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Patent Searching and Data


Title:
SOLAR CELL AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116580
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a solar cell comprising a photoelectric conversion part for producing a photoproduction carrier upon reception of light, a first transparent conductive film formed on a first major surface of the photoelectric conversion part, and a second transparent conductive film formed on a second major surface which is on the reverse side of the first major surface. The first major surface is composed of an n-type semiconductor layer, while the second major surface is composed of a p-type semiconductor layer. The hydrogen atom content in the n-type semiconductor layer side of the first transparent conductive film is lower than the hydrogen atom content of the second transparent conductive film.

Inventors:
FUJISHIMA DAISUKE
Application Number:
PCT/JP2009/055312
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SANYO ELECTRIC CO (JP)
FUJISHIMA DAISUKE
International Classes:
H01L31/0224; H01L31/075
Domestic Patent References:
WO2008059857A12008-05-22
WO2008146693A12008-12-04
Foreign References:
JP2007288043A2007-11-01
JP2006128630A2006-05-18
JPH0254755A1990-02-23
Other References:
See also references of EP 2261995A4
Attorney, Agent or Firm:
TERAYAMA, Keishin et al. (JP)
Keishin Terayama (JP)
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Claims:
 受光により光生成キャリアを生成する光電変換部と、
 前記光電変換部の第1主面上に形成される第1透明導電膜と、
 前記第1主面の反対側に設けられる第2主面上に形成される第2透明導電膜と
を備え、
 前記第1主面は、n型半導体層によって形成され、
 前記第2主面は、p型半導体層によって形成されており、
 前記第1透明導電膜の前記n型半導体層側における水素原子含有率は、前記第2透明導電膜の水素原子含有率よりも低い
ことを特徴とする太陽電池。
 前記第1透明導電膜の前記n型半導体層の反対側における水素原子含有率は、前記第1透明導電膜の前記n型半導体層側における水素原子含有率よりも高い
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
 前記第1透明導電膜の前記n型半導体層側と、前記第1透明導電膜のうち前記n型半導体層の反対側とは、それぞれ異なる材料によって構成される
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池。
 前記光電変換部は単結晶シリコンを主体とし、
 前記n型半導体層及び前記p型半導体層のそれぞれは、非晶質シリコン系半導体を主体とする
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
 受光により光生成キャリアを生成する光電変換部を備える太陽電池の製造方法であって、
 水素を含まない雰囲気中において、前記光電変換部の第1主面上に第1透明導電膜を形成する工程Aと、
 水素を含む雰囲気中において、前記第1主面の反対側に設けられる第2主面上に第2透明導電膜を形成する工程Bと
を備え、
 前記第1主面は、n型半導体層によって形成され、
 前記第2主面は、p型半導体層によって形成されており、
 前記工程Bでは、
 水素原子を供給しながら前記第2透明導電膜を形成する
ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
 前記工程Aを行った後に、前記工程Bを行うことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池の製造方法。
Description:
太陽電池及びその製造方法

 本発明は、光電変換部上に形成される透 導電膜を備える太陽電池及びその製造方法 関する。

 太陽電池は、クリーンで無尽蔵に供給さ る太陽光を直接電気に変換できるため、新 いエネルギー源として期待されている。

 太陽電池は、n型半導体層とp型半導体層 を有し、受光により光生成キャリアを生成 る光電変換部を備える。キャリアは、n型半 体層上及びp型半導体層上に形成される電極 を介して、光電変換部から取出される。電極 としては、透明導電膜と金属層との積層構造 が用いられる場合がある。この場合、透明導 電膜の電気抵抗率は低いことが望ましい。

 ここで、水素を含む雰囲気中で透明導電 を形成する手法が提案されている(特開平2-5 4755号公報参照)。この手法によれば、透明導 膜中に導入される水素原子によって、透明 電膜を構成する原子のダングリングボンド 終端されるため、透明導電膜の電気抵抗率 低くすることができる。

 しかしながら、上記手法を用いて光電変 部上に透明導電膜を形成すると、光電変換 の表面特性が低下してしまうおそれがあっ 。具体的には、透明導電膜を形成する際に 元性を有する水素ラジカルによって、n型半 導体層及びp型半導体層の表面が劣化される それがあった。

 本発明は、上述の問題に鑑みてなされた のであり、光電変換部の表面特性の低下を 制できる太陽電池及びその製造方法を提供 ることを目的とする。

 本発明の一の特徴に係る太陽電池は、受 により光生成キャリアを生成する光電変換 と、前記光電変換部の第1主面上に形成され る第1透明導電膜と、前記第1主面の反対側に けられる第2主面上に形成される第2透明導 膜とを備え、前記第1主面は、n型半導体層に よって形成され、前記第2主面は、p型半導体 によって形成されており、前記第1透明導電 膜の前記n型半導体層側における水素原子含 率は、前記第2透明導電膜の水素原子含有率 りも低いことを要旨とする。

 本発明の一の特徴に係る太陽電池によれ 、第1主面上に形成される第1透明導電膜のn 半導体層側における水素原子含有率が、第2 主面上に形成される第2透明導電膜の水素原 含有率よりも低い。そのため、光電変換部 第1主面を形成するn型半導体層の表面に対す る水素ラジカルの影響を低減することができ る。従って、光電変換部の表面特性の劣化を 抑制することができる。

 本発明の一の特徴において、前記第1透明 導電膜の前記n型半導体層の反対側における 素原子含有率は、前記第1透明導電膜の前記n 型半導体層側における水素原子含有率よりも 高くてもよい。

