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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING SILICON CARBIDE SINGLE CRYSTAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116581
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a silicon carbide single crystal, which is characterized by comprising a step of coating the back side of a seed crystal (1) with a thermosetting resin (2) containing a silicon component before a step of placing the seed crystal (1) into a container (10) of an apparatus for producing a silicon carbide single crystal.

Inventors:
ISHIHARA HIDETOSHI
MOTOYAMA TSUYOSHI
KONDO DAISUKE
KUMAGAI SHO
Application Number:
PCT/JP2009/055313
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
BRIDGESTONE CORP (JP)
ISHIHARA HIDETOSHI
MOTOYAMA TSUYOSHI
KONDO DAISUKE
KUMAGAI SHO
International Classes:
C30B29/36; C30B23/06; H01L21/203
Foreign References:
JP2008044802A2008-02-28
JP2006143511A2006-06-08
JP2006347868A2006-12-28
JP2001139394A2001-05-22
JP2008074358A2008-04-03
JP2009063529A2009-03-26
Other References:
See also references of EP 2267195A4
Attorney, Agent or Firm:
MIYOSHI, Hidekazu et al. (JP)
Hidekazu Miyoshi (JP)
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Claims:
 炭化ケイ素単結晶製造装置の容器内に昇華用原料を収容すると共にこの昇華用原料に略対向して炭化ケイ素単結晶の種結晶を設置する工程と、加熱により昇華させた前記昇華用原料を前記種結晶の表面上で再結晶させて炭化ケイ素単結晶を結晶成長させる工程とを含む炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、
 前記種結晶を前記炭化ケイ素単結晶製造装置の容器に設置する工程の前に前記種結晶の裏面に、ケイ素成分を含む熱硬化性材料を塗布する工程を含む炭化ケイ素単結晶の製造方法。
 前記ケイ素成分を含む熱硬化性材料が、前記種結晶と前記容器との接着剤を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
 前記熱硬化性材料におけるケイ素の含有率は、3.0~15.0%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
Description:
炭化ケイ素単結晶の製造方法

 本発明は、炭化ケイ素単結晶の製造方法 関する。

 炭化ケイ素単結晶は、ケイ素に比べてバ ドギャップが大きく、絶縁破壊特性、耐熱 、耐放射線性等に優れていることから、小 で高出力の半導体等の電子デバイス材料と て注目されている。また、炭化ケイ素単結 は、光学的特性に優れることから、光学デ イス材料として注目されている。

 この炭化ケイ素単結晶を製造する方法に 、例えば昇華法がある。この昇華法は、炭 ケイ素単結晶製造装置の反応容器に炭化ケ 素の原料を収容するとともに、炭化ケイ素 種結晶を設置する。次に、この炭化ケイ素 原料を加熱して昇華させ、この昇華させた 化ケイ素を種結晶の表面上で再結晶させて 結晶成長させる方法である。昇華法により られた結晶成長後の炭化ケイ素単結晶をス イスして炭化ケイ素単結晶ウェハを得る。 の方法では、種結晶を用いるために結晶の 生成過程が制御できる。また、不活性ガス 雰囲気圧力を100Paから15kPa程度の範囲で制御 することにより、結晶の成長速度等を再現性 よくコントロールできる。現在、昇華法で作 成した炭化ケイ素単結晶から、口径2インチ ら3インチの炭化ケイ素単結晶ウェハが切り され、エピタキシャル薄膜成長やデバイス 製に供されている。

 しかしながら、炭化ケイ素単結晶ウェハ 製造するための種結晶には、マイクロパイ 欠陥などの中空欠陥が含まれている場合が い。このような中空欠陥を有する種結晶の 面上で炭化ケイ素単結晶を結晶成長させる 、中空欠陥は修復されず、結果として中空 陥が炭化ケイ素単結晶ウェハに残存するこ から、ウェハ品質の低下を招いてしまう。

 そのため、炭化ケイ素単結晶を結晶成長さ る前に、エピタキシャル薄膜成長などを用 て種結晶の表面上で炭化ケイ素を結晶成長 せ、これにより種結晶のマイクロパイプ欠 を塞ぐことが行われていた(特許文献1)。ま 、種結晶のマイクロパイプ欠陥を塞ぐ他の 術に関し、マイクロパイプ欠陥を有する炭 ケイ素単結晶の当該マイクロパイプ欠陥を 化ケイ素材料で埋め込み、次いで、そのマ クロパイプ欠陥を炭化ケイ素蒸気中で飽和 態にして熱処理を施すことにより、種結晶 存在するマイクロパイプ欠陥を閉塞させる 術があった(特許文献2)。

