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Patent Searching and Data


Title:
VEHICLE BODY ROLL CONSTRAINT SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/050983
Kind Code:
A1
Abstract:
A highly practical vehicle body roll constraint system is provided. A system is equipped, on each of front wheel sides and rear wheel sides of a vehicle, with an active stabilizer (14) structured to generate roll constraint force reverse to each other in the right and left between upper parts of a spring and to be capable of changing the roll constraint force by activation of an actuator. The system is structured to be capable of control for causing the roll constraint force generated by the stabilizer to work as force for constraining a roll of a vehicle body caused by undulation of a road surface on which a vehicle of interest drives, that is, control (202) of constraint of roll caused by road surface undulation. For example, if the mentioned control of constraint of roll caused by road surface undulation can be carried out in addition to control (200) for constraining the roll caused by a turn of the vehicle carried by a conventional stabilizer, ride quality of the vehicle can be improved.

Inventors:
KOUMURA SHINGO (JP)
HOZUMI JIN (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/067077
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
September 22, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
KOUMURA SHINGO (JP)
HOZUMI JIN (JP)
International Classes:
B60G17/0165; B60G17/015; B60G21/055
Foreign References:
JP2005238971A2005-09-08
JPH07228114A1995-08-29
Other References:
See also references of EP 2202105A4
Attorney, Agent or Firm:
KANDO, Norikazu et al. (Nagoya-Bldg. Higashikan 7th Floor2-25, Meieki 4-chome,Nakamura-ku, Nagoya-shi, Aichi, JP)
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Claims:
 (a)ばね上部とばね下部とを弾性的に連結するサスペンションスプリングと(b)ばね上部とばね下部との相対動作に対しての減衰力を発生させるダンパとを有するサスペンション装置を前輪側および後輪側の左右の車輪の各々に対して備えた車両に設けられ、当該車両の車体のロールを抑制するための車体ロール抑制システムであって、
 それぞれが、左右の車輪の一方に対応するばね上部とばね下部とを接近させつつ左右の車輪の他方に対応するばね上部とばね下部とを離間させる力となるロール抑制力を発生させるとともに、アクチュエータを有して、そのアクチュエータの作動によってそのロール抑制力を変更可能に構成された前輪側および後輪側ロール抑制装置と、
 それら前輪側および後輪側のロール抑制装置の各々が発生させるべきロール抑制力である目標装置個別ロール抑制力を決定し、その決定された目標装置個別ロール抑制力に基づいて前記前輪側および後輪側のロール抑制装置の各々が有する前記アクチュエータの作動を制御することで、その各々を制御する制御装置と
 を備え、
 前記制御装置が、
 当該車両が走行する路面の起伏に起因して生じる車体のロールを抑制するために、前記前輪側および後輪側のロール抑制装置の両方によって発生させるべきロール抑制力である目標路面起伏起因ロール抑制力を決定する路面起伏起因ロール抑制力決定部を有する車体ロール抑制システム。
 前記制御装置が、
 路面起伏起因ロール抑制力決定部によって決定された前記目標路面起因ロール抑制力を、設定配分比に基づいて、前記前輪側および後輪側のロール抑制装置の各々の目標装置個別ロール抑制力に配分するロール抑制力配分部を有する請求項1に記載の車体ロール抑制システム。
 前記ロール抑制力配分部が、前記前輪側および後輪側のロール抑制装置の各々の負荷に基づいて、前記設定配分比を変更するように構成された請求項2に記載の車体ロール抑制システム。
 前記制御装置が、
 当該車両の旋回に起因して生じる車体のロールを抑制するために、前記前輪側および後輪側のロール抑制装置の両方によって発生させるべきロール抑制力である目標車両旋回起因ロール抑制力を決定する車両旋回起因ロール抑制力決定部を有する請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車体ロール抑制システム。
 前記制御装置が、
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部によって決定された前記目標路面起伏起因ロール抑制力を、設定配分比に基づいて、前記前輪側および後輪側のロール抑制装置の各々の目標装置個別ロール抑制力に配分するロール抑制力配分部を有し、
 そのロール抑制力配分部が、
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部によって決定された前記目標路面起伏起因ロール抑制力と、前記車両旋回起因ロール抑制力決定部によって決定された前記目標車両旋回起因ロール抑制力とを合わせた力を、前記設定配分比に基づいて、前記前輪側および後輪側のロール抑制装装置の各々の目標装置個別ロール抑制力に配分するように構成された請求項4に記載の車体ロール抑制システム。
 前記車両旋回起因ロール抑制力決定部が、
 当該車両の旋回に起因して車体に作用するロールモーメントを指標する車両旋回起因ロールモーメント指標の値に基づいて、前記目標車両旋回依拠ロール抑制力を決定するように構成された請求項4または請求項5に記載の車体ロール抑制システム。
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が、当該車両が走行する路面の起伏に起因して生じる車体のロールを抑制するために設定された仮想的なロール挙動モデルに従って、前記目標路面起伏起因ロール抑制力を決定するように構成された請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の車体ロール抑制システム。
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が、
 前記ロール挙動モデルとして、車体のロールを抑制するためのスカイフックスプリングとスカイフックダンパとの少なくとも一方が配備されたスカイフックモデルを採用し、そのスカイフックモデルに従って、前記スカイフックスプリングと前記スカイフックダンパとの少なくとも一方が車体のロールを抑制する力の推定を行い、その推定された力に基づいて、前記目標路面起伏起因ロール抑制力を決定するように構成されたスカイフック型ロール抑制力決定部と、
 前記ロール挙動モデルとして、前記サスペンション装置が有するサスペンションスプリングおよびダンパによって発生させられる力であって、前輪側および後輪側の左右のばね下部の相対変位動作に依存して生じて車体のロールを生じさせる力であるロール強制力を、低減させるための強制力低減モデルを採用し、その強制力低減モデルに従って、前記サスペンションスプリングおよびダンパが実際に発生させるロール強制力と低減させたロール強制力との差である低減力の推定を行い、その推定に基づいて、前記目標路面起伏起因ロール抑制力を決定するように構成された強制力低減型ロール抑制力決定部と
 の少なくとも一方を有する請求項7に記載の車体ロール抑制システム。
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が、少なくとも前記スカイフック型ロール抑制力決定部を有し、
 そのスカイフック型ロール抑制力決定部が、
 前記スカイフックモデルに従って車体のロール動作の推定を行い、その推定に基づいて、前記スカイフックスプリングとスカイフックダンパとの少なくとも一方が発生させるロール抑制力を推定するように構成された請求項8に記載の車体ロール抑制システム。
 前記スカイフック型ロール抑制力決定部が、
 前輪側の左右のばね上部とばね下部との距離の相対変動である前輪側の相対ストローク動作と後輪側の左右のばね上部とばね下部との距離の相対変動である後輪側の相対ストローク動作との少なくとも一方に基づいて、前記車体のロール動作の推定を行うように構成され、かつ、
 測定された前記前輪側の左右のばね上部とばね下部との距離に基づく前記前輪側の相対ストローク動作と、その測定された前輪側の左右のばね上部とばね下部との距離,当該車両の走行速度および当該車両のホイールベースに基づいて推定された前記後輪側の相対ストローク動作とに基づいて、前記車体のロール動作の推定を行うように構成された請求項9に記載の車体ロール抑制システム。
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が、少なくとも前記強制力低減型ロール抑制力決定部を有し、
 前記ロール強制力が、前記前輪側のサスペンション装置が有する2つのサスペンションスプリングである前輪側スプリングによって発生させられる前輪側スプリング強制力と、前記前輪側のサスペンション装置が有する2つのダンパである前輪側ダンパによって発生させられる前輪側ダンパ強制力と、前記後輪側のサスペンション装置が有する2つのサスペンションスプリングである後輪側スプリングによって発生させられる後輪側スプリング強制力と、前記後輪側のサスペンション装置が有する2つのダンパである後輪側ダンパによって発生させられる後輪側ダンパ強制力とを成分として含み、
 前記強制力低減モデルが、それら前輪側スプリング強制力,前輪側ダンパ強制力,後輪側スプリング強制力,後輪側ダンパ強制力のうちの1以上のものをその1以上のものの各々に対して設定された低減率に基づいて低減させるように設定されたものである請求項8ないし請求項11のいずれか1つに記載の車体ロール抑制システム。
 前記強制力低減モデルが、
 前記前輪側スプリング強制力,前記後輪側スプリング強制力が、それぞれ、前記前輪側スプリングの各々のばね定数によって定まる前輪側ロールばね定数,前記後輪側スプリングの各々のばね定数によって定まる前輪側ロールばね定数に依拠した大きさの力となり、前記前輪側ダンパ強制力,前記後輪側ダンパ強制力が、それぞれ、前記前輪側ダンパの各々の減衰係数によって定まる前輪側ロール減衰係数,前記後輪側ダンパの各々の減衰係数によって定まる後輪側ロール減衰係数に依拠した大きさの力となるように設定され、かつ、
 それら前輪側ロールばね定数,後輪側ロールばね定数,前輪側ロール減衰係数,後輪側ロール減衰係数のうちの1以上のものを、その1以上の各々に対応する前記前輪側スプリング強制力,前輪側ダンパ強制力,後輪側スプリング強制力,後輪側ダンパ強制力のうちの1以上のものに対して設定された前記低減率に基づいて低減させるように設定されたものである請求項11に記載の車体ロール抑制システム。
 前記強制力低減モデルが、
 車体のロールを抑制するための力を車体のロール量に応じて車体に作用させるロール抑制スプリングと車体のロール速度に応じて車体に作用させるロール抑制ダンパとの少なくとも一方が配備されたものであり、かつ、
 前記前輪側ロールばね定数と前記後輪側ロールばね定数との少なくとも一方を低減させる場合には、それらの低減させる分に相当するロールばね定数を有する前記ロール抑制スプリングが少なくとも配備され、前記前輪側ロール減衰定数と前記後輪側ロール減衰定数との少なくとも一方を低減させる場合には、それらの低減させる分に相当するロール減衰定数を有する前記ロール抑制ダンパが少なくとも配備されたものである請求項12に記載の車体ロール抑制システム。
 前記強制力低減型ロール抑制力決定部が、
 前記前輪側スプリング強制力,前輪側ダンパ強制力,後輪側スプリング強制力,後輪側ダンパ強制力のうちの1以上のものの各々に対して設定された前記低減率のうちの1以上のものを、当該車両の走行速度に基づいて変更するように構成された請求項11ないし請求項13のいずれか1つに記載の車体ロール抑制システム。
 前記強制力低減型ロール抑制力決定部が、
 当該車両の走行速度が設定閾速度以下である場合に、前記前輪側スプリング強制力および前記前輪側ダンパ強制力に対して設定された前記低減率を1とし、前記後輪側スプリング強制力および前記後輪側ダンパ強制力に対して設定された前記低減率を0とするように構成された請求項14に記載の車体ロール抑制システム。
 前記強制力低減型ロール抑制力決定部が、
 当該車両の走行速度が設定閾速度以上である場合において、当該車両の走行速度が高いときに、低いときに比較して、(A)前記前輪側スプリング強制力に対して設定された前記低減率を大きくすることと、(B)前記前輪側ダンパ強制力に対して設定された前記低減率を小さくすることと、(C)前記後輪側スプリング強制力に対して設定された前記低減率を小さくすることと、(D)前記後輪側ダンパ強制力に対して設定された前記低減率を大きくすることとの、いずれか1以上を行うように構成された請求項14または請求項15に記載の車体ロール抑制システム。
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が、少なくとも前記強制力低減型ロール抑制力決定部を有し、
 その強制力低減型ロール抑制力決定部が、
 前記強制力低減モデルに従って前記前輪側の左右のばね下部の相対変位動作と前記後輪側の左右のばね下部の相対変位動作との少なくとも一方の推定を行い、その推定に基づいて、前記低減力を推定するように構成された請求項11ないし請求項16のいずれか1つに記載の車体ロール抑制システム。
 前記強制力低減型ロール抑制力決定部が、
 (i)前輪側における左輪側のばね上部とばね下部との距離と右輪側のばね上部とばね下部との距離との相対変動である前輪側の相対ストローク動作と、後輪側における左輪側のばね上部とばね下部との距離と右輪側のばね上部とばね下部との距離との相対変動である後輪側の相対ストローク動作との少なくとも一方と、(ii)車体のロール動作との少なくとも一方に基づいて、前記前輪側の左右のばね下部の相対変位動作と前記後輪側の左右のばね下部の相対変位動作との少なくとも一方の推定を行うように構成された請求項17に記載の車体ロール抑制システム。
 前記強制力低減型ロール抑制力決定部が、
 前記前輪側の相対ストローク動作と後輪側の相対ストローク動作との少なくとも一方に基づく推定と、前記車体のロール動作に基づく推定とを、択一的に行うように構成され、かつ、
 当該車両の走行速度が設定閾速度より高い場合において、前記前輪側の相対ストローク動作と後輪側の相対ストローク動作との少なくとも一方に基づく推定を行い、当該車両の走行速度が設定閾速度より低い場合において、前記車体のロール動作に基づく推定を行うように構成された請求項18に記載の車体ロール抑制システム。
 前記強制力低減型ロール抑制力決定部が、
 前記前輪側の相対ストローク動作と後輪側の相対ストローク動作との少なくとも一方に基づく推定を行う場合において、測定された前輪側の左右のばね上部とばね下部との距離に基づく前記前輪側の相対ストローク動作と、その測定された前輪側の左右のばね上部とばね下部との距離,当該車両の走行速度および当該車両のホイールベースに基づいて推定された前記後輪側の相対ストローク動作とに基づいて、前記前輪側の左右のばね下部の相対変位動作と前記後輪側の左右のばね下部の相対変位動作との少なくとも一方の推定を行うように構成と、
 前記車体のロール動作に基づく推定を行う場合において、測定された車体のロール量に基づく車体のロール動作と、当該車両の走行速度および当該車両のホイールベースとに基づいて、前記前輪側の左右のばね下部の相対変位動作と前記後輪側の左右のばね下部の相対変位動作との少なくとも一方の推定を行う構成と
 との少なくとも一方を有する請求項18または請求項19に記載の車体ロール抑制システム。
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が、
 前記スカイフック型ロール抑制力決定部と前記強制力低減型ロール抑制力決定部との両方を有し、
 前記スカイフック型ロール抑制力決定部によって決定された前記目標路面起伏起因ロール抑制力と、前記強制力低減型ロール抑制力決定部によって決定された前記目標路面起伏起因ロール抑制力とを、設定重み付け係数を用いた重み付けをして和することにより、前記目標路面起伏起因ロール抑制力を決定するように構成された請求項8ないし請求項20のいずれか1つに記載の車体ロール抑制システム。
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が、
 当該車両が走行する路面に起因した車体のロール振動が、比較的高い周波数の振動成分が大きい場合には、前記スカイフック型ロール抑制力決定部によって決定された前記目標路面起伏起因ロール抑制力に対する重み付けを大きく、比較的低い周波数の振動成分が大きい場合には、前記強制力低減型ロール抑制力決定部によって決定された前記目標路面起伏起因ロール抑制力に対する重み付けを大きくするように構成された請求項21に記載の車体ロール抑制システム。
Description:
車体ロール抑制システム

 本発明は、車両に搭載される車体ロール 制システムに関し、詳しくは、車両が走行 る路面の起伏に起因する車体のロールを抑 するための制御を実行可能な車体ロール抑 システムに関する。

 自動車の分野では、近年、下記特許文献 記載されているような車体ロール抑制シス ム、つまり、車体のロールを抑制するロー 抑制力を発生させるとともに、そのロール 制力をアクチュエータの作動によって変更 能なロール抑制装置を備えたシステムの開 が始まっている。このようなシステムは、 クティブスタビライザシステム等と呼ばれ 既に一部の車両では、実際に搭載されるに っている。

 これまでに検討されてきた車体ロール抑制 ステムは、専ら車両の旋回に起因して生じ 車体のロールを対象としており、その車体 ロールを効果的に抑制すべく、車両の旋回 よって車体が受けるロールモーメントを推 し、その推定したロールモーメントに基づ 、適切なロール抑制力を発生させるように 成されている。

特開2006-321296号公報

特開2006-256459号公報

 (A)発明の概要
 車体のロールは、車両の旋回にのみ起因し 生じるものではない。例えば、荒れた路面, 凸凹な路面,段差のある路面等を車両が直進 て通過する際にも、それらの路面の起伏に 因して生じる。これまでに検討されてきた 体ロール抑制システムでは、そのような車 のロールを対象としておらず、そのような 体のロールへの効果的な対処は、車体ロー 抑制システムの実用性の向上に繋がること なる。本発明は、そのような実情に鑑みて されたものであり、実用性の高い車体ロー 抑制システムを提供することを課題とする

 上記課題を解決するため、本発明の車体 ール抑制システムは、ばね上部とばね上部 の間に左右において互いに逆向きの力とな ロール抑制力を発生させるとともにアクチ エータの作動によってそのロール抑制力を 更可能に構成されたロール抑制装置を、車 の前輪側および後輪側の各々に対して設け システムであって、それらロール抑制装置 発生させるロール抑制力を当該車両が走行 る路面の起伏に起因して生じる車体のロー を抑制するための力として作用させるため 制御、つまり、路面起伏起因ロール抑制制 を実行可能に構成される。

