくは24~26である。また、R 2 としては、直鎖状のアルキル基が好ましい。 R 2 としては、具体的には例えば、-(CH 2 ) 23 -CH 3 、-(CH 2 ) 24 -CH 3 、-(CH 2 ) 25 -CH 3 等が挙げられる。
 また、R 3 としては、置換又は非置換のアルキル基が好 適であり、その炭素数は好ましくは9~20、よ 好ましくは12~18である。また、R 3 としては、直鎖状のアルキル基が好ましい。 R 3 としては、具体的には例えば、-(CH 2 ) 11 -CH 3 、-(CH 2 ) 12 -CH 3 、-(CH 2 ) 13 -CH 3 、-(CH 2 ) 14 -CH 3 、-(CH 2 ) 15 -CH 3 、-(CH 2 ) 16 -CH 3 、-(CH 2 ) 17 -CH 3 等が挙げられる。

 Xは酸素原子、硫黄原子、-CH 2 -又は-NH-を示し、中でも酸素原子、硫黄原子 -NH-が好ましく、酸素原子がより好ましい。
 Yは-CH 2 -、-CH(OH)-又は-CH=CH-を示し、中でも-CH(OH)-が好 適である。
 Y 1 は-CH 2 -、-CH(OA 1 )-又は-CH=CH-を示し、中でも-CH(OA 1 )-が好適である。なお、A 1 は後述の通りである。
 A 1 は水素原子又は水酸基の保護基を示し、水酸 基の保護基としてはアシル基、TBS基、Bn基、P MB基等が例示される。アシル基としては、前 の通りである。中でも、TBS基、Bn基が好適 ある。
 Y 1 が-CH(OA 1 )-である場合、2つのA 1 は同一であっても異なっていてもよいが同一 であることが好ましい。
 Y 1 が-CH(OA 1 )-である場合、2つのA 1 が一緒になってジオールの保護基を形成して いてもよい。該ジオールの保護基としては、 例えば、

で示される基(すなわち、ジオールを保護し アセトナイドを形成する基)等が挙げられる
 Zはアミノ基の保護基を示すが、例えば、ア シル基、TBS基、Bn基、PMB基、9-フルオレニル トキシカルボニル(Fmoc)基、ベンジルオキシ ルボニル(Cbz)基、トシル基等が例示される。 アシル基としては、前述の通りである。中で も、Bn基、PMB基が好適である。

 本発明においては、カルバ糖の環状構造に 来する立体異性体の中でα体を採用するが β体ではサイトカイン産生能が極めて低下す るとの知見を本発明者らは得ている。
 化合物(1)及び化合物(2)が立体異性体を有す 場合には、いずれの異性体も本発明に包含 れ、2種以上の異性体の任意の割合の混合物 (ラセミ体を含む)であってもよい。
 特に、化合物(1)には、脂質部分の不斉炭素 由来する少なくとも4種の光学異性体が存在 するが、本発明においては、単一の光学活性 体であっても、2種以上の光学活性体の任意 割合の混合物(ラセミ体を含む)であってもよ い。-NHCOR 2 が結合する不斉炭素はS配置が好適である。-N HCOR 2 が結合する不斉炭素に隣接し-OHを有する不斉 炭素は、-NHCOR 2 が結合する不斉炭素に対してantiの配置が好 である。Yが-CH(OH)-の場合、Yで示される-CH(OH) -中の不斉炭素はR配置が好ましい。
 また、化合物(2)には、脂質部分の不斉炭素 由来する光学異性体が存在するが、本発明 おいては、単一の光学活性体であっても、2 種以上の光学活性体の任意の割合の混合物( セミ体を含む)であってもよい。-NHZが結合す る不斉炭素はS配置が好適である。-NHZが結合 る不斉炭素に隣接し-OA 1 を有する不斉炭素は、-NHZが結合する不斉炭 に対してantiの配置が好適である。Y 1 が-CH(OA 1 )-の場合、Y 1 で示される-CH(OA 1 )-中の不斉炭素はR配置が好ましい。

 化合物(1)としては、

(式中、各記号は、前述と同義を示す。)等が げられる。
 化合物(2)としては、

(式中、各記号は、前述と同義を示す。)等 挙げられる。

 化合物(1)及び化合物(2)の塩としては、薬 的に許容される塩が好ましく、例えば、塩 塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸 、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩;コハク酸 塩、フマル酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸 塩、トルエンスルホン酸塩等の有機酸塩;ナ リウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩; グネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ 類金属塩;アンモニウム塩、アルキルアンモ ニウム塩等のアンモニウム塩等を挙げること ができる。