米国特許第5679153号明細書

特開2000-034200号公報

 特許文献1に記載された、エピタキシャル 薄膜成長にてマイクロパイプ欠陥を塞ぐ方法 では、20~75μm以上の厚さのエピタキシャル層 成長させなければならない。このため、エ タキシャル層の成長させるための装置が別 必要である。また、エピタキシャル層を所 の厚さまで成長させるための処理時間を必 とする。そして、エピタキシャル層の厚さ 不十分では、マイクロパイプ欠陥を塞ぐこ が難しいばかりか、昇華法によって結晶成 を行ったときに、閉塞されたマイクロパイ 欠陥の部分が昇華して再びマイクロパイプ 陥の開口部が露出するおそれがあった。

 また、特許文献2に記載された、マイクロ パイプ欠陥に炭化ケイ素材料を埋め込み、熱 処理する方法では、この炭化ケイ素材料を埋 め込むために、有機ケイ素高分子を超臨界流 体に溶解したものや、炭化ケイ素超微粒子の アルコール懸濁液を用いている。しかしなが ら、前者は、超臨界流体となる条件で有機ケ イ素をマイクロパイプ欠陥内に浸透させるた めに、高温、高圧条件での工程が必要であり 、そのための装置及び処理工程時間を必要と する。また、後者は、炭化ケイ素超微粒子を マイクロパイプ欠陥内に確実に埋め込むこと が難しく、適切に埋め込むためには、そのた めの装置及び処理工程時間を必要とする。

 このように従来技術では、炭化ケイ素単 晶の結晶成長とは別の工程で種結晶のマイ ロパイプ欠陥を閉塞させていたため、閉塞 せるための装置が別途必要であり、また、 理時間や評価時間を要することから、炭化 イ素単結晶の生産性の低下を招くおそれが り、ひいては生産コストの増大要因にもな ていた。

 本発明は、上記の問題を有利に解決する のであり、種結晶に生じているマイクロパ プ欠陥などの中空欠陥を、別途の装置や処 を付加することなく有利に閉塞させ、よっ 欠陥の少ない良質な単結晶を生産性よく製 することのできる炭化ケイ素単結晶の製造 法を提供することを目的とする。

 本発明の炭化ケイ素単結晶の製造方法は 炭化ケイ素単結晶製造装置の容器(るつぼ10) 内に昇華用原料(昇華用原料4)を収容すると共 にこの昇華用原料に略対向して炭化ケイ素単 結晶の種結晶(種結晶1)を設置する工程と、加 熱により昇華させた昇華用原料を種結晶の表 面上で再結晶させて炭化ケイ素単結晶(炭化 イ素単結晶5)を結晶成長させる工程とを含む 炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、種結 晶を炭化ケイ素単結晶製造装置の容器に設置 する工程の前に、種結晶の裏面に、ケイ素成 分を含む熱硬化性材料(熱硬化性樹脂2)を塗布 する工程を含むことを特徴とする。

 このケイ素成分を含む熱硬化性材料が、 結晶と容器との接着剤を兼ねることは、好 しい態様である。

 熱硬化性材料におけるケイ素の含有率は 3.0~15.0%であることは、好ましい態様である

 本発明の炭化ケイ素単結晶の製造方法に れば、種結晶に生じていたマイクロパイプ 陥などの中空欠陥を、別途独立した閉塞工 を付加することなく閉塞させることができ ので、欠陥の少ない良質な炭化ケイ素単結 を、生産性よく製造することができる。

図1は、本発明の実施形態に係る炭化ケ イ素単結晶製造装置の一例の要部を示す模式 的な断面図である。 図2は、本発明の実施形態に係る炭化ケ イ素単結晶製造装置を用いて炭化ケイ素単結 晶を製造する要領の説明図である。 図3は、本発明の実施形態に係るケイ素 成分を含む熱硬化性材料が塗布形成された種 結晶を蓋体に取り付ける工程の説明図である 。 図4は、本発明の実施形態に係る種結晶 が蓋体に取り付けられたところを示す断面図 である。 図5は、本発明の実施例に係る熱硬化性 材料のケイ素成分の割合に対する欠陥閉塞率 を示す図である。