 本発明の車体ロール抑制システムでは、 面の起伏に起因して生じる車体のロールが 上記ロール抑制装置によって効果的に抑制 れるため、当該の車両の乗り心地が向上さ られることになる。その意味において、本 明の車体ロール抑制システムは、実用性の いシステムとなる。

 (B)発明の概要
 以下に、本願において特許請求が可能と認 されている発明(以下、「請求可能発明」と いう場合がある)の態様をいくつか例示し、 れらについて説明する。各態様は請求項と 様に、項に区分し、各項に番号を付し、必 に応じて他の項の番号を引用する形式で記 する。これは、あくまでも請求可能発明の 解を容易にするためであり、それらの発明 構成する構成要素の組み合わせを、以下の 項に記載されたものに限定する趣旨ではな 。つまり、請求可能発明は、各項に付随す 記載,実施例の記載等を参酌して解釈される きであり、その解釈に従う限りにおいて、 項の態様にさらに他の構成要素を付加した 様も、また、各項の態様から何某かの構成 素を削除した態様も、請求可能発明の一態 となり得るのである。

 なお、下記(1)項が、請求項1に相当し、(2) 項ないし(6)項が請求項2ないし請求項6に、(8) が請求項7に、(9)項が請求項8に、(11)項が請 項9に、(13)項が請求項10に、(18)項が請求項11 に、(19)項が請求項12に、(20)項が請求項13に、 (21)項が請求項14に、(22)項が請求項15に、(23) ないし(26)項を合わせたものが請求項16に、(2 7)項が請求項17に、(28)項が請求項18に、(30)項 請求項19に、(31)項と(32)項とを合わせたもの が請求項20に、(35)項が請求項12に、(36)項が請 求項22に、それぞれ相当する。

 (1)(a)ばね上部とばね下部とを弾性的に連結 るサスペンションスプリングと(b)ばね上部 ばね下部との相対動作に対しての減衰力を 生させるダンパとを有するサスペンション 置を前輪側および後輪側の左右の車輪の各 に対して備えた車両に設けられ、当該車両 車体のロールを抑制するための車体ロール 制システムであって、
 それぞれが、左右の車輪の一方に対応する ね上部とばね下部とを接近させつつ左右の 輪の他方に対応するばね上部とばね下部と 離間させる力となるロール抑制力を発生さ るとともに、アクチュエータを有して、そ アクチュエータの作動によってそのロール 制力を変更可能に構成された前輪側および 輪側ロール抑制装置と、
 それら前輪側および後輪側のロール抑制装 の各々が発生させるべきロール抑制力であ 目標装置個別ロール抑制力を決定し、その 定された目標装置個別ロール抑制力に基づ て前記前輪側および後輪側のロール抑制装 の各々が有する前記アクチュエータの作動 制御することで、その各々を制御する制御 置と
 を備え、
 前記制御装置が、
 当該車両が走行する路面の起伏に起因して じる車体のロールを抑制するために、前記 輪側および後輪側のロール抑制装置の両方 よって発生させるべきロール抑制力である 標路面起伏起因ロール抑制力を決定する路 起伏起因ロール抑制力決定部を有する車体 ール抑制システム。

 本項に記載の態様は、簡単に言えば、車 ロール抑制システムを、車両が走行する路 の起伏に起因して生じる車体のロール(以下 、「路面起伏起因ロール」という場合ある) 抑制するための力として上記前輪側および 輪側のロール抑制装置が発生する力を作用 せる制御、つまり、「路面起伏起因ロール 制制御」を実行可能に構成した態様である これまでに検討されている車体ロール抑制 ステムは、専ら、車両の旋回に起因して生 る車体のロール(以下、「車両旋回起因ロー 」という場合がある)を抑制するための制御 、つまり、「車両旋回起因ロール抑制制御」 が実行されるシステムであり、本項の態様は 、路面起伏起因ロール抑制制御を実行できる という点でユニークである。本項の態様によ れば、路面起伏起因ロールを効果的に抑制で きることから、車両の乗り心地を向上させる ことが可能となる。なお、本明細書において 、「車体のロール」とは、特に断りのない限 り、左右のばね下部を基準とした車体のロー ル、つまり、相対ロールではなく、車体の水 平状態を基準とする車体のロール、つまり、 絶対ロールを意味するものしてと扱うことと する。

 本項の態様における「ロール抑制装置」 、特にその構造が限定されるものではなく 例えば、いわゆるアクティブスタビライザ 置と呼ばれるような装置を採用できる。ス ビライザ装置は、例えば、自身が備えるス ビライザバーによって、専ら、右側のばね 部とばね下部との間と左側のばね上部とば 下部との間に、同じ大きさであって互いに 方向となるの力を作用させる装置であり、 クティブスタビライザ装置は、その力をア チュエータによって積極的に変更すること できる装置である。このアクティブスタビ イザ装置の構造については、後に詳しく説 する。なお、本項の態様におけるロール抑 装置は、左右のそれぞれに独立して制御可 なアクチュエータを備え、それらのアクチ エータを連係させるように制御することで ロール抑制力を発生させるような型式の装 であってもよい。

 また、ロール抑制装置が備える「アクチ エータ」は、電動モータを主体として構成 れるようなものであってもよく、油圧等の 体圧によって作動するようなアクチュエー であってもよい。また、「制御装置」は、 えば、コンピュータを主体として構成され ものを採用可能である。アクチュエータは それの種類に応じた駆動装置によって当該 御装置の制御下において駆動されるものが 般的であり、制御装置は、その駆動装置を 身の構成要素として含んで構成されるもの あってもよく、また、外部に設けられた駆 装置を駆動するような構成のものであって よい。

 また、制御装置は、前輪側および後輪側 ロール抑制装置に対して目標ロール抑制力 個別に決定し、それらロール抑制装置を個 に制御可能とされている。制御装置は、路 起伏起因ロール抑制制御を実行する主たる 能部として、上記「路面起伏起因ロール抑 力決定部」を有しており、また、それによ て決定された上記「目標路面起伏起因ロー 抑制力」に基づいて、前輪側および後輪側 ロール抑制装置の各々の上記「目標装置個 ロール抑制力」を決定する機能をも有して る。目標路面起伏起因ロール抑制力は、路 起伏起因ロール抑制制御において前輪側お び後輪側のロール抑制装置の各々が発生さ るべき個別のロール抑制力として決定され ものであってもよく、それらの装置によっ 発生させるべきロール抑制力の合計として 定されるものであってもよい。

 (2)前記制御装置が、
 路面起伏起因ロール抑制力決定部によって 定された前記目標路面起因ロール抑制力を 設定配分比に基づいて、前記前輪側および 輪側のロール抑制装置の各々の目標装置個 ロール抑制力に配分するロール抑制力配分 を有する(1)項に記載の車体ロール抑制シス ム。

 本項に記載の態様は、目標路面起伏起因 ール抑制力決定部が、前輪側および後輪側 ロール抑制装置の各々が発生させるべきロ ル抑制力の合計を決定するように構成され いる場合において、特に有効的な態様であ 。例えば、一般に、旋回において車両がア ダーステア傾向となるように前輪側および 輪側のロール剛性配分が設定される。本項 おける「設定配分比」は、例えば、そのよ に設定されたロール剛性配分に従った配分 とすることができる。設定配分比は、その が変更不能に設定されていもよく、その値 何らかの情況,条件に応じて変更されるよう に設定されもるようなものであってもよい。 ちなみに、車体は剛体とみなせるため、設定 配分比を変更しても、車体のロールの抑制効 果には、大きくは影響しない。

 (3)前記ロール抑制力配分部が、前記前輪 および後輪側のロール抑制装置の各々の負 に基づいて、前記設定配分比を変更するよ に構成された(2)項に記載の車体ロール抑制 ステム。

 本項の態様によれば、例えば、各ロール 制装置に過度の負担をかけることが抑制若 くは防止できる。具体的に言えば、ロール 制力配分部を、例えば、2つのロール抑制装 置の一方の負荷が大きくなる場合に、その一 方が担うべきロール抑制力の一部を他方に担 わせるように設定分配比を変更するようにす ればよい。さらに言えば、例えば、各ロール 抑制装置の負担を指標する負担指標を設定し ておき、一方のロール抑制装置の負担指標の 値が設定閾値を超えることが予測される場合 に、その一方が発生させるべきロール抑制力 が小さくなりかつ他方が発生させるべきロー ル抑制力が大きくなるように、設定配分比を 変更するような構成とすることも可能である 。また、例えば、2つのロール抑制装置の負 指標が等しくなるように、設定配分比を変 するような構成とすることも可能である。 お、ロール抑制装置の負担指標としては、 えば、ロール抑制装置が発生させるべきロ ル抑制力そのものを採用することもできる また、ロール抑制装置のアクチュエータが 動モータを駆動源として有するものである 合には、その電動モータに供給する電力,電 等を採用することも可能である。

 (4)前記制御装置が、
 当該車両の旋回に起因して生じる車体のロ ルを抑制するために、前記前輪側および後 側のロール抑制装置の両方によって発生さ るべきロール抑制力である目標車両旋回起 ロール抑制力を決定する車両旋回起因ロー 抑制力決定部を有する(1)項ないし(3)項のい れか1つに記載の車体ロール抑制システム。

 本項の態様は、従来の車体ロール抑制シ テムが有している機能、つまり、車両旋回 因ロールを抑制するための機能を実現可能 態様である。本項の態様によれば、車両旋 起因ロール抑制制御と路面起伏起因ロール 制制御との両者が実行可能であり、車両旋 起因ロールと路面起伏起因ロールとの両方 抑制される。したがって、本項の態様のシ テムを搭載した車両は、それの乗り心地が 好なものとなる。ちなみに、上記2つの制御 は選択的に実行されるものであってもよいが 、乗り心地を良好なものとするという観点か らすれば、それらの制御は同時に実行される ことが望ましい。つまり、車両旋回起因ロー ル抑制力決定部と路面起伏起因ロール抑制力 決定部とは、同時期において機能するもので あることが望ましいのである。なお、2つの 御を同時に実行する場合、車両旋回起因ロ ル抑制力決定部によって決定された目標車 旋回起因ロール抑制力と路面起伏起因ロー 抑制力決定部によって決定された目標路面 伏起因ロール抑制力とを合計したものに基 いて、前輪側および後輪側のロール抑制装 の各々の目標装置個別ロール抑制力を決定 ればよい。なお、目標路面起伏起因ロール 制力と同様、車両旋回起因ロール抑制力決 部によって決定される目標車両旋回起因ロ ル抑制力は、車両旋回起因ロール抑制制御 おいて前輪側および後輪側のロール抑制装 の各々が発生させるべき個別のロール抑制 として決定されるものであってもよく、そ らの装置によって発生させるべきロール抑 力の合計として決定されるものであっても い。

 (5)前記制御装置が、
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部によ て決定された前記目標路面起伏起因ロール 制力を、設定配分比に基づいて、前記前輪 および後輪側のロール抑制装置の各々の目 装置個別ロール抑制力に配分するロール抑 力配分部を有し、
 そのロール抑制力配分部が、
 前記路面起伏起因ロール抑制力決定部によ て決定された前記目標路面起伏起因ロール 制力と、前記車両旋回起因ロール抑制力決 部によって決定された前記目標車両旋回起 ロール抑制力とを合わせた力を、前記設定 分比に基づいて、前記前輪側および後輪側 ロール抑制装装置の各々の目標装置個別ロ ル抑制力に配分するように構成された(4)
項に記載の車体ロール抑制システム。

 本項の態様は、車両旋回起因ロール抑制 御と路面起伏起因ロール抑制制御とを同時 実行可能とされた態様において好適な態様 ある。

 (6)前記車両旋回起因ロール抑制力決定部が
 当該車両の旋回に起因して車体に作用する ールモーメントを指標する車両旋回起因ロ ルモーメント指標の値に基づいて、前記目 車両旋回依拠ロール抑制力を決定するよう 構成された(4)項または(5)項に記載の車体ロ ル抑制システム。

 本項の態様は、車両旋回起因ロール抑制 御の具体的手法に関する限定を加えた態様 ある。上記「車両旋回起因ロールモーメン 指標」の値に基づいて目標車両旋回依拠ロ ル抑制力を決定すれば、車両旋回起因ロー を効果的に抑制できる。

 (7)前記車両旋回起因ロール抑制力決定部が
 前記車両旋回起因ロールモーメント指標の として、車体に生じる横加速度,当該車両の ヨーレート,当該車両の走行速度,車両の操舵 から選ばれる1以上のものの値に基づいて、 前記目標車両旋回依拠ロール抑制力を決定す るように構成された(6)項に記載の車体ロール 抑制システム。

 本項の態様は、上記車両旋回起因ロール ーメント指標を、具体的に限定して採用す 態様である。本項に列挙した車両旋回起因 ールモーメント指標は、いずれも、比較的 便に検出でき、また、比較的正確に車両の 回に起因するロールモーメントを推定可能 ある。

 (8)前記路面起伏起因ロール抑制力決定部 、当該車両が走行する路面の起伏に起因し 生じる車体のロールを抑制するために設定 れた仮想的なロール挙動モデルに従って、 記目標路面起伏起因ロール抑制力を決定す ように構成された(1)項ないし(7)項のいずれ 1つに記載の車体ロール抑制システム。

 上記「ロール挙動モデル」は、言い換え ば、車体のロール動作を推定するためのモ ルであり、振動モデルの一種である「ロー 運動モデル」,「ロール振動モデル」等とも 呼ぶことのできるものである。上記ロール挙 動モデルとして、種々のモデルを設定可能で あり、制御の目的,車両の走行状態,車両が走 する路面の状態等に応じて好適なモデルを 用することができる。

 具体的に言えば、ロール挙動モデルの基 的モデルとして、車体を剛体とみなし、前 側および後輪側の各々に相対ストローク対 スプリングおよび相対ストローク対応ダン を備えた前後2輪モデルを採用することがで きる。この相対ストローク対応スプリングは 、前輪側若しくは後輪側2つのサスペンショ スプリングによって、左輪側のばね上部と ね下部との距離と右輪側のばね上部とばね 部の距離との差(以下、「相対ストローク量 という場合がある)に応じた弾性反力を発生 させる仮想的なサスペンションスプリングで あり、相対ストローク対応ダンパは、前輪側 若しくは後輪側の2つのダンパによって、左 側のばね上部とばね下部との距離と右輪側 ばね上部とばね下部の距離との差の変化速 (以下、「相対ストローク速度」という場合 ある)に応じた減衰力を発生させる仮想的な ダンパである。ちなみに、上記相対ストロー ク対応スプリングは、相対ストローク量に対 しての特定のばね定数(以下、「ロールばね 数」という場合がある)を有し、上記相対ス ローク対応ダンパは、相対ストローク速度 対しての特定の減衰係数(以下、「ロール減 衰係数」という場合がある)を有している。

 そして、路面起伏起因ロール抑制制御に いては、例えば、上記基本的モデル基づき 2つのモデルを設定し、それらモデルの対照 することによって、目標路面起伏起因ロール 抑制力を決定すればよい。2つのモデルのう の1つは、実際の装置構成に従ったモデル(以 下、「実装置モデル」という場合がある)で り、上記基本的モデルに、前輪側およ後輪 のロール抑制装置を追加したモデルである もう1つは、理想的な制御状態に従うモデル( 以下、「理想制御状態モデル」という場合が ある)であり、上記基本的モデルに、例えば 車体のロールを抑制するための車体のロー 量に応じた弾性反力を発生させる仮想的な プリング(以下、「ロール抑制スプリング」 いう場合がある)と、車体のロール速度に応 じた減衰力を発生させる仮想的なダンパ(以 、「ロール抑制ダンパ」という場合がある) の少なくとも一方を追加したようなモデル ある。

 上記実装置モデルでは、相対ストローク 応スプリングおよび相対ストローク対応ダ パは、それぞれ、実際に車両に装備された スペンションスプリングのばね定数におよ ダンパの減衰係数に基づくロールばね定数 よびロール減衰係数を有する。それに対し 、上記理想制御状態モデルでは、相対スト ーク対応スプリングおよび相対ストローク 応ダンパのロールばね定数およびロール減 係数は、目標とする制御状態に応じて、実 置モデルにおけるそれらとは異なる値に設 してもよく、また、ロール抑制スプリング ばね定数(以下、「ロールばね定数」という 場合がある)およびロール抑制ダンパの減衰 数(以下、「ロール減衰係数」という場合が る)は、目標とする制御状態に応じて、任意 の値に設定すればよい。

 起伏のある路面を車両が走行し、その起 によってばね下部が相対変位した場合であ ても、上記理想制御状態モデルに従えば、 体のロールが抑制された状態が実現される したがって、上記実装置モデルにおいて、 輪側および後輪側のロール抑制装置の両方 よってどのような大きさのロール抑制力を 生させれば理想制御状態モデルに従った状 を実現させることができるかが、容易に推 できる。つまり、理想制御状態モデルに従 た車体のロール状態を実現するために、そ ら理想制御状態モデルと実装置モデルとを 照し、実装置モデルにおいて前輪側および 輪側のロール抑制装置の両方によって発生 せるべきロール抑制力を決定するのである このような手法によって、目標路面起伏起 ロール抑制力を決定することにより、適切 路面起伏起因ロール抑制制御が実行可能と る。

