Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
AUTOMATIC TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102887
Kind Code:
A1
Abstract:
A clutch unit for an automatic transmission, compact in the axial direction and having a simple oil path. One clutch (C3) and the other clutch (C4) that have hydraulic servos (20, 40), respectively, and cancel oil chambers (28, 48), respectively, are arranged at radially different positions in an axially overlapped manner. Oil is supplied from oil holes (b) to a hydraulic oil chamber (27) of the one clutch (C3) through a gap (B) between an inner wall of an outer drum (222) and an outer surface (71) of an inner drum (221), and lubrication oil is supplied from oil holes (a) to the cancel oil chamber (28) through a gap (A) between a clutch drum (42) of the other clutch (C4) and a rear surface (70) of the inner drum (221). In the gap (B), a groove (74) facing openings (b2) of the oil holes (b) are formed in the inner wall of the outer drum (222). In the gap (A), a space portion (A'), where no projections (72) having oil holes (b) are present, is placed in the same phase as the oil holes (a).

Inventors:
NISHIDA MASAAKI (JP)
KATOU HIROSHI (JP)
KITOU MASASHI (JP)
IIZUKA KOHEI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/053099
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 22, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
AISIN AW CO (JP)
NISHIDA MASAAKI (JP)
KATOU HIROSHI (JP)
KITOU MASASHI (JP)
IIZUKA KOHEI (JP)
International Classes:
F16D25/12; F16D13/60; F16D25/063; F16D25/0638; F16D25/10; F16H3/62; F16H3/66
Foreign References:
JP2006342845A2006-12-21
JPH01210624A1989-08-24
JP3121527U2006-05-18
JPH07269665A1995-10-20
Other References:
See also references of EP 2088344A4
Attorney, Agent or Firm:
CHIKASHIMA, Kazuo (9-7 Shibaura 1-chom, Minato-ku Tokyo 23, JP)
Download PDF:
Claims:
 軸方向にオーバラップしかつ径方向の異なる位置に配置されてなる2つのクラッチを備え、前記2つのクラッチは、それぞれクラッチドラムと、該クラッチドラムの一部をシリンダとして油圧サーボを構成するピストンと、前記クラッチドラムに係合する多数の摩擦板と、前記ピストンの背面側に配置されて前記油圧サーボに作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセル油室と、を有してなる、自動変速機において、
 前記2つのクラッチのうちの外径側に位置する一方のクラッチの前記油圧サーボ及び前記キャンセル油室は、内径側に位置する他方のクラッチの前記油圧サーボ及びキャンセル油室に対してそれぞれ外径側に配置され、
 前記一方のクラッチのクラッチドラムは、ボス部及びピストン支持部を有する内周側部材と、ドラム部及び底部を有する外周側部材と、を一体に構成してなり、
 前記内周側部材と前記外周側部材との間に、前記一方のクラッチの油圧サーボに油圧を給排する油路を形成してなる、
 ことを特徴とする自動変速機。
 前記一方のクラッチのクラッチドラムが、前記他方のクラッチのクラッチドラムを内包するように配置され、
 前記外周側部材の底部と前記内周側部材のピストン支持部との間に前記油路を形成してなる、
 請求項1記載の自動変速機。
 前記外周側部材の前記内周側部材に対向する内壁に溝を備え、該溝が、前記油路を構成してなる、
 請求項1又は2記載の自動変速機。
 前記内周側部材と前記外周側部材との間に隙間を備え、該隙間が、前記油路を構成してなる、
 請求項1乃至3のいずれか記載の自動変速機。
 前記内周側部材の前記ボス部に、前記油路に連通する油孔と、前記一方のクラッチのキャンセル油室にオイルを供給する油孔とが周方向に位相をずらして配設されてなる、
 請求項4記載の自動変速機。
 前記内周側部材に、前記他方のクラッチのクラッチドラムに向けて突設するリブ状の複数の突起を備え、
 前記突起内に、前記油孔を内蔵すると共に、該油孔の開口部と前記溝とが整列するように配置してなる、
 請求項5記載の自動変速機。
 前記他方のクラッチのクラッチドラムと前記内周側部材のボス部とに前記ピストンを嵌合して前記他方の油圧サーボを構成し、
 前記ボス部の内周方向に複数箇所に、前記他方の油圧サーボへの油圧を給排する油孔を形成してなる、
 請求項1乃至6のいずれか記載の自動変速機。
 駆動源からの入力回転が入力される入力軸と、
 ケース又は該ケースと一体の固定部材に対して回転固定された第1のサンギヤと、前記入力軸に連結される第1のキャリヤと、それら回転固定された第1のサンギヤ及び入力回転が入力される前記第1のキャリヤによって減速回転を出力する第1のリングギヤと、からなる減速プラネタリギヤと、
 第1のクラッチの係合により前記第1のリングギヤの減速回転を入力する第2のサンギヤと、第3のクラッチの係合により前記第1のリングギヤの減速回転を入力し、かつ第4のクラッチの係合により前記第1のキャリヤを介した前記入力軸の回転を入力し、かつ第1のブレーキの係止により回転が固定される第3のサンギヤと、前記第3のサンギヤに噛合するロングピニオン並びに該ロングピニオン及び前記第2のサンギヤに噛合するショートピニオンを有し、第2のブレーキの係止により回転が固定され、かつ第2のクラッチの係合により前記入力軸の回転を入力する第2のキャリヤと、前記ロングピニオンに噛合すると共に、出力部材に回転連結される第2のリングギヤと、からなるプラネタリギヤセットと、を備え、
 前記一方のクラッチは、前記第3のクラッチであり、
 前記他方のクラッチは、前記第4のクラッチであり、
 前記第1のクラッチを係合すると共に、前記第2のブレーキを係止することにより前進1速段を、
 前記第1のクラッチを係合すると共に、前記第1のブレーキを係止することにより前進2速段を、
 前記第1のクラッチと前記第3のクラッチとを係合することにより前進3速段を、
 前記第1のクラッチと前記第4のクラッチとを係合することにより前進4速段を、
 前記第1のクラッチと前記第2のクラッチとを係合することにより前進5速段を、
 前記第2のクラッチと前記第4のクラッチとを係合することにより前進6速段を、
 前記第2のクラッチと前記第3のクラッチとを係合することにより前進7速段を、
 前記第2のクラッチを係合すると共に、前記第1のブレーキを係止することにより前進8速段を、
 前記第3のクラッチ又は前記第4のクラッチを係合すると共に、前記第2のブレーキを係止することにより後進段を、それぞれ達成してなる、
 請求項1乃至7のいずれか記載の自動変速機。
Description:
自動変速機