 次に、本発明の実施形態について説明す 。なお、以下の図面の記載において、同一 たは類似の部分には、同一または類似の符 を付している。ただし、図面は模式的なも であり、各寸法の比率などは現実のものと 異なることに留意すべきである。

 したがって、具体的な寸法などは以下の 明を参酌して判断すべきものである。また 図面相互間においても互いの寸法の関係や 率が異なる部分が含まれていることは勿論 ある。

 以下、図面を用いて本発明の炭化ケイ素 結晶の製造方法を説明する。図1は、本発明 の炭化ケイ素単結晶の製造方法を実施するた めの炭化ケイ素単結晶製造装置において、一 例の要部を、模式的な断面で示す図である。 図1に示す炭化ケイ素単結晶製造装置は、昇 法により炭化ケイ素単結晶を製造する装置 あって、容器としての黒鉛製のるつぼ10を有 している。このるつぼ10は、上部の蓋体11と 部の容器本体12とから構成される。蓋体11に 種結晶1が取り付け固定される。また、容器 本体12には昇華用原料4が収容される。蓋体11 び容器本体12は、断熱材13により囲まれてい る。この断熱材13は、るつぼ10を高温加熱し ときの放熱を抑制し、るつぼ10内を高温に維 持可能にしている。るつぼ10を加熱するため 図示しない加熱手段は、断熱材13よりも外 に設けられ、昇華用原料4を昇華可能な温度 加熱でき、また、種結晶1を再結晶可能な温 度に加熱可能にしている。その加熱手段には 、例えば誘導加熱コイルがある。

 このような炭化ケイ素単結晶製造装置を いて炭化ケイ素単結晶を製造する要領を図2 を用いて説明する。なお、図2において、図1 示した部材と同一の部材については同一の 号を付している。断熱材13に囲われたるつ 10は、成長炉14内に置かれる。るつぼ10の容 本体12の内部に昇華用原料4を収容し、この 華用原料4と略対向するように蓋体11の下面 の中央部に種結晶1を取り付け固定する。成 炉14内をArガス雰囲気、所定の圧力に調整す るとともに、図示しない加熱手段により、る つぼ10内の昇華用原料4及び種結晶1を加熱し 、昇華用原料4の温度を昇華用原料4が昇華す る温度に、種結晶1の温度を昇華した原料が 結晶1の表面上で再結晶する温度(およそ昇華 用原料の加熱温度よりも100℃低い温度)にそ ぞれ制御する。このような温度及び雰囲気 御により、黒鉛製のるつぼ10内で昇華用原料 4は、昇華し、この昇華用原料4に対向する種 晶1の表面上で再結晶する。この結果、昇華 した昇華用原料4は、種結晶1の厚さ方向及び 方向に結晶成長して炭化ケイ素単結晶5が得 られる。

 種結晶に生じているマイクロパイプ欠陥 どの中空欠陥を、別途の装置や処理を付加 ることなく閉塞させるには、通常行われて る炭化ケイ素単結晶の製造工程の過程で、 イクロパイプ欠陥等の中空欠陥を閉塞でき ことが必要である。

 一般的に、図1や図2に示したるつぼ10の蓋 体11に種結晶1を取り付け固定するためには、 機械的な保持装置を蓋体11に設けることの他 、接着剤として機能する熱硬化性材料を構 する熱硬化性樹脂を、種結晶1の裏面又は、 るつぼ10の蓋体11の下面、あるいはこれらの 面に塗布し、この熱硬化性樹脂によって種 晶1を蓋体11に接着固定することが行われて る。

 そこで、本発明では、マイクロパイプ欠 等の中空欠陥を閉塞させるために、種結晶 炭化ケイ素単結晶製造装置の容器に設置す 工程の前に、種結晶の裏面に、ケイ素成分 含む熱硬化性材料を塗布する工程を含む。 体的には、熱硬化性材料を構成する熱硬化 樹脂におけるケイ素の含有率は、3.0~15.0%で る。新たなマイクロパイプ欠陥の発生、他 中空欠陥の発生を抑制するには、熱硬化性 脂におけるケイ素の含有率は、3.0~10.0%であ ことが更に好ましい。中空欠陥の閉塞のた に種結晶の裏面に熱硬化性材料を塗布する 程は、上述した種結晶1を蓋体11に接着固定 るための熱硬化性材料を塗布する工程とは 熱硬化性材料が異なるのみで工程自体は同 であるから、別途に装置や特別な処理を付 する必要がない。

