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Title:
THERMOCHROMIC COLOR-MEMORY COMPOSITION, AND THERMOCHROMIC COLOR-MEMORY MICROCAPSULE PIGMENT HAVING THE COMPOSITION ENCAPSULATED THEREIN
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133028
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a thermochromic color-memory composition which can effectively exhibit a property of memorizing colors photochromically, and which is applicable in a wide variety of fields; and a thermochromic color-memory microcapsule pigment having the composition encapsulated therein. Specifically disclosed are: a thermochromic color-memory composition comprising a homogenously compatibilized blend of (i) an electron-releasing, color-developing organic compound, (ii) an electron-accepting compound, and (iii) a compound represented by the formula (1) as a reaction medium for controlling the color-developing reaction between the compounds (i) and (ii); and a microcapsule pigment having the composition encapsulated therein. (1) wherein X represents any one selected from a hydrogen atom, an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, a methoxy group and a halogen atom; m represents an integer of 1 to 3; and n represents an integer of 1 to 20.

Inventors:
ONO YOSHIAKI
Application Number:
PCT/JP2008/057113
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
PILOT INK CO LTD (JP)
ONO YOSHIAKI
International Classes:
C09K9/02; C09B67/08; C09D11/00
Foreign References:
JP2005001369A2005-01-06
JP2006057031A2006-03-02
JP2005342973A2005-12-15
JP2006233110A2006-09-07
JPS4932885A1974-03-26
JPS4978682A1974-07-29
JP2006137886A2006-06-01
JP2004107367A2004-04-08
JP2007104391A2007-04-19
JP2008067464A2008-03-21
Other References:
See also references of EP 2138550A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi,1-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体として、下記式(1)で示される化合物の均質相溶体からなる感温変色性色彩記憶性組成物。
 〔式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。〕
 請求項1の感温変色性色彩記憶性組成物を内包してなる感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
 色濃度-温度曲線に関して8℃乃至110℃のヒステリシス幅を示して変色する請求項2記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
 色濃度-温度曲線に関して、完全消色温度(T 4 )が40℃以上であり、且つ、発色開始温度(T 2 )が20℃以下である、常温域で色彩記憶性を有する請求項2又は3記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料。
 請求項2乃至4のいずれか一項に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとからなる感温変色性色彩記憶性液状組成物。
 請求項2乃至4のいずれか一項に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料と、成形用樹脂とからなる感温変色性色彩記憶性成形用樹脂組成物。
 支持体上に、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を樹脂に分散状態に固着させた可逆熱変色層を設けてなる感温変色性色彩記憶性積層体。
Description:
感温変色性色彩記憶性組成物及 それを内包した感温変色性色彩記憶性マイ ロカプセル顔料

 本発明は感温変色性色彩記憶性組成物及 それを内包した感温変色性色彩記憶性マイ ロカプセル顔料に関する。さらに詳細には 温度変化により大きなヒステリシス特性を して発色と消色の可逆的変色を呈し、変色 要した熱又は冷熱の適用を取り去った後に っても、着色状態と消色状態のいずれかを 変的且つ可逆的に保持する感温変色性色彩 憶性組成物及びそれを内包した感温変色性 彩記憶性マイクロカプセル顔料に関する。

 この種の感温変色性色彩記憶性材料に関し 、本出願人は先に提案している(例えば、特 許文献1参照)。
 前記感温変色性色彩記憶性材料は、従来の 逆熱変色性材料のように変色温度を境にそ 前後で変色し、変色前後の両状態のうち常 域では特定の一方の状態しか存在せず、も 一方の状態はその状態が発現するのに要す 熱または冷熱が適用されている間は維持さ 、熱または冷熱の適用がなくなれば常温域 呈する状態に戻るタイプと比較して、変色 度より低温側の色と高温側の色のいずれか 常温域において選択的に保持できるうえ、 要に応じて熱又は冷熱を適用することによ 互変的に保持させることができ、感温記録 料、玩具類、装飾、印刷分野等多様な分野 適用されている。

特開2004-107367号公報

 この種の色彩記憶性効果は、前記特開2004-10 7367号公報に開示されているように、呈色反 をコントロールするエステル類から選ばれ 化合物のうち、特定の化合物を構成成分と て適用した系のみ発現されるものである。
 本発明は、前記色彩記憶性効果を発現させ 反応媒体となる化合物について、更に追求 、反応媒体の選択の自由度を高め、この種 感温変色性色彩記憶性材料の利用度を更に めようとするものである。

 本発明者は、特定構造を有する化合物を呈 反応の反応媒体として適用した系にあって ヒステリシス幅(δH)の大きい熱変色特性を し、効果的な色彩記憶性効果を発現させる とを見出し、本発明を完成させた。
 本発明は、(イ)電子供与性呈色性有機化合 、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ) の呈色反応をコントロールする反応媒体とし て、下記式(1)で示される化合物の均質相溶体 からなる感温変色性色彩記憶性組成物を要件 とする。