 本発明は、例えば車輌等に搭載される自 変速機に係り、詳しくは軸方向にオーバラ プして半径方向の異なる位置に配置した2つ のクラッチを備えた自動変速機に関する。

 近時、車輌に搭載される自動変速機は、 えば前進8速段等の多段化が図られていると 共に、車輌搭載性の観点から、多くの構成部 品、例えばクラッチをコンパクトに配置する ことが求められている。

 従来、入出力部材の一方を共通にして他 を異にする2つのクラッチを、軸方向にオー バラップして径方向の異なる位置に配置して 、コンパクト化、特に軸方向のコンパクト化 を図った自動変速機が提案されている(特開 7-269665号公報参照)。上記2つのクラッチは、 板からなる摩擦板、これら摩擦板を操作す 油圧サーボ、並びに油圧サーボの油圧室の 心油圧をキャンセルするキャンセル油室が れぞれ軸方向にオーバラップして配置され いる。

 上記2個の油圧サーボ及びキャンセル油室 は、タービンシャフトと一体のクラッチドラ ムに配置されており、該2個の油圧サーボに 、上記クラッチドラムに形成された油孔を してそれぞれ油圧が供給される。特に外径 の油圧サーボには内径側のクラッチドラム 外側にて独立して形成された油路及び該内 側のクラッチドラムに形成された油路を介 て油圧が供給されている。

 また、上記2個のキャンセル油室のうちの 内径側のキャンセル油室には、クラッチドラ ムのボス部に形成された油孔を介して直接オ イルが供給され、外径側のキャンセル油室に は、上記内径側のキャンセル油室のオイルが 、内径側のクラッチのピストンに設けた油路 及び上記固定部材である内径側のクラッチド ラムに形成された油路を介して供給されてい る。

 上記2つのクラッチは、径方向の異なる位 置において、軸方向にオーバラップすること によって軸方向の短縮化を図っているが、油 圧サーボ及びキャンセル油室へ油圧(又はオ ル)を供給する油路が複雑化してしまってい 。

 とりわけ外径側の油圧サーボに油圧を供 するには、内径側のクラッチドラムを固定 材とし、その外側に独立した油路を形成す と共に、該内径側のクラッチドラムに形成 れる油路を介して油圧供給しなければなら 、複雑な油路構成となっていた。

 そこで、本発明は、コンパクト、特に軸 向にコンパクトな構成かつ、簡単な油路構 でもって上述した課題を解決した自動変速 を提供することを目的とするものである。

 請求項1に係る本発明は、軸方向にオーバラ ップしかつ径方向の異なる位置に配置されて なる2つのクラッチ(C3,C4)を備え、前記2つのク ラッチ(C3,C4)は、それぞれクラッチドラム(22,4 2)と、該クラッチドラム(22,42)の一部をシリン ダとして油圧サーボ(20,40)を構成するピスト (24,44)と、前記クラッチドラム(22,42)に係合す る多数の摩擦板(21,41)と、前記ピストン(24,44) 背面側に配置されて前記油圧サーボ(20,40)に 作用する遠心油圧をキャンセルするキャンセ ル油室(28,48)と、を有してなる、自動変速機 おいて、
 前記2つのクラッチ(C3,C4)のうちの外径側に 置する一方のクラッチ(C3)の前記油圧サーボ( 20)及び前記キャンセル油室(28)は、内径側に 置する他方のクラッチ(C4)の前記油圧サーボ( 40)及びキャンセル油室(48)に対してそれぞれ 径側に配置され、
 前記一方のクラッチ(C3)のクラッチドラム(22 )は、ボス部(22c)及びピストン支持部(22e)を有 る内周側部材(22 1 )と、ドラム部(22a)及び底部(22b)を有する外周 部材(22 2 )と、を一体に構成してなり、
 前記内周側部材(22 1 )と前記外周側部材(22 2 )との間に、前記一方のクラッチ(C3)の油圧サ ボ(20)に油圧を給排する油路(74,B)を形成して なる、
 ことを特徴とする自動変速機にある。

 請求項1に係る本発明によると、軸方向に オーバラップし、かつ径方向の異なる位置に 2つのクラッチを配置することによって、ク ッチユニットひいては自動変速機を、軸方 にコンパクトに形成することができるもの ありながら、外径側に位置する一方のクラ チの油圧サーボ及びキャンセル油室を、内 側に位置する他方のクラッチの油圧サーボ びキャンセル油室に対してそれぞれ外径側 配置し、前記一方のクラッチの油圧サーボ 、一方のクラッチのクラッチドラムの内周 部材と外周側部材との間に形成した油路を して油圧を給排することにより、簡単な構 の油路で上記一方のクラッチの油圧サーボ 素早く油圧を供給することができると共に 上記外周側部材と、内周側部材とを一体に 成することによって、クラッチの軸方向の なる短縮化を図ることもできる。

 請求項2に係る本発明は、前記一方のクラッ チ(C3)のクラッチドラム(22)が、前記他方のク ッチ(C4)のクラッチドラム(42)を内包するよ に配置され、
 前記外周側部材(22 2 )の底部(22b)と前記内周側部材(22 1 )のピストン支持部(22e)との間に前記油路(74,B) を形成してなる、
 請求項1記載の自動変速機にある。

 請求項2に係る本発明によると、一方のク ラッチのクラッチドラム(C3)に他方のクラッ ドラム(C4)を内包し、かつ外周側部材の底部 内周側部材のピストン支持部との間に前記 路を形成して、自動変速機の軸方向寸法の ンパクト化を図ることができる。