 ケイ素成分を含む熱硬化性材料を種結晶 裏面に塗布した後は、その種結晶を、るつ の蓋体に取り付け固定する。図3は、ケイ素 成分を含む熱硬化性樹脂2が塗布形成された 結晶1を蓋体11に取り付ける一例の説明図で る。図3に示す例では、蓋体11の表面に接着 としての熱硬化性樹脂3を事前に塗布してい 。なお、図3では、本発明の理解の便宜のた めに熱硬化性樹脂3が蓋体11の表面の中央部の みに塗布されているが、図示した例に限定さ れず、種結晶1を確実に接着固定できるよう 、種結晶1の裏面の全面にわたる範囲に熱硬 性樹脂3を蓋体11の表面に塗布することがで ることは言うまでもない。熱硬化性樹脂3に は、フェノール樹脂等の従来から公知の材料 を用いることができる。例えば、熱硬化性樹 脂3として、Si変性フェノール樹脂等を用いる 事ができる。

 図4に、種結晶1が蓋体11に取り付けられた ところを断面図で示す。種結晶1は、複数の イクロパイプ欠陥d1、d2、d3を有している。 結晶1の裏面に形成されたケイ素成分を含む 硬化樹脂2の膜が、これらのマイクロパイプ 欠陥d1、d2、d3の開口部を覆って形成されてい る。また、ケイ素成分を含む熱硬化樹脂2と 体11との間に、接着剤としての熱硬化樹脂3 膜が形成されている。

 蓋体11に接着固定された種結晶1は、図1に 示したように蓋体11と共に、るつぼ10の容器 体12の上部に取り付けられる。その後、図示 しない加熱手段により種結晶1に熱処理を施 。この熱処理により、種結晶1に生じている 数のマイクロパイプ欠陥d1、d2、d3の開口部 覆って形成されている領域において、ケイ 成分を含む熱硬化樹脂2から炭化ケイ素が生 じ、かつ、各マイクロパイプ欠陥d1、d2、d3の 内部空間は炭化ケイ素が昇華、再結晶する雰 囲気及び温度となる。このため、ケイ素成分 を含む熱硬化樹脂2から生じた炭化ケイ素は 各マイクロパイプ欠陥d1、d2、d3の開口部で 華するとともに、そのマイクロパイプ欠陥d1 、d2、d3の内部空間で再結晶することから、 れらのマイクロパイプ欠陥d1、d2、d3を閉塞 せることができる。

 (比較評価)
 次に、本発明の効果を更に明確にするため 、以下の実施例に係るケイ素成分を含む熱 化性材料を用いて行った比較評価について 明する。具体的には、評価方法、評価結果 ついて説明する。なお、本発明はこれらの によって何ら限定されるものではない。

 (評価方法)
 ケイ素の含有率を変更させた8種類の熱硬化 性材料を準備した。各熱硬化性材料を種結晶 の裏面に塗布形成し、種結晶と、容器の蓋体 とを接着させた。接着後、炭化ケイ素単結晶 を成長させた。炭化ケイ素単結晶成長前後に おいて、種結晶に生じているマイクロパイプ 欠陥の数を測定し、閉塞した欠陥の割合を欠 陥閉塞率として算出した。また、炭化ケイ素 単結晶成長前後において、種結晶に生じてい るマイクロパイプ欠陥の様子を観察した。

 (評価結果)
 測定結果を表1、及び図5に示す。図5は、本 明の実施例に係る熱硬化性材料におけるケ 素の含有率に対する欠陥閉塞率を示す図で る。実施例の代表的な点を図中に記載して る。

 表1に示すように、ケイ素の含有率に応じ て、欠陥閉塞率が高まることが確認された。 また、炭化ケイ素単結晶成長後において残っ たマイクロパイプ欠陥についても、マイクロ パイプ欠陥の径が細くなるなど、マイクロパ イプ欠陥の内部が閉塞させられる様子が観察 された。したがって、欠陥の少ない良質な炭 化ケイ素単結晶を、製造することができるこ とが判った。