 〔式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアル ル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれ を示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20 の整数を示す。〕
 更には、前記感温変色性色彩記憶性組成物 内包してなる感温変色性色彩記憶性マイク カプセル顔料であること、前記感温変色性 彩記憶性マイクロカプセル顔料が色濃度-温 度曲線に関して8℃乃至110℃のヒステリシス を示して変色すること、色濃度-温度曲線に して、完全消色温度(T 4 )が40℃以上であり、且つ、発色開始温度(T 2 )が20℃以下である、常温域で色彩記憶性を有 すること等を要件とする。
 更には、前記感温変色性色彩記憶性マイク カプセル顔料と、ビヒクルとからなる感温 色性色彩記憶性液状組成物、前記感温変色 色彩記憶性マイクロカプセル顔料と、成形 樹脂とからなる感温変色性色彩記憶性成形 樹脂組成物、支持体上に、前記感温変色性 彩記憶性マイクロカプセル顔料を樹脂に分 状態に固着させた可逆熱変色層を設けてな 感温変色性色彩記憶性積層体等を要件とす 。

 本発明は、色濃度-温度曲線に関して広い ヒステリシス幅(δH)を示して発色-消色の可逆 的変色を生起させ、変色温度より低温側の色 と高温側の色の両方を互変的に記憶保持でき 、必要に応じて熱又は冷熱を適用することに より、いずれかの色を可逆的に再現させて記 憶保持できる特性を効果的に発現させること ができるため、示温、装飾、玩具、教習要素 等、多様な分野に適用性を有する感温変色性 色彩記憶性組成物及びそれを内包した感温変 色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料を提供 できる。

本発明の感温変色性色彩記憶性組成物 色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性 を説明するグラフである。

符号の説明

 T 1  完全発色温度
 T 2  発色開始温度
 T 3  消色開始温度
 T 4  完全消色温度
 δH ヒステリシス幅

 以下に本発明の感温変色性色彩記憶性組成 及びそれを用いた感温変色性色彩記憶性マ クロカプセル顔料の色濃度-温度曲線におけ るヒステリシス特性を図1のグラフについて 明する。
 図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が 表されている。温度変化による色濃度の変化 は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全 色状態に達する温度T 4 (以下、完全消色温度と称す)における濃度を す点であり、Bは完全発色状態を保持できる 温度T 3 (以下、消色開始温度と称す)における濃度を す点であり、Cは完全消色状態を保持できる 温度T 2 (以下、発色開始温度と称す)における濃度を す点であり、Dは完全発色状態に達する温度 T 1 (以下、完全発色温度と称す)における濃度を す点である。
 変色温度領域は前記T 1 とT 4 間の温度域であり、発色状態と消色状態の両 相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であ るT 2 とT 3 間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度 )である。
 また、線分EFの長さが変色のコントラスト 示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシ スの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス δHと記す)であり、このδH値が大きい程、変 前後の各状態の保持が容易である。
 変色前後の各状態の保持できるδH値は8℃乃 至110℃の範囲である。ここで、T 4 とT 3 の差、或いは、T 2 とT 1 の差であるδtが変色の鋭敏性を示す尺度であ り、1℃乃至15℃の範囲、好ましくは1℃乃至10 ℃の範囲が実用的である。
 更に、変色前後の両状態のうち常温域では 定の一方の状態のみ存在させるためには、 全消色温度(T 4 )が40℃以上、好ましくは45℃以上、より好ま くは50℃以上であり、且つ、発色開始温度(T 2 )が20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ま くは0℃以下である。

 本発明における(イ)、(ロ)、(ハ)3成分の構成 成分割合は、濃度、変色温度、変色形態や各 成分の種類に左右されるが、一般的に所望の 特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して 、(ロ)成分0.1~50、好ましくは0.5~20、(ハ)成分1~ 800、好ましくは5~200の範囲である(前記割合は いずれも質量部である)。
 又、各成分は各々2種以上の混合であっても よく、機能に支障のない範囲で酸化防止剤、 紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、溶解助剤等を 添加することができる。

 以下に(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について具 的に化合物を例示する。
 本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性 機化合物としては、従来より公知のジフェ ルメタンフタリド類、フェニルインドリル タリド類、インドリルフタリド類、ジフェ ルメタンアザフタリド類、フェニルインド ルアザフタリド類、フルオラン類、スチリ キノリン類、ジアザローダミンラクトン類 が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示 る。
 3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメ ルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェ ニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル) タリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインド ル-3-イル)フタリド、3,3-ビス(2-エトキシ-4- エチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(2 -エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エ ル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリ ド、3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェ ル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル) -4-アザフタリド、3,6-ジフェニルアミノフル ラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3,6-ジ-n-ブ トキシフルオラン、2-メチル-6-(N-エチル-N-p- リルアミノ)フルオラン、2-N,N-ジベンジルア ノ-6-ジエチルアミノフルオラン、3-クロロ-6 -シクロヘキシルアミノフルオラン、2-メチル -6-シクロヘキシルアミノフルオラン、2-(2-ク ロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン 、2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチ ルアミノフルオラン、2-(N-メチルアニリノ)-6- (N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、1,3- メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-クロ ロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2- ニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラ 、2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノ ルオラン、2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチル アミノフルオラン、1,2-ベンツ-6-ジエチルア ノフルオラン、1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソ チルアミノ)フルオラン、1,2-ベンツ-6-(N-エ ル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、2-(3-メ キシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、スピ 〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1″(3 ″H)イソベンゾフラン〕-3″-オン,2-(ジエチル アミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル-、スピ 〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1″(3 H)イソベンゾフラン〕-3″-オン,2-(ジ-n-ブチ アミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル-、ス ピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5,1 (3″H)イソベンゾフラン〕-3″-オン,2-(ジ-n- チルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル-、 ピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピリミジン-5, 1″(3″H)イソベンゾフラン〕-3″-オン,2-(ジ-n- ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4 -メチル-、スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ(2,3-d)ピ リミジン-5,1″(3″H)イソベンゾフラン〕-3″- ン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミ )-4-フェニル、3-(2-メトキシ-4-ジメチルアミ フェニル)-3-(1-ブチル-2-メチルインドール-3- イル)-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-(2-エト キシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2 -メチルインドール-3-イル)-4,5,6,7-テトラクロ フタリド、3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノ ェニル)-3-(1-ペンチル-2-メチルインドール-3- ル)-4,5,6,7-テトラクロロフタリド等を挙げる ことができる。
 更には、蛍光性の黄色~赤色の発色を発現さ せるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系 、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることが できる。