 請求項3に係る本発明は、前記外周側部材(22 2 )の前記内周側部材(22 1 )に対向する内壁(73)に溝(74)を備え、該溝(74) 、前記油路を構成してなる、
 請求項1又は2記載の自動変速機にある。

 請求項3に係る本発明によると、一方のク ラッチのクラッチドラムを構成する外周側部 材の内周側部材と対向する内壁に溝を形成し 、該溝を一方のクラッチの油圧サーボへ油圧 を給排する油路とすることによって、簡単な 構成で外径側に位置する一方のクラッチの油 圧サーボへと油圧を給排することができる。 また、他方のクラッチの油圧サーボと径方向 にオーバラップするクラッチドラム部分を薄 肉に構成し、一方のクラッチの油圧サーボへ の油孔を形成する必要がないことが相俟って 、軸方向の短縮化を図ることもできると共に 、外周側部材の内周側部材と対向する内壁に 溝を備えることによって通油断面積が拡がり 、より素早く上記油圧サーボへの油圧の給排 を行うこともできる。

 請求項4に係る本発明は、前記内周側部材(22 1 )と前記外周側部材(22 2 )との間に隙間(B)を備え、該隙間(B)が、前記 路を構成してなる、
 請求項1乃至3のいずれか記載の自動変速機 ある。

 請求項4に係る本発明によると、一方のク ラッチの外周側部材と内周側部材との間に隙 間を備え、該隙間によって一方のクラッチの 油圧サーボへ油圧を給排する油路を構成する ことによって、周方向全体に面状に拡がる上 記隙間を介して素早く上記油圧サーボへと油 圧を給排することができる。また、請求項3 載の溝による油路と請求項4記載の隙間によ 油路との両方を併存することにより、充分 流量でかつ小さな油路抵抗により、一方の ラッチの油圧サーボへの油圧の給排を素早 かつ正確に行うことができる。

 請求項5に係る本発明は、前記内周側部材(22 1 )の前記ボス部(22c)に、前記油路(74,B)に連通す る油孔(b)と、前記一方のクラッチ(C3)のキャ セル油室(28)にオイルを供給する油孔(a)とが 方向に位相をずらして配設されてなる、
 請求項4記載の自動変速機にある。

 請求項5に係る本発明によると、一方のク ラッチのクラッチドラムの内周側部材のボス 部に、該一方のクラッチの油圧サーボに油を 供給する油孔と、該一方のクラッチのキャン セル油室にオイルを供給する油孔とが周方向 に位相をずらして配設されることによって、 軸方向において上記油孔をオーバラップさせ ることができ、クラッチの軸方向短縮化をし ても油圧又はオイルの供給を正確に行うこと ができる。

 請求項6に係る本発明は、前記内周側部材(22 1 )に、前記他方のクラッチ(C4)のクラッチドラ (42)に向けて突設するリブ状の複数の突起(72 )を備え、
 前記突起内に、前記油孔(b)を内蔵すると共 、該油孔(b)の開口部(b 2 )と前記溝(74)とが整列するように配置してな 、
 請求項5記載の自動変速機にある。

 請求項6に係る本発明によると、前記一方 のクラッチのクラッチドラムを構成する内周 側部材と外周側部材とのうち、該内周側部材 に他方のクラッチのクラッチドラムに向けて 突設するリブ状の複数の突起を備え、該突起 内に一方のクラッチの油圧サーボ供給用の油 孔を内蔵すると共に、該油孔の開口部と、外 周側部材の内壁に設けられた溝とが整列する ように配置することによって、通油断面積を 増大させることができ、円滑に一方のクラッ チの油圧サーボへの油圧の給排を行うことが できる。

 更に、上記内周側部材の空間部分と、外 側部材の溝とが円周方向の異なる位置に位 を違えて配置されると共に、内周部材の溝 対向する位置にはリブ状の突起が設けられ いるため、一方のクラッチドラムは薄肉に 成しても全体として高い剛性を保つことが きる。

 請求項7に係る本発明は、前記他方のクラッ チ(C4)のクラッチドラム(42)と前記内周側部材( 22 1 )のボス部(22c)とに前記ピストン(44)を嵌合し 前記他方の油圧サーボ(C4)を構成し、
 前記ボス部(22c)の内周方向に複数箇所に、 記他方の油圧サーボ(40)への油圧を給排する 孔(c)を形成してなる、
 請求項1乃至6のいずれか記載の自動変速機 ある。

 請求項7に係る本発明によると、他方のク ラッチのクラッチドラムと一方のクラッチの 内周側部材のボス部とにピストンを嵌合して 他方の油圧サーボを構成し、該ボス部の内周 方向に複数箇所に、他方の油圧サーボへの油 圧を給排する油孔を形成することにより、他 方のクラッチの作動開始時に油圧サーボ全体 に油圧を容易に充満させることができる。