 なお、表1に示すように、ケイ素の含有率 の増加に応じて、欠陥閉塞率が高まるものの 、炭化ケイ素単結晶の成長条件によっては、 別の欠陥を生じる可能性があるため、注意が 必要であることが判った。

 (作用・効果)
 以上のことから、本発明の炭化ケイ素単結 の製造方法によれば、種結晶の裏面に、ケ 素成分を含む熱硬化性材料を塗布形成する とにより、その後の熱処理でマイクロパイ 欠陥を閉塞させることができる。そして、 の種結晶の裏面へのケイ素成分を含む熱硬 性材料の塗布形成は、種結晶を蓋体に接着 定するための熱硬化性材料の塗布形成処理 同様であるため、別途の装置や特別な工程( 例えば、エピタキシャル工程の追加等)が不 である。したがって、欠陥の少ない良質な 化ケイ素単結晶を、生産性よく製造するこ ができる。

 また、従来技術においては、炭化ケイ素 結晶の成長条件として、温度や圧力などを 更することにより、マイクロパイプ欠陥を 塞させることができることが知られている しかしながら、炭化ケイ素単結晶の品質や 成長速度等に大きく影響を及ぼすため、条 の評価には多大な時間を有する。本発明に れば、このような評価が不要であり、既存 成長条件を用いて、欠陥の少ない良質な炭 ケイ素単結晶を提供できる。

 本発明の炭化ケイ素単結晶の製造方法に いて用いるケイ素成分を含む熱硬化樹脂2は 、熱硬化樹脂にケイ素を化学的に含む樹脂で あり、ケイ素基や有機ケイ素基などによりSi 子を含む熱硬化樹脂である。よって、炭化 イ素超微粒子を熱硬化樹脂中に物理的に含 ような樹脂ではない。熱硬化樹脂2は、ケイ 素を化学的に含む樹脂であるため、熱硬化樹 脂におけるケイ素の分布の均一性が優れ、効 果的にマイクロパイプ欠陥を閉塞させること ができる。なお、炭化ケイ素超微粒子を熱硬 化樹脂中に物理的に含む場合、炭化ケイ素超 微粒子の粒径や、形状は、それぞれ異なり、 所定の幅の分布を有する。また、炭化ケイ素 超微粒子の分散密度が低くなるなど、部分的 な偏りが生じる可能性がある。このため、マ イクロパイプ欠陥の閉塞の度合いにばらつき が生じることが懸念される。

このケイ素成分を含む熱硬化樹脂2のベー となる熱硬化樹脂は、高温加熱により炭化 となり得る熱硬化樹脂であれば、特に限定 れることはないが、例えば、フェノール樹 や半導体装置の製造過程で用いられるレジ トとして用いられる樹脂などがある。

 ケイ素成分を含む熱硬化樹脂2は、種結晶 1の裏面上に形成させる。形成方法は、特に 定されないが、例えば、半導体製造工程で 般的に用いられる方法と同様の、スピンコ ト等により塗布形成させることができる。 ピンコートは、種結晶1の全面にわたって塗 膜を均一塗布形成させることが容易なので ましい。ケイ素成分を含む熱硬化樹脂2の、 種結晶1の裏面上における厚さは、種結晶1を 体11に接着固定したときに種結晶1が脱落す ことのない保持力を生じさせるのに十分な さとすることができるが、あまり厚いと種 晶1に反りやクラックを生じさせてしまうお それがある。具体的には、数μm~十数μm程度 することができる。

 図3及び図4に示した例では、ケイ素成分 含む熱硬化樹脂2が塗布形成された種結晶1を 、蓋体11に固定する手段に、接着剤としての 硬化性樹脂3を用いている。この固定手段が 熱硬化性樹脂3であることは、ケイ素成分を む熱硬化樹脂2の塗布形成と同じ装置及び工 により接着剤層を形成させることができる で、生産性高く炭化ケイ素単結晶を製造す ことができる。この熱硬化性樹脂3には、従 来公知の材料を用いることができ、例えばフ ェノール樹脂やレジスト用樹脂がある。

