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Title:
COATING COMPOSITION AND PHOTOCHROMIC OPTICAL ARTICLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/105306
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a coating composition which enables to form a hard coat layer having excellent transparency and abrasion resistance on the surface of an optical base such as a plastic lens with high adhesion. Specifically disclosed is a coating composition composed of a silica fine particle (a) having a particle size of not more than 30 nm, an organosilicon compound component (b) containing an epoxy group-containing organosilicon compound (b1) and a tetraalkoxysilane (b2) at a mass ratio (b1/b2) of 0.25-4.0, water (c) and a curing catalyst (d) composed of a complex having aluminum as the center metal. This coating composition contains 15-55 parts by mass of the silica fine particle (a), 30-200 parts by mass of the water (c) and 0.1-5.0 parts by mass of the curing catalyst (d) when the total of the silica fine particle (a) and the organosilicon compound component (b) is taken as 100 parts by mass.

Inventors:
KAWAGUCHI IKUMI (JP)
NAGOH HIRONOBU (JP)
MORI KATSUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052953
Publication Date:
September 04, 2008
Filing Date:
February 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOKUYAMA CORP (JP)
KAWAGUCHI IKUMI (JP)
NAGOH HIRONOBU (JP)
MORI KATSUHIRO (JP)
International Classes:
C09D183/06; B82Y20/00; C09D7/61; G02B1/10; G02B1/14; G02B5/23
Domestic Patent References:
WO2005087882A12005-09-22
WO2007086320A12007-08-02
WO2003011967A12003-02-13
WO2004078476A12004-09-16
WO1994022850A11994-10-13
WO1996014596A11996-05-17
Foreign References:
JPH08113760A1996-05-07
JPH10168389A1998-06-23
JP2002265869A2002-09-18
JPS53111336A1978-09-28
JPH06347605A1994-12-22
JP2001520699A2001-10-30
JPS53111336A1978-09-28
JP2001520699A2001-10-30
JP2002543235A2002-12-17
JP2003342310A2003-12-03
JPH0228154A1990-01-30
JPS62288830A1987-12-15
JP2001114775A2001-04-24
JP2001031670A2001-02-06
JP2001011067A2001-01-16
JP2001011066A2001-01-16
JP2000347346A2000-12-15
JP2000344762A2000-12-12
JP2000344761A2000-12-12
JP2000327676A2000-11-28
JP2000327675A2000-11-28
JP2000256347A2000-09-19
JP2000229976A2000-08-22
JP2000229975A2000-08-22
JP2000229974A2000-08-22
JP2000229973A2000-08-22
JP2000229972A2000-08-22
JP2000219678A2000-08-08
JP2000219686A2000-08-08
JP2000219685A2000-08-08
JPH11322739A1999-11-24
JPH11286484A1999-10-19
JPH11279171A1999-10-12
JPH10298176A1998-11-10
JPH09218301A1997-08-19
JPH09124645A1997-05-13
JPH08295690A1996-11-12
JPH08176139A1996-07-09
JPH08157467A1996-06-18
US5645767A1997-07-08
US5961892A1999-10-05
US6296785B12001-10-02
Other References:
See also references of EP 2113542A4
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Hisazumi et al. (1-21 Nishi-shimbash, 1-chome Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 (a)30nm以下の粒径を有するシリカ微粒子;
 (b)エポキシ基含有有機ケイ素化合物(b1)とテトラアルコキシシラン(b2)とを、0.25乃至4.0の質量比(b1/b2)で含む有機ケイ素化合物成分;
 (c)水;
 (d)アルミニウムを中心金属とする錯体からなる硬化触媒;
から成り、
 前記シリカ微粒子(a)と有機ケイ素化合物成分(b)との合計量を100質量部として、前記シリカ微粒子(a)を15乃至55質量部、前記水(c)を30乃至200質量部、及び前記硬化触媒(d)を0.1乃至5.0質量部の量で含有していることを特徴とするコーティング組成物。
 前記シリカ微粒子(a)及び有機ケイ素化合物(b)の合計質量100質量部当り、さらに、水溶性有機溶媒(e)を10乃至200質量部含み、かつ、水(c)と水溶性有機溶媒(e)の質量比(c/e)が0.5乃至10.0である請求項1に記載のコーティング組成物。
 フォトクロミック光学基材と、該フォトクロミック光学基材の表面に形成されたハードコート層とから成り、該ハードコート層が、請求項1に記載のコーティング組成物を硬化させて得られたものであるフォトクロミック光学品。
 前記フォトクロミック光学基材が、光透過性部材の表面にフォトクロミック化合物を含む硬化性組成物を硬化させて得られるフォトクロミックコート層を有するものであり、該フォトクロミックコート層の表面に前記ハードコート層が形成されている請求項3に記載のフォトクロミック光学品。
 前記フォトクロミックコート層が、少なくとも1種のフォトクロミック化合物を含んでいる硬化性組成物を光重合させて得られたものである請求項4に記載のフォトクロミック光学品。
 前記光透過性部材がプラスチックレンズであり、前記フォトクロミックコート層が0.3~10kg/mm 2 のビッカース硬度を有している請求項4に記載のフォトクロミック光学品。
 
 前記フォトクロミック化合物が、アミノ基を有するものである請求項5に記載のフォトクロミック光学品。
 前記アミノ基が、炭素数が1乃至10の置換基を有している請求項7に記載のフォトクロミック光学品。
 アミノ基が有する前記置換基が、アミノ基を構成する窒素原子をヘテロ原子として含む複素環基であり、該複素環基のヘテロ原子の数が4以下である請求項8に記載のフォトクロミック光学品。
 アミノ基がジアルキルアミノ基である請求項8に記載のフォトクロミック光学品。
 2.5kWキセノンアークランプを光源として用い、放射強度が40W/m 2 、光照射面温度が50℃の条件下で100時間光照射したとき、3.5以下の黄変度(δYI)を示す請求項4に記載のフォトクロミック光学品。
 光透過性部材上に、アミノ基を有するフォトクロミック化合物を0.1~10.0質量%含む硬化性組成物を塗布し、該硬化性組成物を硬化させてフォトクロミックコート層を形成する工程、および該フォトクロミックコート層上に、請求項1に記載のコーティング組成物を塗布し、該コーティング組成物を硬化させてハードコート層を形成する工程を含んでなるフォトクロミック光学品の製造方法。
Description:
コーティング組成物およびフォ クロミック光学品

 本発明は、プラスチックレンズなどの光 基材の表面に施用して耐擦傷性の高いハー コート層を形成するためのコーティング組 物に関するものであり、特に、フォトクロ ックプラスチックレンズのフォトクロミッ 光学基材の表面に最適なハードコート層を 成するためのコーティング組成物に関する

 プラスチックレンズのような光学基材で 、耐擦傷性を向上させるために、所定のコ ティング組成物を該光学基材の表面に塗布 、硬化させることにより透明で且つ高硬度 ハードコート層が形成されている。このよ なハードコート層を形成するためのコーテ ング組成物では、一般に、上記の特性を満 し且つ基材との密着性に優れた硬化体(ハー ドコート層)を形成させるために、アルコキ シランなどの有機ケイ素化合物(膜形成用硬 性成分)に加えて、コロイド状に分散したシ リカゾル等の金属酸化物微粒子が配合されて いる(特許文献1~3参照)。

 一方、上記のようなハードコート層を必要 する光学基材の一つとしてフォトクロミッ レンズがある。フォトクロミックレンズと 、太陽光のような紫外線を含む光が照射さ る屋外ではレンズが速やかに着色してサン ラスとして機能し、そのような光の照射が い屋内においては退色して透明な通常の眼 として機能するものであり、近年その需要 増大している。フォトクロミックレンズの 造方法としては、含浸法、練り混み法及び ーティング法が知られている。
 含浸法は、フォトクロミック性を有しない 常のプラスチックレンズの表面にフォトク ミック化合物を含浸させることにより、該 ラスチックレンズにフォトクロミック性を 与するというものである。
 練り混み法は、モノマーにフォトクロミッ 化合物を溶解させ、この状態でモノマーを 合させることにより、直接フォトクロミッ レンズを得るというものである。
 コーティング法は、フォトクロミック化合 を含有する硬化性組成物(フォトクロミック コーティング剤)をプラスチックレンズの表 にコーティングし、このコーティング層を 化させてフォトクロミック性を有する層(フ トクロミックコート層)を形成するというも のである。

 これらの方法の中でもコーティング法は 他の2つの方法と比べて、原理的にはどのよ うなレンズ基材に対しても簡単にフォトクロ ミック性を付与できるという利点を有してい る。例えば、含浸法においては、基材である レンズとしてフォトクロミック化合物が拡散 し易い柔らかいものを用いる必要がある。ま た、練りこみ法においては、良好なフォトク ロミック性を発現させるためには、フォトク ロミック化合物の溶解性の高い特殊なモノマ ーを使用する必要がある。これらに対し、コ ーティング法においては、このような基材に 対する制約はない。

 ところで、コーティング法によりフォト ロミックプラスチックレンズを製造する場 には、レンズ基材上に形成されるフォトク ミックコート層の厚みは薄い。したがって 実用的な発色濃度のフォトクロミックコー 層を得るためには、このコート層中にフォ クロミック化合物を高濃度で含有させる必 がある。このようなフォトクロミック化合 としては、クロメン誘導体が使用されてい が、中でも、アミノ基を有するクロメン誘 体は、特に発色性に優れ、退色速度も速い う特性を有している(特許文献4および特許 献5参照)。

 上記のような各種の方法で製造されるフォ クロミックレンズの表面にも、耐擦傷性を 上させるために、透明で且つ高硬度のハー コート層が形成される。例えば、特許文献4 においては、レンズ基材との密着性を改善す るために添加されたアミン化合物を含むフォ トクロミックコート層の上に、株式会社トク ヤマ製コーティング剤(TS56H、商品名)を使用 た例が記載されている。このコーティング は、本出願人の製品であり、テトラアルコ シシラン以外のアルコキシシランとシリカ ルとを含んでいる硬化性組成物である。

特開昭53-111336号公報

特表2001-520699号公報

特表2002-543235号公報

国際公開WO2003/011967号パンフレット

特開2003-342310号公報

 ところで、本発明者等の研究によれば、前 のようなフォトクロミックレンズの表面に ードコート層を設けた場合には、以下の問 が生じる場合があることが分かった。
 即ち、ハードコート層が積層されたフォト ロミックレンズを長期間使用すると、黄色 がかった色に発色するようになる傾向にあ 。例えば、促進試験として、スガ試験機(株 )製キセノンウェザーメーターX25(2.5kWキセノ アークランプを用い、放射強度が40W/m 2 、レンズ表面温度が50℃の条件下)で100時間処 理した場合(耐用年数約5年に相当)、フォトク ロミックレンズの黄変度(δYI)が3.5を超えてし まい、改善の余地がある。
 また、アミノ基を有する特定のフォトクロ ック化合物を高濃度で含むフォトクロミッ コート層上に、ハードコート層を設けたも は、光未照射時において少し赤味がかった 色が見られる傾向があった。さらに、アミ 基を有する特定のフォトクロミック化合物 共に他のフォトクロミック化合物を併用す ことにより、発色時の色調が調整されたフ トクロミックコート層上に、ハードコート が設けられているものでは、発色時に設定 た色調が発現せず、赤味がかった色調とな 傾向がある。
 さらには、フォトクロミックコート層上に ードコート層を形成する場合には、フォト ロミックコート層中に高濃度で含まれるフ トクロミック化合物の影響を受け、コーテ ング組成物の硬化不良により、十分な耐擦 性を有するハードコート層の形成が困難に るという問題もあった。

 したがって本発明の目的は、プラスチック ンズのような光学基材の表面に、高い密着 を有し、透明性及び耐擦傷性に優れたハー コート層を形成し得るコーティング組成物 提供することにある。
 本発明の他の目的は、コーティング法によ 形成されたフォトクロミックコート層を有 るフォトクロミック光学品の表面に、前述 た黄変の問題を生じることのないハードコ ト層を形成し得るコーティング組成物を提 することにある。
 本発明の更に他の目的は、特にアミノ基を するフォトクロミック化合物を含有するフ トクロミックコート層上に、前述した黄変 赤変などの問題や硬化不良の問題が有効に 止されたハードコート層を形成し得るコー ィング組成物を提供することにある。
 更に本発明の目的は、上記のようなハード ート層が形成されたフォトクロミック光学 及びその製造方法を提供することにある。

 本発明によれば、
 (a)30nm以下の粒径を有するシリカ微粒子;
 (b)エポキシ基含有有機ケイ素化合物(b1)とテ トラアルコキシシラン(b2)とを、0.25乃至4.0の 量比(b1/b2)で含む有機ケイ素化合物成分;
 (c)水;
 (d)アルミニウムを中心金属とする錯体から る硬化触媒;
から成り、
 前記シリカ微粒子(a)と有機ケイ素化合物成 (b)との合計量を100質量部として、前記シリ 微粒子(a)を15乃至55質量部、前記水(c)を30乃 200質量部、及び前記硬化触媒(d)を0.1乃至5.0 量部の量で含有していることを特徴とする ーティング組成物が提供される。
 本発明のコーティング組成物では、前記シ カ微粒子(a)及び有機ケイ素化合物(b)の合計 量100質量部当り、さらに、水溶性有機溶媒( e)を10乃至200質量部含み、かつ、水(c)と水溶 有機溶媒(e)の質量比(c/e)が0.5乃至10.0である とが好適である。

 本発明によれば、また、フォトクロミック 学基材と、該フォトクロミック光学基材の 面に形成されたハードコート層とから成り 該ハードコート層が、上記コーティング組 物を硬化させて得られたものであるフォト ロミック光学品が提供される。
 本発明のフォトクロミック光学品において 、
(1)前記フォトクロミック光学基材が、光透過 性部材の表面にフォトクロミック化合物を含 む硬化性組成物を硬化させて得られるフォト クロミックコート層を有するものであり、該 フォトクロミックコート層の表面に前記ハー ドコート層が形成されていること、
(2)前記フォトクロミックコート層が、少なく とも1種のフォトクロミック化合物を含んで る硬化性組成物を光重合させて得られたも であること、
(3)前記光透過性部材がプラスチックレンズで あり、前記フォトクロミックコート層が0.3~10 kg/mm 2 のビッカース硬度を有していること、
(4)前記フォトクロミック化合物が、アミノ基 を有するものであること、
(5)前記アミノ基が、炭素数が1乃至10の置換基 を有している置換アミノ基であること、
(6)アミノ基が有する前記置換基が、アミノ基 を構成する窒素原子をヘテロ原子として含む 複素環基であり、該複素環基のヘテロ原子数 が4個以下であること、
(7)アミノ基がジアルキルアミノ基であること 、
(8)2.5kWキセノンアークランプを光源として用 、放射強度が40W/m 2 、光照射面温度が50℃の条件下で100時間光照 したとき、3.5以下の黄変度(δYI)を示すこと
が好適である。