 成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活 プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物 (酸ではないが、組成物中で酸として作用し 成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔 有する化合物群等がある。
 活性プロトンを有する化合物を例示すると フェノール性水酸基を有する化合物として 、モノフェノール類からポリフェノール類 あり、さらにその置換基としてアルキル基 アリール基、アシル基、アルコキシカルボ ル基、カルボキシ基及びそのエステル又は ミド基、ハロゲン基等を有するもの、及び ス型、トリス型フェノール等、フェノール- アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前 記フェノール性水酸基を有する化合物の金属 塩であってもよい。

 以下に具体例を挙げる。
 フェノール、o-クレゾール、ターシャリー チルカテコール、ノニルフェノール、n-オク チルフェノール、n-ドデシルフェノール、n- テアリルフェノール、p-クロロフェノール、 p-ブロモフェノール、o-フェニルフェノール p-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、p-ヒドロキ 安息香酸n-オクチル、レゾルシン、没食子酸 ドデシル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プ パン、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン 、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2- ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパ 、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、1 -フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エ ン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メ ルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル )n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n -ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n- クタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノ ナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカ 、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン 2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2- ス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネ ート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチ ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル) キサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキ フェニル)n-ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ フェニル)n-ノナン等がある。
 前記フェノール性水酸基を有する化合物が も有効な熱変色特性を発現させることがで るが、芳香族カルボン酸及び炭素数2~5の脂 族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リ 酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3-ト リアゾール及びその誘導体から選ばれる化合 物等であってもよい。

 次に(ハ)成分のエステル化合物について具 的に例示する。
 本発明に用いられるエステル化合物は、式( 1)で示される化合物であって、式中のXは水素 原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ 、ハロゲン原子のいずれかを示すが、好ま くは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1乃至 4のアルキル基であり、より好ましくは水素 子、ハロゲン原子、炭素数1乃至2のアルキル 基である。
 mは1乃至3の整数を示すが、好ましくは1乃至 2である。
 nは1乃至20の整数を示すが、好ましくは3乃 10である。
 前記式(1)で示されるエステル化合物は、ジ ルボン酸と、2-(4-ベンジルオキシフェニル) タノール又は2-(4-ベンジルオキシフェニル) タノール誘導体とから構成されるエステル 合物であって、具体的には、下記式(2)で示 れるジカルボン酸と、下記式(3)で示される2 -(4-ベンジルオキシフェニル)エタノール又は 換2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノール からエステル化反応により得られる。

 式(2)のジカルボン酸としては、下記表1に 示す化合物が挙げられる。なお、表中のnは (2)に対応する1乃至20の整数である。

 式(3)の2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタ ール又は置換2-(4-ベンジルオキシフェニル) タノールとしては、下記表2に示す化合物が 挙げられる。なお、表中のXは式(3)に対応す 水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メト キシ基、ハロゲン原子であり、mは1乃至3の整 数である。

 前記ジカルボン酸と、2-(4-ベンジルオキ フェニル)エタノール又は置換2-(4-ベンジル キシフェニル)エタノールとの組合せにより 々のジカルボン酸エステル化合物が得られ これらを(ハ)成分として適用することによ 、各種応用用途に適した変色特性を有する 温変色性色彩記憶性組成物を得ることがで る。

 前記化合物は、従来の感温変色性色彩記憶 組成物に用いられているエステル化合物を いた場合と同程度、或いは、それ以上の広 ヒステリシス幅が得られ、具体的にはヒス リシス幅(δH)が8~110℃、より広いヒステリシ ス幅(δH)として40~110℃である。
 前記したヒステリシス幅を有することによ 、変色温度より低温側の色と高温側の色の ずれかを選択的に保持できる機能に優れ、 々な用途への応用性に優れる。

 前記式(1)で示される化合物を具体的に以 に示す。

 本発明の(ハ)成分は前記化合物を用いる 、必要に応じてヒステリシス特性を大きく 動しない範囲で他のエステル類、アルコー 類、カルボン酸類、ケトン類、アミド類等 加えることができる。この場合、その添加 は本発明の化合物100に対して20以下(質量部) 所期の色彩記憶性効果を有効に発現させる えで好ましい。