 本発明の一の特徴において、前記第1透明 導電膜の前記n型半導体層側と、前記第1透明 電膜のうち前記n型半導体層の反対側とは、 それぞれ異なる材料によって構成されていて もよい。

 本発明の一の特徴において、前記光電変 部は単結晶シリコンを主体とし、前記n型半 導体層及び前記p型半導体層のそれぞれは、 晶質シリコン系半導体を主体としていても い。

 本発明の一の特徴に係る太陽電池の製造 法は、受光により光生成キャリアを生成す 光電変換部を備える太陽電池の製造方法で って、水素を含まない雰囲気中において、 記光電変換部の第1主面上に第1透明導電膜 形成する工程Aと、水素を含む雰囲気中にお て、前記第1主面の反対側に設けられる第2 面上に第2透明導電膜を形成する工程Bとを備 え、前記第1主面は、n型半導体層によって形 され、前記第2主面は、p型半導体層によっ 形成されており、前記工程Bでは、水素原子 供給しながら前記第2透明導電膜を形成する ことを要旨とする。

 本発明の一の特徴において、前記工程Aを 行った後に、前記工程Bを行ってもよい。

図1は、本発明の第1実施形態に係る太 電池10の第2主面側の平面図である。 図2は、本発明の第1実施形態に係る太 電池10の断面図である。 図3は、本発明の第2実施形態に係る太 電池10の断面図である。 図4は、その他の実施形態に係る太陽電 池20の断面図である。 図5は、n型非晶質シリコン層上に形成 れたITO膜の厚さと曲線因子F.F.との関係を示 図である。

 次に、図面を用いて、本発明の実施形態 ついて説明する。以下の図面の記載におい 、同一又は類似の部分には、同一又は類似 符号を付している。ただし、図面は模式的 ものであり、各寸法の比率等は現実のもの は異なることに留意すべきである。従って 具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判 すべきものである。又、図面相互間におい も互いの寸法の関係や比率が異なる部分が まれていることは勿論である。

 [第1実施形態]
 〈太陽電池の概略構成〉
 以下において、本発明の第1実施形態に係る 太陽電池10の概略構成について、図1及び図2 参照しながら説明する。図1は、太陽電池10 第2主面S2側の平面図である。また、図2は、 1のA-A断面図である。

 太陽電池10は、図1及び図2に示すように、 太陽電池基板1と、細線電極2と、接続用電極3 とを備える。

 太陽電池基板1は、図2に示すように、受 により光生成キャリアを生成する光電変換 11と、第1透明導電膜12と、第2透明導電膜13と を備える。また、太陽電池基板1は、第1主面S 1(図2の下面)と、第1主面S1の反対側に設けら た第2主面S2(図2の上面)とを有する。太陽電 基板1の構成については後述する。

 細線電極2は、光電変換部11から光生成キ リアを収集する収集電極である。細線電極2 は、図1に示すように、太陽電池基板1の第2主 面S2上において、太陽電池基板1の一辺に略平 行な第1方向に沿って形成される。複数本の 線電極2は、第1方向に略直交する第2方向に いて、略等間隔で並べられる。太陽電池基 1の第2主面S2上と同様にして、太陽電池基板1 の第1主面S1上においても、細線電極2が形成 れる(不図示)。太陽電池基板1の第2主面S2上 形成された細線電極2は、後述する第2透明導 電膜13を介して、光電変換部11からキャリア 収集する。また、太陽電池基板1の第1主面S1 に形成された細線電極2は、後述する第1透 導電膜12を介して、光電変換部11からキャリ を収集する。

 細線電極2は、例えば、樹脂材料をバイン ダーとし、銀粒子等の導電性粒子をフィラー とした樹脂型導電性ペーストや、銀粉、ガラ スフリット、有機質ビヒクル、有機溶媒等を 含む焼結型導電性ペースト(いわゆるセラミ クペースト)を、印刷法で印刷することによ 形成することができる。また、細線電極2は 、蒸着法により金属薄膜として形成されても よい。細線電極2の本数は、光電変換部11の大 きさなどを考慮して、適当な寸法及び本数に 設定することができる。

 接続用電極3は、複数の太陽電池10を電気 に直列又は並列に接続する配線材(不図示) 接続される電極である。接続用電極3は、図1 に示すように、太陽電池基板1の第2主面S2上 おいて、第2方向に沿って形成される。従っ 、接続用電極3は、複数の細線電極2と交差 、複数の細線電極2と電気的に接続される。 陽電池基板1の第2主面S2上と同様にして、太 陽電池基板1の第1主面S1上においても、接続 電極3が形成される(不図示)。接続用電極3は 細線電極2と同様に、印刷法あるいは蒸着法 などにより形成することができる。接続用電 極3の本数は、光電変換部11の大きさなどを考 慮して、適当な寸法及び本数に設定すること ができる。

 〈太陽電池基板の構成〉
 次に、本発明の第1実施形態に係る太陽電池 基板1の構成の一例について、図2を参照しな ら説明する。

 太陽電池基板1は、図2に示すように、光 変換部11と、第1透明導電膜12と、第2透明導 膜13とを備える。

 光電変換部11は、第1主面S1(図2の下面)と 第1主面S1の反対側に設けられた第2主面S2(図2 の上面)とを有する。光電変換部11は、光電変 換部11の第1主面S1あるいは第2主面S2において 光することにより光生成キャリアを生成す 。光生成キャリアとは、太陽光が光電変換 11に吸収されることにより生成される一対 正孔及び電子をいう。

