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Patent Searching and Data


Title:
LONG-AFTERGLOW PHOSPHOR AND LONG-AFTERGLOW PHOSPHORESCENT SUBSTANCE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149442
Kind Code:
A1
Abstract:
A long-afterglow phosphorescent substance that emits a fluorescence of good color, suppressing any deterioration of afterglow property. There is provided a long-afterglow phosphor characterized by containing a blue green inorganic long-afterglow phosphor capable of emitting a blue green fluorescence and an inorganic phosphor that is excited by visible light and emits a fluorescence of wavelength longer than that of the blue green inorganic long-afterglow phosphor.

Inventors:
FUJIKURA SHOZO (JP)
FUJISHITA HIROAKI (JP)
TONE TAKAHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/061554
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
June 07, 2007
Export Citation:
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Assignee:
ITAKURA MASAKO (JP)
FUJIKURA SHOZO (JP)
FUJISHITA HIROAKI (JP)
TONE TAKAHIRO (JP)
International Classes:
C09K11/08; C09K11/64; C09K11/80
Foreign References:
JP2006028445A2006-02-02
JP2005146125A2005-06-09
JP2005330459A2005-12-02
JPH10102409A1998-04-21
JPH09111236A1997-04-28
JPH11199781A1999-07-27
Attorney, Agent or Firm:
YAMADA, Masaki et al. (3-3 Nishi-shimbashi 3-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 青緑色の蛍光光を発光する青緑系無機長残光蛍光体と、
 可視光で励起し、前記青緑系無機長残光蛍光体よりも長波長の蛍光光を発光する無機蛍光体とを含んだことを特徴とする長残光蛍光体。
 前記無機蛍光体が、黄色の体色を有する蛍光体であることを特徴とする請求項1記載の長残光蛍光体。
 前記無機蛍光体が、希土類で賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体であることを特徴とする請求項1または2記載の長残光蛍光体。
 前記青緑系無機長残光蛍光体が、アルミニウムがホウ素により部分的に置換され、希土類で賦活された二価金属アルミン酸塩であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の長残光蛍光体。
 請求項1から4いずれか1項記載の長残光蛍光体とガラス材料とからなる長残光蛍光物。
Description:
長残光蛍光体および長残光蛍光

 本発明は、長残光性を有する長残光蛍光 および長残光蛍光物に関する。

 長残光蛍光体は、外部からの光等の刺激に り発光し、刺激を停止した後でも発光し続 る蛍光体であり、例えば夜光塗料として、 間や暗所での案内板や標識等に用いられて る。このような長残光蛍光体として、例え 、希土類賦活金属アルミン酸ストロンチウ を含む蛍光体が広く使用されており、この でも、例えば構造式がSrAl 2 O 4 :Eu,Dyで表わされる希土類賦活金属アルミン酸 ストロンチウムを含み、暗所では緑黄色の蛍 光光を発光する緑黄系蛍光体は、避難誘導や 安全確保の分野で多様な製品に用いられてい る(例えば、特許文献1)。

 長残光蛍光体は、外部からの刺激が停止し 後、時間が経過しても発光輝度が高く維持 れ、より高い残光性が望まれている。高い 光性を有する蛍光体としては、例えば、ア ミニウムがホウ素により部分的に置換され 希土類で賦活された二価金属アルミン酸塩 らなる青色系の蛍光体が知られている(例え ば、特許文献2参照)。

特開平8-127772号公報

特開平9-111236号公報

 しかしながら、避難誘導や安全確保の分 では緑黄系の色を用いることが慣用となっ おり、上記青色系蛍光体は高い長残光性を するにもかかわらず用いられていない。ま 、この青色系蛍光体に染料や顔料を混合す と、一般的には、本来の機能である長残光 が著しく低下し実用的でない。染料を混合 た場合には、耐熱性が低下してしまうため 成品とすることができず、利用分野が限ら てしまう。