 本発明によれば、更に、光透過性部材上 、アミノ基を有するフォトクロミック化合 を0.1~10.0質量%含む硬化性組成物を塗布し、 硬化性組成物を硬化させてフォトクロミッ コート層を形成する工程、および該フォト ロミックコート層上に、前記のコーティン 組成物を塗布し、該コーティング組成物を 化させてハードコート層を形成する工程を んでなるフォトクロミック光学品の製造方 が提供される。

 本発明のコーティング組成物は、30nm以下 の粒径を有するシリカ微粒子(a)、有機ケイ素 化合物成分(b)、水(c)及びアルミニウムを中心 金属とする錯体からなる硬化触媒(d)を、一定 の割合で含有するものであり、さらに、前記 有機ケイ素化合物成分(b)として、エポキシ基 含有有機ケイ素化合物(b1)とテトラアルコキ シラン(b2)とを、所定の質量比(b1/b2=0.25乃至4. 0)で含有している点に重要な特徴を有するも であり、これにより、各種の光学基材、特 プラスチックレンズに対して、密着性がよ 、かつ優れた耐擦傷性を有する透明なハー コート層を形成することができる。特に、 のコーティング組成物を用いて形成される ードコート層の耐擦傷性は、従来公知のコ ティング組成物により得られるハードコー 層と比較してもトップレベルにある。

 特に、本発明のコーティング組成物は、 にフォトクロミックレンズなどのフォトク ミック光学基材の表面にハードコート層を 成するために使用されるが、特に、コーテ ング法により得られるフォトクロミック光 基材の表面にハードコート層を形成する場 に顕著な効果を発揮する。即ち、このよう フォトクロミック光学基材の表面にハード ート層を形成する場合には、硬化不良や長 使用時の黄変などの問題があり、さらにフ トクロミック化合物として、アミノ基を有 るものが使用されていた場合には、赤変の 題もあったが、本発明のコーティング組成 を用いてハードコート層を形成する場合に 、このような黄変、硬化不良及び赤変の何 の問題も有効に防止することができるので る。後述する実施例にも示されているよう 、前述した(a)~(d)の何れかの成分を欠いた場 合、或いは(a)~(d)の成分を含有していたとし も、所定の量比を満足していない場合には 上記のようなフォトクロミック光学基材に 有の問題を防止することができない。

 本発明のコーティング組成物を用いて上記 ような黄変、硬化不良及び赤変の問題を有 に防止することができる理由は、明確に解 されているわけではないが、本発明者等は のように推定している。
 即ち、コーティング法により得られるフォ クロミック光学基材の表面にハードコート を形成した場合には、該光学基材の表面に 成されている薄いフォトクロミックコート 中に高濃度でフォトクロミック化合物が含 れているため、このようなフォトクロミッ 化合物がハードコート層を透過する酸素に って光照射下で劣化し、この結果として、 期間使用した場合には、黄味がかった色に 色するようになるものと考えられる。また このような薄層中に高濃度で存在するフォ クロミック化合物は、コーティング組成物 硬化させる際、硬化触媒と接触して硬化触 の硬化性を低下せしめ、この結果、硬化不 が生じ易くなるものと考えられる。さらに かかるフォトクロミック化合物がアミノ基 有している場合には、ハードコート層中に 行したアミノ基含有フォトクロミック化合 とハードコート層中に配合されているシリ 微粒子などの金属酸化物微粒子との相互作 により、該フォトクロミック化合物が、光 照射時において赤味がかった色を呈するよ になるものと考えられる。
 しかるに、前述した(a)~(d)の各成分を所定の 量比で含む本発明のコーティング組成物では 、形成されるハードコート層がフォトクロミ ックコート層に高い密着性を有しているばか りか、シリカ微粒子(a)が均一に且つがっちり とハードコート層中に結合して固定されてい ると考えられる。そのため、形成されるハー ドコート層は、ガラス転移温度(Tg)が高く(例 ば150℃以上、特に160℃以上)、分子運動が極 めて制限されており、緻密で且つ高硬度なも のとなる。その結果、このハードコート層は 著しく高い耐擦傷性を示すばかりか、ハード コート層中の酸素透過が有効に回避される。 そして、光照射下での酸素透過によるフォト クロミック化合物の劣化に起因する、長期使 用に際しての黄変の問題を有効に防止するこ とができるものと推定される。
 また、このような緻密で高硬度のハードコ ト層は、該ハードコート層中へのフォトク ミック化合物の移行が有効に抑制され、こ 結果、フォトクロミック化合物がアミノ基 有している場合にも、このフォトクロミッ 化合物とシリカ微粒子等との相互作用が抑 され、従って、赤変の問題も有効に防止で るものと推定される。
 さらに、本発明において用いている硬化触 は、エポキシ基含有有機ケイ素化合物に対 て高い反応性を示し、さらに、水を多量に 用した場合において、硬化させる能力が高 なるものと考えられる。この結果、フォト ロミック層中のフォトクロミック化合物に る影響が有効に抑制され、硬化不良の問題 有効に回避できるのである。

 このように、本発明のコーティング組成 は、特にコーティング法により得られるフ トクロミック光学基材の表面にハードコー 層を形成する用途に最も好適に使用される のである。特に、このようなフォトクロミ ク光学基材の表面にハードコート層を形成 る際に生じる特有の問題を解決したコーテ ング組成物は、従来、全く知られておらず 本発明のコーティング組成物は新規なもの ある。例えば、100nm以下の微粒のシリカを いたコーティング組成物は、従来公知であ 、またアルミニウムを中心金属とする錯体 、硬化触媒として知られている。しかしな ら、コーティング法により得られるフォト ロミック光学基材の表面にハードコート層 形成する場合に黄変、赤変、硬化不良など 問題を全て同時に解決できるコーティング 成物が従来全く知られていなかったことか も理解されるように、30nm以下のシリカ微粒 やアルミニウムを中心金属とする錯体(硬化 触媒)を、本発明のように、所定の量比でエ キシ基含有機ケイ素化合物、テトラアルコ シシラン及び水と併用したコーティング組 物は全く知られていない。

本発明のフォトクロミック光学基材の 表的な態様を示す断面図である。

<コーティング組成物>
 本発明のコーティング組成物は、シリカ微 子(a)、有機ケイ素化合物成分(b)、水(c)、及 硬化触媒としてアルミニウムを中心金属と る錯体(d)を必須成分として含有するもので り、必要に応じて、それ自体公知の添加剤 分が配合され、透明な部材の表面に塗布し 硬化せしめることにより、透明で耐擦傷性 優れたハードコート層を形成する。

シリカ微粒子(a):
 本発明において、シリカ微粒子としては、 子径が30nm以下のものが使用される。即ち、 このような微粒のシリカを用いた場合には、 このシリカ微粒子がハードコート層中に緻密 に分散され、この結果、酸素に対するバリヤ ー性が向上し、さらにはハードコート層中へ のフォトクロミック化合物の移行が抑制され るものと思われる。例えば、粒子径が30nmを えるシリカ微粒子を使用した場合には、前 黄変の問題を十分に解決することができな なってしまう。

 また、シリカ微粒子の粒子径とは、凝集 の粒子径ではなく、1次粒子の粒子径を意味 する。したがって、粒子径が30nm以下である は、1次粒子径が30nmを超える粗粒分を実質的 に含まないか、粗粒分を含んでいたとしても 、その量は1質量%未満、特に0.5質量%未満であ ることを意味する。このような微粒のシリカ の粒子径は、電子顕微鏡(TEM)により、倍率15 倍での観察により測定することができる。

 尚、上記のようなシリカ微粒子は、通常 水溶性有機溶媒または水に分散して分散液 して扱われるため、粒子径の測定は、該分 液を乾燥させて行われる。具体的には、適 分散媒を加えて濃度が0.1質量%となるように 分散液の濃度調整を行った後、該分散液を炭 素膜等の支持体上に滴下し、室温で乾燥させ 、TEM観察すればよい。

 上記の説明から理解されるように、本発明 おいて、粒子径が30nm以下のシリカ微粒子(a) は、一般に、粉塵飛散などを回避するため、 水溶性有機溶媒或いは水に分散させたゾルの 状態でコーティング組成物に配合される。こ のような水溶性有機溶媒としては、イソプロ パノール、エタノール、メタノール、エチレ ングリコール等のアルコール溶媒が好適であ るが、メチルエチルケトン、メチルイソブチ ルケトン、ジメチルアセトアミド等を使用す ることもできる。
 このようなシリカゾルは工業的に入手でき 例えば水を分散媒とするゾルは、日産化学 業(株)より、スノーテックスOXS、スノーテ クスOS、スノーテックスO、スノーテックスO- 40等の商品名で市販されている。水溶性有機 媒を分散媒とするゾルは、日産化学工業(株 )より、メタノールシリカゾル、MA-ST-MS(分散 ;メタノール)、IPA-ST(分散媒;イソプロパノー )等として市販されている。

 本発明においては、後述する有機ケイ素 合物成分(b)や硬化触媒(d)との組み合わせに り、より優れた効果、特に、フォトクロミ ク光学基材の黄変の問題を有効に解決する いう観点から、シリカ微粒子を水に分散さ たゾルの形態で使用することが最も好まし 。このようなゾルでは、分散媒として使用 れる水が有機ケイ素化合物成分(b)の硬化(加 水分解)に寄与し、さらに、シリカ微粒子の 面が活性化されているものと考えられる。 の結果、ハードコート層中にシリカ微粒子 緻密に且つ均一に分散され、酸素に対する リヤー性がより高められると思われる。

 また、ゾルの形態でシリカ微粒子を使用 る場合、シリカ微粒子の分散液の固形分濃 は、10~45質量%の範囲にあることが好ましく 特に、分散液がpH2~4の酸性を示し、さらに 安定化イオンとして含まれることがあるナ リウムの含量が低い分散液を使用すること 好ましい。このようなシリカ微粒子の分散 を使用することにより、得られるコーティ グ組成物中に、シリカ微粒子が安定に分散 れるからである。

 本発明において、上述したシリカ微粒子は 全シリカ微粒子の粒子径が30nm以下のもので あれば特に制限されるものではないが、一般 に、粒径が小さいものほど、フォトクロミッ ク光学基材の赤変や黄変の問題を防止する効 果が高い。例えば、7nm以下、特に4~6nmの粒子 のシリカ超微粒子を使用することが好適で る。但し、コーティング組成物中のシリカ 粒子の分散安定性などを考慮すると、用い シリカ微粒子(a)中を占める7nm以下の超微粒 の割合は、シリカ微粒子(a)の全量を100質量% としたとき、10質量%以上、より好ましくは10~ 50質量%、さらに好ましくは15~50質量%の範囲に あるのがよい。
 なお、前記シリカ微粒子の粒子径の下限値 、微粒子の生産性、取り扱い性等を考慮す と1nmである。

 上記のシリカ微粒子(a)は、後述の有機ケ 素化合物成分(b)との合計量(a+b)を100質量部 して、15~55質量部の量でコーティング組成物 中に配合されるが、特に得られるハードコー ト層の耐擦傷性及び硬化時にクラックが入り 難いという観点から、20~55質量部、特に25~45 量部の量で配合されているのがよい。尚、 のシリカ微粒子の量は、シリカ微粒子をゾ の形態で配合したときは、分散液の固形分 量に相当するものであり、例えば分散液中 含まれる水の量は、後述する水(c)の量に含 られる。

有機ケイ素化合物成分(b):
 本発明のコーティング組成物において、有 ケイ素化合物成分(b)は、このコーティング 成物を硬化してハードコート層を形成した きにマトリックスとなる透明な硬化体を形 する成分であり、前述したシリカ微粒子(a) 、この有機ケイ素化合物成分(b)が形成する 化体中に分散するものとなる。このような 機化合物成分(b)は、前述したシリカ微粒子( a)との合計量(a+b)を100質量部としたとき、85~45 質量部、好ましくは80~45質量部、最も好まし は75~55質量部の量で使用される。このよう 量で、この有機ケイ素化合物成分(b)及び前 したシリカ微粒子(a)を使用することにより このコーティング組成物から形成されるハ ドコート層の耐擦傷性を高め、且つ硬化不 を有効に回避し、例えば硬化時におけるク ックの発生等を回避することができる。

 本発明において、このような有機ケイ素 合物成分(b)は、エポキシ基含有有機ケイ素 合物(b1)とテトラアルコキシシラン(b2)とを その質量比(b1/b2)が0.25乃至4.0となる量比で含 むものでなければならない。エポキシ基含有 有機ケイ素化合物は、ハードコート層の基材 に対する密着性を高める成分である。また、 テトラアルコキシシランは、4官能性のシラ 化合物であり、緻密でガラス転移点(Tg)の高 ハードコート層を形成するために必要な成 である。

 本発明においては、エポキシ基含有有機 イ素化合物(b1)とテトラアルコキシシラン(b2 )とを、上記の量比で使用することにより、 ラスチックレンズ等の光学基材との密着性 優れ且つ耐擦傷性に優れたハードコート層 形成することができるばかりか、コーティ グ法により得られたフォトクロミック光学 材の表面にハードコート層を形成するとき 発生する黄変、赤変及び硬化不良という特 の問題を全て防止することができるのであ 。例えば、エポキシ基含有有機ケイ素化合 (b1)或いはテトラアルコキシシラン(b2)の何れ かが使用されていない場合、或いは両成分が 使用されていたとしても、その量比が上記範 囲外である場合には、上記の問題の何れかを 解決することができたとしても、上記の問題 の全てを解決することはできない。例えば、 エポキシ基含有有機ケイ素化合物とテトラア ルコキシシランとの質量比(b1/b2)が4.0を超え 場合には、緻密なハードコート層の形成が 難となり、赤変の問題、黄変の問題を十分 解決することができず、質量比(b1/b2)が、0.25 よりも小さい場合には、均一な厚みのハード コート層を形成するのが難しく、また、プラ スチックレンズのような光学基材との密着性 が低下するばかりか硬化不良を生じ易く、ハ ードコート層にクラックが入り易くなってし まう。

