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Patent Searching and Data


Title:
COMPOSITE MOLDED ARTICLE HAVING TWO-LAYER STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145165
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a molded article obtained by easily combining a polar thermoplastic resin, in particular a polyacetal, with another resin and bonding the resins.  The molded article is one obtained by combining a polar thermoplastic resin with a resin comprising an aliphatic ester structure as a main component by bonding both materials to each other while melting at least those surfaces of the materials which are in contact with each other.

Inventors:
OKAMURA AKIRA (JP)
NAGAI SATOSHI (JP)
HAMADA HIROYUKI (JP)
LEONG YEWWEI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059565
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI GAS CHEMICAL CO (JP)
NAT UNIV CORP KYOTO INST TECH (JP)
OKAMURA AKIRA (JP)
NAGAI SATOSHI (JP)
HAMADA HIROYUKI (JP)
LEONG YEWWEI (JP)
International Classes:
B29C45/14; B29C45/78; B29C48/15; B29C48/16; B29C48/18; B29K59/00; B29K67/00
Domestic Patent References:
WO1996013548A11996-05-09
WO2006101063A12006-09-28
Foreign References:
JP2007160718A2007-06-28
JPH11320606A1999-11-24
JP2003001761A2003-01-08
JP2006511649A2006-04-06
JP2000017153A2000-01-18
JP2005144726A2005-06-09
JP2005219487A2005-08-18
Other References:
See also references of EP 2289685A4
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI Hiroshi et al. (JP)
Kobayashi 浩 (JP)
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Claims:
 極性を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する成形品(a)を金型内部に配置し、脂肪族エステル構造を有する樹脂 (B)を、該熱可塑性樹脂(A)の融点より高い温度で可塑化して前記金型内部へ射出し、該成形品(a)に接触させて得られる二層構造を有する複合成形品であって、前記熱可塑性樹脂(A)がポリアセタール樹脂である、複合成形品。
 脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)を含有する成形品(b)を金型内部に配置し、極性を有する熱可塑性樹脂(A)を、該樹脂(B)の融点より高い温度で可塑化して前記金型内部へ射出し、該成形品(b)に接触させて得られる二層構造を有する複合成形品であって、前記熱可塑性樹脂(A)がポリアセタール樹脂である、複合成形品。
 前記成形品(a)が、フィルム、シート又は繊維複合体である、請求項1又は2に記載の複合成形品。
 前記極性を有する熱可塑性樹脂(A)が、前記脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)の一部を予め含有する、請求項1から3の何れか1項に記載の複合成形品。
 前記脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)が、前記極性を有する熱可塑性樹脂(A)の一部を予め含有する、請求項1から3の何れか1項に記載の複合成形品。
 前記極性を有する熱可塑性樹脂(A)が、オキシメチレン繰り返し単位100mol当たり、下記(1)式で表される炭素数2以上のオキシアルキレン繰り返し単位を0.2~15mol (DOL=0.5~43phr) 含有してなるポリアセタールである、請求項1から5の何れか1項に記載の複合成形品。


(式中、R 0 ,R 0 ’は各々、水素原子、アルキル基もしくはアルキル基を有する有機基、フェニル基またはフェニル基を有する有機基を示す。mは2~6の整数を示す。)
 前記脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)が、ポリ乳酸(PLA)、ポリエステルカーボネート(PEC)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)及びこれらの共重合体から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1から6の何れか1項に記載の複合成形品。
 極性を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する成形品(a)を金型内部に配置する工程と、
 脂肪族エステル構造を有する樹脂 (B)を、該熱可塑性樹脂(A)の融点より高い温度で可塑化して前記金型内部へ射出し、該成形品(a)に接触させて二層構造を形成する工程とを有する複合成形品の製造方法であって、
 前記熱可塑性樹脂(A)がポリアセタール樹脂である、複合成形品の製造方法。
 脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)を含有する成形品(b)を金型内部に配置する工程と、
 極性を有する熱可塑性樹脂(A)を、該樹脂(B)の融点より高い温度で可塑化して前記金型内部へ射出し、該成形品(b)に接触させて二層構造を形成する工程とを有する複合成形品の製造方法であって、
 前記熱可塑性樹脂(A)がポリアセタール樹脂である、複合成形品の製造方法。
Description:
二層構造を有する複合成形品