 光電変換部11は、図2に示すように、n型基 板11aと、i型半導体層11bと、p型半導体層11cと i型半導体層11dと、n型半導体層11eとを有す 。

 n型基板11aは、光電変換部11の主体である n型基板11aとしては、例えばn型単結晶シリ ン基板を用いることができる。

 n型基板11aの第2主面S2側には、i型半導体 11bを介して、p型半導体層11cが形成される。 方、n型基板11aの第1主面S1側には、i型半導 層11dを介して、n型半導体層11eが形成される 即ち、光電変換部11の第2主面S2はp型半導体 11cによって形成され、光電変換部11の第1主 S1はn型半導体層11eによって形成される。

 i型半導体層11b、p型半導体層11c、i型半導 層11d、n型半導体層11eとしては、それぞれ、 i型非晶質半導体層、p型非晶質半導体層、i型 非晶質半導体層、n型非晶質半導体層などを いることができる。この場合、i型非晶質半 体層により構成されるi型半導体層11b及びi 半導体層11dの厚みは、実質的に発電に寄与 ることのない厚みとすることが好ましい。 えば、i型半導体層11b及びi型半導体層11dの厚 みは、数Å~250Åの範囲内とすることが好ま い。尚、非晶質半導体としては、非晶質シ コン、非晶質シリコンカーバイド、非晶質 リコンゲルマニウム、微結晶シリコンなど シリコン系半導体を用いることができる。

 尚、光電変換部11の構成は、上述した構 に限るものではない。例えば、光電変換部11 は、i型半導体層11b及びi型半導体層11dを備え いなくてもよく、他の構成を有していても い。

 第1透明導電膜12は、図2に示すように、光電 変換部11の第1主面S1を形成するn型半導体層11e 上に形成される。第1透明導電膜12は、透光性 及び導電性を有する。第1透明導電膜12として は、酸化インジウム(In 2 O 3 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO 2 )、又は酸化チタン(TiO 2 )などの金属酸化物を用いることができる。 れらの金属酸化物には、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、タ ングステン(W)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、 リウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(M o)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)などのド パントがドープされていてもよい。ドーパ トの濃度は、0~20wt%とすることができる。

 第2透明導電膜13は、図2に示すように、光電 変換部11の第2主面S2を形成するp型半導体層11c 上に形成される。第2透明導電膜13は、透光性 及び導電性を有する。第2透明導電膜13として は、第1透明導電膜12と同様に、酸化インジウ ム(In 2 O 3 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO 2 )、又は酸化チタン(TiO 2 )などの金属酸化物を用いることができる。 れらの金属酸化物に、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、タン グステン(W)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、セ ウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo) アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)などのドー ントがドープされていてもよい。ドーパン の濃度は、0~20wt%とすることができる。尚、 2透明導電膜13を構成する材料は、第1透明導 電膜12を構成する材料と同じであってもよく 異なっていてもよい。

 ここで、本実施形態では、第1透明導電膜 12の水素原子含有率は、第2透明導電膜13の水 原子含有率よりも低い。従って、例えば、 1透明導電膜12としては水素を含まない雰囲 中において形成された金属酸化物を用いる ともに、第2透明導電膜13としては水素原子 供給する雰囲気(水素を含む雰囲気)中にお て形成された金属酸化物を用いることがで る。

 〈太陽電池の製造方法〉
 次に、本発明の第1実施形態に係る太陽電池 10の製造方法について説明する。まず、n型基 板11aをエッチング加工することにより、第1 面S1側及び第2主面S2側に微細な凹凸を形成す る。

 次に、CVD法などを用いて、n型基板11aの第 2主面S2側に、i型半導体層11b、p型半導体層11c 順次積層する。同様に、n型基板11aの第1主 S1側に、i型半導体層11d、n型半導体層11eを順 積層する。以上により、光電変換部11が形 される。

 次に、スパッタ法などを用いて、Ar,O 2 雰囲気などの水素を含まない雰囲気中におい て、n型半導体層11e上に第1透明導電膜12を形 する。尚、水素を含まない雰囲気とは、積 的には水素原子を供給しない雰囲気を示し おり、水素を含まない雰囲気中で形成され 透明導電膜における水素原子含有率は、1.0× 10 20  ~ 5.2×10 20 (atoms/cc)程度となる。

 次に、スパッタ法などを用いて、水素を含 雰囲気中において、p型半導体層11c上に第2 明導電膜13を形成する。具体的には、Ar,O 2 ,H 2 O雰囲気、あるいはAr,O 2 ,H 2 雰囲気などの水素原子供給下において、第2 明導電膜13を形成する。これにより、第2透 導電膜13の水素原子含有率が、第1透明導電 12の水素原子含有率よりも高くなる。以上に より、太陽電池基板1が形成される。尚、第2 明導電膜13を形成する行程は、第1透明導電 12を形成する行程が行われた後に行われる とが好ましい。

 次に、スクリーン印刷法、オフセット印 法等の印刷法を用いて、エポキシ系熱硬化 の銀ペーストを、太陽電池基板1の第2主面S2 上に所定のパターンで配置する。同様に、エ ポキシ系熱硬化型の銀ペーストを、太陽電池 基板1の第1主面S1上に所定のパターンで配置 る。銀ペーストは、所定条件で加熱して溶 を揮発させた後、さらに加熱して本乾燥さ る。ここで、所定のパターンとは、図1に示 たように、第1方向に沿って延びる細線電極 2と、第2方向に沿って延びる接続用電極3とに 対応する形状をいう。以上により、太陽電池 10が作製される。

