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Title:
NOISE SUPPRESSING DEVICE, NOISE SUPPRESSION CONTROLLER, NOISE SUPPRESSING METHOD, AND NOISE SUPPRESSING PROGRAM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/078105
Kind Code:
A1
Abstract:
A noise suppressing device cooperative with sound receiving units each outputting a sound signal depending on a received sound and suppressing noise contained in the received sounds. The noise suppressing device comprises a suppressing section for suppressing noise from the sound signal by reducing the noise components of the amount of suppression derived on the basis of the sound signals outputted from the sound receiving units, a variation deriving section for deriving the degree of variation by numerizing the variation based on the spectrum obtained by converting the sound signals into a component on the frequency axis, a judging section for judging that wind noise is produced when wind blows against the sound receivers if the degree of variation is a predetermined variation threshold or more, and an adjusting section for adjusting the amount of suppression according to the result of the judgment on presence/absence of occurrence of wind noise. The suppressing section suppresses noise by reducing the noise component from the sound signals according to the adjusted amount of suppression. A noise suppression controller, a noise suppressing method, and a noise suppressing program are also disclosed.

Inventors:
HAYAKAWA SHOJI
Application Number:
PCT/JP2007/074450
Publication Date:
June 25, 2009
Filing Date:
December 19, 2007
Export Citation:
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Assignee:
FUJITSU LTD (JP)
HAYAKAWA SHOJI
International Classes:
H04R3/00; G10L21/0208; G10L21/0232; G10L21/0264
Foreign References:
JPH05119794A1993-05-18
JP2001124621A2001-05-11
Attorney, Agent or Firm:
KOHNO, Takao (4-3 Tsuriganecho 2-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 35, JP)
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Claims:
 受音した音に基づいて夫々音信号を出力する複数の受音部と連携可能であり、該受音部が受音した音に含まれる雑音を抑圧する雑音抑圧装置において、
 前記受音部から出力された複数の音信号に基づいて導出した抑圧量の雑音成分を音信号から低減することで雑音を抑圧する抑圧部と、
 前記複数の音信号を周波数軸上の成分に変換したスペクトルに基づくばらつきを数値化したばらつき度を導出するばらつき導出部と、
 該ばらつき度が所定のばらつき閾値以上である場合に、風当たりによる風雑音が発生していると判定する判定部と、
 該判定部による風雑音の発生の有無の判定結果に応じて前記抑圧量を調整する調整部と
 を備え、
 前記抑圧部は、前記調整部により調整された抑圧量に基づいて雑音成分を音信号から低減することで雑音を抑圧する様にしてある
 ことを特徴とする雑音抑圧装置。
 更に、前記複数の受音部の感度差を是正すべく、前記複数の音信号の振幅比に基づいて算出した補正値により、前記音信号のレベルを補正する補正部を備え、
 該補正部は、前記判定部が、風雑音が発生していると判定した場合、補正値の算出又は補正を停止する様にしてある
 ことを特徴とする請求項1に記載の雑音抑圧装置。
 前記ばらつき導出部は、位相スペクトルに基づく複数の音信号の位相差の周波数間のばらつき及び振幅スペクトルに基づく複数の音信号間の振幅のばらつきの少なくとも一方を数値化したばらつき度を導出する様にしてあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の雑音抑圧装置。
 前記判定部は、更に、所定の周波数帯域における音信号の平均パワーが所定のパワー閾値以上であるか否かを判定する様にしてあり、
 前記調整部は、前記判定部が、ばらつき度がばらつき閾値以上であり、かつ平均パワーがパワー閾値以上であると判定した場合に、風雑音が発生していると判定する様にしてある
 ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の雑音抑圧装置。
 前記調整部は、風雑音が発生していると判定した場合の抑圧量の漸増、及び風雑音が発生していないと判定した場合の抑圧量の漸減の少なくとも一方による調整を行う様にしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の雑音抑圧装置。
 前記複数の受音部から出力される音信号に基づいて雑音源の方向を推定する雑音源推定部を更に備え、
 前記抑圧部は、更に、推定した雑音源の方向を加味して導出した前記抑圧量の雑音成分を低減する様にしてあり、
 前記調整部は、更に、風雑音が発生していると判定した場合に、雑音源推定部が推定した雑音源の方向を加味させない様にすることにより、抑圧量を調整する様にしてある
 ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の雑音抑圧装置。
 前記抑圧部は、風雑音が発生していると判定した場合に、更に、所定の周波数以下の低周波成分を音信号から低減することで雑音を抑圧する様にしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の雑音抑圧装置。
 受音した音に基づいて夫々音信号を出力する複数の受音部と連携可能で、該受音部が受音した音に含まれる雑音を抑圧する雑音抑圧装置において、
 前記受音部から出力された複数の音信号に基づいて導出した抑圧量の雑音成分を音信号から低減することで雑音を抑圧する抑圧部と、
 複数の音信号を周波数軸上の成分に変換したスペクトルに基づくばらつきを数値化したばらつき度を導出するばらつき導出部と、
 該ばらつき度が所定のばらつき閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
 該判定部がばらつき閾値以上であると判定した場合に、抑圧量を調整する調整部と
 を備え、
 前記抑圧部は、前記調整部により調整された抑圧量に基づいて雑音成分を音信号から低減することで雑音を抑圧する様にしてある
 ことを特徴とする雑音抑圧装置。
 受音した音に基づいて夫々音信号を出力する複数の受音部が受音した音に含まれる雑音を、前記複数の音信号に基づき導出した雑音成分を音信号から低減することで抑圧する抑圧部の雑音抑圧処理を制御する雑音抑圧制御装置において、
 複数の音信号を周波数軸上の成分に変換したスペクトルに基づくばらつきを数値化したばらつき度を導出するばらつき導出部と、
 該ばらつき導出部が導出したばらつき度が所定のばらつき閾値以上である場合に、風当たりによる風雑音が発生していると判定する判定部と、
 該判定部による風雑音の有無の判定結果に応じて、前記雑音の抑圧量を調整させる指示を前記抑圧部へ出力する抑圧制御部と
 を備えることを特徴とする雑音抑圧制御装置。
 受音した音に基づいて夫々音信号を出力する複数の受音部と連携可能なコンピュータを用いて、前記受音部が受音した音に含まれる雑音を、前記複数の音信号に基づき導出した雑音成分を音信号から低減することで抑圧する雑音抑圧方法において、
 複数の音信号を周波数軸上の成分に変換したスペクトルに基づくばらつきを数値化したばらつき度を導出するばらつき導出手順と、
 導出したばらつき度が所定のばらつき閾値以上である場合に、風当たりによる風雑音が発生していると判定する判定手順と、
 風雑音の有無の判定結果に応じて、前記雑音の抑圧量を調整する調整手順と
 をコンピュータに実行させる雑音抑圧方法。
 受音した音に基づいて夫々音信号を出力する複数の受音部と連携可能なコンピュータに、前記受音部が受音した音に含まれる雑音を、前記複数の音信号に基づき導出した雑音成分を音信号から低減することで抑圧させる雑音抑制プログラムにおいて、
 複数の音信号を周波数軸上の成分に変換したスペクトルに基づくばらつきを数値化したばらつき度を導出するばらつき導出ステップと、
 該ばらつき導出部が導出したばらつき度が所定のばらつき閾値以上であるか否かを判定する判定ステップと、
 ばらつき閾値以上であると判定した場合に、前記雑音の抑圧量を調整する調整ステップと
 をコンピュータに実行させる雑音抑圧プログラム。
Description:
雑音抑圧装置、雑音抑圧制御装 、雑音抑圧方法及び雑音抑圧プログラム

 本発明は、受音した音に基づいて音信号 出力する受音部が受音した音に含まれる雑 を抑圧する雑音抑圧装置、雑音抑圧装置を 御する雑音抑圧制御装置、雑音抑圧装置を いた雑音抑圧方法、及び雑音抑圧方法を制 するための雑音抑圧プログラムに関する。