 (9)前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が
 前記ロール挙動モデルとして、車体のロー を抑制するためのスカイフックスプリング スカイフックダンパとの少なくとも一方が 備されたスカイフックモデルを採用し、そ スカイフックモデルに従って、前記スカイ ックスプリングと前記スカイフックダンパ の少なくとも一方が車体のロールを抑制す 力の推定を行い、その推定された力に基づ て、前記目標路面起伏起因ロール抑制力を 定するように構成されたスカイフック型ロ ル抑制力決定部と、
 前記ロール挙動モデルとして、前記サスペ ション装置が有するサスペンションスプリ グおよびダンパによって発生させられる力 あって、前輪側および後輪側の左右のばね 部の相対変位動作に依存して生じて車体の ールを生じさせる力であるロール強制力を 低減させるための強制力低減モデルを採用 、その強制力低減モデルに従って、前記サ ペンションスプリングおよびダンパが実際 発生させるロール強制力と低減させたロー 強制力との差である低減力の推定を行い、 の推定に基づいて、前記目標路面起伏起因 ール抑制力を決定するように構成された強 力低減型ロール抑制力決定部と
 の少なくとも一方を有する(8)項に記載の車 ロール抑制システム。

 本項の態様は、目標路面起伏起因ロール 制力の決定のために採用する理想制御状態 デルに関する限定を加えた態様である。上 2種のロール抑制力決定部は、互いに異なる 理想制御状態モデルに依拠して、目標路面起 伏起因ロール抑制力を決定する。

 上記「スカイフック型ロール抑制力決定 」は、特定の理想制御状態モデルに従って 目標路面起伏起因ロール抑制力を決定する その理想制御状態モデル、つまり、上記「 カイフックモデル」では、前述のロール抑 スプリングとロール抑制ダンパとの少なく も一方として、上記「スカイフックスプリ グ」と「スカイフックダンパ」との少なく も一方を備えている。それらスカイフック プリングおよびスカイフックダンパは、車 のロールをスカイフック理論に基づいて抑 する機能を有する。したがって、例えば、 体のロールを抑制するためにスカイフック プリングとスカイフックダンパとの少なく も一方が発生させる力を、目標路面起伏起 ロール抑制力として決定すれば、効果的な 面起伏起因ロール抑制制御が実行可能なの ある。なお、スカイフックスプリングのロ ルばね定数、スカイフックダンパのロール 衰係数は、目標とする制御状態に応じて、 切な値に設定すればよい。また、その値は 固定的なものであってもよく、車両の走行 態,車両が走行する路面の状態等に応じて変 更されるものであってもよい。なお、本項に いう「左右のばね下部の相対変位動作」とは 、相対変位量,相対変位速度,相対変位加速度 を含む概念である。

 路面の起伏によって左右のばね下部が相 変位させられた場合には、前述の相対スト ーク対応スプリングが発生させる弾性反力 、前述の相対ストローク対応ダンパが発生 せる減衰力とが、ばね上部すなわち車体に 用し、それら弾性反力と減衰力との作用に って車体がロールさせられることになる。 のことから、サスペンション装置が有する スペンションスプリングおよびダンパは、 体のロールを生じさせる上記「ロール強制 」を発生させることになる。上記「強制力 減型ロール抑制力決定部」は、特定の理想 御状態モデルに従って、目標路面起伏起因 ール抑制力を決定する。その理想制御状態 デル、つまり、上記「強制力低減モデル」 は、前輪側と後輪側との少なくとも一方に いて、前述の相対ストローク対応スプリン と相対ストローク対応ダンパとの少なくと 一方による弾性反力と減衰力との少なくと 一方が、実装置モデルにおけるそれらの少 くとも一方より小さくなるようにされてい 。この強制力低減モデルに従えば、上記ロ ル強制力が低減させられることで、車体の ールが抑制されることなる。したがって、 えば、低減させられた分のロール強制力、 まり、上記「低減力」に相当する大きさの ール抑制力を、目標路面起伏起因ロール抑 力として決定すれば、効果的な路面起伏起 ロール抑制制御が実行可能なのである。な 、低減力の大きさ、詳しく言えば、低減さ ていないロール強制力に対する低減力の割 である「低減率」は、目標とする制御状態 応じて、適切な値に設定すればよい。また その値は、固定的なものであってもよく、 両の走行状態,車両が走行する路面の状態等 に応じて変更されるものであってもよい。

 (10)前記路面起伏起因ロール抑制力決定部 が、少なくとも前記スカイフック型ロール抑 制力決定部を有する(9)項に記載の車体ロール 抑制システム。

 本項は、スカイフック型ロール抑制力決 部を有する以下の態様、つまり、「スカイ ック型ロール抑制制御」を実行可能な以下 態様の前提として位置付けられる項である

 (11)前記スカイフック型ロール抑制力決定部 が、
 前記スカイフックモデルに従って車体のロ ル動作の推定を行い、その推定に基づいて 前記スカイフックスプリングとスカイフッ ダンパとの少なくとも一方が発生させるロ ル抑制力を推定するように構成された(10)項 に記載の車体ロール抑制システム。

 本項の態様は、スカイフック型ロール抑 制御における目標路面起伏起因ロール抑制 の決定手法に対して、具体的な限定を加え 態様である。なお、本項にいう「車体のロ ル動作」は、車体のロール量,車体のロール 速度,車体のロール加速度等を含む概念であ 。なお、車体のロール量は、左側のばね上 と右側のばね上部の相対変位量と考えるこ ができ、ロール速度,ロール加速度は、その 対変位の速度,加速度と考えることができる 。

 (12)前記スカイフック型ロール抑制力決定部 が、
 前輪側の左右のばね上部とばね下部との距 の相対変動である前輪側の相対ストローク 作と後輪側の左右のばね上部とばね下部と 距離の相対変動である後輪側の相対ストロ ク動作との少なくとも一方に基づいて、前 車体のロール動作の推定を行うように構成 れた(11)項に記載の車体ロール抑制システム 。

 本項にいう「相対ストローク動作」は、 輪側のばね上部とばね下部のとの距離と、 輪側のばね上部とばね下部との距離との差 変化を生じさせるような動作を意味し、相 ストローク量,相対ストローク速度,相対ス ローク加速度等を含む概念である。スカイ ックモデルに従えば、前輪側と後輪側との なくとも一方の相対ストローク動作から車 のロール動作を容易に推定することが可能 ある。

 (13)前記スカイフック型ロール抑制力決定部 が、
 測定された前記前輪側の左右のばね上部と ね下部との距離に基づく前記前輪側の相対 トローク動作と、その測定された前輪側の 右のばね上部とばね下部との距離,当該車両 の走行速度および当該車両のホイールベース に基づいて推定された前記後輪側の相対スト ローク動作とに基づいて、前記車体のロール 動作の推定を行うように構成された(12)項に 載の車体ロール抑制システム。

 本項に記載の態様によれば、前輪側の左 側および右輪側の各々のばね上部とばね下 との距離(以下、「ストローク量」という場 合がある)と、車両の走行速度(以下、「車速 という場合がある)とを測定することにより 、車体のロール動作が推定可能である。それ ら、ストローク量,車速は、いずれも、容易 測定可能であり、本項の態様によれば、簡 にロール動作を推定でき、ひいては、簡便 目標路面起伏起因ロール抑制力を決定する とができる。

 (14)前記制御装置が、
 当該車両の旋回に起因して生じる車体のロ ルを抑制するために、前記前輪側および後 側のロール抑制装置の両方によって発生さ るべきロール抑制力である目標車両旋回依 ロール抑制力を決定する車両旋回起因ロー 抑制力決定部を有し、
 前記スカイフック型ロール抑制力決定部が
 前記車両旋回起因ロール抑制力決定部によ て決定された目標車両旋回依拠ロール抑制 によって生じる前記前輪側の相対ストロー 動作と前記後輪側の相対ストローク動作と 少なくとも一方を推定し、その推定された 記前輪側の相対ストローク動作と前記後輪 の相対ストローク動作との少なくとも一方 除外した前記前輪側の相対ストローク動作 前記後輪側の相対ストローク動作との少な とも一方に基づいて、前記車体のロール動 の推定を行うように構成された(12)項または (13)項に記載の車体ロール抑制システム。

 車両旋回起因ロール抑制制御と路面起伏 因ロール抑制制御を同時に実行するような 合には、それぞれの制御におけるロール抑 力をロール抑制装置が発生させている。し がって、車両旋回起因ロール抑制制御での ール抑制力の影響により、単に、ストロー 量等の測定データに基づく推定では、路面 起伏に起因する相対ストローク動作を正確 推定できない可能性がある。本項の態様に れば、車両旋回依拠ロール抑制制御におけ ロール抑制力の影響を排除するようにして 標車両旋回起因ロール抑制力が決定される とになり、上記2つの制御が同時に実行され る場合でも、適切な路面起伏起因ロール抑制 制御が実行可能である。

 (15)前記路面起伏起因ロール抑制力決定部 が、少なくとも前記強制力低減型ロール抑制 力決定部を有する(9)項ないし(14)項のいずれ 1つに記載の車体ロール抑制システム。

 本項は、強制力低減型ロール抑制力決定 を有する以下の態様、つまり、「強制力低 型ロール抑制制御」を実行可能な以下の態 の前提として位置付けられる項である。

 (16)前記強制力低減モデルが、車体のロー ルを抑制するため力を車体のロール量に応じ て車体に作用させるロール抑制スプリングと 車体のロール速度に応じて車体に作用させる ロール抑制ダンパとの少なくとも一方が配備 されたものである(15)項に記載の車体ロール 制システム。

 本項の態様は、前述のロール抑制スプリ グとロール抑制ダンパとの少なくとも一方 有する強制力低減モデルを採用して強制力 減型ロール抑制制御を実行する態様である ロール強制力を低減させた場合には、車体 ロール量を小さくすることができるが、単 ロール強制力を低減させただけのモデルに う車体のロール挙動は、発生した車体のロ ルの減衰が考慮されていないことになる。 項の態様において採用する強制力低減モデ では、上記ロール抑制スプリングとロール 制ダンパとの少なくとも一方に、発生した 体のロールの速やかなる減衰といった機能 持たせることが可能である。つまり、ロー 抑制スプリングとロール抑制ダンパとの少 くとも一方のロールばね定数若しくはロー 減衰係数を適切化することにより、より効 的に、路面起伏起因ロールが抑制されるの ある。

 (17)前記ロール強制力が、前記前輪側のサス ペンション装置が有する2つのサスペンショ スプリングである前輪側スプリングによっ 発生させられる前輪側スプリング強制力と 前記前輪側のサスペンション装置が有する2 のダンパである前輪側ダンパによって発生 せられる前輪側ダンパ強制力と、前記後輪 のサスペンション装置が有する2つのサスペ ンションスプリングである後輪側スプリング によって発生させられる後輪側スプリング強 制力と、前記後輪側のサスペンション装置が 有する2つのダンパである後輪側ダンパによ て発生させられる後輪側ダンパ強制力とを 分として含み、
 前記強制力低減モデルが、それら前輪側ス リング強制力,前輪側ダンパ強制力,後輪側 プリング強制力,後輪側ダンパ強制力のうち 1以上のものを低減させるように設定された ものである(15)項または(16)項に記載の車体ロ ル抑制システム。

 先に説明した前後2輪モデルである強制力 低減モデルに従えば、ロール強制力は、前述 の相対ストローク対応スプリングおよび相対 ストローク対応ダンパごとの成分として、「 前輪側スプリング強制力」,「前輪側ダンパ 制力」,「後輪側スプリング強制力」,「後輪 側ダンパ強制力」の4つの成分力に分けるこ ができる。本項の態様は、それらの成分力 少なくとも1つのものを低減させるような態 である。いずれのものをどれくらい低減さ るかは、目標とする制御状態,車両の走行状 態,路面の起伏状態等に応じて適切に設定す ばよい。

 (18)前記強制力低減モデルが、前記前輪側 スプリング強制力,前輪側ダンパ強制力,後輪 スプリング強制力,後輪側ダンパ強制力のう ちの1以上のものを、その1以上のものの各々 対して設定された低減率に基づいて低減さ るように設定されたものである(17)項に記載 の車体ロール抑制システム。

 本項の態様は、上述したロール強制力の 分の少なくとも1つを「設定低減率」に基づ いて低減させる強制力低減モデルを採用する 態様である。この設定低減率は、各成分ごと に設定することができる。設定低減率、つま り、低減されていない各成分力に対する各成 分の低減力の割合は、それの値が、固定的な ものであってもよく、車両の走行状態,車両 走行する路面の状態等に応じて変更される のであってもよい。なお、低減率は、成分 を低減させてない場合を“0”と、すべて低 させる場合つまり成分力を発生させない場 を、“1”とする尺度で設定することができ る。この尺度において、いずれかの成分の低 減率をマイナスの値に設定して、反対方向に 成分力を作用させるようにすることもでき、 また、1を超える値に設定して、成分力を増 させることも可能である。本項の態様は、 のような場合をも含み得る。

 (19)前記強制力低減モデルが、
 前記前輪側スプリング強制力,前記後輪側ス プリング強制力が、それぞれ、前記前輪側ス プリングの各々のばね定数によって定まる前 輪側ロールばね定数,前記後輪側スプリング 各々のばね定数によって定まる前輪側ロー ばね定数に依拠した大きさの力となり、前 前輪側ダンパ強制力,前記後輪側ダンパ強制 が、それぞれ、前記前輪側ダンパの各々の 衰係数によって定まる前輪側ロール減衰係 ,前記後輪側ダンパの各々の減衰係数によっ て定まる後輪側ロール減衰係数に依拠した大 きさの力となるように設定され、かつ、
 それら前輪側ロールばね定数,後輪側ロール ばね定数,前輪側ロール減衰係数,後輪側ロー 減衰係数のうちの1以上のものを、その1以 の各々に対応する前記前輪側スプリング強 力,前輪側ダンパ強制力,後輪側スプリング強 制力,後輪側ダンパ強制力のうちの1以上のも に対して設定された前記低減率に基づいて 減させるように設定されたものである(18)項 に記載の車体ロール抑制システム。

 本項の態様は、上記成分力を低減させる 合に、その成分力が先に説明した相対スト ーク対応スプリングによるものであれば、 れのロールばね定数を、相対ストローク対 ダンパであれば、それのロール減衰係数を 上記設定低減率に従って低減させる態様で る。

 (20)前記強制力低減モデルが、
 車体のロールを抑制するための力を車体の ール量に応じて車体に作用させるロール抑 スプリングと車体のロール速度に応じて車 に作用させるロール抑制ダンパとの少なく も一方が配備されたものであり、かつ、
 前記前輪側ロールばね定数と前記後輪側ロ ルばね定数との少なくとも一方を低減させ 場合には、それらの低減させる分に相当す ロールばね定数を有する前記ロール抑制ス リングが少なくとも配備され、前記前輪側 ール減衰定数と前記後輪側ロール減衰定数 の少なくとも一方を低減させる場合には、 れらの低減させる分に相当するロール減衰 数を有する前記ロール抑制ダンパが少なく も配備されたものである(19)項に記載の車体 ロール抑制システム。

 本項の態様は、簡単に言えば、上記ロー 抑制スプリングとロール抑制ダンパとの少 くとも一方によって、上述の低減力に応じ 力を、車体のロールを抑制するための力と て発生させるように設定された強制力低減 デルを、採用する態様である。この強制力 減モデルは、ロール強制力の低減によって じた車体のロールの減衰能力の低下を、ロ ル抑制スプリングとロール抑制ダンパとの なくとも一方の力によって、低減力に応じ 補完するように設定されたモデルであると える。本項の態様によれば、ロール抑制ス リングのロールばね定数,ロール抑制ダンパ の減衰係数が適切化され、効果的な路面起伏 起因ロール抑制制御が実行可能となる。

 (21)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 前記前輪側スプリング強制力,前輪側ダンパ 強制力,後輪側スプリング強制力,後輪側ダン 強制力のうちの1以上のものの各々に対して 設定された前記低減率のうちの1以上のもの 、当該車両の走行速度に基づいて変更する うに構成された(18)項ないし(20)項のいずれか 1つに記載の車体ロール抑制システム。

 本項の態様は、車両の走行状態に基づい 強制力低減型ロール抑制制御の特性を変更 る態様の一態様である。したがって、本項 態様によれば、車速に応じたきめ細かな強 力低減型ロール抑制制御が可能となる。

 (22)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 当該車両の走行速度が設定閾速度以下であ 場合に、前記前輪側スプリング強制力およ 前記前輪側ダンパ強制力に対して設定され 前記低減率を0とし、前記後輪側スプリング 強制力および前記後輪側ダンパ強制力に対し て設定された前記低減率を1とするように構 された(21)項に記載の車体ロール抑制システ 。