 本発明における好適な化合物(1)の具体例 表1~5に示すが、これらに限定されるもので ない。

 中でも、特に好適な化合物として、以下の 合物が挙げられる。
[1](2S,3S,4R)-1-(5a-カルバ-α-D-ガラクトピラノシ オキシ)-2-(ヘキサコサノイルアミノ)-3,4-オ タデカンジオール(化合物11’)
[2](2S,3S,4R)-1-(5a-カルバ-α-D-ガラクトピラノシ チオ)-2-(ヘキサコサノイルアミノ)-3,4-オク デカンジオール(化合物25’)
[3](2S,3S,4R)-1-(5a-カルバ-α-D-グルコピラノシル キシ)-2-(ヘキサコサノイルアミノ)-3,4-オク デカンジオール(化合物31’)
[4](2S,3S,4R)-1-(5a-カルバ-α-D-グルコピラノシル オ)-2-(ヘキサコサノイルアミノ)-3,4-オクタ カンジオール(化合物45’)
[5](2S,3S,4R)-1-(5a-カルバ-α-D-フコピラノシルオ シ)-2-(ヘキサコサノイルアミノ)-3,4-オクタ カンジオール(化合物51’)

 本発明における好適な化合物(2)の具体例 しては、実施例に記載の化合物(2-1)、(2-2)、 (2-3)、(2-4)が挙げられるが、これらに限定さ るものではない。

 次に、本発明の化合物(1)及び(2)の製造方法 ついて好適な実施形態について説明する。 発明の化合物は種々の方法で製造すること できるが、例えば、下記Scheme 1に記載の方 またはこれに準ずる方法にしたがって製造 ることが可能である。Scheme中、Aは水酸基の 保護基を示し、その他の各記号は前述と同義 を示す。Aで示される水酸基の保護基として 、前述のA 1 で示される水酸基の保護基と同様のものが例 示される。なお、下記化合物(2’)及び化合物 (2’’)は、本発明の化合物(2)に包含される。

 原料化合物(A)は、例えばTetrahedron Letters, 2007, 48, 3343-3347に記載の方法またはこれに ずる方法に従って調製できる。原料化合物(B )は、例えば The Journal of Organic Chemistry, 200 4, 69, 7694-7699に記載の方法またはこれに準ず る方法に従って調製できる。

(step1)
 step1は、化合物(A)を塩基存在下に化合物(B) 反応させて化合物(2’)を得る工程である。 薬の添加順序は特に限定はないが、例えば 化合物(A)を溶媒に溶解し、これに化合物Bの 液を加えて塩基存在下で反応させる。この 合、-20℃~室温の温度で試薬を添加し、添加 後50~100℃程度で加熱熟成することが好ましい 。また、反応時間は使用する試薬により適宜 設定することが可能であるが、通常1~48時間 好ましくは10~20時間である。なお、化合物(A) の使用量は、化合物(B)に対して通常0.2~2当量 好ましくは0.5~1当量である。

 塩基としては、例えば、水素化アルカリ 属(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリ ウム)、アルカリ金属アルコキシド(例えば、 トリウムメトキシド、カリウムメトキシド ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシ 、ナトリウムプロポキシド、カリウムプロ キシド、ナトリウム2-プロポキシド、カリ ム2-プロポキシド)、強塩基性有機アミン(例 ば、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ-7-エ (DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN ))、有機アミンアルカリ金属塩(例えば、リチ ウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリ ムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウ ビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムジ イソプロピルアミド)、強塩基性アルキルア カリ金属塩(例えば、メチルリチウム、ブチ リチウム)が例示され、中でも、水素化ナト リウム、ナトリウムビス(トリメチルシリル) ミドが好適に使用される。塩基の使用量は 化合物(A)に対して、通常1~5当量、好ましく 1~3当量である。

 溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルム アミド、エーテル類(例、ジエチルエーテル テトラヒドロフラン)等の非プロトン性溶媒 挙げられ、これらを2種以上混合して使用し てもよい。溶媒の使用量は、化合物(A)に対し て、通常10~100倍容量、好ましくは20~50倍容量 ある。
 反応終了後、反応液を濃縮し残渣に溶媒(例 えば、エーテル類)を加え、冷却下で酸(例え 、硫酸水溶液)を加える。次いで、溶液を塩 基(例えば、炭酸ナトリウム)で中和した後、 液し有機層を飽和食塩水等で洗浄して、無 硫酸マグネシウム等で乾燥する。そして、 液をろ過後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をカ ムクロマトグラフィーにより精製すること 化合物(2’)を得ることができる。

(step2)
 step2は、化合物(2’)の-OAにおける保護基Aを 去して化合物(2”)を得る工程である。アミ 基の保護基の種類によっては、この段階で 保護することも可能である。除去方法は保 基の種類により選択されるが、例えば、溶 中で化合物(2’)と酸とを反応させる。
 酸としては、トリフルオロ酢酸、p-トルエ スルホン酸、塩酸等の強酸が好適に使用さ る。酸の使用量は、化合物(2’)に対して、 常触媒量~10倍当量、好ましくは1~2倍当量で る。
 反応温度は通常0℃~加熱還流温度、好まし は室温~加熱還流温度であり、反応時間は通 2~12時間、好ましくは2~4時間である。

