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Title:
OIL-CONTAMINATED WATER REUTILIZATION SYSTEM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001676
Kind Code:
A1
Abstract:
An oil-contaminated water reutilization system designed to purify any oil-contaminated water occurring at oil production and reutilize the same. The oil-contaminated water reutilization system has the following characteristics. Any oil-contaminated water (W1) occurring at oil production is subjected to flocculation magnetic separation by means of a flocculation magnetic separator (10) to thereby obtain a preliminary purified water (W2) free from the oil contamination components contained in the oil-contaminated water (W1). From the obtained preliminary purified water (W2), any water-soluble organic matter dissolved in the oil-contaminatedwater (W1) is removed by a COD removing unit (30) adapted to carry out ozonolysis to thereby obtain a COD treated water (W3). Further, the COD treated water (W3) is distilled by means of a solar heat distiller (50) so as to remove salt contents, thereby obtaining reusable purified water (W4).

Inventors:
MOCHIZUKI AKIRA (JP)
SHINOMURA TOMOKO (JP)
SAHO NORIHIDE (JP)
ISOGAMI HISASHI (JP)
MIYAKE RYO (JP)
FUJII TATSUO (JP)
HONJI AKIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060675
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
June 11, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI LTD (JP)
MOCHIZUKI AKIRA (JP)
SHINOMURA TOMOKO (JP)
SAHO NORIHIDE (JP)
ISOGAMI HISASHI (JP)
MIYAKE RYO (JP)
FUJII TATSUO (JP)
HONJI AKIO (JP)
International Classes:
C02F1/14; A01G7/00; A01G25/00; C02F1/04; C02F1/28; C02F1/72; C02F1/78; C02F9/00
Domestic Patent References:
WO2006049149A12006-05-11
Foreign References:
JP2005087799A2005-04-07
JPS63258699A1988-10-26
JP2002273261A2002-09-24
JPS61103593A1986-05-22
Attorney, Agent or Firm:
Polaire I.P.C. (Chuo-ku, Tokyo 32, JP)
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Claims:
 石油生産の際に発生する油濁水から被除去物である油濁成分を除去した処理水を生成する処理水生成手段と、
 前記生成した処理水から被除去物である水溶性有機物を除去するCOD除去手段と、
 前記水溶性有機物が除去された処理水に熱を加えることにより被除去物である塩分を除去して有用水を得る塩分除去手段と、を含んで構成されることを特徴とする油濁水再利用システム。
 前記処理水生成手段は、
 油濁水に、油濁成分を凝集させる凝集剤および磁性成分を添加することで磁性フロックを生成させる磁性フロック生成手段と、
 生成した磁性フロックを磁気の作用で吸引捕集する磁気分離手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の油濁水再利用システム。
 前記COD除去手段は、
 オゾン分解処理、フェントン処理、電気分解処理、および活性炭吸着処理のうちの少なくとも1つを用いてCODを除去する手段であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油濁水再利用システム。
 前記塩分除去手段は、
 太陽熱で加熱することにより前記処理水に熱を加える太陽熱蒸留器であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の油濁水再利用システム。
 前記塩分を除去した処理水を、植物の栽培に利用することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の油濁水再利用システム。
 石油生産の際に発生する油濁水から被除去物である油濁成分を除去した処理水を生成する処理水生成手段と、
 前記処理水から被除去物である塩分を除去して有用水を得る塩分除去手段と、を含んで構成され、油濁水から乾燥地での植物栽培用の有用水を生成する油濁水再利用システムであって、
 前記処理水生成手段は、
 油濁水に油濁成分を凝集させる凝集剤および磁性成分を添加することで磁性フロックを生成させる磁性フロック生成手段と、
 生成した磁性フロックを磁気の作用で吸引捕集する磁気分離手段と、を備えることを特徴とする油濁水再利用システム。
 前記処理水生成手段により生成された処理水から、被除去物である水溶性有機物を除去するCOD除去手段を備え、
 オゾン分解処理、フェントン処理、電気分解処理、および活性炭吸着処理のうちの少なくとも1つを用いて、前記処理水のCODを除去することを特徴とする請求項6に記載の油濁水再利用システム。
 前記塩分除去手段は、
 太陽熱で加熱することにより前記処理水に熱を加える太陽熱蒸留器であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の油濁水再利用システム。
Description:
油濁水再利用システム

 本発明は、石油生産の際に発生する油濁水 浄化して再利用する油濁水再利用システム 関する。

 現在、ほとんどの石油生産は水攻法によ て水圧を用いて、油層圧力を高めて行われ 。そのため、生産初期は石油のみ生産でき が、徐々に水(油濁水)の比率が高くなる。

 油濁水の比率が高くなると、パイプライ 等の流量の関係から、石油の生産量が低減 るため、生産現場では油濁水を浄化処理し 廃棄する必要がある。

 このような課題に対応するため、例えば 許文献1には、油濁水に含まれる油濁成分な どの固形汚濁物を除去する浄化装置として適 用できる固液分離装置が開示されている。特 許文献1に開示された固液分離装置は、細め 金網や高分子繊維で編んだメッシュを通水 離膜として使用し、被分離物質である汚濁 子を有する油濁水に、凝集剤と磁性粉を添 して磁性フロックを生成し、この磁性フロ クを通水分離膜で分離し、通水分離膜で分 された磁性フロックを磁場発生手段で発生 せた磁気により吸引捕集して高濃度スラッ として回収するものである。