 〈作用・効果〉
 本発明の第1実施形態に係る太陽電池10では 水素を含まない雰囲気中において、光電変 部11の第1主面S1を形成するn型半導体層11e上 第1透明導電膜12を形成し、水素を含む雰囲 中において、光電変換部11の第2主面S2を形 するp型半導体層11c上に第2透明導電膜13を形 する。これにより、光電変換部11の第1主面S 1上に形成される第1透明導電膜12の水素原子 有率は、光電変換部11の第2主面S2上に形成さ れる第2透明導電膜13の水素原子含有率よりも 低くなる。

 ここで、本出願人は、光電変換部11の第2 面S2を形成するp型半導体層11c上、あるいは 電変換部11の第1主面S1を形成するn型半導体 11e上に、水素を含む雰囲気中で透明導電膜 形成する場合において、水素ラジカルがp型 半導体層11cあるいはn型半導体層11eの表面に える影響ついて検討した。その結果、特にn 半導体層11eの表面が水素ラジカルによって 化されやすいという知見を得た。

 従って、水素を含む雰囲気中において表 が劣化されやすいn型半導体層11e上には、第 1透明導電膜12を水素を含まない雰囲気中で形 成することによって、n型半導体層11eの表面 水素ラジカルにより劣化されることを抑制 ることができる。一方、水素を含む雰囲気 において水素ラジカルにより与えられる影 がn型半導体層11eよりも小さいp型半導体層11c 上には、水素原子を積極的に導入することに より第2透明導電膜13を形成することによって 、第2透明導電膜13の透光性を向上するととも に電気抵抗率を低減することができる。以上 より、本発明の第1実施形態に係る太陽電池10 では、光電変換部11の表面特性の低下を抑制 ることができる。

 また、n型半導体層11e上に第1透明導電膜12 を形成した後に、p型半導体層11c上に第2透明 電膜13を形成することにより、n型半導体層1 1eの表面が第1透明導電膜12によって保護され ため、水素を含む雰囲気中で第2透明導電膜 13を形成する際に、n型半導体層11eの表面が水 素ラジカルから受ける影響をさらに低減する ことができる。

 [第2実施形態]
 以下において、本発明の第2実施形態につい て説明する。尚、以下においては、上述した 第1実施形態と第2実施形態との差異について として説明する。具体的には、上述した第1 実施形態では、第1透明導電膜12のn型半導体 11e側における水素原子含有率と、第1透明導 膜12のn型半導体層11eの反対側における水素 子含有率とは、略同等である。これに対し 第2実施形態では、第1透明導電膜12のn型半 体層11e側における水素原子含有率と、第1透 導電膜12のn型半導体層11eの反対側における 素原子含有率とが相違する。尚、本発明の 2実施形態に係る太陽電池10の概略構成は、 1実施形態に係る太陽電池10の概略構成とほ 同様であるため、ここでは説明を省略する

 〈太陽電池基板の構成〉
 本発明の第2実施形態に係る太陽電池基板1 構成の一例について、図3を参照しながら説 する。

 太陽電池基板1は、図3に示すように、光 変換部11と、第1透明導電膜12と、第2透明導 膜13とを備える。光電変換部11の構成、及び 2透明導電膜13の構成については、上述した 1実施形態とほぼ同様であるため、ここでは 説明を省略する。

 第1透明導電膜12は、図3に示すように、第3 明導電膜12aと、第4透明導電膜12bとを有する 第3透明導電膜12aは、光電変換部11の第1主面 S1を形成するn型半導体層11e上に形成される。 第4透明導電膜12bは、第3透明導電膜12a上に形 される。第3透明導電膜12a及び第4透明導電 12bは、透光性及び導電性を有する。第3透明 電膜12a及び第4透明導電膜12bとしては、酸化 インジウム(In 2 O 3 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO 2 )、又は酸化チタン(TiO 2 )などの金属酸化物を用いることができる。 れらの金属酸化物に、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、タン グステン(W)、アンチモン(Sb)、チタン(Ti)、セ ウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo) アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)などのドー ントがドープされていてもよい。ドーパン の濃度は、0~20wt%とすることができる。

 ここで、本実施形態では、第4透明導電膜 12bの水素原子含有率は、第3透明導電膜12aの 素原子含有率よりも高い。即ち、第1透明導 膜12のn型半導体層11eの反対側における水素 子含有率は、第1透明導電膜12のn型半導体層 11e側における水素原子含有率よりも高い。ま た、第3透明導電膜12aの水素原子含有率は、 2透明導電膜13の水素原子含有率よりも低い 即ち、第1透明導電膜12のn型半導体層11e側に ける水素原子含有率は、第2透明導電膜13の 素原子含有率よりも低い。

 従って、例えば、第3透明導電膜12aとして は水素を含まない雰囲気中において形成され た金属酸化物を用いるとともに、第4透明導 膜12bとしては、第2透明導電膜13と同様に水 原子を供給する雰囲気(水素を含む雰囲気)中 において形成された金属酸化物を用いること ができる。第2透明導電膜13を構成する材料と 、第3透明導電膜12aを構成する材料と、第4透 導電膜12bを構成する材料とは、同じであっ もよく、異なっていてもよい。

 〈太陽電池の製造方法〉
 次に、本発明の第2実施形態に係る太陽電池 10の製造方法について説明する。

 まず、上述した第1実施形態と同様に、光電 変換部11を形成する。次に、スパッタ法など 用いて、Ar,O 2 雰囲気などの水素を含まない雰囲気中におい て、光電変換部11の第1主面S1を形成するn型半 導体層11e上に、第3透明導電膜12aを形成する