 上記固定手段は、接着剤としての熱硬化 材料を構成する熱硬化性樹脂に限定されず 機械的な保持装置によって種結晶1を蓋体11 固定するものであってもよい。要するに本 明の方法では、マイクロパイプ欠陥を有す 種結晶の当該マイクロパイプ欠陥の開口部 傍に、ケイ素成分を含む熱硬化樹脂2が塗布 形成されていれば、本発明で所期した効果が 得られる。

 もっとも、材料の適切な選択により、ケ 素成分を含む熱硬化性樹脂2が、種結晶と容 器(蓋体)との接着剤を兼ねるものであること 、接着剤としての熱硬化性樹脂3を塗布生成 させる工程を省略することが可能となるので 、いっそう生産性を高めることができるため に、より好ましい。

 ケイ素成分を含む熱硬化性樹脂2から炭化 ケイ素を生じさせるための熱処理は、炭化ケ イ素製造装置の以外の加熱装置により行って もよいが、炭化ケイ素製造装置により、結晶 成長させるための加熱の前段階に熱処理する ことが、別途の装置や処理を付加することな く有利に閉塞させ、よって欠陥の少ない良質 な単結晶を生産性よく製造するという本発明 の趣旨に合致するので好ましい。熱処理条件 は、接着剤としての熱硬化性樹脂3に適用さ る熱処理条件と同様とすることができる。

 炭化ケイ素単結晶の製造装置で種結晶1か ら結晶成長させるときの、昇華用原料4は、 化ケイ素であればよく、原料の結晶の多型 使用量、純度、原料の製造方法等について 特に制限されず、製造する炭化ケイ素単結 5の使用目的等に応じて適宜選択することが きる。

 上記昇華用原料4の結晶の多型には、例え ば、4H,6H,15R,3Cなどが挙げられ、これらの中で も6Hなどが好適に挙げられる。これらは、1種 単独で使用されるのが好ましいが、2種以上 用されてもよい。

 昇華用原料4の使用量は、製造する炭化ケ イ素単結晶5の大きさ、坩堝の大きさ等に応 て適宜選択することができる。

 昇華用原料4の純度は、製造する炭化ケイ 素単結晶中5への多結晶や多型の混入を可能 限り防止する観点からは、純度の高いこと 好ましく、具体的には、不純物元素の各含 量が0.5ppm以下であるのが好ましい。

 昇華用原料4は、粉体であってもよく、ま た、その粉体を焼結した固形体であってもよ い。また、炭化ケイ素粉末は、大きさが不均 一であるため、解粉、分級等を行うことによ り所望の粒度にすることができる。炭化ケイ 素粉末の平均粒径としては、粉体を昇華用原 料に用いる場合、10~700μmが好ましく、100~400μ mがより好ましい。平均粒径が10μm未満である と、炭化ケイ素単結晶を成長させるための炭 化ケイ素の昇華温度、即ち1800℃~2700℃で速や かに焼結を起こしてしまうため、昇華表面積 が小さくなり、炭化ケイ素単結晶の成長が遅 くなることがあり、また、炭化ケイ素粉末を 坩堝へ収容させる際や、成長速度調整のため に再結晶雰囲気の圧力を変化させる際に、炭 化ケイ素粉末が飛散し易くなる。一方、平均 粒径が500μmを超えると、炭化ケイ素粉末自身 の比表面積が小さくなるため、やはり炭化ケ イ素単結晶の成長が遅くなることがある。

 炭化ケイ素単結晶の製造装置のるつぼ10 における昇華用原料4の加熱温度、種結晶1の 加熱温度、るつぼ10内の雰囲気及び圧力につ ては特に限定されない。炭化ケイ素単結晶 製造するために通常用いられる製造条件を 用することが可能である。

 このように、本発明は、ここでは記載し いない様々な実施の形態などを含むことは 論である。したがって、本発明の技術的範 は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲 係る発明特定事項によってのみ定められる のである。

 なお、日本国特許出願第2008-074358号(2008年 3月21日出願)及び日本国特許出願第2009-063529(20 09年3月16日出願)の全内容が、参照により、本 願明細書に組み込まれている。

 以上のように、本発明に係る炭化ケイ素 結晶の製造方法は、種結晶に生じているマ クロパイプ欠陥などの中空欠陥を、別途の 置や処理を付加することなく有利に閉塞さ 、よって欠陥の少ない良質な単結晶を生産 よく製造することができるため、炭化ケイ 単結晶の製造方法において有用である。