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Patent Searching and Data


Title:
NOZZLE MEMBER AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/017141
Kind Code:
A1
Abstract:
A nozzle member that would give a stable flow of fluid and would realize a work of high quality, more particularly a nozzle member with a minute long through-hole; and a process for producing the same. The nozzle member is one for fluid nozzle having at least one through-hole parallel to a center of axle, which nozzle member is 100 to 10 μm in the diametric dimension of the through-hole, being 5 or greater in the ratio between length (L) and diameter (D) of the through-hole, L/D and made of a ceramic material of 95% or greater relative density. Such a nozzle member with multiple minute through-holes is produced by carrying out extrusion molding or casting molding in a state such that a filament consisting of a synthetic resin, a carbon material or a metal material is enclosed in the direction of the axle center of a nozzle member material, drawing out the filament from the molded item and performing defatting/sintering, or by, without removing of a filament consisting of a synthetic resin or a carbon material from the molded item, performing defatting/sintering in an oxidative atmosphere so that the filament is evaporated off or eliminated by fire.

Inventors:
OKESAKU MASAHIRO (JP)
MIYAHARA MUTSUTO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/063627
Publication Date:
February 05, 2009
Filing Date:
July 30, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HOKURIKU SEIKEI IND CO LTD (JP)
TOKYO ELECTRON LTD (JP)
OKESAKU MASAHIRO (JP)
MIYAHARA MUTSUTO (JP)
International Classes:
D01D4/02; B28B1/26; B28B3/20
Foreign References:
JP2007051015A2007-03-01
JPH05132374A1993-05-28
JP2003181326A2003-07-02
Attorney, Agent or Firm:
KOHORI, Susumu et al. (1-1Hakataekimae 1-chome, Hakata-k, Fukuoka-shi Fukuoka 11, JP)
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Claims:
 軸心に平行な貫通孔を少なくとも一個有する流体用ノズルのノズル部材であって、貫通孔の直径寸法が100μm乃至10μmであり、かつ貫通孔の直径Dと長さLとの比L/Dが5以上であり、相対密度が95%以上のセラミックス材料で形成したノズル部材。
 ノズル部材を形成するセラミックス材料のビッカース硬さHvが1000以上である請求項1に記載のノズル部材。
 ノズル部材を形成するセラミックス材料が、純度99.5%以上のAl 2 O 3 の1質量%以下をMgO及びY 2 O 3 の少なくともいずれか一方で置換したアルミナ系セラミックス材料である請求項1または請求項2に記載のノズル部材。
 ノズル部材を形成するセラミックス材料が、含有不純物成分の量が0.5質量%以下である、ムライト系セラミックス材料、Al 2 O 3 とY 2 O 3 との複合材料、またはZrO 2 系のセラミックス材料からなる請求項1または請求項2に記載のノズル部材。
 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のノズル部材の製造方法であって、セラミックス材料の原料粉末に押出成形用バインダと水分を配合した混練体を得、次いで合成樹脂または炭素材料からなるフィラメントを、フィラメントガイドとオリフィスとを組み付けた押出成形用型内に挿通し、この押出成形用型内に前記混練体を圧力をかけて供給することにより軸心方向にフィラメントを包含した押出成形体を得、この押出成形体を所定長さに切断し乾燥させてグリーン体とし、このグリーン体を焼成して脱脂及び焼結する過程で、フィラメントを蒸発及び焼失させて軸心に平行な貫通孔を形成するノズル部材の製造方法。
 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のノズル部材の製造方法であって、セラミックス材料の原料粉末に押出成形用バインダと水分を配合した混練体を得、次いで合成樹脂、炭素材料または金属材料からなるフィラメントを、フィラメントガイドとオリフィスとを組み付けた押出成形用型内に挿通し、この押出成形用型内に前記混練体を圧力をかけて供給することにより軸心方向にフィラメントを包含した押出成形体を得、この押出成形体の乾燥体を所定長さに切断するとともに前記フィラメントを引き抜いて除去することによりノズル部材用のグリーン体とし、このグリーン体を脱脂、焼結することにより軸心に平行な貫通孔を形成するノズル部材の製造方法。
 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のノズル部材の製造方法であって、セラミックス材料の原料粉末と水及びバインダとを混合分散させたスラリーを得、次いで石膏または多孔質材料からなる鋳込成形用型の鋳込空間内の軸心方向に合成樹脂、炭素材料または金属材料からなるフィラメントを配置し、この鋳込成形用型内に前記スラリーを鋳込んでフィラメントを包含した鋳込成形体を得、この鋳込成形体から前記フィラメントを引き抜き、その後、乾燥、脱脂、焼結することにより軸心に平行な貫通孔を形成するノズル部材の製造方法。
 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のノズル部材の製造方法であって、セラミックス材料の原料粉末と水及びバインダとを混合分散させたスラリーを得、次いで石膏または多孔質材料からなる鋳込成形用型の鋳込空間内の軸心方向に合成樹脂または炭素材料からなるフィラメントを配置し、この鋳込成形用型内に前記スラリーを鋳込んでフィラメントを包含した鋳込成形体を得、その後、乾燥、脱脂、焼結することにより前記フィラメントを蒸発及び焼失させて軸心に平行な貫通孔を形成するノズル部材の製造方法。
Description:
ノズル部材及びその製造方法