 溶媒としては、例えば、低級アルコール(例 えば、メタノール、エタノール)、ハロゲン 炭化水素類(例えば、ジクロロメタン、クロ ホルム)、エーテル類(例、ジエチルエーテ 、テトラヒドロフラン)が例示され、これら 混合して使用してもよい。溶媒の使用量は 化合物(2’)に対して通常5~100倍容量、好ま くは10~50倍容量である。
 反応終了後、反応液を濃縮し残渣を溶媒(例 えば、酢酸エチル等のエステル類)で希釈す 。次いで、溶液を塩基性水溶液(例えば、炭 水素ナトリウム水溶液)で中和した後、分液 し有機層を飽和食塩水等で洗浄して、無水硫 酸マグネシウム等で乾燥する。そして、溶液 をろ過後、ろ液を減圧濃縮し、残渣をカラム クロマトグラフィーにより精製することで化 合物(2’’)を得ることができる。

(step3)
 step3は、化合物(2’’)におけるカルバ糖部 の水酸基の保護基及びアミノ基の保護基を 去して化合物(3)を得る工程である。この工 においては、例えば、化合物(2’’)を溶媒 で酸及び還元触媒の存在下に反応させる。
 溶媒としては、アルコール溶媒とハロゲン 媒との混合溶媒が好適であり、より好まし はメタノールとクロロホルムとの混合溶媒 ある。溶媒の使用量は、化合物(2’’)に対 て、通常10~50倍容量、好ましくは10~20倍容量 である。

 還元触媒としては、パラジウム-C、水酸化 ラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等が げられる。還元触媒の使用量は、化合物(2’ ’)に対して触媒量であればよい。
 酸としては、塩酸、酢酸、トリフルオロ酢 、p-トルエンスルホン酸等が挙げられる。 の使用量は、化合物(2’’)に対して、通常 媒量~10当量、好ましくは1~2当量である。
 反応時間は通常1~24時間、好ましくは12~24時 である。反応温度は通常0℃~加熱還流温度 好ましくは室温~加熱還流温度である。
 反応終了後、反応液をろ過し、ろ液を減圧 縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーに り精製することで化合物(3)を得ることがで る。なお、本工程においては化合物(3)を単 精製することなく、反応液をろ過しろ液を 縮した後、次工程を行なってもよい。

(step4)
 step4は、化合物(3)に酸ハロゲン化物を反応 せて化合物(1)を得る工程である。具体的に 、化合物(3)を溶媒中で塩基存在下に酸ハロ ン化物(例えば、R 2 -COX’(式中、R 2 は前述と同義であり、X’は例えば塩素原子 挙げられる。))と反応させる。酸ハロゲン化 物の使用量は、化合物(3)に対して、通常1~2当 量、好ましくは1~1.2当量である。
 溶媒としては、本反応を阻害しないもので れば特に限定さないが、例えばアルコール 媒とハロゲン溶媒との混合溶媒(例えばメタ ノールとクロロホルムとの混合溶媒)が好適 使用される。溶媒の使用量は、化合物(3)に して、通常1~20倍容量、好ましくは5~10倍容量 である。
 塩基としては、例えば、4-(N,N-ジメチルアミ ノ)ピリジン、トリエチルアミンが例示され 中でもトリエチルアミンが好適である。塩 の使用量は、化合物(3)に対して、通常1~5当 、好ましくは2~3当量である。
 反応温度は、通常0℃~加熱還流温度、好ま くは0℃~室温であり、反応時間は通常10分~48 間、好ましくは10~20時間である。

 反応終了後、反応液を濃縮し残渣を水とメ ノールとの混合溶媒で洗浄後に、カラムク マトグラフィーにより精製することにより 合物(1)を収率よく得ることができる。
 なお、化合物(A)としてα-体か、あるいはβ- を選択することにより、各異性体を作り分 ることが可能である。

 なお、Xが-CH 2 -である化合物(1)は、例えば、Carbohydrate Resear ch 2000, 329, 7-16に記載の方法にしたがって、 R 1a -OHよりR 1a -CH 2 -M(式中、Mはアルカリ金属を示す。)を合成し これを化合物(A)のかわりに用いて化合物(B) 反応させ、cheme 1にしたがって製造するこ が可能である。

 上記のようにして得られた本発明の化合 (1)及び化合物(2)は、自体公知の方法あるい それに準ずる方法によって、目的とする塩 変換することができる。

 次に、本発明の医薬用途について説明する
 本発明の化合物(1)又はその塩を投与するこ により、APCの持つCD1dタンパク質と複合体を 形成し、NKT細胞に提示される。NKT細胞は、こ の複合体をTCRを介して認識し、それ自身の有 する免疫調節能のうち、免疫細胞の働きを活 性化するサイトカインの一種であるIFN-γを選 択的かつ大量に産生する一方で、IL-4の産生 抑制することが可能である。具体的には、IF N-γ/IL-4比が5以上であり、従来公知の糖脂質 比べて極めて高い選択的IFN-γ産生が確認さ た(図1及び2参照)。したがって、本発明の化 物(1)又はその塩は、腫瘍増殖の阻害のため 抗癌剤、免疫賦活剤、更には細胞増殖障害 Th1/Th2免疫バランスを是正のための治療に有 用である。