 本発明は、上記事情に鑑み、緑黄系の蛍 光を発光するとともに残光性の低下が抑え れた長残光蛍光物を提供することを目的と る。

 上記目的を達成する本発明の長残光蛍光体 、青緑色の蛍光光を発光する青緑系無機長 光蛍光体と、
 可視光で励起し、上記青緑系無機長残光蛍 体よりも長波長の蛍光光を発光する無機蛍 体とを含んだことを特徴とする。

 本発明の長残光蛍光体は、青緑色の蛍光 を発光する青緑系無機長残光蛍光体と青緑 無機長残光蛍光体よりも長波長の蛍光光を 光する無機蛍光体を含むことにより、緑黄 の蛍光光を発光する。しかも、青緑系無機 残光蛍光体の持つ長残光性の低下が抑えら 、従来より広く用いられている緑黄系蛍光 より優れた長残光性を有する。また、本発 の長残光蛍光体は無機材料からなるため、 熱性に優れ陶磁器製タイル等の焼成品にも 用することが可能となる。

 ここで、上記本発明の長残光蛍光体にお て、上記無機蛍光体が、黄色の体色を有す 蛍光体であることが好ましい。

 長残光蛍光体は、例えば夜光塗料として 夜間や暗所での案内板や標識等に用いられ いる。避難誘導や安全確保の分野で用いら る案内板や標識等は、夜間や暗所での視認 が重要であることは言うまでもないが、高 視認性が求められるのは夜間や暗所に限ら るわけではない。例えば、避難誘導や安全 保の分野で用いられる案内板や標識等は、 中の屋外や照明が行き届いた明所でも鮮明 視認性を有することが望まれている。

 しかしながら、従来の希土類賦活金属ア ミン酸ストロンチウムからなる緑黄色系蛍 体は緑黄色の蛍光光を発光するものの、体 、すなわち明所下における蛍光体自体の色 淡い白色に近い無彩色であり、案内板や標 等に用いても日中の屋外では良好な視認性 得ることができない。この体色の問題は、 ルミニウムがホウ素により部分的に置換さ 、希土類で賦活された二価金属アルミン酸 からなる従来の蛍光体でも同様である。明 い環境下での視認性を高める目的で、これ の蛍光体に顔料や染料を混合すると、蛍光 の体色は一定の色に染まるものの、本来機 である長残光性が低下してしまう。すなわ 、蛍光体に対する励起光の照射停止後の蛍 体の発光輝度が低下し、夜間や暗所での視 性が低下してしまう。また、有機材料から る染料を混合する場合には耐熱性も低下し 焼成品とすることができず、利用分野が限 れてしまう。上記の長残光無機蛍光体によ ば、黄色の体色を有する無機蛍光体を含む とによって、明所でも視認性が高い黄色の 色を有する。したがって、点字ブロック等 標識といった、明所における視認性が求め れる安全確保の分野での応用が可能となる

 ここで、上記本発明の長残光蛍光体にお て、上記無機蛍光体が、希土類で賦活され イットリウム・アルミニウム・ガーネット 蛍光体であることが好ましい。

 希土類で賦活されたイットリウム・アル ニウム・ガーネット系蛍光体は、青緑系無 長残光蛍光体よりも長波長の蛍光光を発光 、黄色の体色を有する。また、耐熱性が高 ため、本発明の長残光無機蛍光体に用いる 機蛍光体として好適である。

 また、上記本発明の長残光蛍光体におい 、上記青緑系無機長残光蛍光体は、アルミ ウムがホウ素により部分的に置換され、希 類で賦活された二価金属アルミン酸塩であ ことが好ましい。

 アルミニウムがホウ素により部分的に置 され、希土類で賦活された二価金属アルミ 酸塩は、蛍光発光色が青緑色であり、残光 性が良好であるため、本発明の長残光無機 光体に用いる長残光蛍光体として好適であ 。