 受音した音に基づいて音信号を出力する ンデンサマイク等のマイクロホンを用いた 音部を複数有し、各受音部から出力された 信号に基づいて様々な音処理を行うマイク レイ等の装置が開発されている。この様な 数の受音部を有する装置は、各受音部から 力された各音信号の同期を取って加算する とで目的とする音を強調する同期加算処理 各音信号の同期を取って一方から他方を減 することで雑音源に対して死角を形成する 期減算処理等の処理による雑音抑圧を行う とが可能である。

 図1は、従来の雑音抑圧装置の構成例を示 す機能ブロック図である。図1中10000は、同期 減算により雑音抑圧を行う雑音抑圧装置であ る。雑音抑圧装置10000は、受音した音に基づ て生成した音信号を出力する主受音部10001 び副受音部10002と、音信号を増幅する第1増 部11001及び第2増幅部11002と、音信号に対して A/D変換を行う第1A/D変換部12001及び第2A/D変換 12002と、音信号に対してFFT(高速フーリエ変 :Fast Fourier Transformation)処理を行う第1FFT処理 部13001及び第2FFT処理部13002と、主受音部10001 び副受音部10002の感度差を補正する補正値を 算出する補正値算出部14000と、音信号を遅延 せる遅延部15000と、音信号を補正する補正 16000と、音信号の減算処理を行う減算部17000 を備えている。なお主受音部10001及び副受 部10002は、話者が発声した音声が到来する方 向に沿って適切な間隔で配設されており、話 者は主受音部10001側から音声を発声する。

 主受音部10001にて生成されたアナログ信 である音信号は、第1増幅部11001により増幅 れ、第1A/D変換部12001によりデジタル信号に 換され、第1FFT処理部13001により周波数軸上 成分に変換される。また副受音部10002にて生 成されたアナログ信号である音信号は、第2 幅部11002により増幅され、第2A/D変換部12002に よりデジタル信号に変換され、第2FFT処理部13 002により周波数軸上の成分に変換される。

 補正値算出部14000は、周波数軸上の成分 変換された主受音部10001に係る音信号及び副 受音部10002に係る音信号に基づいて補正値を 出し、算出した補正値を補正部16000へ出力 る。また遅延部15000は、副受音部10002に係る 信号に対して遅延時間τの遅延を掛け、補 部16000へ出力する。遅延時間τは、副受音部1 0002側から到来した雑音が、副受音部10002に到 達してから主受音部10001に到達するまでの時 に基づいている。

 補正部16000は、遅延させた副受音部10002に 係る音信号に対して補正値に基づく補正を行 い、減算部17000へ出力する。補正部16000の補 により、副受音部10002に係る音信号のレベル が、主受音部10001に係る音信号のレベルに合 せられる。減算部17000は、主受音部10001に係 る音信号から、補正された副受音部10002に係 音信号を減算する。この様にして雑音抑圧 置10000は、音信号の同期減算を行い、副受 部10002側に指向性の死角を形成して雑音抑圧 を行う。

 図1に例示した様な複数の受音部を備える 雑音抑圧装置10000に、乱流である風が当った 合、各受音部に係る音信号間のレベル差が きくなる、音信号間の相関が小さくなる、 周波数領域にパワーが集中する、音信号間 位相差スペクトルが乱れる等の特徴を持つ 雑音が発生する。

 例えば図1に例示した雑音抑圧装置10000で 、風雑音により、補正値算出部14000の補正 の計算が乱れてレベルが合わなくなり、副 音部10002に係る音信号のレベルが大きめに補 正されることによる音の歪み、レベルが小さ めに補正されることによる雑音の残存等の異 常が発生する。また副受音部10002に風が当っ 場合、主受音部10001に係る音信号から副受 部10002に係る音信号を減じることにより、副 受音部10002に係る音信号に含まれる風雑音の 分が湧き出してしまうという異常が発生す 場合もある。

 そこで受音部に対する風当たりを検出し 風成分を抑圧する様々な技術が提案されて る。特許文献1には、低周波数成分と高周波 数成分とのレベル比を用いて風雑音のレベル を測定し、風雑音の場合には低周波数成分を 抑圧する技術が開示されている。

 特許文献2には、第1のマイクロホンユニ トからの出力信号及び第2のマイクロホンユ ットからの出力信号間の差に基づく適応フ ルタ係数に基づいて風雑音の有無を検出し 風雑音を検出した場合に第1のマイクロホン ユニットからの出力信号を抑圧制御する技術 が開示されている。

 特許文献3には、二のマイクロホンの出力 の減算値又は相対値を用いて風の強さを判定 する技術が開示されている。

 特許文献4には、全波整流波形を平滑化し て、風雑音を検出し、風雑音を検出した場合 には、低周波数領域を抑圧し、高周波数領域 と合成した波形を出力することで風成分を抑 圧する技術が開示されている。

特許第3086539号明細書

特許第3283423号明細書

特開平5-308696号公報

特開平6-311583号公報

 しかしながら風雑音を抑圧する技術は、 音環境下では風雑音と背景雑音との差が小 くなるため、低周波数領域と高周波数領域 のレベル差に基づいて風雑音を検出する特 文献1及び特許文献3、全波整流波形を平滑 して風雑音を検出する特許文献4等の技術で 、低周波数領域のレベルが大きい背景雑音 境下では検出精度が低下すると考えられる

 また二のマイクロホンユニットの出力信 の差に基づく適応フィルタ係数を用いた特 文献2等の技術では、背景雑音の特性によっ て風雑音が存在する場合のフィルタ係数が異 なるため検出精度が低下すると考えられる。

 本発明は斯かる事情に鑑みてなされたも であり、複数の受音部に係る音信号を周波 軸上の成分に変換したスペクトルに基づく らつき度を導出し、導出したばらつき度が 定値以上である場合に、風雑音等の状況が 生していると判定して、抑圧を調整するこ により、背景雑音に拘わらず、風雑音等の 況の発生を高精度に検出することが可能な 音抑圧装置、雑音抑圧装置を制御する雑音 圧制御装置、雑音抑圧装置を用いた雑音抑 方法、及び雑音抑圧方法を制御するための 音抑圧プログラムの提供を目的とする。

 第1の雑音抑圧装置は、受音した音に基づ いて夫々音信号を出力する複数の受音部と連 携可能であり、該受音部が受音した音に含ま れる雑音を抑圧する雑音抑圧装置において、 前記受音部から出力された複数の音信号に基 づいて導出した抑圧量の雑音成分を音信号か ら低減することで雑音を抑圧する抑圧部と、 前記複数の音信号を周波数軸上の成分に変換 したスペクトルに基づくばらつきを数値化し たばらつき度を導出するばらつき導出部と、 該ばらつき度が所定のばらつき閾値以上であ る場合に、風当たりによる風雑音が発生して いると判定する判定部と、該判定部による風 雑音の発生の有無の判定結果に応じて前記抑 圧量を調整する調整部とを備え、前記抑圧部 は、前記調整部により調整された抑圧量に基 づいて雑音成分を音信号から低減することで 雑音を抑圧する様にしてあることを要件とす る。

 第2の雑音抑圧装置は、第1の雑音抑圧装 において、更に、前記複数の受音部の感度 を是正すべく、前記複数の音信号の振幅比 基づいて算出した補正値により、前記音信 のレベルを補正する補正部を備え、該補正 は、前記判定部が、風雑音が発生している 判定した場合、補正値の算出又は補正を停 する様にしてあることを要件とする。

 第3の雑音抑圧装置は、第1又は第2の雑音 圧装置において、前記ばらつき導出部は、 相スペクトルに基づく複数の音信号の位相 の周波数間のばらつき及び振幅スペクトル 基づく複数の音信号間の振幅のばらつきの なくとも一方を数値化したばらつき度を導 する様にしてあることを要件とする。