 上記のようなエポキシ基含有有機ケイ素化 物(b1)としては、分子内にエポキシ基ととも にアルコキシ基等の加水分解性基を有するケ イ素化合物が好適に使用される。具体的には 、下記式(1):
  (R 1 ) A (R 2 )Si(OR) 3-A     (1)
  式中、R及びR 1 は、それぞれ独立に炭素数1~3の低級アルキル 基であり、
     R 2 は、エポキシ基含有有機基であり、
     Aは、0、1および2の整数である、
で表されるシラン化合物が好適に使用される 。

 上記の基R及びR 1 に関して、低級アルキル基は、炭素数が1~3の 範囲あるものであればよいが、特に安全性の 高さや反応性の観点から、メチル基またはエ チル基であることが好ましい。また、R及びR1 の個数に関連するAは、0または1であること、 即ち、上記のシラン化合物は、3個または2個 アルコキシ基を有していることが、緻密な ードコート層を形成する上で好適である。 らに、R又はR 1 が分子中に複数存在する場合、複数のR又はR 1 は、互いに異なっていてもよい。

 また、R 2 が示すエポキシ基含有有機基としては、下記 式(1A):
  式中、R 3 は、炭素数1~8のアルキレン基である、
または下記式(1B):
  式中、R 4 、炭素数1~8のアルキレン基である、
で示される基である。

 前記式(1A)或いは(1B)におけるR 3 およびR 4 が示すアルキレン基は、炭素数が1~8の範囲に あれば、直鎖状のものでもよいし、或いは枝 分かれしたものであってもよいが、入手のし 易さの点で、炭素数2或いは3の直鎖状である とが好適である。

 上記のような式(1)で表されるエポキシ基含 有機ケイ素化合物の具体例としては、
  γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシ ン、
  γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキ シラン、
  γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキ シラン、
  γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシ ン、
  β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルト メトキシシラン、
を挙げることができる。これらの中でも、プ ラスチックレンズ等の光学基材との密着性や 架橋性と言う観点から、γ-グリシドキシプロ ピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプ ロピルメチルジメトキシシランが好適である 。また、これらのエポキシ基含有有機ケイ素 化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混 して用いてもよい。

 また、テトラアルコキシシラン(b2)としては 、
  テトラメトキシシラン、
  テトラエトキシシラン、
  テトラプロポキシシラン、
  テトライソプロポキシシラン、
  テトラブトキシシラン
等を挙げることができ、中でも、アルコキシ 基の加水分解速度、毒性、価格等を考慮する とテトラエトキシシランが好適である。

 また、有機ケイ素化合物成分(b)は、上記(b1) 及び(b2)以外の有機ケイ素化合物を含むこと できる。このような他の有機ケイ素化合物 しては、下記式(2)~(4)で表されるモノ、ジ或 はトリアルコキシシラン化合物を例示する とができる。
式(2)のアルコキシシラン化合物;
   R 5 (R 6 ) B Si(OR) 4-B   (2)
   式中、R 5 は、炭素数1~6の炭化水素基、ビニル基、メタ クリロキシ基、アクリル基、メルカプト基、 またはアミノ基含有有機基であり、
      R 6 及びRは、それぞれ、炭素数1~3のアルキル基 あり、
      Bは、1、2または3の整数である。
式(3)のアルコキシシラン化合物;
   (R 7 ) C Si(OR) 4-C   (3)
   式中、R 7 は、水素原子、ビニル基、アリール基又はア ルキル基であり、
      Rは、炭素数1~3のアルキル基であり
      Cは、1または2の整数である。
式(4)のアルコキシシラン化合物;
   (R 9 ) D (RO) 3-D Si-R 8 -Si(OR) 3-D (R 10 ) D  (4)
   式中、R 8 は、炭素数1~8の直鎖または枝分かれしたアル キレン基であり、
      R 9 およびR 10 は炭素数1~3のアルキル基であり、
      Rは、炭素数1~3のアルキル基であり
      Dは0~2の整数である。

 上記式(2)~(4)で示されるアルコキシシランの 具体例としては、以下のものを挙げることが できる。
   メチルトリメトキシシラン、
   メチルトリエトキシシラン、
   n-ヘキシルトリメトキシシラン、
   n-オクチルトリメトキシシラン、
   n-オクチルメチルジメトキシシラン、
   n-デシルトリメトキシシラン、
   n-オクタデシルトリメトキシシラン、
   エチルトリエトキシシラン、
   フェニルトリエトキシシラン、
   ジメチルジメトキシシラン、
   フェニルメチルジメトキシシラン、
   ビニルトリエトキシシラン、
   ビニルトリメトキシシラン、
   ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラ 、
   γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシ ラン、
   γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシ シラン、
   N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリ メトキシシラン、
   N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチ ルジメトキシシラン、
   γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、
   N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキ シシラン、
   γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラ ン、
   ビス(トリエトキシシリル)エタン、
   ビス(トリメトキシシリル)エタン、
   ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、
   ビス(ジエトキシメチルシリル)ヘキサン
   ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、
   ビス(ジメトキシメチルシリル)ヘキサン
   ビス(トリエトキシシリル)オクタン、
   ビス(トリメトキシシリル)オクタン、
   ビス(ジエトキシメチルシリル)オクタン
   1-(トリエトキシシリル)-2-(ジエトキシメ ルシリル)エタン

 また、上記式(2)~(4)で示されるアルコキシシ ラン以外に、下記式(5)で示されるアルコキシ シラン化合物を用いることも可能である。

 上述した式(2)~(5)で示されるアルコキシシ ラン化合物は単独で用いても、2種以上を混 して用いてもよい。また、これらのアルコ シシラン化合物は、前記エポキシ基含有有 ケイ素化合物(b1)とテトラアルコキシシラン( b2)との合計量100質量部当たり、10質量部以下 あることが好ましい。即ち、これらのアル キシラン化合物を必要以上に使用すると、 られるハードコート層の緻密性が損なわれ しまい、コーティング法により製造される ォトクロミック光学基材に特有の黄変等を 止することができなくなってしまうおそれ あるからである。従って、本発明において 、有機ケイ素化合物成分(b)としては、エポ シ基含有有機ケイ素化合物(b1)とテトラアル コキシシラン(b2)の2種のみを使用することが も好ましい。

 尚、本発明のコーティング組成物におい は、上記の有機ケイ素化合物成分(b)は、コ ティング組成物の保存形態等によっては、 部が部分加水分解物或いは部分加水分解縮 物を形成することがあるが、このような場 においても、各成分が前述した量比で使用 れている限り、特に問題はない。

水(c):
 本発明のコーティング組成物は、シリカ微 子(a)及び有機ケイ素化合物成分(b)合計質量1 00質量部当り、30乃至200質量部、好ましくは30 乃至190質量部、さらに好ましくは35乃至185質 部の量で水を含有していることも必要であ 。このような量で水を含有していることに り、ハードコート層を形成する硬化体のガ ス転移点をより高くし、さらにはハードコ ト層の密着性や耐擦傷性を向上することが きる。
 この理由は明らかではないが、上記のよう 量で水を使用することにより、有機ケイ素 合物成分(b)の加水分解が促進され、有機ケ 素化合物成分(b)の重縮合に対する硬化触媒( d)がより効果的に作用し、硬化が促進される めではないかと考えられる。例えば、水の が上記範囲よりも少ない場合には、硬化が 十分となり、緻密なハードコート層が形成 れず、コーティング法により製造されるフ トクロミック光学基材に特有の黄変等を防 することができなくなってしまう。また、 記範囲よりも多量に水を使用した場合には 均一な厚みのハードコート層の形成が困難 なってしまう。
 さらに、上記のような量で水を使用するこ により、有機ケイ素化合物成分(b)の加水分 が促進されると共に、シリカ微粒子の表面 活性化され、有機ケイ素化合物成分(b)の加 分解物とシリカ微粒子とが強固に固定され ものとなり、緻密なハードコート層を形成 きるものと考えられる。例えば、シリカ微 子(a)、有機ケイ素化合物成分(b)、および硬 触媒(d)として同じものを同じ含有量で含む ーティング組成物を用い、同一のフォトク ミック光学基材上にハードコート層を形成 て比較すると、上記範囲内である限り、水 含有量が多いコーティング組成物の方が、 ォトクロミック光学基材の黄変の問題を高 に解決できる。特に、シリカ微粒子(a)及び 機ケイ素化合物成分(b)合計質量100質量部当 、100質量部以上、特に120質量部以上、最も ましくは140質量部以上の量で水を含有して るコーティング組成物は、フォトクロミッ 光学基材の黄変防止効果が最も優れている

 尚、既に述べた通り、前述したシリカ微 子(b)は、好適には水に分散させた分散液(ゾ ル)の形態で配されるが、このような場合に いて、分散液中に含まれる水の量を考慮し 、水の量を上記範囲内に調整することが必 である。例えば、分散液中に含まれる水の が上述した水量の範囲に満たない場合には さらに水を添加しなければならず、上述し 水量の範囲である場合には水の添加は必要 ない。また、分散媒として水溶性有機溶媒 用いたゾルの形態でシリカ微粒子を使用す 場合には、当然、水を添加して、水量を前 した範囲とすることが必要である。さらに 後述するように、このコーティング組成物 は、有機ケイ素化合物成分(b)の加水分解及 硬化を促進するために酸水溶液を用いるこ があるが、このような場合にも、酸水溶液 含まれる水の量を考慮して、コーティング 成物中に含まれる水の量が前述した範囲と なければならない。

硬化触媒(d):
 本発明においては、硬化触媒(d)として、ア ミニウムを中心金属とする錯体(以下、Al錯 と呼ぶことがある)を使用することも重要で ある。即ち、このようなAl錯体を硬化触媒と て使用することにより、有機ケイ素化合物 分(b)の硬化が有効に促進され、緻密でガラ 転移点(Tg)が高く且つ耐擦傷性に優れたハー ドコート層が形成されるばかりか、例えばア ミノ基含有フォトクロミック化合物との相互 作用も有効に抑制され、この結果、硬化不良 、黄変、赤変などのコーティング法により製 造されるフォトクロミック光学基材に特有の 問題を有効に解決することができる。
 また、Al錯体を硬化触媒(d)として使用する 果は、水を多量に使用する場合に特に顕著 発揮される。具体的には、シリカ微粒子(a) び有機ケイ素化合物成分(b)合計質量100質量 当り、好ましくは100質量部以上、より好ま くは120質量部以上、特に好ましくは140質量 以上の量の水を含有する場合に、上記のよ な効果が顕著に発揮される。
 このようなAl錯体の使用量は、シリカ微粒 (a)及び有機ケイ素化合物(b)との合計質量(a+b) 100質量部当り、0.1乃至5.0質量部、特に0.1乃至 3.0質量部の範囲である。

 また、アルミニウムを中心金属とする錯 としては、アセチルアセトナート、エチル セトアセテート及びサリチルアルデヒデト Al錯体が代表的であり、これらの中でも特 、アセチルアセトナートのAl錯体が好適であ る。

 なお、アルミニウムを中心金属とする錯体 前記の量で使用されている限り、他の硬化 媒も併用することができる。このような他 硬化触媒の例としては、
   Li(I)、Cu(II)、Zn(II)、Co(II)、Ni(II)、Be(II)、
  Ce(III)、Ta(III)、Ti(III)、Mn(III)、La(III)、Cr(III )、V(III)、Co(III)、Fe(III)、Ce(IV)、Zr(IV)、V(IV)等 中心金属原子とするアセチルアセトナート エチルアセトアセテート及びサリチルアル ヒデト等の錯体;
   過塩素酸、過塩素酸マグネシウム、過塩 素酸アルミニウム、過塩素酸亜鉛、過塩素酸 アンモニウム等の過塩素酸類;
   酢酸ナトリウム、ナブテン酸亜鉛、ナフ テン酸コバルト、オクチル酸亜鉛等の有機金 属塩;
   塩化第二錫、塩化アルミニウム、塩化第 二鉄、塩化チタン、塩化亜鉛、塩化アンチモ ン等のルイス酸;
等を例示することができる。これらの中でも 、亜鉛(II)を中心金属とする錯体が最も好適 ある。また、他の硬化触媒を併用する場合 その量は所謂触媒量でよい。

他の添加剤:
 本発明のコーティング組成物中には、本発 の目的を損なわない範囲において、(a)~(d)の 必須成分に加えて、それ自体公知の各種の添 加剤が配合されていてよい。
 例えば、シリカ微粒子(a)などの分散性を高 るために、水溶性の有機溶媒を配合するこ ができる。このような水溶性有機溶媒は、 リカ微粒子(a)のゾルの分散媒としても使用 得るものであるが、特に有機ケイ素化合物 分(b)及び硬化触媒(d)を良好に溶解し、且つ 発性を有するものが好適に使用される。こ 具体例としては、以下のものを例示するこ ができる。
  メタノール、エタノール、n-プロパノール 、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタ ール、n-ペンタノールなどのアルコール類;
  酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル プロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、 セト酢酸エチル、乳酸エチルなどのエステ 類;
  エチレングリコールモノイソプロピルエ テル、エチレングリコールモノエチルエー ル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエ テル、エチレングリコールモノーn-ブチルエ ーテル、エチレングリコールモノーt一ブチ エーテル、プロピレングリコールモノメチ エーテル、プロピレングリコールモノエチ エーテル、プロピレングリコールモノ-n-プ ピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n -ブチルエーテル、プロピレングリコールモ メチルエーテルアセテート、プロピレング コールモノエチルエーテルアセテート、ジ キサンなどのエーテル類;
  アセトン、アセチルアセトン、ジアセト アルコールなどのケトン類;
 これらの有機溶媒は、単独で使用してもか わないが、一般には、コーティング組成物 粘度等の物性を制御するため、2種以上を混 合して用いるのが好ましい。