 前記三成分から少なくともなる均質相溶混 物は、マイクロカプセルに内包させて可逆 変色性マイクロカプセル顔料を形成するこ もでき、カプセル膜壁で保護することによ て酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化 的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触し も、その機能を低下させることがないこと 勿論、耐熱安定性を向上させることができ 。
 更にマイクロカプセルの表面には、目的に じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性 付与させたり、表面特性を改質させて実用 供することもできる。
 前記マイクロカプセルは、平均粒子径0.5~50 m、好ましくは1~30μm、より好ましくは、1~20μ mの範囲が実用性を満たす。
 前記マイクロカプセルは、最大外径の平均 が、50μmを越える系では、インキ、塗料、 いは熱可塑性樹脂中へのブレンドに際して 分散安定性や加工適性に欠ける。
 一方、最大外径の平均値が0.5μm未満の系で 、高濃度の発色性を示し難い。
 また、カプセルを微小粒子化することによ 、δH値は必須3成分の組成物の均質相溶体の δHと比較し、更にδHを拡大することができる 。
 前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1~1 /1(質量比)の範囲が有効であり、壁膜の比率 前記範囲より大になると発色時の色濃度及 鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/ 膜=6/1~1/1(質量比)である。
 前記マイクロカプセル化は、従来より公知 イソシアネート系の界面重合法、メラミン- ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被 法、水溶液からの相分離法、有機溶媒から 相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆 、スプレードライング法等があり、用途に じて適宜選択される。
 なお、マイクロカプセル顔料には、一般の 顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有 (2)への変色挙動を呈することもできる。

 前記感温変色性色彩記憶性組成物及びそれ 内包した感温変色性色彩記憶性マイクロカ セル顔料は、水及び/又は有機溶剤と必要に より各種添加剤を含むビヒクル中に分散して スクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス 印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷 等に用いられる印刷インキ、刷毛塗り、スプ レー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、 ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料 、インクジェット用インキ、紫外線硬化型イ ンキ、マーキングペン用、ボールペン用、万 年筆用、筆ペン用等の筆記具又は塗布具用イ ンキ、絵の具、化粧料、繊維用着色液等の感 温変色性色彩記憶性液状組成物として利用で きる。
 前記液状組成物には各種添加剤を添加する とができ、樹脂、架橋剤、硬化剤、乾燥剤 可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収 、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平 剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透 、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保 剤、防かび剤、防腐剤、防錆剤等が挙げら る。
 前記した液状組成物を用いて各種材質及び 状の支持体上に可逆熱変色層を設けて感温 色性色彩記憶性積層体が形成される。
 なお、前記可逆熱変色層は、液状組成物中 溶剤が揮発してそれ以外の成分(添加剤)に り形成される層であり、前記マイクロカプ ル顔料は樹脂に分散状態に固着されてなる
 前記液状組成物を塗布する支持体の材質は 定されず、総て有効であり、紙、合成紙、 、繊維、布帛、不織布、合成皮革、レザー プラスチック、ガラス、陶磁器、金属、木 、石材等を例示でき、平面状に限らず、凹 状であってもよい。
 前記支持体上に非熱変色性着色層(像を含む )が予め形成されているものにあっては、温 変化により前記着色層を隠顕させることが き、変化の様相を更に多様化させることが きる。
 更に、前記液状組成物を用いて支持体上に 逆熱変色層を設ける他、予め可逆熱変色層 設けた転写シートを用いて支持体上に可逆 変色層を形成することもできる。
 また、前記感温変色性色彩記憶性マイクロ プセル顔料は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹 、ワックス類等に溶融ブレンドしてペレッ 、粉末、又はペースト形態として感温変色 色彩記憶性成形用樹脂組成物として利用で る。
 前記成形用樹脂を用いて、汎用の射出成形 押出成形、ブロー成形、又は注型成形等の 段により、任意形象の立体造形物、フィル 、シート、板、フィラメント、棒状物、パ プ等の形態の成形体が得られる。
 なお、前記液状組成物や成形用樹脂組成物 に一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有 (1)から有色(2)への変色挙動を呈することも きる。
 前記積層体、或いは、樹脂組成物を用いて 形した成形体上には、光安定剤及び/又は透 明性金属光沢顔料を含む層を積層することに よって耐光性を向上させたり、或いは、トッ プコート層を設けて耐久性を向上させること もできる。
 前記光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸 防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキ ドアニオン消光剤、オゾン消光剤を例示で る。
 前記透明性金属光沢顔料としては、芯物質 して天然雲母、合成雲母、ガラス片、アル ナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン の金属酸化物で被覆した顔料を例示できる

 前記感温変色性色彩記憶性組成物及びそ を内包した感温変色性色彩記憶性マイクロ プセル顔料を用いた製品として具体的には 人形又は動物形象玩具、人形又は動物形象 具用毛髪、人形の家や家具、衣類、帽子、 、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具 ぬいぐるみ、描画玩具、玩具用絵本、ジグ ーパズル等のパズル玩具、積木玩具、ブロ ク玩具、粘土玩具、流動玩具、こま、凧、 器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、 景玩具、乗物、動物、植物、建築物、食品 を模した玩具、Tシャツ、トレーナー、ブラ ウス、ドレス、水着、レインコート、スキー ウェア等の被服、靴や靴紐等の履物、ハンカ チ、タオル、ふろしき等の布製身の回り品、 絨毯、カーテン、カーテン紐、テーブル掛け 、敷物、クッション、額縁、造花等の屋内装 飾品、布団、枕、マットレス等の寝具、指輪 、腕輪、ティアラ、イヤリング、髪止め、付 け爪、リボン、スカーフ等のアクセサリー、 筆記具、スタンプ具、消しゴム、下敷き、定 規、粘着テープ等の文房具類、口紅、アイシ ャドー、マニキュア、染毛剤、付け爪、付け 爪用塗料等の化粧品、コップ、皿、箸、スプ ーン、フォーク、鍋、フライパン等の台所用 品、カレンダー、ラベル、カード、記録材、 偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、手 袋、ネクタイ、帽子、鞄、包装用容器、刺繍 糸、運動用具、釣り具、歯ブラシ、コースタ ー、時計、眼鏡、照明器具、冷暖房器具、楽 器、カイロ、蓄冷剤、写真立て、財布等の袋 物、傘、家具、乗物、建造物、温度検知用イ ンジケーター、教習具を例示できる。