 次に、スパッタ法などを用いて、水素を含 雰囲気中において、p型半導体層11c上に第2 明導電膜13を形成する。具体的には、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気、あるいはAr,O 2 ,水素雰囲気などの水素原子供給下において 第2透明導電膜13を形成する。これにより、 2透明導電膜13の水素原子含有率を、第3透明 電膜12aにおける水素原子含有率よりも高く る。

 次に、スパッタ法などを用いて、水素を含 雰囲気中において、第3透明導電膜12a上に第 4透明導電膜12bを形成する。具体的には、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気、あるいはAr,O 2 ,水素雰囲気などの水素原子供給下において 第4透明導電膜12bを形成する。これにより、 4透明導電膜12bにおける水素原子含有率を、 第3透明導電膜12aにおける水素原子含有率よ も高くする。以上により、第1透明導電膜12 形成される。以上により、太陽電池基板1が 成される。

 次に、上述した第1実施形態と同様に、細 線電極2及び接続用電極3を形成する。以上に り、太陽電池10が作製される。

 〈作用・効果〉
 本発明の第2実施形態に係る太陽電池10では n型半導体層11e上に形成される第1透明導電 12が、第3透明導電膜12aと、第4透明導電膜12b を有する。第3透明導電膜12aは、水素を含ま ない雰囲気中においてn型半導体層11e上に形 され、第4透明導電膜12bは、水素を含む雰囲 中において第3透明導電膜12a上に形成される 。

 これによれば、n型半導体層11eの表面を劣 化させることなく、第1透明導電膜12のn型半 体層11e側における水素原子含有率と、第1透 導電膜12のn型半導体層11eの反対側における 素原子含有率とが略同等である場合と比較 て、第1透明導電膜12全体としての透光性を 上するとともに電気抵抗率を低減すること できる。

 〈その他の実施形態〉
 本発明は上記の実施形態によって記載した 、この開示の一部をなす論述及び図面はこ 発明を限定するものであると理解すべきで ない。この開示から当業者には様々な代替 施形態、実施例及び運用技術が明らかとな う。

 例えば、上述した第1実施形態及び第2実 形態では、結晶系の太陽電池に本発明を適 した場合について説明したが、薄膜系の太 電池に本発明を適用してもよい。図4は、薄 系の太陽電池20の断面図である。太陽電池20 は、図4に示すように、透光性を有する基板21 と、第5透明導電膜22と、受光により光生成キ ャリアを生成する光電変換部23と、第6透明導 電膜24と、裏面電極層25とを有する。光電変 部23は、p型半導体層23aと、i型半導体層23bと n型半導体層23cとが基板21側から順に積層さ た構成を有する。このような構成を有する 陽電池20において、上述した第1実施形態及 第2実施形態と同様に、水素を含む雰囲気中 において基板21上に第5透明導電膜22を形成し 水素を含まない雰囲気中においてn型半導体 層23c上に第6透明導電膜24を形成する。これに より、n型半導体層23cの表面(上記実施形態の 第2表面S2」に対応)の劣化を抑制することが できる。また、第5透明導電膜22の透光性を向 上し、電気抵抗率を低減することができる。 さらに、第5透明導電膜22形成後にp型半導体 23aが形成されるので、p型半導体層23aの第5透 明導電膜22側の表面(上記実施形態の「第1表 S1」に対応)の劣化をも抑制することができ 。尚、太陽電池20の構成は、図4に示した構 に限るものではなく、第5透明導電膜22、光 変換部23、第6透明導電膜24、裏面電極層25、 板21の順に積層された構成であってもよい また、光電変換部23の構成は、図4に示した 成に限るものではなく、n型半導体層23cと、i 型半導体層23bと、p型半導体層23aとが基板21側 から順に積層された構成であってもよく、p 半導体層23aとn型半導体層23cとが基板21側か 順に積層された構成であってもよい。p型半 体層23a、i型半導体層23b、及びn型半導体層23 cとしては、それぞれ、p型、i型、あるいはn の、非晶質Si、非晶質SiC、非晶質SiGe、微結 Siなどの半導体材料を用いることができる。

 また、上述した第1実施形態及び第2実施 態では、太陽電池基板1の第1主面S1上には、 陽電池基板1の第2主面S2上に形成された細線 電極2及び接続用電極3と同様の形状を有する 線電極2及び接続用電極3を形成する場合に いて説明したが、これに限るものではない 例えば、細線電極2は、太陽電池基板1の第1 面S1あるいは第2主面S2のいずれか一方の略全 面を覆うように形成されていてもよい。

 また、上述した第1実施形態及び第2実施 態では、光電変換部11が、n型基板11a、i型半 体層11b、p型半導体層11c、i型半導体層11d、 びn型半導体層11eを含む場合について説明し が、これに限るものではない。例えば、光 変換部11は、p型半導体層11c及びn型半導体層 11eの2層のみを有していてもよい。

 また、上述した第2実施形態では、水素原 子含有率がそれぞれ異なる第3透明導電膜12a び第4透明導電膜12bを第1透明導電膜12として 成することにより、第1透明導電膜12のn型半 導体層11eの反対側における水素原子含有率を 、第1透明導電膜12のn型半導体層11e側におけ 水素原子含有率よりも高くしたが、これに るものではない。具体的には、単一の膜で る第1透明導電膜12における水素原子含有率 、n型半導体層11e側からn型半導体層11eの反対 側に向かって増大するように第1透明導電膜12 を形成してもよい。このような第1透明導電 12は、例えば、形成工程前半では第1透明導 膜12の形成条件として水素を含まない雰囲気 とし、その後段階的に水素原子の供給量を増 大し、形成工程後半では第1透明導電膜12の形 成条件を水素を含む雰囲気とすることによっ て形成することができる。