 上記目的を達成する本発明の長残光蛍光 は、上記長残光蛍光体とガラス材料とから ることを特徴とする。

 本発明の長残光蛍光物は耐水性にも優れ ため、例えば、屋外環境下で使用されるタ ルの表面保護材として応用することができ 。

 以上説明したように、本発明によれば、 黄系の蛍光光を発光するとともに長残光蛍 体および長残光蛍光物が実現する。

 以下本発明の長残光蛍光体および長残光 光物の実施の形態を説明する。

 本実施形態の長残光蛍光体は、可視光を受 て励起し、励起した光と異なる緑青色~緑黄 色の発光光を発光する。この長残光蛍光体は 、青緑色の蛍光光を発光する青緑系無機長残 光蛍光体と、可視光で励起し、上記青緑系無 機長残光蛍光体よりも長波長の蛍光光を発光 する無機蛍光体とを含んでいる。青緑系無機 長残光蛍光体と無機蛍光体とを含んだ長残光 蛍光体は、明所における鮮明な色を有してい る。また、励起源を取り去った暗所における 長残光蛍光体は、青緑系無機長残光蛍光体が 発光する青緑色の蛍光光の一部によって、無 機蛍光体が励起され、この無機蛍光体が、青 緑系無機長残光蛍光体よりも低波長の蛍光光 を発光する。したがって、暗所では、青緑よ りも長い主波長の発光光を発光する。無機蛍 光体が加わることによって、青緑系無機長残 光蛍光体の長残光性の低下が抑えられる。
(黄色無機蛍光体)
 本実施形態の無機蛍光体は、可視光を受け 励起し、励起した光と異なる波長を有する 光光を発光する蛍光体である。本実施形態 は、無機蛍光体として、希土類で賦活され イットリウム・アルミニウム・ガーネット 黄色無機蛍光体を用いる。具体的には、黄 無機蛍光体として、Eu、Dy、Ce、Gd、Pr、Sm、T b、Ho、Er、Tm、Ybからなる群から選ばれる少な くとも1以上の希土類金属元素で賦活された ットリウム・アルミニウム・ガーネット系 光体を用いる。
(青緑系無機長残光蛍光体)
 本実施形態の青緑系無機長残光蛍光体は、 起源を取り去っても発光が持続する蛍光体 ある。本実施形態では、青緑系無機長残光 光体として、アルミニウムがホウ素により 分的に置換され、希土類で賦活された二価 属アルミン酸塩を用いる。この二価金属ア ミン酸塩としては、アルミニウムがホウ素 より部分的に置換され、Eu、Dy、Ce、Pr、Sm、 Tb、Ho、Er、Tm、Ybからなる群から選ばれる少 くとも1以上の希土類金属元素で賦活された ルミン酸ストロンチウムが好ましい。アル ニウムがホウ素により部分的に置換され、 土類で賦活された二価金属アルミン酸塩は 高い長残光性を有する。また、490nmを中心 した485nm~495nmの範囲にピーク波長を有する発 光光を発光する。

 また本発明の実施形態である長残光蛍光 は、上記長残光蛍光体を含む樹脂とガラス 料との混合物を焼成することによって得ら る。樹脂は焼成によって蒸散または分解す が、無機化合物である青緑系無機長残光蛍 体および黄色無機蛍光体は分解しない。こ 長残光蛍光物は、ガラス中に長残光蛍光体 分散した状態となっており、耐水性に優れ いる。

 以下、実施例と比較例を用いて詳しく説明 るが、以下に説明する実施例は本発明を何 限定するものではない。
[実施例1:粉体、樹脂混合厚膜、および樹脂混 合薄膜の形態における長残光蛍光体の残光特 性]
 青緑系無機長残光蛍光体および黄色無機蛍 体の混合比が異なる長残光蛍光体、粉体、 脂に含有させた厚膜、および樹脂に含有さ て塗布した薄膜の試料として作成し、残光 性を測定した。
(試料の作成)
 まず、青緑系無機長残光蛍光体として大連 明発光科技製PLB-8B(以降、単にPLB-8Bとも称す る。)と、黄色無機蛍光体として(株)東京化学 研究所製YAG-5(以降、単にYAG-5とも称する。)と を混合して、YAG-5の配合比が10%、8%、6%、4%、2 %となる5種類の粉体状の粉試料F-No.1,F-No.2,F-No. 3,F-No.4,F-No.5を作成し白い平底容器に入れた。 PLB-8Bは、アルミニウムがホウ素により部分的 に置換され、希土類で賦活された二価金属ア ルミン酸塩であり、粉末状である。YAG-5は、 ドリニウムによってイットリウムが部分的 置換され、Ceで賦活されたイットリウム・ ルミニウム・ガーネット系蛍光体であり、 造式が(Y,Gd) 3 Al 5 O 12 :Ceで表わされる黄色の粉末である。