 本発明においては、上記の水溶性有機溶 の中でも、シリカ微粒子(a)の分散性、有機 イ素化合物成分(b)を加水分解する目的で使 される酸水溶液、及び水分散シリカゾルに まれる水との相溶性、コート層形成時の容 な揮発性、更には平滑なコート層を形成し るという観点から、メタノール、イソプロ ノール、t-ブタノール、アセチルアセトン ジアセトンアルコール、エチレングリコー モノイソプロピルエーテルなどを使用する が好適である。このような水溶性有機溶媒 使用量は特に限定されないが、通常、シリ 微粒子(a)及び有機ケイ素化合物成分(b)の合 質量100質量部当り、10乃至200質量部、特に15 至150質量部の範囲が好適である。また、前 した水(c)との質量比(水/水溶性有機溶媒)が0 .5乃至10.0の範囲であることが、前述した赤変 及び黄変等の防止特性に影響を与えず、厚み むらのない平滑なハードコート層を形成する ことができる。

 また、先にも簡単に述べたが、本発明の ーティング組成物には、有機ケイ素化合物 加水分解し、硬化性を促進する目的で酸水 液を添加することもできる。このような酸 しては、特に制限されるものではないが、 酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸、酢酸、 ロピオン酸等の有機酸が代表的であり、特 コーティング組成物の保存安定性、加水分 性の観点から、塩酸が好適である。また、 水溶液の酸濃度は、0.01N~5Nの塩酸水溶液が 適である。さらに、酸水溶液中の水の量は このコーティング組成物中に含まれる水の 量が前述した範囲であり且つ有機ケイ素化 物成分(b)の全ての加水分解性基(例えばアル キシ基)が加水分解するのに必要な量の0.1倍 ~3倍となるように調整すべきである。また、 リカ微粒子(a)を水を分散媒としたゾルの形 で使用する用いる場合には、有機ケイ素化 物成分(b)のアルコキシ基を加水分解するの 十分な量の水がコーティング組成物中に存 すれば、有機ケイ素化合物成分(b)を加水分 する目的で酸水溶液をあえて添加する必要 ないが、酸水溶液を添加した方がより加水 解が進行し、また、コーティング組成物の ラスチックレンズ基材等の光学基材に対す 濡れ性が向上し、均一な厚みで且つ密着性 高いハードコート層を形成する上でも有利 ある。

 また、本発明のコーティング組成物には 本発明の効果を損なうことのない範囲にお て、シリカ微粒子以外の金属酸化物微粒子 適宜配合されていてもよいが、このような 属酸化物微粒子の粒径は、シリカ微粒子(a) 同様、30nm以下とすべきであり、また、その 量は、シリカ微粒子(a)と有機ケイ素化合物成 分(b)との合計質量100質量部当り5質量部以下 微量とするのがよい。

 さらに、本発明のコーティング組成物に 、ハードコート層形成のために使用されて る従来公知のコーティング組成物と同様、 種の添加剤、例えば、界面活性剤、酸化防 剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、着色防 剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、 料等を、必要に応じて配合することができ 。

 特に、界面活性剤の使用は、均一な厚みの ードコート層を形成するために好ましい。 面活性剤としては、ノニオン系、アニオン 、カチオン系の何れも使用できるが、安定 の観点からノニオン系界面活性剤を用いる が好ましい。好適なノニオン系界面活性剤 例としては、以下のものを例示することが きる。
   ソルビタン脂肪酸エステル、
   グリセリン脂肪酸エステル、
   デカグリセリン脂肪酸エステル、
   プロピレングリコール・ペンタエリスリ トール脂肪酸エステル、
   ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エ ステル、
   ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エ ステル、
   ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エ ステル、
   ポリエチレングリコール脂肪酸エステル 、
   ポリオキシエチレンアルキルエーテル、
   ポリオキシエチレンフィトステロール・ フィトスタノール、
   ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ ンアルキルエーテル、
   ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ ーテル、
   ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマ シ油、
   ポリオキシエチレンラノリン・ラノリン アルコール・ミツロウ誘導体、
   ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂 肪酸アミド、
   ポリオキシエチレンアルキルフェニルホ ルムアルデヒド縮合物、
   単一鎖ポリオキシエチレンアルキルエー テル等。
 また、上記以外にも、シリコーン系又はフ 素系の界面活性剤を好適に使用することが きる。シリコーン系の界面活性剤は、シリ ーン鎖(ポリアルキルシロキサンユニット) 疎水基とするものであり、またフッ素系の 面活性剤は、フッ化炭素鎖を有するもので り、パーフルオロアルキル基含有のエステ 系オリゴマーやパーフルオロアルキル基含 アルキレンオキサイド付加物、フッ素系脂 族系ポリマーエステルなどがある。尚、シ コーン系界面活性剤の市販品としては、日 ユニカー株式会社製『L―7001』、『L-7002』、 『l-7604』等があり、フッ素系界面活性剤の市 販品としては、日本ユニカー株式会社製『FZ- 2123』、大日本インキ化学工業(株)社製『メガ ファックF-470』、『メガファックF-1405』、『 ガファックF-479』、住友スリーエム社製『 ローラッドFC-430』等が知られている。

 上述した界面活性剤は、一般に、1種単独 で使用することもできるし、また2種以上を 合して使用しても良い。界面活性剤の添加 は、シリカ微粒子(a)と有機ケイ素化合物成 (b)との合計質量100質量部当り0.01~1質量部の 囲が好ましい。

 尚、本発明において、上述した各種の添 剤は、その目的に応じて適宜の量で使用さ るが、本発明の優れた効果を損なわないた に、一般に、コーティング組成物中のシリ 微粒子(a)と有機ケイ素化合物成分(b)との合 含量が、固形分換算で95質量%以上、特に97 量%以上の範囲に維持されるように、各種添 剤の配合量を設定するのがよい。

 本発明のコーティング組成物は、上述した 成分を均一に混合することにより容易に調 されるが、一般的には、使用する直前に水 たは有機溶剤を分散媒とするシリカ微粒子 、エポキシ基含有有機ケイ素化合物、テト アルコキシシランなどの有機ケイ素化合物 硬化触媒とを混合することが好ましい。ま 、長期保存するような場合には、一般に、- 30~20℃程度の温度で保存しておくことが好ま い。
 このようなコーティング組成物は、これを 所定の光学系基材の表面に塗布し、硬化さ ることにより、透明で且つ耐擦傷性に優れ しかも光学系基材との密着性も良好なハー コート層を形成することができる。硬化は 光学基材が劣化しない程度の温度で適宜の 間加熱し、コーティング組成物中に含まれ 有機溶媒や水等を揮散せしめることにより われる。

<ハードコート層>
 このようにして形成されるハードコート層 、光学系基材の用途によっても異なるが、 えばプラスチックレンズなどの表面に形成 れる場合には、一般に1乃至10μm程度の厚み 有するものである。

 また、本発明のコーティング組成物によ 形成されるこのハードコート層は、著しく 密であり、その分子運動が極めて制限され ものとなっている。例えば、このハードコ ト層(硬化体)のガラス転移点(Tg)は、150℃以 、特に155℃以上、最も好適には160℃以上で り、さらにこのガラス転移点の上限値は200 以下である。尚、このガラス転移点は、後 する実施例に記載されているように、示差 査熱量分析により測定される。

 また、このハードコート層は、著しく緻密 あると共に、シリカ微粒子(a)が均一に分散 れ且つハードコート層中に強固に固定され いるため、著しく硬度が高く、例えばこの ードコート層をコーティング法により製造 れたフォトクロミック光学基材の表面(即ち 、フォトクロミックコート層の表面)に形成 た場合には、そのベイヤー値を5以上、特に6 以上に高めることができるのである。
 尚、ベイヤー値は、レンズの表面における 擦傷性を評価するための指数であり、一般 一定条件で傷をつけたときの曇り度(Haze)を 準レンズ(この場合には、フォトクロミック コート層)との比較で求めたものであり、一 に4以上の値で硬く、傷がつきにくいもので り、6以上の値でガラスに匹敵する耐擦傷性 を有していると評価される。

 このように、本発明のコーティング組成物 よれば、上記のガラス転移点及びベイヤー から理解されるように、著しく緻密で硬く 耐擦傷性に優れており、しかもこのような 性を有しているため、酸素に対するバリヤ 性が良好であり、且つ高濃度のフォトクロ ック化合物を含むフォトクロミック層から フォトクロミック化合物の移行も抑制され 。従って、このハードコート層は、コーテ ング法により形成されたフォトクロミック 学基材の表面に形成されたときに最も効果 である。酸素の透過によるフォトクロミッ 化合物の劣化に起因する黄変や、アミノ基 有フォトクロミック化合物とハードコート 中の成分との相互作用に起因する赤変を有 に防止することができるのである。
 例えば、本発明のコーティング組成物を用 て、コーティング法により形成されたフォ クロミック光学基材の表面にハードコート を形成したときの黄変度(δYI)は、劣化促進 験によって評価できる。この劣化促進試験 、後述する実施例に示されているように、2 .5kWキセノンアークランプを光源として用い 放射強度が40W/m 2 、光照射面温度が50℃の条件下で100時間光照 することにより行われるが、このときの黄 度(δYI)は3.5以下であり、黄変が有効に抑制 れていることが判る。

 また、上記のようなフォトクロミック光 基材の表面にハードコート層を形成する場 には、フォトクロミック化合物と触媒成分 との相互作用も有効に抑制されているため 硬化不良も有効に防止することができるの ある。

<フォトクロミック光学基材への適用>
 上記で述べたように、本発明のコーティン 組成物は、コーティング法によりフォトク ミックコート層が形成されているフォトク ミック光学基材に適用してハードコート層 形成した場合に最も効果的であり、図1には 、このようなハードコート層が形成されたフ ォトクロミック光学品(例えばフォトクロミ クレンズ)の断面構造を示した。

 図1において、全体として10で示すフォト ロミック光学品は、プラスチックレンズ等 光透過性部材1と、この上に形成されたフォ トクロミックコート層3とからなるフォトク ミック光学基材(例えばフォトクロミックレ ズ)の上に積層されたハードコート層4とか なっている。

 また、光透過性部材1とフオトクロミックコ ート層3との間には、両者の密着性を高める めに、適宜プライマー層2が設けられる。さ に、ハードコート層4上には、反射防止膜5 設けられていてもよい。なお、図1では簡略 して示しているが、反射防止膜5は、通常、 屈折率の異なる複数の無機薄膜層の積層体で あり、SiO 2 、TiO 2 、ZrO 2 等の金属酸化物から成る薄膜の蒸着や有機高 分子体の薄膜の塗布等により形成されるもの であり、反射防止膜5間にはウレタンプライ ー等の耐衝撃性プライマーを施しても良く さらに反射防止膜5上に、帯電防止処理、撥 処理および防曇処理等の加工及び2次処理を 施すことも可能である。また、図示していな いがハードコート層4及び反射防止膜5は、場 によっては光透過性部材1の裏面に形成され る場合もある。

 本発明においては、上記のハードコート 4が、前述したコーティング組成物により形 成されるわけである。フォトクロミック性を 有していない通常の眼鏡レンズにハードコー ト層4を形成する場合には、フォトクロミッ 層3及びプライマー層2を有していない眼鏡レ ンズ(プラスチックレンズ)の上に直接ハード ート層4が設けられることとなる。

 図1において、光透過性部材1としては、 に限定されず、眼鏡レンズ、家屋や自動車 窓ガラス等公知の光学部材であってよいが 特に眼鏡レンズが好適に適用される。

 眼鏡レンズとしては、(メタ)アクリル系 脂、ポリカーボネート系樹脂、アリル系樹 、チオウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂お びチオエポキシ系樹脂等のプラスチック系 眼鏡レンズ、ガラス系の眼鏡レンズが公知 あり、本発明においては特に制限されるこ なくいずれの眼鏡レンズも使用できる。特 、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート 系樹脂、アリル系樹脂、チオウレタン系樹脂 、ウレタン系樹脂およびチオエポキシ系樹脂 等のプラスチック眼鏡レンズを使用すること がより好ましい。

 また、プラスチック眼鏡レンズは通常曲 を有しており、近年の光学設計の進歩によ その凸面は複雑な曲面形状をしているもの 多いが、本発明においてはこのような眼鏡 ンズを何ら問題なく、フォトクロミック層3 やハードコート層4を形成する光透過性部材1 して使用することができる。このような光 過性部材1の厚みは、その用途に応じ様々で あり、特に限定はされないが、たとえば眼鏡 レンズの厚みは1~200mm程度である。

 光透過性部材1の表面は、種々の表面処理 が施されたものであってもよい。このような 表面処理としては、例えば、塩基性水溶液又 は酸性水溶液による化学的処理、研磨剤を用 いた研磨処理、大気圧プラズマおよび低圧プ ラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電 処理等を挙げることができる。

 フォトクロミックコート層(フォトクロミ ック層と呼ぶ)3との密着性を向上させるため 形成されているプライマー層2は、各種のプ ライマー樹脂から形成され得るが、フォトク ロミック層3に対する密着性の観点から、特 ウレタン系プライマー樹脂が好ましく用い れる。このようなウレタン系プライマー樹 は、国際公開WO2004/078476号パンフレットに詳 が記載されている。プライマー層の厚みは に限定はされないが、通常は1~10μm程度であ る。

 上記フォトクロミック層3の上に形成され るハードコート層4は、前述したコーティン 組成物を塗布し、硬化させることにより形 されるものであり、かかるハードコート層4 フォトクロミック層3を被覆することにより 、フォトクロミック層3の耐擦傷性や耐候性 向上させることができる。

 フォトクロミック層3は、フォトクロミッ ク性を有する化合物(フォトクロミック化合 )とラジカル重合性単量体や重合開始剤等を む硬化性組成物(以下、フォトクロミック硬 化性組成物と呼ぶ)を塗布し、硬化させるこ により形成されるものであり、通常、その みは5~100μm程度である。

 既に述べたように、上記のようなフォト ロミック層3が形成されたフォトクロミック 光学基材では、含浸法や練り混み法などによ り形成されたものと異なり、薄いフォトクロ ミック層3によりフォトクロミック性を付与 るため、このフォトクロミック層3中には、 濃度でフォトクロミック化合物が存在する このため、このようなフォトクロミック層3 の上にハードコート層4を形成した場合に黄 の問題が生じるわけであるが、本発明のコ ティング組成物を用いてハードコート層4を 成することによって、このような黄変を有 に防止することができるわけである。