 第4の雑音抑圧装置は、第1乃至第3のいず かにおいて、前記判定部は、更に、所定の 波数帯域における音信号の平均パワーが所 のパワー閾値以上であるか否かを判定する にしてあり、前記調整部は、前記判定部が ばらつき度がばらつき閾値以上であり、か 平均パワーがパワー閾値以上であると判定 た場合に、風雑音が発生していると判定す 様にしてあることを要件とする。

 第5の雑音抑圧装置は、第1乃至第4のいず かにおいて、前記調整部は、風雑音が発生 ていると判定した場合の抑圧量の漸増、及 風雑音が発生していないと判定した場合の 圧量の漸減の少なくとも一方による調整を う様にしてあることを要件とする。

 第6の雑音抑圧装置は、第1乃至第5のいず かにおいて、前記複数の受音部から出力さ る音信号に基づいて雑音源の方向を推定す 雑音源推定部を更に備え、前記抑圧部は、 に、推定した雑音源の方向を加味して導出 た前記抑圧量の雑音成分を低減する様にし あり、前記調整部は、更に、風雑音が発生 ていると判定した場合に、雑音源推定部が 定した雑音源の方向を加味させない様にす ことにより、抑圧量を調整する様にしてあ ことを要件とする。

 第7の雑音抑圧装置は、第1乃至第6のいず かにおいて、前記抑圧部は、風雑音が発生 ていると判定した場合に、更に、所定の周 数以下の低周波成分を音信号から低減する とで雑音を抑圧する様にしてあることを要 とする。

 第8の雑音抑圧装置は、受音した音に基づ いて夫々音信号を出力する複数の受音部と連 携可能で、該受音部が受音した音に含まれる 雑音を抑圧する雑音抑圧装置において、前記 受音部から出力された複数の音信号に基づい て導出した抑圧量の雑音成分を音信号から低 減することで雑音を抑圧する抑圧部と、複数 の音信号を周波数軸上の成分に変換したスペ クトルに基づくばらつきを数値化したばらつ き度を導出するばらつき導出部と、該ばらつ き度が所定のばらつき閾値以上であるか否か を判定する判定部と、該判定部がばらつき閾 値以上であると判定した場合に、抑圧量を調 整する調整部とを備え、前記抑圧部は、前記 調整部により調整された抑圧量に基づいて雑 音成分を音信号から低減することで雑音を抑 圧する様にしてあることを要件とする。

 第9の雑音抑圧制御装置は、受音した音に 基づいて夫々音信号を出力する複数の受音部 が受音した音に含まれる雑音を、前記複数の 音信号に基づき導出した雑音成分を音信号か ら低減することで抑圧する抑圧部の雑音抑圧 処理を制御する雑音抑圧制御装置において、 複数の音信号を周波数軸上の成分に変換した スペクトルに基づくばらつきを数値化したば らつき度を導出するばらつき導出部と、該ば らつき導出部が導出したばらつき度が所定の ばらつき閾値以上である場合に、風当たりに よる風雑音が発生していると判定する判定部 と、該判定部による風雑音の有無の判定結果 に応じて、前記雑音の抑圧量を調整させる指 示を前記抑圧部へ出力する抑圧制御部とを備 えることを要件とする。

 第10の雑音抑圧方法は、受音した音に基 いて夫々音信号を出力する複数の受音部と 携可能なコンピュータを用いて、前記受音 が受音した音に含まれる雑音を、前記複数 音信号に基づき導出した雑音成分を音信号 ら低減することで抑圧する雑音抑圧方法に いて、複数の音信号を周波数軸上の成分に 換したスペクトルに基づくばらつきを数値 したばらつき度を導出するばらつき導出手 と、導出したばらつき度が所定のばらつき 値以上である場合に、風当たりによる風雑 が発生していると判定する判定手順と、風 音の有無の判定結果に応じて、前記雑音の 圧量を調整する調整手順とをコンピュータ 実行させることを要件とする。

 第11の雑音抑圧プログラムは、受音した に基づいて夫々音信号を出力する複数の受 部と連携可能なコンピュータに、前記受音 が受音した音に含まれる雑音を、前記複数 音信号に基づき導出した雑音成分を音信号 ら低減することで抑圧させる雑音抑制プロ ラムにおいて、複数の音信号を周波数軸上 成分に変換したスペクトルに基づくばらつ を数値化したばらつき度を導出するばらつ 導出ステップと、該ばらつき導出部が導出 たばらつき度が所定のばらつき閾値以上で るか否かを判定する判定ステップと、ばら き閾値以上であると判定した場合に、前記 音の抑圧量を調整する調整ステップとをコ ピュータに実行させることを要件とする。

 第1及び第8の雑音抑圧装置、第9の雑音抑 制御装置、第10の雑音抑圧方法並びに第11の 雑音抑圧プログラムでは、風雑音等の状況が 発生した場合、音信号にばらつきが発生する という特性に基づいて、風雑音等の状況の発 生を検出することにより、他の背景雑音環境 下であっても高精度な検出が可能である。

 第2の雑音抑圧装置では、風雑音の影響に よる誤補正を防止することが可能である。

 第3の雑音抑圧装置では、例えば風雑音が 発生した場合、位相スペクトルに基づく複数 の音信号の位相差の周波数間のばらつき、振 幅スペクトルに基づく複数の音信号間の振幅 のばらつき等のばらつきが発生するという特 性に基づいて、風雑音の発生を検出すること により、他の背景雑音環境下であっても高精 度な検出が可能である。

 第4の雑音抑圧装置では、暗雑音環境下、 一の音信号のレベルが著しく低い場合等の状 況を、風雑音の発生と誤検出することを防止 することが可能である。

 第5の雑音抑圧装置では、雑音抑圧後の音 信号の急激な変化を防止することが可能であ る。

 第6の雑音抑圧装置では、雑音の到来方向 に応じた抑圧量の調整を行うことが可能であ る。

 第7の雑音抑圧装置では、風雑音発生環境 下において低周波領域にパワーが集中する雑 音の影響を排除することが可能である。

 本願は、複数の受音部が受音した音に基 いて夫々出力する複数の音信号を周波数軸 の成分に変換したスペクトルに基づくばら き度を導出し、導出したばらつき度が予め 定されているばらつき閾値以上である場合 、雑音を抑圧する抑圧部の抑圧量を調整す 技術を開示する。

 この構成により、本願では、例えば風雑 が発生した場合、位相スペクトルに基づく 数の音信号の位相差の周波数間のばらつき 振幅スペクトルに基づく複数の音信号間の 幅のばらつき等のばらつきが発生するとい 特性に基づいて、風雑音等の状況の発生を 出し、抑圧量を調整するので、風雑音以外 背景雑音が発生している環境下であっても 背景雑音による影響を受け難いので、高精 な風雑音の検出が可能であり、また、雑音 境下で風が受音部に当っても雑音抑圧に悪 響を与えない等、優れた効果を奏する。

 また本願は、100~3400Hz等の所定の周波数帯 域の平均パワーが予め設定されているパワー 閾値以上であり、かつばらつき度がばらつき 閾値以上である場合に抑圧量を調整する。

 この構成により、本願では、暗雑音環境 一の音信号のレベルが著しく低い場合等の 況下において、音信号の平均パワーが下が という特性を考慮し、平均パワーに基づく 件を設定することで、この様な状況下での 雑音の誤検出を排除することが可能である 、優れた効果を奏する。