 以下に本発明の実施例を示すが本発明はこ に限定されるものではない。
 各実施例における感温変色性色彩記憶性組 物及びそれを内包したマイクロカプセル顔 の製造方法と、感温変色性色彩記憶性組成 及びマイクロカプセル顔料の温度変化によ ヒステリシス特性の測定方法について説明 る。
 なお、実施例中の部は質量部を表す。

 実施例1
 感温変色性色彩記憶性組成物の調製方法
 (イ)成分として3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミ ノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3 -イル)-4-アザフタリド1部、(ロ)成分として2,2- ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロ ロパン2部、(ハ)成分としてマロン酸と2-〔4-( 4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノ ルとのジエステル化合物(化合物29)50部を混 し、加温して均質に溶解して感温変色性色 記憶性組成物を得た。
 前記感温変色性色彩記憶性組成物は青色か 無色に変色するものであった。

 測定試料の作製
 前記感温変色性色彩記憶性組成物を内径1mm 長さ78mmの透明ガラス製毛細管に、毛細管底 部から約10mmの高さまで封入し、測定試料を た。

 変色温度の測定
 前記測定試料の感温変色性色彩記憶性組成 を封入した部分全体を透明熱媒体液の中に 漬し、透明熱媒体液の温度を変化させなが 、感温変色性色彩記憶性組成物の変色状態 目視で観察して、T 1 (完全発色温度)、T 2 (発色開始温度)、T 3 (消色開始温度)、T 4 (完全消色温度)を測定し、T H 〔T 1 とT 2 の中間の温度(T 1 +T 2 )/2〕、T G 〔T 3 とT 4 の中間の温度(T 3 +T 4 )/2〕、δH(ヒステリシス幅T G -T H )を求めた。
 前記感温変色性色彩記憶性組成物はT 1 :33℃、T 2 :42℃、T 3 :91℃、T 4 :98℃、T H :37.5℃、T G :94.5℃、δH:57℃のヒステリシス特性を示した

 実施例2~20
 感温変色性色彩記憶性組成物の(イ)成分、( )成分、(ハ)成分を以下の表3に記載した化合 物に変更した以外は実施例1と同一配合量、 一方法で、実施例2~20の感温変色性色彩記憶 組成物を調製し、実施例1と同様にしてヒス テリシス特性を測定した。

 表中の(イ)成分のAは3-(2-エトキシ-4-ジエ ルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルイン ール-3-イル)-4-アザフタリドであり、Bは1,2- ンツ-6-ジエチルアミノフルオランであり、 中の(ロ)成分のaは2,2-ビス(4-ヒドロキシフェ ニル)ヘキサフルオロプロパンであり、bは1,1- ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパ である。

 実施例1~20の感温変色性色彩記憶性組成物の 色変化、T 1 、T 2 、T 3 、T 4 、T H 、T G 、δHの値を以下の表4に示す。

[規則26に基づく差替え 23.05.2008]

 実施例21
 感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔 の調製方法
 (イ)成分として3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミ ノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3 -イル)-4-アザフタリド1部、(ロ)成分として2,2- ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロ ロパン5部、(ハ)成分としてアジピン酸と2-(4- ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジ ステル化合物(化合物3)50部からなる感温変色 性色彩記憶性組成物を混合し、均一に加温溶 解し、さらに壁膜材料として芳香族多価イソ シアネートプレポリマー20部、酢酸エチル40 を混合した溶液を15%ゼラチン水溶液100部中 投入し、微小滴になるように乳化分散した 前記分散液を70℃で約1時間攪拌を続けた後 水溶性アミン化合物〔ジャパンエポキシレ ン株式会社製、商品名:jERキュアU、エポキシ 樹脂のアミン付加物〕2部を水23部に溶解させ た水溶液を攪拌しながら徐々に添加し、さら に液温を90℃に保って約3時間攪拌を続けて感 温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料の 懸濁液を得た。
 前記マイクロカプセル顔料の懸濁液から、 心分離により感温変色性色彩記憶性マイク カプセル顔料を単離し、青色から無色に変 する感温変色性色彩記憶性マイクロカプセ 顔料を得た(平均粒子径:6μm)。

 測定試料の作製
 前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセ 顔料40部を、エチレン-酢酸ビニル樹脂エマ ジョン50.0部、レベリング剤1.0部、消泡剤1.0 部、粘度調整剤0.5部、水7.5部からなる水性イ ンキビヒクルに均一に分散させて感温変色性 色彩記憶性インキを調製した。前記インキを 用いて白色合成紙にベタ柄をスクリーン印刷 し、さらに裏面に粘着剤層を有する透明ポリ エステルフィルム(厚み:16μm)を印刷面上にラ ネートして測定試料を得た。