 請求項8に係る本発明は、駆動源からの入力 回転が入力される入力軸(7)と、
 ケース又は該ケースと一体の固定部材(6)に して回転固定された第1のサンギヤ(S1)と、 記入力軸に連結される第1のキャリヤ(CR1)と それら回転固定された第1のサンギヤ(S1)及び 入力回転が入力される前記第1のキャリヤ(CR1) によって減速回転を出力する第1のリングギ (R1)と、からなる減速プラネタリギヤ(DP)と、
 第1のクラッチ(C1)の係合により前記第1のリ グギヤ(R1)の減速回転を入力する第2のサン ヤ(S2)と、第3のクラッチ(C3)の係合により前 第1のリングギヤ(R1)の減速回転を入力し、か つ第4のクラッチ(C4)の係合により前記第1のキ ャリヤ(CR1)を介した前記入力軸の回転を入力 、かつ第1のブレーキ(B1)の係止により回転 固定される第3のサンギヤ(S3)と、前記第3の ンギヤ(S3)に噛合するロングピニオン(P3)並び に該ロングピニオン(P3)及び前記第2のサンギ (S2)に噛合するショートピニオン(P4)を有し 第2のブレーキ(B2)の係止により回転が固定さ れ、かつ第2のクラッチ(C2)の係合により前記 力軸(7)の回転を入力する第2のキャリヤ(CR2) 、前記ロングピニオン(P3)に噛合すると共に 、出力部材(8)に回転連結される第2のリング ヤ(R2)と、からなるプラネタリギヤセット(PU) と、を備え、
 前記一方のクラッチは、前記第3のクラッチ (C3)であり、
 前記他方のクラッチは、前記第4のクラッチ (C4)であり、
 前記第1のクラッチ(C1)を係合すると共に、 記第2のブレーキ(B2)を係止することにより前 進1速段を、
 前記第1のクラッチ(C1)を係合すると共に、 記第1のブレーキ(B1)を係止することにより前 進2速段を、
 前記第1のクラッチ(C1)と前記第3のクラッチ( C3)とを係合することにより前進3速段を、
 前記第1のクラッチ(C1)と前記第4のクラッチ( C4)とを係合することにより前進4速段を、
 前記第1のクラッチ(C1)と前記第2のクラッチ( C2)とを係合することにより前進5速段を、
 前記第2のクラッチ(C2)と前記第4のクラッチ( C4)とを係合することにより前進6速段を、
 前記第2のクラッチ(C2)と前記第3のクラッチ( C3)とを係合することにより前進7速段を、
 前記第2のクラッチ(C2)を係合すると共に、 記第1のブレーキ(B1)を係止することにより前 進8速段を、
 前記第3のクラッチ(C3)又は前記第4のクラッ (C4)を係合すると共に、前記第2のブレーキ(B 2)を係止することにより後進段を、それぞれ 成してなる、
 請求項1ないし7のいずれか記載の自動変速 にある。

 請求項8に係る本発明によると、前速8段 び少なくとも後進1速段を達成する自動変速 にあって、コンパクト化、特に軸方向のコ パクト化を図ることができる。

 なお、括弧内の符号等は、図面と対照す ためのものであるが、これにより特許請求 範囲に何等影響を及ぼすものではない。

本自動変速機を模式的に示すスケルト 図。 本自動変速機の係合表。 第1の実施の形態に係る自動変速機の一 部を示す拡大断面図。 (a)Rr方向から見た第2の実施の形態に係 インナドラムの平面図。(b)第2の実施の形態 に係る自動変速機の一部を示す拡大断面図。 (c)Fr方向から見た第2の実施の形態に係るイン ナドラムの平面図。 Rr方向から見た第2の実施の形態に係る ウタドラムの平面図。

 以下、本発明の実施の形態を図1乃至図5 沿って説明する。

 本発明に係る自動変速機は、FF(フロント ンジン・フロントドライブ)タイプ等の車輌 に搭載されて好適な自動変速機であり、図1 図3及び図4中における左右方向が動力伝達系 上の前後方向(駆動源側を前方、車輪側を後 とする)に対応するが、説明の便宜上、エン ン等の駆動源側である図中右側を「前方側 、図中左方側を「後方側」というものとす 。

 まず、本発明を適応し得る自動変速機1の 概略構成について図1に沿って説明する。図1 示すように、FFタイプの自動変速機1は、ハ ジング及びミッションケース等のケース6を 備えており、該ケース(具体的にはコンバー ハウジング)6の前方側に、不図示のエンジン に接続し得る自動変速機1としての入力部材( ロントカバー及びセンターピース)10を有し いる。また、該自動変速機1は、ロックアッ プクラッチ2aを有するトルクコンバータ2が配 置されており、ケース6内に、変速機構3、カ ンタシャフト部4、及びディファレンシャル 部5が配置されている。

 該トルクコンバータ2は、エンジン(不図 )の出力軸と同軸上である変速機構3の入力軸 7を中心とした軸上に配置されている。また カウンタシャフト部4が、入力軸7と平行な軸 上であるカウンタシャフト12上に配置されて り、ディファレンシャル部5は、該カウンタ シャフト12と平行な軸上に左右車軸15,15を有 る形で配置されている。

 変速機構3には、上記入力軸7上において プラネタリギヤ(減速プラネタリギヤ)DPが備 られ、その後方側において、プラネタリギ ユニット(プラネタリギヤセット)PUが備えら れている。

 上記プラネタリギヤDPは、第1のサンギヤS 1、第1のキャリヤCR1、及び第1のリングギヤR1 備えており、該第1のキャリヤCR1に、第1の ンギヤS1に噛合するピニオンP2及び第1のリン グギヤR1に噛合するピニオンP1を互いに噛合 る形で有している、いわゆるダブルピニオ プラネタリギヤである。

 一方、プラネタリギヤユニットPUは、4つ 回転要素として、第2のサンギヤS2、第3のサ ンギヤS3、第2のキャリヤCR2及び第2のリング ヤR2を有し、該第2のキャリヤCR2に、第3のサ ギヤS3及び第2のリングギヤR2に噛合するロ グピニオンP3と、第2のサンギヤS2に噛合する ショートピニオンP4とを互いに噛合する形で している、いわゆるラビニヨ型プラネタリ ヤである。

 上記プラネタリギヤDPの第1のサンギヤS1 、ケース6に対して回転が固定されている。 た、上記キャリヤCR1は、上記入力軸7に接続 されて、該入力軸7の回転と同回転(以下、「 力回転」という。)になっていると共に、第 4のクラッチC4に接続されている。更に、第1 リングギヤR1は、該固定された第1のサンギ S1と該入力回転する第1のキャリヤCR1とによ 、入力回転が減速された減速回転になると に、第1のクラッチC1及び第3のクラッチC3に 続されている。

 上記プラネタリギヤユニットPUの第3のサ ギヤS3は、第1のブレーキB1に接続されてケ ス6に対して固定自在になっていると共に、 記第4のクラッチC4及び上記第3のクラッチC3 接続されて、第4のクラッチC4を介して上記 1のキャリヤCR1の入力回転が、第3のクラッ C3を介して上記第1にリングギヤR1の減速回転 が、それぞれに入力自在となっている。また 、上記第2のサンギヤS2は、第1のクラッチC1に 接続されており、上記第1のリングギヤR1の減 速回転が入力自在となっている。