従来の雑音抑圧装置の構成例を示す機 ブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る雑音抑圧装 置の構成例を模式的に示すブロック図である 。 本発明の実施の形態1に係る雑音抑圧装 置が備える雑音抑圧機構の機能構成例を示す 機能ブロック図である。 周波数と位相差との関係の一例を示す ラフである。 周波数と位相差との関係の一例を示す ラフである。 本発明の実施の形態1に係る雑音抑圧装 置の雑音抑圧処理の一例を示すフローチャー トである。 本発明の実施の形態1に係る雑音抑圧装 置の抑圧量制御処理を示すフローチャートで ある。 本発明の実施の形態2に係る雑音抑圧装 置が備える雑音抑圧機構の機能構成例を示す 機能ブロック図である。 本発明の実施の形態2に係る雑音抑圧装 置が備える雑音抑圧機構の風雑音抑圧部によ る風雑音の抑制の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態2に係る雑音抑圧 置の雑音抑圧処理の一例を示すフローチャ トである。 本発明の実施の形態3に係る雑音抑圧 置が備える雑音抑圧機構の機能構成例を示 機能ブロック図である。 本発明の実施の形態3に係る雑音抑圧 置の雑音方向推定処理の一例を示すフロー ャートである。 本発明の実施の形態4に係る各種装置 構成例を模式的に示すブロック図である。 本発明の実施の形態4に係る雑音抑圧 置及び雑音抑圧制御装置の機能構成例を示 機能ブロック図である。

符号の説明

 1  雑音抑圧装置
 10  制御機構
 11  記録機構
 12  通信機構
 13  音出力機構
 101  主受音機構
 102  副受音機構
 111  第1増幅機構
 112  第2増幅機構
 121  第1A/D変換機構
 122  第2A/D変換機構
 130  雑音抑圧機構
 1301  第1フレーム化部
 1302  第2フレーム化部
 1311  第1FFT処理部
 1312  第2FFT処理部
 1320  補正値算出部
 1330  遅延部
 1340  補正部
 1350  調整部
 1360  減算部
 1371  振幅比算出部
 1372  位相差算出部
 1380  風雑音判定部
 1390  雑音抑圧制御部
 1400  風雑音抑圧部
 1410  雑音方向推定部
 2  受音装置
 201  主受音機構
 202  副受音機構
 211  第1増幅機構
 212  第2増幅機構
 221  第1A/D変換機構
 222  第2A/D変換機構
 3  雑音抑圧装置
 301  第1フレーム化部
 302  第2フレーム化部
 311  第1FFT処理部
 312  第2FFT処理部
 320  補正値算出部
 330  遅延部
 340  補正部
 350  調整部
 360  減算部
 4  雑音抑圧制御装置
 400  振幅比算出部
 410  位相差算出部
 420  風雑音判定部
 430  雑音抑圧制御部
 200  雑音抑圧プログラム
 10000  雑音抑圧装置
 10001  主受音部
 10002  副受音部
 11001  第1増幅部
 11002  第2増幅部
 12001  第1A/D変換部
 12002  第2A/D変換部
 13001  第1FFT処理部
 13002  第2FFT処理部
 14000  補正値算出部
 15000  遅延部
 16000  補正部
 17000  減算部

 以下、本発明をその実施の形態を示す図 に基づいて詳述する。

実施の形態1.
 図2は、本発明の実施の形態1に係る雑音抑 装置の構成例を模式的に示すブロック図で る。図2中1は、携帯電話等の装置に適用され る雑音抑圧装置である。雑音抑圧装置1は、 音した音を変換した音信号を出力するコン ンサマイク等のマイクロホンを用いた主受 機構101及び副受音機構102と、音信号を増幅 るゲインアンプ等の第1増幅機構111及び第2増 幅機構112と、音信号に対してA/D変換を行う第 1A/D変換機構121及び第2A/D変換機構122と、本発 の雑音抑圧プログラム200及びデータ等のフ ームウェアが組み込まれたDSP(Digital Signal P rocessor)等の雑音抑圧機構130とを備えている。 そして携帯電話等のコンピュータは、雑音抑 圧機構130にファームウェアとして組み込まれ ている本発明の雑音抑圧プログラム200を実行 することにより、携帯電話を本発明の雑音抑 圧装置1として機能させる。

 さらに雑音抑圧装置1は、携帯電話として の各種処理を実行すべく、装置全体を制御す るCPU(Central Processing Unit)等の制御機構10と、 種プログラム及びデータを記録するROM、RAM の記録機構11と、アンテナ及びその付属機 等の通信機構12と、音を出力するスピーカ等 の音出力機構13と等の各種機構を備えている

 主受音機構101及び副受音機構102は、携帯 話である雑音抑圧装置1を把持する話者の口 元方向等の目的とする音源からの音が到来す る方向に沿って適切な間隔で配設されており 、主受音機構101が音声の到来方向側に位置す る。主受音機構101及び副受音機構102は、夫々 受音した音に基づいてアナログ信号である音 信号を生成し、生成した音信号を夫々第1増 機構111及び第2増幅機構112へ出力する。第1増 幅機構111及び第2増幅機構112は、入力された 信号を増幅し、増幅した音信号を夫々第1A/D 換機構121及び第2A/D変換機構122へ出力する。 第1A/D変換機構121及び第2A/D変換機構122は、LPF( Low Pass Filter )等の濾波機能にて濾波し、8000 Hz、11025Hz等のサンプリング周波数でサンプリ ングしてデジタル信号に変換し、デジタル信 号に変換した音信号を雑音抑圧機構130へ出力 する。

 図3は、本発明の実施の形態1に係る雑音 圧装置1が備える雑音抑圧機構130の機能構成 を示す機能ブロック図である。雑音抑圧機 130は、雑音抑圧プログラム200を実行するこ により、音信号に対するフレーム化を行う 1フレーム化部1301及び第2フレーム化部1302と 、音信号に対するFFT処理を行う第1FFT処理部13 11及び第2FFT処理部1312と、主受音機構101及び 受音機構102の感度差を補正する補正値を算 する補正値算出部1320と、音信号を遅延させ 遅延部1330と、音信号を補正する補正部1340 、音信号の抑圧量を調整する調整部1350と、 信号の減算処理を行う減算部1360と等の各種 プログラムモジュールを生成する。

 また雑音抑圧機構130は、雑音抑圧プログ ム200を実行することにより、音信号の振幅 を算出する振幅比算出部1371と、音信号の位 相差を算出する位相差算出部1372と、風雑音 有無を判定する風雑音判定部1380と、補正値 出部1320及び調整部1350を制御する制御信号 出力する雑音抑圧制御部1390と等の各種プロ ラムモジュールを生成する。

 図3に示した各種機能による音信号に対す る信号処理について説明する。雑音抑圧機構 130は、第1A/D変換機構121及び第2A/D変換機構122 らデジタル信号である音信号を受け付ける 第1フレーム化部1301及び第2フレーム化部1302 は、第1A/D変換機構121及び第2A/D変換機構122か 出力された音信号を夫々受け付け、受け付 た音信号を例えば32ms等の所定長の単位でフ レーム化する。各フレームは、20ms等の所定 ずつシフトさせながら処理を進める。そし 各フレームに対しては、ハミング窓、ハニ グ窓等の窓関数、高域強調フィルタによる ィルタリング等の音声処理の分野で一般的 フレーム処理が施される。

 第1FFT処理部1311及び第2FFT処理部1312は、第 1フレーム化部1301及び第2フレーム化部1302に 夫々フレーム化された音信号に対してFFT処 を行うことにより、周波数軸上の成分に変 した複素スペクトルの音信号を生成する。FF T処理は、例えば8000Hzでサンプリングされて る場合、256点の周波数に基づいて行われる

 補正値算出部1320は、周波数軸上の成分に 変換された主受音機構101に係る音信号及び副 受音機構102に係る音信号に基づいて補正値を 算出する。補正値は、主受音機構101に係る音 信号及び副受音機構102に係る音信号について 、複素スペクトルの絶対値である振幅スペク トルの平均値を夫々計算し、計算した振幅ス ペクトルの平均値の比として算出される。振 幅スペクトルの平均値の差は、主受音機構101 及び副受音機構102の感度差に起因する差であ ると推定することができるので、補正値によ る補正を行うことにより、主受音機構101及び 副受音機構102間の感度差が補正される。そし て補正値算出部1320は、算出した補正値を補 部1340へ渡す。