 変色温度の測定
 前記測定試料を透明熱媒体液の中に浸漬し 透明熱媒体液の温度を変化させながら、感 変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料印 部分の変色状態を目視で観察して、T 1 、T 2 、T 3 、T 4 を測定し、T H 〔T 1 とT 2 の中間の温度(T 1 +T 2 )/2〕、T G 〔T 3 とT 4 の中間の温度(T 3 +T 4 )/2〕、δH(ヒステリシス幅T G -T H )を求めた。
 前記感温変色性色彩記憶性マイクロカプセ 顔料はT 1 :4℃、T 2 :14℃、T 3 :77℃、T 4 :85℃、T H :9℃、T G :81℃、δH:72℃のヒステリシス特性を示した。

 実施例22~29
 マイクロカプセルに内包させる感温変色性 彩記憶性組成物の(イ)成分、(ロ)成分、(ハ) 分を以下の表5に記載した化合物に変更した 以外は実施例21と同一配合量、同一方法で、 施例22~29の感温変色性色彩記憶性マイクロ プセル顔料を調製し、実施例21と同様にして ヒステリシス特性を測定した。

 表中の(イ)成分のAは3-(2-エトキシ-4-ジエ ルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルイン ール-3-イル)-4-アザフタリドであり、Bは1,2- ンツ-6-ジエチルアミノフルオランであり、C は2-N,N-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフ ルオランであり、表中の(ロ)成分のaは2,2-ビ (4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロ ンである。

 実施例21~29の感温変色性色彩記憶性マイク カプセル顔料の色変化、T 1 、T 2 、T 3 、T 4 、T H 、T G 、δHの値を以下の表6に示す。

[規則26に基づく差替え 23.05.2008]

 応用例1
 実施例21で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料2.5部及び非熱変色性蛍 ピンク色顔料1.5部を、塩化ビニル-酢酸ビニ 共重合樹脂12.5部、キシレン38.3部、酢酸ブ ル45部、粘度調整剤0.2部からなる油性インキ ビヒクルに均一に分散させて感温変色性色彩 記憶性インキを調製した。
 前記インキを4℃以下の温度に冷却して紫色 に変色させた後、家庭用電気コードのプラグ 部分(白色)にスプレー塗装して感温変色層を け、感温変色性色彩記憶性プラグを得た。
 前記プラグは室温(25℃)で紫色を呈している が、加温により77℃以上の温度で変色を開始 、85℃以上の温度でピンク色となった。こ 変色状態から冷却すると、14℃以下の温度か ら変色を開始し、4℃以下の温度で再び紫色 なった。
 前記感温変色性色彩記憶性プラグは、紫色 変色状態は77℃未満の温度でこの状態を保 することができ、85℃以上の温度でピンク色 になると14℃以下の温度に冷却されない限り ンク色の変色状態を保持することができる め、プラグが異常過熱状態となり、85℃以 の高温域に達した場合の温度履歴を目視に り検知できた。

 応用例2
 実施例24で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料27部(予め-10℃以下に冷 して青色に発色させたもの)を、キサンタン ム(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10.0部、グ リセリン10部、ノニオン系界面活性剤0.6部、 性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.2部、 51.77部からなる水性インキビヒクルに均一 分散させて感温変色性色彩記憶性インキを 製した。

 筆記具の作製
 前記インキ0.97gを内径4.4mmのポリプロピレン 製パイプに吸引充填し、樹脂製ホルダーを介 して0.7mmステンレス鋼ボールを先端に抱持し ボールペンチップと連結させた。
 次いで、前記ポリプロピレン製パイプの後 より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を するインキ逆流防止体(液栓)を充填し、更 尾栓をパイプの後部に嵌合させ、先軸筒、 軸筒を組み付け、キャップを嵌めた後、遠 分離により脱気処理を行い、感温変色性色 記憶性ボールペンを得た。
 なお、前記後軸筒後部には摩擦体としてSEBS 製ゴムを装着してなる。

 前記ボールペンを用いて紙面に筆記して青 の文字(筆跡)を形成した。
 前記筆跡は、室温(25℃)では青色を呈してお り、摩擦体を用いて文字を擦過すると、該文 字は消色して無色となり、この状態は1℃以 に冷却しない限り維持することができた。
 なお、消色後の前記紙面を冷凍庫に入れて- 10℃以下の温度に冷却すると、再び文字が青 になる変色挙動を示し、前記挙動は繰り返 再現することができた。

 応用例3
 実施例25で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料40部を、エチレン-酢酸 ニル樹脂エマルジョン50部、レベリング剤1 、消泡剤1部、粘度調整剤0.5部、水7.5部から る水性インキビヒクルに均一に分散させて 温変色性色彩記憶性インキを調製した。
 前記インキを用いて、裏面に粘着剤層を有 る白色ポリエステルフィルム(厚み25μm)上に スクリーン印刷を行ない、感温変色層を設け た後、さらに粘着剤層を有する透明ポリエス テルフィルム(厚み:16μm)を感温変色層上に貼 して感温変色性色彩記憶性シールを得た。
 前記シールは12℃以下の温度に冷却して青 に発色させた後、加温すると84℃以上の温度 で変色を開始し、97℃以上の温度で白色とな た。この変色状態から冷却すると、17℃以 の温度で発色し始め、12℃以下の温度で再び 青色となる変色挙動を示し、前記挙動は繰り 返し再現することができた。
 青色に発色した状態のシールをプラスチッ 製弁当箱の外面に貼り付け、熱水噴流式殺 装置内で110℃、5分間の加熱殺菌処理を行な ったところ、前記シールは室温(25℃)に取出 た後でも白色状態を維持しており、前記弁 箱が97℃以上の温度に加熱されたことを目視 で確認することが可能であり、加熱殺菌処理 の有無の温度履歴を目視により検知できた。