 本発明は、極性を有する熱可塑性樹脂材 を含有する層および脂肪族エステル構造を 成分とする樹脂系材料を含有する層の二層 造を有する複合成形品に関し、更に、本発 の好ましい態様は、上記二層構造を有し、 面の接着強度が高く、優れた機械物性を有 る複合成形品に関する。

 近年、地球規模での環境問題に対して、産 廃棄物が環境を汚染することを防止するた に、生分解性(微生物分解性、または自然分 解性)の素材を使用することが注目されてい 。更に最近では、地球資源の枯渇、温暖化 伴うCO 2 排出量に対する自主規制が強く求められるな か、石油由来でなく天然物由来からなる素材 や、焼却処理の際に必要な熱量やCO 2 発生量の少ない素材が注目されている。
 従来より、脂肪族エステル構造を有する重 体に生分解性があることが知られており、 生物によって生産されるポリ-3-ヒドロキシ 酸エステル(PHB)、合成高分子であるポリカ ロラクトン(PCL)、コハク酸およびブタンジオ ールを主成分とするポリブチレンサクシネー ト(PBS)またはポリブチレンサクシネート・ア ペート(PBSA)、ポリエステルカーボネート(PEC )、および発酵により生産されるL-乳酸および /またはD-乳酸を主たる原料としたポリ乳酸(PL A)などが代表的なものである。これらの中で 天然物由来からなる素材として、例えばPLA 挙げられる。
 これら脂肪族エステル構造を有する重合体 PLAを除くと、一般にポリエチレン類似の物 を有する成形性・生分解性の良好なポリマ である。しかし、剛性が要求される分野や 張強度が要求される分野では充分な強度を たない。剛性を改善するためには、タルク どの充填材やナノコンポジット化技術によ 改善が可能であるが、流動性の低下なども 題があり、この改良が望まれていた。また PLAについては耐熱性や靭性の向上、更には 加水分解性などが強く求められていた。

 極性を有する熱可塑性樹脂としては特に限 が無いが、例えばポリアセタールは脂肪族 ーテル型、もしくは脂肪族エーテルを主成 としたポリマーであり、主として石油に依 しない原料であるメタノールから誘導され 環境負荷の低い材料と考えられる。機械的 質、摺動特性、摩擦・磨耗特性、耐薬品性 どに優れるエンジニアリングプラスチック として使用される材料であり、その用途は 動車、OA機器などの基幹部品として多く用 られており、その規則的な一次構造に由来 て高い結晶性を示すために射出成形分野を 心に拡大してきた。
 ポリアセタールの高い結晶性は他の樹脂と 複合化においては、界面の接着性において 害となりやすく、成功した例として知られ 組合せとしては、ポリウレタンとのポリマ アロイ材料程度である。また同様に、官能 が実質ポリマー末端のみであるため、成形 表面の反応活性も低く、他の材料との接着 度や加飾性に劣るという問題があった。そ ため、界面の接着性を改良するために、種 の相溶化剤を用いたり、コロナ放電処理、 オンエッチング処理などを行ったり、更に ポリマーの一次構造の改質を行ったり、と った試みがなされてきた。しかし、これで 操作が多い割には界面における接着強度が ずしも十分に改良されなかった。
 本出願人は、脂肪族エステル構造を有する 合体とオキシメチレン構造を有する重合体 の相溶性が高く、得られる樹脂組成物中の キシメチレン構造を有する重合体の結晶化 を低下させることにより、充分な生分解性 発現するとともに、機械的特性に優れた樹 組成物を見出している(特許文献1)が、優れ 特徴を有する各成分を含有する層により構 される複合成形品について、その開発が強 望まれていた。また、生分解性樹脂との積 フィルムについて幾つかの開示がある(特許 文献2、3)が、これは実質、同じポリエステル 同士の共押出成形による積層フィルムに関す るものである上に、界面接着性の向上に関し ては示唆がなかった。