 遅延部1330は、副受音機構102に係る音信号 に対して遅延時間τの遅延を掛ける。遅延時 τは、副受音機構102側から到来した雑音が 副受音機構102に到達してから主受音機構101 到達するまでの時間に基づいている。そし 遅延部1330は、遅延させた副受音機構102に係 音信号を補正部1340へ渡す。

 補正部1340は、遅延させた副受音機構102に 係る音信号に補正値を乗じて補正を行う。補 正部1340の補正により、副受音機構102に係る 信号の振幅スペクトルの平均値が、主受音 構101に係る音信号の振幅スペクトルの平均 に合わせられる。そして補正部1340は、補正 た副受音機構102に係る音信号を調整部1350へ 渡す。補正部1340から調整部1350へ渡される副 音機構102に係る音信号は、振幅スペクトル 基づくレベル補正がなされ、遅延により主 音機構101に係る音信号との同期がなされて るため、同期減算にて雑音を抑圧する抑圧 となる。この様な抑圧量に基づく同期減算 行った場合、雑音抑圧装置1は、副受音機構 102側に指向性の死角を形成した雑音抑圧を実 現することができる。

 調整部1350は、雑音を抑圧する抑圧量とし て、補正された副受音機構102に係る音信号を 補正部1340から受け付ける。受け付けた抑圧 に対しては、雑音抑圧制御部1390から受け付 る制御信号に基づいて適宜調整が行われる そして調整部1350は、抑圧量を減算部1360へ す。

 減算部1360は、主受音機構101に係る音信号 から、副受音機構102に係る音信号に基づく抑 圧量を減算することにより雑音を抑圧する抑 圧部として機能する。そして減算部1360は、 音抑圧後の主受音機構101に係る音信号を出 する。音信号は、例えば通信機構12へ出力さ れ、通信機構12から電話通信として送信され 。また音信号は、例えば音出力機構13へ出 され、音出力機構13から音として出力される 。減算部1360からの音信号の出力に際し、音 号に対して、時間軸上の信号に変換するIFFT 理、アナログ信号に変化するD/A変換処理、 幅処理、その他各種音響処理が必要に応じ 行われる。

 振幅比算出部1371は、下記の式(1)により、 主受音機構101に係る音信号の振幅スペクトル 及び副受音機構102に係る音信号の振幅スペク トルに基づき、音信号間の振幅のばらつきを 数値化したばらつき度として、周波数毎の振 幅比を導出するばらつき導出部である。なお 振幅比に代替してパワー比を用いる様にして も良い。

 |20log 10 (S1 (ω)/S2 (ω))| …式(1)
  但し、ω:周波数
    S1 (ω):主受音機構101に係る音信号の振 スペクトル
    S2 (ω):副受音機構102に係る音信号の振 スペクトル

 そして振幅比算出部1371は、導出したばら つき度を、風雑音判定部1380へ渡す。

 位相差算出部1372は、主受音機構101に係る 音信号の位相及び副受音機構102に係る音信号 の位相の差を示す位相差スペクトルに基づき 、下記の式(2)により、フレーム単位で位相差 の周波数間のばらつきを数値化したばらつき 度を導出するばらつき導出部である。

 式(2)では、周波数ω0 ~ω1 における位相 φ(ω)の二乗の平均値を導出している。なおω 0 としては、例えば100Hz以下の周波数が用い れ、ω1 としては、例えば1000Hzが用いられ 。そして位相差算出部1372は、導出したばら き度を、風雑音判定部1380へ渡す。

 風雑音判定部1380は、振幅比算出部1371か 受け付けたばらつき度を、予め設定されて る第1閾値αと比較し、下記の式(3)に示す条 1を満足するか否かを判定する。

 |20log 10 (S1 (ω)/S2 (ω))|>α …式(3)
  但し、α:第1閾値

 風雑音発生環境下では、主受音機構101に る音信号及び副受音機構102に係る音信号の ずれか一方が大きくなり易いという性質が る。この性質を利用して、風雑音判定部1380 では、振幅のばらつき度が条件1を満足する 合に、風雑音が発生していると判定する。

 また風雑音判定部1380は、位相差算出部137 2から受け付けたばらつき度を、予め設定さ ている第2閾値βと比較し、下記の式(4)に示 条件2を満足するか否かを判定する。

 風雑音発生環境下では、通常の音とは異 る異常な位相差スペクトルが生じるという 質がある。この性質を利用して、風雑音判 部1380では、位相差スペクトルのばらつき度 が条件2を満足する場合に、風雑音が発生し いると判定する。

 図4は、周波数と位相差との関係の一例を 示すグラフである。図4に示す位相差は副受 機構102で受音される音信号の位相スペクト から主受音機構101で受音される音信号の位 スペクトルを引いて求めている。図4は、横 を周波数ωとし、縦軸をラジアン単位の位 差φとして、その関係を示している。図4(a) 、人が発声した通常の音声を受音した場合 周波数と位相差との関係を示しており、図4( b)は、風雑音環境下での周波数と位相差との 係を示している。図4(a)に示す様に、通常の 発声では、原点を通り、周波数が高くなる程 、位相差が負の方向に大きくなる直線に沿っ て推移するという性質がある。しかしながら 風雑音環境下では、図4(b)に示す様に周波数 関わらず帯域全体に位相差スペクトルの乱 が生じている。図4(b)に示す様な位相差スペ トルの乱れが発生している場合、式(4)に示 条件2を満足するので、風雑音が発生してい ると判定することができる。

 風雑音判定部1380は、この様な条件1及び 件2に基づいて風雑音の発生の有無を判定す 。但し、振幅比算出部1371から受け付けたば らつき度は、主受音機構101及び副受音機構102 の一方の音信号のレベルが著しく低く0に近 される場合、大きな値を取るため、式(3)に す条件1が成立し易くなり、風雑音が発生し いなくても風雑音が発生すると誤判定する 能性が高くなる。

 また暗雑音の位相差スペクトルの周波数 位相差との関係は、広帯域でばらつきが生 ているので、受音する音のレベルが低く暗 音が相対的に大きくなる場合、式(4)に示す 件2が成立し易くなり、風雑音が発生してい なくても風雑音が発生していると誤判定する 可能性が高くなる。

 図5は、周波数と位相差との関係の一例を 示すグラフである。図5は、横軸を周波数ωと し、縦軸をラジアン単位の位相差φとして、 の関係を示している。図5は、暗雑音の周波 数と位相差との関係を示しており、図4(b)に した風雑音環境下での関係と同様に、帯域 体に位相差スペクトルの乱れが生じている 従って式(4)に示す条件2では、暗雑音を風雑 と誤判定する可能性がある。

 そこで条件1及び条件2による風雑音の発 の判定に際し、下記の式(5)による条件3を設 し、条件3を満足しない場合は、風雑音が発 生していないと判定する。

 式(5)は、周波数ω2 ~ω3 における振幅の 乗、即ちパワーの平均値を導出し、導出し パワーの平均値が予め設定されている第3閾 γ以上である場合に、風雑音が発生してい 可能性があるとする条件3を規定している。 件3を設定することにより、一方の音信号が 著しく低い場合の誤判定を防止することが可 能となる。また受音する音のレベルが低く暗 雑音が相対的に大きくなる場合の誤判定を防 止することが可能となる。なおω2 としては 例えば100Hz以下の周波数が用いられ、ω3 と しては、例えば3400Hzが用いられる。