 応用例4
 マイクロカプセル粒子の調製
 2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフル ロプロパン5.0部、パルミチン酸ブチル50部を 均一に加温溶解し、さらに壁膜材料として芳 香族多価イソシアネートプレポリマー20部、 酸エチル40部を混合した溶液を15%ゼラチン 溶液100部中に投入し、微小滴になるように 化分散した。前記分散液を70℃で約1時間攪 を続けた後、水溶性アミン化合物〔ジャパ エポキシレジン株式会社製、商品名:jERキュ U、エポキシ樹脂のアミン付加物〕2部を水23 部に溶解させた水溶液を攪拌しながら徐々に 添加し、さらに液温を90℃に保って約3時間攪 拌を続けてマイクロカプセル粒子の懸濁液を 得た。
 前記懸濁液を遠心分離してマイクロカプセ 粒子を単離した(平均粒子径:6μm)。

 筆記具用インキの調製
 実施例26で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料(予め13℃以下に冷却し 青色に発色させたもの)13部及び前記マイク カプセル粒子7部をヒドロキシエチルセルロ ス0.5部、グリセリン15部、消泡剤0.2部、防 剤1部、水63.3部からなる水性インキビヒクル に均一に分散して感温変色性色彩記憶性イン キを調製した。

 筆記具用の作製
 前記インキと攪拌球(フェライト系ステンレ ス鋼球、直径3mm)を軸筒内に内蔵し、弁機構 介在させて先端部にマーキングペン体〔チ ル型繊維ペン体(気孔率53%)〕を取り付け、直 液式筆記具(マーキングペン)を得た。
 尚、前記弁機構は、弁体と、前記弁体を弁 に圧接するように付勢する金属製スプリン からなり、筆記時のペン体への筆圧で弁が く構造である。
 前記直液式筆記具には着脱自在のキャップ 備えてなり、前記キャップには頂部に擦過 材としてSEBS樹脂を装着してなる。
 前記筆記具を用いて紙面に筆記して、青色 文字(筆跡)を形成した。
 前記筆跡は、室温(25℃)では青色を呈してお り、キャップに装着した擦過部材を用いて文 字を擦過すると、該文字は消色して無色とな り、この状態は室温下で保持されており、13 以下の温度に冷却することにより、元の青 に復色し、前記変色挙動は繰り返し再現さ た。

 応用例5
 実施例24で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料40部(予め-10℃以下に冷 して青色に発色させたもの)を、ウレタン樹 エマルジョン50部、消泡剤1部、粘度調整剤1 部、水8部からなる水性インキビヒクルに均 に分散させて感温変色性色彩記憶性インキ 調製した。
 A4サイズの白色合成紙(厚み200μm)上に、前記 水性インキをコーティング加工して厚み20μm 感温変色層を設け、感温変色性色彩記憶性 録材を得た。
 前記記録材にサーマルプリンター(昭和情報 機器株式会社製、品番:S4870)を用いて文字を 字し、案内板として実用に供した。
 前記案内板は青色の背景に白色の文字が明 に視認され、この変色状態を1℃~70℃の温度 域で保持することができ、室温下で前記文字 を保持できた。
 前記案内板は-10℃以下に冷却することによ 、文字部分の感温変色層を再び着色させて 字部分を消去し、サーマルプリンターによ 繰り返し異なる文字を形成することができ 。

 応用例6
 実施例29で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料5部、分散剤1部、非熱変 色性ピンク色顔料0.1部、ポリプロピレンホモ ポリマー93.9部をエクストルーダーにて180℃ 溶融混合して感温変色性色彩記憶性ペレッ を得た。前記ペレットを用いて、射出成形 にてシリンダー温度180℃でプラスチックカ プを成形した。前記プラスチックカップは 温(25℃)では紫色を呈しているが、加温によ 56℃以上の温度で変色を開始し、69℃以上の 温度でピンク色となった。この状態から降温 すると49℃以下の温度から変色を開始し、44 以下の温度で再び紫色となった。
 前記プラスチックカップに飲料を入れ、電 レンジで加熱したところ、紫色からピンク へ変色し、内部の飲料が69℃以上の温度と ったことを容易に確認することができた。 熱によりピンク色へ変色した前記プラスチ クカップを電子レンジから取出して室温に 置すると、ピンク色から再び紫色に変色し カップ内の飲料が44℃以下の温度になったこ とを容易に確認することができた。

 応用例7
 実施例24で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料20部(予め-10℃以下に冷 して青色に発色させたもの)を、アクリル系 脂エマルジョン(固形分40%)78.0部、消泡剤2.0 からなる水性インキビヒクルに均一に分散 せて感温変色性色彩記憶性インキを調製し 。
 上質紙上に黒色非熱変色性インキを用いて 刷された商品券に、前記感温変色性色彩記 性インキを用いてグラビア印刷により偽造 別マークを印刷した。前記偽造判別マーク 室温(25℃)では青色を呈しており、体温や環 境温度では色変化しないが、79℃以上に加熱 ると無色となり、-10℃以下に冷却すると再 青色となった。
 前記商品券の偽造判別マークは室温温度域 は青色を呈して色変化しないため、偽造判 マークであることを識別できないが、79℃ 上に加熱すると無色となることから、偽造 止機能を有していた。