 また、比較例として、黄色無機蛍光体を含 ないPLB-8B(比較例F―C1)と、従来より一般に いられている緑黄系長残光蛍光体として根 特殊化学製G300M(比較例F-C2)とを用意した。根 本特殊化学製G300Mは、構造式がSrAl 2 O 4 :Eu,Dyで表わされる希土類賦活金属アルミン酸 ストロンチウムの粉末である。

 また、上記粉試料F-No.1~F-No.5と同一成分の 5つの試料4gを、同量(4g)の無色透明な液状の ポキシ系樹脂にそれぞれ混合し、このうち 6gを白い平底容器に1.5mm厚の厚膜状に充填し 樹脂を固化させ、5つの厚膜試料R-No.1,R-No.2,R -No.3,R-No.4,R-No.5を作成した。また、上記比較 F―C1を4gと比較例F―C2を3gについてもそれぞ 同量の樹脂と混合し、白い平底容器の底に1 .5mm厚の厚膜状に6g充填し、樹脂を固化させる ことによって2つの比較例R―C1、および比較 R―C2を作成した。

 また、5つの厚膜試料R-No.1~R-No.5および比較 F―C2のそれぞれと同一成分の試料を2gずつ、 樹脂が固化する前に白い印刷媒体上に約0.2mm 厚さで塗布し、5種類の薄膜状の薄膜試料P-N o.1,P-No.2,P-No.3,P-No.4,P-No.5と比較例P-C2を作成し 。
(残光特性の測定)
 次に、作成した試料および比較例のそれぞ について、JIS Z 9107に基づいて残光特性を 定した。具体的には、励起源からの光を照 し、励起源を取り去ってから1分、5分、10分 、20分、60分経過における発光輝度(mcd/m 2 )を測定した。この測定によって、残光特性 なわち暗所における発光光の時間経過に伴 発光特性が測定される。

 それぞれの試料および比較例の残光特性 次の表に示す。

 

 上の表1に示すように、いずれの試料およ び比較例においても、粉体のものに比べて樹 脂に混合した厚膜状のものの方が発光輝度が 高い。また、黄色無機蛍光体を混合した粉試 料F-No.1~F-No.5の発光輝度は、黄色無機蛍光体 混合されていない状態の粉体の比較例F-C1の 光輝度に比べ、上回っているかまたはほぼ 等である。そして、粉試料F-No.1~F-No.5の発光 輝度は、従来の緑黄系蛍光体である比較例F-C 2の発光輝度に比べ格段に高くなっている。

 また、樹脂に混合されて形成された厚膜 料R-No.1~R-No.5の発光輝度は、黄色無機蛍光体 の配合濃度が高いほど、すなわち厚膜試料R-N o.5からR-No.1に向かうほど低下する傾向にあっ た。しかし、配合濃度が10%と最も高い厚膜試 料R-No.1であっても、例えば60分経過時におけ 輝度の低下は、黄色無機蛍光体が混合され いない比較例R-C1の発光輝度と比較して15%未 満に抑えられている。配合濃度が低い厚膜試 料R-No.4,R-No.5の発光輝度は、黄色無機蛍光体 混合されていない比較例R-C1の発光輝度と同 である。このように、黄色無機蛍光体が配 されても輝度は同等であるか低下は抑えら ている。そして、厚膜試料R-No.1~R-No.5におけ る、例えば60分経過時における発光輝度は、 来の緑黄系蛍光体による厚膜状の比較例R-C2 の発光輝度に対し30%以上も上回っている。

