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Title:
OPTICAL FIBER CURRENT SENSOR AND CURRENT MEASURING METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054157
Kind Code:
A1
Abstract:
An optical fiber current sensor is provided with a polarization separation element (13) and a signal processing section (15). The polarization separation element separates light outputted from a sensor fiber (11) into two polarization components whose polarization surfaces orthogonally intersect with each other. The signal processing section converts the two separated polarization components into a first signal (Px) and a second signal (Py), respectively, by photoelectric conversion, and multiplies a ratio (Sx), i.e., a ratio of direct current components to alternating current components of the first signal (Px), and a ratio (Sy), i.e., a ratio of direct current components to the alternating current components of the second signal (Py), by different coefficients, respectively, and calculates the difference value between the obtained values.

Inventors:
KUROSAWA KIYOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057933
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
April 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOKYO ELECTRIC POWER CO (JP)
KUROSAWA KIYOSHI (JP)
International Classes:
G01R15/24
Domestic Patent References:
WO2006022178A12006-03-02
Foreign References:
JPH07270505A1995-10-20
JPH07128419A1995-05-19
JPH08504952A1996-05-28
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (MarunouchiChiyoda-ku, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 導体を囲みかつ直線偏光が入力されるセンサファイバと、
 前記センサファイバからの出力光を偏波面が互いに交差する2つの偏光成分に分離する偏光分離子と、
 前記偏光分離子からの前記2つの偏光成分を光電気変換によりそれぞれ第1信号および第2信号に変換し、該第1信号の直流成分と交流成分の比および該第2信号の直流成分と交流成分の比に異なる係数を乗じてその差分値を算出する信号処理手段と、
 を備え、前記信号処理手段により算出された前記差分値に基づいて前記直線偏光に付与されるファラデー回転の大きさが求められることを特徴とする光ファイバ電流センサ。
 前記係数は、前記差分値の温度変化に対して1次で変化する成分がゼロとなるように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ電流センサ。
 前記係数の一方は1に設定され、他方は光学バイアスの温度依存係数と前記センサファイバにおけるファラデー回転の温度依存係数との差を和で除した値に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ電流センサ。
 温度を計測する温度センサと、
 前記温度センサによって計測された温度に応じて前記係数を制御する制御手段と、
 を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1の項に記載の光ファイバ電流センサ。
 導体を囲みかつ直線偏光が入力されるセンサファイバからの出力光を偏波面が互いに交差する2つの偏光成分に分離し、
 前記分離された2つの偏光成分を光電気変換によりそれぞれ第1信号および第2信号に変換し、
 前記第1信号の直流成分と交流成分の比および前記第2信号の直流成分と交流成分の比に異なる係数を乗じてその差分値を算出し、
 前記算出された差分値に基づいて前記直線偏光に付与されるファラデー回転の大きさを求める
 ことを特徴とする電流測定方法。
Description:
光ファイバ電流センサおよび電 測定方法

 本発明は、光ファイバ中を伝搬する光の偏 面が磁界により回転するファラデー効果を 用して電流を測定する光ファイバ電流セン および電流測定方法に関する。
 本願は、2007年10月23日に出願された特願2007- 275601号に基づき優先権を主張し、その内容を ここに援用する。

 近年、電力設備の監視等を行う電流測定装 として、光ファイバをセンサに用いた光フ イバ電流センサが注目されている。
 この光ファイバ電流センサでは、磁性媒質 を伝搬する光の偏波面がその伝搬方向にお る磁界の大きさに比例して回転するファラ ー効果を利用して、電流を測定する。光フ イバも磁性媒質の一種であり、センサとし 用いる光ファイバに直線偏光を入射して被 定電流が流れる導体、即ち磁界発生源の近 に置くと、ファラデー効果によって光ファ バ中の直線偏光に偏波面の回転(ファラデー 回転)が与えられる。この時、電流に比例し 磁界が発生しているので、ファラデー効果 よる偏波面の回転角度(ファラデー回転角)は 、被測定電流の大きさに比例することになる 。そこで、このファラデー回転角を測定する ことで、電流の大きさを求めることができる 。これが光ファイバ電流センサの原理である 。

 ファラデー回転角を測定するために、光フ イバから出力された光をフォトダイオード で受光して電気信号に変換し、得られた電 信号に所定の信号処理を行うという手法を 用することができる(例えば、特許文献1参 )。