 癌治療の対象としては、例えば、食道、胃 腎、肝臓、膵臓、乳房、結腸、腎臓、肺(小 細胞肺癌、非小細胞肺癌を含む)、胆嚢、卵 、精巣、膀胱、頸部、甲状腺、前立腺及び 膚(扁平上皮細胞癌を含む)の腫瘍;リンパ系 の造血腫瘍(白血病、急性リンパ性白血病、 性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T 胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキ リンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、バーキ トリンパ腫を含む);骨髄系統の造血腫瘍(急 及び慢性の骨髄性白血病、骨髄異形成症候 及び前骨髄急性白血病を含む);間葉起源の腫 瘍(線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む);中枢神経 系及び末梢神経系の腫瘍(星状膠細胞腫、神 芽細胞腫、神経膠腫及び神経鞘腫を含む);他 の腫瘍(黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫 色素性乾皮症、ケラトアカントーマ(keratoacan thoma)、甲状腺濾胞癌、カポージ肉腫を含む) 例示され、これらに限定されない。
 また、細胞増殖障害とは、家族性腺腫性ポ ポーシス、乾癬、良性前立腺過形成、神経 維腫症、アテローム性動脈硬化症に関連す 血管平滑細胞増殖、肺繊維症、関節炎、糸 体腎炎、術後の狭窄、再狭窄を含む概念で る。

 また、本発明の化合物(1)又はその塩は、 -GalCerに比べて生体内での安定性が非常に高 、更には微量に投与した場合でもNKT細胞が 性化される。このような効果が奏される理 は必ずしも明らかではないが、本発明の化 物(1)が糖の環内酸素原子をメチレン基に変 した擬似糖質を骨格として有するため、ガ クトシダーゼ抵抗性が増大していることに 因するものと本発明者らは推察する。

 本発明の化合物(1)又はその塩の投与対象 、ヒト等の哺乳動物等が挙げられる。

 本発明の化合物(1)又はその塩をヒトに投 する場合、それ自体又はそれを薬理学的に 容される担体(例えば、賦形剤、希釈剤)等 混合し、経口投与剤(例えば、散剤、顆粒剤 錠剤、カプセル剤)、非経口投与剤(例えば 注射剤、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)) の医薬組成物として経口的又は非経口的に 全に投与することができる。これらの製剤 、従来公知の方法により製造することがで る。

 注射剤としては、皮下注射、静脈内注射 筋肉内注射、腹腔内注射又は点滴剤等が挙 られる。注射剤は、化合物(1)又はその塩を 溶化剤(例えば、β-シクロデキストリン類) 分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロー 、アルギン酸ナトリウム)、保存剤(例えば, チルパラベン、プロピルパラベン、ベンジ アルコール、クロロブタノール)、等張化剤 (例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、ソ ビトール、ブドウ糖)等とともに常法にした って水性注射剤にすることもできる。また 植物油(例えば、オリーブ油、ゴマ油、ラッ カセイ油、綿実油、コーン油)、プロピレン リコール等に溶解、懸濁又は乳化して油性 射剤にすることもできる。

 経口投与剤は、化合物(1)又はその塩に、 えば、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、デンプ ン)、崩壊剤(例えば、デンプン、炭酸カルシ ム)、結合剤(例えば、デンプン、アラビア ム、カルボキシメチルセルロース、ポリビ ルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロ ス)又は滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン 酸マグネシウム、ポリエチレングリコール) を適宜添加して圧縮成形し、次いで必要に じてヒドロキシプロピルメチルセルロース のコーティングを施すことにより製造する ともできる。坐剤は、化合物(1)又はその塩 、非刺激性の賦形剤(例えば、ポリエチレン リコール、高級脂肪酸のグリセライド)とを 混合して製造することができる。

 化合物(1)又はその塩の投与量は、年齢、 重、症状、剤形、投与方法、投与期間など より異なるが、例えば、患者(成人、体重約 60kg)一人あたり、通常、1日0.1~1mg/kg体重、好 しくは0.5~1mg/kg体重、より好ましくは0.8~1mg/kg 体重であり、これを1回から数回に分けて経 又は非経口投与することができる。

 本発明は、また、化合物(1)又はその塩を 有する組成物(医薬組成物)、及び該組成物 、免疫賦活、選択的IFN-γ産生誘導または癌 療のために使用し得るか、または使用すべ であることを記載した記載物を含む商業パ ケージにも関する。

 以下、本発明を実施例によって更に具体 に説明するが、本発明は以下の実施例に限 されるものではない。

(実施例1)
(1)化合物2-1の合成

 化合物(A1)(440 mg, 0.817 mmol)のN,N-ジメチル ホルムアミドとテトラヒドロフランとの混合 溶液(2:1, 15 mL)に、氷冷下で水素化ナトリウ (60% ミネラルオイル懸濁物,107 mg, 2.68 mmol) を加えた。氷冷下で25分間撹拌した後、化合 (B1)(621 mg, 1.22 mmol)のテトラヒドロフラン(5  mL)溶液を加えた。反応液を80℃下で終夜撹 した。反応溶液に、さらに水素化ナトリウ (60%ミネラルオイル懸濁物,105 mg, 2.63 mmol)と 化合物(B1)(539 mg, 1.06 mmol)のテトラヒドロフ ン(5 mL)溶液を加えた。さらに80℃下で5時間 撹拌した後に室温まで冷却し、減圧濃縮によ り大部分の溶媒を留去した。残渣にジエチル エーテル(20 mL)を加え、氷冷下で20%硫酸水溶 (20 mL)を加えた。15分間撹拌した後、炭酸ナ トリウム(約 8 g)を用いて中和した。混合液 氷冷下で40分間撹拌した後、酢酸エチルで 釈した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリ ム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸 グネシウムで乾燥した。濾過後、減圧濃縮 より溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラ クロマトグラフィー(20 g, ヘキサン-酢酸エ ル= 8 : 1)により精製し、化合物(2-1)(599 mg,  76%)を淡黄色油状として得た。