特開2000-17153号公報

特開2005-144726号公報

特開2005-219487号公報

 本発明は、このような従来技術の問題点 鑑みてなされたものであり、本発明の目的 、極性を有する熱可塑性樹脂、特にポリア タールを他の樹脂と簡便に複合接着させた 形品を提供することである。

 本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、 性を有する熱可塑性樹脂(A)と、脂肪族エス ル構造を主成分とする樹脂(B)とを用いて、 なくとも両方の材料が接触している面が溶 状態となることで高い接着強度を発現させ ことを見出し、本発明を完成させるに至っ 。 

 即ち本発明は、以下に示す多層フィルム、 層シート、複合繊維、更には、フィルム、 ート、射出成形品などのインサート、アウ サート成形、更にはサンドイッチ成形、ウ ルドを形成するような複合成形品に関する のである。
 本発明は、以下の態様を含むものである。
(1)極性を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する成 形品(a)を金型内部に配置し、脂肪族エステル 構造を有する樹脂 (B)を、該熱可塑性樹脂(A) 融点より高い温度で可塑化して前記金型内 へ射出し、該成形品(a)に接触させて得られ 二層構造を有する複合成形品であって、前 熱可塑性樹脂(A)がポリアセタール樹脂であ 、複合成形品;
(2)脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)を含有 する成形品(b)を金型内部に配置し、極性を有 する熱可塑性樹脂(A)を、該樹脂(B)の融点より 高い温度で可塑化して前記金型内部へ射出し 、該成形品(b)に接触させて得られる二層構造 を有する複合成形品であって、前記熱可塑性 樹脂(A)がポリアセタール樹脂である、複合成 形品;
(3)前記成形品(a)が、フィルム、シート又は繊 維複合体である、上記(1)又は(2)に記載の複合 成形品;
(4)前記極性を有する熱可塑性樹脂(A)が、前記 脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)の一部を 予め含有する、上記(1)から(3)の何れかに記載 の複合成形品;
(5)前記脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)が 、前記極性を有する熱可塑性樹脂(A)の一部を 予め含有する、上記(1)から(3)の何れかに記載 の複合成形品;
(6)前記極性を有する熱可塑性樹脂(A)が、オキ シメチレン繰り返し単位100mol当たり、下記(1) 式で表される炭素数2以上のオキシアルキレ 繰り返し単位を0.2~15mol (DOL=0.5~43phr) 含有し なるポリアセタールである、上記(1)から(5) 何れかに記載の複合成形品;


(式中、R 0 ,R 0 ’は各々、水素原子、アルキル基もしくはア ルキル基を有する有機基、フェニル基または フェニル基を有する有機基を示す。mは2~6の 数を示す。)
(7)前記脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)が 、ポリ乳酸(PLA)、ポリエステルカーボネート( PEC)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブ チレンサクシネートアジペート(PBSA)及びこれ らの共重合体から選ばれる少なくとも1種以 である、上記(1)から(6)の何れかに記載の複 成形品;
(8)極性を有する熱可塑性樹脂(A)を含有する成 形品(a)を金型内部に配置する工程と、脂肪族 エステル構造を有する樹脂 (B)を、該熱可塑 樹脂(A)の融点より高い温度で可塑化して前 金型内部へ射出し、該成形品(a)に接触させ 二層構造を形成する工程とを有する複合成 品の製造方法であって、前記熱可塑性樹脂( A)がポリアセタール樹脂である、複合成形品 製造方法;
(9)脂肪族エステル構造を有する樹脂(B)を含有 する成形品(b)を金型内部に配置する工程と、  極性を有する熱可塑性樹脂(A)を、該樹脂(B) 融点より高い温度で可塑化して前記金型内 へ射出し、該成形品(b)に接触させて二層構 を形成する工程とを有する複合成形品の製 方法であって、前記熱可塑性樹脂(A)がポリ セタール樹脂である、複合成形品の製造方 。

 本発明によれば、極性を有する熱可塑性 脂と脂肪族エステル構造を主成分とする樹 との接触表面の改質に好適であり、尚且つ 界面接着強度が高く優れた複合成形材料を 供することができる。