 また、樹脂に混合され印刷媒体上に塗布さ た薄膜試料P-No.1~P-No.5の発光輝度も、従来の 緑黄系蛍光体による厚膜状の比較例R-C2の発 輝度を上回っている。
(発光色の測定)
 試料および比較例の一部について、蛍光光 発光色を測定した。厚膜試料R-No.1は、発光 ーク波長が522nmであり、発光ドミナント波 が544.7nmである。また、厚膜試料R-No.1~R-No.5は 、黄色無機蛍光体の配合濃度が低いほど発光 ピーク波長および発光ドミナント波長ともに 短くなる傾向にあるが、発光光は、比較例R-C 2と同様の緑黄色である。蓄光式誘導標識の 野では、基準の一例として発光スペクトル ピーク波長を507nm~555nmの範囲とするものがあ るが、厚膜試料R-No.1~R-No.5はこの基準例の範 におけるピーク波長を有している。特に、 膜試料R-No.4は、比較例R-C2とほぼ等しいドミ ント波長を有している。
(体色の観測)
 試料および比較例の一部について、体色、 なわち明所における色を観測した。厚膜試 R-No.1について、大日本インキ化学工業株式 社発行のカラー見本帳と肉眼視において比 した場合にはDIC571相当の黄色、より具体的 はレモンイエロー色を有している。厚膜試 R-No.1~R-No.5は、厳密には、黄色無機蛍光体の 配合濃度が低いほど色が淡くなる傾向を有し ているが、いずれも黄色の体色を有している 。比較例R-C1,R-C2は、ともに白に近い淡緑色の 体色を有している。
[参考実験]
 ここで、参考実験として、青緑系無機長残 蛍光体と蛍光体を混合するのではなく、従 用いられている緑黄系蛍光体に蛍光体を混 した参考試料を作成し、残光特性を測定し 。

 まず、緑黄色の発光光を発光する緑黄色 残光蛍光体として、(株)東京化学研究所製AS D-200(試作品)を用い、これに、黄色無機蛍光 として(株)東京化学研究所製YAG-5を1.96%の配 濃度で混合した。これを粉体の参考試料F-R3 した。また、黄色無機蛍光体を混合しない 料を参考試料F-R4とした。

 また、参考試料F-R3,F-R4と同一内容の試料3 gを、それぞれ3gの無色透明の樹脂3gと混合し 上述した厚膜試料と同様の形状の試料を参 試料R-R1,R-R2として作成した。

 次に、作成した試料および比較例のそれ れについて、JIS Z 9107に基づいて残光特性 測定した。

 それぞれの参考試料の残光特性を次の表 示す。

 

 上の表2に示すように、黄色無機蛍光体を 混合した参考試料R-R1の発光輝度は、黄色無 蛍光体を混合しない参考試料R-R2の発光輝度 比べ低下した。この傾向は、粉体について 同様である。すなわち、黄色無機蛍光体を 合した参考試料F-R3の発光輝度は、黄色無機 蛍光体を混合しない参考試料F-R4の発光輝度 比べ低下した。

 このように、青緑系無機長残光蛍光体に黄 無機蛍光体を混合するのではなく、緑黄系 光体に黄色無機蛍光体を混合すると、残光 性は、黄色無機蛍光体を混合しない場合に し却って劣化した。
[実施例2:焼成品での長残光蛍光体の残光特性 ]
 青緑系無機長残光蛍光体および黄色無機蛍 体の混合比が異なる長残光蛍光体を、焼成 の試料として作成し、残光特性を測定した
(試料LO-02-1~LO-02-10の作成)
 まず、青緑系無機長残光蛍光体としての大 路明発光科技製PLB-8Bを96.5gと、黄色無機蛍 体としての(株)東京化学研究所製YAG-5を3.5g混 合し、100gの長残光蓄光体を作成した。この 残光蓄光体100gを、バインダーとしての焼成 オイル100gに混合し、さらに無色透明のガラ ス材料からなる無鉛フリット100gを混合し、 薬を作成した。この時点では、作成した釉 にはオイルが混合されているため流動性を している。次に、作成した釉薬の一部を、 磁器製の平板状に形成された白いタイルの 面に、シルクスクリーン印刷の手法で塗布 る。このとき、10個のタイルを用意し、それ ぞれに対し、塗布層の厚さを互いに異ならせ て釉薬を塗布する。次に、釉薬が塗布された 10個のタイルを電気炉で3時間焼成した。電気 炉は工程長が15mあり、入口より6~7mでの雰囲 温度が815℃~832℃となるものを使用しており 焼成雰囲気は酸化焼成である。焼成後のタ ルを室温環境下で自然冷却することによっ 、10個の試料LO-02-1,LO-02-2,LO-02-3,LO-02-4,LO-02-5,L O-02-6,LO-02-7,LO-02-8,LO-02-9,LO-02-10を作成した。