n D 21  = 1.5177
[α] D 22  = +40.6 (c = 1.73, CHCl 3 )
IR (film): ν max  = 3320 (w, NH), 1605 (w, arom.), 1585 (w, arom.),  1495 (m, arom.), 1095 (br.s, C-O), 735 (s, arom.),  695 (s, arom.) cm -1
1 H NMR (400 MHz, CDCl 3 , 25 ℃): δ = 7.35-7.20 (m, 25H, Ph×2), 4.98 (d , J = 12 Hz, 1H, PhCH), 4.77 (d, J =12 Hz, 1H,  PhCH), 4.73 (d, J = 12 Hz, 1H, PhCH), 4.70 (d, J = 12 Hz, 1H, PhCH), 4.69 (d, J = 12 Hz, 1H, PhC H), 4.50 (d, J = 12 Hz, 1H, PhCH), 4.43 (s, 2H,  PhCH×2), 4.12 (br s, 1H, 4'-H), 4.12-4.03 (m, 2H,  2'-, 3-H), 3.93-3.82 (m, 4H, 1'-, 3'-, 4-H, 1-H a , PhCH a N), 3.72-3.67 (m, 1H, 1-H b ), 3.68 (d, J = 13 Hz, 1H, PhCH b N), 3.51 (t, J = 8.8 Hz, 1H, 6'-H a ), 3.32-3.28 (m, 1H, 6'-H b ), 2.76 (ddd, J = 8.4, 4.0, 3.6 Hz, 1H, 2-H), 2.2 2-2.13 (m, 1H, 5'-H), 1.74-1.23 (m, 28 H, 5a'-, 5-,  6-, 7-, 8-, 9-, 10-, 11-, 12-, 13-, 14-, 15-, 16 -, 17-H 2 ), 1.38 (s, 3H, CCH 3 ), 1.27 (s, s, 3H, CCH 3 ), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3H, 18-H 3 ) ppm 
13 C NMR (100 MHz, CDCl 3 , 25 ℃): δ = 140.8, 139.6, 139.3, 138.4, 128.4, 128.3, 128.22, 128.17, 128.11, 127.7, 127.63, 127.58,  127.4, 127.3, 127.2, 127.1, 126.8, 107.3, 81.3, 80. 1, 78.3, 76.2, 75.7, 74.5, 73.15, 73.12, 72.4, 70.8,  68.2, 56.5, 51.2, 35.8, 31.9, 29.71, 29.66, 29.61, 29.5, 29.3, 28.3, 26.6, 26.2, 25.9, 22.7, 14.1 ppm

(1)化合物2-2の合成

 化合物(2-1)(515 mg, 0.532 mmol)のメタノール とジクロロメタンの混合溶液(1 : 1, 40 mL)に p-トルエンスルホン酸1水和物(165 mg, 0.867 mmo l)を加え、10時間加熱還流下で撹拌した。室 まで冷却した後に減圧濃縮して溶媒を留去 た。残渣を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸 素ナトリウム水溶液を用いて中和した。有 層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和 塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾 した。濾過後、減圧濃縮により溶媒を留去 、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフ ー(20 g, クロロホルム-メタノール = 100 :  1)により精製し、化合物(2-2)(481 mg, 97%)を無 針状晶として得た。