 更に、上記第2のキャリヤCR2は、入力軸7 回転が入力される第2のクラッチC2に接続さ て、該第2のクラッチC2を介して入力回転が 力自在となっており、また、ワンウェイク ッチF1及び第2のブレーキB2に接続されて、該 ワンウェイクラッチF1を介してケース(具体的 にはミッションケース)6に対して一方向の回 が規制されると共に、該第2のブレーキB2を して回転が固定自在となっている。そして 上記第2のリングギヤR2は、ケース6に固定さ れたセンターサポート部材に対して回転自在 に支持されたカウンタギヤ8に接続されてい 。

 また、上記カウンタギヤ8には、上記カウ ンタシャフト部4のカウンタシャフト12上に固 定されている大径ギヤ11が噛合しており、該 ウンタシャフト12には、外周面上に形成さ ている小径ギヤ12aを介してディファレンシ ル部5のギヤ14が噛合している。そして、該 ヤ14は、ディファレンシャルギヤ13に固定さ ており、ディファレンシャルギヤ13を介し 左右車軸15,15に接続されている。

 つづいて、上記構成に基づき、変速機構3 の作用について図1および図2に沿って説明す 。

 例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1 速段(1st)では、図2に示すように、第1のクラ チC1及びワンウェイクラッチF1が係合される すると、固定された第1のサンギヤS1と入力 転である第1のキャリヤCR1によって、減速回 転する第1のリングギヤR1の回転が、第1のク ッチC1を介して第2のサンギヤS2に入力される 。また、第2のキャリヤCR2の回転が一方向(正 回転方向)に規制されて、つまり第2のキャ ヤCR2の逆回転が防止されて固定された状態 なる。すると、第2のサンギヤS2に入力され 減速回転が、固定された第2のキャリヤCR2を して第2のリングギヤR2に出力され、前進1速 段としての正回転がカウンタギヤ8から出力 れる。

 なお、エンジンブレーキ時(コースト時) は、第2のブレーキB2を係止して第2のキャリ CR2を固定し、該第2のキャリヤCR2の正回転を 防止する形で、上記前進1速段の状態を維持 る。また、該前進1速段では、ワンウェイク ッチF1により第2のキャリヤCR2の逆回転を防 し、かつ正回転を可能にするので、例えば 走行レンジから走行レンジに切換えた際の 進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF1の 動係合により滑らかに行うことができる。

 前進2速段(2nd)では、第1のクラッチC1が係 され、第1のブレーキB1が係止される。する 、固定された第1のサンギヤS1と入力回転で る第1のキャリヤCR1によって減速回転する第 1のリングギヤR1の回転が、第1のクラッチC1を 介して第2のサンギヤS2に入力される。また、 第1のブレーキB1の係止により第3のサンギヤS3 の回転が固定される。すると、第2のキャリ CR2が第2のサンギヤS2よりも低回転の減速回 となり、該第2のサンギヤS2に入力された減 回転が該第2のキャリヤCR2を介して第2のリン グギヤR2に出力され、前進2速段として正転回 転がカウンタギヤ8から出力される。

 前進3速段(3rd)では、第1のクラッチC1及び 3のクラッチC3が係合される。すると、固定 れた第1のサンギヤS1と入力回転である第1の キャリヤCR1によって減速回転する第1のリン ギヤR1の回転が第1のクラッチC1を介して第2 サンギヤS2に入力される。また、第3のクラ チC3の係合により第1のリングギヤR1の減速回 転が第3のサンギヤS3に入力される。つまり、 第3のサンギヤS3及び第2のサンギヤS2に第1の ングギヤR1の減速回転が入力されるため、プ ラネタリギヤユニットPU減速回転の直結状態 なり、そのまま減速回転が第2のリングギヤ R2に出力され、前進3速段としての正転回転が カウンタギヤ8から出力される。

 前進4速段(4th)では、第1のクラッチC1及び 4のクラッチC4が係合される。すると、固定 れた第1のサンギヤS1と入力回転である第1の キャリヤCR1によって減速回転する第1のリン ギヤR1の回転が、第1のクラッチC1を介して第 2のサンギヤS2に入力される。また、第4のク ッチC4の係合により第1のキャリヤCR1の入力 転が第3のサンギヤS3に入力される。すると 第2のキャリヤCR2が第2のサンギヤS2よりも高 転の減速回転となり、該第2のサンギヤS2に 力された減速回転が該第2のキャリヤCR2を介 して第2のリングギヤR2に出力され、前進4段 しての正転回転がカウンタギヤ8から出力さ る。

 前進5速段(5th)では、第1のクラッチC1及び 2クラッチC2が係合される。すると、固定さ た第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキ ャリヤCR1によって減速回転する第1のリング ヤR1の回転が、第1のクラッチC1を介して第2 サンギヤS2に入力される。また、第2のクラ チC2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回 が入力される。すると、該第2のサンギヤS2 入力された減速回転と第2のキャリヤCR2に入 された入力回転とにより、上記前進4段より 高い減速回転となって第2のリングギヤR2に出 力され、前進5段としての正転回転がカウン ギヤ8から出力される。

 前進6速段(6th)では、第2のクラッチC2及び 4のクラッチC4が係合される。すると、第4の クラッチC4の係合により第3のサンギヤS3に第1 のキャリヤCR1の入力回転が入力される。また 、第2のクラッチC2の係合により第2キャリヤCR 2に入力回転が入力される。つまり、第3のサ ギヤS3及び第2のキャリヤCR2に入力回転が入 されるため、プラネタリギヤユニットPUが 力回転の直結状態となり、そのまま入力回 が第2のリングギヤR2に出力され、前進6速段 しての正回転がカウンタギヤ8から出力され る。

