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Title:
POROUS SHEET, SEPARATOR FOR ELECTROCHEMICAL DEVICE, AND METHOD FOR PRODUCING POROUS SHEET
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/153117
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a porous sheet having a good balance between electrolyte solution permeability and dry-up resistance as well as excellent high rate characteristics, which is suitable for a separator for electrochemical devices. Also disclosed is a method for producing such a porous sheet. Specifically disclosed is a porous sheet characterized by being composed of a porous base containing non-fibrillar fibers having an average fiber diameter of 0.01-10 μm and a network structure composed of a polymer and having a through hole with a diameter of 0.01-10 μm. This porous sheet is also characterized in that the network structure exists on the surface of and within the porous base, and the non-fibrillar fibers having an average fiber diameter of 0.01-10 μm and the network structure are entwined with each other. Also specifically disclosed are a separator for electrochemical devices composed of such a porous sheet, and a method for producing a porous sheet.

Inventors:
TSUKUDA TAKAHIRO
MIDORIKAWA MASATOSHI
SATO TOMOHIRO
Application Number:
PCT/JP2008/060824
Publication Date:
December 18, 2008
Filing Date:
June 13, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI PAPER MILLS LTD (JP)
TSUKUDA TAKAHIRO
MIDORIKAWA MASATOSHI
SATO TOMOHIRO
International Classes:
H01G9/02; H01G9/00; H01M50/414; H01M50/423; H01M50/489; H01M50/491
Domestic Patent References:
WO2005101432A12005-10-27
Foreign References:
JP2005042235A2005-02-17
JP2006100512A2006-04-13
Attorney, Agent or Firm:
TSUKUNI, Hajime (22-12, Toranomon 1-chom, Minato-ku Tokyo 01, JP)
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Claims:
 平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有する多孔質基材、および
 ポリマーからなる孔径0.01~10μmの貫通孔を有する網状構造体
からなり、該多孔質基材の表面および内部に該網状構造体が存在し、該平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と該網状構造体とが絡合してなることを特徴とする多孔質シート。
 網状構造体が、貫通孔の平均孔径の10倍長さを一辺とする正方形領域に20個以上の貫通孔を有する請求項1記載の多孔質シート。
 網状構造体を構成するポリマーが、ポリアミド、ポリエーテルスルホンおよびポリアミドイミドの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の多孔質シート。
 網状構造体を構成するポリマーがポリアミドであり、該ポリアミドが、下記一般式(1)で示される芳香族ジアミン誘導単位および/または下記一般式(2)で示される芳香族ジカルボン酸誘導単位を含有する芳香族ポリアミドからなる請求項3記載の多孔質シート。
(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立して、-O-、-NH-、-S-、スルホニル基、カルボニル基、カーボネート基、ウレア基、ウレタン基、アリーレン基、炭素数1~30のアルキレン基、および炭素数2~30のアルケニレン基を示す。)
 請求項1~4のいずれかに記載の多孔質シートからなる電気化学素子用セパレータ。
 平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有する多孔質基材の片面に、有機溶媒を主媒体とするポリマー溶液を塗工する工程、および
 水溶液に、該多孔質基材のポリマー溶液が塗工されていない面を接触させて、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と絡合するポリマーからなる網状構造体を該多孔質基材の表面および内部に析出させる工程
からなることを特徴とする多孔質シートの製造方法。
 平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有する多孔質基材の片面に、有機溶媒を主媒体とするポリマー溶液を塗工する工程、および
 ポリマーが塗工された面を上にして該多孔質基材を水溶液に浸漬して、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と絡合するポリマーからなる網状構造体を該多孔質基材の表面および内部に析出させる工程
からなることを特徴とする多孔質シートの製造方法。
 平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有する多孔質基材と多孔質支持体とを積層する工程、
 該多孔質基材及び多孔質支持体の積層体に、有機溶媒を主媒体とするポリマー溶液を含浸する工程、
 水溶液に多孔質支持体の表面を接触させて、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と絡合するポリマーからなる網状構造体を多孔質基材の表面および内部に析出させる工程、ならびに
 多孔質基材から多孔質支持体を剥がす工程
からなることを特徴とする多孔質シートの製造方法。
Description:
多孔質シート、電気化学素子用 パレータおよび多孔質シートの製造方法

 本発明は、電気二重層キャパシタ、電解 ンデンサ、固体電解コンデンサ、リチウム オン電池、ポリアセン電池、有機ラジカル 池等の電気化学素子用セパレータとして好 な多孔質シート、該多孔質シートからなる 気化学素子用セパレータ、およびその製造 法に関する。

 従来、電気二重層キャパシタ、電解コン ンサ、固体電解コンデンサ等の電気化学素 用セパレータとしては、溶剤紡糸セルロー 繊維または再生セルロース繊維が叩解処理 れてなる繊維を主体とする紙製セパレータ 使用されている(例えば、特許文献1~3参照) 近年、電気二重層キャパシタは、静電容量 大容量化や高電圧化が進み、自動車および 道車両の補助電源などの高エネルギーまた 高出力が必要とされる用途での利用が期待 れている。従来の紙製セパレータは、電解 が含浸された状態での突刺強度が著しく弱 。したがって、例えば、スタック型電気二 層キャパシタの製造時に加圧工程で紙製セ レータが破れたり、穴が開いたりして、製 不良率が高いという問題がある。また、紙 セパレータは、3.0V以上の高電圧にさらされ と酸化劣化するために容量がすぐに減少し 紙製セパレータを使用する電気二重層キャ シタの寿命が短いという問題があった。

 紙製セパレータ以外のセパレータとして 、融点が220℃以上の熱可塑性樹脂からなる 維を主な構成材料とする不織布の両表面に 香族ポリアミドの多孔質層が形成されてな 電気二重層キャパシタ用セパレータが開示 れている(例えば、特許文献4参照)。このセ レータは、不織布の両表面に芳香族ポリア ドの多孔質層が形成されているため、電解 の浸透性が悪いという問題がある。さらに このセパレータは、絶縁物である芳香族ポ アミド多孔質層が電極と接触している面積 大きいために、電極との間の接触抵抗が大 く、電気二重層キャパシタの内部抵抗が大 いという問題があった。また、特許文献4に 記載されているセパレータの製造方法は、芳 香族ポリアミドとアミド系溶媒を主成分とす るポリマー溶液を不織布の両表面に塗工した 後、アミド系凝固液に浸漬して凝固膜を形成 した後、水浴に浸漬して不織布の両表面に芳 香族ポリアミドの多孔質層を形成させること からなる。そのため、場合によっては多孔質 化が十分に進行せずに芳香族ポリアミドの皮 膜が残存する問題があった。また、例えば、 ポリエーテルスルホンやポリアミドイミドな どの芳香族ポリアミド以外のポリマーを用い ると、析出するポリマーが多孔質にならずに 皮膜になる問題や爛れた形状になる問題があ る。すなわち、芳香族ポリアミド以外のポリ マーにはこのセパレータの製造方法は応用で きないという問題があった。特許文献4に示 れている芳香族ポリアミドとは、全芳香族 リアミド、および、全芳香族ポリアミドの り返し単位に対して20モル%以下の割合で脂 族ジアミンまたは脂肪族ジカルボン酸を共 合したものである。

 上記以外の電気二重層キャパシタ用セパ ータとして、フィブリルを有する繊維と繊 が0.45dtex以下のポリエステル繊維とを含む 維シートからなる電気二重層キャパシタ用 パレータが開示されている(例えば、特許文 5参照)。このセパレータは厚みを薄くして くと、特に40μm未満になった場合に、ピンホ ールによる内部短絡が発生したり、漏れ電流 が大きくなったりする問題があった。

 電池セパレータとして、融点が150℃以下 樹脂からなる多孔質膜Aと、ガラス転移温度 が150℃よりも高い樹脂からなる多孔質膜Bと 一体化された複合多孔質膜が提案されてい (例えば、特許文献6参照)。この複合多孔質 は、多孔質膜Aの平均孔径が0.01~0.1μmと著し 小さい。したがって、実質的には多孔質膜A 隙間に多孔質膜Bが形成されにくく、多孔質 膜Aと多孔質膜Bが層間剥離しやすいという問 があった。さらに、複合多孔質膜の透気度 小さすぎる、すなわち、透気性が著しく悪 。したがって、この複合多孔質膜を電気二 層キャパシタや電池等の電気化学素子用セ レータとすると、これら電気化学素子の内 抵抗が著しく高くなってしまう問題があっ 。また、使用中に該セパレータから電解液 徐々にしみだしてドライアップが起こり、 気化学素子の内部抵抗が徐々に上昇し、容 が減少して寿命が短くなる問題があった。

 電気化学素子の1種であるリチウムイオン電 池のセパレータとしては、一般的に多孔質フ ィルムが使用されている。多孔質フィルムの 細孔は非常に小さいため、イオン性液体など 電解液の粘度が高い場合には電解液が浸透し にくいという問題があった。一方、電解液の 粘度が低い場合には、該セパレータのドライ アップが起こり、リチウムイオン電池の内部 抵抗が上昇して寿命が短くなる問題があった 。また、ハイレート特性が悪い問題、すなわ ち、大電流で放電させると容量が急激に減少 する問題もあった。

特開平5-267103号公報

特開平11-168033号公報

特開2000-3834号公報

特開2006-100512号公報

特開2001-244150号公報

特開2007-125821号公報

 本発明の課題は、上記実情を鑑みたもの あって、電気化学素子の寿命を長くする電 化学素子用セパレータとして好適で、薄く 、電解液浸透性と耐ドライアップ性のバラ スが良く、ハイレート特性に優れた多孔質 ート、および該多孔質シートからなる電気 学素子用セパレータを提供することである また、芳香族ポリアミド以外のポリマーや 殊な芳香族ポリアミドを用いた場合にも皮 形成や爛れ等の問題が無い多孔質シートの 造方法を提供することである。

 本発明者らは、この課題を解決するため 鋭意研究を行った結果、ある範囲の繊維径 繊維を含有する多孔質基材の表面および内 に特殊形状の構造体が存在してなる多孔質 ートが、電気化学素子用セパレータに好適 ことを見出した。また、特殊形状の構造体 多孔質基材と一体化させる方法を工夫する とにより、電気化学素子の寿命を長くする 気化学素子用セパレータとして好適で、薄 て、電解液浸透性と耐ドライアップ性のバ ンスが良く、ハイレート特性に優れる多孔 シートを効率良く製造できることを見出し 。さらに、芳香族ポリアミド以外のポリマ や特殊な芳香族ポリアミドを用いた場合に 皮膜形成や爛れ等がない多孔質シートを製 できることを見出し、本発明に至ったもの ある。

 即ち、本発明は、平均繊維径0.01~10μmの非 フィブリル状繊維を含有する多孔質基材、お よびポリマーからなる孔径0.01~10μmの貫通孔 有する網状構造体からなり、該多孔質基材 表面および内部に該網状構造体が存在し、 平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と 網状構造体とが絡合してなることを特徴と る多孔質シートである。

 本発明の多孔質シートにおいては、網状 造体が、貫通孔の平均孔径の10倍長さを一 とする正方形領域に20個以上の貫通孔を有す ることが好ましい。

 本発明の多孔質シートにおいては、網状 造体を構成するポリマーが、ポリアミド、 リエーテルスルホンおよびポリアミドイミ の群から選ばれる少なくとも1種であること が好ましい。

 本発明においては、網状構造体を構成す ポリマーがポリアミドであり、該ポリアミ が、下記一般式(1)で示される芳香族ジアミ 誘導単位、および/または下記一般式(2)で示 される芳香族ジカルボン酸誘導単位を含有す る芳香族ポリアミドからなることが好ましい 。

(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に、-O-、-NH-、-S-、スルホ ル基、カルボニル基、カーボネート基、ウ ア基、ウレタン基、アリーレン基、炭素数1~ 30のアルキレン基および炭素数2~30のアルケニ レン基を示す。)

 さらに、本発明は、本発明の多孔質シー からなる電気化学素子用セパレータに関す 。

 さらに、本発明は、多孔質シートの製造 法に関する。本発明における第1の多孔質シ ートの製造方法は、平均繊維径0.01~10μmの非 ィブリル状繊維を含有する多孔質基材の片 に、有機溶媒を主媒体とするポリマー溶液 塗工する工程、および、水溶液に、該多孔 基材のポリマー溶液が塗工されていない面( 明細書中において、非塗工面とも呼ぶ)を接 触させて、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリ 状繊維と絡合するポリマーからなる網状構 体を多孔質基材の表面および内部に析出さ る工程からなることを特徴とする。