mp = 44.5-47.0 ℃
[α] D 23  = +31.0 (c = 1.40, CHCl 3 )
IR (KBr): ν max  = 3450 (br.s, OH), 3340 (w, NH), 1605 (w, arom.),  1585 (w, arom.), 1495 (s, arom.), 1095 (br.s, C-O) , 745 (s, arom.), 695 (s, arom.) cm -1
1 H NMR (400 MHz, CDCl 3 , 25 ℃): δ = 7.22-7.39 (m, 25 H, Ph×5), 4.95  (d, J = 11 Hz, 1H, PhCH), 4.84 (d, J = 12 Hz, 1 H, PhCH), 4.75 (s, 2H, PhCH×2), 4.69 (d, J = 12  Hz, 1H, PhCH), 4.47 (d, J = 11 Hz, 1H, PhCH), 4.4 2 (s, 2H, PhCH×2), 4.09 (br s, 1H, 4'-H), 3.94-3.8 9 (m, 2H, 1-H b , 2'-H), 3.84 (d, J = 13 Hz, 1H, PhCH a N), 3.72 (d, J = 13 Hz, 1H, PhCH b N), 3.78-3.74 (m, 2H, 1-H b , 3'-H), 3.68-3.61 (m, 2H, 1'-, 4-H), 3.46 (t, J =  8.8 Hz, 1H, 6'-H a ), 3.38 (t, J = 8.0 Hz, 1H, 3-H), 3.26 (dd, J = 8.8, 5.6 Hz, 1H, 6'-H b ), 2.80 (br d, J = 8.0 Hz, 1H, 2-H), 2.12-2.02 (m , 1H, 5'-H), 1.79-1.69 (m, 1H, 5-H b ), 1.57-1.20 (m, 27H, 5-H a , 5a'-, 6-, 7-, 8-, 9-, 10-, 11-, 12-, 13-, 14-,  15-, 16-, 17-H 2 ), 0.88 (t, J = 7.2 Hz, 3H, 18-H 3 ) ppm
13 C NMR (100 MHz, CDCl 3 , 25 ℃): δ = 139.4, 139.1, 138.7, 138.2, 137.9, 128.5, 128.37, 128.34, 128.24, 128.21, 128.1, 127.8, 127.7, 127.6, 127.43, 127.35, 127.30, 81.7, 79.5, 76 .8, 75.7, 75.4, 74.6, 73.8, 73.2, 73.0, 71.2, 70.6, 67.1, 62.1, 51.0, 35.8, 34.7, 31.9, 30.0, 29.81, 29 .74, 29.71, 29.65, 29.3, 27.2, 25.2, 22.7, 14.1 ppm

(3)化合物11’の合成

 化合物(2-2)(249 mg, 0.268 mmol)のメタノール(10  mL)溶液にシクロヘキセン(2 mL)と1N塩酸(268  L, 0.268 mmol)、10%パラジウム-活性炭(100 mg)を 順に加え、加熱還流下で6時間撹拌した。室 まで冷却した後にクロロホルム-メタノール( 5 : 1)混合溶媒で希釈し、セライト濾過によ パラジウム-活性炭触媒を除いた。濾液を減 圧濃縮して溶媒を留去し、脱ベンジル化され た中間体(144 mg, quant.)を無色固体として得た 。
 得られた中間体のクロロホルムとメタノー の混合溶液(5:1, 30 mL)に、トリエチルアミ (90 μL, 0.65 mmol)と塩化セロチル(ClCO(CH 2 ) 24 CH 3 , 117 mg, 0.282 mmol)を順に加え、室温下で20時 間撹拌した。減圧濃縮して溶媒を留去し、残 渣を水とメタノールの混合溶液(2:1)で洗浄し 。減圧乾燥後、シリカゲルカラムクロマト ラフィー(20 g, クロロホルム-メタノール =  10 : 1)により精製し、化合物11’(138 mg, 60% )を無色粉末として得た。

mp = 147-149 ℃
[α] D 23  = +27.8 (c = 0.32, pyridine)
IR (KBr): ν max  = 3360 (br.s, OH), 3280 (m, NH), 2960 (m, CH), 2 920 (s, CH), 2850 (s, CH), 1640 (br.s, CO), 1545 ( br.m, δNH), 1470 (m, CH 2 ), 1075 (br.m, C-O), 960 (w), 890 (w), 720 (m) cm -1
1 H NMR (400 MHz, pyridine-d 5 , 25 ℃): δ = 8.43 (d, J = 8.4 Hz, 1H, NH), 6 .85-6.82 (m, 1H, OH), 6.37 (d, J = 6.4 Hz, 1H, OH ), 6.31-6.28 (m, 1H, OH), 6.07 (d, J = 5.2 Hz, 1H , OH), 6.00-5.98 (m, 1H, OH), 5.97 (t, J = 5.4 Hz , 1H, OH), 5.21-5.18 (m, 1H, 2-H), 4.69 (br.s, 1H, 4''-H), 4.50 (dd, J = 10, 4.0 Hz, 1H, 1-H a ), 4.47-4.43 (m, 1H, 2''-H), 4.34-4.18 (m, 5H, 3-,  4-, 1''-, 3''-H, 6''-H a ), 4.26 (dd, J = 10, 5.2 Hz, 1H, 1-H b ), 4.00 (ddd-like, J = 9.6, 5.4, 4.8 Hz, 1H, 6''-H b ), 2.51-2.42 (m, 1H, 5''-H), 2.44 (t, J = 7.6 Hz, 2H, 2'-H 2 ), 2.33-2.24 (m, 1H, 5-H a ), 2.14-2.06 (m, 1H, 5a''-H a ), 2.00 (br.t, J = 13 Hz, 1H, 5a''-H b ), 1.98-1.84 (m, 2H, 5-H b , 6-H a ), 1.82 (quint.-like, J = 7.6 Hz, 2H, 3'-H 2 ), 1.76-1.67 (m, 1H, 6-H b ), 1.50-1.17 (m, 66H, 7-, 8-, 9-, 10-, 11-, 12-, 1 3-, 14-, 15-, 16-, 17-, 4'-, 5'-, 6'-, 7'-, 8'-, 9 '-, 10'-, 11'-, 12'-, 13'-, 14'-, 15'-, 16'-, 17'-, 18'-, 19'-, 20'-, 21'-, 22'-, 23'-, 24'-, 25'-H 2 ), 0.85 (t, J = 7.2 Hz, 6H, 18-, 26'-H 3 ) ppm
13 C NMR (100 MHz, CDCl 3 , 25 ℃): δ = 173.1, 80.2, 76.6, 73.6, 72.8, 72. 6, 71.5, 70.6, 64.2, 51.5, 38.6, 36.8, 34.2, 32.1,  30.4, 30.2, 30.04, 30.00, 29.94, 29.89, 29.83, 29.7, 29.6, 26.6, 26.4, 22.9, 14.3 ppm