 また、上記のようなフォトクロミック化 物としては、薄いフォトクロミック層3で高 いフォトクロミック性を発揮させるため、ク ロメン化合物が好適に使用されるが、これら の中でも、アミノ基を官能基として有するク ロメン誘導体(アミノ基含有フォトクロミッ 化合物)が、発色性に優れ且つ退色速度が速 ために、最も好適に使用される。このよう アミノ基含有フォトクロミック化合物が使 されて形成されているフォトクロミック層3 の上にハードコート層4を形成した場合には 高濃度で存在しているフォトクロミック化 物とハードコート層4中に存在するシリカ微 子との相互作用によるものと考えられる赤 や硬化不良の問題も生じるが、本発明のコ ティング組成物を用いてハードコート層4を 形成する場合には、このような赤変や硬化不 良も効果的に防止することができる。

 このように、本発明のコーティング組成 は、アミノ基含有フォトクロミック化合物 使用されて形成されているフォトクロミッ 層3の上にハードコート層4を形成する場合 最大の効果を発揮する。

 アミノ基含有フォトクロミック化合物を いてフォトクロミック層を形成する場合に いて、この化合物は、単独または2種以上の 複数を混合して使用することもできるし、ま た、適宜、他のフォトクロミック化合物(例 ばアミノ基を含有していないクロメン化合 )を併用して色調を調整することもできるが 一般に、アミノ基含有フォトクロミック化 物がフォトクロミック硬化性組成物中に占 る割合は、フォトクロミック層3の厚みによ っても異なるが、一般にフォトクロミック層 3中に均一に分散させるという観点から0.1乃 10.0質量%の範囲にあることが好ましく、特に 厚みが20μm~50μmのフォトクロミック層3を形成 する場合には、0.2~5.0質量%の範囲が好ましく 厚みが30μm~40μmのフォトクロミック層3を形 する場合には、0.3~3.0質量%の範囲が好まし 。

アミノ基含有フォトクロミック化 合物について;
 上記のようなアミノ基含有フォトクロミッ 化合物が有しているアミノ基は、塩基性を しているものであればよく、例えば、-NH 2 、-NHX或いは-NX 2 (X;置換基)で表される基であるが、一般には 優れたフォトクロミック性を示すという観 から、置換基Xを有している置換アミノ基で ることが好ましい。
 また、上記のような置換基Xとしては、合成 が容易であるという観点から、炭素数が1乃 10、特に1乃至7の炭化水素基(例えばアルキル 基、アリール基)が好適である。また、2個の 換基Xが結合してアミノ基を構成している窒 素原子をヘテロ原子として含む複素環基を形 成していてもよく、この場合の複素環基にお いても、その炭素原子数は、上記範囲内であ ることが好ましく、さらに、該複素環基のヘ テロ原子数は4個以下であることが好適であ 。

 上記のような置換アミノ基の好適な具体 としては、ジメチルアミノ基、ジエチルア ノ基、ジブチルアミノ基等の炭素数1~5のア キル基を有するジアルキルアミノ基;ジフェ ニルアミノ基;フェニルメチルアミノ基;ビス( 2-ヒドロキシエチル)アミノ基;ビス(2-メトキ エチル)アミノ基;モルホリノ基;ピペリジノ ;ヘキサメチレンイミノ基;チオモルホリノ基 ;ピロール基;テトラヒドロキノリル基;ピペラ ジノ基;N-メチルピペラジノ基;1-ピロリジニル 基;2-キノリル基;ピラゾリジン基;キヌキリジ 基;インドール基;インドリニル基;カルバゾ ル基;等を挙げることができる。

 上記の置換アミノ基を有するフォトクロミ ク化合物の代表例としては、下記の一般式( 6)で表される分子量が540以下のクロメン化合 を挙げることができる。
一般式(6)のクロメン化合物:
 一般式(6)中、基R 11 ~R 15 の少なくとも一つは前述した置換アミノ基を 有する有機基である。

 上記の一般式(6)において、ピラン環に連な ており且つ基R 15 を有する環Xは、芳香族炭化水素環または不 和複素環である。
 この芳香族炭化水素環としては、炭素数6~20 の環、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、 インデノナフタレン環、フェナンスレン環、 フルオレン環等を例示することができる。
 また、不飽和複素環としては、ヘテロ原子 して、窒素、酸素、硫黄原子を1個または2 含む炭素数4~20の環、例えば、チオフェン環 ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、イ ドール環、キノリン環、カルバゾール環、 ェナントリジン環等を例示することができ 。

 さらに、R 11 ~R 15 は、少なくとも一つは前述した置換アミノ基 を有する有機基であることを条件として、以 下のような基であることができる。

 先ず、前記環Xが有している基R 15 の数を示す“o”は、0~6の整数であり、該基R 15 は、下記の基“A”の何れかである。
   基“A”
   炭素数1~8のアルキル基;
   炭素数1~8のアルキルオキシ基;
   炭素数5~10のアリールオキシ基;
   非置換のアミノ基;
   炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のア ール基、炭素数1~9のアシル基及びフッ素原 の何れかを置換基として有する置換アミノ ;
   シアノ基;
   環を構成する炭素数が6~10のアリール基;
   フッ素原子または塩素原子等のハロゲン 原子;
   炭素数1~4のパーフルオロアルキル基;
   炭素数1~4のパーフルオロアルキルオキシ 基;
   炭素数2~9のアシル基;
   炭素数2~9のアルコキシカルボニル基;
   炭素数7~11のアリールオキシカルボニル ;
   炭素数7~18のアリールアルキル基;
   ヒドロキシル基;
   アミド基;
   炭素数1~8の炭化水素基が置換したN-置換 ミド基;
   炭素数1~8のアルキニル基;
   1-ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリ 、2-キノリル、ピラゾリジン、キヌキリジ 、インドール、インドリン、カルバゾール の窒素原子をヘテロ原子として有し該窒素 子で環Xに結合する複素環基;

 なお、上記で例示されている基“A”の内、 アリール基、アルキニル基及び複素環基は、 それぞれ、置換基“B”を有していても良い このような置換基“B”の具体例としては、 下の基を挙げることができる。
   置換基“B”
   炭素数1~8のアルキル基;
   炭素数1~8のアルキルオキシ基;
   アミノ基;
   炭素数1~10のアルキル基を置換基として する置換アミノ基;
   シアノ基;
   フッ素原子または塩素原子等のハロゲン 原子;
   炭素数1~2のパーフルオロアルキル基;
   炭素数1~2のパーフルオロアルキルオキシ 基;
   ヒドロキシル基;
   アミド基;
   炭素数2~9のアシル基;
   炭素数2~9のアルコキシカルボニル基;
   炭素数1~8の炭化水素基が置換したN-置換 ミド基;
   1-ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリ 等の窒素原子をヘテロ原子として有し該窒 原子を介して結合する複素環基;
   前記複素環基に芳香族炭化水素環もしく は芳香族複素環が縮合した縮合複素環基;

 また、前記一般式(6)におけるR 11 及びR 12 は、それぞれ、芳香族炭化水素基、不飽和複 素環基、下記式(6a)又は下記式(6b):
 
で表される基であり、R 11 とR 12 とは互いに結合して脂肪族炭化水素環もしく は芳香族炭化水素環を形成していてもよい。

 上記の芳香族炭化水素基としては、フェニ 基、ナフチル基を挙げることができ、不飽 複素環基としては、炭素数4~10のフリル基、 チエニル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリ ル基、ピロリル基、インドリル基、トリアジ ニル基を挙げることができる。
 これらの芳香族炭化水素基及び不飽和複素 基は、置換基を有していてもよく、当該置 基としては基R 15 に関して例示した置換基“B”を挙げること できる。

 前記式(6a)または前記式(6b)の基において、R 16 及びR 18 は、上記で例示した芳香族炭化水素基または 不飽和複素環基であり、R 17 は、水素原子、炭素数1~8のアルキル基(例え メチル基、エチル基、ブチル基、t-ブチル基 、イソプロピル基、シクロプロピル基、シク ロへキシル基)、またはハロゲン原子であり p及びp’は、1~3の整数である。

 また、R 11 とR 12 が一緒になって形成する脂肪族炭化水素環も しくは芳香族炭化水素環は、環を構成する炭 素数が6~20の単環構造の炭化水素環、環を構 する炭素数が6~20の縮合多環式炭化水素環、 いは橋かけ環式炭化水素環等が例示される これら環には、フルオレン環、ジヒドロア トラセン環、シクロへキサン環、アダマン ン環、インデン環などがスピロ結合してい もよい。

 本発明においては、上記のR 11 とR 12 の少なくとも一方は、前述した置換アミノ基 を有するアミノ基置換芳香族炭化水素基もし くはアミノ基置換不飽和複素環基であること が好適であり、中でも、置換アミノ基がメチ ルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルア ミノ基等のモノまたはジアルキルアミノ基で あり、該置換アミノ基が4位(p位)に結合した ミノ基置換フェニル基が特に好適である。 ち、このようなクロメン化合物は、良好な ォトクロ特性を示すばかりか、前述した赤 の問題が顕著であるため、本発明のコーテ ング組成物を用いてハードコート層を形成 たときの赤変防止効果が顕著に発現するか である。

 さらに前記一般式(6)において、R 13 及びR 14 は、それぞれ、前記基R 15 に関して置換基“B”として示した基である

 既に述べたように、上述した一般式(6)中の R 11 ~R 16 の少なくとも何れか一つは、アミノ基、特に 置換アミノ基を有する基であるが、このよう な一般式(6)で表されるクロメン化合物のなか でも、発色濃度、退色速度等のフォトクロミ ック特性および耐久性の点から、下記式(7)~(1 2)で表される化合物が特に好適である。

   式(7)で示される化合物;
 上記式中、R 19 およびR 20 は、前記一般式(6)中のR 11 およびR 12 と同義であり、
      R 21 およびR 22 は、それぞれ、一般式(6)中のR 15 と同義であり、
      R 19 ~R 22 の内の少なくとも1つは、前述したアミノ基 特に置換アミノ基を有する基であり、
      qおよびq’は、それぞれ1~2の整数で る。
 上記の式(7)で示される化合物の中でも、R 19 及び/又はR 20 が、アミノ基置換芳香族炭化水素基またはア ミノ基置換不飽和複素環基である化合物が特 に好適である。

   式(8)で示される化合物;
 上記式中、R 23 およびR 24 は一般式(6)中のR 11 およびR 12 と同義であり、
      R 25 およびR 26 は、それぞれ、一般式(6)中のR 15 と同義であり、
      R 23 ~R 26 の少なくとも一つは、前述したアミノ基、特 に置換アミノ基を有する基であり、
      rおよびr’は、それぞれ、1または2 あり、
      Lは、下記式:
     (上記式中、Pは、酸素原子または硫黄 原子であり、R 27 は、炭素数1~6のアルキレン基であり、s、s’ よびs”は、いずれも1~4の整数である)
     で示されるいずれかの基である。
 前記式(8)で示される化合物の中でもR 23 及び/又はR 24 が、アミノ基置換芳香族炭化水素基またはア ミノ基置換不飽和複素環基である化合物が特 に好適である。
 
 

   式(9)で示される化合物;
 上記式中、R 28 およびR 29 は一般式(6)中のR 11 およびR 12 と同義であり、
      R 30 、R 31 およびR 32 は、それぞれ、一般式(6)中のR 15 と同義であり、
      R 28 ~R 32 の少なくとも1つは、前述したアミノ基、特 置換アミノ基を有する基であり、
      vは1又は2である。
 前記式(9)で示される化合物の中でもR 28 及び/又はR 29 が、アミノ基置換芳香族炭化水素基またはア ミノ基置換不飽和複素環基である化合物が特 に好適である。

   式(10)で示される化合物;
 上記式中、R 33 、R 34 は一般式(6)中のR 11 およびR 12 と同義であり、
      R 35 およびR 36 は、それぞれ、一般式(6)中のR 15 と同義であり、
      R 33 ~R 36 の少なくとも一つは、前述したアミノ基、特 に置換アミノ基を有する基であり、
      wおよびw’は、それぞれ、1または2 ある。
 上記の式(10)で示される化合物の中でもR 33 及び/又はR 34 が、アミノ基置換芳香族炭化水素基またはア ミノ基置換不飽和複素環基である化合物が特 に好適である。

   式(11)で示される化合物;
 上記式中、R 37 およびR 38 は一般式(6)中のR 11 およびR 12 と同義であり、
      R 39 、R 40 、R 41 およびR 42 は、それぞれ、一般式(6)におけるR 15 と同義であり、
      R 37 ~R 42 の少なくとも1つは、前述したアミノ基、特 置換アミノ基を有する基であり、
      xおよびx’は、それぞれ、1または2 ある。
 上記の式(11)で示される化合物の中でもR 37 及び/又はR 38 が、アミノ基置換芳香族炭化水素基またはア ミノ基置換不飽和複素環基である化合物が特 に好適である。
 
 
 
 
 
 
 

   式(12)で示される化合物;
 上記式中、R 43 、R 44 は一般式(6)中のR 11 およびR 12 と同義であり、
      R 45 、R 46 およびR 47 は、それぞれ、一般式(6)におけるR 15 と同義であり、
      R 43 ~R 47 の少なくとも1つは、前述したアミノ基、特 置換アミノ基を有する基であり、
      環Qは、脂肪族炭化水素環であり、
      y、y’およびy”は、それぞれ、1ま は2である。
 上記の式(12)で示される化合物の中でもR 43 及び/又はR 44 が、アミノ基置換芳香族炭化水素基またはア ミノ基置換不飽和複素環基である化合物が特 に好適である。

 本発明においては、上記式(7)~(12)で示され アミノ基置換クロメン化合物の中でも、下 に例示するような、ジメチルアミノ基等の アルキルアミノ基を有するクロメン化合物 フォトクロミック特性の点で特に好適に使 される。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 上述したアミノ基含有クロメン化合物、 独で用いても、2種以上を混合して用いても よいが、特に優れたフォトクロミック性が得 られ、且つ本発明のコーティング組成物を用 いて形成されたハードコート層による赤変防 止効果が顕著に発現するという観点から、上 述したアミノ基含有クロメン化合物の中で、 ジアルキルアミノ基を有するクロメン化合物 と、ジアルキルアミノ基以外の置換アミノ基 を有するクロメン化合物とを併用することが 好適である。このように、アミノ基含有フォ トクロミック化合物(クロメン化合物)を併用 た場合においては、その総含有量は前述し 範囲、即ち、硬化性組成物当り0.1~10.0質量% 範囲とするのがよい。また、ジアルキルア ノ基を有するクロメン化合物(C1)とジアルキ ルアミノ基以外のアミノ基を有するクロメン 化合物(C2)との質量比(C1/C2)は、0.0~5.0の範囲と するのがよい。