 このように、本発明はここでは記載して ない様々な実施形態等を含むことは勿論で る。従って、本発明の技術的範囲は上記の 明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特 事項によってのみ定められるものである。

 以下、本発明に係る太陽電池について、 施例を挙げて具体的に説明する。但し、本 明は、下記の実施例に示したものに限定さ るものではなく、その要旨を変更しない範 において、適宜変更して実施することがで るものである。

 [水素原子含有率評価]
 まず、水素を含まない雰囲気中において形 される透明導電膜の水素原子含有率と、水 を含む雰囲気中において形成される透明導 膜の水素原子含有率との比較を行った。具 的には、水素を含まない雰囲気中において パッタ法を用いて形成したIn 2 O 3 膜である試験膜Aと、水素を含む雰囲気中に いてスパッタ法を用いて形成したIn 2 O 3 である試験膜Bとについて、SIMSにより水素原 含有率を測定した。各試験膜における水素 子含有率の測定結果を表1に示す。

 表1に示すように、水素を含まない雰囲気中 において形成したIn 2 O 3 膜である試験膜Aにおいては、水素原子含有 が1.0×10 20 ~5.2×10 20 (atoms/cc)程度であるが、水素を含む雰囲気中 おいて形成することにより積極的に水素原 を導入したIn 2 O 3 膜である試験膜Bにおいては、水素原子含有 が1.6×10 21  ~ 2.1×10 21 (atoms/cc)となることが確認された。

 [出力特性評価]
 次に、以下のようにして実施例1乃至実施例 7、及び比較例に係る太陽電池を作製し、開 電圧Voc、短絡電流Isc、曲線因子F.F.、出力値P maxの各特性値の比較を行った。

 〈実施例1〉
 以下のようにして、実施例1に係る太陽電池 を作製した。まず、厚さ200μmのn型単結晶シ コン基板(n型基板11a)をアルカリ水溶液で異 性エッチング加工することにより、第1主面 及び第2主面側に微細な凹凸を形成した。ま た、n型基板11aの第1主面及び第2主面を洗浄し て、不純物を除去した。

 次に、プラズマCVD法などを用いて、n型単 結晶シリコン基板(n型基板11a)の第2主面側に i型非晶質シリコン層(i型半導体層11b)、p型非 晶質シリコン層(p型半導体層11c)を順次積層し た。次に、n型単結晶シリコン基板(n型基板11a )の第1主面側に、i型非晶質シリコン層(i型半 体層11d)、n型非晶質シリコン層(n型半導体層 11e)を順次積層した。i型非晶質シリコン層(i 半導体層11b)、p型非晶質シリコン層(p型半導 層11c)、i型非晶質シリコン層(i型半導体層11d )、及びn型非晶質シリコン層(n型半導体層11e) 厚さは、それぞれ5nmとした。これにより、 電変換部(光電変換部11)が形成された。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気(水素を含む雰囲気)中において 、p型非晶質シリコン層(p型半導体層11c)上にIH O膜(第2透明導電膜13)を形成した。IHO膜(第2透 導電膜13)とは、水素を含む雰囲気中におい 形成されることにより、後述するITO膜(第1 明導電膜12)よりも高い水素原子含有率を有 るIn 2 O 3 膜を示す。IHO膜(第2透明導電膜13)の厚さは1000 Åとし、形成温度は室温とした。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 雰囲気(水素を含まない雰囲気)中において、n 型非晶質シリコン層(n型半導体層11e)上にITO膜 (第1透明導電膜12)を形成した。ITO膜(第1透明 電膜12)の厚さは1000Åとし、形成温度は室温 した。即ち、本実施例1では、p型非晶質シ コン層(p型半導体層11c)上にIHO膜(第2透明導電 膜13)を形成した後に、n型非晶質シリコン層(n 型半導体層11e)上にITO膜(第1透明導電膜12)を形 成した。以上により、太陽電池基板(太陽電 基板1)が形成された。

 次に、スクリーン印刷法を用いて、Agを 成分とする導電性フィラーと熱硬化性樹脂 により構成されるペーストを、太陽電池基 (太陽電池基板1)の第2主面上及び第1主面上に 所定のパターンで配置するとともに、200℃で アニール処理を行った。これにより、細線電 極(細線電極2)及び接続用電極(接続用電極3)が 形成された。以上により、実施例1に係る太 電池が形成された。

 〈実施例2〉
 以下のようにして、実施例2に係る太陽電池 を作製した。まず、上述した実施例1と同様 して、光電変換部(光電変換部11)を形成した

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 雰囲気(水素を含まない雰囲気)中において、n 型非晶質シリコン層(n型半導体層11e)上にITO膜 (第1透明導電膜12)を形成した。ITO膜(第1透明 電膜12)の厚さは1000Åとし、形成温度は室温 した。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気(水素を含む雰囲気)中において 、p型非晶質シリコン層(p型半導体層11c)上にIH O膜(第2透明導電膜13)を形成した。IHO膜(第2透 導電膜13)の厚さは1000Åとし、形成温度は室 温とした。即ち、本実施例2では、上述した 施例1とは逆に、n型非晶質シリコン層(n型半 体層11e)上にITO膜(第1透明導電膜12)を形成し 後に、p型非晶質シリコン層(p型半導体層11c) 上にIHO膜(第2透明導電膜13)を形成した。以上 より、太陽電池基板(太陽電池基板1)が形成 れた。