(実施例2)
化合物51’の合成

(工程a)
 化合物(C1)は、Tetrahedron Letters, 2007, 48, 3343 -3347に記載の方法に従って調製した。
 化合物(C1)(221 mg、0.393 mmol)のピリジン(2 mL) 溶液に、トリフェニルホスフィン(268 mg、1.02  mmol)と四臭化炭素(437 mg、1.32 mmol)を加えた 反応液を65℃で15時間撹拌した後、室温まで 放冷し、水を加えた。酢酸エチルで希釈し、 有機層を水、飽和硫酸銅水溶液、水、飽和炭 酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に 洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた 。減圧濃縮により溶媒を留去し、残渣をシリ カゲルカラムクロマトグラフィー(20g、へキ ン:酢酸エチル=40:1)により精製し、化合物(C2) (150 mg、61%)を無色油状で得た。
(工程b)
 化合物(C2)(150 mg、0.239 mmol)の乾燥ジエチル ーテル(5 mL)溶液に、-78℃でtert-ブチルリチ ムのペンタン溶液(1.57 M、0.46 mL、0.72 mmol) 加えた。反応液を-78℃で1時間撹拌した後、 飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。室温 まで昇温して30分間撹拌した後、酢酸エチル 希釈した。有機層を水、飽和食塩水で順に 浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた 減圧濃縮により溶媒を留去し、残渣をシリ ゲルカラムクロマトグラフィー(10g、へキサ ン:酢酸エチル=15:1)により精製し、化合物(C3)( 104 mg、79%)を無色油状で得た。
(工程c)
 化合物(C3)(104 mg、0.189 mmol)のテトラヒドロ ラン(4 mL)溶液に、テトラ-n-ブチルアンモニ ウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液(1. 0 M、0.58 mL、0.58 mmol)を加えた。反応液を室 下で3時間撹拌した後、水を加えた。酢酸エ チルで希釈し、有機層を水、飽和食塩水で順 に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ た。減圧濃縮により溶媒を留去し、残渣をシ リカゲルカラムクロマトグラフィー(20 g、へ キサン:酢酸エチル=10:1)により精製し、化合 (A2)(48 mg、46%)を無色油状で得た。
(工程d)
 化合物(A2)(44 mg、0.10 mmol)のN,N-ジメチルホ ムアミド-乾燥テトラヒドロフラン(2:1、3 mL) に、氷冷下で水素化ナトリウム(55%ミネラル イル懸濁物、20 mg、0.46 mmol)を加えた。氷冷 下で1時間撹拌した後、化合物(B1)(77 mg、0.15  mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(1 mL)溶液を加 えた。反応液を70℃で10時間撹拌した後に室 まで放冷し、水素化ナトリウム(55%ミネラル イル懸濁物、20 mg、0.46 mmol)と化合物(B1)(78 mg、0.15 mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(1 mL) 溶液を加えた。反応液を70℃でさらに10時間 拌した後、室温まで放冷し、減圧濃縮した 残渣をジエチルエーテルで希釈し、氷冷下 20%硫酸水溶液(5 mL)をゆっくりと加え、10分 撹拌した。炭酸水素ナトリウム(約2 g)を加 て反応液を中和した後に水を加えた。ジエ ルエーテルで希釈し、有機層を水、飽和炭 水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順に 浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた 減圧濃縮により溶媒を留去し、残渣をシリ ゲルカラムクロマトグラフィー(20 g、へキ ン:酢酸エチル=10:1)により精製し、化合物(2-3 )(50 mg、58%)を無色油状で得た。
(工程e)
 化合物(2-3)(50 mg、0.058 mmol)のメタノール-ジ クロロメタン(2:1、7.5 mL)溶液に、p-トルエン ルホン酸1水和物(34 mg、0.18 mmol)を加えた。 室温下で18時間撹拌した後、60℃で5時間撹拌 た。減圧濃縮して溶媒を留去し、残渣を酢 エチルで希釈した。有機に飽和炭酸水素ナ リウム水溶液を加えて中和した後、有機層 水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和 塩水で順に洗浄し、無水炭酸カリウムで乾 させた。減圧濃縮により溶媒を留去し、残 をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10 g、へキサン:酢酸エチル=3:2)により精製し、 合物(2-4)(29 mg、61%)を無色油状で得た。
(工程f)
 化合物(2-4)(29 mg、0.035 mmol)のメタノール(2.5  mL)溶液に、シクロへキセン(0.5 mL)、1N塩酸(3 5 μL、0.035 mmol)と10%パラジウム-炭素(21 mg)を 加えた。反応液を85℃下で6時間撹拌した後、 クロロホルム-メタノール(5:1)で希釈した。ろ 過した濾液を減圧濃縮して化合物(3-1)を得た 化合物(3-1)をクロロホルム-メタノール(5:1、 5 mL)に溶かし、ここへトリエチルアミン(15  L、0.11 mmol)と塩化セロチル(15 mg、0.039 mmol) 乾燥テトラヒドロフラン(2 mL)溶液を加えた 。反応液を室温下で19時間撹拌した後、減圧 縮した。残渣を水、水-メタノール(2:1)で順 洗浄し、乾燥させた後にシリカゲルカラム ロマトグラフィー(10 g、クロロホルム:メタ ノール=25:1)で精製し、化合物51’(6 mg、19%)を 無色固体として得た。
1 H NMR (400 MHz, pyridine-d 5 ) δ = 8.41 (1H, d, J = 8.4 Hz), 5.20-5.12 (1H,  m), 4.44-4.25 (5H, m), 4.21 (1H, dd, J = 10, 5.6  Hz), 4.07 (1H, br. s) 3.82 (1H, s), 2.46 (2H, t,  J = 7.2 Hz), 2.35-2.25 (1H, m), 2.10-2.03 (1H, m), 1.97-1.12 (73 H, m), 1.00 (3H, d, J = 6.8 Hz), 0 .85 (3H, t, J = 6.8 Hz).