 本発明における第2の多孔質シートの製造 方法は、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル 繊維を含有する多孔質基材の片面に、有機 媒を主媒体とするポリマー溶液を塗工する 程、および、ポリマー溶液が塗工された面( 明細書中において、塗工面とも呼ぶ)を上に して該多孔質基材を水溶液に浸漬して、平均 繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と絡合 るポリマーからなる網状構造体を該多孔質 材の表面および内部に析出させる工程から ることを特徴とする。

 本発明における第3の多孔質シートの製造 方法は、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル 繊維を含有する多孔質基材と多孔質支持体 積層する工程、該多孔質基材および多孔質 持体の積層体に、有機溶媒を主媒体とする リマー溶液を含浸する工程、水溶液に該多 質支持体の表面を接触させて、平均繊維径0. 01~10μmの非フィブリル状繊維と絡合するポリ ーからなる網状構造体を多孔質基材の表面 よび内部に析出させる工程、ならびに、多 質基材から多孔質支持体を剥がす工程から ることを特徴とする。

 本発明の多孔質シートは、平均繊維径0.01 ~10μmの非フィブリル状繊維を含有する多孔質 基材およびポリマーからなる孔径0.01~10μmの 通孔を有する網状構造体からなり、該多孔 基材の表面および内部に該網状構造体が存 し、該平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状 維と該網状構造体とが絡合している。多孔 シートの骨格部分を平均繊維径0.01~10μmの非 フィブリル状繊維が担い、多孔質シートの強 度および電解液浸透性を発現する。これに網 状構造体が加わることによって、電解液含浸 状態での突刺強度の増強、電解液の浸み出し 抑制、すなわち、耐ドライアップ性といった 効果が生まれる。そのため、本発明の多孔質 シートは、電気化学素子用セパレータとして 好適であり、電気化学素子の製造不良率を低 減し、漏れ電流や内部抵抗の上昇を抑制し、 ハイレート特性に優れ、電気化学素子の寿命 を長くすることができる。また、本発明の多 孔質シートは、高電圧に対して弱いセルロー スを含有する場合であっても、網状構造体の 存在によってセルロースの劣化を抑制する効 果があり、高電圧で使用したときでも電気化 学素子の寿命を長くすることができる。

 本発明の多孔質シートにおいて、平均繊 径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と網状構造 体とが絡合しているため、多孔質基材から網 状構造体が分離または離散することがない。 したがって、多孔質シートの取り扱い時や電 気化学素子の製造中に多孔質シート表面が指 や装置等でこすられても、毛羽立ったり、層 間剥離したりすることがなく、支障を来たす ことがない。

 また、本発明の多孔質シートの製造方法 よれば、ポリマー析出体に占める孔径0.01~10 μmの貫通孔を有する網状構造体の割合を多く できる。したがって、本発明の製造方法は、 薄くて、電解液浸透性と耐ドライアップ性に 優れる多孔質シートを効率良く製造すること ができる。ここで、ポリマー析出体とは、形 状、貫通孔の大きさ、貫通孔の有無に関係な く、多孔質基材の表面および内部に析出した ポリマーからなる析出体全体を意味する。

本発明の実施例5で作製した多孔質シー ト5の塗工面の電子顕微鏡写真(1000倍率)を示 。 本発明の実施例16で作製した多孔質シ ト16の表面の電子顕微鏡写真(2000倍率)を示す 。 本発明の実施例14で作製した多孔質シ ト14の塗工面の電子顕微鏡写真(2000倍率)を示 す。 本発明の実施例11で作製した多孔質シ ト11の表面の電子顕微鏡写真(1000倍率)を示す 。 本発明の実施例26で作製した多孔質シ ト26に含有される網状構造体の電子顕微鏡写 真(10000倍率)を示す。 本発明の実施例6で作製した多孔質シー ト6に含有される網状構造体の電子顕微鏡写 (2000倍率)を示す。 本発明の実施例28で作製した多孔質シ ト28に含有される網状構造体の電子顕微鏡写 真(5000倍率)を示す。 本発明の実施例7で作製した多孔質シー ト7に含有される網状構造体の電子顕微鏡写 (10000倍率)を示す。 本発明の実施例107で作製した多孔質シ ト107に含有される網状構造体の電子顕微鏡 真(10000倍率)を示す。 本発明の実施例9で作製した多孔質シ ト9に含有される網状構造体の電子顕微鏡写 (5000倍率)を示す。 本発明の実施例8で作製した多孔質シ ト8に含有される網状構造体の電子顕微鏡写 (10000倍率)を示す。 本発明の実施例16で作製した多孔質シ ト16に含有される網状構造体の電子顕微鏡 真(10000倍率)を示す。 本発明の比較例3で作製した多孔質シ ト110の表面の電子顕微鏡写真(5000倍率)を示 。 本発明の比較例5で作製した多孔質シ ト112の表面の電子顕微鏡写真(2000倍率)を示 。

 本発明の多孔質シートは、平均繊維径0.01 ~10μmの非フィブリル状繊維を含有する多孔質 基材およびポリマーからなる孔径0.01~10μmの 通孔を有する網状構造体からなり、該多孔 基材の表面および内部に該網状構造体が存 している。以下、特にことわりのない場合 、「多孔質基材」とは「平均繊維径0.01~10μm 非フィブリル状繊維を含有する多孔質基材 である。

 平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 としては、有機繊維または無機繊維からなる 非フィブリル状繊維が挙げられる。有機繊維 としては、ポリエチレンテレフタレート、ポ リブチレンテレフタレートおよびそれらの誘 導体、芳香族ポリエステル、全芳香族ポリエ ステルなどのポリエステル、ポリオレフィン 、アクリル、ポリアセタール、ポリカーボネ ート、脂肪族ポリケトン、芳香族ポリケトン 、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、全 芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド イミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリベ ンゾイミダゾール、ポリエーテルエーテルケ トン、ポリエーテルスルホン、ポリ(パラ-フ ニレンベンゾビスチアゾール)、ポリ(パラ- ェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)、ポ フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエ レン、ポリビニルアルコール、ポリウレタ およびポリ塩化ビニルなどの樹脂からなる 維、ならびにセルロース繊維などが挙げら る。

 これらの有機繊維の中でも、耐溶剤性お び耐熱性、ならびに多孔質基材の製造安定 に優れることから、ポリエステル、全芳香 ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレン ルフィド、またはポリエーテルエーテルケ ンが好ましい。また、多孔質基材がポリオ フィン繊維を含有することも好ましい。な なら、電気化学素子内部の温度がポリオレ ィン繊維の融点以上になったときにポリオ フィン繊維が溶融して正負電極間の電流を 断する、いわゆるシャットダウン機能を付 できるからである。

 有機繊維以外の非フィブリル状繊維とし は、ガラス、アルミナ、シリカ、ジルコニ 、炭化珪素、各種セラミックスからなる無 繊維が挙げられる。

 非フィブリル状繊維は枝分かれしていな 繊維である。溶融紡糸、溶液紡糸、液晶紡 、フラッシュ紡糸、エレクトロスピニング 火焔延伸法、ロータリー法などの方法で製 された非フィブリル状繊維を用いることが きる。非フィブリル状繊維は、単独で用い も良いし、2種類以上の組み合わせで用いて も良い。非フィブリル状繊維の繊維断面は円 形、扁平、多角形のいずれでも良い。

 本明細書中で使用される場合、芳香族ポ アミドや芳香族ポリエステルなどの「芳香 」とは、芳香族骨格のみで構成される「全 香族」とは違って、主鎖の一部または全部 例えば脂肪鎖などを有するものを指す。全 香族ポリアミドは、パラ型またはメタ型の ずれでも良い。ポリ(パラ-フェニレンベン ビスチアゾール)はトランス型またはシス型 いずれでも良い。本発明におけるアクリル は、アクリロニトリル100%の重合体からなる もの、および、アクリロニトリルに対して、 アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エス テル、メタクリル酸エステル等の(メタ)アク ル酸誘導体、酢酸ビニルなどを共重合させ ものを指す。セルロース繊維としては、溶 紡糸セルロース、再生セルロース、麻、柔 胞繊維などが挙げられる。柔細胞繊維とは 植物の茎、葉、根、果実等に存在する柔細 を主体とした部分をアルカリで処理する等 て得られるセルロースを主成分とし、水に 溶な繊維である。

 平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 の繊維長は1~15mmが好ましく、2~6mmがより好ま い。繊維長が1mmより短いと、多孔質シート ら脱落する場合があり、15mmより長いと、繊 維がもつれてダマになりやすく、厚みむらが 生じる場合がある。非フィブリル状繊維の平 均繊維径が0.01μm未満だと、非フィブリル状 維1本の強度が弱く、多孔質基材の強度が不 分になる場合があり、10μmより太いと、多 質基材の厚みを薄くしにくくなる。非フィ リル状繊維の平均繊維径は0.1~10μmがより好 しい。

 多孔質基材における平均繊維径0.01~10μmの 非フィブリル状繊維の含有率は、5~100質量%が 好ましい。多孔質基材における平均繊維径0.0 1~10μmの非フィブリル状繊維の含有率が5質量% 未満で、平均繊維径0.01μm未満の非フィブリ 状繊維が主体となる場合には、該非フィブ ル状繊維で形成される繊維間空隙が狭く、 状構造体が繊維間空隙に形成されにくくな て、多孔質基材表面を網状構造体が覆い隠 てしまい、電解液浸透性が不十分になる傾 がある。多孔質基材における平均繊維径0.01~ 10μmの非フィブリル状繊維の含有率が5質量% 満で、平均繊維径10μmより太い非フィブリル 状繊維が主体となる場合には、該非フィブリ ル状繊維で形成される繊維間空隙が広すぎて 、網状構造体が抜けやすく、網状構造体がま だらに形成されたり、網状構造体の含有率が 不十分になりやすい傾向がある。

 多孔質基材は、バブルポイント法で測定さ る最大孔径が0.1~80μmであることが好ましく 0.5~50μmであることがより好ましい。多孔質 材の坪量は5~40g/m 2 が好ましく、8~20g/m 2 がより好ましい。多孔質基材の坪量が5g/m 2 未満では、多孔質基材の強度が不十分になり やすく、網状構造体を形成する際のポリマー 溶液の含浸性や塗工性に問題が生じる場合が あり、40g/m 2 を超えると多孔質シートの厚みを薄くしにく くなる。

 多孔質基材は、平均繊維径0.01~10μmの非フ ィブリル状繊維以外の繊維を含有していても 良い。具体的には、パルプ状繊維、フィブリ ル状繊維、フィブリッド、平均繊維径が0.01μ mより細い非フィブリル状繊維、10μmより太い 非フィブリル状繊維等が挙げられる。これら の繊維としては、平均繊維径0.01~10μmの非フ ブリル状繊維で例示した樹脂から構成され 繊維を挙げることができる。その他、溶剤 糸セルロース、再生セルロース、木材繊維 リンター、リント、麻、柔細胞繊維なども げられる。パルプ状繊維やフィブリル状繊 としては、カナディアンスタンダードフリ ネスが0~500mlの範囲にあることが好ましく、 量平均繊維長は0.2~2mmの範囲にあることが好 ましい。パルプ状繊維やフィブリル状繊維と しては、均一に細くしやすい点でセルロース が好ましい。

 フィブリル状繊維とは、主に繊維軸と平 な方向に非常に細かく分割された部分を有 る繊維状で、少なくとも一部が繊維径1μm以 下になっている繊維を指す。リファイナー、 ビーター、ミル、摩砕装置、高速の回転刃に より剪断力を与える回転刃式ホモジナイザー 、高速で回転する円筒形の内刃と固定された 外刃との間で剪断力を生じる二重円筒式の高 速ホモジナイザー、超音波による衝撃で微細 化する超音波破砕器、繊維懸濁液に少なくと も13MPaの圧力差を与えて小径のオリフィスを 過させて高速度とし、これを衝突させて急 速することにより繊維に剪断力、切断力を える高圧ホモジナイザー等を用いて製造さ る。フィブリッドとは、非顆粒状且つ非剛 の繊維状またはフィルム状微小粒子である フィブリッドは、米国特許第2999788号明細書 や米国特許第3018091号明細書に明示されてい ように、ポリマー溶液を貧溶媒(凝固浴)の中 へ剪断沈殿させることによって製造すること ができる。

 パルプ状繊維、フィブリル状繊維および ィブリッドは、多孔質基材の透気度を調整 やすくする効果や網状構造体の脱落を抑制 る効果があるため、好ましい。多孔質基材 占めるパルプ状繊維、フィブリル状繊維お びフィブリッドの合計含有率は、0~40質量% 好ましく、1~20質量%がより好ましい。パルプ 状繊維、フィブリル状繊維およびフィブリッ ドの合計含有率が40質量%より多いと、多孔質 シートの透気度や電解液浸透性が不十分にな る傾向がある。