 本発明は、気体や液体等の流体の放出や 射あるいは真空吸引等のために使用される 体用ノズルのノズル部材及びその製造方法 関する。

 従来から、気体や液体等の流体を複数個 放出口から放出あるいは噴射するノズルに 、一般的にノズル部材が使用されており、 ラツキのない仕事を実現するためには、ノ ル部材の流体通路となる貫通孔の直径寸法 差ができる限り小さく、高精度に形成され しかも貫通孔内壁面の面粗度が小さく形成 れている必要がある。

 これらのノズル部材の貫通孔は、その直 寸法が小さい微細孔として形成される場合 多く、また複数の貫通孔をノズル部材の軸 方向に形成したものも多々見受けられる。

 例えば、特許文献1には、複数個の吐出孔 を形成したノズルピースをノズル本体に装着 することにより、ノズル本体の吐出孔の数を 増やすことができ、またノズル本体の吐出孔 の数に対してノズルピースの数を相対的に減 らすことができるようにした紡糸用のノズル が開示されている。

 また、特許文献2には、吐出孔の直径寸法 が0.2mmで、吐出孔内壁面の面粗度が1S以下の 糸用のノズル(口金)が開示されている。

 これらの紡糸用のノズルの吐出孔は、一 的に直径が小さい場合で0.2mm程度で、しか 内壁面粗度が小さい程好ましいため、レー ー加工や精密加工で吐出孔を形成した後に 内壁面の研磨仕上げが行われている。

 ところで、紡糸用のノズルには複数個(数 十個)の吐出孔を形成する必要があるが、ノ ル本体に直接吐出孔を形成加工する場合、 数個の吐出孔のうちの一個でも形成加工不 が発生すると、材料費と多大な工数を投入 たノズル全体を不良品として処分せざるを なくなる。したがって、これらの製造費用 失を軽減するために、上記特許文献1のよう 、射出成形法等により吐出孔を一個以上有 るノズル部材(ノズルピース)を別途製作し おき、ノズル本体に予め形成していた装着 (貫通孔)にノズル部材を装着固定する製造方 法が採用される。

 この製造方法を採用する場合は、ノズル 材の数を少なくして吐出孔の数を相対的に くする方が製造コストを安価にでき、しか 吐出孔の数が多い程紡糸能率が向上するの 、ノズル部材に形成する吐出孔は、できる り個数が多い程好ましく、さらに直径寸法 小さい程極細繊維を製造するのにも好適で るとされている。

 また、吐出孔内壁面は、溶融樹脂の流通 抗に大きく影響を与え、かつ紡糸された糸 品質にも関係するので、面粗度が1S以下と さい程好ましい。

 ところで、吐出孔も含めた流体の微細通 を形成する方法として最も簡便で最適な方 として多用されている射出成形法あるいは 出成形法により、複数の貫通孔(微細孔)を するノズル部材を製作する場合は、それぞ の成形用型に用いる貫通孔形成用のピン(丸 )の直径が0.2mm(200μm)以下、さらには0.1mm(100μ m)以下になると、ピンが曲がったり折れたり て破損するトラブルが発生するため、製造 非常に困難な状態になる。