 路面の起伏によって左右のばね下部の相 変位(以下、単に、「ばね下部の相対変位」 という場合がある)が生じてから、サスペン ョンスプリングおよびダンパによってロー 強制力が車体に作用させられるまでには、 る程度の時間的な遅れ(以下、「ロール強制 作用遅れ」という場合がある)が存在する。 そのため、強制力低減モデルに従って決定さ れる目標路面起伏起因ロール抑制力は、その 遅れの影響を受けることになる。この遅れは 、ロール強制力を低減させるほど大きくなる 。一方で、同じ路面の起伏を前輪と後輪とが 時間をおいて通過することから、後輪側のば ね下部の相対変位は、前輪側のばね下部の相 対変位に対して、車速に応じた遅れ(以下、 後輪側ばね下部変位遅れ」という場合があ )が生じる。これらのことに鑑みれば、前輪 においてロール強制力を低減させずに、そ 分後輪側においてロール抑制力を大きく低 させるような強制力低減モデルを採用する とが、目標路面起伏起因ロール抑制力の決 において、ロール強制力作用遅れの影響を さくできることになる。簡単にいえば、強 力低減ロール抑制制御を後輪側に特化する とで、目標路面起伏起因ロール抑制力の決 精度が向上するのである。また、例えば、 に説明したロール抑制スプリングとロール 制力ダンパとの少なくとも一方を採用する 制力低減モデルの場合には、前輪側の左右 ばね下部の相対変位が開始した後、比較的 い時点で、ロール抑制スプリングとロール 制力ダンパとの少なくとも一方による力を 体に作用させ得、後輪側の左右のばね下部 相対変位が開始するよりも比較的早い時点 、それらの少なくとも一方の力を車体に作 させ得るのである。この目標路面起伏起因 ール抑制力の決定精度を向上させる効果は 車速が低い場合に、高いものとなる。本項 態様は、そのことに考慮した態様であり、 項の態様によれば、低速走行時における制 の応答性の低下が抑制され、低速時におい も、路面起伏起因ロールの抑制効果が充分 担保されることになる。

 (23)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 当該車両の走行速度が設定閾速度以上であ 場合において、当該車両の走行速度が高い きに、低いときに比較して、前記前輪側ス リング強制力に対して設定された前記低減 を大きくするように構成された(21)項または (22)項に記載の車体ロール抑制システム。

 (24)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 当該車両の走行速度が設定閾速度以上であ 場合において、当該車両の走行速度が高い きに、低いときに比較して、前記前輪側ダ パ強制力に対して設定された前記低減率を さくするように構成された(21)項ないし(23) のいずれか1つに記載の車体ロール抑制シス ム。

 (25)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 当該車両の走行速度が設定閾速度以上であ 場合において、当該車両の走行速度が高い きに、低いときに比較して、前記後輪側ス リング強制力に対して設定された前記低減 を小さくするように構成された(21)項ないし (24)項のいずれか1つに記載の車体ロール抑制 ステム。

 (26)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 当該車両の走行速度が設定閾速度以上であ 場合において、当該車両の走行速度が高い きに、低いときに比較して、前記後輪側ダ パ強制力に対して設定された前記低減率を きくするように構成された(21)項ないし(25) のいずれか1つに記載の車体ロール抑制シス ム。

 車体に作用するロール強制力は、前輪側 ロール強制力と後輪側のロール強制力の和 考えることができ、それらロール抑制力の 々は、スプリング強制力とダンパ強制力の 成された力と考えることができる。左右の ね下部の相対変位を振動と考えれば、その 対変位に対して、スプリング強制力は同じ 相にあるが、ダンパ強制力は位相において9 0゜先行することなる。その一方で、後輪側 ばね下部の相対変位は、前輪側のばね下部 相対変位に対して、車速をホイールベース( 輪と後輪との水平距離)で除した時間だけ遅 れる。つまり、先に説明した後輪側ばね下部 変位遅れが発生するのである。これらのこと に鑑みれば、4つのロール強制力の成分、つ り、前輪側スプリング強制力,前輪側ダンパ 制力,後輪側スプリング強制力,後輪側ダン 強制力の低減のさせ方次第で、車体に作用 るロール強制力を可及的に小さくすること 可能となる。強制力低減型ロール抑制制御 、ロール強制力を小さくすることを目的と る制御であり、上記4つの項の態様は、上述 ことを考慮して、4つのロール強制力の成分 の低減率の適切化を図ることを目的とする態 様である。

 車体のロールの抑制を図る場合、車両の り心地の観点から、何某かの周波数を有す ばね下部の相対変位、例えば、ロール共振 波数を有するばね下部の相対変位を対象の 心として考えることが望ましい。その周波 は、具体的には、1.5~3Hzの間の値とするのが 望ましい。ホイールベースによって異なるが 、上記周波数のばね下部の相対変位を想定し て説明すれば、車速が30km/hである場合には、 位相にして、概ね270゜の後輪側ばね下部変位 遅れが発生し、90km/hである場合には、概ね90 の後輪側ばね下部変位遅れが発生すると想 することができる。このような想定に基づ 強制力低減型ロール抑制制御に関して望ま い態様が、上記の4つの態様であり、それら の態様によれば、車体に作用するロール強制 力を好適に低減させて、車体のロールを効果 的に抑制することが可能となる。

 なお、上記4つの態様において、低減率を 変更する場合に、車速に応じて、その値が連 続して漸変するように変更してもよく、また 、その値がステップ的に変化するように変更 してもよい。また、上記4つの項にいう「設 閾速度」は、それらが、同じ速度であるこ を要しない。それらの設定閾速度は、互い 独立して、互いに異なる速度に設定するこ が可能である。ちなみに、それら4つの設定 速度は、先に説明した設定閾速度、つまり 前輪側のロール強制力を発生させないよう 強制力低減モデルを採用した態様における 定閾速度と同じであることも要しない。互 に独立して、互いに異なる速度に設定する とが可能である。

 (27)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 前記強制力低減モデルに従って前記前輪側 左右のばね下部の相対変位動作と前記後輪 の左右のばね下部の相対変位動作との少な とも一方の推定を行い、その推定に基づい 、前記低減力を推定するように構成された( 15)項ないし(26)項のいずれか1つに記載の車体 ール抑制システム。

 強制力低減制御は、ばね下部の相対変位 よるロール強制力の低減を目的とする制御 あるため、本項の態様によれば、低減力を 較的精度よく推定可能である。

 (28)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 (i)前輪側における左輪側のばね上部とばね 部との距離と右輪側のばね上部とばね下部 の距離との相対変動である前輪側の相対ス ローク動作と、後輪側における左輪側のば 上部とばね下部との距離と右輪側のばね上 とばね下部との距離との相対変動である後 側の相対ストローク動作との少なくとも一 と、(ii)車体のロール動作との少なくとも一 方に基づいて、前記前輪側の左右のばね下部 の相対変位動作と前記後輪側の左右のばね下 部の相対変位動作との少なくとも一方の推定 を行うように構成された(27)項に記載の車体 ール抑制システム。

 前輪側および後輪側の相対ストローク動 と車体のロール動作は、いずれも、ばね下 の相対変位動作を好適に推定するための動 である。そのため、本項の態様によれば、 果的な強制力低減型ロール抑制制御が実行 きる。

 (29)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 前記前輪側の相対ストローク動作と後輪側 相対ストローク動作との少なくとも一方に づく推定と、前記車体のロール動作に基づ 推定とを、択一的に行うように構成された( 28)項に記載の車体ロール抑制システム。

 本項の態様は、基づく動作が異なる2種の ばね下部の相対変位動作の推定を選択的に行 う態様であり、例えば、車両の走行状態,車 が走行する路面の状態等に応じて、適切な を選択すればよい。

 (30)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 当該車両の走行速度が設定閾速度より高い 合において、前記前輪側の相対ストローク 作と後輪側の相対ストローク動作との少な とも一方に基づく推定を行い、当該車両の 行速度が設定閾速度より低い場合において 前記車体のロール動作に基づく推定を行う うに構成された(29)項に記載の車体ロール抑 制システム。

 例えば、後に説明するように、前輪側お び後輪側の一方の相対ストローク量を測定 て前輪側と後輪側との両方のばね下部の相 変位動作を推定する場合、車速が低いとき は、上述した後輪側ばね下部変位遅れの推 精度が比較的悪いため、前輪側と後輪側と 他方のばね下部の相対変位動作の推定精度 比較的悪くなる。一方で、車体のロール動 の推定は、車体のロール量を測定する等し 行うが、その測定は、ばね上部の上下加速 センサ等を利用して行わなければならず、 雑な処理を伴う。本項に記載の態様は、上 2種のばね下部の相対変位動作の推定を、そ れらの長所,短所等を比較考量し、車速に応 て切り換える態様である。なお、本項にい 「設定閾速度」は、他の項において説明し 設定閾速度と同じであることを要しない。 まり、それら他の項の設定閾速度とは、互 に独立して、互いに異なる速度に設定する とが可能である。

 (31)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 前記前輪側の相対ストローク動作と後輪側 相対ストローク動作との少なくとも一方に づく推定を行う場合において、測定された 輪側の左右のばね上部とばね下部との距離 基づく前記前輪側の相対ストローク動作と その測定された前輪側の左右のばね上部と ね下部との距離,当該車両の走行速度および 当該車両のホイールベースに基づいて推定さ れた前記後輪側の相対ストローク動作とに基 づいて、前記前輪側の左右のばね下部の相対 変位動作と前記後輪側の左右のばね下部の相 対変位動作との少なくとも一方の推定を行う ように構成された(28)項ないし(30)項のいずれ 1つに記載の車体ロール抑制システム。

 本項の態様は、先に説明した相対ストロ ク動作に基づくばね下部の相対変位動作の 定に関して、それの具体的な手法について 定した態様である。

 (32)前記強制力低減型ロール抑制力決定部が 、
 前記車体のロール動作に基づく推定を行う 合において、測定された車体のロール量に づく車体のロール動作車体のロール動作と 当該車両の走行速度および当該車両のホイ ルベースとに基づいて、前記前輪側の左右 ばね下部の相対変位動作と前記後輪側の左 のばね下部の相対変位動作との少なくとも 方の推定を行うように構成された(28)項ない し(31)項のいずれか1つに記載の車体ロール抑 システム。

 本項の態様は、先に説明した車体のロー 動作に基づくばね下部の相対変位動作の推 に関して、それの具体的手法を限定した態 である。先に説明したように、車体のロー 量の測定は、例えば、左右のばね上部の加 度等を検出し、その検出結果を基に演算処 等することによって行うことができる。

 (33)前記制御装置が、
 当該車両の旋回に起因して生じる車体のロ ルを抑制するために、前記前輪側および後 側のロール抑制装置の両方によって発生さ るべきロール抑制力である目標車両旋回依 ロール抑制力を決定する車両旋回起因ロー 抑制力決定部を有し、
 前記強制力低減型ロール抑制力決定部が、
 前記車両旋回起因ロール抑制力決定部によ て決定された目標車両旋回依拠ロール抑制 によって生じる前記前輪側の相対ストロー 動作と前記後輪側の相対ストローク動作と の少なくとも一方と車体のロール動作との なくとも一方を推定し、その推定された前 前輪側の相対ストローク動作と前記後輪側 相対ストローク動作との少なくとも一方と 体のロール動作との少なくとも一方を除外 た前記前輪側の相対ストローク動作と前記 輪側の相対ストローク動作との少なくとも 方と車体のロール動作との少なくとも一方 基づいて、前記前輪側の左右のばね下部の 対変位動作と前記後輪側の左右のばね下部 相対変位動作との少なくとも一方の推定を うように構成された(28)項ないし(32)項のい れか1つに記載の車体ロール抑制システム。

 車両旋回起因ロール抑制制御と路面起伏 因ロール抑制制御を同時に実行するような 合には、それぞれの制御におけるロール抑 力をロール抑制装置が発生させている。し がって、車両旋回起因ロール抑制制御での ール抑制力の影響により、単に、ストロー 量,車体のロール量等の測定データに基づく 推定では、路面の起伏に起因する相対ストロ ーク動作,車体のロール動作を正確に推定で ない可能性がある。本項の態様によれば、 両旋回依拠ロール抑制制御におけるロール 制力の影響を排除するようにして目標車両 回起因ロール抑制力が決定されることにな 、上記2つの制御が同時に実行される場合で 、適切な路面起伏起因ロール抑制制御が実 可能である。

 (34)前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が 、
 前記スカイフック型ロール抑制力決定部と 記強制力低減型ロール抑制力決定部との両 を有する(9)項ないし(33)項のいずれか1つに 載の車体ロール抑制システム。

 本項は、スカイフック型ロール抑制制御 強制力低減型ロール抑制制御との両者を実 可能な以下の態様の前提として位置付けら る項である。

 (35)前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が 、
 前記スカイフック型ロール抑制力決定部に って決定された前記目標路面起伏起因ロー 抑制力と、前記強制力低減型ロール抑制力 定部によって決定された前記目標路面起伏 因ロール抑制力とを、設定重み付け係数を いた重み付けをして和することにより、前 目標路面起伏起因ロール抑制力を決定する うに構成された(34)項に記載の車体ロール抑 制システム。

 スカイフック型ロール抑制制御と強制力 減型ロール抑制制御とは、互いに、依拠す ロール挙動モデルが異なるため、互いに異 る特徴を有する。それらの両方を実行可能 構成されたロール抑制システムでは、車両 走行状態,車両が走行する路面の状態等に応 じて、それらの一方を選択的に実行すること が可能である。本項の態様は、単にそれらの 一方を選択的に実行するのではなく、それら 2つの制御の特徴を考慮する等して、それら 同時に実行可能な一態様である。本項にい 「設定重み付け係数」は、固定的に設定さ たものであってもよく、また、何らかの情 ,条件に応じて、段階的に、あるいは、無段 的に、つまり、連続的に変化するように設 されたものであってもよい。

 (36)前記路面起伏起因ロール抑制力決定部が 、
 当該車両が走行する路面に起因した車体の ール振動が、比較的高い周波数の振動成分 大きい場合には、前記スカイフック型ロー 抑制力決定部によって決定された前記目標 面起伏起因ロール抑制力に対する重み付け 大きく、比較的低い周波数の振動成分が大 い場合には、前記強制力低減型ロール抑制 決定部によって決定された前記目標路面起 起因ロール抑制力に対する重み付けを大き するように構成された(35)項に記載の車体ロ ール抑制システム。

 強制力低減型ロール抑制制御は、上述の ール強制力を低減させることを目的と制御 あり、先に説明したように、ロール強制力 用遅れが影響して、目標路面起伏起因ロー 抑制力の決定精度が悪化する虞がある。具 的に言えば、ばね下部の相対変位を振動と 念すれば、比較的高周波域のばね下部の相 変位についての目標路面起伏起因ロール抑 力の決定精度が比較的悪化する傾向にある 本項の態様は、スカイフック型ロール抑制 御と強制力低減型ロール抑制制御とを同時 実行する場合に、例えば上記傾向等を考慮 て重み付け係数が変更される態様である。

 本項の態様において、振動成分の周波数 推定,特定周波数域の振動成分の強度の推定 等は、例えば、車体のロール動作,ばね下部 相対変位動作等の経時的な変化をフィルタ 処理等をすることによって推定することが 能である。より具体的に言えば、本項の態 は、例えば、特定の高周波数域の振動の強 と特定の低周波数域の振動の強度との比等 基づいて、上記重み付け係数を設定,変更す ような態様とすることができる。

 (37)前記サスペンション装置の各々が、自身 に対応する車輪を保持する車輪保持部材を有 しており、
 前記前輪側および後輪側のロール抑制装置 各々が、
 左右のサスペンション装置が有する車輪保 部材に両端部が連結されてロール抑制力を 生させるスタビライザバーを備え、前記ア チュエータが自身の作動量に応じて前記ス ビライザバーが発生させるロール抑制力を 更するように構成された(1)項ないし(36)項の いずれか1つに記載の車体ロール抑制システ 。

 本項に記載の態様は、ロール抑制装置の 体的な構造に限定を加えた態様であり、い ゆるアクティブスタビライザ装置をロール 制装置として備えたシステムに関する態様 ある。本項の態様おいて、ロール抑制装置 構成は、特に限定されるものではない。例 ば、後に説明するように、1つのスタビライ ザバーを、中央部で2つに分離して1対のスタ ライザバー部材によって構成し、それら1対 のスタビライザバー部材の間にアクチュエー タを配設して、上記電磁モータが発生させる 力に依拠して、そのアクチュエータがそれら 1対のスタビライザバー部材を相対回転させ ール抑制力を変化させるような構成であっ もよい。また、スタビライザバーの一方の 部と左右のサスペンション装置の一方が有 る車輪保持部材との間にアクチュエータを 設して、そのアクチュエータがその一方の 部と車輪保持部材との間隔を変化させるこ でロール抑制力を変化させるような構成で ってもよい。

 本項に記載のロール抑制装置では、例え 、スタビライザバーの捩り反力に基づいて ール抑制力が発生され、アクチュエータの 動量に応じてスタビライザバーの捩り量が 更されることによって、ロール抑制力が変 されるような構成となる。アクチュエータ 作動量が0である場合、つまり、アクチュエ ータの動作位置が中立位置にある場合は、ス タビライザバーは、そのスタビライザバーの 捩り剛性に応じたロール抑制力を発生させる ことになる。言い換えれば、ロール抑制装置 は、コンベンショナルなスタビライザ装置、 つまり、アクティブではないスタビライザ装 置と同様の機能を有することになる。そして 、アクチュエータを中立位置から作動させる ことにより、あたかも、そのスタビライザバ ーの剛性が変更されたのごとく、アクチュエ ータの作動量に応じた分、ロール抑制力が増 減させられることになる。

 (38)前記スタビライザバーが、
 それぞれが、車幅方向に延びる1つの軸線上 に配設されるトーション部と、そのトーショ ン部に連続してそのトーション部と交差して 延びるとともに先端部において前記車輪保持 部材に連結されるアーム部とを有する1対の タビライザバー部材を含んで構成され、
 前記アクチュエータが、前記1対のスタビラ イザバー部材のトーション部を前記軸線のま わりに相対回転させるものである(37)項に記 の車体ロール抑制システム。