 本発明における多孔質基材は、湿式抄紙 、エレクトロスピニング法、メルトブロー 法、フラッシュ紡糸法、これらの組み合わ などの方法で製造することができる。多孔 基材は必要に応じて、カレンダー処理、熱 レンダー処理、熱処理などが施される。

 網状構造体とは、ポリマーで構成され、 通孔からなる空隙が連続的に形成され、厚 を持って網状に広がっていて、網状構造体 体の平面積に占める貫通孔の平面積率が10% 上である構造体を指す。網状構造体全体の 面積に占める貫通孔の平面積率を求めるに 、まず網状構造体の電子顕微鏡写真を撮影 、貫通孔の平均孔径を算出する。貫通孔の 均孔径は、網状構造体に存在する貫通孔の から無作為に選んだ20個の貫通孔の孔径の 均値である。ここで、孔径とは貫通孔の面 を真円の面積に換算したときの直径を意味 る。貫通孔の平均孔径の10倍長さを一辺とす る正方形領域に存在する網状構造体の数を計 測し、平均孔径の貫通孔の面積に貫通孔の数 を掛けて貫通孔の総平面積S3とする。貫通孔 平均孔径の10倍長さを一辺とする正方形領 に存在する網状構造体の総平面積S4を計測し 、S3をS4で除して100倍すると、網状構造体全 の平面積に占める貫通孔の平面積率となる 以下、この値を「孔平面積率」という。孔 面積率が10%未満だと、多孔質シートの電解 浸透性が悪くなる場合や電極との接触抵抗 大きくなる場合がある。網状構造体の貫通 は500倍以上、好ましくは5000倍以上の倍率で 影した電子顕微鏡写真で観察することによ 確認することができる。

 本発明の網状構造体は、孔径0.01~10μmの貫 通孔を有する。網状構造体の貫通孔の形は円 形、楕円形、多角形などがある。貫通孔の孔 径が0.01μm未満だと多孔質シートの電解液浸 性が悪くなる場合や電極との接触抵抗が大 くなる場合があり、10μmより大きいと多孔質 シートの強度や電解液含浸状態での突刺強度 が不十分になる場合や漏れ電流が大きくなる 場合がある。

 また、網状構造体は、孔径0.01~10μmの貫通 孔を有し、貫通孔の平均孔径の10倍長さを一 とする正方形領域に貫通孔が20個以上存在 ることが好ましく、30個以上存在することが より好ましい。例えば、網状構造体が平均孔 径1μmの貫通孔を有する場合、一辺の長さを10 μmとする正方形領域に貫通孔が20個以上存在 ることが好ましい。貫通孔の平均孔径の10 長さを一辺とする正方形領域に存在する貫 孔の数が20個未満だと、多孔質シートの電解 液浸透性が悪くなる場合や電極との接触抵抗 が大きくなる場合がある。

 網状構造体は、網状、蓮根を薄く輪切り した断面のような形状、蜂の巣状、蜘蛛の 状、スポンジ状などの形状をとり、単層の のもあれば多層のものもある。また、一部 単層で一部が多層の場合もある。本発明の 孔質シートは、形状や平均孔径が異なる網 構造体を含んでいても良い。また、本発明 多孔質シートは、孔径0.01~10μm以外の孔径の 貫通孔を有する網状構造体を含んでいても良 い。

 本発明における網状構造体は、多孔質基 の表面および内部の繊維間空隙にポリマー 析出して形成される。このとき、多孔質基 を構成する平均繊維径0.01~10μmの非フィブリ ル状繊維と網状構造体とが絡合するため、網 状構造体は多孔質シートから物理的に単離す ることができない。したがって、多孔質基材 から網状構造体が分離または離散しない。こ こで、絡合とは、網状構造体が非フィブリル 状繊維の少なくとも一部を包み込んだ状態、 または網状構造体が該非フィブリル状繊維の 少なくとも一部に絡まった状態を意味する。 本発明の多孔質シートにおいて、網状構造体 は、多孔質基材の表面と内部に部分的に存在 していれば良く、例えば、片表面と内部だけ に存在していても良い。網状構造体が多孔質 基材の表面と裏面の両方に存在する場合には 、表面と裏面に存在する網状構造体の面積が 異なっていても良い。

 本発明の多孔質シートに対するポリマー 出体の含有率は1~40質量%が好ましく、3~30質 %がより好ましい。ポリマー析出体の含有率 が1質量%未満の場合、電解液含浸状態での多 質シートの突刺強度が不十分になる場合や 多孔質シートを電気化学素子用セパレータ して用いたときに漏れ電流が大きくなる場 がある。ポリマー析出体の含有率が40質量% り多い場合、電解液浸透性が不十分になる 合や電気化学素子の内部抵抗が高くなる場 がある。また、本発明の多孔質シートに対 る平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 とポリマー析出体との合計含有率は、6~100質 %が好ましく、9~100質量%がより好ましく、50~ 100質量%がさらにより好ましい。平均繊維径0. 01~10μmの非フィブリル状繊維とポリマー析出 との合計含有率が6質量%未満のとき、多孔 シートの強度や電解液含浸状態での突刺強 が不十分になる場合がある。

 本発明の多孔質シートの表面および裏面 存在するポリマー析出体に占める孔径0.01~10 μmの貫通孔を有する網状構造体の含有率は、 面積占有率に換算して50~100%が好ましく、70~10 0%がより好ましい。ここで、面積占有率とは 多孔質シートの表面および裏面の電子顕微 写真を撮影し、多孔質シートの表面および 面それぞれ任意に選んだ一辺50μmの正方形 域に存在するポリマー析出体の総面積S1と、 孔径0.01~10μmの貫通孔を有する網状構造体の 面積S2を算出し、S2をS1で除して100倍した値 意味する。該網状構造体の面積占有率が50% 満だと、網状構造体の貫通孔が0.01μmよりも さくなったり、貫通孔が空いていない皮膜 分が存在したりして、電解液浸透性が悪く る場合や電極との接触抵抗が大きくなる場 がある。逆に、貫通孔が10μmより大きすぎ 、多孔質シートの強度や電解液含浸状態で 突刺強度が不十分になる場合や漏れ電流が きくなる場合がある。

 網状構造体の厚みは、0.01~10μmが好ましく 、0.1~5μmがより好ましい。網状構造体の厚み 0.01μm未満では、多孔質シートの強度や電解 液含浸状態での突刺強度が不十分になる場合 がある。網状構造体の厚みが10μmより厚いと 電解液浸透性に問題が生じる場合がある。 状構造体の厚みは、多孔質シートの表面ま は断面を500倍以上、好ましくは5000倍以上の 倍率で撮影した電子顕微鏡写真を観察するこ とにより確認することができる。

 本発明において、網状構造体を構成するポ マーとしては、ポリアミド、ポリエーテル ルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、 クリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポ エーテルイミド、ポリカーボネート、ポリ ッ化ビニリデン、セルロースが挙げられる これらの中でも、ポリアミド、ポリエーテ スルホンおよびポリアミドイミドが好まし 。なぜなら、ポリアミドは、多孔質シート 電解液湿潤状態での突刺強度を強くする効 が大きいからである。ポリエーテルスルホ およびポリアミドイミドは、有機溶媒への 解性が高く、網状構造体を形成しやすく、 径0.01~10μmの貫通孔を有する網状構造体の面 積占有率を高くしやすいからである。さらに 、ポリアミドイミドは網状構造体の孔平面積 率を高くしやすいからである。また、ポリア ミドとしては、有機溶媒への溶解性が高く、 孔平面積率を高くしやすいことから、下記一 般式(1)で示される芳香族ジアミン誘導単位お よび/または下記一般式(2)で示される芳香族 カルボン酸誘導単位を含有する芳香族ポリ ミドが好ましい。

 一般式(1)および(2)において、フェニレン基 の結合は、パラ位、メタ位、またはオルト の何れでも良いが、有機溶媒への溶解性、 リマーの耐熱性、網状構造体の貫通孔の大 さと数を好ましい範囲に制御しやすく、電 液浸透性と耐ドライアップ性のバランスを 整しやすい点でパラ位が好ましい。また、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立して、-O-、-NH-、-S-、スル ニル基、カルボニル基、カーボネート基、 レア基、ウレタン基、アリーレン基、炭素 1~30のアルキレン基、および炭素数2~30のアル ケニレン基を示す。

 ここで、アリーレン基としては、フェニレ 基、ビフェニレン基、ナフタレン基等が挙 られるが、これらに限定されるものではな 。これらのアリーレン基は、F、Cl、Br、I等 ハロゲン原子、CH 3 -、C 2 H 5 -、CF 3 -等のアルキル基、CH 3 O-、C 2 H 5 O-、CF 3 O-、C 3 H 7 O-等のアルコキシ基、(CH 3 ) 2 N-、(C 2 H 5 ) 2 N-等のアミノ基、C 3 F 7 SO 2 -、シアノ基などの置換基を有していても良 。

 炭素数1~30のアルキレン基とは、直鎖、分 岐又は環状アルキレン基であり、具体的には 、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、 ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、 ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、 デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基 、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペン タデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデ シレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン 基、イコシレン基、エイコシレン基、ヘンイ コシレン基、ヘンエイコシレン基、ドコシレ ン基、トリコシレン基、テトラコシレン基、 ペンタコシレン基、ヘキサコシレン基、ヘプ タコシレン基、オクタコシレン基、ノナコシ レン基、トリアコンチレン基、シクロプロピ レン基、シクロブチレン基、シクロペンチレ ン基、シクロへキシレン基、シクロヘプチレ ン基、シクロオクチレン基、シクロノニレン 基、シクロデシレン基、シクロウンデシレン 基、シクロドデシレン基、シクロトリデシレ ン基、シクロテトラデシレン基、シクロペン タデシレン基、シクロヘキサデシレン基、シ クロヘプタデシレン基、シクロオクタデシレ ン基、シクロノナデシレン基、シクロイコシ レン基、シクロエイコシレン基、シクロヘン イコシレン基、シクロヘンエイコシレン基、 シクロドコシレン基、シクロトリコシレン基 、シクロテトラコシレン基、シクロペンタコ シレン基、シクロヘキサコシレン基、シクロ ヘプタコシレン基、シクロオクタコシレン基 、シクロノナコシレン基、シクロトリアコン チレン基等が挙げられる。

 炭素数1~30のアルキレン基は、F、Cl、Br、I等 のハロゲン原子、CH 3 -、C 2 H 5 -、CF 3 -等のアルキル基、CH 3 O-、C 2 H 5 O-、CF 3 O-、C 3 H 7 O-等のアルコキシ基、(CH 3 ) 2 N-、(C 2 H 5 ) 2 N-等のアミノ基、C 3 F 7 SO 2 -、シアノ基、チオアルキル基などの置換基 有していても良い。

 炭素数2~30のアルケニレン基とは、直鎖、 分岐又は環状アルケニレン基であり、具体的 には、エチニレン基、プロピニレン基、ブチ ニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基 、ヘプチニレン基、オクチニレン基、ノニニ レン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、 ドデシニレン基、トリデシニレン基、テトラ デシニレン基、ペンタデシニレン基、ヘキサ デシニレン基、ヘプタデシニレン基、オクタ デシニレン基、ノナデシニレン基、イコシニ レン基、エイコシニレン基、ヘンイコシニレ ン基、ヘンエイコシニレン基、ドコシニレン 基、トリコシニレン基、テトラコシニレン基 、ペンタコシニレン基、ヘキサコシニレン基 、ヘプタコシニレン基、オクタコシニレン基 、ノナコシニレン基、トリアコンチニレン基 、シクロプロピニレン基、シクロブチニレン 基、シクロペンチニレン基、シクロヘキシニ レン基、シクロヘプチニレン基、シクロオク チニレン基、シクロノニニレン基、シクロデ シニレン基、シクロウンデシニレン基、シク ロドデシニレン基、シクロトリデシニレン基 、シクロテトラデシニレン基、シクロペンタ デシニレン基、シクロヘキサデシニレン基、 シクロヘプタデシニレン基、シクロオクタデ シニレン基、シクロノナデシニレン基、シク ロイコシニレン基、シクロエイコシニレン基 、シクロヘンイコシニレン基、シクロヘンエ イコシニレン基、シクロドコシニレン基、シ クロトリコシニレン基、シクロテトラコシニ レン基、シクロペンタコシニレン基、シクロ ヘキサコシニレン基、シクロヘプタコシニレ ン基、シクロオクタコシニレン基、シクロノ ナコシニレン基、シクロトリアコンチニレン 基等を挙げることができる。