図1は、実施例1~4および比較例1~6におい て行った溶融状態における接着試験を示す概 略図である。 図2は、実施例5~13および比較例7~13にお て行ったフィルムと溶融樹脂との接着試験 示す概略図である。

 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明の一実施形態は、極性を有する熱可 性樹脂(A)を含有する成形品(a)を金型内部に 置し、脂肪族エステル構造を有する樹脂 (B )を、該熱可塑性樹脂(A)の融点より高い温度 可塑化して前記金型内部へ射出し、該成形 (a)に接触させて得られる二層構造を有する 合成形品であって、前記熱可塑性樹脂(A)が リアセタール樹脂である、複合成形品であ 。
 また、本発明の別の実施形態は、脂肪族エ テル構造を有する樹脂(B)を含有する成形品( b)を金型内部に配置し、極性を有する熱可塑 樹脂(A)を、該樹脂(B)の融点より高い温度で 塑化して前記金型内部へ射出し、該成形品( b)に接触させて得られる二層構造を有する複 成形品であって、前記熱可塑性樹脂(A)がポ アセタール樹脂である、複合成形品である

 本発明で使用されるポリアセタール樹脂は アセタール構造(-O-CRH-)(但し、Rは水素原子 又は有機基を示す。)を繰り返し有する高分 であり、通常はRが水素原子であるオキシメ チレン基(-CH 2 O-)を主たる構成単位とするものである。本発 明に用いるポリアセタール樹脂は、この繰り 返し構造のみからなるアセタールホモポリマ ー以外に、前記オキシメチレン基以外の繰り 返し構成単位を1種以上含むコポリマー(例え 、ブロックコポリマー)やターポリマー等も 含み、更には線状構造のみならず分岐、架橋 構造を有していてもよい。
 前記オキシメチレン基以外の構成単位とし は例えば、オキシエチレン基(-CH 2 CH 2 O-)、オキシプロピレン基(-CH 2 CH 2 CH 2 O-)、オキシブチレン基(-CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 O-)等の炭素原子数2~10のオキシアルキレン基 挙げられ、特にオキシエチレン基が好まし 。また、これらオキシアルキレン基は、炭 原子数2~6の分岐、もしくは架橋構造を有し いてもよい。この様な、オキシメチレン基 外のオキシアルキレン構造単位の含有量と ては、ポリアセタール中において0.2~15モル% あることが好ましい。これより少ないとポ アセタールの熱安定性が低下し、逆にこれ り多いと融点が低下して優れた機械物性、 薬品性などが実質失われてしまうことがあ 。

 本発明において好ましいポリアセタール樹 は、オキシメチレン繰り返し単位100mol当た 、下記(1)式で表される炭素数2以上のオキシ アルキレン繰り返し単位を0.2~15mol (DOL=0.5~43ph r) 含有してなるポリアセタールである。

 式中、R 0 ,R 0 ’は各々、水素原子、アルキル基又はフェニ ル基示す。mは2~6の整数を示す。前記アルキ 基としては、例えばメチル基、エチル基、 ロピル基などが挙げられる。

 ポリアセタール樹脂の製造方法は任意であ 、従来公知の任意の方法によって製造する とができる。例えば、オキシメチレン基と 炭素原子数2~4のオキシアルキレン基を構成 位とするポリアセタール樹脂の製造方法と ては、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキ ン)や4量体(テトラオキサン)等のオキシメチ ン基の環状オリゴマーと、エチレンオキサ ド、1,3-ジオキソラン、1,3,6-トリオキソカン 、1,3-ジオキセパン等の炭素原子数2~4のオキ アルキレン基を含む環状オリゴマーとを共 合することによって製造することができる
 本発明に用いるポリアセタール樹脂として 、トリオキサンやテトラオキサン等の環状 リゴマーと、エチレンオキサイドまたは1,3- ジオキソランとの共重合体であることが好ま しく、これらの中でもトリオキサンと1,3-ジ キソランとの共重合体であることがより好 しい。また、その溶融粘度は、ASTM-D1238(190℃ 、2.16kg荷重下)に基づく溶融指数(MI)で0.01~150g/ 10分であることが好ましい。