 本項に記載の態様は、ロール抑制装置の 体的構造、詳しく言えば、上記スタビライ バーとアクチュエータとの構成に関する限 を加えた態様である。本項の態様によれば ロール抑制装置が発生させるロール抑制力 効率的に変更可能である。

 (39)前記アクチュエータが、ハウジングと 、それぞれがそのハウジングに支持されて配 設された電動モータおよびその電動モータの 回転を減速させる減速機とを含んで構成され 、前記1対のスタビライザバー部材の一方の ーション部が前記ハウジングに相対回転不 に接続され、他方のトーション部が前記減 機の出力部に相対回転不能に接続された(38) に記載の車体ロール抑制システム。

 本項に記載の態様は、アクチュエータの 造、および、アクチュエータとスタビライ バーとの連結,配置関係を具体的に限定した 態様である。本項の態様においてアクチュエ ータが有する減速機は、それの機構が特に限 定されるものではない。例えば、ハーモニッ クギヤ機構(「ハーモニックドライブ(登録商 )機構」,「ストレインウェーブギヤリング 構」等と呼ばれることもある)、ハイポサイ ロイド減速機構等、種々の機構の減速機を 用することが可能である。電磁モータの小 化を考えれば、減速機の減速比は比較的大 い(電動モータの作動量に対するアクチュエ ータの作動量が小さいことを意味する)こと 望ましく、その点を考慮すれば、ハーモニ クギヤ機構を採用する減速機は、本項の態 のシステムにおいて好適である。

 以上、請求可能発明の各種態様について 明したが、「車体のロール量」は、例えば 左側のばね上部と右側のばね上部の相対変 量と解釈できるものであり、上記態様のう のいくつかのものについては、その解釈に づく説明を行っている。その解釈の他に、 えば、車体のロール量を、車体のロール角 つまり、左右のばね上部を結ぶ直線の傾斜 と解釈することも可能である。その解釈に う場合には、例えば、上記「左右のばね下 の相対変位量」は、ロール角に換算した相 変位量、つまり、左右のばね下部を結ぶ直 の傾斜角として扱えばよい。そして、その 合には、上記「相対ストローク量」は、車 のロール角と、左右のばね下部を結ぶ直線 傾斜角との差分として扱えばよく、ロール 度および加速度、左右のばね下部の相対変 速度および加速度、相対ストローク速度お び加速度等についても、車体のロール量に じた扱いとすればよい。つまり、上記各種 態様において、車体のロール量を車体のロ ル角と擬制し、ばね上部およびばね下部の 動、ロール挙動モデル等をロール角に対応 た単位系で表すこともでき、そのような表 が採用された態様も、請求可能発明の態様 なり得るのである。

 また、ロール抑制装置が上述のスタビラ ザバーを含んで構成されるような装置であ 場合には、その装置が発生させるロール抑 力は、基本ロール抑制力,制御ロール抑制力 という2つの成分が合わさった力と考えるこ ができる。基本ロール抑制力は、そのスタ ライザバーが本来的に発生させるロール抑 力、つまり、アクチュエータの作動量が0で る場合のロール抑制力であり、また、制御 ール抑制力は、アクチュエータの作動量に じて増減させられるロール抑制力である。 のような考え方の下では、便宜的に、基本 ール抑制力を、車体ロールを抑制するため サスペンションスプリングが発生させる力 一体化させて、つまり、その力の一部であ として扱い、制御ロール抑制力のみを、ロ ル抑制装置が発生させるロール抑制力とし 扱うことが可能である。そしてそのような いの下、上記ロール挙動モデルを設定して 面起伏依拠ロール抑制制御を行い、車両旋 起因ロール抑制制御を行うこともできるの ある。そのようにして行っても、路面起伏 拠ロール抑制制御,車両旋回起因ロール抑制 制御は、ともに、ロール抑制装置が実際に発 生させるロール抑制力に基づいて行う場合の それらの制御と等価なものとなる。したがっ て、上記各種の態様は、制御ロール抑制力の みをロール抑制装置が発生させるロール抑制 力として扱った態様も、上記各種態様に含ま れるもと解釈すべきであり、本願の請求可能 発明の態様の一種なのである。

請求可能発明の実施例である車体ロー 抑制システムの全体構成を示す斜視図であ 。 図1のシステムが有するロール抑制装置 としてのスタビライザ装置を示す平面図であ る。 図1のシステムが有するロール抑制装置 としてのスタビライザ装置を示す正面図であ る。 図2および図3のスタビライザ装置が有 るアクチュエータを示す断面図である。 図1の車体ロール抑制システムで実行さ れる路面起伏起因ロール抑制制御において依 拠される実装置モデルを示す概念図である。 図1の車体ロール抑制システムで実行さ れる路面起伏起因ロール抑制制御において依 拠されるスカイフックモデルを示す概念図で ある。 図1の車体ロール抑制システムで実行さ れる路面起伏起因ロール抑制制御において依 拠される強制力低減モデルを示す概念図であ る。 図7のモデルに従う制御において用いら れる強制力低減ゲインの設定手法を説明する ための概念図である。 図7のモデルに従う制御において用いら れる強制力低減ゲインの設定手法を説明する ためのもう1つの概念図である。 図7のモデルに従う制御において用い れる強制力低減ゲインを設定するためのマ プデータを示すグラフである。 図1のシステムが有する制御装置の機 を説明するためのブロック図である。 図11の制御装置が有する路面起伏起因 ール抑制力決定部の機能を説明するための ロック図である。 図12の路面起伏起因ロール抑制力決定 が有するスカイフック型ロール抑制力決定 の機能を説明するためのブロック図である 図12の路面起伏起因ロール抑制力決定 が有する強制力低減型ロール抑制力決定部 機能を説明するためのブロック図である。 図11の制御装置が有するロール抑制力 分部の機能を説明するためのブロック図で る。

 以下、請求可能発明の実施例を、図を参 しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発 は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕 項に記載された態様を始めとして、当業者 知識に基づいて種々の変更、改良を施した 々の態様で実施することができる。

≪車体ロール抑制システムの構成およびスタ ビライザ装置の機能等≫
 (a)全体構成
 図1に、本実施例の車体ロール抑制システム 10を模式的に示す。本車体ロール抑制システ 10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設 れた1対のロール抑制装置である1対のスタビ ライザ装置14を含んで構成されている。スタ ライザ装置14はそれぞれ、両端部において 右の車輪16を保持する車輪保持部材としての サスペンションアーム(図2,3参照)に連結され スタビライザバー20を備えている。そのス ビライザバー20は、それが分割された1対の タビライザバー部材22を含む構成のものとさ れている。それら1対のスタビライザバー部 22は、アクチュエータ26によって相対回転可 に接続されている。

 (b)サスペンション装置の構成
本システム10を搭載する車両には、各車輪16 対応した4つのサスペンション装置が設けら ている。転舵輪である前輪のサスペンショ 装置と非転舵輪である後輪のサスペンショ 装置とは、車輪を転舵可能とする機構を除 略同様の構成とみなせるため、説明の簡略 に配慮して、後輪のサスペンション装置を 表して説明する。図2,3に示すように、サス ンション装置30は、独立懸架式のものであ 、マルチリンク式サスペンション装置とさ ている。サスペンション装置30は、それぞれ がサスペンションアームである第1アッパア ム32,第2アッパアーム34,第1ロアアーム36,第2 アアーム38,トーコントロールアーム40を備え ている。5本のアーム32,34,36,38,40のそれぞれの 一端部は、車体に回動可能に連結され、他端 部は、車輪16を回転可能に保持するアクスル ャリア42に回動可能に連結されている。そ ら5本のアーム32,34,36,38,40により、アクスル ャリア42は、車体に対して略一定の軌跡を描 くような上下動が可能とされている。また、 サスペンション装置30は、サスペンションス リングであるコイルスプリング44と、ダン である液圧式のショックアブソーバ46とを備 えており、それらは、それぞれ、タイヤハウ ジングに設けられたマウント部と、第2ロア ーム38との間に、互いに並列的に配設されて いる。つまり、サスペンション装置30は、車 16と車体とを、つまり、ばね下部とばね上 とを、弾性的に相互支持するとともに、そ らの接近離間動作(以下、「ストローク動作 という場合がある)に対する減衰力を発生さ せる構造とされている。

 (c)スタビライザ装置の構成
 スタビライザ装置14の各スタビライザバー 材22はそれぞれ、図2,3に示すように、概して 車幅方向に延びるトーションバー部50と、ト ションバー部50と一体をなしてそれと交差 て概ね車両の前方に延びるアーム部52とに区 分することができる。各スタビライザバー部 材22のトーションバー部50は、アーム部52に近 い箇所において、車体に固定的に設けられた 保持具54によって回転可能に保持され、互い 同軸的に配置されている。各トーションバ 部50の端部(アーム部52側とは反対側の端部) 、それぞれ、後に詳しく説明するようにア チュエータ26に接続されている。一方、各 ーム部52の端部(トーションバー部50側とは反 対側の端部)は、リンクロッド56を介して第2 アアーム38に連結されている。第2ロアアー 38には、リンクロッド連結部58が設けられ、 ンクロッド56の一端部は、そのリンクロッ 連結部58に、他端部はスタビライザバー部材 22のアーム部52の端部に、それぞれ遥動可能 連結されている。

 スタビライザ装置14の備えるアクチュエ タ26は、図4に示すように、駆動源としての 動モータ60と、その電動モータ60の回転を減 して伝達する減速機62とを含んで構成され いる。これら電動モータ60と減速機62とは、 クチュエータ26の外殻部材であるハウジン 64内に設けられている。そのハウジング64の 端部には、1対のスタビライザバー部材22の 方のトーションバー部50の端部が固定的に 続されており、一方、1対のスタビライザバ 部材22の他方は、ハウジング64の他端部から それの内部に延び入る状態で配設されるとと もに、後に詳しく説明するように、減速機62 接続されている。さらに、1対のスタビライ ザバー部材22の他方は、それの軸方向の中間 において、ブシュ型軸受70を介してハウジ グ64に回転可能に保持されている。

 電動モータ60は、ハウジング64の周壁の内 面に沿って一円周上に固定して配置された複 数のコイル72と、ハウジング64に回転可能に 持された中空状のモータ軸74と、コイル72と きあうようにしてモータ軸74の外周に固定 て配設された永久磁石76とを含んで構成され ている。電動モータ60は、コイル72がステー として機能し、永久磁石76がロータとして機 能するモータであり、3相のDCブラシレスモー タとされている。なお、ハウジング64内に、 ータ軸74の回転角度、すなわち、電動モー 60の回転角度を検出するためのモータ回転角 センサ78が設けられている。モータ回転角セ サ78は、エンコーダを主体とするものであ 、アクチュエータ26の制御、つまり、スタビ ライザ装置14の制御に利用される。

 減速機62は、波動発生器(ウェーブジェネ ータ)80,フレキシブルギヤ(フレクスプライ )82およびリングギヤ(サーキュラスプライン) 84を備え、ハーモニックギヤ機構(「ハーモニ ックドライブ(登録商標)機構」,「ストレイン ウェーブギヤリング機構」等と呼ばれること もある)として構成されている。波動発生器80 は、楕円状カムと、それの外周に嵌められた ボールベアリングとを含んで構成されるもの であり、モータ軸74の一端部に固定されてい 。フレキシブルギヤ82は、周壁部が弾性変 可能なカップ形状をなすものとされており 周壁部の開口側の外周に複数の歯(本減速機6 2では、400歯)が形成されている。このフレキ ブルギヤ82は、先に説明した1対のスタビラ ザバー部材22の他方のトーションバー部50の 端部に接続され、それによって支持されてい る。詳しく言えば、そのスタビライザバー部 材22のトーションバー部50は、モータ軸74を貫 通しており、それから延び出す部分の外周面 において、当該減速機62の出力部としてのフ キシブルギヤ82の底部を貫通する状態でそ 底部とスプライン嵌合によって相対回転不 に接続されているのである。リングギヤ84は 、概してリング状をなして内周に複数の歯( 減速機62においては、402歯)が形成されたも であり、ハウジング64に固定されている。フ レキシブルギヤ82は、その周壁部が波動発生 80に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、 円の長軸方向に位置する2箇所においてリン ギヤ84と噛合し、他の箇所では噛合しない 態とされている。このような構造により、 動発生器80が1回転(360度)すると、つまり、電 動モータ60のモータ軸74が1回転すると、フレ シブルギヤ82とリングギヤ84とが、2歯分だ 相対回転させられる。つまり、減速機62の減 速比は、1/200とされている。

 (d)スタビライザ装置の機能等
 以上の構成から、車両が旋回する場合には の旋回に起因して、車両が起伏のある路面 走行する場合にはその路面の起伏に起因し 、車体にロールモーメントが作用する。そ ロールモーメントによって、各サスペンシ ン装置30には、左右の車輪16の一方と車体と の距離と、左右の車輪16の他方と車体との距 とを相対変化させる力、つまり、左右にお るばね上部とばね下部との距離を相対変動 せる力が作用し、相対ストローク動作が発 する。この相対ストローク動作に対して、 輪側および後輪側の各々の左右のコイルス リング44は、相対ストローク量を減少させ 向きに弾性反力を発生させる。また、前輪 および後輪側の各々の左右のショックアブ ーバ46は、相対ストローク速度に応じた減衰 力を発生させる。上記弾性反力は、左右のコ イルスプリング44のばね定数によって定まる 定のロールばね定数に依拠した大きさの力 なり、上記減衰力は、左右のショックアブ ーバ46の減衰係数によって定まる特定のロ ル減衰係数に依拠した大きさの力となる。

 その一方で、スタビライザ装置14は、ス ビライザバー20が上記相対ストローク動作に よって捩られることで、それの捩り反力に依 拠して、左右の一方のばね上部とばね下部と を接近させ、他方のばね上部とばね下部とを 離間させる力であるロール抑制力を発生させ る。このロール抑制力は、スタビライザバー 20の捩りばね定数によって定まるそれのロー ばね定数に依拠した大きさの力となる。ち みに、その状態は、アクチュエータ26によ て左右のスタビライザバー部材22を相対回転 させていない状態であり、つまり、アクチュ エータ26が中立作動位置にある状態である。

 それに対し、アクチュエータ26が所定の 動量だけ作動することにより、つまり、所 の角度だけ回転することにより、左右のス ビライザバー部材22がその所定角度だけ相対 回転することになる。その状態においては、 その相対回転角に応じて、上記ロール抑制力 が変更されることになる。したがって、スタ ビライザ装置14は、アクチュエータ26の作動 に応じて、あたかもスタビライザバー20の捩 り剛性が増減したがのごとく、ロール抑制力 を変化させるのである。つまり、スタビライ ザ装置14自体のロールばね定数が変化したか ごとくロール抑制力が増減させられること なる。

 スタビライザ装置14が発生させるロール抑 力F’は、大まかには、次式(1’)で表すこと できる。

 F’=K S S T +K S D ・・・(1’)

  K S :スタビライザバーのロールばね定数
  S T :相対ストローク量
  D:スタビライザ装置の作動量

ここで、スタビライザバー20のロールばね定 K S は、2つのスタビライザバー部材22が一体化さ れたと仮定した場合のロールばね定数であり 、スタビライザバー20自体の固有値である。 対ストローク量S T は、左輪側のばね上部とばね下部との距離と 右輪側のばね上部とばね下部との距離の差と 考えることができる。また、スタビライザ装 置14の作動量Dとは、アクチュエータ26の作動 よって相対ストローク量S T 換算で自身がどのぐらい作動したかを示す量 と観念できるものであり、次式(2)で近似する ことができる。

 D=AL A /R ・・・(2)

  A:アクチュエータの作動量(回転角)
  L A :スタビライザバー部材のアーム部の長さ
  R:第2ロアアームのレバー比

ちなみに、アクチュエータの作動量Aは、ス ビライザ装置14の作動量Dが0である状態を基 とした作動量、つまり、中立位置からの作 量である。

 上記の式から解るように、スタビライザ装 14が発生させるロール抑制力F’は、スタビ イザバーのロールばね定数K S に依拠して本来的に発生させられる基本ロー ル抑制力(K S S T )と、アクチュエータ26の制御によって基本ロ ール抑制力を増減させる制御ロール抑制力(K S D)との合計と捉えることができ、後者を制御 よって変更することで、ロール抑制力F’が 変化させられることになる。なお、以後の説 明については、便宜的に、基本ロール抑制力 (K S S T )を、車体のロールを抑制すべくコイルスプ ング44が発生させる力の一部と考え、制御ロ ール抑制力(K S D)を、スタビライザ装置14によるロール抑制 Fとして扱うものとする。このような扱いを れば、上記式(1’)は、下記式(1)となる。

 F=K S D ・・・(1)