 タイルの表面に形成された釉薬の層のうち 焼成用オイルは、焼成の雰囲気中で消失す 。またガラス材料からなる無鉛フリットは 融して、一体化し、長残光蛍光体が内部に 在した状態でタイル表面を覆って固化する したがって、10個の試料LO-02-1~LO-02-10の表面 、ガラス材料からなる層で覆われており、 のガラス材料の層中には長残光蛍光体が内 に散在している。各試料のガラス材料の層 厚さ、別の言い方をすればタイル表面の長 光蛍光体の密度は、互いに異なる。ただし タイル表面に塗布する釉薬の量を精密に調 することは実験段階では容易ではない。こ ため、作成段階では、一定の目安で塗布を い、塗布量と塗布面積の関係から算出した タイル面積1m 2 当たりの長残光蛍光体の量を用いて、タイル 表面の長残光蛍光体の量を表現する。

 試料LO-02-1は、タイル1m 2 当たり104gの長残光蛍光体を有している。ま 、同様に試料LO-02-2~試料LO-02-10は、それぞれ タイル1m 2 当たり195g、284g、368g、457g、545g、635g、727g、82 8g、929gの長残光蛍光体を有している。
(試料LO-03-1~LO-03-10の作成)
 上述した試料LO-02-1~LO-02-10と同様にして、試 料LO-03-1~LO-03-10を作成した。試料LO-03-1~LO-03-10 は、黄色無機蛍光体として、大連路明発光 技製LMY―60-C(以降、LMY―60-Cとも称する。)を 混合した点が、試料LO-02-1~LO-02-10の場合とは なる。LMY―60-Cは、CeおよびGaで賦活されたイ ットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄 色無機蛍光体であり、構造式がY 3 Al 5 O 12 :Ce,Gaで表わされる黄色の粉末である。また、 試料LO-03-1~試料LO-03-10は、それぞれ、タイル1m 2 当たり95g、185g、271g、353g、434g、515g、594g、677 g、763g、863gの長残光蛍光体を有している。こ れ以外の成分や製法は、試料LO-02-1~LO-02-10と 様である。
(試料LO-04-1~LO-04-10の作成)
 上述した試料LO-02-1~LO-02-10と同様にして、試 料LO-04-1~LO-04-10を作成した。試料LO-04-1~LO-04-10 は、黄色無機蛍光体として、大連路明発光 技製LMY―65-C(以降、LMY―65-Cとも称する。)を 混合した点が、試料LO-02-1~LO-02-10の場合とは なる。LMY―65-Cは、CeおよびGaで賦活されたイ ットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄 色無機蛍光体であり、構造式がY 3 Al 5 O 12 :Ce,Gaで表わされる黄色の粉末である。また、 試料LO-04-1~試料LO-04-10は、それぞれ、タイル1m 2 当たり95g、189g、281g、366g、453g、544g、634g、725 g、818g、930の長残光蛍光体を有している。こ 以外の成分や製法は、試料LO-02-1~LO-02-10と同 様である。
(試料LO-05-1~LO-05-10の作成)
 上述した試料LO-02-1~LO-02-10と同様にして、試 料LO-05-1~LO-05-10を作成した。試料LO-05-1~LO-05-10 は、黄色無機蛍光体として、大連路明発光 技製LMY―70-C(以降、LMY―70-Cとも称する。)を 混合した点が、試料LO-02-1~LO-02-10の場合とは なる。LMY―70-Cは、CeおよびGaで賦活されたイ ットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄 色無機蛍光体であり、構造式がY 3 Al 5 O 12 :Ce,Gaで表わされる黄色の粉末である。また、 試料LO-05-1~試料LO-05-10は、それぞれ、タイル1m 2 当たり98g、191g、271g、349g、428g、510g、634g、726 g、825g、947の長残光蛍光体を有している。こ 以外の成分や製法は、試料LO-02-1~LO-02-10と同 様である。
(比較例試料の作成)
 また比較例TC-1~TC-10を作成した。比較例TC-1~T C-10の作成においては、緑黄系蛍光体として10 0gの根本特殊化学製G300Cをバインダーとして 焼成用オイル100gに混合し、さらに無色透明 ガラス材料からなる無鉛フリット100gを混合 し、釉薬を作成した。この釉薬の一部を、試 料LO-02-1~LO-02-10の場合と同様に、タイルの表 に塗布し、電気炉で3時間焼成し、冷却した