特開平7-270505号公報

 ところで、光ファイバ電流センサが設置 れた場所の環境温度が変化すると、ファラ ー回転角を測定する際の動作点である光学 イアスが変動したり、光ファイバにおける ァラデー効果の感度を与える物性値である ルデ定数が変動したりする。そしてこれら 影響を受けて、上記の信号処理により求め れるファラデー回転角が誤差を持つように り、結果として電流の測定値に温度依存性 発生して正しい測定を行うことができなく る。

 本発明の目的は、ファラデー効果を利用 て電流を測定する光ファイバ電流センサお び電流測定方法において、電流測定値の温 依存性を低減させることにある。

 本発明の態様は、センサファイバを備え 該センサファイバに直線偏光を入力し、該 ンサファイバが周囲に設置された導体を流 る被測定電流により生じる磁界によって前 直線偏光に付与されるファラデー回転の大 さを検出することで、前記被測定電流を測 する光ファイバ電流センサにおいて、前記 ンサファイバからの出力光を偏波面が互い 直交する2つの偏光成分に分離する偏光分離 子と、前記偏光分離子によって分離された2 の偏光成分を光電気変換によりそれぞれ第1 号および第2信号に変換し、該第1信号の直 成分と交流成分の比および該第2信号の直流 分と交流成分の比に異なる係数を乗じてそ 差分値を算出する信号処理手段と、を具備 、前記信号処理手段により算出された前記 分値に基づいて前記ファラデー回転の大き を求めることを特徴とする。

 この態様において、第1信号の直流成分と 交流成分の比Sxを求め、第2信号の直流成分と 交流成分の比Syを求め、求めたSxとSyに異なる 係数を乗じた上で両者の差分値を算出し、得 られた差分値に基づいてファラデー回転角を 求めるようにした。上記の差分値は温度に応 じて変化する特性を有し、その変化の仕方は Sx,Syに乗じる係数によって異なる。したがっ 、この係数を適宜設定することにより、得 れるファラデー回転角の温度依存性、即ち 流測定値の温度依存性を低減させることが きる。

 上記態様における光ファイバ電流センサ おいて、前記係数は、前記差分値の温度変 に対して1次で変化する成分がゼロとなるよ うに設定できる。

 上記の差分値は、温度変化に対して変化 ない成分、温度変化に対して1次で変化する 成分、温度変化に対して2次で変化する成分 …からなっており、温度変化による差分値 変化量が小さい領域では1次の成分がその温 依存性を支配する。上記差分値において温 変化に対して1次で変化する成分をゼロとす るように係数を設定することにより、電流測 定値の温度依存性を低減させることができる 。

 上記態様における光ファイバ電流センサ おいて、前記係数の一方は1に設定され、他 方は光学バイアスの温度依存係数と前記セン サファイバにおけるファラデー回転の温度依 存係数との差を和で除した値に設定できる。

 上記差分値の温度変化に対して1次で変化 する成分は、係数の一方を1、他方を光学バ アスの温度依存係数とセンサファイバにお るファラデー回転の温度依存係数との差を で除した値に設定した場合に、その値がゼ となる。係数を上記のように設定にするこ で、上記差分値の温度変化に対して1次で変 する成分がゼロとなるので、電流測定値の 度依存性を低減させることができる。

 上記態様における光ファイバ電流センサ おいて、温度を計測する温度センサと、前 温度センサによって計測された温度に応じ 前記係数を制御する制御手段と、を更に具 することができる。

 上記のSx,Syに乗じる係数の最適値自体が 度により変化する場合でも、温度を計測し の係数を温度に応じて最適に制御すること より、電流測定値の温度依存性を幅広い温 領域にわたって低減させることができる。

 本発明の別の態様は、センサファイバに 線偏光を入力し、該センサファイバが周囲 設置された導体を流れる被測定電流により じる磁界によって前記直線偏光に付与され ファラデー回転の大きさを検出することで 前記被測定電流を測定する電流測定方法に いて、前記センサファイバからの出力光を 波面が互いに直交する2つの偏光成分に分離 し、前記分離された2つの偏光成分を光電気 換によりそれぞれ第1信号および第2信号に変 換し、前記第1信号の直流成分と交流成分の および前記第2信号の直流成分と交流成分の に異なる係数を乗じてその差分値を算出し 前記算出された差分値に基づいて前記ファ デー回転の大きさを求めることを特徴とす 。