 (e)制御システムのハード構成
 本車体ロール抑制システム10では、図1に示 ように、2つのスタビライザ装置14を統括し 制御する電子制御ユニット(ECU)90が設けられ ている。ECU90は、各スタビライザ装置14、詳 くは、各アクチュエータ26の作動を個別に制 御可能な制御装置であり、それぞれが各アク チュエータ26が有する電動モータ60に対応し 駆動回路である2つのインバータ92と、CPU,ROM, RAM等を備えたコンピュータを主体とするコン トローラ96とを備えている(図11参照)。インバ ータ92の各々は、コンバータ98を介してバッ リ100に接続されており、対応するスタビラ ザ装置14の電動モータ60に接続されている。 動モータ60は定電圧駆動され、電動モータ60 への供給電力は、供給電流量を変更すること によって変更される。供給電流量の変更は、 インバータ92がPWM(Pulse Width Modulation)による ルスオン時間とパルスオフ時間との比(デュ ティ比)を変更することによって行われる。

 コントローラ96には、上記モータ回転角 ンサ78とともに、ステアリングホイールの操 作角(操舵量の一種である)を検出するための テアリングセンサ102,車体に実際に発生して いる横加速度である実横加速度を検出する横 加速度センサ104が接続されている。コントロ ーラ96には、さらに、ブレーキシステムの制 装置であるブレーキ電子制御ユニット(以下 、「ブレーキECU」という場合がある)108が接 されている。ブレーキECU108には、4つの車輪 それぞれに対して設けられてそれぞれの回 速度を検出するための車輪速センサ110が接 され、ブレーキECU108は、それら車輪速セン 110の検出値に基づいて、車速を推定する機 を有している。コントローラ96は、必要に じ、ブレーキECU108から車速を取得するよう されている。さらに、コントローラ96には、 ばね上部とばね下部との距離であるストロー ク量を検出するストロークセンサ112が接続さ れている。当該車両においては、ストローク センサ112は、前側の左右の車輪16に対応して2 つ設けられている。また、車体の左右の特定 の部位における上下加速度を検出するために 、1対の上下加速度センサ114が設けられてお 、それらも、コントローラ96に接続されてい る。コントローラ96は、各インバータ92とも 続され、それらを制御することで、各スタ ライザ装置14の電動モータ60を制御する。な 、コントローラ96のコンピュータが備えるRO Mには、後に説明する各スタビライザ装置14の 制御に関するプログラム,その制御のために 要な各種のデータ等が記憶されている。

≪ロール抑制制御≫
 本車体ロール抑制システム10において行わ るロール抑制制御は、車両の旋回に起因す 車体のロールを抑制するための車両旋回起 ロール抑制制御と、車両が走行する路面の 伏に起因する車体のロールを抑制する路面 伏起因ロール抑制制御との2つの制御があり 本システム10では、それら2つの制御が同時 実行可能とされ、2つの制御のいずれにおい ても、前輪側および後輪側のスタビライザ装 置14が個別に制御される。以下に、上記2つの 制御を順に説明し、その後に、それらの制御 が同時に実行された場合におけるロール抑制 力の2つのスタビライザ装置への配分につい 説明する。

 (a)車両旋回起因ロール抑制制御
 車両旋回起因ロール抑制制御は、車両の旋 に起因して車体に作用するロールモーメン 指標に基づいて、前輪側および後輪側のス ビライザ装置14の両者によって発生させる きロール抑制力を、目標車両旋回起因ロー 抑制力F T として決定して行われる。決定された目標車 両旋回起因ロール抑制力F T は、前輪側および後輪側のスタビライザ装置 14の各々が発生させるべきロール抑制力であ 目標装置個別ロール抑制力F D (前輪側装置個別ロール抑制力F Df 、後輪側装置個別ロール抑制力F Dr と区別して呼ぶ場合がある)に配分され、そ 目標装置個別ロール抑制力F D に基づいて、各スタビライザ装置14が制御作 させられることによって行われる。

 目標車両旋回起因ロール抑制力F T の決定処理においては、車両の旋回に起因し て車体に作用するロールモーメントを指標す る車両旋回起因ロールモーメント指標として 、制御用横加速度が採用される。制御用横加 速度G Y * は、次式(3)で表されるものである。

 G Y * c G Yc r G Yr  ・・・(3)

  G Yc :推定横加速度
  G Yr :実横加速度
  ε c :制御ゲイン
  ε r :制御ゲイン

推定横加速度G Yc は、ステアリングホイールの操作角δと車速v に基づいて推定される。操作角δは、車両の 舵量(操舵角)を指標するものであり、ステ リングセンサ102によって検出された値が用 られる。車速vは、ブレーキECU108において車 速センサ110の検出値に基づいて推定され、 レーキECU108から送られてくる値が用いられ 。実横加速度G Yr は、横加速度センサ104による検出値が用いら れる。制御ゲインε c r は、車両旋回起因ロール抑制制御の応答性等 に鑑み、適切な値に設定されている。

 目標車両旋回起因ロール抑制力F T は、制御用横加速度G Y * に基づき、コントローラ96に格納されている 両旋回起因ロール抑制力マップを参照する とによって行われる。このマップは、特定 規則、つまり、どの程度の制御用横加速度G Y * が生じている場合には、どの程度のロール量 車体がロールし、そのロールをどの程度のロ ール量抑制すべきかが規定されたものである 。なお、この車両旋回起因ロール抑制力マッ プは、参照することにより、逆に、目標車両 旋回起因ロール抑制力F T が作用している場合における車体のロールの 抑制量として、抑制ロール量δXおよび抑制相 対ストローク量δS T を求められるようにもなっている。

 (b)路面起伏起因ロール抑制制御
 路面起伏起因ロール抑制制御は、設定され ロール挙動モデルに従って、前輪側および 輪側のスタビライザ装置14の両者によって 生させるべきロール抑制力の合計を、目標 面起伏起因ロール抑制力F U として決定して行われる。決定された目標車 両旋回起因ロール抑制力F U は、前輪側および後輪側のスタビライザ装置 14の各々が発生させるべきロール抑制力であ 目標装置個別ロール抑制力F D に配分され、その目標装置個別ロール抑制力 F D に基づいて、各スタビライザ装置14が制御作 させられることによって行われる。

 路面起伏起因ロール制御における理想制 状態を示すロール挙動モデルは、2つ設定さ れている。路面起伏起因ロール制御は、一時 期において、2つのモデルにそれぞれ対応し 2つタイプの制御のうちの一方が、若しくは 両方が実行される。以下、先ず、それら2つ の理想制御状態モデルと対照されるロール挙 動モデルを説明した後、2つのタイプの制御 各々、2つのタイプの制御の選択および重み けについて順次説明する。

 (i)システム構成に基づくロール挙動モデル
 図5に、実際のサスペンション装置およびス タビライザ装置の構成に基づくロール挙動モ デル(以下、「実装置モデル」という場合が る)を示す。このモデルは、路面起伏ロール 制制御において目標となるロール抑制力で る目標路面起伏起因ロール抑制力F U を決定するために、後に説明する2つの理想 御状態モデルと対照されるモデルである。

 実装置モデルは、前輪側(図5における左 )において、車体140と車輪16との間、すなわ 、ばね上部とばね下部との間に、前輪側相 ストローク対応スプリング144fと、前輪側相 ストローク対応ダンパ146fと、前輪側スタビ ライザ装置14fとが配備され、後輪側(図にお る右側)において、ばね上部とばね下部との に、後輪側相対ストローク対応スプリング1 44rと、後輪側相対ストローク対応ダンパ146r 、後輪側スタビライザ装置14rとが配備され いる。相対ストローク対応スプリング144は 前輪側若しくは後輪側2つのコイルスプリン 44によって、前輪側若しくは後輪側の相対 トローク量に応じた弾性反力を発生させる 想的なサスペンションスプリングであり、 対ストローク対応ダンパ146は、前輪側若し は後輪側の2つのショックアブソーバ46によ て、左輪側若しくは後輪側の相対ストロー 速度に応じた減衰力を発生させる仮想的な ンパである。なお、前輪側相対ストローク 応スプリング144f,前輪側相対ストローク対応 ダンパ146f,後輪側相対ストローク対応スプリ グ144r,後輪側相対ストローク対応ダンパ146r 、以下、それぞれ、前輪側スプリング144f, 輪側ダンパ146f,後輪側スプリング144r,後輪側 ンパ146rと呼ぶ場合がある。

 実装置モデルの運動方程式は、下記式(4)の うに表される。

 [Is 2 +(C f +C r )s+(K f +K r )]X
  =(C f s+K f )X f +(C r s+K r )X r +K Sf D f +K Sr D r  ・・・(4)

  s:ラプラス演算子、d/dt,iω
  I:車体慣性モーメント
  X:車体ロール量
  X f :前輪側ばね下部相対変位量
  X r :後輪側ばね下部相対変位量
  C f :前輪側ダンパロール減衰係数
  C r :後輪側ダンパロール減衰係数
  K f :前輪側スプリングロールばね定数
  K r :後輪側スプリングロールばね定数
  K Sf :前輪側スタビライザバーのロールばね定数
  K Sr :後輪側スタビライザバーのロールばね定数
  D f :前輪側スタビライザ装置作動量
  D r :後輪側スタビライザ装置作動量

上記式(4)に基づけば、前輪側および後輪側の スタビライザ装置14が発生させるロール抑制 F(詳しくは、制御ロール抑制力)は、下記式( 5)のようになる。

 F=K Sf D f +K Sr D r  ・・・(5)

先に説明したように、スタビライザバー20の 本的ロール抑制力は、車体のロールを抑制 るために相対ストローク対応スプリング144 よって発生させられる力の一部と擬制して るため、下記式(6),(7)が成立している。

 K f =K Cf +K Sf  ・・・(6)
 K r =K Cr +K Sr  ・・・(7)

  K Cf :前輪側相対ストローク対応スプリングのみ 基づくロールばね定数
  K Cr :後輪側相対ストローク対応スプリングのみ 基づくロールばね定数

また、前輪側のばね下部の相対変位に対して の後輪側のばね下部の相対変位の遅れ、つま り、後輪側ばね下部変位遅れに基づけば、下 記式(8),(9),(10)が成立する。

 X r =X f e - τ s  ・・・(8)
 e - τ s ≒ (2-τs)/(2+τs) ・・・(9)
 τ=L/v ・・・(10)

  L:ホイールベース
  v:車速
  e - τ s :後輪側ばね下部変位遅れ係数

ちなみに、上記式(9)は、近似のための式であ る。

 (ii)スカイフック型ロール抑制制御
 前述の2つのタイプの制御のうちの1つであ スカイフック型ロール抑制制御では、上記 装置モデルと対照される理想制御状態モデ として、図6に示すスカイフックモデルを採 する。このスカイフックモデルでは、前輪 (図における左側)のばね上部とばね下部と 間に、前輪側スプリング144fおよび前輪側ダ パ146fとが配備され、後輪側(図における右 )のばね上部とばね下部との間に、後輪側ス リング144rおよび後輪側ダンパ146rが配備さ ている。そのような基本的モデルに加え、 カイフックモデルでは、スカイフックスプ ング148およびスカイフックダンパ150が配備 れている。それらスカイフックスプリング14 8およびスカイフックダンパ150は、車体140の ールをスカイフック理論に基づいて抑制す 機能を有する。

 スカイフックモデルの運動方程式は、下記 (11)のように表される。

 [Is 2 +(C f s+K f )+(C r s+K r )+(δCs+δK)]X
  =(C f s+K f )X f +(C r s+K r )X r  ・・・(11)

  δC:スカイフックダンパのロール減衰係数
  δK:スカイフックスプリングのロールばね 数

ちなみに、上記式(11)の右辺は、いわゆるロ ル強制力と呼ぶことができる力を意味して る。このロール強制力とは、左右のばね下 の相対変位動作に依存して生じ、車体のロ ルを生じさせる力と考えることができる。 方、左辺は、車体のロールを抑制するため 力と考えることができる。

 スカイフック型ロール抑制制御では、スカ フックモデルに関する上記式(11)と、実装置 モデルに関する先の式(4)とを対照して、前輪 側および後輪側のスタビライザ装置14によっ 発生させるべきロール抑制力F、つまり、ス カイフック型ロール抑制力制御における目標 路面起伏起因ロール抑制力F U が決定される。この目標路面起伏起因ロール 抑制力F U は、スカイフック型ロール抑制力F S と呼ぶことができるものであり、下記式(12) うに決定される。

 F S =K Sf D f +K Sr D r =-(δCs+δK)X ・・・(12)

 上記式(12)から解るように、スカイフック型 ロール抑制力F S の決定においては、車体のロール量Xを推定 る必要がある。そこで、本システム10のスカ イフック型ロール抑制制御では、車体のロー ル量Xは、前輪側の相対ストローク量S Tf に基づき、本スカイフックモデルに従って行 われる。その前輪側の相対ストローク量S Tf は、下記式(13)で表され、2つのストロークセ サ112の検出値、つまり、前輪側の左右のス ロール量S Lf ,S Lr についての検出値に基づいて測定される。

 S Tf =X f -X ・・・(13)

 なお、本システム10では、先に説明したよ に、車両旋回起因ロール抑制制御も実行さ ており、測定された前輪側相対ストローク S Tf は、その制御の影響を受けている。そこで、 現時点で発生させられている目標車両旋回起 因ロール抑制力F T に基づき、先に説明した車両旋回起因ロール 抑制力マップが参照されて抑制相対ストロー ク量δS T が求められ、その抑制相対ストローク量δS T を除外する補正が、下記式(14)に従い、車体 ロール量Xを推定に先立って行われる。

 S Tf =S Tf -δS T  ・・・(14)

 車体のロール量Xの推定は、補正された前輪 側相対ストローク量S Tf ,ブレーキECU108から取得された車速v,コントロ ーラ96に格納されているホイールベースLの値 に基づき、上記式(11)に従って行われる。な 、後輪側の相対ストローク量S Tr は測定されないなめ、前記式(8)に示す推定、 つまり、前輪側ばね下部相対変位量X f に基づく後輪側ばね下部相対変位量X r の推定が利用される。ちなみに、この推定で の後輪側ばね下部変位遅れ係数e - τ s の値は、実際は、前記式(9)に従って近似され た値が用いられる。推定された車体のロール 量Xは、下記式(15)のように表される。

 X=S Tf [(C f s+K f )+(C r s+K r )e - τ s ]
    /[Is 2 +(1-e - τ s )(C r s+K r )+(δCs+δK)] ・・・(15)

この推定された車体のロール量Xに基づいて 先の式(12)に従って、スカイフック型ロール 制力F S が決定されるのである。

 (iii)強制力低減型ロール抑制制御
 iii-a)強制力低減モデル
 前述の2つのタイプの制御のうちのもう1つ ある強制力低減型ロール抑制制御では、上 実装置モデルと対照される理想制御状態モ ルとして、図7に示す強制力低減モデルを採 する。この強制力低減モデルでは、前述の 本的モデルに加え、ロール抑制スプリング1 52およびロール抑制ダンパ154が配備されてい 。

 強制力低減モデルの運動方程式は、下記式( 16)のように表される。

 [Is 2 +[α Cf C f s+α Kf K f ]+[α Cr C r s+α Kr K r ]
  +[(1-α Cf )C f +(1-α Cr )C r ]s+[(1-α Kf )K f +(1-α Kr )K r ]]X
    =(α Cf C f s+α Kf K f )X f +(α Cr C r s+α Kr K r )X r  ・・・(16)

  α Cf :前輪側ダンパ強制力低減ゲイン
  α Cr :後輪側ダンパ強制力低減ゲイン
  α Kf :前輪側スプリング強制力低減ゲイン
  α Kr :後輪側スプリング強制力低減ゲイン

上記式(16)を簡単にすると、下記式(17)のよう なる。

 [Is 2 +(C f +C r )s+(K f +K r )]X
  =(α Cf C f s+α Kf K f )X f +(α Cr C r s+α Kr K r )X r  ・・・(17)

ちなみに、前記スカイフックモデルと同様、 上記式(16),(17)の右辺は、いわゆるロール強制 力を意味しており、左辺は、車体のロールを 抑制するための力と考えることができる。

 前述のスカイフック型ロール抑制制御は、 記式(11)の左辺にある車体のロール量Xにつ ての係数を大きくして、車体のロールを抑 しようとすることを目的としている。それ 対して、本強制力低減型ロール抑制制御は 上記式(16),(17)の右辺の値を小さくすること 、車体のロールを抑制することを目的とし いる。その目的の下、上記4つの強制力低減 インα Cf Cr Kf Kr は、それぞれ、4つのロール強制力である前 側ダンパ強制力(C f sX f ),後輪側ダンパ強制力(C r sX r ),前輪側スプリング強制力(K f X f ),後輪側スプリング強制力(K r X r )を低減させる制御ゲインである。それら強 力低減ゲインαの各々は、それの値が“0” なる場合において、対応するロール強制力 低減させず、“1”となる場合において、対 するロール強制力をずべて低減させる。し がって、(1-α)なる値が、各ロール強制力に いての低減率としての意味を持っている。 お、以下の説明において、各強制力低減ゲ ンαを、前輪側ダンパゲインα Cf ,後輪側ダンパゲインα Cr ,前輪側スプリングゲインα Kf ,後輪側スプリングゲインα Kr と略すことがある。

 ロール抑制スプリング152およびロール抑制 ンパ154は、ロール強制力を低減した分の力 ある低減力に応じた力を、車体のロールを 制するための力として発生させる機能を有 ると考えることができる。そのため、ロー 抑制スプリング152のロールばね定数K C は、前輪側および後輪側スプリング144f,144rの ロールばね定数K f ,K r の減少分に相当する値を有しており、ロール 抑制ダンパ154のロール減衰係数C C は、前輪側および後輪側ダンパ146f,146rのロー ル減衰係数C f ,C r の減少分に相当する値を有している。具体的 には下記式(18),(19)に表される値である。