 得られた比較例TC-1~TC-10は、それぞれ、タイ ル1m 2 当たり98g、190g、268g、344g、425g、515g、605g、689 g、782g、889gの緑黄系蛍光体を有している。
(残光特性の測定)
 次に、作成した試料および比較例のそれぞ について、JIS Z 9107に基づいて残光特性を 定した。具体的には、励起源からの光を照 し、励起源を取り去ってから1分、5分、10分 、20分、60分経過における発光輝度(mcd/m 2 )を測定した。この測定によって、残光特性 なわち暗所における発光光の時間経過に伴 発光特性が測定される。

 それぞれの試料および比較例の残光特性 次の表に示す。表には、各試料および比較 の測定値を、長残光蛍光体、または緑黄系 光体の量(配合)が同量となるものどうしを に並べて示した。

 

 上の表3に示すように、いずれの試料およ び比較例においても、長残光蛍光体、または 緑黄系蛍光体の量が100g程度から500g程度まで 加するに従い、各経過時間における発光輝 が上昇し、この上昇は、長残光蛍光体、ま は緑黄系蛍光体の量が600g程度を越える付近 から鈍化、または飽和する傾向を有している 。

 長残光蛍光体を有する試料はいずれの量に いても緑黄系蛍光体を有する比較例に対し 、高い発光輝度を有している。例えば、長 光蛍光体の量が600gを越える4つの試料LO-02-7~ LO-02-10は、60分経過時の発光輝度が比較例に し2倍近くにまで達している。
(発光色の測定)
 上の表3には、試料および比較例の一部につ いて、蛍光光の発光色を測定した結果も示し ている。試料LO-02-7、試料LO-03-7、試料LO-04-7、 および試料LO-05-7は、黄色無機蛍光体が含ま ないPLB-8B(比較例R-C1)に比べより長いピーク 長を有している。特に、試料LO-02-7は、発光 ーク波長が513nmであり、発光ドミナント波 が521.6nmである。これは、比較例TC-7の525.6nm 同様の緑黄色である。また、試料LO-02-7のピ ク波長は、上述した蓄光式誘導標識におけ 基準の一例の範囲にある。
(体色の観測)
 上の表3には、試料および比較例の一部につ いて、体色、すなわち明所における色を測定 した結果も示している。

 試料LO-02-7の体色は黄色、より具体的には レモンイエロー色である。これは、大日本イ ンキ化学工業株式会社発行のカラー見本帳と 肉眼視において比較した場合にはDIC570相当で ある。また、試料LO-03-7の体色は、青みがか たクリーム色であり、試料LO-04-7および試料L O-05-7の体色は、双方とも試料LO-03-7の体色よ さらに黄味のクリーム色である。これらの は、長残光蛍光体の配合量が多い程高い傾 を有しているが、比較例TC-7の白味とは異な 、各種標識における有色の表示として用い ことができる程度となっている。