 本発明によれば、ファラデー効果を利用 て電流を測定する光ファイバ電流センサお び電流測定方法において、電流測定値の温 依存性を低減させることができ、これによ 精度の良い電流測定を行うことが可能にな 。

第1の実施形態による反射型の光ファイ バ電流センサの構成図である。 受光素子で得られる電気信号PxおよびPy の特性を表すグラフである。 第2の実施形態による反射型の光ファイ バ電流センサの構成図である。 第3の実施形態による反射型の光ファイ バ電流センサの構成図である。

符号の説明

 11…センサファイバ 12…光サーキュレー  13…偏光分離素子 14…ファラデー回転子  15…信号処理部 16…受光ファイバ 17…温度 ンサ 21…光源 22…送光ファイバ 151…受光 子 152…除算部 153…符号反転部 154…可変 得部 155…加算部 156…制御部 157…可変利 部

 以下、図面を参照しながら本発明の実施形 について詳しく説明する。
 図1は、本発明の第1の実施形態による反射 の光ファイバ電流センサの構成図を示して る。

 図1において、光ファイバ電流センサは、 センサファイバ11と、光サーキュレータ12と 偏光分離素子13と、ファラデー回転子14と、 号処理部15と、を含む。また、信号処理部15 は、受光素子151A,151Bと、バンドパスフィルタ BPF1,BPF2と、ローパスフィルタLPF1,LPF2と、除算 部152A,152Bと、符号反転部153と、可変利得部154 と、加算部155と、を含む。

 センサファイバ11は、測定しようとして る被測定電流Iが流れる送電線等の導体100の 囲を周回する(囲む)ようにして配置される このセンサファイバ11として、好適にはファ ラデー効果の大きさを決めるベルデ定数が大 きい特性を持った光ファイバである、鉛ガラ スファイバを用いることができる。センサフ ァイバ11の一端にはファラデー回転子14が取 付けられ、他端には金属薄膜の蒸着等によ て反射部(ミラー)111が形成されている。ファ ラデー回転子14と偏光分離素子13、偏光分離 子13と光サーキュレータ12はそれぞれ光ファ バで接続される。光サーキュレータ12は、 源21から送光ファイバ22を通じて供給される がセンサファイバ11側へ透過する向きに配 される。信号処理部15は入力部として2つの 光素子151A,151Bを有する。その1つの受光素子1 51Aは受光ファイバ16Aにより光サーキュレータ 12のセンサファイバ11側からの透過光が出力 れる端子に接続される。もう1つの受光素子1 51Bは受光ファイバ16Bにより偏光分離素子13に 続される。

 このように構成された光ファイバ電流セ サに対して、光源21から発せられた光が送 ファイバ22および光サーキュレータ12を介し 偏光分離素子13へ入射される。この光は、 光分離素子13によって電界の振動方向が一方 向(偏光分離素子13の主軸方向)にそろった直 偏光に変換されて、ファラデー回転子14へ入 力される。ファラデー回転子14は、永久磁石 この永久磁石によって磁気飽和させられた 磁性体結晶である強磁性ガーネットとから り、強磁性ガーネットを通過する光に片道2 2.5度のファラデー回転を付与する。ファラデ ー回転子14を出た直線偏光は、センサファイ 11へ入力される。センサファイバ11の周回部 分において、直線偏光は、導体100を流れる被 測定電流Iの周囲に生じた磁界によってファ デー回転を受け、その偏波面が磁界の大き に比例したファラデー回転角だけ回転する

 センサファイバ11を伝搬する光は、さら 反射部111で反射されて再び周回部分を通り ァラデー回転を受け、ファラデー回転子14へ 入力される。ファラデー回転子14を再び通過 ることでさらに22.5度のファラデー回転が与 えられる。つまり、ファラデー回転子14によ 、往復で合計45度のファラデー回転が、セ サファイバ11を伝搬する光に与えられる。換 言すると、この光ファイバ電流センサでは、 光学バイアスが45度に設定されている。ファ デー回転子14を通過した光は、再び偏光分 素子13へと導かれ、偏光方向の互いに実質的 に直交(偏光分離素子13の主軸方向とそれに実 質的に垂直な方向)する2つの偏光成分に分離 れる。分離された一方の光は光サーキュレ タ12と受光ファイバ16Aを介して受光素子151A よって受光され、その光強度に比例した電 信号Pxに変換される。もう一方の光は受光 ァイバ16Bを介して受光素子151Bによって受光 れ、その光強度に比例した電気信号Pyに変 される。