 前進7速段(7th)では、第2のクラッチC2及び 3クラッチC3が係合される。すると、固定さ た第1のサンギヤS1と入力回転である第1のキ ャリヤCR1によって減速回転する第1のリング ヤR1の回転が、第3のクラッチC3を介して第3 サンギヤS3に入力される。また、第2のクラ チC2の係合により第2のキャリヤCR2に入力回 が入力される。すると、該第3のサンギヤS3 入力された減速回転と第2のキャリヤCR2に入 された入力回転とにより、入力回転より僅 に高い減速回転となって第2のリングギヤR2 出力され、前進7段としての正転回転がカウ ンタギヤ8から出力される。

 前進8速段(8th)では、第2のクラッチC2が係 され、第1のブレーキB1が係止される。する 、第2のクラッチC2の係合により第2のキャリ ヤCR2に入力回転が入力される。また、第1の レーキB1の係止により第3のサンギヤS3の回転 が固定される。すると、固定された第3のサ ギヤS3により第2のキャリヤCR2の入力回転が 記前進7段より高い増速回転となって第2のリ ングギヤR2に出力され、前進8速段として正回 転がカウンタギヤ8から出力される。

 後進1速段(Rev1)では、第3のクラッチC3が係 合され、第2のブレーキB2が係止される。する と、固定された第1のサンギヤS1と入力回転で ある第1のキャリヤCR1によって減速回転する 1のリングギヤR1の回転が、第3のクラッチC3 介して第3のサンギヤS3に入力される。また 第2のブレーキB2の係止により第2のキャリヤC R2の回転が固定される。すると、第3のサンギ ヤS3に入力された減速回転が、固定された第2 のキャリヤCR2を介して第2のリングギヤR2に出 力され、後進1速段として逆転回転がカウン ギヤ8から出力される。

 後進2速段(Rev2)では、第4のクラッチC4が係 合され、第2のブレーキB2が係止される。する と、第4のクラッチC4の係合により第1のキャ ヤCR1の入力回転が第3のサンギヤS3に入力さ る。また、第2のブレーキB2の係止により第2 キャリヤCR2の回転が固定される。すると、 3のサンギヤS3に入力された入力回転が、固 された第2のキャリヤCR2を介して第2のリン ギヤR2に出力され、後進2速段として逆転回 がカウンタギヤ8から出力される。

 なお、例えば、P(パーキング)レンジ及びN (ニュートラル)レンジでは、第1のクラッチC1 第2のクラッチC2、第3のクラッチC3及び第4の クラッチC4が、開放される。すると、第1のキ ャリヤCR1と第3のサンギヤS3との間、第1のリ グギヤR1と、第3のサンギヤS3及び第2のサン ヤS2との間、即ちプラネタリギヤDPと、プラ タリギヤユニットPUとの間が切断状態とな 。また、入力軸7と第2のキャリヤCR2との間が 切断状態となる。これにより、入力軸7とプ ネタリギヤユニットPUとの間の動力伝達が切 断状態となり、つまり入力軸7とカウンタギ 8との動力伝達が切断状態となる。

 つづいて、自動変速機1において、本発明 の第1の実施例に係る第3の(一方の)クラッチC3 、第4の(他方の)クラッチC4の構成を図3に沿っ て説明する。内径側に位置する第4のクラッ C4は、第3のクラッチC3に内包される形で二階 建てに配設されている。即ち、第3のクラッ C3は、第4のクラッチC4の外径側にあって、軸 方向にオーバラップし、かつ径方向の異なる 位置に配置されている。

 該第3のクラッチC3は、多数の外摩擦板21a 内摩擦板21bからなる多板摩擦板21と、これ の摩擦板21を断接させる油圧サーボ20と、該 圧サーボ20に作用する遠心油圧をキャンセ するキャンセル油室28と、を備える。また、 内径側に位置する第4のクラッチC4も同様に、 多数の外摩擦板41a、内摩擦板41bからなる多板 摩擦板41と、これらの摩擦板41を断接させる 圧サーボ40と、該油圧サーボ40に作用する遠 油圧をキャンセルするキャンセル油室48と を備える。

 上記第3のクラッチC3の油圧サーボ20は、ク ッチドラム22、ピストン部材24、キャンセル レート25、リターンスプリング26を有してお り、これらにより、作動油室27を構成してい と共に、その背面にキャンセル油室28を構 している。クラッチドラム22は、ボス部22c及 びピストン支持部22eを構成するインナドラム (内周側部材)22 1 と、ドラム部22a及び底部22bを構成するアウタ ドラム(外周側部材)22 2 とが、溶接等により一体に形成されており、 ドラム部22aは、外周側を第1のクラッチC1(不 示)後方まで延び、ボス部22cは、ブッシュ55 介してステータシャフト(固定部材)6aに回転 在に支持されている。また、該ボス22cとド ム部22aとは、底部22bにより連結されている なお、一体に結合されるコンバータハウジ グ、ミッションケースは、ケース6として表 記すると共に、該ケース自体及び該ケースに 一体に固定されるものは固定部材であり、従 って固定部材は、上記ケース、オイルポンプ カバー及びケース、ステータシャフト6a等を む。従って、第1のサンギヤS1及びドラム22 ボス部22cは、固定部材であれば、上記ステ タシャフト6aに限らず、ケース6又はそれと 体の固定部材に固定され(サンギヤS1)又は回 自在に支持される(ボス部22c)。

 クラッチドラム22の底部22bの中間部分に 、ボス部22cから外径側に伸びたピストン支 部22eの外周に鍔部22dが形成され、該鍔部22d 、ドラム部22a及びボス部22cと同方向にかつ れらドラム部及びボス部に比して大幅に短 延びている。また、鍔部22dは、外周面にお てピストン部材24とOリング31を介して油密状 に連結されており、かつその内周面において 、後述する第4のクラッチC4のクラッチドラム 42とスプライン係合(54)している。

 ピストン部材24は、該鍔部22dと軸方向移 自在に嵌合されると共に、その外周面を、 ラッチドラム22の内周面と、シール部材56を して油密状に連結し、該ピストン部材24と シリンダを形成するクラッチドラム22の内周 面と、で前記作動油室27が構成される。また ピストン部材24は、後方に向けて延設され 延長部24aを備えており、該延長部24aが摩擦 21を押圧することにより第3のクラッチC3の断 接が行われる。