 風雑音判定部1380は、条件3を満足してい ことを前提とし、条件1及び条件2の論理積又 は論理和に基づいて風雑音の発生の有無を判 定する。即ち論理積が判定の条件として設定 されている場合、条件1及び条件2を満足し、 つ条件3を満足している場合に風雑音が発生 していると判定し、条件1及び条件2並びに条 3のいずれか一つでも満足しない場合に風雑 音は発生していないと判定する。また論理和 が判定の条件として設定されている場合、条 件1又は条件2を満足し、かつ条件3を満足して いる場合に、風雑音が発生していると判定し 、条件1及び条件2のいずれも満足していない 合、又は条件3を満足していない場合に風雑 音は発生していないと判定する。そして風雑 音判定部1380は、風雑音の有無の判定結果を 音抑圧制御部1390へ渡す。

 雑音抑圧制御部1390は、風雑音の有無の判 定結果に基づく制御信号を補正値算出部1320 び調整部1350へ渡す。補正値算出部1320へ渡す 制御信号とは、風雑音の有無に基づいて補正 値算出の要否を示す「1」又は「0」の信号で る。風雑音が発生していないと判定した場 、補正値を算出して更新させる「1」の信号 を渡し、風雑音が発生していると判定した場 合、補正値の更新を停止させる「0」の信号 渡す。風雑音が発生している場合には、主 音機構101及び副受音機構102間の感度差を補 する振幅スペクトルの平均値の差の更新を 止させる様に制御することで、感度差の補 値が乱れることを防止する。

 補正値算出部1320は、前述した様に、平均 値の差に基づいて補正値を算出し、算出した 補正値を補正部1340へ渡すが、「0」の制御信 を受け取った場合、平均値の差の更新を停 し、また補正値の更新を停止する。この様 風雑音判定部1380から補正値算出部1320へ制 信号を渡すことにより、感度差の補正値の 新又は停止を行い、雑音の抑圧量を調整す ことができる。

 雑音抑圧制御部1390が、調整部1350へ渡す 御信号とは、抑圧量を段階的に制御する「1. 0」、「0.8」、「0.6」、「0.4」、「0.2」又は 0.0」の級信号である。風雑音判定部1380は、N =0~5の整数値をとる図示しないカウンタを有 ている。カウンタの初期値は、N=0であり、 えば風雑音が発生していると判定した場合 、1増加し、風雑音が発生していないと判定 た場合に1減少する。そしてカウンタの値N 、「0」の場合に級信号「1.0」、「1」の場合 に級信号「0.8」、「2」の場合に「0.6」、「3 の場合に「0.4」、「4」の場合に「0.2」、「 5」の場合に「0.0」を調整部1350へ渡す。級信 の値は図3に示す補正部1340の出力に乗じる 数であり、級信号に基づく乗数を乗じるこ により、雑音の抑圧量が調整される。つま 5フレーム連続して風雑音が発生していると 定した場合に抑圧量が0.0、すなわち抑圧さ ないようになり、この状態から5フレーム連 続して風雑音が発生していないと判定された 場合には抑圧量が1.0、すなわち通常の雑音抑 圧量に戻る。なお制御信号として「1」又は 0」を調整部1350へ渡して、抑圧を行う様にし ても良いが、級信号として段階的に調整する ことにより、急激な抑圧量の変化を防止し、 違和感のない音を出力することが可能となる 。

 調整部1350は、前述した様に、補正部1340 ら、副受音機構102に係る音信号を雑音と時 同期した音信号として受け付け、更に風雑 判定部1380から乗数を示す制御信号を受け付 る。そして調整部1350は、雑音と時間同期し た音信号に制御信号として示される乗数を乗 じて調整を行い、調整した雑音と時間同期し た音信号を減算部1360へ渡す。

 この様な構成例により、主受音機構101に る音信号の雑音を抑圧する場合に、風雑音 応じて抑圧量を調整する雑音抑圧装置1が実 現される。

 次に本発明の実施の形態1に係る雑音抑圧 装置1の処理について説明する。図6は、本発 の実施の形態1に係る雑音抑圧装置1の雑音 圧処理の一例を示すフローチャートである 雑音抑圧装置1は、主受音機構101及び副受音 構102により、到来する音を夫々受音し、受 した音に基づいて夫々アナログ信号である 信号を生成し(S101)、生成した音信号を夫々 1増幅機構111及び第2増幅機構112へ出力する

 雑音抑圧装置1は、第1増幅機構111及び第2 幅機構112により、夫々入力された音信号を 幅し、第1A/D変換機構121及び第2A/D変換機構12 2により、デジタル信号に変換して、雑音抑 機構130へ出力する。

 雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、第1フレーム化部1301及び第2フレーム化部130 2により、入力された音信号を夫々フレーム し(S102)、フレーム化した音信号を、第1FFT処 部1311及び第2FFT処理部1312により、周波数軸 の成分の音信号に変換する(S103)。ステップS 103において、周波数軸上の成分に変換する方 法としては、必ずしもFFTを用いる必要はなく 、DCT(離散コサイン変換:Discrete Cosine Transform )等の他の周波数変換方法を用いてもよい。

 雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、遅延部1330により、周波数軸上の成分に変 された副受音機構102に係る音信号に対して 延時間τの遅延を掛けて遅延させる(S104)。

 雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、補正値算出部1320により、周波数軸上の成 に変換された主受音機構101に係る音信号及 副受音機構102に係る音信号に基づいて補正 を算出する(S105)。ステップS105において、補 値算出部1320は、風雑音判定部1380から、風 音が発生していることを示す「0」の制御信 を受け付けている場合、補正値の更新を停 する。

 雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、補正部1340により、遅延部1330から受け付け 副受音機構102に係る音信号に、補正値算出 1320から受け付けた補正値を乗じて補正を行 い(S106)、補正した副受音機構102に係る音信号 を、雑音を抑圧する抑圧量として調整部1350 渡す。

 雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、調整部1350により、雑音抑圧制御部1390から け付ける制御信号に基づいて同期減算によ 抑圧量の調整を行う(S107)。

 雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、減算部1360により、主受音機構101に係る音 号から、抑圧量を調整された雑音と時間同 した音信号を減算する(S108)。ステップS108の 算により、主受音機構101に係る音信号の雑 が抑制される。そして減算部1360は、雑音抑 圧後の主受音機構101に係る音信号を出力する 。

 図7は、本発明の実施の形態1に係る雑音 圧装置1の抑圧量制御処理を示すフローチャ トである。雑音抑圧装置1は、雑音抑圧処理 に並行して抑圧量制御処理を実行する。雑音 抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は、振幅 算出部1371により、主受音機構101に係る音信 及び副受音機構102に係る音信号に基づいて ばらつき度として振幅比を導出する(S201)。

 雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、位相差算出部1372により、主受音機構101に る音信号及び副受音機構102に係る音信号に づいて、位相差のばらつきを示すばらつき を導出する(S202)。ステップS201及びS202の処理 は実質的に並行して行われる。

 雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、風雑音判定部1380により、受け付けた夫々 ばらつき度と、予め設定されている第1閾値 第2閾値及び第3閾値との比較に基づいて、 当たりによる風雑音が発生しているか否か 判定し(S203)、風雑音の有無の判定結果を雑 抑圧制御部1390へ渡す。

 雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、雑音抑圧制御部1390により、風雑音の有無 判定結果に応じて抑圧量を調整させる制御 号を補正値算出部1320及び調整部1350へ渡すこ とで、抑圧量の調整を行う(S204)。

 この様に実施の形態1に係る雑音抑圧装置 1は、背景雑音に拘わらず、風雑音の発生を 精度に検出して、背景雑音の抑圧量を調整 ることが可能である。

実施の形態2.
 実施の形態2は、実施の形態1において、背 雑音を抑圧する雑音抑圧処理を行った後、 雑音の成分を更に抑圧する形態である。な 以降の説明において、実施の形態1と同様の 成については、実施の形態1と同様の符号を 付し、その詳細な説明を省略する。