 炭素数2~30のアルケニレン基は、F、Cl、Br、I 等のハロゲン原子、CH 3 -、C 2 H 5 -、CF 3 -等のアルキル基、CH 3 O-、C 2 H 5 O-、CF 3 O-、C 3 H 7 O-等のアルコキシ基、(CH 3 ) 2 N-、(C 2 H 5 ) 2 N-等のアミノ基、C 3 F 7 SO 2 -、シアノ基、チオアルキル基などの置換基 有していても良い。

 本発明の多孔質シートにおいて、平均繊 径0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有する 多孔質基材の表面および内部に網状構造体が 存在し、該平均繊維径0.01~10μmの非フィブリ 状繊維と該網状構造体とが絡合してなる。 発明の多孔質シートは、平均繊維径0.01~10μm 非フィブリル状繊維の一部が多孔質シート 表面に露出していることが好ましい。ここ 、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 の一部が多孔質シートの表面に露出している 状態とは、多孔質シートの両面とも網状構造 体が完全には覆っておらず、該非フィブリル 状繊維の一部が最外表に出ている状態を意味 する。非フィブリル状繊維の一部が多孔質シ ートの表面に露出しているかどうかは、多孔 質シートの表面または断面を電子顕微鏡で観 察することにより確認することができる。非 フィブリル状繊維の一部が多孔質シートの表 面に露出していることにより、網状構造体が 完全に多孔質シート表面を覆っている場合に 比べて、電解液浸透性が良いという利点があ る。

 図1~4は、本発明の多孔質シートにおける の表面の一例の電子顕微鏡写真である。図1 ~3では、網状構造体が、平均繊維径0.01~10μmの 非フィブリル状繊維の上を覆ったり、下にも ぐりこんだりした状態で広範囲にわたって形 成されている。そして、平均繊維径0.01~10μm 非フィブリル状繊維の一部が多孔質シート 面に露出していることがわかる。図4では、 状構造体が完全に多孔質基材表面を覆って り、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊 維が多孔質シート表面に露出していない。

 図5~12は、網状構造体を高倍率で撮影した 写真である。図5の網状構造体は、孔径0.11~1.7 7μmの貫通孔を有し、多層になっている。図6 網状構造体は、孔径3.33~5.55μmの多角形の貫 孔が規則的に単層で広がっており、蜂の巣 に見える。図7の網状構造体は、孔径0.08~1.34 μmの貫通孔を有し、多層になっている。図8 網状構造体は、孔径0.05~1.22μmの貫通孔を有 、多層になっている。図9の網状構造体は、 径0.04~1.16μmの貫通孔を有し、蓮根を薄く輪 りにした断面のような形状で多層になって る。図10の網状構造体は、孔径0.13~4.24μmの 通孔を有し、多層になっている。図11の網状 構造体は、孔径0.05~1.22μmの貫通孔を有し、多 層になっている。図12の網状構造体は、図2の 網状構造体を高倍率で撮影したもので、孔径 0.11~2.27μmの貫通孔を有し、多層になっている 。図1~12の網状構造体は、孔平面積率が10%以 で、貫通孔の平均孔径の10倍長さを一辺とす る正方形領域に20個以上の貫通孔を有してい 。

 図13および14は、本発明外の多孔質シート 表面の一例を示す電子顕微鏡写真である。図 13は、本発明に係わる網状構造体ではなく、 通孔の平面積率が10%未満の構造体である。 14は、貫通孔を持たないポリマーからなる 膜が多孔質基材の表面全体に形成されてい 。

 本発明の多孔質シートは、厚みが5~100μmで ることが好ましく、9~35μmであることがより ましく、10~30μmであることがさらにより好 しい。本発明の多孔質シートの密度は0.300~0. 900g/cm 3 であることが好ましく、0.500~0.850g/cm 3 であることがより好ましく、0.600~0.800g/cm 3 であることがさらにより好ましい。厚みが5μ m未満では、取り扱い時や加工時に破れたり 穴があいたりすることがあり、100μmより厚 と、電気化学素子用セパレータとして用い ときに収納できる電極面積が小さくなり、 量が不十分になる場合がある。密度が0.300g/c m 3 未満だと、電気化学素子用セパレータとして 用いたときに、漏れ電流が大きくなる場合が あり、0.900g/cm 3 より大きいと、電気化学素子用セパレータと して用いたときに、耐ドライアップ性が不十 分になる場合がある。

 本発明の多孔質シートは、ガーレー透気 が0.1~100s/100mlであることが好ましく、0.1~20s/ 100mlであることがより好ましく、0.1~9.9s/100ml あることがさらにより好ましい。多孔質シ トが電気二重層キャパシタ用セパレータと て使用される場合には、ガーレー透気度は1. 0~20s/100mlであることが好ましく、1.0~9.9s/100ml あることがより好ましい。多孔質シートが 導電性高分子を用いる固体電解コンデンサ セパレータとして使用される場合には、ガ レー透気度は0.1~5.0s/100mlであることが好まし く、0.1~3.0s/100mlであることがより好ましい。 孔質シートがリチウムイオン電池用セパレ タとして使用される場合には、ガーレー透 度は1.0~100s/100mlであることが好ましい。多 質シートのガーレー透気度が、0.1s/100ml未満 と、電気化学素子用セパレータとして用い ときに、漏れ電流が大きくなる場合があり 100s/100mlより大きいと、電気化学素子用セパ レータとして用いたときに内部抵抗が大きく なる場合や、導電性高分子を用いる固体電解 コンデンサ用セパレータとして用いたときに 、導電性高分子が担持されにくくなる場合が ある。

 本発明の多孔質シートは、電解液含浸状 の突刺強度が1.0N以上であることが好ましく 、1.4N以上であることがより好ましい。電解 含浸状態での突刺強度が1.0N未満では、多孔 シートを電気化学素子用セパレータとして いて電気化学素子を製造する際に、多孔質 ートが破れたり、穴が開いたりするなどし 電気化学素子の特性が低下する場合がある 本発明においては、多孔質シートに電解液 10分間含浸し、次いで、1分間吊るして多孔 シートに付着した余分な電解液を除去して 平に静置し、これに直角に1mm/sの一定速度 先端に丸みをつけた直径1mmの金属針を貫通 るまで降ろしたときの最大荷重(N)を電解液 浸状態の突刺強度とする。

 本発明の多孔質シートは、電気化学素子 セパレータとして好適に使用できる。本発 における電気化学素子とは、マンガン乾電 、アルカリマンガン電池、酸化銀電池、リ ウム電池、鉛蓄電池、ニッケル-カドミウム 蓄電池、ニッケル-水素蓄電池、ニッケル-亜 蓄電池、酸化銀-亜鉛蓄電池、リチウムイオ ン電池、リチウムポリマー電池、各種のゲル 電解質電池、亜鉛-空気蓄電池、鉄-空気蓄電 、アルミニウム-空気蓄電池、燃料電池、太 陽電池、ナトリウム硫黄電池、ポリアセン電 池、電解コンデンサ、固体電解コンデンサ、 電気二重層キャパシタ、ラジカルポリマーを 用いる有機ラジカル電池などを指す。

 電気二重層キャパシタの電極としては、 対の電気二重層型電極、一方が電気二重層 電極でもう片方が酸化還元型電極の組み合 せの何れでも良い。電気二重層型電極とし は、活性炭や非多孔性炭素、黒鉛などの炭 材料からなる電極が挙げられる。ここで、 多孔性炭素とは、活性炭とは製法が異なり 黒鉛に類似の微結晶炭素を有する炭素を指 。活性炭の場合は、充放電に伴って細孔に オンが入ったり出たりするが、非多孔性炭 の場合は、微結晶炭素の層間にイオンが入 たり出たりする。これらの炭素材料にリチ ムイオンをドープしたものも挙げられる。 となる電気二重層型電極は、それぞれ同一 あっても異なっていてもよい。酸化還元型 極としては、ポリピロール、ポリチオフェ 、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリア ン、インドール三量体、ポリフェニルキノ サリン、これらの誘導体(例えば、ポリフル オロフェニルチオフェン、ポリ(3-メチルチオ フェン)など)などの導電性高分子や金属錯体 分子、酸化ルテニウム、酸化インジウム、 化タングステンなどの金属酸化物が挙げら るが、これらに限定されるものではない。

 電解液には、イオン解離性の塩を溶解さ た水溶液、プロピレンカーボネート、エチ ンカーボネート、ジメチルカーボネート、 エチルカーボネート、アセトニトリル、γ- チロラクトン、ジメチルホルムアミド、テ ラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメ キシメタン、スルホラン、ジメチルスルホ シド、エチレングリコール、プロピレング コール、メチルセルソルブ、これらの混合 媒などの有機溶媒にイオン解離性の塩を溶 させたもの、イオン性液体(固体溶融塩)な が挙げられるが、これらに限定されるもの はない。水溶液系と有機溶媒系の何れも利 できる電気化学素子の場合は、水溶液系は 電圧が低いため、有機溶媒系の方が好まし 。電解液の代わりにポリピロール、ポリチ フェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、 れらの誘導体などの導電性高分子膜を用い も良い。

 本発明において、固体電解コンデンサは 体電解質として導電性高分子を用いるもの 指す。導電性高分子としては、ポリピロー 、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリア チレン、ポリアセン、これらの誘導体が挙 られる。固体電解コンデンサは、これら導 性高分子と電解液を併用したものでも良い

 本発明において、リチウムイオン電池と リチウムイオンを吸蔵、放出できる電極と 電解液や固体電解質とからなるものを指す 負極には炭素材料、正極にはリチウム金属 化物などが用いられる。リチウム金属酸化 としては、コバルト酸リチウム、マンガン リチウム、ニッケル酸リチウムが挙げられ が、これらに限定されるものではない。電 液には、プロピレンカーボネート、エチレ カーボネート、ジメチルカーボネート、ジ チルカーボネート、ジメトキシエタン、ジ トキシメタン、これらの混合溶媒などの有 溶媒にリチウム塩を溶解させたものが用い れる。リチウム塩としては、六フッ化リン リチウムや4フッ化ホウ酸リチウムが挙げら れるが、これらに限定されるものではない。 固体電解質としては、ポリエチレングリコー ルやその誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、 ポリシロキサンやその誘導体、ポリフッ化ビ ニリデンなどのゲル状ポリマーにリチウム塩 を溶解させたものが用いられるが、これらに 限定されるものではない。

 本発明の多孔質シートを電気化学素子用 パレータとして用いたときに、多孔質シー のピンホールや電解液含浸状態での突刺強 不足が原因で電気化学素子が内部短絡した 、漏れ電流が異常に流れたりしないように るには、多孔質シートにおける網状構造体 含有率を多くする方向、および/または、多 孔質基材自体の突刺強度を強くする方向で多 孔質シートを作製すれば良い。

 本発明における多孔質シートの製造方法 しては、多孔質基材に有機溶媒を主媒体と るポリマー溶液を含浸または塗工した後、 多孔質基材を水溶液に接触させるか、また 、水溶液中に浸漬して、ポリマーからなる 状構造体を析出させる方法が挙げられる。 るいは、多孔質基材と多孔質支持体とを積 した状態で、有機溶媒を主媒体とするポリ ー溶液を含浸した後、水溶液に多孔質支持 の表面を接触させるか、または、水溶液中 浸漬して、ポリマーからなる網状構造体を 出させた後、多孔質基材から多孔質支持体 剥がす方法が挙げられる。何れの方法も、 孔質基材にポリマーからなる網状構造体を 出させた後、水洗、乾燥して多孔質シート 作製する。

 本発明の第1の多孔質シートの製造方法は 、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 含有する多孔質基材の片面に、有機溶媒を 媒体とするポリマー溶液を塗工する工程、 よび、水溶液に、該多孔質基材のポリマー 液が塗工されていない面を接触させて、平 繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と絡合 るポリマーからなる網状構造体を該多孔質 材の表面および内部に析出させる工程から る。水溶液に該多孔質基材のポリマー溶液 塗工されていない面を接触させる時間とし は、5秒以上が好ましく、1分以上がより好 しい。該多孔質基材のポリマー溶液が塗工 れていない面を水溶液に所定時間接触させ 後は、多孔質基材を水溶液に浸漬したまま 置しても良いし、浸漬したまま動かしても い。水溶液に浸漬するときに、多孔質基材 反転させたり、縦や斜めにしたりしても良 。この第1の製造方法によれば、貫通孔を持 ない皮膜が形成されにくく、電解液浸透性 耐ドライアップ性に優れた多孔質シートを 率良く製造することができる。