 一方、第4のクラッチC4のクラッチドラム4 2は、第3のクラッチC3のボス部22cにスナップ ング50によって軸方向位置を規制されかつ、 Oリング57を介して油密状に設けられている。 また該クラッチドラム42は、第3のクラッチC3 鍔部22dとのスプライン係合部54後方におい 断面階段形状の段差部53を備えている。

 第3のクラッチC3のキャンセルプレート25 、第4のクラッチC4のクラッチドラム42に設け られた該段差部53に当接して後方への軸方向 動が規制され、その外周においてシール部 58を介してピストン24と油密状に設けられて いると共に、内周部において第4のクラッチ クラッチドラム42にシール部材85を介して油 状に嵌合している。このキャンセルプレー 25の外周面と、ピストン24の内周面とによっ て第3のクラッチの作動油室27に発生した遠心 油圧と平衡する油圧を発生させる前記キャン セル油室28が構成される。また、キャンセル レート25と、ピストン24との間にはリターン スプリング26が配設され、該ピストン24を常 前方へと付勢している。なお、該リターン プリング26は、後述する第4のクラッチC4のキ ャンセル油室48に設けられたリターンスプリ グ46よりも付勢力の強いスプリングが使用 れている。

 上記第3のクラッチC3の作動油室27には、イ ナドラム22 1 のピストン支持部22eと、アウタドラム22 2 の底部22bと、の間に設けられた所定の隙間B 介して、油孔bからの油が供給される。該隙 Bは、全周に亘り面状に拡がって設けられて いるため、軸方向に短い(狭い)スペースで通 孔に比して大きな通油断面積を有している

 また、第3のクラッチC3のキャンセル油室28 は、第4のクラッチC4のクラッチドラム42と、 第3のクラッチC3のインナドラム22 1 におけるピストン支持部22e背面との間に設け られた隙間Aを介して、油孔aからの潤滑油が 給される構成となっている。隙間Aは、全周 に亘り面状に拡がって設けられているため、 両クラッチドラム22,42の軸方向間隔を狭く保 するもの(従って軸方向寸法の短縮化を図る )でありながら、通油孔を用いるものに比し 大きな通油断面積を有している。なお、第4 クラッチC4のクラッチドラム42と、第3のク ッチC3の鍔部22eとの間に設けられたスプライ ン係合部54には、欠歯が設けられており、上 油路の油の流れを妨げないように構成され いる。

 一方、上記第4のクラッチC4の油圧サーボ4 0は、上述したクラッチドラム42と、ピストン 部材44、キャンセルプレート45及びリターン プリング46を有しており、これらにより、作 動油室47を構成していると共に、その背面に ャンセル油室48を構成している。

 該ピストン44は、第3のクラッチC3のクラ チドラム22のボス部22cとシール部材59を介し 油密状かつ軸方向移動可能に設けられてい と共に、摩擦板41を押圧する延長部44aを備 ており、該延長部44aの外周面と、クラッチ ラム42の内周面と、がOリング51を介して油密 状に嵌合している。

 第4のクラッチC4の作動油室47は、ピスト 44の外周面と、シリンダを形成するクラッチ ドラム42の内周面とによって構成され、該作 油室47には、油孔cによって油が供給される 成となっている。

 また、第4のクラッチC4のキャンセルプレ ト45は、第3のクラッチドラム22のボス部22c 段付き部22fと、スナップリング30によって軸 方向位置を規制されて設けられており、該キ ャンセルプレート45は、ピストン44の内周面 シール部材60を介して油密状に嵌合している 。

 第4のクラッチC4の作動油室47に発生する 心油圧と平衡する油圧が発生するキャンセ 油室48は、キャンセルプレート45の内側面と ピストン44の背面とにより構成される。ピ トン44とキャンセルプレート45との間にはリ ーンスプリング46が設けられており、ピス ン44は、常に前方に向かって付勢される。ま た、このキャンセル油室48には油孔dによって 潤滑油が供給される。

 ついで第3のクラッチC3の作動油室27及び ャンセル油室28への通油断面積を更に大きく した第2の実施の形態について、第1の実施の 態と相違する構成を中心に図4(a),(b),(c)及び 5に基づいて説明する。

 上述したように、第3のクラッチC3の作動油 27には、油孔bから隙間Bを介して油が供給さ れ、キャンセル油室28には、油孔aから隙間A 介して潤滑油が供給されるよう構成されて る。該隙間Bは、インナドラム22 1 のアウタドラム22 2 との対向面である外面71と、アウタドラム22 2 の内面である内壁73との間に面状に広がった 間であり、隙間Aは、インナドラム22 1 の外面71の背面に位置する背面70と、第4のク ッチC4のクラッチドラム42の外側面との間に 面状に広がった隙間である。該クラッチドラ ム42は、内径側部分が内径に向って後方に斜 に構成され、クラッチドラムのインナドラ 22 1 が後述する突起部72を除いて略々垂直に立上 ていることが相俟って、前記隙間Aは、中心 側(入力軸7方向)が軸方向に広い空間部分A’ 有し、外径側が狭い隙間になっている。

 上記インナドラム22 1 の背面70には、その円周上の4箇所において、 第4のクラッチC4に向けてリブ状の突起部72(突 起)が突設されていると共に、その内部には 記作動油室27へと油を供給する油孔bが形成 れている。該油孔bは、インナドラム22 1 内を貫通し、外面71にて開口部b 2 を形成している。なお、上記第1の実施の形 にあっては、図3の下半分に示すように、イ ナドラム22 1 が肉厚に構成されているが、本実施例にあっ ては、図4(b)に示すように、全体として(突起 72以外)上記インナドラム22 1 が薄肉となって、第4のクラッチのクラッチ ラム42との間に空間部分A’が形成されてい 。また、上記突起部72は、4個に限らず、3個 は5個、更にはその他の数でもよい。