 一方、理想的なノズル特性として、ノズ の貫通孔から流体を放出する場合は、流体 乱流現象を伴うような放出状態となると不 合が生じ、できる限り層流状態のストレー な放出流体の形成が要求される用途が多々 る。このような層流状態の放出流体の形成 要求される用途に適するノズル部材の貫通 は、その直径Dと長さLとの比L/D(アスペクト )をできるだけ大きくすることが必要不可欠 であり、そのアスペクト比は5以上、より好 しくは20以上とするのが好適で、しかも貫通 孔内壁面の面粗度が小さい程、流体の流通抵 抗が小さくて乱流現象が発生しないのでより 好ましい。

 しかしながら、直径が200μm以下、好まし は100μm以下で、アスペクト比が5以上の貫通 孔の形成方法として、射出成形法あるいは押 出成形法を採用する場合は、前述したように 成形用型に用いるピンの変形や破損の問題が ある。また、レーザー加工法では貫通孔の長 手方向の直径を全長にわたって同一にするこ とが困難で、かつ貫通孔内壁面の研磨が非常 に困難になる。あるいは、マイクロドリル等 の工具によって貫通孔を加工形成する方法で は、工具の直径が小さくなる程、孔加工抵抗 よりも工具の剛性が不足状態となり、工具の 変形や破損が頻発して孔加工が困難となり、 さらには貫通孔の直径が100μm以下になると工 具による孔加工は非常に困難になる。さらに は、射出成形法ではセラミックス材料用粉末 に20%程度の熱可塑性樹脂を配合するために、 相対密度の高い緻密な焼結体が得られない。

 このように、従来、直径が100μm以下で、 スペクト比が5以上の貫通孔を有するノズル 部材は非常に製作困難であり、さらには50μm 下でアスペクト比が5以上の微細孔からなる 貫通孔は実現されていない。すなわち、従来 のノズル部材では貫通孔を小さくすることが 困難なため、用途範囲が限られており、多用 途にわたって高品質の仕事を実現することが できない。

 他方、半導体製造工程等で多用されてい 真空吸着板には、研磨加工時の吸着板のほ 、特許文献3に開示されているように、一般 的にセラミックス材料あるいはその他の硬質 材料からなる多孔質材料が用いられている。 しかしながら、多孔質材料からなる真空吸着 板は、その製造方法としてセラミックス等の 原料粉末を板状に成形した後、焼結する方法 が採用されているので、真空吸着板全面の気 孔率が一定でなくバラツキが存在する場合が 多く、また半導体等に接する面の気孔径が大 小様々に分布しているので、各気孔径に応じ た吸引力が発生する結果、極めて薄い半導体 は、気孔径が大きい部分で吸引力により凹み 変形を伴うことになるとともに、多孔質材料 は材料強度が低いために、材料の摩耗粒子あ るいは微細な破損粒子が生じて、半導体に傷 を発生させるおそれもある。

 また、多孔質材料からなる真空吸着板は 一般的に最大気孔径は数百μmに達しており しかも通気率が非常に大きいので、真空吸 板の吸着面直径よりも小さな各種サイズの 導体を吸着して移動させる際に、小径寸法 半導体の接触面以外の部分に真空吸着力が 費されるので、各種サイズの半導体を均等 吸着することができない場合がある。この うな問題点を解決するために特許文献3の真 空吸着板では、異なる寸法の各種同心円上に 吸着孔に樹脂を含浸させて吸気を遮断する封 印部を設けるなどの処置が必要となる。

 これに対して、直径が100μm以下で、アスペ ト比が5以上といった微細で長い貫通孔を有 する本発明のノズル部材を真空吸着板に適用 すれば、安定した流体の流れに基づく安定し た吸着力が得られ、前述の問題は解消される ことになる。さらには、各種ガス成分からな る気体を放出する場合は、貫通孔内の流体抵 抗が小さいので、気体の供給圧力を低くする ことができる省エネ効果が得られる。

特開平10-88416号公報

特開2001-3221号公報

特開平6-143073号公報

 本発明が解決しようとする課題は、流体 安定した流れを得ることができ、高品質の 事を実現できるノズル部材の提供、さらに 微細で長い貫通孔を有するノズル部材とそ 製造方法の提供にある。

 本発明のノズル部材は、軸心に平行な貫 孔を少なくとも一個有する流体用ノズルの ズル部材であって、貫通孔の直径寸法が100 m乃至10μmであり、かつ貫通孔の直径Dと長さL との比L/Dが5以上であり、相対密度が95%以上 セラミックス材料で形成したものである。