 K C =(1-α Kf )K f +(1-α Kr )K r  ・・・(18)
 C C =(1-α Cf )C f +(1-α Cr )C r  ・・・(19)

つまり、ロール抑制スプリング152およびロー ル抑制ダンパ154は、ロール強制力の低減によ って生じた車体のロールの減衰能力の低下を 、低減力に応じて補完する機能を有するもの と考えることができるのである。この機能に より、発生した車体のロールが効果的に減衰 されることになる。

 強制力低減型ロール抑制制御では、強制力 減モデルに関する上記式(17)と、実装置モデ ルに関する先の式(4)とを対照して、前輪側お よび後輪側のスタビライザ装置14によって発 させるべきロール抑制力F、つまり、強制力 低減型ロール抑制力制御における目標路面起 伏起因ロール抑制力F U が決定される。この目標路面起伏起因ロール 抑制力F U は、強制力低減型ロール抑制力F R と呼ぶことができるもので、下記式(20)よう 決定される。

 F R =K Sf D f +K Sr D r
   =-[(1-α Cf )C f s+(1-α Kf K f )]X f
    -[(1-α Cr )C r s+(1-α Kr K r )]X r  ・・・(20)

 iii-b)ばね下部相対変位量を推定する2つの手 法
 上記式(20)から解るように、強制力低減型ロ ール抑制力F S の決定においては、前輪側、後輪側の各々の ばね下部相対変位量X f ,X r を推定する必要がある。そこで、本システム 10の強制力低減型ロール抑制制御では、それ ばね下部相対変位量X f ,X r の推定が行われるのであるが、その推定は、 2つの互いに異なる推定手法のいずれかによ て行われる。

 ばね下部相対変位量X f ,X r を推定するための1つの手法である第1推定手 は、前輪側の相対ストローク量S Tf に基づき、本強制力低減モデルに従って行わ れる。推定にあたっては、先のスカイフック 型ロール抑制制御と同様に、2つのストロー センサ112の検出値に基づいて測定された相 ストローク量S Tf に対して、前記式(13)に従う抑制相対ストロ ク量δS T を除外した補正が行わる。また、後輪側ばね 下部変位遅れ係数e - τ s に基づく推定、つまり、前記式(8)に従う後輪 側ばね下部相対変位量X r の推定が利用される。第1推定手法では、ば 下部相対変位量X f ,X r は、下記式(21),(22)に従って推定される。

 X f =S Tf [Is 2 +(C f +C r )s+(K f +K r )]/B ・・・(21)
   〔B=Is 2 +(1-α Cf )C f s+(1-α Cr e - τ s )C r s
      +(1-α Kf )K f +(1-α Kr e - τ s )K r
 X r =X f e - τ s  ・・・(22)

 ばね下部相対変位量X f ,X r を推定するためのもう1つの手法である第2推 手法は、車体のロール量Xに基づき、本強制 力低減モデルに従って行われる。この推定に おける車体のロール量Xは、測定値であり、1 の上下加速度センサ114による車体の左右の 定部位の各々の上下加速度G XL ,G XR の検出値、すなわち、左右のばね上部の各々 の上下加速度G XL ,G XR の検出値から求められる。また、この第2推 手法においても、車両旋回起因ロール抑制 御の影響を排除すべく、測定された車体の ール量Xの補正が行われる。具体的には、現 点で発生させられている目標車両旋回起因 ール抑制力F T に基づき、先に説明した車両旋回起因ロール 抑制力マップが参照されて、抑制ロール量δX が求められ、その抑制ロール量δXを除外した 補正が、下記式(23)に従って行われる。

 X=X-δX ・・・(23)

また、第2推定手法に従う推定においても、 輪側ばね下部変位遅れ係数e - τ s に基づく推定、つまり、前記式(8)に従う後輪 側ばね下部相対変位量X r の推定が利用される。この第2推定手法では ばね下部相対変位量X f ,X r は、下記式(24),(25)に従って推定される。

 X f =X[Is 2 +(C f +C r )s+(K f +K r )]
     /[(α Cf C f s+α Kf K f )+(α Cr C r s+α Kr K r )e - τ s ] ・・・(24)
 X r =X f e - τ s  ・・・(25)

 本強制力低減型ロール抑制力制御では、上 第1推定手法と第2推定手法とが選択的に採 される。後輪側ばね下部相対変位量X r の推定には、前記式(9)の近似式が用いられる 。それによる推定の精度等の理由から、車両 が低速走行している場合には、第1推定手法 従うばね下部相対変位量X f ,X r の推定精度が悪くなってしまう。そこで、本 強制力低減型ロール抑制制御では、車速vが 定閾速度v 0 以下のときには、第2推定手法に従う推定が われ、設定閾速度より大きい場合には、第1 定手法に従う推定が行われるようにされて る。ちなみに、本システム10では、設定閾 度v 0 は、20km/hに設定されている。2つの推定手法 いずれが採用される場合であっても、前輪 および後輪側のばね下部相対変位量X f ,X r が推定され、その推定されたばね下部相対変 位量X f ,X r に基づいて、上記式(20)に従って、強制力低 型ロール抑制力F R が決定される。

 iii-c)ロール抑制力の低減率の変更
 次に、ロール強制力の低減率、つまり、上 抑制力低減ゲインの設定に関して説明する 本強制力低減モデルにおいて、ロール強制 は、前輪側および後輪側の左右のばね下部 相対変位に依存して、相対ストローク対応 プリング144f,144rと相対ストローク対応ダン 146f,146rによって発生させられる力である。 体的には、前記式(16),(17)における右辺が示 力であり、前輪側ロール強制力F Ef ,後輪側ロール強制力F Er は、それぞれ、下記式(26),(27)のように表し、 総称的にロール強制力F E として表せば、下記式(28)のようになる。

 F Ef =(α Cf C f s+α Kf K f )X f  ・・・(26)
 F Er =(α Cr C r s+α Kr K r )X r  ・・・(27)
 F E =(α C Cs+α K K)X ・・・(28)

上記式(28)から解るように、(α C CsX)は、ダンパ強制力であり、(α K KX)は、スプリング強制力である。

 図8は、ばね下部相対変位,車体のロールを 動と考えた場合のロール強制力F E の位相について説明するための概念図である 。図8(a)に示すように、スプリング強制力(便 的にベクトル(α K KX)とする)の位相は、ばね下部の相対変位(便 的にベクトルXとする)の位相と一致してお 、ダンパ強制力(便宜的にベクトル(α C CsX)とする)の位相は、ばね下部の相対変位の 相に対して90゜進む状態となる。ロール強 力F E は、スプリング強制力とダンパ強制力とが合 成されたものであることから、スプリング強 制力およびダンパ抑制力の各々の低減率(1-α) 、つまり、上記強制力低減ゲインαを変更す ことで、ロール強制力F E の位相を変更することが可能となる。

 具体的に言えば、図8(b)に示すように、スプ リング強制力の低減率(1-α K )をダンパ抑制力の低減率(1-α C )に対して大きくする、つまり、スプリング 制力の強制力低減ゲインα K をダンパ強制力の強制力低減ゲインα C に対して小さくすることにより、ロール強制 力F E の位相は、ばね下部の相対変位Xの位相に対 てより進むことになる。逆に、図8(c)に示す うに、ダンパ抑制力の低減率(1-α C )をスプリング強制力の低減率(1-α K )に対して大きくする、つまり、ダンパ強制 の強制力低減ゲインα C をスプリング強制力の強制力低減ゲインα K に対して小さくすることにより、ロール強制 力F E の位相は、ばね下部の相対変位Xの位相に近 くことになる。

 また、前輪側と後輪側の両方について考え ば、先に説明したように、後輪側のばね下 の相対変位X r の位相は、前輪側のばね下部の相対変位X f の位相に対して遅れる。つまり、前記式(8)に 示すところの後輪側ばね下部変位遅れ(係数e - τ s )が生じる。この遅れは、ばね下部の相対変 Xの振動周波数に依存するものであり、また 車速v,トレッドTに依存する。一方、本シス ム10が搭載されている車両においては、ロ ル共振周波数が約2Hzとなっており、路面起 起因ロール抑制制御では、その周波数およ その周波数近傍のロール振動を効果的に抑 することを主眼としている。そのことに鑑 て、2Hzの振動周波数を有するばね下部の相 変位Xについて考察すれば、本車両では、例 ば、車速が90km/hの場合には、前輪側のばね 部の相対変位X f の位相に対して、後輪側のばね下部の相対変 位X r の位相は、90゜弱遅れ、例えば、車速が30km/h 場合には、270゜弱遅れることになる。

 全体のロール強制力F E は、前輪側ロール強制力F Ef と後輪側ロール強制力F Er とが合成されたものであり、全体のロール強 制力F E を低減させることが、本強制力低減型ロール 抑制制御の目的であることから、車速vに応 て、強制力低減ゲインαを変更することが望 ましいことになる。具体的に言えば、図9に すように、例えば、車速が90km/hにおいては 前輪側スプリングゲインα Kf が大きく、前輪側ダンパゲインα Cf が小さく、後輪側スプリングゲインα Kr が小さく、後輪側ダンパゲインα Cr が大きい場合(図9(a)参照)に比べ、前輪側スプ リングゲインα Kf が小さく、前輪側ダンパゲインα Cf が大きく、後輪側スプリングゲインα Kr が大きく、後輪側ダンパゲインα Cr が小さい場合(図9(b)参照)の方が、全体のロー ル強制力F E が小さくなる。逆に、車速が30km/hにおいては 、前輪側スプリングゲインα Kf が小さく、前輪側ダンパゲインα Cf が大きく、後輪側スプリングゲインα Kr が大きく、後輪側ダンパゲインα Cr が小さい場合(図9(c)参照)に比べ、前輪側スプ リングゲインα Kf が大きく、前輪側ダンパゲインα Cf が小さく、後輪側スプリングゲインα Kr が小さく、後輪側ダンパゲインα Cr が大きい場合(図9(d)参照)の方が、全体のロー ル強制力F E が小さくなる。

 したがって、大まかに言えば、車速vが高い ときには、車速vが低いときに比較して、前 側スプリングゲインα Kf を小さく、前輪側ダンパゲインα Cf を大きく、後輪側スプリングゲインα Kr を大きく、後輪側ダンパゲインα Cr を小さくすることが望ましいのである。つま り、前輪側スプリング強制力の低減率(1-α Kf )を大きく、前輪側ダンパ強制力の低減率(1-α Cf )を小さく、後輪側スプリング強制力の低減 (1-α Kr )を小さく、後輪側ダンパ強制力の低減率(1-α Cr )を大きくすることが望ましいのである。

 その一方で、上記減衰力低減モデルによれ 、路面の起伏によってばね下部の相対変位 生じてから、相対ストローク対応スプリン 144および相対ストローク対応ダンパ146によ てロール強制力が車体に作用させられるま には、ある程度の時間的な遅れ、つまり、 ール強制力作用遅れが存在する。この遅れ 、ロール抑制スプリング152およびロール抑 ダンパ154がロールを抑制しようとする力の れにも繋がる。また、ロール強制力作用遅 は、ロール強制力を低減させるほど大きく る。したがって、上述の後輪側ばね下部変 遅れをも加味して考えれば、前輪側ロール 制力F Ef を低減させずに、その分後輪側ロール抑制力 F Er を大きく低減させることが望ましい。そのよ うに強制力低減ゲインαを設定すれば、前輪 のばね下部相対変位から比較的早い段階で 後輪側のばね下部相対変位よりも比較的大 く先行して、ロール抑制スプリング152およ ロール抑制力ダンパ154による力を車体に作 させることができるのである。

 上述したロール強制力作用遅れによる制御 応答性の悪化は、車速がある程度を超えて い場合に、比較的顕著であるため、本強制 低減型ロール抑制制御では、車速が前述の 定閾速度v 0 (20km/h)を超えた場合に、前輪側スプリングゲ ンα Kf および前輪側ダンパゲインα Cf の値を“1”(低減率0)に、後輪側スプリング インα Kr および後輪側ダンパゲインα Cr の値を“0”(低減率1)にしている。つまり、 のように設定された強制力低減モデルは、 輪側ロール強制力F Ef が低減させられておらず、かつ、後輪側ロー ル強制力F Er が発生しないモデルとなる。さらに言えば、 そのような強制力低減モデルを採用した強制 力低減型ロール抑制制御は、当該制御を後輪 側に特化した制御と考えることができるので ある。

 以上のことに鑑みて、本強制力低減型ロー 抑制制御においては、図10に示すように、 速vに応じて、各強制力低減ゲインがα Kf Cf Kr Cr 変更される。詳しく説明すれば、車速vが、 定閾速度v 0 以下では、前輪側スプリングゲインα Kf および前輪側ダンパゲインα Cf の値が、ともに“1”とされ、後輪側スプリ グゲインα Kr および後輪側ダンパゲインα Cr の値が“0”とされる。車速vが設定閾速度v 0 より高い場合には、後輪側スプリングゲイン α Kr および後輪側ダンパゲインα Cr の値は、車速vが高くなるにつれて、大きく れる。車速vが設定閾速度v 1 以上となった場合には、前輪側スプリングゲ インα Kf の値は、車速vが高くなるにつれて小さくさ る。車速vが設定閾速度v 2 以上となった場合には、車速vに応じて大き されていた後輪側ダンパゲインα Cr の値が、逆に、車速vが高くなるにつれて小 くなるようにされる。車速vが設定閾速度v 3 以上となった場合には、前輪側ダンパゲイン α Cf の値が、車速vが高くなるにつれて、大きく れる。これらの強制力低減ゲインαの変更は 、その値の変化が連続的になるように行われ る。また、前輪側ダンパゲインα Cf ,後輪側スプリングゲインα Kr は、ある程度車速vが高くなると、その値が 1”を超えるように変化させられる。この図1 0に示す関係は、強制力低減ゲイン変更マッ として、コントローラ96に格納されている。

 (iv)2つのタイプの制御の選択と重み付け
 路面起伏起因ロール抑制制御では、上述し 2つのタイプの制御、つまり、スカイフック 型ロール抑制制御と強制力低減型ロール抑制 制御が、情況に応じて、選択的に、あるいは 、同時に実行される。

 車両が低速走行している場合には、前記式( 9)に従う後輪側ばね下部変位遅れの推定精度 比較的低い。そして、先に説明したように 前輪側スプリングゲインα Kf および前輪側ダンパゲインα Cf の値を“1”に、後輪側スプリングゲインα Kr および後輪側ダンパゲインα Cr の値を“0”にした場合の強制力低減型ロー 抑制制御、つまり、後輪側に特化した強制 低減型ロール抑制制御を車両の低速域にお て実行すれば、路面起伏起因ロール抑制制 の応答性の改善が期待できる。そのため、 路面起伏起因ロール抑制制御では、車速vが に説明した設定閾速度v 0 (20km/h)以下である場合には、後輪側に特化し 強制力低減型ロール抑制制御が実行され、 カイフック型ロール抑制制御は実行されな ようにされている。したがって、下記式(29) のように、前記式(20)に従って決定される強 力低減型ロール抑制力F R が、本路面起伏起因ロール抑制制御において 前輪側および後輪側のスタビライザ装置14に って発生させられるべき目標路面起伏起因 ール抑制力F U とされる。

 F U =F R  ・・・(29)

 一方で、車両が比較的高速で走行している 合であっても、比較的高い周波数域のばね 部相対変位振動、ロール振動に対しては、 述の後輪側ばね下部変位遅れの推定精度が 較的悪いといった理由等から、スタビライ 装置14が発生させるべきロール抑制力の決 精度が比較的低いものとなる。そこで、本 面起伏起因ロール抑制制御では、車速vが、 定閾速度v 0 を超えている場合に、発生しているロール振 動の周波数に応じた重み付けをして、2つの イプの制御を同時に行うようにされている

 具体的には、1対の上下加速度センサ114によ る前述の上下加速度G XL ,G XR の検出値に基づいて、発生しているロール振 動の様子が推定される。その推定結果にフィ ルタ処理を施すことで、ロール振動の高周波 成分と低周波成分が特定される。より詳しく 言えば、2Hzを超える振動をカットするハイカ ットフィルタによる処理で、低周波成分が特 定され、2Hz以下の振動をカットするローカッ トフィルタによる処理で、高周波成分が特定 され、それぞれの強度(例えば、振幅等)が求 られる。求められた低周波振動成分強度I L および高周波振動成分強度I H に基づいて、下記式(30)に従って、スカイフ ク型ロール抑制力F S と強制力低減型ロール抑制力F R とが重み付けして合計される。この重み付け 和が、路面起伏起因ロール抑制制御において 前輪側および後輪側のスタビライザ装置14に って発生させられるべき目標路面起伏起因 ール抑制力F U となる。ちなみに、I L /(I L +I H )およびI H /(I L +I H )の各々は、設定重み付け係数としての機能 有する。

 F U =F R I L /(I L +I H )+F S I H /(I L +I H ) ・・・(30)

  I L :低周波振動成分強度
  I H :高周波振動成分強度

この結果、車両走行速度が、設定閾速度v 0 を超えている場合において、高周波振動成分
が相対的に大きいときには、スカイフック型 ロール抑制制御に重きが置かれ、低周波振動 成分が相対的大きいときには、強制力低減型 ロール抑制制御に重きが置かれた路面起伏起 因ロール抑制制御が実行されることになる。