 次に、上述した実施例1と同様にして、細 線電極(細線電極2)及び接続用電極(接続用電 3)を形成した。以上により、実施例2に係る 陽電池が形成された。

 〈実施例3〉
 以下のようにして、実施例3に係る太陽電池 を作製した。まず、上述した実施例1と同様 して、光電変換部(光電変換部11)を形成した

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 雰囲気(水素を含まない雰囲気)中において、n 型非晶質シリコン層(n型半導体層11e)上にITO膜 (第3透明導電膜12a)を形成した。ITO膜(第3透明 電膜12a)の厚さは500Åとし、形成温度は室温 とした。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気(水素を含む雰囲気)中において 、p型非晶質シリコン層(p型半導体層11c)上にIH O膜(第2透明導電膜13)を形成した。IHO膜(第2透 導電膜13)の厚さは1000Åとし、形成温度は室 温とした。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気(水素を含む雰囲気)中において 、ITO膜(第3透明導電膜12a)上にIHO膜(第4透明導 膜12b)を形成した。IHO膜(第4透明導電膜12b)と は、水素を含む雰囲気中において形成される ことにより、ITO膜(第3透明導電膜12a)よりも高 い水素原子含有率を有するIn 2 O 3 膜を示す。IHO膜(第4透明導電膜12b)の厚さは500 Åとし、形成温度は室温とした。

 次に、上述した実施例2と同様にして、細 線電極(細線電極2)及び接続用電極(接続用電 3)を形成した。以上により、実施例3に係る 陽電池が形成された。

 〈実施例4〉
 本実施例4においては、上述した実施例3に けるITO膜(第3透明導電膜12a)の厚さを200Åと 、IHO膜(第4透明導電膜12b)の厚さを800Åとし 。ITO膜(第3透明導電膜12a)及びIHO膜(第4透明導 電膜12b)の厚さを変更した点以外は、本実施 4に係る太陽電池の構成と、上述した実施例3 に係る太陽電池の構成とは同様である。

 〈実施例5〉
 本実施例5においては、上述した実施例3に けるITO膜(第3透明導電膜12a)の厚さを150Åと 、IHO膜(第4透明導電膜12b)の厚さを850Åとし 。ITO膜(第3透明導電膜12a)及びIHO膜(第4透明導 電膜12b)の厚さを変更した点以外は、本実施 5に係る太陽電池の構成と、上述した実施例3 に係る太陽電池の構成とは同様である。

 〈実施例6〉
 本実施例6においては、上述した実施例3に けるITO膜(第3透明導電膜12a)の厚さを100Åと 、IHO膜(第4透明導電膜12b)の厚さを900Åとし 。ITO膜(第3透明導電膜12a)及びIHO膜(第4透明導 電膜12b)の厚さを変更した点以外は、本実施 6に係る太陽電池の構成と、上述した実施例3 に係る太陽電池の構成とは同様である。

 〈実施例7〉
 本実施例7においては、上述した実施例3に けるITO膜(第3透明導電膜12a)の厚さを75Åとし 、IHO膜(第4透明導電膜12b)の厚さを925Åとした 。ITO膜(第3透明導電膜12a)及びIHO膜(第4透明導 膜12b)の厚さを変更した点以外は、本実施例 7に係る太陽電池の構成と、上述した実施例3 係る太陽電池の構成とは同様である。

〈実施例8〉
 本実施例8においては、上述した実施例2と 様にして、光電変換部(光電変換部11)のn型非 晶質シリコン層(n型半導体層11e)上にITO膜(第1 明導電膜12)を形成した。ITO膜(第1透明導電 12)の厚さは1000Åとし、形成温度は室温とし 。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気(水素を含む雰囲気)中において 、p型非晶質シリコン層(p型半導体層11c)上にIH TO膜(第2透明導電膜13)を形成した。IHTO膜(第2 明導電膜13)とは、水素を含む雰囲気中で形 されることによって、高い水素原子含有率 有するITO膜である。IHTO膜の厚さは1000Åとし 、形成温度は室温とした。以上により、太陽 電池基板(太陽電池基板1)が形成された。

 次に、上述した実施例2と同様にして、細 線電極(細線電極2)及び接続用電極(接続用電 3)を形成した。以上により、実施例8に係る 陽電池が形成された。

〈実施例9〉
 本実施例9においては、上述した実施例2と 様にして、光電変換部(光電変換部11)を形成 た。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 雰囲気(水素を含まない雰囲気)中において、n 型非晶質シリコン層(n型半導体層11e)上にIWO膜 (第1透明導電膜12)を形成した。IWO膜(第1透明 電膜12)とは、タングステン(W)がドープされ In 2 O 3 膜である。IWO膜(第1透明導電膜12)の厚さは1000 Åとし、形成温度は室温とした。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気(水素を含む雰囲気)中において 、p型非晶質シリコン層(p型半導体層11c)上にIH WO膜(第2透明導電膜13)を形成した。IHWO膜(第2 明導電膜13)とは、水素を含む雰囲気におい 形成されることにより、高い水素原子含有 を有するIWO膜を示す。IHWO膜(第2透明導電膜13 )の厚さは1000Åとし、形成温度は室温とした 以上により、太陽電池基板(太陽電池基板1) 形成された。