 上述したアミノ基含有フォトクロミック化 物は、このようなアミノ基を含有していな フォトクロミック化合物と併用してフォト ロミックコート層3(フォトクロミック硬化 組成物)中に配合されていてもよいことは、 に述べたが、このような他のフォトクロミ ク化合物としては、フルギミド化合物、ス ロオキサジン化合物、クロメン化合物等の ォトクロミック化合物がよく知られている
 上記のフルギミド化合物、スピロオキサジ 化合物およびクロメン化合物としては、例 ば特開平2-28154号公報、特開昭62-288830号公報 、WO94/22850号パンフレット、WO96/14596号パンフ ットなどに記載されている化合物が好適に 用できる。
 さらに、上記以外にも、優れたフォトクロ ック性を有する化合物として特開2001-114775 、特開2001-031670号、特開2001-011067号、特開2001 -011066号、特開2000-347346号、特開2000-344762号、 開2000-344761号、特開2000-327676号、特開2000-3276 75号、特開2000-256347号、特開2000-229976号、特開 2000-229975号、特開2000-229974号、特開2000-229973号 、特開2000-229972号、特開2000-219678号、特開2000- 219686号、特開2000-219685号、特開平11-322739号、 開平11-286484号、特開平11-279171号、特開平10-2 98176号、特開平09-218301号、特開平09-124645号、 開平08-295690号、特開平08-176139号、特開平08-1 57467号、米国特許5645767号公報、米国特許596189 2号公報、米国特許6296785号公報等に開示され 化合物も好適に使用することができる。

 これら他のフォトクロミック化合物の中 も、クロメン系フォトクロミック化合物は フォトクロミック特性の耐久性が他のフォ クロミック化合物に比べ高く、フォトクロ ック特性の発色濃度および退色速度に優れ ため特に、前述したアミノ基含有クロメン 合物との併用に好適に使用することができ 。さらにこれらクロメン系フォトクロミッ 化合物中でもその分子量が540以上の化合物 、発色濃度および退色速度に特に優れるた 好適である。このような他のクロメン化合 としては、前述した式(7)~(12)のクロメン化 物であって、アミノ基を有していないもの 挙げることができる。これらアミノ基を有 ていないフォトクロミック化合物は、単独 用いても、2種以上を混合して用いてもよい

 尚、アミノ基含有フォトクロミック化合 (クロメン化合物)と他のフォトクロミック 合物とを併用して使用する場合、他のフォ クロミック化合物量は、フォトクロミック 化性組成物中の含量が0.01~5質量%であること 好ましい。フォトクロミックコート層3の厚 みは5~100μmの範囲にあり、このような厚さで れば、アミノ基含有フォトクロミック化合 との併用により、上記の量で充分なフォト ロミック特性を付与することができる。

フォトクロミック層3の形成;
 上述したアミノ基含有フォトクロミック化 物を含有するフォトクロミック層3は、アミ ノ基含有フォトクロミック化合物及びその他 のフォトクロミック化合物を含むフォトクロ ミック硬化性組成物を、透明部材1あるいは ライマー層2の上に塗布し、それを硬化する とで形成される。このフォトクロミック硬 性組成物には、先にも簡単に述べたように フォトクロミック化合物に加え、ラジカル 合性単量体、光重合開始剤などが配合され 。このようなフォトクロミック硬化性組成 (コート剤)については、前述した特許文献4( WO2003/011967)および特許文献5(特開2003-342310号公 報)に詳細に記載されている。

 さらに、フォトクロミック化合物の耐久性 向上、発色速度の向上、退色速度の向上や 形性の向上のために、シリコーン系、フッ 系等の界面活性剤(レベリング剤)、酸化防 剤、ラジカル捕捉剤、紫外線安定剤、紫外 吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤 蛍光染料、染料、顔料、香料、可塑剤、シ ンカップリング剤等の添加剤を、フォトク ミック硬化性組成物に添加することもでき 。また、熱重合開始剤を配合することも好 しい。これらの添加剤の詳細は、例えば、 許文献1に記載されている。
 尚、上記のように適宜使用される添加剤の 有量は、硬化性組成物当り、1~20質量%、特 1~10質量%であることが好適である。

 また、フォトクロミックコート層3の形成 に使用するフォトクロミック硬化性組成物の 粘度(25℃)は、20~500cp、好ましくは50~200cp、最 好ましくは、60~200cpであるのがよい。フォ クロミック硬化性組成物の粘度をこの範囲 することにより、フォトクロミックコート 3の厚さを5~100μmと厚めに調整することが容 となり、フォトクロミック特性を十分に発 させることができる。

 コーティング剤である上記フォトクロミ ク硬化性組成物の塗布は、スピンコート法 スプレーコート法、ディップコート法、デ ップースピンコート法などの公知の方法が ら制限なく用いられ、特に均一な膜を簡便 形成できるためスピンコートを好ましく採 できる。また、この硬化性組成物の硬化法 特に限定はされないが、光重合開始剤及び 重合開始剤が配合されているフォトクロミ ク硬化性組成物を使用し、紫外線等を照射 硬化させた後、さらに加熱して重合を完結 せる方法を採用することが好ましい。

 紫外線等の光照射により硬化させる場合 は、公知の光源を何ら制限なく用いること 出来る。このような光源の具体例としては 超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、 セノンランプ、カーボンアーク、殺菌灯、 タルハライドランプ、無電極ランプ等を挙 ることが出来る。該光源を用いた光照射の 間は、フォトクロミック硬化性組成物に配 されている光重合開始剤の種類、吸収波長 よび感度、さらにはフォトクロミックコー 層3の膜厚等により適宜決定すれば良い。ま た、光源として電子線を用いることもでき、 このような場合には、硬化性組成物に光重合 開始剤を添加せずに硬化させてフォトクロミ ックコート層3を形成することができる。光 射や電子線による硬化は、フォトクロミッ コート層3を瞬時に形成することができるた 、その表面硬度を高め、耐擦傷性を向上さ る上で有利である。

 上記のようにして形成されるフォトクロミ クコート層3のビッカース硬度は、一般に0.3 ~10kg/mm 2 の範囲にあり、比較的柔軟であるため、耐擦 傷性を向上する必要があり、このために、ハ ードコート層4が形成されることとなる。

ハードコート層4の形成;
 ハードコート層4は、前述した本発明のコー ティング組成物を塗布し、硬化させることに より1~10μm程度の厚みに形成される。コーテ ング組成物の塗布は、スピンコート法、ス レーコート法、ディップコート法、ディッ ースピンコート法などの公知の方法により われる。塗布後の硬化は、フォトクロミッ コート層3や透明部材1などの基材の種類に応 じて、これら基材が劣化しない程度に適宜の 時間、加熱することにより行われるが、一般 に、70℃以上で15分以上加熱することが好ま く、より好ましくは90℃以上で30分以上、最 好ましくは100℃以上で1時間以上加熱して硬 化を行うのがよい。

 上記のようにして形成されたハードコート 4は、既に述べたように極めて緻密で高いガ ラス転移点を有し、しかもフォトクロミック コート層3との密着性に優れているばかりか 4以上、特に6以上のベイヤー値を有しており 、高い耐擦傷性を有しており、上記のフォト クロミックコート層3の保護層として機能す 。
 特に、このハードコート層4を設けた場合に は、黄変や赤変などのフォトクロミックコー ト層3を有するフォトクロミック光学基材に 有の不都合が有効に防止され、さらに、ハ ドコート層4を形成する際の硬化不良も有効 防止されている。

 以下、実施例および比較例を掲げて本発明 説明するが、本発明はこれらの実施例に限 されるものではない。
 以下に本実施例で使用したレンズ基材、コ ティング組成物の形成に用いた各成分、フ トクロミックコート層の形成に用いた各成 を示す。

(1)レンズ基材
   CR:アリル樹脂プラスチックレンズ、屈折 率=1.50
   MRA:チオウレタン系樹脂プラスチックレ ズ、屈折率=1.60
   MRB:チオウレタン系樹脂プラスチックレ ズ、屈折率=1.67
   POL:ポリカーボネート樹脂プラスチック ンズ、屈折率=1.59

(2)コーティング組成物用成分
 〔粒子径が7nm以下のシリカ超微粒子〕
   SOL1:水分散シリカ微粒子
        日産化学工業(株)製スノーテック スOXS
        固形分濃度;10質量%
        シリカ微粒子の1次粒子の粒子径; 4~7nm
        pH=2~4
 〔粒子径が7nmを超え30nm以下のシリカ微粒子 〕
   SOL2:日産化学工業(株)製メタノール分散 リカゾル
        固形分濃度;30wt%
        シリカ微粒子の1次粒子の粒子径; 10~20nm
        pH=2~4
   SOL3:水分散シリカ微粒子
        日産化学工業(株)製スノーテック スO
        固形分濃度;20質量%
        シリカ微粒子の1次粒子の粒子径; 10~15nm
        pH=2~4
   SOL4:水分散シリカ微粒子
        日産化学工業(株)製スノーテック スOS
        固形分濃度;20質量%
        シリカ微粒子の1次粒子の粒子径; 8~11nm
        pH=2~4
   SOL5:水分散シリカ微粒子
        日産化学工業(株)製スノーテック スO-40
        固形分濃度;40質量%
        シリカ微粒子の1次粒子の粒子径; 20~28nm
        pH=2~4
 〔粒子径が30nmを超えるシリカ微粒子〕
   SOL6:日産化学工業(株)製イソプロパノー 分散シリカゾル
        固形分濃度;30wt%
        シリカ微粒子の1次粒子の粒子径; 40~50nm
        pH=2~4
 尚、各シリカ微粒子の1次粒子径は以下のよ うにして測定した。
 即ち、シリカ微粒子の分散液を、固形分濃 が、0.1質量%になるよう、超純水で希釈し、 得られた希釈液を、日本電子データム(株)製 コロジオン膜付きメッシュに微量滴下し、 温で半日乾燥させ、電子顕微鏡(TEM;Philips El ectron Optics社製 電界放射型透過顕微鏡 Tecnai  F20)を用いて、加速電圧200kV、引出電圧4.2kV て測定した。

 〔有機ケイ素化合物成分〕
    エポキシ基含有シラン(b1)
    GTS:γ―グリシドキシプロピルトリメト シシラン
    GDS:γ―グリシドキシプロピルメチルジ トキシシラン
    テトラアルコキシシラン(b2)
    TEOS:テトラエトキシシラン
    TMOS:テトラメトキシシラン
    その他のシラン
    MTEOS:メチルトリエトキシシラン
    HTS:n-ヘキシルトリメトキシシラン

 〔水溶性有機溶媒〕
   MeOH:メタノール
   TBA:t-ブタノール
   IPA:イソプロピルアルコール
   EGPE:エチレングリコールモノイソプロピ エーテル
   EGEE:エチレングリコールモノエチルエー ル
   EGBE:エチレングリコールモノ-t-ブチルエ テル
   PGPE:プロピレングリコールモノ-n-プロピ エーテル
   AcAc:アセチルアセトン
   DAA:ジアセトンアルコール

 〔硬化触媒〕
    アルミニウムを中心金属とする錯 体
    C1:トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミ ウム(III)
    亜鉛を中心金属とする錯体       
    C2:ビス(2,4-ペンタンジオナト)亜鉛(II)
    その他の硬化触媒
    C3:過塩素酸アンモニウム

(3)フォトクロミックプライマー成分
  竹林化学工業株式会社製湿気硬化型プラ マー『タケシールPFR402TP-4』

(4)フォトクロミック硬化性組成物成分(フォ クロミックコート層成分)
 〔ラジカル重合性単量体〕
   TMPT:トリメチロールプロパントリメタク レート
   EB6A:ポリエステルオリゴマーヘキサアク レート
         (ダイセル・ユーシービー社製EB 1830)
   GMA:グリシジルメタアクリレート
   9GDA:ポリエチレングリコールジアクリレ ト(平均分子量532)
   BPEO:2,2-ビス(4-アクリロイルオキシポリエ チレングリコールフェニル)プロパン(平均分 量776)
   U6A:ウレタンオリゴマーヘキサアクリレ ト
   BPE:2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシエト シフェニル)プロパン

 〔光重合開始剤〕
   CGI1870:
      1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニ ケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4 ,4-トリメチルーペンチルフォスフィンオキサ イドの混合物(重量比3:7)
   CGI1800:
      1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニ ケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4 ,4-トリメチルーペンチルフォスフィンオキサ イドの混合物(重量比3:1)

 〔安定剤〕
   LS765:
      ビス( 1,2,2,6,6-ペンタメチルー4-ピペ リジル)セバケート
   IRG245:
      エチレンビス(オキシエチレン)ビス[ 3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピ ネート]

 〔レベリング剤〕
   SiL1:シリコーン系界面活性剤
        東レ・ダウコーニング株式会社 L7001
   SiL2:シリコーン系界面活性剤
        東レ・ダウコーニング株式会社 FZ2104

 〔シランカップリング剤〕
   TSL:γ―メタクリロイルオキシプロピルト リメトキシシラン
 〔その他〕
   NMDEA:N-メチルジエタノールアミン

 〔フォトクロミック化合物〕
   PC1:下記式のアミノ基含有クロメン化合

   PC2:下記式のアミノ基含有クロメン化合
 
 
 
 

   PC3:下記式のアミノ基含有クロメン化合
 
 
 

   PC4:下記式のアミノ基含有クロメン化合
 
 
 
 
 
 
 

   PC5:下記式のアミノ基含有クロメン化合
 
 
 
 

   PC6:下記式のアミノ基含有クロメン化合
 
 

   PC7:下記式のアミノ基含有クロメン化合

   PC8:下記式のアミノ基含有クロメン化合

   PC9:下記式のアミノ基含有クロメン化合
 

   PC10:下記式のアミノ基含有クロメン化合

   PC11:下記式のアミノ基含有クロメン化合
 

   PC12:下記式のアミノ基含有クロメン化合
 
 