 (c)2つのロール抑制制御の統合とスタビライ ザ装置の作動制御
 以上のようにして決定された目標車両旋回 因ロール抑制力F T および標路面起伏起因ロール抑制力F U は、下記式(31)のようにして、単純に、合計 れる。その合計が、車両旋回起因ロール抑 制御と路面起伏ロール抑制制御とが統合さ たロール抑制制御において、前輪側および 輪側のスタビライザ装置14によって発生させ られるべきロール抑制力である目標ロール抑 制力F * となる。

 F * =F T +F U  ・・・(31)

 上記のように決定された目標ロール抑制力F * は、所定のロール剛性配分係数βに基づき、 記式(32),(33)に従って、目標前輪側装置個別 ール抑制力F Df と目標後輪側装置個別ロール抑制力F Dr とに配分される。それらは、それぞれ、前輪 側スタビライザ装置14f,後輪側スタビライザ 置14rの目標装置個別ロール抑制力F D である。

 F Df =βF *  ・・・(32)
 F Dr =(1-β)F *  ・・・(33)

上記式(32),(33)から解るように、β:(1-β)が、前 輪側スタビライザ装置14fと後輪側スタビライ ザ装置14rへの目標ロール抑制力F * の設定配分比となる。

 ところが、目標前輪側装置個別ロール抑制 F Df と目標後輪側装置個別ロール抑制力F Dr とのいずれか一方が、設定閾ロール抑制力F MAX を超えている場合は、その一方に対応する前 輪側スタビライザ装置14fと後輪側スタビライ ザ装置14rとの一方に負荷があると判断される 。その判断に基づき、上記ロール剛性配分係 数βが、調整ロール剛性配分係数β’に変更 れ、その調整ロール剛性配分係数β’に基づ いて、上記式(32),(33)に従い、目標前輪側装置 個別ロール抑制力F Df および目標後輪側装置個別ロール抑制力F Dr が調整される。つまり、上述の設定配分比が 変更されるのである。

 詳しく説明すれば、この調整ロール剛性配 係数β’に基づけば、設定閾ロール抑制力F MAX を超えた目標前輪側装置個別ロール抑制力F Df と目標後輪側装置個別ロール抑制力F Dr との一方が、設定閾ロール抑制力F MAX とされる。そして、目標前輪側装置個別ロー ル抑制力F Df と目標後輪側装置個別ロール抑制力F Dr との他方は、前記一方と設定閾ロール抑制力 F MAX との差分δFが加算された大きさとなる。なお 、その場合、その他方が、設定閾ロール抑制 力F MAX を超えるときには、その他方も、設定閾ロー ル抑制力F MAX とされる。つまり、調整ロール剛性配分係数 β’は、目標前輪側装置個別ロール抑制力F Df と目標後輪側装置個別ロール抑制力F Dr との両方ともが設定閾ロール抑制力F MAX を超えないような値に、変更されるのである 。

 なお、厳密に言えば、スタビライザ装置14 負荷は、前述の基本ロール抑制力(K S S T )と制御ロール抑制力(K S D)との合計に基づいて判断すべきである。し し、多くの場合、両者の合計は、制御ロー 抑制力(K S D)が大きくなる程大きくなることから、本シ テム10におけるロール抑制制御では、制御 理の簡便化のため、制御ロール抑制力(K S D)である上記目標装置個別ロール抑制力F D をもってして、スタビライザ装置14の負荷を 断している。

 上述のように決定されたあるいは決定され 後調整された目標前輪側装置個別ロール抑 力F Df および目標後輪側装置個別ロール抑制力F Dr に基づき、前輪側および後輪側のスタビライ ザ装置14の各々の作動制御が行われる。先ず 下記式(34),(35)に従って、前輪側スタビライ 装置14fの作動量Dである前輪側スタビライザ 装置作動量D f と、後輪側スタビライザ装置14rの作動量Dで る後輪側スタビライザ装置作動量D r とが決定される。

 D f =F Df /K Sf  ・・・(34)
 D r =F Dr /K Sr  ・・・(35)

 上記決定された前輪側スタビライザ装置作 量D f および後輪側スタビライザ装置作動量D r に基づき、下記式(36),(37)に従って、前輪側ス タビライザ装置14fのアクチュエータ26の目標 動量A f * および後輪側スタビライザ装置14rのアクチュ エータ26の目標作動量A r * が決定される。ちなみに、下記式(36),(37)にお けるR,L A は、それぞれ、第2ロアアーム38のレバー比, タビライザバー20のアーム部52の長さである

 A f * =D f R/L A  ・・・(36)
 A r * =D r R/L A  ・・・(37)

上記決定されたアクチュエータ26の目標作動 A f * ,A r * に基づき、前輪側および後輪側のスタビライ ザ装置14の各々のアクチュエータ26の作動制 が行われる。アクチュエータ26の作動量Aと 電動モータ60の回転角であるモータ回転角θ は、減速機62の減速比によって対応付けら ている。そのため、アクチュエータ26の作動 制御はモータ回転角θに基づいて行われる。 ず、各アクチュエータ26の目標作動量A f * ,A r * に基づいて、各電動モータ60の制御の目標と る目標モータ回転角θ f * r * が決定される。各電動モータ60の実際のモー 回転角である実モータ回転角θ f r は、モータ回転角センサ78によって検出され おり、それぞれの電動モータ60の実モータ 転角θ f r が、それぞれの目標モータ回転角θ f * r * になるように、電動モータ60が制御されるの ある。

 電動モータ60の制御は、供給電流が決定さ 、その決定された供給電流を電動モータ60に 供給することによって行われる。供給電流は 、各電動モータ60の実モータ回転角θ f r の目標モータ回転角θ f * r * に対する偏差であるモータ回転角偏差δθ f ,δθ r (=θ * -θ)に基づいて決定される。詳しく言えば、 ータ回転角偏差δθに基づくフィードバック 御の手法に従って決定される。具体的には まず、各電動モータ60が備えるモータ回転 センサ78の検出値に基づいて、各電動モータ 60の上記モータ回転角偏差δθ f ,δθ r が認定され、次いで、それらをパラメータと して、下記式(38),(39)に従って、各電動モータ 60についての目標供給電流i f * ,i r * が決定される。

 i f * P δθ f I I nt (δθ f ) ・・・(38)
 i r * P δθ r I I nt (δθ r ) ・・・(39)

  δθ f ,δθ r :モータ回転角偏差
  I nt (δθ f ),I nt (δθ r ):偏差の時間的積分値
  γ P :比例項ゲイン
  γ I :積分項ゲイン

上記式は(38),(39)は、PI制御則に従う式であり 第1項,第2項は、それぞれ、目標供給電流i * の、モータ回転角偏差δθに関する比例項成 、積分項成分を意味する。このような供給 流が電動モータ60に供給されることにより、 スタビライザ装置14は、適切な目標ロール抑 力F * を発生させる。

≪制御装置の機能構成≫
 本システム10における上記ロール抑制制御 、制御装置としてのECU90のコントローラ96が 所定のロール抑制制御プログラムを実行す ことによって行われる。コントローラ96は そのプログラムの実行によって、それぞれ 、自身に割り当てられた処理を実行する複 の機能部を有することになる。以下、コン ローラ96の複数の機能部の各々と、その各々 による処理を、ロール抑制制御についての先 の説明を参照しつつ説明する。

 コントローラ96は、図11に示すように、2つ ロール抑制力決定部として、車両旋回起因 ール抑制力決定部200と、路面起伏起因ロー 抑制力決定部202とを有している。車両旋回 因ロール抑制力決定部200は、ステアリング イールの操作角δおよび車速vと、実横加速 G Yr とに基づいて、先に説明した処理を実行して 目標車両旋回起因ロール抑制力F T を決定する。路面起因起伏ロール抑制力決定 部202は、測定された前輪側相対ストローク量 S Tf 若しくは車体のロール量Xに基づいて、目標 面起伏起因ロール抑制力F U を決定する。この決定部202の詳細については 、後に詳しく説明する。

 上記前輪側相対ストローク量S Tf は、ストロークセンサ112によって検出された 前輪側の左右のストローク量S Lf ,S Lr に基づいて、相対ストローク量算定部204によ って算定され、その算定部204から路面起因起 伏ロール抑制力決定部202に入力される。また 、上記車体のロール量Xは、上下加速度セン 114によって検出された車体の左右の所定部 の上下加速度G XL ,G XR に基づいて、車体ロール量算定部206によって 算定され、その算定部206から、路面起因起伏 ロール抑制力決定部202に入力される。また、 目標路面起伏起因ロール抑制力F U の決定の際の車両旋回起因ロール抑制制御に よる影響を排除するため、旋回依拠抑制量認 定部208によって、目標車両旋回起因ロール抑 制力F T に基づいて、抑制相対ストローク量δS T および抑制ロール量δXが認定される。それら 抑制相対ストローク量δS T および抑制ロール量δXは、旋回依拠抑制量認 定部208から、路面起因起伏ロール抑制力決定 部202に入力される

 また、コントローラ96において、目標車両 回起因ロール抑制力F T と目標路面起伏起因ロール抑制力F U とが加算されて、目標ロール抑制力F * が決定される。コントローラ96は、ロール抑 力配分部210を有しおり、その配分部210は、 標ロール抑制力F * を、目標前輪側装置個別ロール抑制力F Df と、目標後輪側装置個別ロール抑制力F Dr
とに配分する。この配分部210の詳細について は、後に説明する。さらに、コントローラ96 、作動制御部212を有している。この作動制 部212は、前輪側および後輪側の装置個別ロ ル抑制力F Df ,F Dr から、先に説明したような処理に従って、左 右のスタビライザ装置14の各々のアクチュエ タ26が有する電動モータ60への目標供給電流 i f * ,i r * を決定し、それら目標供給電流i f * ,i r * に関する指令を、各インバータ92に送る。な 、ロール抑制制御において使用されるマッ ,データ等は、データ格納部214に格納されて いる。具体的に言えば、データ格納部214には 、先に説明した車両旋回起因ロール抑制力マ ップ,強制力低減ゲインαに関する強制力低減 ゲイン変更マップ,設定ロール剛性配分係数β 等が格納されている。

 路面起伏起因ロール抑制力決定部202は、図1 2に示すように、2つのロール抑制力決定部と て、スカイフック型ロール抑制力決定部216 よび強制力低減型ロール抑制力決定部218を している。詳細については後に説明するが これらの決定部216,218は、先に説明した処理 に従って、前輪側相対ストローク量S Tf ,車体のロール量X,抑制相対ストローク量δS T および抑制ロール量δXのうちの必要なものに 基づいて、それぞれ、スカイフック型ロール 抑制力F S ,強制力低減型ロール抑制力F R を決定する。

 上記決定された2つのロール抑制力F S ,F R は、重み付け加算部220において合計される。 重み付け加算部220は、先に説明したように、 ロール振動の周波数成分に基づく重み付けを 行う。具体的に言えば、周波数成分強度算出 部222おいて、車体の左右の所定部位の上下加 速度G XL ,G XR に基づいて、ロール振動の低周波振動成分強 度I L および高周波振動成分強度I H が求められる。これら強度I L ,I H に基づいて、スカイフック重み付け部224,強 力低減重み付け部226は、それぞれ、スカイ ック型ロール抑制力F S ,強制力低減型ロール抑制力F R に対する重み付けを行う。先に説明したよう に、各重み付け部224,226による重み付けには 設定重み付け係数として、それぞれI H /(I L +I H ),I L /(I L +I H )の値が用いられる。

 また、路面起伏起因ロール抑制力決定部202 、抑制力選択部228を有している。この抑制 選択部228では、重み付けして加算された上 2つのロール抑制力F S ,F R の加算値と、強制力低減型ロール抑制力F R との一方を目標路面起伏起因ロール抑制力F U とするための選択処理が実行される。具体的 には、先に説明したように、車速vが設定閾 度v 0 以下の場合には、強制力低減型ロール抑制力 F R が、設定閾速度v 0 を超えている場合には、上記2つのロール抑 力F S ,F R の加算値が、それぞれ、目標路面起伏起因ロ ール抑制力F U とされる。この抑制力選択部228は、車速vが 定閾速度v 0 以下の場合において、スカイフック型ロール 抑制制御を実行されないようにする機能を有 している。

 スカイフック型ロール抑制力決定部216は、 13に示すような機能構成を有しており、先 説明したスカイフックモデルに従って、車 のロール量Xを推定し、その推定結果に基づ て、スカイフック型ロール抑制力F S を決定する。その機能を発揮するため、当該 決定部216は、車体ロール推定部230と、抑制力 算出部232とを有している。当該決定部216では 、測定された前輪側相対ストローク量S Tf に対する抑制相対ストローク量δS T よる補正処理が行われる。車体ロール推定部 230は、その補正処理が施された前輪側相対ス トローク量S Tf を基に、前述の推定式に従って、車体のロー ル量Xを推定する。抑制力算出部232は、推定 れた車体のロール量Xに基づいて、前述の決 式に従って、スカイフック型ロール抑制力F S を決定する。

 強制力低減型ロール抑制力決定部218は、図1 4に示すような機能構成を有しており、先に 明した強制力低減モデルに従って、前輪側 ね下部相対変位量X f ,後輪側ばね下部相対変位量X r を推定し、その推定結果に基づいて、強制力 低減型ロール抑制力F R を決定する。当該決定部218では、上記ばね下 部相対変位量X f ,X r の推定手法として2つの手法を選択的に行う うにされており、それら2つの推定手法に対 して、第1前輪ばね下部変位量推定部234,第2 輪ばね下部変位量推定部236の2つの推定部を 有している。

 当該決定部218では、測定された前輪側相対 トローク量S Tf および車体のロール量Xに対して、それぞれ 抑制相対ストローク量δS T ,抑制ロール量δXによる補正処理が行われる 第1前輪ばね下部変位量推定部234は、補正が された前輪側相対ストローク量S Tf を基に、前述した第1推定手法における推定 に従って、前輪側ばね下部相対変位量X f を推定する。一方、第2ばね下部変位量推定 236は、補正が施された車体のロール量Xを基 、前述した第2推定手法における推定式に従 って、前輪側ばね下部相対変位量X f を推定する。

 上記2つの推定部234,236によって推定された 輪側ばね下部相対変位量X f のうちのいずれを採用するかが、変位量選択 部238に決められる。変位量選択部238では、車 速vが上記設定閾速度v 0 以下の場合に、第2ばね下部変位量推定部236 よって推定された前輪側ばね下部相対変位 X f が選択され、設定閾速度v 0 を超えている場合に、第1ばね下部変位量推 部234によって推定された前輪側ばね下部相 変位量X f が選択される。後輪ばね下部変位量推定部240 は、選択された前輪側ばね下部相対変位量X f に基づき、前述の推定式に従い、後輪側ばね 下部相対変位量X r を推定する。そして、前輪抑制力決定部242, 輪抑制力決定部244は、それぞれ、推定され 前輪側および後輪側のばね下部ばね下部相 変位量X f ,X r に基づき、前述の決定式に従って、前輪側ロ ール抑制力F Rf ,後輪側ロール抑制力F Rr を決定する。それら、ロール抑制力F Rf ,F Rr が合計されて、強制力低減型ロール抑制力F R が決定される。

 上述した前輪側ばね下部相対変位量X f の推定式に用いられている強制力低減ゲイン αは、それらの値がデータ格納部214に格納さ た上述した強制力低減ゲイン変更マップを 照して設定される。図10に示すように、強 力低減ゲインαは、車速vに応じて変更され 強制力低減型ロール抑制力F R が比較的小さくなるような値とされる。ちな みに、強制力低減ゲインαは、上記設定閾速 v 0 以下の場合には、前輪側ロール抑制力F Rf が発生しないような値に設定される。その一 方で、その場合には、先に説明したように、 抑制力選択部228によって、スカイフック型ロ ール抑制力F S が目標路面起伏起因ロール抑制力F U には含まれないようにされる。したがって、 車速vが設定閾速度v 0 以下の場合には、後輪側に特化された強制力 低減型ロール抑制力F R が、目標路面起伏起因ロール抑制力F U に決定されることになる。

 前述のロール抑制力配分部210は、図15に示 ように構成されている。ロール抑制力配分 210は、前輪配分部246,後輪配分部248を有し、 れら前輪配分部246,後輪配分部248は、設定ロ ール剛性配分係数βに基づいて、目標ロール 制力F * を、目標前輪側装置個別ロール抑制力F Df と、目標後輪側装置個別ロール抑制力F Dr とに配分する。配分比調整部250は、先に説明 したように、配分された前輪側および後輪側 の目標装置個別ロール抑制力F Df ,F Dr のいずれもが、設定閾ロール抑制力F MAX を超えないようにする機能を有している。具 体的には、それら目標装置個別ロール抑制力 F Df ,F Dr のいずれかが設定閾ロール抑制力F MAX を超えた場合に、新たな係数として、調整ロ ール剛性配分係数β’を設定する。そして、 輪配分部246,後輪配分部248は、その新たな係 数β’を用いて目標ロール抑制力F * の再配分を行う。すなわち、本ロール抑制力 配分部210は、ロール剛性配分を変更すること でスタビライザ装置14の負荷が過大とならな ようにする機能を有しているのである。




 
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