 すなわち、貫通孔の直径寸法を100μm乃至1 0μm、貫通孔の直径Dと長さLとの比L/D(アスペ ト比)を5以上とすることで、流体の安定した 流れが得られ、前述したような紡糸用、真空 吸着板用、気体の放出用、その他のノズル部 材として高品質の仕事を実現できる。

 本発明のノズル部材では、ノズル部材を 成するセラミックス材料のビッカース硬さH vが1000以上であることが好ましい。

 また、ノズル部材を形成するセラミックス 料としては、純度99.5%以上のAl 2 O 3 の1質量%以下を、MgO、TiO 2 、SiO 2 、Cr 2 O 3 、Y 2 O 3 、Ce 2 O 3 、Dy 2 O 3 等の粒成長抑制剤または焼結促進剤のうち少 なくとも一種で置換したアルミナ系セラミッ クス材料、あるいは、含有不純物成分の量が 0.5質量%以下の、ムライト系セラミックス材 、Al 2 O 3 とY 2 O 3 との複合材料、あるいはY 2 O 3 成分が99%以上のセラミックス材料、またはZrO 2 系のセラミックス材料を用いることができる 。またさらには、純度99.5%以上のAl 2 O 3 の5質量%以下をZrO 2 で置換したセラミックス材料を用いることも できる。

 本発明のノズル部材の製造方法の一態様 、セラミックス材料の原料粉末に押出成形 バインダと水分を配合した混練体を得、次 で合成樹脂または炭素材料からなるフィラ ントをフィラメントガイドとオリフィスと 組み付けた押出成形用型内に挿通し、この 出成形用型内に前記混練体を圧力をかけて 給することにより軸心方向にフィラメント 包含した押出成形体を得、この押出成形体 所定長さに切断し乾燥させてグリーン体と 、このグリーン体を焼成して脱脂及び焼結 る過程で、フィラメントを蒸発及び焼失さ て軸心に平行な貫通孔を形成するものであ 。

 また、前記と同様の方法によって合成樹 、炭素材料または金属材料からなるフィラ ントを包含した押出成形体を得、この押出 形体の乾燥体を所定長さに切断するととも 前記フィラメントを引き抜いて除去するこ によりノズル部材用のグリーン体とし、こ グリーン体を脱脂、焼結することにより軸 に平行な貫通孔を形成することもできる。

 本発明のノズル部材の製造方法の別態様 は、セラミックス材料の原料粉末と水及び インダとを混合分散させたスラリーを得、 いで石膏または多孔質材料からなる鋳込成 用型の鋳込空間内の軸心方向に合成樹脂、 素材料または金属材料からなるフィラメン を配置し、この鋳込成形用型内に前記スラ ーを鋳込んでフィラメントを包含した鋳込 形体を得る。そして、フィラメントが金属 の場合は、鋳込成形体から金属線を引き抜 、その後、乾燥、脱脂、焼結することによ 軸心に平行な貫通孔を形成する。一方、フ ラメントが合成樹脂または炭素材料の場合 、フィラメントを包含した鋳込成形体を乾 、脱脂、焼結することにより前記フィラメ トを蒸発及び焼失させて軸心に平行な貫通 を形成することができる。なお、合成樹脂 たは炭素材料からなるフィラメントを用い 場合でも、金属線を用いた場合と同様に鋳 成形体から引き抜いた後、乾燥、脱脂、焼 することにより軸心に平行な貫通孔を形成 ることもできる。

1.貫通孔の直径寸法を100μm乃至10μm、貫通 の直径Dと長さLとの比L/D(アスペクト比)を5以 上で必要に応じて非常に大きくできるので、 乱流現象のない層流で安定した流体の流れが 得られ、紡糸用、真空吸着板用、気体や液体 の放出や噴射用、その他のノズル部材として 優れた性能を発揮することができる。

2.本発明の製造方法によれば、従来製造が 難であった直径寸法が100μm以下で、アスペ ト比が5以上の微細で長い貫通孔を一個また は複数個有するノズル部材を押出成形法ある いは鋳込成形法で容易に製造できる。

3.本発明の製造方法によって得られたノズ 部材の貫通孔の内壁面は、焼結した状態で1 S以下、さらには0.5S以下の面粗度が確保でき ので、貫通孔の内壁面を研磨する工程を省 でき、製造コストを大幅に削減できる。


4.一定寸法の直径を有するフィラメントを使 することにより、各貫通孔の直径寸法をバ ツキなく高精度に形成できるので、気体や 体の放出や吸引量がいずれの貫通孔も同一 コントロールできる。