   PC13:下記式のアミノ基含有クロメン化合

   PC14:下記式のアミノ基含有クロメン化合

<ガラス転移点(Tg)の測定>
 以下の例で調製されたコーティング組成物 硬化体のガラス転移点(Tg)は、以下の方法で 測定した。
 調製されたコーティング組成物をアルミ箔 らなる容器内にて、120℃で1時間加熱して硬 化体を得た。この硬化体を粉末状になるまで すりつぶし、セイコーインスツルメント社製 示差熱分析装置DSC6200内に設置したアルミパ 内に約20mg秤量し、リファレンスとしてアル ナを用い、アルゴン雰囲気下、測定温度範 0~300℃、昇温速度20℃/分で示差走査熱量分 (DSC)を行った。
 上記測定により得られたDSC曲線について、 転移(ガラス転移)が開始するまえのベース インに沿って外挿線1を引き、さらに、相転 中のラインに沿って外挿線2を引き、外挿線 1と外挿線2との交点をガラス転移点(転移点) して算出した。

<コーティング組成物の調製>
コーティング組成物1
 下記処方により有機ケイ素化合物成分及び 機溶媒を十分攪拌混合した。
  有機ケイ素化合物成分;
    γ―グリシドキシプロピルトリメトキ シラン(GTS) 53.4g
    テトラエトキシシラン(TEOS) 21.8g
    n-ヘキシルトリメトキシシラン(HTS) 4.7g
  有機溶媒;
    メタノール(MEOH) 64.0g
    t-ブチルアルコール(TBA) 27.0g
    アセチルアセトン(AcAc) 27.0g
    エチレングリコールモノイソプロピル ーテル(EGPE) 12.0g
 次いで、この混合液に、下記成分;
   レベリング剤SiL1(シリコーン系界面活性 ) 0.2g
   硬化触媒C1(Alを中心金属とする錯体) 0.63 g
   シリカ超微粒子SOL1 189.0g
    (固形分濃度10質量%の水分散シリカ、粒 径7nm以下)
を混合し、一昼夜熟成させて本発明のコーテ ィング組成物(1)を得た。このコーティング組 成物の組成を表1に示した。尚、表1中、シリ 微粒子と有機ケイ素化合物成分との合計量 100質量部としたときの各成分の質量部数は 基準質量部として示した。
 また、下記の方法により、このコーティン 組成物の硬化体のガラス転移点(Tg)を測定し たところ163℃であった。

コーティング組成物2
 189.0gのシリカ超微粒子SOL1(粒子径7nm以下の リカ微粒子)に、有機ケイ素化合物として53.4 gのGTS(γ―グリシドキシプロピルトリメトキ シラン)を入れ、室温で6時間攪拌した。
 次いで、上記の混合液に、下記処方により 有機溶媒を混合した。
  有機溶媒:
    MEOH(メタノール) 68.6g
    TBA(t-ブチルアルコール) 27.55g
    AcAc(アセチルアセトン) 27.55g
    EGPE(エチレングリコールモノイソプロ ルエーテル) 12.2g
 次いで、この混合液に、下記成分;
   レベリング剤SiL1(シリコーン系界面活性 ) 0.2g
   硬化触媒C1(Alを中心金属とする錯体) 0.63 g
を入れ、室温で30分攪拌した。その後、有機 イ素化合物としてテトラエトキシシラン(TEO S)21.8gを入れ、室温で12時間攪拌、熟成し、本 発明のコーティング組成物(2)を得た。このコ ーティング組成物の組成及び硬化体のガラス 転移点を表1に示した。

コーティング組成物3
 下記処方によりシリカ微粒子、有機ケイ素 合物成分、有機溶媒及びレベリング剤(界面 活性剤)を室温で3時間攪拌混合した。
  シリカ微粒子
    SOL4  198.0g
      (粒径8~11nm、固形分濃度20質量%の水 散シリカ)
  有機ケイ素化合物成分;
    GTS(γ―グリシドキシプロピルトリメト シシラン) 54.4g
    TEOS(テトラエトキシシラン) 15.3g
  有機溶媒;
    TBA(t-ブチルアルコール) 79.4g
  レベリング剤;
    SiL1(シリコーン系界面活性剤) 0.44g
 上記で得られた混合溶液に、下記成分;
   有機溶媒
    EGBE(エチレングリコールモノ-t-ブチル ーテル) 13.2g
    DAA(ジアセトンアルコール) 20.9g
   0.05N塩酸水溶液(有機ケイ素化合物の加水 分解のために使用) 17.8g
   硬化触媒
     C1(Alを中心金属とする錯体) 0.64g
     C2(Znを中心金属とする錯体) 0.15g
を添加し、更に室温で20時間撹拌し、本発明 コーティング組成物(3)を得た。このコーテ ング組成物の組成及び硬化体のガラス転移 を表1に示した。

コーティング組成物4
 下記処方により、シリカ微粒子及び水を含 シリカ混合分散液に、有機ケイ素化合物成 、有機溶媒及びレベリング剤(界面活性剤) 加え、室温で3時間攪拌混合した。
   シリカ混合分散液
     シリカ超微粒子SOL1 60.5g
      (粒径7nm以下、固形分濃度10質量%の 分散シリカ)
     シリカ微粒子SOL5  120.5g
       (粒径20~28nm、固形分濃度40質量%の 分散シリカ)
     水 45.0g
   有機ケイ素化合物成分
     GTS(γ―グリシドキシプロピルトリメ キシシラン) 78.7g
     TEOS(テトラエトキシシラン) 21.5g
   有機溶媒
     TBA(t-ブチルアルコール) 39.7g
     IPA(イソプロピルアルコール) 20.5g
   レベリング剤
     SiL1(シリコーン系界面活性剤)0.40g
 上記で得られた混合溶液に、下記成分;
   有機溶媒
     EGPE(エチレングリコールモノイソプロ ピルエーテル) 40.4g
   0.05N塩酸水溶液 25.4g
   硬化触媒
     C1(Alを中心金属とする錯体) 0.92g
を添加し、更に室温で20時間撹拌し、本発明 コーティング組成物(4)を得た。このコーテ ング組成物の組成及び硬化体のガラス転移 を表1に示した。

コーティング組成物4’
 以下の手順により、コーティング組成物4と 全く同じ組成のコーティング組成物4’を調 した。
 有機ケイ素化合物成分(78.7gのGTS及び21.5gのTE OS)を、最大液温が40℃以下に保持されるよう 水冷下で、25.5gの0.05N塩酸水溶液を反応させ て加水分解を行った。得られた有機ケイ素化 合物の加水分解物の溶液を、コーティング組 成物4の調製に用いたシリカ混合分散液に添 し、室温で12時間撹拌混合した。ついで、こ の溶液に、有機溶媒(39.7gのTBA、20.5gのIPA及び4 0.4gのEGPE)と0.40gのレベリング剤(シリコーン系 界面活性剤 SiL1)と0.92gの硬化触媒(C1)との混 物を添加し、室温で3時間混合することによ コーティング組成物4’を得た。

コーティング組成物4”
 以下の手順により、コーティング組成物4と 全く同じ組成のコーティング組成物4”を調 した。
 コーティング組成物4の調製に用いたシリカ 混合分散液に、下記の混合物:
   有機ケイ素化合物成分
     GTS 78.7g
   有機溶媒
     TBA 39.7g
     IPA 20.5g
   レベリング剤
     SiL1(シリコーン系界面活性剤) 0.40g
を添加し、室温で2時間撹拌混合し、さらに 有機ケイ素化合物成分として21.5gのTEOSを添 し、室温で2時間撹拌混合した。ついで、こ 溶液に、40.4gの有機溶媒(EGPE)と25.5gの0.05塩 水溶液と0.92gの硬化触媒(C1)との混合物を添 し、室温で20時間混合することによりコーテ ィング組成物4”を得た。

コーティング組成物5,6
 表1に示すシリカ微粒子、有機ケイ素化合物 、有機溶媒、硬化触媒、酸水溶液(有機シラ 化合物の加水分解のために使用)及びレベリ グ剤(界面活性剤)を用いた以外は、コーテ ング組成物3と同様な方法でコーティング組 物を調製した。得られたコーティング組成 の組成及び硬化体のガラス転移点を表1に示 した。

コーティング組成物7~11
 表1或いは表2に示すシリカ微粒子、有機ケ 素化合物、有機溶媒、硬化触媒、酸水溶液 びレベリング剤(界面活性剤)を用いた以外は 、コーティング組成物4と同様な方法でコー ィング組成物を調製した。得られたコーテ ング組成物の組成及び硬化体のガラス転移 を表1または表2に示した。

コーティング組成物12
 表2に示すシリカ微粒子、有機ケイ素化合物 、有機溶媒、硬化触媒、酸水溶液(有機シラ 化合物の加水分解のために使用)及びレベリ グ剤(界面活性剤)を用いた以外は、コーテ ング組成物3と同様な方法でコーティング組 物を調製した。得られたコーティング組成 の組成及び硬化体のガラス転移点を表2に示 した。

コーティング組成物13
 シリカ微粒子と有機溶媒とを混合した下記 合分散液に、有機ケイ素化合物成分、有機 媒及びレベリング剤(界面活性剤)を加え、 温で3時間攪拌混合した。
   混合分散液
     シリカ微粒子SOL5 115.6g
       (粒径20~28nm、固形分濃度40質量%の 分散シリカ)
     有機溶媒
        MeOH(メタノール) 115.6g
   有機ケイ素化合物成分
     GTS(γ―グリシドキシプロピルトリメ キシシラン) 44.8g
     TEOS(テトラエトキシシラン) 63.6g
   有機溶媒
     TBA(t-ブチルアルコール) 13.5g
   レベリング剤
     SiL1(シリコーン系界面活性剤)0.40g
 上記で得られた混合溶液に、下記成分;
   有機溶媒
     EGBE(エチレングリコールモノ-t-ブチル エーテル) 13.5g
   0.05N塩酸水溶液 32.2g
   硬化触媒
     C1(Alを中心金属とする錯体) 0.72g
を添加し、更に室温で20時間撹拌し、本発明 コーティング組成物(13)を得た。このコーテ ィング組成物の組成及び硬化体のガラス転移 点を表2に示した。

コーティング組成物14
 表2に示すシリカ微粒子、有機ケイ素化合物 、有機溶媒、硬化触媒、酸水溶液及びレベリ ング剤(界面活性剤)を用いた以外は、コーテ ング組成物2と同様な方法でコーティング組 成物を調製した。得られたコーティング組成 物の組成及び硬化体のガラス転移点を表2に した。

コーティング組成物15
 表2に示すシリカ微粒子、有機ケイ素化合物 、有機溶媒、硬化触媒、酸水溶液及びレベリ ング剤(界面活性剤)を用いた以外は、コーテ ング組成物4と同様な方法でコーティング組 成物を調製した。得られたコーティング組成 物の組成及び硬化体のガラス転移点を表2に した。

コーティング組成物16
 シリカ微粒子の水分散液にさらに水を加え シリカ水分散液に、有機ケイ素化合物成分 加え、室温で15時間攪拌混合した。
   シリカ水分散液
     シリカ微粒子SOL5 72.0g
       (粒径20~28nm、固形分濃度40質量%の 分散シリカ)
     水 36.0g
   有機ケイ素化合物成分
     GTS(γ―グリシドキシプロピルトリメ キシシラン) 69.2g
     TEOS(テトラエトキシシラン) 66.8g
 上記で得られた混合溶液に、下記成分;
   有機溶媒
     TBA(t-ブチルアルコール) 60.0g
     AcAc(アセチルアセトン) 18.0g
     MeOH(メタノール) 60.6g
     EGPE(エチレングリコールモノイソプロ ピルエーテル9 13.6g
   硬化触媒
     C1(Alを中心金属とする錯体) 3.36g
   レベリング剤
     SiL1(シリコーン系界面活性剤)0.40g
を添加し、更に室温で3時間撹拌し、本発明 コーティング組成物(16)を得た。このコーテ ング組成物の組成及び硬化体のガラス転移 を表2に示した。

コーティング組成物17,18
 表2に示すシリカ微粒子、有機ケイ素化合物 、溶剤、硬化触媒、有機シラン化合物の加水 分解に用いた水溶液及び界面活性剤を用いた 以外は、コーティング組成物16と同様な方法 コーティング組成物17,18を調製した。得ら たコーティング組成物の組成及び硬化体の ラス転移点を表2に示した。

コーティング組成物19
 表2に示すシリカ微粒子、有機ケイ素化合物 、溶剤、硬化触媒、有機シラン化合物の加水 分解に用いた水溶液及び界面活性剤を用いた 以外は、コーティング組成物13と同様な方法 コーティング組成物19を調製した。得られ コーティング組成物の組成及び硬化体のガ ス転移点を表2に示した。

比較コーティング組成物1~10
 表3に示すシリカ微粒子、有機ケイ素化合物 、溶剤、硬化触媒、有機シラン化合物の加水 分解に用いた水溶液及び界面活性剤を用いた 以外は、コーティング組成物1と同様な方法 コーティング組成物1~10を調製した。得られ コーティング組成物の組成及び硬化体のガ ス転移点を表2に示した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 以下の実施例及び比較例は、前記で調製 れたコーティング組成物を用いて通常のプ スチックレンズの表面にハードコート層を 成し、外観、スチールウール耐擦傷性、ベ ヤー耐擦傷性、密着性の評価を行ったもの あるが、これらの評価は、以下の方法で行 た。なお、これらの評価は、下記の実施例 比較例に従い、ハードコート層が形成され レンズを各々10枚作製して行った。外観、 チールウール耐擦傷性は、10枚のレンズの中 、最も評価の低いレンズの結果を表4に示し ベイヤー耐擦傷性、密着性は、10枚のレンズ の平均値を表4に示した。

外観
 目視により、ハードコート層のクラックの 無を観察し、外観の評価を行った。評価基 は、次の通りである。
  ○:透明であり、クラックの発生も認めら ない。
  ×:クラックの発生が認められ、明らかに 観不良である。

スチールウール耐擦傷性
 スチールウール(日本スチールウール(株)製 ンスター#0000番)を用い、1kgの荷重を加えな ら、10往復レンズ表面(ハードコート層表面) を擦り、傷ついた程度を目視で評価した。評 価基準は次の通りである。
  A:ほとんど傷が付かない。
  B:極わずかに傷が付く。
  C:少し傷が付く。
  D:はっきりと傷が付く。
  E:ハードコート層の剥離が生じている。