 ポリアセタール樹脂に対する添加剤として 、熱安定剤や酸化防止剤が公知であり、本 明においても好適に使用される。
 添加・配合される熱安定剤としては、メラ ン、メラミン樹脂、メチロ-ルメラミン、ベ ンゾグアナミン、シアノグアニジン、N,N-ジ リールメラミン、CTUグアナミン(3,9-ビス[2-(3, 5-ジアミノ-2,4,6-卜リアザフェニル)エチル]-2,4 ,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン)、CMT Uグアナミン(3,9-ビス[1-(3,5-ジアミノ-2,4,6-卜リ アザフェニル)メチル]-2,4,8,10-テトラオキサス ピロ[5,5]ウンデカン)等のアミン置換トリアジ ン化合物や、ポリアミド類、尿素誘導体、ヒ ドラジン誘導体、ウレタン類等が例示され、 メラミンが特に好ましい。通常、この添加量 は、ポリアセタール100重量部に対して0.01~5.0 量部であるが、例えばフィラメント材料と て用いる場合には、特にこのアミン置換ト アジン化合物のうち、ホルムアルデヒド、 しくはオキシメチレン共重合体の分子末端 結合し、架橋構造を生成する化合物を添加 るときにはその添加量には注意を要する。 の添加量は、得られるオキシメチレン樹脂 成物の熱安定性が加工条件に耐えうるもの する必要があるが、好ましくは0.05重量部以 下とすることが必要である。これよりも多い 添加量では、延伸性を低下させる原因となる 。

 酸化防止剤としては、例えば立体障害性 ェノールが例示され、一般市販のフェノー 系抗酸化剤として具体的には、1,6-ヘキサン ジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキ フェニル)プロピオネート〕、トリエチレン グリコール-ビス-3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5- メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエ スリチル-テトラキス-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒ ロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチ レンビス(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、3,9 -ビス{2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル ェニル〕プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチル チル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウ デカン、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス〔3-(3, 5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオ ナミド〕、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒ ロキシベンゼンプロピオン酸1,6-ヘキサンジ ルエステル等が挙げられる。その中で、特 トリエチレングリコール-ビス-3-(3-t-ブチル- 4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネー ト、ペンタエリスリチル-テトラキス-3-(3,5-ジ -t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ ト、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t- チル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート が好適に用いられる。添加量としては、オ シメチレン共重合体100重量部に対して、0.01 ~5.0重量部であり、好ましくは0.01~2.0重量部、 特に好ましくは0.02~1.0重量部である。立体障 性フェノールの配合量が少ない場合は加工 の分解により樹脂の分子量低下や分解ガス 混入が無視できなくなり、加工性が低下す 問題が生じ、逆にその配合量が多過ぎる場 はブリードが多く、加工品の外観が損なわ るという問題が生じる。

 更に、本発明の本来の目的を損なわない 囲内で公知の添加剤および/または充填剤を 添加することが可能である。添加剤としては 、例えば結晶核剤、上記以外の酸化防止剤、 ポリアルキレングリコールなどの可塑剤、艶 消し剤、発泡剤、潤滑剤、離型剤、帯電防止 剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消 臭剤、難燃剤、摺動剤、香料、抗菌剤等が挙 げられる。また、充填剤としてはガラス繊維 、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、チタン 酸カリウム、ウィスカー等が挙げられる。さ らに、顔料、染料を加えて所望の色目に仕上 げることも可能である。また、各種モノマー 、カップリング剤、末端処理剤、その他の樹 脂、木粉、でんぷんなどを加えて変性するこ とも可能である。

 本発明における脂肪族エステル構造を有す 樹脂(B)としては、ポリ-3-ヒドロキシ酪酸エ テル(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブ チレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサク ネート・アジペート(PBSA)、ポリ乳酸(PLA)な の脂肪族ポリエステルや、ポリエステルカ ボネート(PEC)、及びそれらの共重合体などが 例示される。更に必要に応じて、これら重合 体への各種添加剤、例えば酸化防止剤や加水 分解防止剤、光安定剤、熱安定剤、耐侯剤、 顔料、滑剤を添加することができる。
 また極性を有する熱可塑性樹脂(A)と脂肪族 ステル構造を有する樹脂(B)とは、各々を単 で用いても良いし、各々を均一に溶融混合 たものを用いても良い。但し、二層構造を する複合材料として層ごとの材料特性を生 すためには、一方の材料の添加量は50vol%以 、特に好ましくは30vol%以下にすべきである