 実施の形態2に係る雑音抑圧装置1の構成 は、実施の形態1と同様であるので、実施の 態1を参照するものとし、その説明を省略す る。図8は、本発明の実施の形態2に係る雑音 圧装置1が備える雑音抑圧機構130の機能構成 例を示す機能ブロック図である。雑音抑圧機 構130は、雑音抑圧プログラム200を実行するこ とにより、第1フレーム化部1301及び第2フレー ム化部1302と、第1FFT処理部1311及び第2FFT処理 1312と、補正値算出部1320と、遅延部1330と、 正部1340と、調整部1350と、減算部1360と等の 種プログラムモジュールを生成する。

 また雑音抑圧機構130は、雑音抑圧プログ ム200を実行することにより、振幅比算出部1 371と、位相差算出部1372と、風雑音判定部1380 、雑音抑圧制御部1390と、風雑音の成分を抑 圧する風雑音抑圧部1400と等の各種プログラ モジュールを生成する。

 図8に示した各種機能による音信号に対す る信号処理について説明する。実施の形態2 おいて、第1フレーム化部1301及び第2フレー 化部1302、第1FFT処理部1311及び第2FFT処理部1312 、補正値算出部1320、遅延部1330、補正部1340、 調整部1350、振幅比算出部1371、位相差算出部1 372、並びに雑音抑圧制御部1390の信号処理は 実施の形態1と同様であるので、実施の形態1 を参照するものとし、その説明を省略する。

 減算部1360は、雑音抑圧後の主受音機構101 に係る音信号を風雑音抑圧部1400へ渡す。

 風雑音判定部1380は、風雑音の有無の判定 結果を雑音抑圧制御部1390と風雑音抑圧部1400 へ渡す。

 風雑音抑圧部1400は、風雑音の有無の判定 結果に基づいて、雑音抑圧後の主受音機構101 に係る音信号から、所定の周波数以下の低周 波成分を低減することにより、風雑音を抑圧 する。即ち風雑音抑圧部1400は、風雑音が低 波成分に影響するという性質に基づき、風 音が発生していると判定した場合、所定の 波数、例えば2000Hz以下の低周波成分に対し 所定の傾きの抑圧ゲインを掛けることによ 風雑音を抑圧する。

 風雑音抑圧部1400には、M=0~5の整数値をと 図示しないカウンタが設けられている。カ ンタの初期値は、M=0であり、例えば風雑音 発生していると判定した場合に、カウンタ 値Mを1増加させ、風雑音が発生していない 判定した場合に2減少させる。そしてカウン の値Mに応じて風雑音の抑圧量を段階的に変 化させる。風雑音の抑圧量を段階的に調整す ることにより、急激な音信号の変化を防止し 、違和感のない音を出力することが可能とな る。

 図9は、本発明の実施の形態2に係る雑音 圧装置1が備える雑音抑圧機構130の風雑音抑 部1400による風雑音の抑制の一例を示すグラ フである。図9は、横軸を周波数ωとし、縦軸 を抑圧ゲインとして、その関係を示している 。図9に示す様にカウンタの値M=0である場合 抑圧ゲインは全周波数帯において1.0であり 風雑音抑圧部1400による実質的な抑圧は行わ ない。風雑音の発生の検出により、カウン の値M=1となった場合、0Hzで0.8倍となり、所 の周波数である2000Hzで1.0倍となる傾きの抑 ゲインを音信号に掛ける。そしてカウンタ 値Mの増加に応じてゲインの傾きを大きくし 、カウンタの値M=5となった場合に、0Hzで0.0倍 となり、2000Hzで1.0倍となる傾きの抑圧ゲイン を音信号に掛ける。

 そして風雑音抑圧部1400は、雑音成分を抑 圧した雑音抑圧後の主受音機構101に係る音信 号を出力する。音信号は、例えば通信機構12 出力され、通信機構12から電話通信として 信される。また音信号は、例えば音出力機 13へ出力され、音出力機構13から音として出 される。減算部1360からの音信号の出力に際 し、音信号に対して、時間軸上の信号に変換 するIFFT処理、アナログ信号に変化するD/A変 処理、増幅処理、その他各種音響処理が必 に応じて行われる。

 この様な構成例により、主受音機構101に る音信号の雑音を抑圧後、更に風雑音の成 を抑圧する雑音抑圧装置1が実現される。な お風雑音を抑圧する上記方法は一例に過ぎず 、上記で示した風雑音抑圧方法に限定されな い。

 次に本発明の実施の形態2に係る雑音抑圧 装置1の処理について説明する。図10は、本発 明の実施の形態2に係る雑音抑圧装置1の雑音 圧処理の一例を示すフローチャートである 実施の形態2では、実施の形態1に係る雑音 圧処理のフローチャートに示したステップS1 01~S108の処理を実行後、雑音抑圧機構130の風 音抑圧部1400により、風雑音の成分を抑圧す 処理を実行する。

 雑音抑圧装置1は、実施の形態1にて示し ステップS101~S108の処理を実行する。そして 音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は、風 音抑圧部1400により、風雑音の有無の判定結 果に基づいて、雑音抑圧後の主受音機構101に 係る音信号から、所定の周波数以下の低周波 成分を低減することにより、風雑音を抑圧す る(S301)。そして風雑音抑圧部1400は、雑音抑 後の主受音機構101に係る音信号を出力する

 実施の形態2に係る雑音抑圧装置1の抑圧 制御処理は、実施の形態1と同様であるので 実施の形態1を参照するものとし、その説明 を省略する。なお実施の形態2に係る抑圧量 御処理において、雑音抑圧装置1が備える雑 抑圧機構130は、風雑音判定部1380により、風 雑音の有無の判定結果を、雑音抑圧制御部139 0と共に、風雑音抑圧部1400へ渡す。

 この様に実施の形態2に係る雑音抑圧装置 1は、風雑音の発生状況に応じて、風雑音の 分を抑圧することが可能である。

実施の形態3.
 実施の形態3は、実施の形態1において、雑 方向の到来方向を推定し、推定した到来方 に基づいて適応的に遅延時間を更新する形 である。なお以降の説明において、実施の 態1と同様の構成については、実施の形態1と 同様の符号を付し、その詳細な説明を省略す る。

 実施の形態3に係る雑音抑圧装置1の構成 は、実施の形態1と同様であるので、実施の 態1を参照するものとし、その説明を省略す る。図11は、本発明の実施の形態3に係る雑音 抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130の機能構 例を示す機能ブロック図である。雑音抑圧 構130は、雑音抑圧プログラム200を実行する とにより、第1フレーム化部1301及び第2フレ ム化部1302と、第1FFT処理部1311及び第2FFT処理 1312と、補正値算出部1320と、遅延部1330と、 正部1340と、調整部1350と、減算部1360と等の 種プログラムモジュールを生成する。

 また雑音抑圧機構130は、雑音抑圧プログ ム200を実行することにより、振幅比算出部1 371と、位相差算出部1372と、風雑音判定部1380 、雑音抑圧制御部1390と、雑音の到来方向を 推定する雑音方向推定部1410と等の各種プロ ラムモジュールを生成する。

 図11に示した各種機能による音信号に対 る信号処理について説明する。実施の形態3 おいて、第1フレーム化部1301及び第2フレー 化部1302、第1FFT処理部1311及び第2FFT処理部131 2、補正値算出部1320、補正部1340、調整部1350 振幅比算出部1371、位相差算出部1372並びに風 雑音判定部1380の信号処理は、実施の形態1と 様であるので、実施の形態1を参照するもの とし、その説明を省略する。

 雑音抑圧制御部1390は、風雑音の有無の判 定結果に基づく制御信号を補正値算出部1320 、調整部1350と、雑音方向推定部1410へ渡す。 雑音方向推定部1410へ渡す制御信号とは、風 音の有無を示す信号である。