5.貫通孔の内面が緻密でしかも面粗度が非常 優れているので、気体や液体の流通に伴う 体抵抗による圧力損失が小さいので、加圧 を少なくできる省エネ効果が発揮できる。

 以下、実施例に基づき本発明の実施の形 を説明する。

 流体用ノズルのノズル部材を形成するセラ ックス材料の原料として、純度が99.9%以上 平均粉末粒子径が0.6μmのAl 2 O 3 原料の0.4質量%と0.1質量%をそれぞれ高純度で 粉末粒子のMgOとY 2 O 3 で置換したアルミナ系セラミックス材料100質 量部に対して押出成形用バインダ6質量部を えて混練機で混合しながら水を少量ずつ所 量まで加えて混練体を作製した。

 一方、図1に示す押出成形用金型のノズル ボディ1の軸心に配設したフィラメントガイ 2に設けている7箇所のガイド孔2aは寸法公差 ±1μm以内に形成しておき、このガイド孔2a 、バックテンション機能を有するフィラメ ト供給部3から直径70μmの合成樹脂製のフィ メント4を引き出して挿通し、このフィラメ トをノズルボディ1の下部に組み付けたオリ フィス5の中を通して張力をかけた状態で引 っておき、押出成形準備を整えておく。

 なお、バックテンション機能を有する給 部3は、ノズルボディ1の上端に一体的に設 られたテーパー状凹部3aに、ノズル部材の貫 通孔に対応する細孔を形成したネオプロピレ ンゴム等の弾性体3bの細孔に真空ガン等を利 してフィラメント4を挿通した上でこの弾性 体3bをセットし、締付キャップ3cにより締付 Xが零になる方向に締め込むようにしたもの ある。これにより、弾性体3bの細孔が縮小 てフィラメント4を締め付けることによりバ クテンションの強さを最適の状態に調整す ことができる。なお、押出成形用金型に圧 された混練体は、フィラメント4がフィラメ ントガイド2内をオリフィス5方向に進行する で、ガイド孔2a内に入り込むことが防止さ る。

 次いで、前記の混練体を図示しないシリ ダーから高圧力で押出成形用金型に矢印方 に供給することにより、混練体とフィラメ ト4はオリフィス5から丸棒状に押し出され フィラメント4を包含した状態の押出成形体M が得られる。あるいはまた、図1のバックテ ション機能を有するフィラメント供給部3を くする代わりに、各フィラメントを回転ト クを有するローラー(テンションローラー) 経由させることにより、同様の押出成形を うことができる。

 この押出成形体Mを所定長さに切断し乾燥 させてノズル部材のグリーン体とし、このグ リーン体を大気雰囲気で600℃まで徐々に昇温 して脱脂するとともにフィラメント4の大部 を蒸発焼失させ、次いで1500℃で焼結するこ により、フィラメント5を完全に焼失させる 。これを所定長さ寸法に加工することにより 、図2に示すような外径寸法が1.5mm、貫通孔6a 直径寸法が50μmで、しかも貫通孔6aの内壁面 の面粗度が0.8S以内、比重が3.92、ビッカース さHvが1750の特性を有するノズル部材6を製作 した。

 なお、本実施例では、フィラメント4とし て中実の合成繊維を用いたが、長手方向に空 洞を有する中空状のフィラメントを用いるこ ともできる。これにより、脱脂、焼結時にお ける合成樹脂の熱膨張あるいは急激な蒸発に より貫通孔に割れが発生する等の問題をなく すことができる。また、合成樹脂の代わりに 炭素材料からなるフィラメントを用いると、 炭素材料は熱膨張係数が小さいので、脱脂、 焼結時におけるフィラメント4の熱膨張によ て発生する貫通孔の割れを防止できる。あ いはまた、フィラメント4を押出成形体Mから 抜き取った状態で、脱脂、焼結することもで きる。

 また、図3に示す別方式の押出成形用金型 を使用することもできる。この押出成形用金 型では、ノズルボディ1の軸心に混練体を矢 A方向に押し出す通路となるニードル7の外周 に、図4に示すようなリング状のフィラメン ガイド20を設けている。このフィラメントガ イド20の同心円上に設けた30個のガイド孔に 空状の合成樹脂からなるフィラメント4を挿 して引張っておき、図示しない高圧シリン ーから混練体を矢印A及びB方向に圧入する これにより、混練体はニードル7の中を直進 、またオリフィス5とニードル7の外周との からも曲線矢印方向Cに進入し、ニードル7の 先端部7aで合流一体化して丸棒状になり、フ ラメント4を包含した状態の押出成形体Mが られる。