 本発明の複合成形品は、上記のごとく極性 有する熱可塑性樹脂(A)、特にポリアセテー 樹脂と脂肪族エステル構造を有する樹脂(B) いう組み合わせを用いることを特長とする のであり、極性を有する熱可塑性樹脂(A)を 有する成形品(a)を金型内部に配置し、脂肪 エステル構造を有する樹脂 (B)を、該熱可 性樹脂(A)の融点より高い温度で可塑化して 記金型内部へ射出し、該成形品(a)に接触さ て二層構造を有する複合成形品を製造する
 あるいは、脂肪族エステル構造を有する樹 (B)を含有する成形品(b)を金型内部に配置し 極性を有する熱可塑性樹脂(A)を、該樹脂(B) 融点より高い温度で可塑化して前記金型内 へ射出し、該成形品(b)に接触させて二層構 を有する複合成形品を製造する。
 本発明では、例えば、共押出による多層フ ルム、多層シート、複合繊維や、一方のシ トやフィルム上にもう1方の材料を溶融押出 したラミネートフィルム、シートも含まれる 。本発明は、インサート射出成形法により複 合成形品を製造することが好ましい。

 インサート成形法とは、既に賦形された異 材料を射出成形機の金型内部に固定し、も 一方の材料を射出成形することによって埋 込む成形法であり、特に金属や無機固体の 材を生かす方法として一般的な成形法であ 。これと類似した成形法として、アウトサ ト成形法があり、これも異種材料を一体化 せるために用いられる。
 サンドイッチ成形法の場合、通常、材料を 塑化させる加熱装置を備えた装置を2つ有し 、これに対して共通のキャビティー、及びゲ ートを有する。スキン層を形成させる材料を 所定量射出し、続いてコア層を形成させる材 料を同じゲートから射出する。これにより、 先に射出した材料がスキン側へ、後から射出 した材料がコアを形成し、表面が他の材料で 覆われた複合成形品が形成される。共通のキ ャビティーを有し、ゲートが異なる場合には 、キャビティー内で2つの材料が接触する面( ェルド)が存在するのに対し、サンドイッチ 成形法の場合には、基本的にはコア層が前面 、スキン層で接触して覆われることになる。

 極性を有する熱可塑性樹脂(A)と脂肪族エ テル構造を有する樹脂(B)とを複合化させる 合、両方の成分が少なくとも接触している 部を溶融状態とする必要がある。溶融状態 不十分な場合には十分な接着強度が得られ い。例えば、ポリアセタールと脂肪族ポリ ステルを有する樹脂との組合せの場合であ ば、溶融状態が十分であれば、適当な射出 件(射出される樹脂の温度、射出速度、保時 圧力、保持時間、金型温度)を設定すること 界面付近の両成分が混合され、共晶を形成 ることで高い界面強度を発現することがで ると考えられる。

 例えば、インサート成形の場合、射出さ る樹脂の温度が低すぎると、金型内にあら じめ挿入された成形品の表面が十分に溶融 ず、高い界面強度を得ることができない。 発明においては、特に射出樹脂温度を金型 に予め挿入した成形品の融点より高い温度 することが好ましい。しかし、高すぎる場 には該成形品の形状が崩れたり、機械物性 どが低下したりするため、上限の目安は融 に対して100℃程度である。また、挿入され 成形品の結晶化度が高い場合には、溶融に 要な熱量が多く要することになるため、射 樹脂温度はより高く設定する必要がある。 出速度や保持圧力、保持時間は界面におけ 相互侵入に関与すると考えられ、特に保持 力や保持時間は成形効率や成形品概観に影 がない範囲で高く設定するほうが好ましい