 ここで、本光ファイバ電流センサで測定 る被測定電流Iは、交流電流(交流成分のみ) あるとする。このとき、センサファイバ11 の光が感じるファラデー効果もこの交流電 を反映したものとなり、上記の電気信号Pxと Pyは、ともに直流成分と交流成分とを含む(図 2参照)。

 受光素子151Aからの電気信号Pxは、バンド スフィルタBPF1とローパスフィルタLPF1へ入 される。バンドパスフィルタBPF1は電気信号P xに含まれる交流成分を抽出して除算部152Aへ 力し、ローパスフィルタLPF1は電気信号Pxに まれる直流成分を抽出して除算部152Aへ出力 する。除算部152Aは、入力された交流成分を 流成分で除算することにより得られる交流 分と直流成分との比を表す信号Sxを加算部155 へ出力する。

 受光素子151Bからの電気信号Pyは、バンドパ フィルタBPF2とローパスフィルタLPF2へ入力 れる。バンドパスフィルタBPF2とローパスフ ルタLPF2は、上記と同様に、それぞれ電気信 号Pyに含まれる交流成分および直流成分を抽 して除算部152Bへ出力する。除算部152Bは、 力された交流成分を直流成分で除算するこ により得られる交流成分と直流成分との比 表す信号Syを、符号反転部153へ出力する。符 号反転部153は、信号Syの符号を反転して可変 得部154へ出力する。可変利得部154は、この 力された信号にゲインkを乗ずることにより 得られる信号Sy’を加算部155へ出力する。
 加算部155は、入力された上記2つの信号SxとS y’とを加算し、加算結果の信号Sを出力する

 次に、信号処理部15の詳細な動作原理を数 を用いて説明する。
 図2は、受光素子151A,151Bで得られる電気信号 PxおよびPy(受光される光の光強度)の特性を表 すグラフである。このグラフにおいて、横軸 はセンサファイバ11へ入力された直線偏光が けるファラデー回転角θであり、縦軸は上 各電気信号の信号強度Pである。2つの受光素 子151Aと151Bそれぞれに到達する光の光強度は 上述の説明のとおり、センサファイバ11に いて与えられるファラデー回転角θと、ファ ラデー回転子14により与えられるファラデー 転角、即ち光学バイアスの値とによって決 る。一般に光学バイアスがその設定値45度 らδだけ誤差を有している場合を考慮すると 、θの関数として電気信号Px(θ)およびPy(θ)が 式(1a)と(1b)により与えられる。
    Px(θ)=1+sin(2δ+2θ)      (1a)
    Py(θ)=1-sin(2δ+2θ)      (1b)

 ここで、被測定電流Iは交流電流であるの で、この被測定電流Iによってセンサファイ 11中の直線偏光に付与されるファラデー回転 は、角度0度の周りに当該交流電流の周波数 振動する。この振動の振幅をφとする。また 、図中に、この交流の被測定電流Iによって じるファラデー回転角の時間的変化を曲線C 表す。

 曲線Cに沿ってファラデー回転角が-φ→0→φ のように時間変化すると、受光素子151Aで得 れる電気信号Pxは、順次、次のように変化す る。
  Px(-φ)=1+sin(2δ-2φ)
 →Px(0)=1+sin(2δ)
 →Px(φ)=1+sin(2δ+2φ)
 こうして、交流の被測定電流Iに対応して得 られる電気信号Pxは、図中に曲線Pxで示すよ に、被測定電流Iと同じ周波数で振動する信 となる。この信号は、直流成分の大きさPx(0 )=1+sin(2δ)を有し、交流成分の振幅{Px(φ)-Px(-φ) }/2={sin(2δ+2φ)-sin(2δ-2φ)}/2を有する。光学バイ アスの誤差δとセンサファイバ11によるファ デー回転の振幅φが十分小さい(δ,φ≪1)領域 は、被測定電流Iを測定した時の電気信号Px 直流成分Px DC と交流成分Px AC は、それぞれ次の式(2a),(2b)で表すことができ る。
    Px DC =Px(0)≒1+2δ              (2a)
    Px AC ={Px(φ)-Px(-φ)}/2≒2φ      (2b)
 上記の式(2a)と式(2b)が、それぞれバンドパ フィルタBPF1,ローパスフィルタLPF1から出力 れる信号である。