 なお、矢印A及びB方向に圧入する混練体 量は、ニードル7の先端部7aの内側と外側を る単位時間当たりの体積を同じにすること より、ニードル7の先端部7aにおける内外差 ない均質な押出成形体が得られる。また、 給するフィラメント4は、ニードル7の上部外 周の後方にセットした図示していないテンシ ョンローラーを介することにより、バックテ ンションを与えることができる。

 また、フィラメントガイド20に設けるガ ド孔20aは、図4(a)のように一列に配列するほ 、押出成形体Mの外径寸法を5mm程度よりも大 きくして、図4(b)に示すように複数列に配列 ることにより、100箇所以上の貫通孔を有す ノズル部材を製造することもできる。

 ノズル部材を形成するセラミックス材料の 料として、塩化アルミニウム溶液とエチル リケート溶液とをAl 2 O 3 成分が65~75質量%及びSiO 2 成分が35~25質量%になるように配合した溶液か ら共沈法で作製したムライト用原料粉末を準 備した。

 また、Al 2 O 3 とY 2 O 3 との複合材料を形成するセラミックス材料の 原料として、純度99.5%で平均粉末粒子径が0.8 mのAl 2 O 3 粉末99質量%と純度が99.9%で平均粒子径が0.6μm び0.3μmのY 2 O 3 粉末1質量%との混合粉末を準備した。


 さらに、純度が99.5%で平均粒子径が0.4μmのAl 2 O 3 粉末の5質量%及び3質量%を2.5モル%のY 2 O 3 で部分安定化したZrO 2 粉末で置換した混合粉末を準備した。


 またさらに、ZrO 2 系のセラミックス材料の原料として、2.5モル %Y 2 O 3 で部分安定化した純度99.5%以上で平均粉末粒 径が0.3μmのZrO 2 粉末、あるいはこのZrO 2 粉末が75質量%以上で残部として実施例1で用 たAl 2 O 3 原料を混合したZrO 2 系の粉末を準備した。

 これらのセラミックス材料の原料粉末を い、それぞれ実施例1と同様の製造方法でノ ズル部材を製作した。これにより、いずれの 材料も相対密度が95%以上でビッカース硬さHv 1000以上で、貫通孔6aの内壁面の面粗度が1S 下のノズル部材が得られた。

 純度が99.99%以上で平均粉末粒子径が0.5μmのA l 2 O 3 原料粉末100質量部に対して、100Lの水とエマ ジョンタイプのワックス系バインダを固形 濃度で4質量部と消泡剤を0.5質量部と解膠剤 0.5質量部加えてボールミルで粉砕混合して たスラリーを準備した。

 一方、このスラリーから鋳込成形により ズル部材を製作するために、図5に示す多孔 質樹脂材料で形成した鋳込成形用型を用いた 。この鋳込成形用型は、鋳込成形用型9の底 部材10に設けられた7個の細孔に直径100μmの 成樹脂または炭素材料あるいは金属材料等 らなるフィラメント11をできる限り隙間のな い状態で挿通し、フィラメント11を鋳込成形 型9の軸心方向に配置した状態とし、底板部 材10の突起部10a周りに、多孔質樹脂型として 割状の吸水筒12を隙間のない状態で組み付 、上下のOリング溝13a及び13bにそれぞれOリン グ14a及び14bを取り付けて真空吸引筒15内に装 することにより、上下のOリング14a,14b間に 置する吸水筒12部分からスラリー中の水分を 吸水吸引する機構となっている。なお、フィ ラメント11の基端(下端)は底板部材10の下方に 配置した多孔質材料ではないフィラメント固 定板16に固定されている。

 このように鋳込成形用型9の軸心方向に配 置したフィラメント11の上端部分をテンショ ガイド17に係止し、若干の張力を掛けた状 で固定する。その後、鋳込成形用型9のスラ ー注入口9aから準備していたスラリーをス リー鋳込空間9b、すなわち吸水筒12内に注ぎ み、真空吸引筒15内を真空排気する。この 空排気によりスラリー中の水分が吸水吸引 れる。次いで、水分が吸水吸引されるに従 てスラリー液面が下がるのでスラリーを補 し、一定時間静置して充分に水分を吸水吸 させる。