 本発明の第2の多孔質シートの製造方法は 、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 含有する多孔質基材の片面に、有機溶媒を 媒体とするポリマー溶液を塗工する工程、 よび、ポリマー溶液が塗工された面を上に て該多孔質基材を水溶液に浸漬して、平均 維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と絡合す ポリマーからなる網状構造体を該多孔質基 の表面および内部に析出させる工程からな 。水溶液に多孔質基材の塗工面を上にして 漬させる時間としては、5秒以上が好ましく 、1分以上がより好ましい。水溶液に多孔質 材の塗工面を上にして所定時間浸漬した後 、多孔質基材を水溶液に浸漬したまま静置 ても良く、浸漬したまま動かしても良い。 溶液に浸漬するときに、多孔質基材を反転 せたり、縦や斜めにしたりしても良い。こ 第2の製造方法によれば、貫通孔を持たない 膜が形成されにくく、電解液浸透性と耐ド イアップ性に優れる多孔質シートを効率良 製造することができる。

 本発明の第3の多孔質シートの製造方法は 、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 含有する多孔質基材と、多孔質支持体を積 する工程、該多孔質基材および多孔質支持 の積層体に、有機溶媒を主媒体とするポリ ー溶液を含浸する工程、水溶液に該多孔質 持体の表面を接触させて、平均繊維径0.01~10 mの非フィブリル状繊維と絡合するポリマー らなる網状構造体を多孔質基材の表面およ 内部に析出させる工程、ならびに、多孔質 材から多孔質支持体を剥がす工程からなる 水溶液に多孔質支持体の表面を接触させる 間としては、5秒以上が好ましく、1分以上 より好ましい。水溶液に多孔質支持体の表 を所定時間接触させた後は、該多孔質基材 多孔質支持体との積層体を水溶液に浸漬し まま静置しても良く、浸漬したまま動かし も良い。多孔質基材と多孔質支持体との積 体を水溶液に浸漬するときには、該積層体 反転させたり、縦や斜めにしたりしても良 。多孔質基材と多孔質支持体とを積層した 態でポリマーからなる網状構造体を多孔質 材の表面および内部に析出させた後は、多 質基材から多孔質支持体を剥がした後に、 孔質基材を水洗、乾燥しても良いし、先に 洗、乾燥した後に多孔質基材から多孔質支 体を剥がしても良い。

 この第3の製造方法によれば、多孔質基材 の表面および裏面ともに網状構造体が形成さ れるため、電解液浸透性と耐ドライアップ性 のバランスに優れる多孔質シートが得られる 。また、多孔質支持体と接触していた面より もその逆面の方に網状構造体が多く形成され る傾向がある。第3の製造方法で用いられる 孔質支持体としては、本発明の多孔質基材 用いることができる。多孔質支持体は、多 質基材と同一でも良く、異なるものでも良 。多孔質支持体は、湿式抄紙法、エレクト スピニング法、メルトブローン法、フラッ ュ紡糸法、これらの組み合わせなどの方法 製造されたものが好ましい。

 ポリマー溶液の媒体としては、使用する リマーに応じて、ポリマーが溶解可能な有 溶媒を選択する。例えば、N-メチル-2-ピロ ドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチ ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ア ミンオキサイド、テトラヒドロフラン、キシ レン、トルエン、ジメチルエーテル、ジエチ ルエーテル、エチルメチルエーテル、メチル エチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エ タノール、ブタノール、2-プロパノール、エ レングリコール、ジエチレングリコール、 リエチレングリコールなどが挙げられる。 れらは単独で使用しても良いし、混合して 用しても良い。これら有機溶媒に水を混合 ても良い。水はイオン交換水や蒸留水が好 しい。また、塩化リチウム、臭化リチウム ヨウ化リチウム、塩化カルシウムなどの金 ハロゲン化物を溶解させても良いが、多孔 シートを電気二重層キャパシタ用セパレー や電解コンデンサ用セパレータとして用い 場合には、塩素イオンがアルミ集電体を腐 する場合があるため、塩素化合物は使用し い方が好ましい。

 有機溶媒を主媒体とするとは、有機溶媒 全媒体の51質量%以上を占めることを意味す 。ポリマー溶液におけるポリマー濃度は、1 .0~20.0質量%が好ましく、3.0~10.0質量%がより好 しい。ポリマー濃度が1.0質量%未満では、網 状構造体の形成が不十分になる場合があり、 20.0質量%より高いと、ポリマー溶液の粘度が くなりすぎて、多孔質基材への含浸性や塗 性に支障を来たす場合や、必要以上のポリ ーが付着して網状構造体が形成されにくい 合がある。

 網状構造体を析出させるために使用する 溶液は、水のみでも良いし、メタノール、 タノール、ブタノール、2-プロパノール、 チレングリコール、ジエチレングリコール ポリエチレングリコールなどのアルコール 、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホル アミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチ スルホキシド、アミンオキサイドなどを混 しても良い。水溶液中の水の含有率は、30 量%以上が好ましく、51質量%以上がより好ま い。水はイオン交換水や蒸留水を使うこと 好ましい。

 本発明の多孔質シートの製造方法におい 、多孔質基材にポリマー溶液を含浸させる は、公知の含浸機、例えばディップコータ を用いれば良い。多孔質基材にポリマー溶 を塗工するには、公知の塗工機、例えばト ンスファロールコーター、リバースロール ーター、ブレードコーター、エアドクター ーター、ロッドコーター、グラビアコータ 、ダイコーター、ノッチバーコーターを用 れば良い。多孔質基材にポリマー溶液を含 させた後は、多孔質基材表面の余剰ポリマ 溶液を除去することが好ましい。余剰ポリ ー溶液を除去する方法としては、2本のロー ル間に通して搾り取る方法、ブレードで掻き 取る方法などがある。多孔質基材表面の余剰 ポリマー溶液を除去するために使用するロー ルの材質は、ゴム、樹脂、金属の何れでも良 い。このとき、2本のロールを1組として、こ を2組以上用いても良く、ブレードを2本以 用いても良い。

 水溶液に多孔質基材表面を接触させる方 としては、多孔質基材を水浴に浮かべる方 、トランスファロールコーターやリバース ールコーターなどを使い、水で濡らしたロ ルに接触させる方法、水浴に複数の回転ロ ルを設置して、水面がロール上端より高く らないようにし、常にロール表面が水に濡 るようにしておき、このロール上に多孔質 材を通す方法、シャワー水やカーテン状水 多孔質基材に当てる方法などが挙げられる シャワー水やカーテン状水の場合は、ポリ ーが多孔質基材から流れ落ちたり、ポリマ 析出が斑になることがある。多孔質基材を 続で通す場合には、トランスファロールコ ターやリバースロールコーターを使う方法 水浴に複数の回転ロールを設置して通す方 が好ましい。水溶液の温度は特に限定され ものではないが、0~60℃の範囲が好ましい。

 水溶液に多孔質基材を浸漬させる方法と ては、多孔質基材を水浴に通す方法が挙げ れる。このとき複数の水浴を使っても良い 多孔質基材を連続して水浴に通す場合は、 欠的または連続的に排水と新水供給とを実 することが好ましい。

 多孔質基材の乾燥方法としては、熱風ド イヤー、シリンダードライヤー、ヤンキー ライヤーなどを用いて行えば良い。熱風ド イヤーの場合は、相対的に多孔質シートの 断長が短めになる傾向があり、シリンダー ライヤーとヤンキードライヤーの場合は、 孔質シートの列断長が相対的に長めになる 向がある。シリンダードライヤーとヤンキ ドライヤーの場合は、熱風ドライヤーより 低温で効率良く乾燥できる傾向がある。

 本発明の多孔質シートの製造方法におい 、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 の一部を多孔質シートの表面に露出させるた めには、平均繊維径の異なる複数種の繊維か らなる多孔質基材を用いる、ポリマー溶液濃 度を薄くする、ポリマー溶液含浸後のロール 圧力やブレードの押し付け力を5N/cm以上、好 しくは10N/cm以上にする等の条件をいくつか み合わせて、多孔質シートを製造すれば良 。

 以下、実施例により本発明をさらに詳し 説明するが、本発明は実施例に限定される のではない。

<非フィブリル状繊維>
 実施例で使用した非フィブリル状繊維は以 の通りである。
PA1:ポリ(パラ-フェニレンテレフタルアミド) らなる非フィブリル状繊維
PA3:ナイロン6,6からなる非フィブリル状繊維( 化成せんい製、商品名:レオナ、繊維長5mm)
A1 :アクリロニトリル、アクリル酸メチル、 タクリル酸誘導体の3成分からなるアクリロ ニトリル系共重合体からなる非フィブリル状 繊維(三菱レイヨン製、商品名ボンネルM.V.P、 繊維長3mm)
PP1:溶融紡糸して得られたポリプロピレンか なる非フィブリル状繊維(繊維長3mm)
G1 :マイクロガラス非フィブリル状繊維
PET1~3:溶融紡糸して得られたポリエチレンテ フタレートからなる非フィブリル状繊維(繊 長2mm)
PET4:溶融紡糸して得られたポリエチレンテレ タレートからなる非フィブリル状繊維(帝人 ファイバー製、商品名:TM04N、繊維長3mm)
PET5~6:熱融着性ポリエステルからなる非フィ リル状繊維(帝人ファイバー製、商品名:TK08PN 、繊維長5mm)
PET7:溶融紡糸したポリエチレンテレフタレー からなる非フィブリル状繊維(帝人ファイバ ー製、商品名:TT04N、繊維長5mm)
PET8:熱融着性ポリエステルからなる非フィブ ル状繊維(帝人ファイバー製、商品名:TJO4PN 繊維長5mm)

<その他の繊維>
 実施例で使用した非フィブリル状繊維では い繊維は以下の通りである。
PA2:ポリ(パラ-フェニレンテレフタルアミド) らなるフィブリル状繊維(デュポン製、商品 :ケブラー1F361、カナディアンスタンダード リーネス150ml)
C1 :フィブリル状セルロース繊維(質量平均繊 維長0.39mm、カナディアンスタンダードフリー ネス0ml)
C2 :マニラ麻パルプ(カナディアンスタンダー ドフリーネス520ml)
C3 :溶剤紡糸セルロース繊維の叩解物(カナデ ィアンスタンダードフリーネス70ml)

<多孔質基材>
 表1に、実施例と比較例で使用した平均繊維 径0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有する 孔質基材1~8および11と、平均繊維径0.01~10μm 非フィブリル状繊維を含有していない多孔 基材9、10、12および13を示す。多孔質基材1、 2および10は、エレクトロスピニング法で作製 し、多孔質基材3~9、11および12は湿式抄紙法 作製した。また、多孔質基材11は、傾斜短網 抄紙機を用いて湿式抄紙した後、220℃の熱カ レンダーで線圧4.7kN/cmでカレンダー処理して 製した。多孔質基材13は、樹脂を溶融押出 して延伸したポリオレフィン多孔質フィル である。

<網状構造体用ポリマー>
ポリマーA
 メタ-フェニレンイソフタルアミド、トリエ チルアミン、トリエチルアミンヒドロクロラ イドを所定量溶解させたメチレンクロライド 溶液をブレンダー(WARING製)で撹拌しながら、 ソフタル酸クロライドを溶解させたメチレ クロライド溶液を加えて重縮合反応させ、 量平均分子量300000のポリ(メタ-フェニレン ソフタルアミド)を合成し、ポリマーAとして 用いた。

ポリマーB
 ポリエーテルスルホン(住友化学製、商品名 :スミカエクセル5003PS)を、ポリマーBとして用 いた。

ポリマーC
 ポリアミドイミド(東洋紡製、商品名:バイ マックスHR16NN)をポリマーCとして用いた。

ポリマーD
 一般式(1)において、R 1 が-O-である芳香族ジアミン誘導単位と下記一 般式(3)で示されるテレフタル酸誘導単位を含 有してなる芳香族ポリアミドをポリマーDと た。ポリマーDは、芳香族ジアミンとテレフ ル酸を重縮合反応させて得た。一般式(1)の ェニレン基への結合位は全てパラ位である

ポリマーE~N
 一般式(1)において、R 1 がそれぞれ、-NH-(ポリマーE)、-S-(ポリマーF) スルホニル基(ポリマーG)、カルボニル基(ポ マーH)、カーボネート基(ポリマー(I)、ウレ 基(ポリマーJ)、ウレタン基(ポリマーK)、ア ーレン基(ポリマーL)、エチレン基(ポリマー M)およびエチニレン基(ポリマーN)である芳香 ジアミン誘導単位と、下記一般式(3)で示さ るテレフタル酸誘導単位とを含有してなる 香族ポリアミドを各々ポリマーE~Nとした。 リマーE~Nは、芳香族ジアミンとテレフタル を重縮合反応させて得た。一般式(1)のフェ レン基への結合位は全てパラ位である。表2 に、ポリマーD~NのR 1 を示した。