 同様に、曲線Cに沿ってファラデー回転角が -φ→0→φのように時間変化したとき、受光素 子151Bで得られる電気信号Pyは、順次、次のよ うに変化する。
  Py(-φ)=1-sin(2δ-2φ)
 →Py(0)=1-sin(2δ)
 →Py(φ)=1-sin(2δ+2φ)
 こうして、交流の被測定電流Iに対応して得 られる電気信号Pyは、図中に曲線Pyで示すよ に、被測定電流Iと同じ周波数で振動する信 となる。この信号は、直流成分の大きさPy(0 )=1-sin(2δ)を有し、交流成分の振幅{Py(-φ)-Py(φ) }/2={sin(2δ+2φ)-sin(2δ-2φ)}/2を有する。同様にδ, φ≪1が成り立つ領域では、被測定電流Iを測 した時の電気信号Pyの直流成分Py DC と交流成分Py AC は、それぞれ次の式(3a),(3b)で表すことができ る。
    Py DC =Py(0)≒1-2δ               (3a)
    Py AC =-{Py(-φ)-Py(φ)}/2≒-2φ     (3b)
 但し、交流成分Py AC の負号は交流成分Px AC と位相が反転していることを考慮したもので ある。上記の式(3a)と式(3b)が、それぞれバン パスフィルタBPF2,ローパスフィルタLPF2から 力される信号である。

 以上の式(2a),(2b),(3a),(3b)より、加算部155へ 入力される信号SxとSy’はそれぞれ次式(4a),(4b )で表される。

 したがって、加算部155の出力信号Sは次式 (5)で表すことができる。

 上式(5)においてδ,φ≪1として高次の項を 視すると、S=2(1+k)φとなるので、この出力信 号Sから被測定電流Iに対応するファラデー回 角φを求めることができる。

 ここで、センサファイバ11において付与さ るファラデー回転の大きさは、センサファ バ11のベルデ定数が温度依存性を有すること に起因して、環境温度の変化に応じて変化す る。また、ファラデー回転子14による光学バ アスも、強磁性ガーネットのベルデ定数が 度依存性を有することに起因して、環境温 の変化に応じて変化する。これを考慮して センサファイバ11によるファラデー回転の 幅φと光学バイアスの誤差δが次式(6a),(6b)で される温度依存性を有するものと仮定する
    δ=αT/2            (6a)
    φ=(1+βT)φ 0         (6b)
 但し、αとβはそれぞれの温度依存係数(既 の値)、Tは基準温度(例えば20℃)からの温度 化量、φ 0 はその基準温度におけるファラデー回転角の 振幅である。

 上式(5)および(6a),(6b)から、加算部155の出 信号Sは温度変化Tの関数として次式(7)で表 ことができる。

 式(7)の分子において、δ,φ≪1の近似の下 は温度変化Tの1次の項が2次の項よりも支配 である。そこで、温度変化Tの1次の項がゼ となるように可変利得部154のゲインkを決め ことで、加算部155から得られる出力信号Sの 温度依存性を低減することが可能である。こ のようなゲインkは、式(7)より次の式(8)のよ に求められる。

 したがって、本光ファイバ電流センサの 変利得部154には、上式(8)で与えられるゲイ kを設定する。このときの加算部155の出力信 号Sは、次の式(9)のように表される。

 一方、可変利得部154を有しない従来の光 ァイバ電流センサにおいては、加算部155の 力信号Sは、上式(7)でk=1とおいて次の式(10) ように表される。

 このように、式(9)および式(10)の分子に着 目すると、従来の光ファイバ電流センサはフ ァラデー回転角の測定値(出力信号S)が温度変 化に対して1次の依存性を有していたのに対 、本光ファイバ電流センサはその依存性が2 である。そして、δ,φ≪1の領域では温度変 の2次の項が1次の項よりも十分に小さい。 たがって、本光ファイバ電流センサは、測 されるファラデー回転角の温度依存性を低 でき、これにより電流測定値の温度依存性 低減させることが可能となる。

 次に、本発明の第2の実施形態による反射型 の光ファイバ電流センサを図3の構成図を参 して説明する。
 この光ファイバ電流センサは、上述した図1 の光ファイバ電流センサに、温度センサ17と 御部156とを追加して設けた構成のものであ 。温度センサ17および制御部156以外の部分 機能、動作は図1の光ファイバ電流センサと じであるので、説明は省略する。