 減算部1360は、雑音抑圧後の主受音機構101 に係る音信号に基づく出力を行うと共に、音 信号を雑音方向推定部1410へ渡す。

 雑音方向推定部1410は、背景雑音のみの区 間において、遅延部1330の遅延時間τを変更す ることで、減算部1360から受け付けた主受音 構101に係る音信号のパワーが最小になる遅 時間τを探し、パワーが最小となる場合にお ける遅延時間τを特定する。パワーが最小と る遅延時間τを適応的に特定して設定する とにより、背景雑音が到来する方向を推定 、推定した方向に死角ができる様にするこ ができる。そして推定した方向に基づいて 景雑音の抑圧に係る基準点を形成する。遅 時間τの変更により、背景雑音が到来する方 向を推定する処理は、適応型アレイとして開 発されている様々な処理を適用することがで きる。

 但し、雑音方向推定部1410は、雑音抑圧制 御部1390から受け付けた制御信号が、風雑音 発生していないことを示す信号である場合 遅延時間τの特定による背景雑音が到来する 方向の推定を継続するが、制御信号が、風雑 音が発生していることを示す信号である場合 、遅延時間τの特定による背景雑音が到来す 方向の推定を停止する。

 そして雑音方向推定部1410は、特定した遅 延時間τを遅延部1330へ渡す。但し、風雑音が 発生している場合は、直前に特定した遅延時 間τを渡すことになる。なお風雑音が発生し いる場合、遅延時間τを渡さない様にし、 延部1330における遅延時間τの更新を停止す 様にしても良い。

 遅延部1330は、受け付けた遅延時間τに基 いて、設定している遅延時間τを更新する

 この様な構成例により、雑音抑圧装置1は 、遅延時間τを適応的に更新するが、風雑音 発生している時には、更新を停止し、背景 音の到来方向の推定を誤ることを防止し、 つ風雑音が止んだ後、風雑音発生前の雑音 圧性能を維持することが可能である。

 次に本発明の実施の形態3に係る雑音抑圧 装置1の処理について説明する。実施の形態3 係る雑音抑圧装置1の雑音抑圧処理は、実施 の形態1と同様であるので、実施の形態1を参 するものとし、その説明を省略する。なお 施の形態3に係る雑音抑圧処理において、雑 音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は、減 部1360により、雑音抑圧後の主受音機構101に る音信号に基づく出力を行うと共に、雑音 向推定部1410へ渡す。

 また実施の形態3に係る雑音抑圧装置1の 圧量制御処理は、実施の形態1と同様である で、実施の形態1を参照するものとし、その 説明を省略する。なお実施の形態3に係る抑 量制御処理により、雑音抑圧装置1が備える 音抑圧機構130は、雑音抑圧制御部1390により 、風雑音の有無の判定結果に応じて抑圧量を 調整させる制御信号を補正値算出部1320及び 整部1350と共に、雑音方向推定部1410へ渡すこ とで、抑圧量の調整を行う。

 図12は、本発明の実施の形態3に係る雑音 圧装置1の雑音方向推定処理の一例を示すフ ローチャートである。実施の形態3に係る雑 抑圧装置1は、雑音抑圧処理及び抑圧量制御 理に並行して、雑音方向推定処理を実行す 。雑音抑圧装置1が備える雑音抑圧機構130は 、雑音方向推定部1410により、雑音抑圧制御 1390から受け付けた制御信号に基づいて、風 音が発生しているか否かを判定する(S401)。

 ステップS401において、風雑音が発生して いないと判定した場合(S401:NO)、雑音抑圧装置 1が備える雑音抑圧機構130は、雑音方向推定 1410により、減算部1360から受け付けた主受音 機構101に係る音信号に基づいて、背景雑音の 到来方向の推定として、減算部1360の出力信 のパワーが最も小さくなる遅延時間τを特定 し(S402)、特定した遅延時間τを遅延部1330へ渡 して、遅延時間τを更新させる(S403)。

 ステップS401において、風雑音が発生して いると判定した場合(S401:YES)、ステップS402の 理は行わず、直前に特定した遅延時間τを 延部1330へ渡すことにより、遅延時間τの更 を実質的に停止させる(S404)。

 この様にして実施の形態3に係る雑音抑圧 装置1は、背景雑音の到来方向を推定し、遅 時間τを適応的に更新しながらも、風雑音に よる誤推定を防止する。

実施の形態4. 
 実施の形態4は、実施の形態1において、雑 抑圧装置を複数の装置として構成する形態 ある。

 図13は、本発明の実施の形態4に係る各種 置の構成例を模式的に示すブロック図であ 。図13中2は、マイクロホンアレイ装置等の 音装置であり、受音装置2には、受音装置2 生成した音信号を補正するVLSI等のチップを する雑音抑圧装置3と、雑音抑圧装置3の雑 抑圧量を制御する雑音抑圧制御装置4とが接 されている。なお雑音抑圧装置3及び雑音抑 圧制御装置4を、受音装置2に接続する装置と てではなく、受音装置2に組み込まれる装置 として構成する様にしても良い。

 受音装置2は、主受音機構201及び副受音機 構202、第1増幅機構211及び第2増幅機構212、並 に第1A/D変換機構221及び第2A/D変換機構222を えている。そして受音装置2は、第1受音機構 201及び第2受音機構202が夫々受音した音に基 く音信号を増幅し、デジタル信号に変換し 雑音抑圧装置3及び雑音抑圧制御装置4へ出力 する。なお受音装置2は、図13に示した機構だ けでなく、制御機構、記録機構、通信機構、 音出力機構等の様々な機構を備えていても良 い。

 図14は、本発明の実施の形態4に係る雑音 圧装置3及び雑音抑圧制御装置4の機能構成 を示す機能ブロック図である。雑音抑圧装 3は、第1フレーム化部301及び第2フレーム化 302と、第1FFT処理部311及び第2FFT処理部312と、 補正値算出部320と、遅延部330と、補正部340と 、調整部350と、減算部360と等の各種プログラ ムモジュールを実行する。

 雑音抑圧制御装置4は、振幅比算出部400と 、位相差算出部410と、風雑音判定部420と、雑 音抑圧制御部430と等の各種プログラムモジュ ールを実行する。これらの各種プログラムモ ジュールの機能及び処理は、実施の形態1と 様であるので、実施の形態1を参照するもの し、その詳細な説明を省略する。

 前記実施の形態1乃至4は、本発明の無限 ある実施の形態の一部を例示したに過ぎず 各種ハードウェア及びソフトフェア等の構 は、適宜設定することが可能であり、また 示した基本的な処理以外にも様々な処理を み合わせることが可能である。

 例えば話者の方向推定を行い、その方向 ら到来する方向を強調する同期加算を行う 置に適用し、風雑音が発生したと判定した 合に、話者の方向推定を停止する形態に展 することも可能である。その場合、風雑音 発生している時には、話者の方向推定を誤 ことを防止し、かつ風雑音が止んだ後、風 音発生前の性能を維持するという効果を奏 る。

 また背景雑音のレベル又はスペクトルを 定して雑音抑圧処理を行うスペクトルサブ ラクション等の方法を実行する装置に適用 、風雑音が発生したと判定した場合に、背 雑音又はスペクトルの推定を停止すること より、風雑音の悪影響を排除する構成に適 することも可能である。

 さらに前記実施の形態1乃至4では、携帯 話に適用する形態を示したが、本発明はこ に限らず、開放型の車両に配設されるカー ビゲーションシステム等の風切り音を受音 る可能性のある様々な装置に適用すること 可能である。

 なお前記実施の形態1乃至4で述べた風と 、水平方向の大気の流れを示す狭義の風に るものではなく、垂直方向の大気の流れを す気流、人の息、その他の空気の流れ等の 流状態で受音する流体全般を示す。