 図4(a)に示すように、インナドラム22 1 は、その内径側に形成されている円筒型のボ ス部22cにおいて、上記油孔bと、キャンセル 室28に潤滑油を供給する油孔a及びその排出 eと、が周方向に位相を違えて位置している( なお、図4(b)において、両孔a,eが共に表記さ ているが、これは、作図上の便宜によるも であり、この部分は一部異なる断面を示す) 油孔bは、突起部72と同様にボス部22cの円周 の4箇所に配設されていると共に、該油孔b 間にて油孔aが排出孔eに左右を挟まれて配設 されている。また、供給用の油孔a,bには、そ の内径側において油溜りa 1 ,b 1 が周方向に大きく形成されている。

 インナドラム22 1 の外面71と対向するアウタドラム22 2 の内壁73には、外面71に形成された油孔bの開 部b 2 と対面して溝74が設けられており、該溝74は 壁73の面上を外径方向に向かって放射状に伸 びている。また、溝74は、作動油室27まで隙 Bの全長に亘って細長い長方形状の凹部とし 形成されており、隙間Bの通油断面積を軸方 向に拡がることなく大きくしていると共に、 油孔bの開口部b 2 から供給される油を素早くその円周方向に充 満させている。

 一方、インナドラム22 1 の背面70のうち、突起部72が形成されていな 面、即ち油孔a及び排出孔eと同位相に位置し ている面は、アウタドラム22 2 側(Fr方向)に向かって凹んで形成されている 該背面70は、キャンセル油室28に潤滑油を供 する隙間Aを第4のクラッチC4のクラッチドラ ム42と共に構成しており、背面70を油孔a及び 出孔eにあわせて凹ませて形成することによ って、該隙間Aの通油断面積を軸方向に拡げ ことなく大きく構成している。

 また、第3のクラッチC3のクラッチドラム22 、そのインナドラム22 1 の突起部72と、アウタドラム22 2 の溝74とを円周上の同位相の位置に対応して 置し、インナドラム22 1 の背面70の凹部と、内壁73の該溝74以外の部分 とを円周上の同位相の位置に対応して配置し ており、これにより全体として薄肉かつ高い 剛性を有した構成となっている。

 なお、第4のクラッチC4において作動油室4 7に油を供給する油孔c及びキャンセル油室48 潤滑油を供給する油孔dを円周方向に同位相 は位相を違えて配置して、上記作動油室47 構成するクラッチドラム42の内周面において 第3のクラッチC3と同様に溝を外径方向に向か って放射状に形成してもよい。

 ついで、第3のクラッチC3及び第4のクラッ チC4の作用について以下に説明する。

 第3のクラッチC3は、作動油室27に生じる 圧によってピストン24を軸方向に移動させ、 摩擦板21を押圧することによって第3のクラッ チC3の断接をする。該作動油室27には、不図 のオイルポンプによって発生した油圧に基 いた作動油が、クラッチドラム22に形成され た油孔bから全周に亘り面状に設けられた隙 B及び溝74を通り供給される。

 また、該作動油室27には遠心油圧が働く め、ピストン24を挟んで対向するキャンセル 油室28に、油孔aから全周に亘り面状に設けら れた隙間Aを介して潤滑油を供給し、該キャ セル油室28に遠心油圧を発生させ、作動油室 27に発生した遠心油圧と平衡させている。

 第4のクラッチC4も同様に、作動油室47に 油孔cよりオイルポンプ(不図示)に基づいた 動油を供給し、ピストン44を軸方向に移動さ せ、摩擦板41を押圧することによって第4のク ラッチC4の断接をすると共に、キャンセル油 48に、油孔dより潤滑油を供給し、該キャン ル油室48に遠心油圧を発生させ、作動油室47 に発生した遠心油圧と平衡させる。

 従って、第3のクラッチC3が切断する際、 動油室27の圧油は上記隙間B、溝74及び油孔b 介してドレーンされるが、クラッチドラム2 2が回転しているため、作動油室27に遠心油圧 が発生している。この際、ピストン部材24の の背面には、リターンスプリング26の付勢 及びキャンセル油室48のオイルに作用する遠 心油圧が作用しており、ピストン部材24を上 作動油室27の遠心油圧に抗して急速に退入 向に移動し、これに伴いキャンセル油室28の 容量が増大するが、上記両クラッチドラム22, 42の隙間Aを通って素早くオイルが補給され、 第3のクラッチC3の作動遅れを生じることはな い。

 以上説明したように、本発明に係る自動 速機1によると、第3のクラッチC3を第4のク ッチC4の外径側にあって、軸方向にオーバラ ップし、かつ径方向の異なる位置に配置する ことによって、クラッチユニット及び自動変 速機を軸方向にコンパクトに構成することが できると共に、第3のクラッチC3のクラッチド ラム22の内径側に油路bを設け、その外径側に おいて、該クラッチドラム22と、ピストン支 部22eとの間に面状に拡がる隙間Bを有するこ とによって、第3のクラッチC3の油圧サーボ20 の油圧の給排を素早く行うことが可能とな 。また、隙間Bにおいて溝74を形成すること より、更に素早い第3のクラッチC3の油圧サ ボ20への油圧の給排を行うこともできる。

 更に、第3のクラッチC3のクラッチドラム22 、第4のクラッチC4のクラッチドラム42間に設 けられた隙間Aを、第3のクラッチC3のキャン ル油室28へのオイル供給路として構成すると 共に、上記隙間Bを作動油室27への油路として 使用することによりクラッチドラム22を薄肉 構成したため、軸方向の短縮化が可能とな 。この際、第3のクラッチC3に溝74や、イン ドラム22 1 の背面70を凹ましてを形成しても、該溝74及 外面70の凹部を円周方向の位相をずらして形 成するため、第3のクラッチC3のクラッチドラ ム22は全体として高い剛性を保つことができ 。

 本発明は、乗用車、トラック、バス等の 輌に搭載される自動変速機に係るものであ 、特に前進変速段が8段等の多段の自動変速 機に用いて好適であり、軸方向にオーバラッ プして配置される2つのクラッチを有する自 変速機に利用される。