ポリマーO
 一般式(2)において、R 2 が-O-である芳香族ジカルボン酸誘導単位と下 記一般式(4)で示されるパラ-フェニレンジア ン誘導単位とを含有してなる芳香族ポリア ドをポリマーOとした。ポリマーOは、パラ- ェニレンジアミンと芳香族ジカルボン酸を 縮合反応させて得た。一般式(2)のフェニレ 基への結合位は全てパラ位である。

ポリマーAA
 一般式(1)において、R 1 が-S(=O) 2 -である芳香族ジアミン誘導単位と下記一般 (5)で示されるイソフタル酸誘導単位とを含 してなる芳香族ポリアミドをポリマーAAとし た。ポリマーAAは、芳香族ジアミンとイソフ ル酸を重縮合反応させて得た。一般式(1)の ェニレン基への結合位は全てメタ位である

ポリマーP~Y
 一般式(2)において、R 2 が、-NH-(ポリマーP)、-S-(ポリマーQ)、スルホ ル基(ポリマーR)、カルボニル基(ポリマーS) カーボネート基(ポリマーT)、ウレア基(ポリ ーU)、ウレタン基(ポリマーV)、アリーレン (ポリマーW)、エチレン基(ポリマーX)、エチ レン基(ポリマーY)である芳香族ジカルボン 誘導単位と、一般式(3)で示されるパラ-フェ レンジアミン誘導単位とを含有してなる芳 族ポリアミドを各々ポリマーP~Yとした。ポ マーP~Yは、パラ-フェニレンジアミンと芳香 族ジカルボン酸を重縮合反応させて得た。一 般式(2)のフェニレン基への結合位は全てパラ 位である。表2に、ポリマーO~YのR 2 を示した。

ポリマーZ
 一般式(1)においてR 1 がスルホニル基である芳香族ジアミン誘導単 位と一般式(2)においてR 2 がエチレン基である芳香族ジカルボン酸誘導 単位とを含有してなる芳香族ポリアミドをポ リマーZとした。ポリマーZは、芳香族ジアミ と芳香族ジカルボン酸と重縮合反応させて た。一般式(1)および(2)のフェニレン基への 合位は全てパラ位である。

ポリマーAB
 一般式(2)において、R 2 が-O-である芳香族ジカルボン酸誘導単位と下 記一般式(6)で示されるメタ-フェニレンジア ン誘導単位とを含有してなる芳香族ポリア ドをポリマーABとした。ポリマーABは、メタ- フェニレンジアミンと芳香族ジカルボン酸を 重縮合反応させて得た。一般式(2)のフェニレ ン基への結合位は全てメタ位である。

ポリマーAC
 ポリフッ化ビニリデン(質量平均分子量300000 )をポリマーACとして用いた。

ポリマーAD
 アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メ クリル酸誘導体の3成分からなるアクリロニ トリル系共重合体からなるアクリル繊維(三 レイヨン製、商品名:ボンネルM.V.P、繊維長3m m)をポリマーADとして用いた。

<ポリマー溶液の調製>
 ポリマーA~ZおよびAA~ADを用いて、表3に示し ポリマー溶液1~32を作製した。表3中、NMPはN- メチル-2-ピロリドン、MeOHはメタノール、DMAc N,N-ジメチルアセトアミド、IPAは2-プロパノ ル、TPGはトリプロピレングリコール、PEGは リエチレングリコール(質量平均分子量2000) DMFはN,N-ジメチルホルムアミドである。

<網状構造体を析出させるために使用する 溶液>
水溶液1
 20℃のイオン交換水を水溶液1として使用し 。水溶液1の水浴は、0.1リットル/分の速度 排水と新水補給を行った。

水溶液2
 イオン交換水95.0質量%、メタノール5.0質量% 混合溶液を20℃にしたものを水溶液2とした

水溶液3
 N,N-ジメチルアセトアミド55質量%、イオン交 換水45質量%の混合溶液を30℃にしたものを水 液3とした。

<多孔質シートの作製>
 表4~9に多孔質シート1~119の製造条件を示す なお、多孔質支持体としては多孔質基材を 用し、表中の多孔質支持体の番号は、多孔 基材の番号である。

実施例1
 ディップコーターを用いてポリマー溶液1を 含浸させた多孔質基材3を、直径50mmの2本のゴ ムロール間に絞り圧30N/cmで通して余剰ポリマ ー溶液を除去し、さらに、水溶液1に5分間浸 して網状構造体を析出させた。その後、イ ン交換水で洗浄し、130℃のヤンキードライ ーに接触させて乾燥した後、線圧200N/cmでカ レンダー処理し、多孔質シート1を得た。

実施例2
 ディップコーターを用いてポリマー溶液2を 含浸させた多孔質基材3を、直径50mmの2本のゴ ムロール間に絞り圧30N/cmで通して余剰ポリマ ー溶液を除去し、さらに水溶液1に1分間接触 せて網状構造体を析出させた後、イオン交 水で洗浄し、130℃のヤンキードライヤーに 触させて乾燥した後、線圧200N/cmでカレンダ ー処理し、多孔質シート2を得た。

実施例3
 表4及び7に示した条件で実施例2と同様にし 網状構造体を析出させ、多孔質シート3を作 製した。

実施例4
 ブレードコーターを用いて片面にポリマー 液1を塗工した多孔質基材3を、非塗工面が 溶液に接触するように水溶液1に1分間浮かべ て、網状構造体を析出させた後、イオン交換 水で洗浄し、130℃のヤンキードライヤーに接 触させて乾燥した後、線圧180N/cmでカレンダ 処理し、多孔質シート4を得た。

実施例5
 ブレードコーターを用いて片面にポリマー 液1を塗工した多孔質基材3を、非塗工面を にして水溶液1に3分間浸漬して網状構造体を 析出させた後、イオン交換水で洗浄し、130℃ のヤンキードライヤーに接触させて乾燥した 後、線圧180N/cmでカレンダー処理し、多孔質 ート5を得た。

実施例6
 多孔質基材3と多孔質支持体とを積層した状 態でディップコーターを用いてポリマー溶液 1を含浸し、直径50mmの2本のゴムロール間に絞 り圧30N/cmで通して余剰ポリマー溶液を除去し た。次いで、多孔質支持体が水溶液に接触す るように、多孔質基材3と多孔質支持体とを 層した状態で水溶液1に5分間浮かべて、多孔 質基材3と多孔質支持体との積層体に網状構 体を析出させた後、イオン交換水で洗浄し 130℃のヤンキードライヤーに接触させて乾 した後、多孔質基材3から多孔質支持体を剥 した。網状構造体を含有する多孔質基材3を 線圧200N/cmでカレンダー処理して、多孔質シ ト6を得た。多孔質支持体としては多孔質基 3を用いた。

実施例7、20、23、35、38、41、44、59 、62、65、68、71~78、96および99
 表4~9に示した条件で実施例4と同様にして網 状構造体を析出させ、多孔質シート7、20、23 35、38、41、44、59、62、65、68、71~78、96およ 99を作製した。

実施例8、15、18、21、24、27、30、33 、36、39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69 、79、82、85、88、91、94、97、100、103および106
 表4~9に示した条件で実施例5と同様にして網 状構造体を析出させ、多孔質シート8、15、18 21、24、27、30、33、36、39、42、45、48、51、54 57、60、63、66、69、79、82、85、88、91、94、97 100、103および106を作製した。

実施例9~13、19、22、25、40、43、46 49、64、67、70、80、95、98および101
 表4~9に示した条件で実施例6と同様にして網 状構造体を析出させ、多孔質シート9~13、19、 22、25、40、43、46、49、64、67、70、80、95、98お よび101を作製した。

実施例14
 隣り合うゴムロールの中心間距離を300mmの 間隔で直径100mmのゴムロールを同じ高さに5 配列した浴槽を作製し、ゴムロールの最下 から50mmの高さまでの範囲に水面が来るよう 水溶液1を溜めた。5本のゴムロールは回転 きるようにし、常にゴムロール表面が水で れた状態になるようにした。ブレードコー ーを用いて多孔質基材3の片面にポリマー溶 3を塗工し、次いで、該基材の非塗工面がゴ ムロールに接するように1.2m/分の速度で水溶 1の浴槽を通過させて、多孔質基材3に網状 造体を析出させた後、イオン交換水で洗浄 、130℃のヤンキードライヤーに接触させて 燥した後、線圧210N/cmでカレンダー処理し、 孔質シート14を得た。

実施例16
 多孔質基材3と多孔質支持体を積層した状態 でディップコーターを用いてポリマー溶液3 含浸し、直径50mmの2本のゴムロール間に絞り 圧30N/cmで通して余剰ポリマー溶液を除去し、 多孔質基材3と多孔質支持体を積層した状態 多孔質支持体の表面を実施例14で用いた水溶 液1の浴槽のゴムロールに接するように0.6m/分 の速度で通過させて、多孔質基材3と多孔質 持体との積層体に網状構造体を析出させた 、イオン交換水で洗浄し、130℃のヤンキー ライヤーに接触させて乾燥した後、多孔質 材3から多孔質支持体を剥がした。網状構造 を含有する多孔質基材3を線圧230N/cmでカレ ダー処理して多孔質シート16を得た。多孔質 支持体として多孔質基材3を用いた。

実施例17、26、29、32、47、50、53、5 6、81、84、87、90、93、102および105
 表4~9に示した条件で実施例14と同様にして 状構造体を析出させ、多孔質シート17、26、2 9、32、47、50、53、56、81、84、87、90、93、102お よび105を作製した。

実施例28、31、34、37、52、55、58、6 1、83、86、89、92、104および107
 表4~9に示した条件で実施例16と同様にして 状構造体を析出させ、多孔質シート28、31、3 4、37、52、55、58、61、83、86、89、92、104およ 107を作製した。

(比較例1)
 多孔質基材9と多孔質支持体を積層した状態 でディップコーターを用いてポリマー溶液2 含浸し、直径50mmの2本のゴムロール間に絞り 圧20N/cmで通して余剰ポリマー溶液を除去し、 多孔質基材9と多孔質支持体を積層した状態 多孔質支持体の表面を水溶液1に5分間浮かべ て接触させて多孔質基材9と多孔質支持体と 積層体に網状構造体を析出させた後、イオ 交換水で洗浄し、130℃のヤンキードライヤ に接触させて乾燥した後、多孔質基材9から 孔質支持体を剥がした。網状構造体を含有 る多孔質基材9を線圧200N/cmでカレンダー処 して多孔質シート108を得た。多孔質支持体 して多孔質基材9を用いた。

(比較例2)
 表6および9に示した条件で比較例1と同様に て網状構造体を析出させ、多孔質シート109 得た。

(比較例3)
 ブレードコーターを用いて多孔質基材3の両 面にポリマー溶液32を塗工した。塗工量は、 面50.6g/m 2 になるようにした。次いで、水溶液3に60秒間 浸漬した後、50℃にした水溶液1に10分間浸漬 た。さらに120℃で10分間熱風乾燥させた後 線圧80N/cmでカレンダー処理して多孔質シー 110を得た。

(比較例4)
 表6および9に示した条件で比較例3と同様に て、片面の塗工量を11.8g/m 2 にして多孔質シート111を得た。

(比較例5)
 多孔質基材3の両面にポリマー溶液2を塗工 、水溶液3に60秒間浸漬した後、50℃にした水 溶液1に10分間浸漬した。これを120℃で10分間 風乾燥させた後、線圧280N/cmでカレンダー処 理して多孔質シート112を得た。

(比較例6)
 多孔質基材3の両面にポリマー溶液3を塗工 、水溶液3に60秒間浸漬した後、50℃にした水 溶液1に10分間浸漬した。これを120℃で10分間 風乾燥させた後、線圧320N/cmでカレンダー処 理して多孔質シート113を得た。

(比較例7)
 多孔質基材3を線圧150N/cmでカレンダー処理 、多孔質シート114として用いた。

(比較例8)
 多孔質基材1を多孔質シート115として用いた 。

(比較例9)
 多孔質基材5を線圧150N/cmでカレンダー処理 、多孔質シート116として用いた。

(比較例10)
 多孔質基材11を多孔質シート117として用い 。

(比較例11)
 多孔質基材12を多孔質シート118として用い 。

(比較例12)
 多孔質基材13を多孔質シート119として用い 。

 多孔質基材1~13と多孔質シート1~119につい 、下記の試験方法により評価を行い、多孔 基材1~13の物性を表1に、多孔質シート1~119の 物性を表10~表18に示した。また、多孔質シー 1~119の電気化学素子用セパレータとしての 価を下記の試験方法により行い、結果を表19 ~24に示した。