 次に、上述した実施例2と同様にして、細 線電極(細線電極2)及び接続用電極(接続用電 3)を形成した。以上により、実施例9に係る 陽電池が形成された。

〈実施例10〉
 本実施例10においては、上述した実施例2と 様にして、光電変換部(光電変換部11)を形成 した。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 雰囲気(水素を含まない雰囲気)中において、n 型非晶質シリコン層(n型半導体層11e)上にICO膜 (第1透明導電膜12)を形成した。ICO膜(第1透明 電膜12)とは、セリウム(Ce)がドープされたIn 2 O 3 膜である。ICO膜(第1透明導電膜12)の厚さは1000 Åとし、形成温度は室温とした。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気(水素を含む雰囲気)中において 、p型非晶質シリコン層(p型半導体層11c)上にIH CO膜(第2透明導電膜13)を形成した。IHCO膜(第2 明導電膜13)とは、水素を含む雰囲気におい 形成されることにより、高い水素原子含有 を有するICO膜を示す。IHCO膜(第2透明導電膜13 )の厚さは1000Åとし、形成温度は室温とした 以上により、太陽電池基板(太陽電池基板1) 形成された。

 次に、上述した実施例2と同様にして、細 線電極(細線電極2)及び接続用電極(接続用電 3)を形成した。以上により、実施例10に係る 陽電池が形成された。

 〈比較例〉
 以下のようにして、比較例に係る太陽電池 作製した。まず、上述した実施例1と同様に して、光電変換部(光電変換部11)を形成した

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気(水素を含む雰囲気)中において 、n型非晶質シリコン層(n型半導体層11e)上に 1IHO膜を形成した。第1IHO膜の厚さは1000Åと 、形成温度は室温とした。

 次に、スパッタ法を用いて、Ar,O 2 ,水蒸気雰囲気(水素を含む雰囲気)中において 、p型非晶質シリコン層(p型半導体層11c)上に 2IHO膜を形成した。第2IHO膜の厚さは1000Åと 、形成温度は室温とした。これにより、太 電池基板(太陽電池基板1)が形成された。

 次に、上述した実施例1と同様にして、細 線電極(細線電極2)及び接続用電極(接続用電 3)を形成した。以上により、比較例に係る太 陽電池が形成された。

 〈出力特性評価結果〉
 上述した実施例1乃至実施例10、及び比較例 係る太陽電池について、開放電圧Voc、短絡 流Isc、曲線因子F.F.、出力値Pmaxの各特性値 測定した。測定結果を表2に示す。尚、表2に おいては、実施例1乃至実施例10に係る太陽電 池の各特性値を、比較例に係る太陽電池の各 特性値を100として規格化して表している。ま た、n型非晶質シリコン層(n型半導体層11e)上 形成されたITO膜の厚さと曲線因子F.F.との関 を、図5に示す。尚、図5においては、実施 2乃至実施例7に係る太陽電池の曲線因子F.F. 、比較例に係る太陽電池の曲線因子F.F.を100 して規格化して表している。また、比較例 係る太陽電池においては、n型非晶質シリコ ン層(n型半導体層11e)上にはIHO層が形成されて おり、ITO膜は形成されていない。そのため、 図5においては、比較例に係る太陽電池のITO 厚(Å)をゼロとしている。

 表2に示すように、実施例1乃至実施例10に 係る太陽電池は、比較例に係る太陽電池と比 較して、曲線因子F.F.が向上したことにより 力値Pmaxが向上することが確認された。これ 、実施例1乃至実施例10では、光電変換部(光 電変換部11)の第1主面を形成するn型非晶質シ コン層(n型半導体層11e)上に形成される透明 電膜が、水素を含まない雰囲気中において 成されることにより、n型非晶質シリコン層 (n型半導体層11e)上に形成される透明導電膜が 水素を含む雰囲気中において形成される比較 例と比較すると、n型非晶質シリコン層(n型半 導体層11e)の表面が劣化することを抑制する とができたためである。

 また、表2に示すように、実施例2に係る 陽電池は、実施例1に係る太陽電池と比較し 、曲線因子F.F.及び出力値Pmaxがさらに向上 ることが確認された。これは、水素を含む 囲気中において、p型非晶質シリコン層(p型 導体層11c)上にIHO膜(第2透明導電膜13)を形成 る以前に、水素を含まない雰囲気中におい 、n型非晶質シリコン層(n型半導体層11e)上にI TO膜(第1透明導電膜12)を形成することにより n型非晶質シリコン層(n型半導体層11e)の表面 ITO膜(第1透明導電膜12)により保護されるた 、光電変換部(光電変換部11)が水素を含む雰 気に晒される際にn型非晶質シリコン層(n型 導体層11e)の表面が劣化し難くなるためであ る。

 また、表2に示すように、実施例8乃至実 例10に係る太陽電池では、実施例2に係る太 電池に比べて、曲線因子F.F.及び出力値Pmaxを さらに向上できることが確認された。これは 、金属ドーパントを含むことによって、金属 ドーパントを含まないIHO膜に比べて、p型非 質シリコン層(p型半導体層11c)との接触抵抗 小さくなるためである。

 また、図5に示すように、n型非晶質シリ ン層(n型半導体層11e)上に形成されるITO膜(実 例2における第1透明導電膜12,実施例3乃至実 例7における第3透明導電膜12a)の厚さが0Åか ら150Åまで増大する場合には太陽電池の曲線 因子F.F.は増大し、当該ITO膜の厚さが150Å以 となる場合には太陽電池の曲線因子F.F.はほ 一定の値を示す。従って、n型非晶質シリコ ン層(n型半導体層11e)上には、150Å以上の厚み を有するITO膜を形成することが好ましいこと が確認された。

 本発明によれば、光電変換部の表面特性 低下を抑制できる太陽電池及びその製造方 を提供することができるので、太陽光発電 野において有用である。