 応用例8
 実施例24で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料5部、塩化ビニル樹脂46.5 部、塩化ビニル樹脂用可塑剤46.4部、安定剤1 、分散剤1部、非熱変色性ピンク色顔料0.1部 をエクストルーダーにて溶融混合して感温変 色性色彩記憶性ペレットを得た。
 前記ペレットを銅線に押し出し被覆成形し 後、-10℃以下に冷却してピンク色から紫色 変色させて感温変色性色彩記憶性電線を得 。前記電線は室温(25℃)では紫色を呈してお り、体温や環境温度では色変化しないが、79 以上に加熱するとピンク色となり、-10℃以 に冷却すると再び紫色となった。
 前記電線に過電流による発熱異常試験を行 たところ、断線による異常発熱部分のみが ンク色に変色し、変色部分が通電停止後も 温温度域でピンク色の状態を維持している め、断線部分を目視で容易に特定すること できた。

 応用例9
 実施例24で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料5部を塩化ビニル樹脂62 、塩化ビニル樹脂用可塑剤31部、分散剤1.9部 、非熱変色性ピンク色顔料0.1部と混合した後 、カレンダー押し出し成形機によりフィルム 成形を行い、厚み200μmの感温変色性色彩記憶 性フィルムを得た。前記フィルムの片面に粘 着剤をバーコーターにより塗工してロール状 に巻き取った後、-10℃以下に冷却してピンク 色から紫色に変色させ、感温変色性色彩記憶 性粘着テープを得た。
 前記粘着テープは室温(25℃)では紫色を呈し ており、体温や環境温度では色変化しないが 、79℃以上に加熱するとピンク色となるため 電線の接続部分に巻き付けて、電線の接続 良による異常発熱を目視で容易に確認する とができた。

 応用例10
 実施例24で調製した感温変色性色彩記憶性 イクロカプセル顔料(予め-10℃以下に冷却し 青色に発色させたもの)30部をアクリル系樹 エマルジョン(固形分45%)60部、粘度調整剤1 、消泡剤0.2部、水8.8部からなる水性インキ ヒクルに均一に分散させて感温変色性色彩 憶性インキを調製した。前記インキを用い 白地のTシャツ(綿製)に、100メッシュのスク ーン版で多数の星のパターンをスクリーン 刷し、50℃で乾燥して感温変色性色彩記憶性 Tシャツを得た。
 前記Tシャツは室温(25℃)では多数の青色の 柄が視認され、体温や環境温度では変化し いが、79℃以上に加熱すると星柄部分が無色 となり、-10℃以下に冷却すると再び青色の星 柄が視認された。
 前記Tシャツの星柄の一部をアイロン等によ る加温で消色させて、任意の星のみを消色さ せた白抜きパターンや、星の部分で文字やパ ターンを形成し、Tシャツの柄を任意に変化 せることができた。また、その変色状態を 温温度域で保持させることができ、全体を79 ℃以上に加温して星柄部分を全面消色させた 後、-10℃以下に冷却して星柄全面を発色させ 、再び前記のように任意の柄を形成すること ができた。

 応用例11
 平均粒子径を2.5μmに調整した以外は実施例2 4と同様の感温変色性色彩記憶性マイクロカ セル顔料(予め-10℃以下に冷却して青色に発 させたもの)20部を、スチレンアクリル共重 樹脂エマルジョン(固形分45%)5部、グリセリ 10部、防黴剤0.2部、消泡剤0.1部、水64.7部か なる水性インキビヒクルに均一に分散させ 感温変色性色彩記憶性インキを調製した。
 前記インキをインクジェット記録装置にセ トして記録用紙に印字を行い、感温変色像 形成し、感温変色性印刷物を得た。
 前記印刷物は室温(25℃)で青色の感温変色像 が視認され、体温や環境温度では変化しない が、79℃以上に加熱することにより感温変色 が消色し、室温温度域で使用前の状態(何も 印刷していない記録用紙)に戻った。
 再び、インクジェット記録装置に前記記録 紙をセットして印字を行うことにより、感 変色像を形成して印刷物を得ることができ 繰返し記録用紙を使用することができた。
 また、前記感温変色像が形成された印刷物 に、応用例2で得た感温変色性色彩記憶性ボ ールペンを用いて文字等を加筆することも可 能であり、79℃以上に加熱することにより感 変色像及び加筆部分を消色させて使用前の 態(何も印刷していない記録用紙)に戻し、 ンクジェット記録装置で繰り返し記録用紙 再利用することができた。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2007年4月12日出願の日本特許出願 (特願2007-104391)、2008年3月17日出願の日本特許 願(特願2008-067464)に基づくものであり、その 内容はここに参照として取り込まれる。

 本発明によれば、色濃度-温度曲線に関し て広いヒステリシス幅(δH)を示して発色-消色 の可逆的変色を生起させ、変色温度より低温 側の色と高温側の色の両方を互変的に記憶保 持でき、必要に応じて熱又は冷熱を適用する ことにより、いずれかの色を可逆的に再現さ せて記憶保持できる特性を効果的に発現させ ることができるため、示温、装飾、玩具、教 習要素等、多様な分野に適用性を有する感温 変色性色彩記憶性組成物及びそれを内包した 感温変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料 を提供できる。