<厚み>
 多孔質基材1~13と多孔質シート1~119の厚みをJ IS C2111に準拠して測定した。

<密度>
 多孔質基材1~13と多孔質シート1~119の密度をJ IS C2111に準拠して測定した。

<最大孔径>
 多孔質基材1~13の最大孔径は、ASTM F316-86に 定されるバブルポイント法に準拠して測定 た。

<透気度>
 外径28.6mmの円孔を有するガーレー透気度計 用いて、多孔質シート1~119のガーレー透気 をJIS P8117に準拠して測定した。

<ポリマー析出体量>
 ポリマーを析出させた後の多孔質シートの 量W1からポリマーを析出させる前の多孔質 材の質量W2を差し引いて得られる値W3をW1で して100倍して得た値をポリマー析出体量と た。

<面積占有率>
 多孔質シート1~119の表面及び裏面の電子顕 鏡写真を撮影し、それぞれ任意に選んだ一 50μmの正方形領域に存在するポリマー析出体 の総面積S1と、孔径0.01~10μmの貫通孔を有する 網状構造体の総面積S2を算出し、S2をS1で除し て100倍した値を、ポリマー析出体に占める孔 径0.01~10μmの貫通孔を有する網状構造体の面 占有率とした。

<平均孔径>
 多孔質シート1~119に存在する網状構造体の 子顕微鏡写真を撮り、無作為に選んだ20個の 貫通孔の大きさを計測し、その平均値を網状 構造体の平均孔径とした。網状構造体の孔径 は、貫通孔の面積を真円の面積に換算したと きの直径とした。

<個数>
 多孔質シート1~119に存在する網状構造体電 顕微鏡写真を撮り、網状構造体における、 通孔の平均孔径の10倍長さを一辺とする正方 形領域に存在する貫通孔の数を計測した。

<孔平面積率>
 孔平面積率を算出するために、多孔質シー 1~119についてそれぞれ求めた平均孔径と個 を用いた。平均孔径の貫通孔の平面積と貫 孔の個数を掛けて、貫通孔の総平面積S3を算 出した。貫通孔の平均孔径の10倍長さを一辺 する正方形領域に存在する網状構造体の総 面積S4を計測し、S3をS4で除して100倍した値 孔平面積率とした。

<電解液浸透性>
 縦20mm、横20mmに切り取った多孔質シート1~119 の裏面が何かに接触しないように水平に保持 し、その上に電解液を1滴垂らしたときの浸 性を調べた。電解液が瞬時に裏面まで浸透 、5秒以内に横方向へ10mm広がったものをAと た。電解液が瞬時に裏面まで浸透したが、 方向へ10mm広がるまでに5秒を超えたものをB した。電解液が15秒経過しても横方向へ10mm がらなかったか、または1秒経過しても裏面 で浸透しなかったものをCとした。電解液が 1分経過しても多孔質シート内部にしみ込ま かったものをDとした。電解液には、プロピ ンカーボネートに1.5mol/lになるように(C 2 H 5 ) 3 (CH 3 )NBF 4 を溶解させたものを用いた。

<耐ドライアップ性>
 縦50mm、横50mmに切り取った多孔質シート1~119 に電解液をしみ込ませ、多孔質シート表面の 余剰電解液をふき取った後の多孔質シートの 質量W4から電解液をしみ込ませる前の多孔質 ートの質量W5を差し引いて得られる値をW6と した。電解液をしみ込ませた多孔質シートを アルミニウムラミネート型収納袋に入れて密 封し、30℃で500時間保持した後の多孔質シー の質量をW7とした。W7からW5を差し引いて得 れる値W8をW6で除して100倍して得た値を耐ド ライアップ性とした。この値が大きいほど多 孔質シートから電解液が浸み出しにくく、耐 ドライアップ性に優れることを意味する。

<突刺強度>
 50mm巾の短冊状に切りそろえた多孔質シート 1~119をプロピレンカーボネートに10分間浸し 。次いで、1分間吊るして多孔質シートに付 した余分なプロピレンカーボネートを除去 た後、プロピレンカーボネートを保持した 態で多孔質シートの突刺強度を測定した。 端に丸み(曲率1.6)をつけた直径1mmの金属針(( 株)オリエンテック製)を卓上型材料試験機(( )オリエンテック製、商品名:STA-1150)に装着し 、試料面に対して直角に1mm/sの一定速度で貫 するまで降ろした。このときの最大荷重(N) 計測し、これを突刺強度とした。1試料につ き5箇所以上測定し、全測定値の平均値を示 た。

<電気二重層キャパシタ1~119>
 正極および負極として、表面をエッチング 理した厚み30μmのアルミニウム箔集電体に み120μmの電極活物質層が形成されてなる電 を用いた。電極活物質層は、平均粒径5μm、B ET比表面積1400m 2 /gの粉末状活性炭85質量%、平均粒径200nmのア チレンブラック7質量%、ポリフッ化ビニリデ ン8質量%からなる。多孔質シート1~119を負極 正極の間に介して積層し、これをアルミニ ムラミネート型収納袋に収納してスタック 素子を形成した。この素子ごと200℃で10時間 真空加熱し、電極及び多孔質シートに含まれ る水分を除去した。これを真空中で室温まで 放冷した後、素子内に電解液を注入し、注入 口を密栓した後、0.5MPaで加圧してスタック型 素子を固定し、多孔質シート1~119に対応した 気二重層キャパシタ1~119をそれぞれ500個作 した。電解液には、プロピレンカーボネー に1.5mol/lになるように(C 2 H 5 ) 3 (CH 3 )NBF 4 を溶解させたものを用いた。

<製造不良率1>
 電気二重層キャパシタ1~119それぞれ500個の 製中に、多孔質シートの突刺強度不足が原 で多孔質シートが破れたり、穴が空いたり て、内部短絡し、特性不良が発生した割合 製造不良率1とした。

<漏れ電流>
 電気二重層キャパシタ1~119を電圧3.5Vで充電 、24時間保持したときに計測される電流値 漏れ電流とした。漏れ電流が小さい程好ま い。

<内部抵抗>
 電気二重層キャパシタ1~119を電圧3.5Vで充電 た後、20Aで定電流放電したときの放電開始 後の電圧低下より内部抵抗を算出し、100個 平均値を内部抵抗とした。

<寿命>
 電気二重層キャパシタ1~119を電圧3.5V~1.0Vま 充放電を繰り返し行い、1000時間経過した時 での容量を測定し、初期容量の何%に相当す るかを算出し、寿命とした。放電電流は20Aと した。寿命の数値が大きいほど良い。

<リチウムイオン電池1~119>
 天然黒鉛(関西熱化学製、商品名:NG)97質量% ポリフッ化ビニリデン3質量%を混合し、これ をN-メチル-2-ピロリドンに分散させたスラリ を調製し、厚み15μmの銅箔の両面に塗布し 圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して負極 作製した。LiMn 2 O 4 を95質量%、アセチレンブラック2質量%、ポリ ッ化ビニリデン3質量%を混合し、これをN-メ チル-2-ピロリドンに分散させたスラリーを調 製し、厚み20μmのアルミニウム箔の両面に塗 して圧延した後、150℃で2時間真空乾燥して 正極を作製した。多孔質シート1~119を負極と 極の間に介して巻回し、アルミニウム合金 の円筒型容器に収納して、リード体の溶接 行った。次いで円筒型容器ごと200℃で10時 真空乾燥し、電極及び多孔質シートに含ま る水分を除去した。これを真空中で室温ま 放冷した後、電解液を注入して密栓し、多 質シート1~119に対応したリチウムイオン電池 1~119をそれぞれ500個作製した。電解液には、 チレンカーボネート30質量%、ジエチルカー ネート70質量%からなる混合溶媒に、LiPF 6 を1.2Mとなるように溶解させたものを用いた

<製造不良率2>
 リチウムイオン電池1~119それぞれ500個の作 中に、多孔質シートの突刺強度不足が原因 多孔質シートが破れたり、穴が空いたりし 、内部短絡し、特性不良が発生した割合を 造不良率2とした。

<内部抵抗>
 リチウムイオン電池1~119を1Cで30分間充電し 後、交流1kHzで内部抵抗を測定した。

<初期容量>
 リチウムイオン電池1~119を1Cで4.2Vになるま 充電し、さらに4.2Vで3時間定電圧充電した後 、0.2Cで3.0Vまで放電したときの放電容量を測 し、これを初期容量とした。

<ハイレート特性>
 <初期容量>の測定において、0.2Cで3.0Vま で放電した後、1Cで4.2Vになるまで充電し、さ らに4.2Vで3時間定電圧充電した後、2Cで3.0Vま 放電して放電容量を測定し、初期容量に対 る割合を計算し、ハイレート特性とした。 イレート特性の値が大きいほど、ハイレー 特性に優れることを意味する。

 実施例1~107で作製した多孔質シート1~107は 、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 含有する多孔質基材と、孔径が0.01~10μmの貫 孔を有する網状構造体とからなり、多孔質 材の表面および内部に網状構造体が存在し 平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維と 網状構造体が絡合している。そのため、網状 構造体が多孔質シートから分離したり、離散 したりすることがなかった。実施例1~107で作 した多孔質シート1~107の網状構造体は、孔 面積率が何れも10%以上であった。また、多 質シート1~107の網状構造体は、平均孔径の10 長さを一辺とする正方形領域に20個以上の 通孔を有している。表16~21に示した通り、多 孔質シート1~107は厚みが37μm以下と薄くても 解液浸透性と耐ドライアップ性のバランス 優れ、多孔質シート1~107を具備してなる電気 二重層キャパシタ1~107は、製造不良率が小さ 、漏れ電流が小さく、内部抵抗が低く、寿 に優れていた。さらに、表22~24に示した通 、多孔質シート1~107を具備してなるリチウム イオン電池1~107は、内部抵抗が低く、初期容 が大きく、ハイレート特性に優れていた。

 同一の多孔質基材と同一のポリマーを用い 、同様の方法で作製した多孔質シート9、12 13を比較すると、多孔質シート13は、密度が 0.90g/cm 3 よりも高いため、多孔質シート9、12よりも電 解液浸透性がやや劣っており、多孔質シート 13を具備してなる電気二重層キャパシタは、 孔質シート9、12を具備してなる電気二重層 ャパシタよりも内部抵抗がやや高めであっ 。多孔質シート13を具備してなるリチウム オン電池は、多孔質シート9、12を具備して るリチウムイオン電池よりも内部抵抗がや 高く、初期容量がやや低く、ハイレート特 がやや低かった。

 同一の多孔質基材と同一のポリマーを用い 、同様の方法で作製した多孔質シート71~78 比較すると、多孔質シート71は密度が0.30g/cm 3 未満であるため、多孔質シート71を具備して る電気二重層キャパシタは多孔質シート72~7 8を具備してなる電気二重層キャパシタより 漏れ電流がやや大きかった。また、多孔質 ート71を具備してなるリチウムイオン電池は 多孔質シート72~77を具備してなるリチウムイ ン電池よりも初期容量がやや低かった。

 多孔質シート78は密度が0.90g/cm 3 よりも高いため、多孔質シート71~77よりも電 液浸透性がやや劣っており、多孔質シート7 8を具備してなる電気二重層キャパシタは、 孔質シート71~77を具備してなる電気二重層キ ャパシタよりも内部抵抗がやや高めであった 。また、多孔質シート78を具備してなるリチ ムイオン電池は、多孔質シート71~77を具備 てなるリチウムイオン電池よりも内部抵抗 やや高めであった。

 実施例11の多孔質シート11は、図4に示し ように網状構造体が多孔質シート表面を覆 ており、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル 繊維の一部が多孔質シート表面に露出して ないため、平均繊維径0.01~10μmの非フィブリ ル状繊維の一部が多孔質シート表面に露出し ている実施例4~10、12、14~77、79~103、105および1 06の多孔質シート4~10、12、14~77、79~103、105お び106に比べて、電解液浸透性がやや悪かっ 。多孔質シート11を具備してなる電気二重層 キャパシタ11は多孔質シート4~10、12~107を具備 してなる電気二重層キャパシタ4~10、12~107よ も内部抵抗がやや高めであった。また、多 質シート11を具備してなるリチウムイオン電 池11は多孔質シート4~10、12~107を具備してなる リチウムイオン電池4~10、12~107よりも内部抵 がやや高めであった。