ベイヤー耐擦傷性(ベイヤー値の 定)
 ベイヤー試験法(ASTM D-4060またはASTM F735-81) 基づいて、ハードコート層が形成されてい いレンズ基材(ノンコートレンズ)の表面及 レンズ基材上に形成されたハードコート層 面(ハードコートレンズ表面)に、以下の方法 で傷をつけた。
 即ち、2つのφ50mmの穴を持つ研磨剤保持体に 、ノンコートレンズ及びハードコートレンズ を、それぞれ、その凸面を上にして、穴の下 方から装着した。次いで市販されている研磨 剤(SAINT-GOBAIN CERAMIC MATERIALS CANADA INC.,製のア ルミナ-ジルコニアからなる研磨剤)500gを研磨 剤保持体に入れ、この状態で装着された2つ レンズを毎分150ストロークの振動数で、合 2分間、4インチのストローク幅で振動させる ことにより、2つのレンズの表面を研磨する とにより、傷をつけた。
 次いで、これらのレンズについて、分光計( スガ試験機(株)製 Hazeメーター)によりHazeを 定し、傷をつける前と傷をつけた後でのHaze の差を求め、下記式によりベイヤー値を算 した。
   ベイヤー値=δHaze(ノンコート)/δHaze(ハー コート)
     式中、δHaze(ノンコート)は、ノンコー トレンズについて、試験後でのHaze値から試 前のHaze値を引いた値であり、
        δHaze(ハードコート)は、ハードコ ートレンズにおける試験後のHaze値から試験 のHaze値を引いた値である。
 この値が大きいほど表面硬度が高く耐擦傷 に優れていることを意味し、通常、4以上で 硬く、6以上でガラスに匹敵する硬度を有し 著しく耐擦傷性に優れていることを意味す 。

密着性
 コート膜とレンズの密着性をJISD-0202に準じ クロスカットテープ試験によって評価した
 即ち、カッターナイフを使い、ハードコー 層表面に約1mm間隔に切れ目を入れ、マス目 100個形成させる。その上にセロファン粘着 ープ(ニチバン(株)製セロテープ)を強く貼り 付け、次いで、表面から90°方向へ一気に引 張り剥離した後、ハードコート層が残って るマス目を測定した。
 評価結果は、(残っているマス目数)/100で表 た。

<実施例1>
 厚さが約2mmで両面が凸面となっているレン 基材CRを、60℃の10重量%の水酸化ナトリウム 水溶液に浸漬し、超音波洗浄器を用いて、10 間アルカリエッチングを行った。アルカリ ッチング後、蒸留水および50℃の温水で洗 し、残余のアルカリ分を取り除いた後、室 で2時間乾燥を行った。このレンズ基材に、 ーティング組成物1を、20℃で、引き上げ速 30cm/分の速さで、ディップコートした。こ 後、70℃のオーブンにて予備硬化した後、120 ℃で1時間の硬化を行い、レンズ基材CRの両面 に、それぞれ2.6μmの厚みでハードコート層が 形成されたハードコートレンズを得た。
 このハードコートレンズについて、外観、 チールウール耐擦傷性、ベイヤー耐擦傷性 び密着性の評価を行ったところ、外観:〇、 スチールウール耐擦傷性:A、ベイヤー耐擦傷 (ベイヤー値):7.4、密着性:100/100であった。 の結果を表4に示した。

<実施例2~5>
 先に調製されたコーティング組成物3、9、10 及び18を用いた以外は、実施例1と同様な方法 でコーティングを行い、レンズ基材CRの表面 ハードコート層を形成し、各種特性を評価 、その結果を、ハードコート層の厚みと共 、表4に示した。

<比較例1~9>
 先に調製された比較コーティング組成物1~9 用いた以外は、実施例1と同様な方法でコー ティングを行い、レンズ基材CRの表面にハー コート層を形成し、各種特性を評価し、そ 結果を、ハードコート層の厚みと共に、表4 に示した。なお、比較コーティング組成物9( 較例9)に関しては、硬化後に多量のクラッ が発生していたため、外観以外は評価して ない。

フォトクロミック硬化性組成物(A) の調製
 下記処方により、ラジカル重合性単量体の 合物を調製した。
  ラジカル重合性単量体の混合物
    BPEO 40質量部
    9GDA 15質量部
    TMPT 25質量部
    EB6A 10質量部
    GMA  10質量部
 このラジカル重合性単量体の混合物100質量 に、下記のフォトクロミック化合物:
   アミノ基含有クロメン化合物PC1 2.0質量
   アミノ基含有クロメン化合物PC2 0.6質量
   アミノ基含有クロメン化合物PC3 0.4質量
を加え、70℃で30分間の超音波溶解を実施し 。
 このようにして得られた組成物に、下記の 分:
   光重合開始剤CGI1870 0.35質量部
   安定剤LS765 5質量部
   シランカップリング剤TSL 7質量部
   レベリング剤SiL1 0.1質量部
を添加し、十分に混合することによりフォト クロミック硬化性組成物(A)を調製した。この ようにして得られたフォトクロミック硬化性 組成物(A)の25℃での粘度は130cPであった。
 また、このフォトクロミック硬化性組成物( A)の配合成分及び粘度を表5に示した。

フォトクロミック硬化性組成物(B) ~(P)の調製
 表5に示すラジカル重合性単量体、フォトク ロミック化合物、重合開始剤、安定剤、シラ ンカップリング剤、レベリング剤等を表5に す量で使用し、フォトクロミック組成物(A) 同様な方法でフォトクロミック組成物(B)~(P) 調製した。
 これらのフォトクロミック硬化性組成物(B)~ (P)の配合成分及び粘度を表5に示した。

 以下の実施例及び比較例は、上記のフォ クロミック硬化性組成物(A)~(P)を用いてのコ ーティング法によりフォトクロミックレンズ を作製し、さらに、このフォトクロミックレ ンズの表面に、前記で調製されたコーティン グ組成物を用いてハードコート層を形成して フォトクロミックハードコートレンズを作製 し、前述した特性に加えて、フォトクロミッ ク性、赤変、黄変、ビッカース硬度の評価を 行ったものであるが、これらの評価は、以下 の方法で行った。なお、これらの評価は、下 記の実施例、比較例に従い、フォトクロミッ クレンズ、およびフォトクロミックハードコ ートレンズを各々10枚作製して行った。フォ クロミック性、赤変、黄変、ビッカース硬 の値は、その平均値を表6~表8に示した。

フォトクロミック特性及び赤変の 評価
 フォトクロミック特性の評価として、以下 方法で発色濃度を測定した。
 浜松ホトニクス製のキセノンランプL-2480(300 W) SHL-100を使用し、試料のレンズに、紫外線 過フィルターUV22及び熱線吸収フィルターHA5 0(共にHOYA株式会社製)を介して光照射して発 させた。このときの光照射条件は、次の通 である。
  光照射条件:
    雰囲気温度;20℃±1℃
    試料レンズ表面でのビーム強度;
      365nm=2.4mW/cm 2
      245nm=24μW/cm 2
    照射時間;120秒間
 発色時の最大吸収波長を、(株)大塚電子工 製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォ ディテクターMCPD3000)により求めた。また、 色時の最大吸収波長における吸光度(ε(120)] 、光照射していない状態のレンズの該波長 おける吸光度{ε(0)}とを求め、両者の差を発 色濃度として評価した。
  発色濃度=ε(120)-ε(0)
 また、発色時及び退色時のa*値を測定した ここでいうa*値とは、赤味を意味し、CIE1976(L *a*b*)色空間(CIELAB;シーラブ)におけるa*のこと ある。また、ここで言う発色時とは、上記 度に設定したキセノンランプを試料レンズ 面に2分間照射した後のことであり、また退 色時(未発色時に対応する)とは、キセノンラ プを2分間照射後に暗所に5分間放置した後 ことである。
 上記のようにして求めたa*値より、赤変に いての評価することができる。
 即ち、ハードコート層が形成されているフ トクロミックレンズ(フォトクロハードコー トレンズ)についての発色時及び退色時のa*値 と、ハードコート層を積層していないフォト クロミックレンズ(フォトクロノンコートレ ズ)の発色時及び退色時のa*値の差により評 することができる。この差の大きいものが 変する(赤色に変化する)割合が大きく、この 差が小さいほど、赤変防止効果が高いものと なる。

黄変の評価
 光照射による黄変性を評価するために次の 化促進試験を行った。
 即ち、スガ試験機(株)製キセノンウェザー ーターX25(2.5kWキセノンアークランプ)を用い 放射強度が40W/m 2 、レンズ表面温度が50℃の条件下で、試料の ォトクロミックレンズに100時間光照射を行 、促進劣化させた。
 次いで、スガ試験機(株)製SMカラーコンピュ ーター(SM-T)を用い、促進劣化前のYI(YI 0 )及び促進劣化後のYI(YI 100 )を測定し、下記式より黄変度を求め、黄変 の評価を行った。
   黄変度(δYI)=YI 100 -YI 0
 この黄変度(δYI)が小さいほど、劣化後のレ ズの黄変度が少なく、黄変性に優れている ととなる。

ビッカース硬度(Hv)
 松沢精機(株)製マイクロ・ビッカース硬度 (MHT-1)を用いて、ハードコート層を積層して ないフォトクロミックレンズ(フォトクロノ ンコートレンズ)のビッカース硬度Hvを測定し た。
 即ち、フォトクロノンコートレンズ基材か 5mm角程度の試料を切り出し、この試料をサ プル台にセット後、10g荷重にてダイヤモン 圧子を押しつけ、圧痕対角線長さ(d)を測定 、下記計算式よりビッカース硬度Hvを算出 た。
  Hv(kg/mm 2 )=1.8543p/d 2
   p:試験荷重(0.01kg)
   d:圧痕対角線長さ(mm)

<実施例6>
フォトクロミックレンズの作製
 厚さ2mmのレンズ基材MRBを用意し、このレン 基材をアセトンで十分に脱脂し、50℃の5%水 酸化ナトリウム水溶液で4分間処理し、4分間 流水洗浄及び40℃の蒸留水での4分間洗浄を った後、70℃で乾燥させた。
 次に、湿気硬化型プライマー(竹林化学工業 株式会社製『タケシールPFR402TP-4』)及び酢酸 チルをそれぞれ50質量部となるように調合 、この混合液にレベリング剤SiL2(シリコーン 系界面活性剤)を0.03質量部添加し、窒素雰囲 下で均一になるまで充分に撹拌し、プライ ー組成物を得た。
 MIKASA製スピンコーター1H-DX2を用いて、上記 MRBレンズ基材表面にスピンコートし、を室 で15分間放置することにより、膜厚7μmのプ イマー層を有するレンズ基材(プライマー処 理レンズ)を作成した。
 次いで、約1gのフォトクロミック硬化性組 物(A)約1gを、上記のプライマー処理レンズの 表面にスピンコートし、窒素ガス雰囲気中で 、下記条件で紫外線を照射し、さらに110℃の 恒温器にて加熱処理を行うことで、40±1μmの みのフォトクロミックコート層を有するフ トクロミックレンズを得た。
  紫外線照射条件:
    光源;フュージョンUVシステムズ社製のD バルブ搭載F3000SQ
    出力;150mW/cm 2 に(405nm)
    照射時間;3分間

 上記で作製されたフォトクロミックレンズ( ノンハードコート)について、フォトクロミ ク性(発色濃度)、赤変性(*a値)、黄変度δYI、 ッカース硬度について評価を行った。その 果、588nmの最大吸収波長における発色濃度 1.05、発色時のa*値は1.3、退色時のa*値は-1.1 黄変度δYIは11.1、ビッカース硬度5.1kg/mm 2 であった。この結果は、表6に示した。
 

フォトクロミックハードコートレ ンズの作製
 ナビタス(株)製コロナ放電装置MultiDyne1を使 し、上記で作製されたフォトクロミックレ ズを、30秒間コロナ放電処理し、さらに60℃ の20%NaOH水溶液に10分間浸漬処理した。このよ うな処理が施されたフォトクロミックレンズ を、先に調製されたコーティング組成物1に ィッピングし、30cm/分の速度で引き上げるこ とにより、その表面にハードコート組成物1 塗布した。次いで、70℃で、10分乾燥した後 110℃で2時間保持して硬化を行い、厚み約3μ mのハードコート層を形成してフォトクロミ クハードコートレンズを得た。
 このフォトクロミックハードコートレンズ ついて各種の特性を評価したところ、以下 通りであった。この結果は、表6に併せて示 した。
  外観:○
  スチールウール耐擦傷性:A
  ベイヤー耐擦傷性:7.3
  密着性:100/100
  588nmの最大吸収波長における発色濃度:1.01
  発色時のa*値:1.4
  退色時のa*値:-1.1
  黄変度δYI:3.5

<実施例7~44及び比較例10~20>
 表6~8に示すレンズ基材及びフォトクロミッ 硬化性組成物を用いた以外は、実施例6と同 様な方法で、フォトクロミックレンズ(ノン ードコート)を作製し、実施例6と同様の評価 を行い、その結果を表6~8に示した。
 また、上記で作製されたフォトクロミック ンズを使用し、表6~8に示すコーティング組 物を使用し、実施例6と同様の方法でハード コート層を形成してフォトクロミックハード コートレンズを得た。このフォトクロミック ハードコートレンズについて、実施例6と同 の評価を行い、その結果を表6に示した。
 なお、実施例8では、20℃で1ヶ月保存後のコ ーティング組成物2を用いた。
 また、比較コーティング組成物9を用いた比 較例18では、ハードコート層に多量のクラッ が発生していたため、外観以外は評価して ない。

<比較例21>
 表8に示すレンズ基材を使用した以外は、実 施例6と同様な方法でフォトクロミックレン を作製し、実施例6と同様の評価を行った。
 さらに、上記のフォトクロミックレンズを 用し、市販のコーティング組成物として、 式会社トクヤマ製ハードコート剤(TS56H、商 名)を用いてハードコート層を形成してフォ トクロミックハードコートレンズを得た。こ のフォトクロミックハードコートレンズにつ いて、実施例6と同様の評価を行い、その結 を表8に示した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 前記実施例から明らかなように、本発明の ーティング組成物を用いて形成されたハー コート層を有する光学品では、比較例のコ ティング組成物を用いてハードコート層が 成された光学品に比して、ベイヤー耐擦傷 が2倍以上向上している。
 また、本発明のコーティング組成物を用い ハードコート層が形成されているフォトク ミックハードコートレンズでは、ノンハー コートのフォトクロミックレンズと比較し 、a*値がほぼ同じ値であり、殆ど赤味がか ことがなく、予め調整した発色色調となっ いる。さらに、長期間使用にともなう黄変 低減され、黄変度(δYI)を3.5以下、特に3.0以 にも低減することができた。さらに、その 観、耐擦傷性、及び密着性も良好であった