 以下、実施例により、本発明を具体的に 明するが、本発明はこれらに限定されるも ではない。

〈実施例1~4,比較例1~6〉
溶融状態における接着試験
 Table 1に記載の樹脂材料を図1に示す要領で 190℃に加熱したホットプレート上でそれぞ 溶融状態とし、その溶融状態を保ったまま ルっと重ね合わせて熱プレス(5kgの荷重で10 間)した後、放冷した。2成分間の接着状態 観察し、接着強度をランク付けした。
 熱可塑性樹脂(A)であるポリアセタール樹脂 脂肪族ポリエステル構造を有する樹脂(B)と 組合せは、溶融状態で接触することにより い接着強度を有することが確認された。

Table 1 溶融状態における接着試験

 
 POM(ポリアセタール、融点155℃): 三菱エン ニアリングプラスチックス製 ユピタール V 20-HE
 PLA(ポリ乳酸、融点170℃): ユニチカ製 テラ マック TE-2000
 PBS(ポリブチレンサクシネート、融点114℃): 昭和高分子製 ビオノーレ#1001
 PBSA(ポリブチレンサクシネート・アジペー 、融点95℃): 昭和高分子製 ビオノーレ#3001
 PEC(ポリエステルカーボネート、融点106℃): 三菱ガス化学製 ユーペック PEC350
 P40B(熱可塑性ポリエステルエラストマー、 点180℃): 東洋紡製 ペルプレン
 PET(ポリエチレンテレフラレート、融点270℃ ):鐘紡合繊製 ベルペット IP123A
 PBT(ポリブチレンテレフタレート、融点225℃ ):三菱エンジニアリングプラスチックス製  バデュラン5010R5
 PE(ポリエチレン、融点100℃): プライムポリ マー製 ハイゼックス1700J
 PP(ポリプロピレン、融点160℃): プライムポ リマー製 プライムポリプロ F113G 

〈実施例5~13、比較例7~13〉
フィルムと溶融樹脂との接着試験
 次にTable 2に示すフィルムと溶融樹脂との 合せにおいて簡易接着試験を行った。フィ ムは口径φ25mmの単軸押出機と200mm幅のTダイ( ンガータイプ)にて未延伸フィルム、もしく はペレットを熱プレスしてフィルムを調製し て用いた。同じく図2中の要領でフィルムと 融樹脂を接触させてプレスした。即ち、片 をフィルムとし、片方の樹脂を溶融状態と て、クルっと重ねて熱プレス(約5kgの荷重で1 0秒間)した。フィルムへの接着状態を観察し 接着強度をランク付けした。
 溶融樹脂の温度をフィルムの融点より高い 度とすることで接触時にフィルム表面が一 溶融し、強い接着強度を示した。また、結 化度の高いポリアセタールフィルムを用い 場合には、溶融樹脂温度をより高く設定す 必要があった。また、実施例7が示すように 、フィルム成分にポリアセタールの特長を損 なわない程度のPLAを添加して結晶化度を下げ ることで、接着性が向上した。

Table 2 フィルムと溶融樹脂との接着試験

〈実施例14~28〉
フィルムインサート成形
 Table 3に示す組合せ及び射出条件でフィル インサート成形を行った。フィルムの接着 況はフィルムの90°剥離試験を行って測定し 。

Table 3 フィルムインサート成形

〈実施例29、比較例14~17〉
ウェルド成形
 Table 4に示す組合せでウェルド成形を行い ダンベル片を成形した。引張試験を行うと もに破断箇所の観察を行った。

Table 4 ウェルド成形片の引張試験

 実施例29では、ウェルド強度及び伸びが低 することなく、特に伸びはネッキングを生 て高い伸びを維持しており、ウェルド界面 の破断が生じなかった。

〈実施例30~32〉
サンドイッチ成形
 Table 5に示す組合せでサンドイッチ成形を い、ダンベル片を成形した。曲げ試験を行 たところ、曲げ弾性率、強度は、各成分の 験片断面の占有率に依存し、曲げ応力に対 て界面における剥離は認められなかった。

Table 5 サンドイッチ成形片の曲げ試験結果