 同一の多孔質基材を含有し、ポリマー析 体の含有率が近い多孔質シート1、2、7、8、 62、63、68、69、102、103を比較すると、多孔質 ート1、2、62、63、68、69の網状構造体はポリ アミドからなるため、網状構造体がポリアミ ド以外のポリマーからなる多孔質シート7、8 102、103よりも電解液湿潤状態での突刺強度 強く優れていた。特に多孔質シート17~101の 状構造体は、一般式(1)で示される芳香族ジ ミン誘導単位または一般式(2)で示される芳 族ジカルボン酸誘導単位を含有する芳香族 リアミドであるため孔平面積率が高く優れ いた。

 実施例7~13で作製した多孔質シート7~13は 有機溶媒への溶解性が高く、網状構造体を 成しやすいポリエーテルスルホンからなる 状構造体を含有してなり、本発明の第1、第2 および第3の製造方法で作製されたため、孔 0.01~10μmの貫通孔を有する網状構造体の面積 有率が高く優れていた。実施例3で作製した 多孔質シート3は、ポリエーテルスルホンか なる網状構造体を含有するが、本発明の本 明の第1、第2および第3の製造方法ではない 造方法で作製されたため、孔径0.01~10μmの貫 孔を有する網状構造体の面積占有率は低か た。

 実施例14~16で作製した多孔質シート14~16は 、有機溶媒への溶解性が高く、網状構造体を 形成しやすいポリアミドイミドからなる網状 構造体を含有してなるため、孔径0.01~10μmの 通孔を有する網状構造体の面積占有率と孔 面積率が高く優れていた。

 実施例1~16、26~31、38~46、53~64、68~86、93~107 作製した多孔質シート1~16、26~31、38~46、53~64 、68~86、93~107はセルロース繊維を含有してい が、網状構造体が電圧によるセルロース繊 の劣化を抑制したために、網状構造体を含 しないセルロース100%からなる多孔質シート 118よりも電気二重層キャパシタの寿命が長く 優れていた。

 比較例1の多孔質シート108は、多孔質基材 が平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 含有せず、平均繊維径が10μmより太い繊維か らなるため、ピンホールが多数存在した。多 孔質シート108を具備してなる電気二重層キャ パシタ108は、漏れ電流が大きく、寿命が短か った。また、多孔質シート108を具備してなる リチウムイオン電池108は、初期容量が小さか った。

 比較例2の多孔質シート109は、多孔質基材 が平均繊維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維 含有せず、平均繊維径0.01μm未満の繊維のみ らなるため、多孔質基材の繊維間空隙が小 すぎて、網状構造体が多孔質基材表面に集 的に形成されたため、電解液浸透性が悪か た。多孔質シート109を具備してなる電気二 層キャパシタ109は内部抵抗が高かった。ま 、多孔質シート109を具備してなるリチウム オン電池109は内部抵抗が高く、ハイレート 性が低かった。そして、多孔質基材を構成 る繊維と網状構造体が絡合していないため 多孔質基材から網状構造体が層間剥離しや かった。

 比較例3の多孔質シート110は、図13に示し ように、多孔質基材の両面に芳香族ポリア ドからなる多孔質体が完全に覆う形で形成 れているため電解液浸透性が悪かった。芳 族ポリアミドからなる多孔質体は孔平面積 が10%未満であり、電極との接触抵抗が大き なり、多孔質シート110を具備してなる電気 重層キャパシタ110は内部抵抗が高く、寿命 短かった。多孔質シート110を具備してなる チウムイオン電池110は内部抵抗が高く、初 容量が小さかった。

 比較例4の多孔質シート111は、多孔質基材 の両面に芳香族ポリアミドからなる多孔質体 が形成されており、該多孔質体の下に芳香族 ポリアミドからなる皮膜も多孔質基材表面全 体を覆って形成されていた。該多孔質体の孔 平面積率が10%未満であり、電解液浸透性が悪 かった。多孔質シート111を具備してなる電気 二重層キャパシタ111は内部抵抗が高く、寿命 が短かった。また、多孔質シート111を具備し てなるリチウムイオン電池111は内部抵抗が高 く、初期容量が小さかった。

 比較例5の多孔質シート112は、図14に示し ように多孔質基材の両面に貫通孔を有さな ポリエーテルスルホンの皮膜が形成されて たため、電解液浸透性と耐ドライアップ性 悪かった。多孔質シート112を具備してなる 気二重層キャパシタ112は内部抵抗が著しく く、寿命が短かった。多孔質シート112を具 してなるリチウムイオン電池112は内部抵抗 高く、初期容量が小さく、ハイレート特性 低かった。

 比較例6の多孔質シート113は、多孔質基材 の両面に貫通孔を有さないアクリルの皮膜が 形成されてしまったため、電解液浸透性と耐 ドライアップ性が悪かった。多孔質シート113 を具備してなる電気二重層キャパシタ113は内 部抵抗が著しく高く、寿命が短かった。多孔 質シート113を具備してなるリチウムイオン電 池113は内部抵抗が高く、初期容量が小さく、 ハイレート特性が低かった。

 比較例7の多孔質シート114は、多孔質基材 3のみからなり網状構造体を含有しないため 多孔質基材3と網状構造体からなる実施例1~16 、26~31、62~64、68~70、93~98、102~104の多孔質シー ト1~16、26~31、62~64、68~70、93~98、102~104よりも 電解液含浸状態での突刺強度が弱かった。 孔質シート114を具備してなる電気二重層キ パシタ114は、多孔質シート1~16、26~31、62~64、 68~70、93~98、102~104を具備してなる電気二重層 ャパシタ1~16、26~31、62~64、68~70、93~98、102~104 よりも製造不良率が高く、漏れ電流が大きく 、寿命が短かった。多孔質シート114を具備し てなるリチウムイオン電池114は、多孔質シー ト1~16、26~31、62~64、68~70、93~98、102~104を具備 てなるリチウムイオン電池1~16、26~31、62~64、 68~70、93~98、102~104よりも製造不良率が高かっ 。

 比較例8の多孔質シート115は、多孔質基材 1のみからなり網状構造体を含有しないため 多孔質基材1と網状構造体からなる実施例17~1 9、65~67の多孔質シート17~19、65~67よりも、電 液含浸状態での突刺強度が弱かった。多孔 シート115を具備してなる電気二重層キャパ タ115は、多孔質シート17~19、65~67を具備して る電気二重層キャパシタ17~19、65~67よりも製 造不良率が高く、漏れ電流が大きく、寿命が 短かった。多孔質シート115を具備してなるリ チウムイオン電池115は、多孔質シート17~19、6 5~67を具備してなるリチウムイオン電池17~19、 65~67よりも製造不良率が高かった。

 比較例9の多孔質シート116は、多孔質基材 5のみからなり網状構造体を含有しないため 多孔質基材5と網状構造体からなる実施例20~2 2、35~37、47~49、90~92の多孔質シート20~22、35~37 47~49、90~92よりも、電解液含浸状態での突刺 強度が弱かった。多孔質シート116を具備して なる電気二重層キャパシタ116は、多孔質シー ト20~22、35~37、47~49、90~92を具備してなる電気 重層キャパシタ20~22、35~37、47~49、90~92より 製造不良率が高く、漏れ電流が大きく、寿 が短かった。多孔質シート116を具備してな リチウムイオン電池116は、多孔質シート20~22 、35~37、47~49、90~92を具備してなるリチウムイ オン電池20~22、35~37、47~49、90~92よりも製造不 率が高かった。

 比較例10の多孔質シート117は、多孔質基 11のみからなり網状構造体を含有しないため 、電解液浸透性が悪く、電解液含浸時の突刺 強度が弱かった。多孔質シート117を具備して なる電気二重層キャパシタ117は、製造不良率 が高く、内部抵抗が著しく高く、寿命が短か った。多孔質シート117を具備してなるリチウ ムイオン電池117は、内部抵抗が高く、初期容 量が小さかった。

 比較例11で用いた多孔質シート118は、高 圧で酸化されやすいセルロース100%からなり 電解液含浸状態での突刺強度が著しく弱か た。多孔質シート118を具備してなる電気二 層キャパシタ118は、製造不良率が高く、寿 が短かった。多孔質シート118を具備してな リチウムイオン電池118は、製造不良率が高 った。

 比較例12で用いた多孔質シート119は、多 質フィルムからなるため、電解液浸透性が しく悪かった。多孔質シート119を具備して る電気二重層キャパシタ119は、内部抵抗が しく高く、寿命が短かった。多孔質シート11 9を具備してなるリチウムイオン電池119は、 部抵抗が高かった。

 実施例1の多孔質シート1は、平均繊維径0. 01~10μmの非フィブリル状繊維を含有する多孔 基材に、有機溶媒を主媒体とするポリマー 液を含浸した後、水溶液に該基材を浸漬さ 、ポリマーからなる網状構造体を析出させ 製造されたため、網状構造体の含有率が低 、多孔質シート4~10、12、14~77、79~103、105、10 6よりも電解液浸透性が悪く、且つ、電極と 接触面積が大きいため、多孔質シート1を具 してなる電気二重層キャパシタは、多孔質 ート4~10、12、14~77、79~103、105、106を具備し なる電気二重層キャパシタよりも内部抵抗 高めであった。

 実施例2、3の多孔質シート2、3は、平均繊 維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有す 多孔質基材に、有機溶媒を主媒体とするポ マー溶液を含浸した後、水溶液に該基材を 触させ、ポリマーからなる網状構造体を析 させて製造されたため、網状構造体の含有 が低く、多孔質シート4~10、12、14~77、79~103、 105、106よりも電解液浸透性が悪く、且つ、電 極との接触面積が大きいため、多孔質シート 2、3を具備してなる電気二重層キャパシタは 多孔質シート4~10、12、14~77、79~103、105、106 具備してなる電気二重層キャパシタよりも 部抵抗が高めであった。

 実施例4、7、14、17、20、23、26、29、32、35 38、41、44、47、50、53、56、59、62、65、68、71~ 78、81、84、87、90、93、96、99、102、105の多孔 シート4、7、14、17、20、23、26、29、32、35、38 、41、44、47、50、53、56、59、62、65、68、71~78 81、84、87、90、93、96、99、102、105は、平均繊 維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有す 多孔質基材の片面に、有機溶媒を主媒体と るポリマー溶液を塗工した後、水溶液に該 材の非塗工面を接触させて、ポリマーから る網状構造体を析出させて製造されたため 図3、5、8に示したように網状構造体の含有 が高く、電解液浸透性と耐ドライアップ性 バランスに優れた多孔質シートを効率良く 造することができた。

 実施例5、8、15、18、21、24、27、30、33、36 39、42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、79 82、85、88、91、94、97、100、103、106の多孔質 ート5、8、15、18、21、24、27、30、33、36、39 42、45、48、51、54、57、60、63、66、69、79、82 85、88、91、94、97、100、103、106は、平均繊維 0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有する多 孔質基材の片面に、有機溶媒を主媒体とする ポリマー溶液を塗工した後、水溶液に該基材 を浸漬して、ポリマーからなる網状構造体を 析出させて製造されたため、図1、11に示した ように、ポリマーからなる網状構造体の含有 率が高く、電解液浸透性と耐ドライアップ性 のバランスに優れた多孔質シートを効率良く 製造することができた。

 実施例6、9~13、16、19、22、25、28、31、34、 37、40、43、46、49、52、55、58、61、64、67、70、 80、83、86、89、92、95、98、101、104、107の多孔 シート6、9~13、16、19、22、25、28、31、34、37 40、43、46、49、52、55、58、61、64、67、70、80 83、86、89、92、95、98、101、104、107は、平均 維径0.01~10μmの非フィブリル状繊維を含有す る多孔質基材と、多孔質支持体を重ねた状態 で、有機溶媒を主媒体とするポリマー溶液を 含浸した後、多孔質基材と多孔質支持体を重 ねた状態で水溶液に多孔質支持体の表面を接 触させてポリマーからなる網状構造体を析出 させた後、多孔質基材から多孔質支持体を剥 がして製造されたため、図2、4、6、7、9、10 12に示したように網状構造体の含有率が高く 、電解液浸透性と耐ドライアップ性のバラン スに優れた多孔質シートを得ることができた 。

 本発明により、電気化学素子の寿命を長 する電気化学素子用セパレータとして好適 、薄くて、電解液浸透性と耐ドライアップ のバランスが良く、ハイレート特性に優れ 多孔質シートが得られた。また、本発明の 孔質シートの製造方法は、芳香族ポリアミ 以外のポリマーや特殊な芳香族ポリアミド 用いた場合にも、皮膜形成や爛れ等の問題 無い多孔質シートを提供した。本発明の多 質シートの活用例としては、電気二重層キ パシタ、電解コンデンサ、固体電解コンデ サ、リチウムイオン電池、ポリアセン電池 有機ラジカル電池などの電気化学素子用セ レータや限外濾過膜やエアフィルター、オ ルフィルター、血液フィルターなどが好適 ある。