 その後、金属材料からなるフィラメント1 1(金属線)を用いた場合は、フィラメント固定 板16とともに金属線を鋳込成形用型9の軸心方 向と平行に引き抜き、次いで真空吸引筒15の 部から全体を取り出して吸水筒12を取り外 ことにより、鋳込成形体が得られる。これ 乾燥、脱脂、焼結した後、所定の長さに切 して全長が15mmで、外径が1.2mmで、7箇所の貫 孔の直径が80μmで、しかも貫通孔内壁面の 心と平行方向の面粗度が1S以内で、比重が3.9 5(相対密度が99.1%)で、ビッカース硬さHvが1800 ノズル部材が得られた。

 なお、具体的なフィラメント材料として 、合成樹脂製の鮎釣り用ハリスや、ピアノ のほか、高引張強度の金属線として、タン ステン線やモリブデン線を使用することに り優れた貫通孔を形成できる。ここで、フ ラメント11として金属線を用いる場合は、 膜または離型剤を塗布するか、テフロン(登 商標)でコーティングしたピアノ線等を使用 することにより、引き抜きが容易になること がある。

 また補足すると、フィラメント11として 成樹脂または炭素材料を用いた場合は、引 抜くことなく、実施例1と同様にそのまま脱 乃至焼結して蒸発及び焼失させることがで る。

 あるいはまた、多孔質樹脂材料製の鋳込 形用型の代わりに、従来から一般的に多用 れている石膏型によって鋳込成形を行う場 は、底板部材10と肉厚を厚くした吸水筒12と を石膏型で形成することによって、吸水筒12 石膏型がスラリーの水分を吸収するのでOリ ング14a,14bと真空吸引筒15とが不要となるが、 その他の型部材と型構成は前述の多孔質樹脂 材料製型を用いたのと同様であり、また鋳込 成形方法も同様の方法を採用することができ る。

 ノズル部材を形成するセラミックス材料の 料として、実施例2で用いたのと同じムライ ト用原料粉末、Al 2 O 3 とY 2 O 3 との混合粉末、Y 2 O 3 で部分安定化したZrO 2 粉末及びZrO 2 の一部をAl 2 O 3 で置換したZrO 2 系の粉末を用いた。

 これらのセラミックス材料の原料粉末を用 、それぞれ実施例3と同じくその原料粉末に 適した所定量の水、エマルジョンタイプのワ ックス系バインダ、消泡剤及び分散剤や解膠 剤を加えて鋳込成形用のスラリーを作製し、 次いで実施例3と同様に鋳込成形乃至焼結工 を経ることにより、貫通孔内壁面の面粗度 1S以内で、相対密度が95%以上で、ビッカース 硬さHvが1000以上(2.5モル%Y 2 O 3 で部分安定化したZrO 2 が最も低くHvが1050)の各種セラミックス材料 らなるノズル部材が得られた。

 以上の実施例1乃至4によって図2(a)及び(b) 示すような貫通孔6aが7個(少なくとも1個)で アスペクト比が5以上のセラミックス材料か らなるノズル部材6を得ることができ、さら は図6の平面図に示すように、36個あるいは れ以上の貫通孔6aを有するノズル部材6を得 こともできる。なお、押出成形法によれば 常に長い成形体が得られるので、グリーン の段階あるいは焼結体の段階で、用途に応 た最適の長さに切断する。

 そして、これらのノズル部材6を図7(a)に すようにノズル本体18に形成されたノズル部 材装着孔18aにノズル本体18の厚み方向の全長 わたって装着したり、図7(b)に示すようにノ ズル部材装着孔18aの上下いずれかの端面側あ るいは端面から離れた位置に装着したりして 、流体放出用ノズルとして使用することがで き、あるいは真空吸引用ノズルとして作用さ せることにより真空吸着板として使用するこ とができる。

 さらに、通常の流体放出用ノズルのよう 単一の貫通孔のみから放出される流体を、 発明のノズル部材では複数個の貫通孔に分 することができるので、流体の流速を低減 せて広い範囲から放出させることができる また、本発明によれば、一個のノズル部材 微細な貫通孔を容易に多数個形成できるの 、従来のノズル部材の貫通孔の数を数倍以 に増加させるとともに、ノズル本体の全面 数多くの貫通孔を分散させることができる