 図3において、温度センサ17は、光ファイ 電流センサ内の所定の箇所、例えばセンサ ァイバ11やファラデー回転子14の近傍に設置 され、当該箇所の温度を計測してその計測さ れた温度を示す信号を制御部156へ供給する。 制御部156は、温度センサ17によって計測した 度に応じて可変利得部154のゲインkを可変に 制御する。

 上述した第1の実施形態では、ゲインkを式(8 )で与えられる固定値に設定することにより 出力信号Sの温度依存性を表す式(7)の分子に いて温度変化Tの1次の項がゼロとなるよう した。本実施形態では、式(7)の分母と分子 含めた全体に対して温度変化Tの影響が補償 れるように、ゲインkを温度変化Tの関数と て可変値に設定する。具体的には、cを任意 定数としたとき、式(7)がS=2cφ 0 となり温度に依存しなくなるためのゲインk 、次式(11)のように書き表される。

 そこで、制御部156は、既知の値α,βと、 度センサ17によって計測された温度から求ま る基準温度からの温度変化Tとから、上式(11) 従って当該計測された温度におけるゲインk (T)を算出し、この算出したゲインk(T)を可変 得部154に設定する。このようにすることに り、測定されるファラデー回転角の温度依 性を更に低減させて、電流測定値の温度依 性をより一層低減させることができ、環境 度に影響されない精密な電流測定を行うこ が可能になる。なお、温度センサ17はファラ デー回転子14やセンサファイバ11の近傍に設 してそれらの温度を計測するようにするこ が好ましい。

 次に、本発明の第3の実施形態による反射型 の光ファイバ電流センサを図4の構成図を参 して説明する。
 この光ファイバ電流センサは、上述した図3 の可変利得部154に代えて、加算部155の出力が 入力される可変利得部157を設け、この可変利 得部157のゲインGを制御部156が温度センサ17の 計測温度に応じて可変に制御する構成である 。この構成において、可変利得部157の出力信 号Sは、上述の式(7)の導出過程から明らかな うに式(7)のkを1とし右辺にゲインGを乗ずれ よいので、次式(12)のように表される。

 本実施形態においても、第2の実施形態と同 様に、式(12)の全体に対して温度変化Tの影響 補償されるように、ゲインGを温度変化Tの 数として可変値に設定する。具体的には、c 任意の定数としたとき、式(12)がS=4cφ 0 となり温度に依存しなくなるためのゲインG 、次式(13)のように書き表される。

 そこで、制御部156は、既知の値α,βと、 度センサ17によって計測された温度から求ま る基準温度からの温度変化Tとから、上式(13) 従って当該計測された温度におけるゲインG (T)を算出し、この算出したゲインG(T)を可変 得部157に設定する。このようにすることに り、第2の実施形態と同様に、測定されるフ ラデー回転角の温度依存性を更に低減させ 、電流測定値の温度依存性をより一層低減 せることができ、環境温度に影響されない 密な電流測定を行うことが可能になる。

 以上、図面を参照してこの発明の実施形 について詳しく説明してきたが、具体的な 成は上述のものに限られることはなく、こ 発明の要旨を逸脱しない範囲内において様 な設計変更等をすることが可能である。

 光ファイバ電流センサは反射型のものに られず、本発明は透過型の光ファイバ電流 ンサにも適用することができる。なお、透 型の光ファイバ電流センサとは、偏光分離 子13と信号処理部15とをセンサファイバ11の 源21とは反対側に設けた構成のものである 透過型の光ファイバ電流センサでは、反射 の光ファイバ電流センサで用いるファラデ 回転子14の代わりに、入射した光のうち電界 の振動方向が一方向の成分だけを透過させる 偏光子や、透過する直線偏光の偏波面を所定 角度回転させる波長板などを用いて光学バイ アスを設定する場合があり、この場合には光 学バイアスの誤差δはこれら偏光子や波長板 起因するものとなるが、上記説明した原理 同じである。

 また、除算部152Bからの信号Syにのみゲイ kを乗ずるものとしたが、除算部152Aからの 号Sxと除算部152Bからの信号Syそれぞれに異な る係数を乗ずるように信号処理部15を構成し も構わない。