(試験例1)
 1群5匹のC57BL/6マウスに、0.5%のtween20(Bio-Rad) 含有する生理食塩水(大塚製薬株式会社製)に 溶解して、投与量が100μg/kg体重、10μg/kg体重 1μg/kg体重となるように調製した化合物11’ 溶液200μLをそれぞれ腹腔内に注射した。
 対照物質としてα-GalCerを用い、同様の方法 より投与量が100μg/kg体重、10μg/kg体重、1μg/ kg体重となるように調製したα-GalCerの各溶液2 00μLを腹腔内に注射した。
 媒体である0.5%のtween20を含有する生理食塩 200μLを投与した群をネガティブコントロー とした。投与直前と投与後3、6、12、24、36、 48時間経過後の血液を眼下静脈叢より80μL採 し、血漿を調製した。投与直前と、投与後3 6及び12時間経過後の血漿中のIL-4、並びに投 与直前と、投与後6、12、24、36、48時間経過後 の血漿中のIFN-γの含有量をELISA法の一つであ Cytometric bead arrayシステム(BD Biosciences)で測 定した。IFN-γ産生量の測定結果を図1に示し IL-4産生量の測定結果を図2に示す。

 上記結果より、α-GalCerはIFN-γ、IL-4ともに 大量に産生したのに対し、本発明の化合物11 はIFN-γを優先的に産生する一方で、IL-4の産 生量はわずかであった。このように、化合物 11’の投与により免疫賦活作用の亢進が確認 れたことから、抗癌剤等としての有効性が 唆された。

(試験例2)
 抗肝転移効果について下記の試験を行った
 麻酔下にてマウスの左横腹を開腹し、脾臓 露出させた。1x10 6 個のB16 melanomaを1 mLシリンジ(テルモ)を用い 経脾移入し、30秒保持した後、血管を結紮 た。脾臓を摘出して手術用糸(4号、アルフレ ッサファーマ株式会社)で腹膜を縫合し、外 を外科用クリップにて接合した。細胞移入3 間後、1マウス当たり、2、0.2または0.02 μg a-GalCerおよび化合物11’を尾静脈より投与し 各群の生存率を調べた。
 結果を図3に示す。化合物11’投与群では、 治療群及びa-GalCer投与群に比べ、生存期間 延長した。特に、0.2及び0.02 μgの投与ではa- GalCer投与群に比べ化合物11’投与群は生存期 が顕著に延長した。

(試験例3)
 ヒトNKT細胞増殖とIFN-γ産生誘導について下 の試験を行った。
 健常人の末梢血からanti-CD14 microbeads(Miltenyi Biotech)により単球を調製して、GM-CSFとIL-4(Pepr otech)を用いて樹状細胞を誘導した。この樹状 細胞にα-GalCerまたは、合成糖脂質(α-C-GalCer、 化合物11’、化合物51’)を添加して、ヒト末 血単核球を加えて培養した。
 この実験において、3日後および8日後の培 上清中のIFN-γ濃度を測定した結果、α-GalCer びα-C-GalCerに比べ、化合物11’及び化合物51 で刺激したものが非常に高かった(図4(a)、(b) )。
 一方、IL-4濃度はほとんど差がなかったこと から、α-GalCer及びα-C-GalCerに比べ、化合物11 及び化合物51’は選択的にIFN-γの産生を誘導 することが示された(図4(a)~(d))。

 本出願は、日本で出願された特願2007-04287 3を基礎としており、その内容は本明細書に て包含されるものである。