 ここで、ノズル部材を形成するセラミッ ス材料の硬さが低いと、例えば紡糸用口金 おいては紡糸品質の低下、真空吸着板にお ては吸着面の摩耗による吸着の劣化やバラ キの発生、さらには微細な貫通孔が摩耗し 場合には流体通過量のバラツキ等のトラブ が発生するようになる。

 したがって、ノズル部材の耐摩耗性は非 に重要であり、ノズル部材を形成する材料 硬さは、ビッカース硬さHvを1000以上にする 要がある。このノズル部材の硬さは、材料 相対密度と関係しており、相対密度が95%未 では材料の緻密度不足に伴う硬度の低下や 貫通孔内面の面粗度劣化による流体抵抗の 大が避けられなくなる。

 またさらに、ノズル部材を形成するセラミ クス材料の純度は、流体用ノズルが様々な 体あるいは雰囲気に晒されることから、で る限り高純度であることが肝要であり、酸 アルカリあるいは腐食性ガスの流体に侵さ る不純物の量は1質量%以下、より好ましく 0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下 にする必要がある。なお、Al 2 O 3 の一部を置換するMgO他の成分は平均粒子径が 1μm以下、より好ましくは0.5μm以下とし、微 末である程少量の置換によってMgOやY 2 O 3 と同様の効果を発揮する。

 なおまた、本発明のノズル部材はノズル 体に焼嵌めや一体焼結により装着すること できる。一体焼結の場合は、ノズル部材と 一材種または別材種のセラミックス材料か なるノズル本体の粉末成形体や脱脂体ある は仮焼結体に形成した装着孔にノズル部材 挿入し一体的に焼結結合させる。この際、 ズル本体に形成する装着孔は、ノズル本体 焼結収縮してノズル部材に圧縮力を与える うな寸法に形成する。

 また、本発明のノズル部材のセラミック 材料は、酸化物系のセラミックス材料のほ 、非酸化物系の炭化物や窒化物や硼化物、 るいは酸化物系や非酸化物系の複合材料で 成することができる。そして、これらの各 セラミックス材料に適した混合、混練用の 媒やバインダを選択し、また脱脂乃至焼結 の炉内雰囲気に非酸化性雰囲気を採用する とによりノズル部材を製造できる。ただし 非酸化物系のセラミックス材料で形成する 合は、非酸化性の炉内雰囲気を採用するの 、合成樹脂や炭素材料からなるフィラメン が炭化物の状態で残留しないようにするた に、押出成形あるいは鋳込成形時に用いた ィラメントを引き抜いておく必要がある。


 またさらに、合成樹脂、炭素材料及びピア 線他のフィラメントの表面粗度は0.5S以内の 精度を有するものが大部分であり、これらを 使用することにより、貫通孔内面の面精度を 0.4Sさらには0.3S以内に形成することができる

 本発明は、紡糸用ノズル等の流体放出用 ズル、真空吸引用ノズル、その他各種の流 用ノズルのノズル部材に利用可能である。

本発明のノズル部材の製造に使用する 出成形用金型の構成を示す。 本発明のノズル部材の一例を示し、(a) 平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。 押出成形用金型の他の例を示す。 図3のフィラメントガイドの一態様を示 し、(a)は斜視図、(b)は端面図の他の例である 。 本発明のノズル部材の製造に使用する 込成形用型の構成を示す。 本発明のノズル部材の一例を示す平面 である。 本発明のノズル部材を使用した流体用 ズルの構成例を示す。

符号の説明

 1 ノズルボディ
 2、20 フィラメントガイド
 2a、20a ガイド孔
 3 給糸部
 3a テーパー状凹部
 3b 弾性体
 3c 締付キャップ
 4 フィラメント
 5 オリフィス
 6 ノズル部材
 6a 貫通孔
 7 ニードル
 7a ニードルの先端部
 8 フィラメントガイドのニードル部
 9 鋳込成形用型
 9a スラリー注入口
 9b スラリー鋳込空間
 10 底板部材
 10a 突起部
 11 フィラメント
 12 吸水筒(石膏型または多孔質樹脂型)
 13a、13b Oリング溝
 14a、14b Oリング
 15 真空吸引筒
 16 フィラメント固定板
 17 テンションガイド
 18 ノズル本体
 18a ノズル部材装着孔