 また、例えば特許文献2には、油濁水を多 孔質膜で濾過する技術が開示されている。特 許文献2に開示された技術は、孔径が0.1μm以 の多孔質膜を使用し、油濁水と多孔質膜と 接触角を調整することで、効率よく油濁水 濾過するものである。

特開2002-273261号公報(段落0010、図1参照)

特開平09-234353号公報(段落0008参照)

 特許文献1、2に記載された技術は、油濁 の固形汚濁物を除去することで、油濁水を 化することができる。

 しかしながら、主な石油生産地は中東地 であるため、年間降水量が少なく、水は貴 な資源である。したがって、油濁水を浄化 て生成される浄化水の再利用の要望が高い

 従来開示されている技術で生成される浄 水は、油濁成分などの固形浮遊物、藻類、 類、微生物等の固形汚濁物は除去できるが 油濁水に溶解している水溶性有機物や塩分 では除去することができず、再利用可能な ベルまで浄化されていないという問題があ 。

 そこで、石油生産時に発生する油濁水を浄 して再利用することができる油濁水再利用 ステムを提供することを課題とする。

 前記した課題を解決するため、本発明に係 油濁水再利用システムは、処理水生成手段 COD除去手段で油濁水を浄化した後に、塩分 去手段で蒸留することで、浄化水を生成す 油濁水再利用システムとした。

 本発明によると、石油生産時に発生する油 水を浄化して再利用することができる油濁 再利用システムを提供することができる。

本実施形態に係る油濁水再利用システ の構成を示す図である。 凝集磁気分離機の概略を示す図である COD除去装置の構成を示す図である。 太陽熱蒸留器の一例を示す図である。 膜蒸留器の一例を示す図である。 ジャトロファ栽培畑を示す模式図であ 。

符号の説明

 1  油濁水再利用システム
 10 凝集磁気分離機(処理水生成手段)
 16 凝集槽(磁性フロック生成手段)
 20 回転円筒体(磁気分離手段)
 21 磁場発生手段(磁気分離手段)
 30 COD除去装置(COD除去手段)
 32 オゾン発生器
 33 活性炭処理槽
 50 太陽熱蒸留器(塩分除去手段)
 51 加熱器
 53 冷却槽
 54 凝縮槽
 W1 油濁水
 W2 1次浄化水(処理水)
 W3 COD処理水
 W4 浄化水(有用水)
 Wc 冷却水
 Pl 植物栽培プラント


《油濁水再利用システムの概要》
 本実施形態に係る油濁水再利用システムは 例えば、水攻法など水圧を用いて石油を生 する石油生産プラントに設置され、石油生 の過程で発生する油濁水に含まれる油濁成 などの固形汚濁物や水溶性有機物などの被 去物を分離、除去する。はじめに、本実施 態に係る油濁水再利用システムについて説 する。

 石油生産の際に発生する油濁水には、油 成分などの固形浮遊物、藻類、菌類、微生 等の固形汚濁物と、油濁水に溶解している 溶性有機物や塩分などの被除去物が含まれ 。このように油濁水に含まれる被除去物を 全に除去し、再利用可能なレベルまで浄化 るためには、蒸留による浄化が好ましいが 水溶性有機物が溶解している水を蒸留する 、蒸留の過程で蒸留装置に備わる加熱器の 管に水溶性有機物が析出して、導管が目詰 りを起こす場合がある。また、目詰まりし いまでも、導管の内側に析出する有機物の 積によって、導管内の流れが阻害されたり 熱の効率が低下したりする。また,蒸留によ り得られる蒸留水に水溶性有機物が含有され る懸念もある。したがって、水溶性有機物が 溶解した水をそのまま蒸留することができな い。

 そこで、本実施形態においては、油濁水に まれる固形汚濁物と水溶性有機物を除去し 後に蒸留して、塩分を除去することを特徴 する。

 図1は、本実施形態に係る油濁水再利用シ ステムの構成を示す図である。図1に示すよ に、油濁水再利用システム1は、石油生産現 における石油生産の過程で生産される油濁 W1に含まれる油濁成分などの固形浮遊物、 類、菌類、微生物等の固形汚濁物を凝集分 する凝集磁気分離機(処理水生成手段)10と、 集磁気分離機10によって固形汚濁物が除去 れた1次浄化水(処理水)W2に溶解している水溶 性有機物を除去して、化学的酸素要求量(COD:C hemical Oxygen Demand)の値を下げるCOD除去装置(CO D除去手段)30と、COD除去装置30によって水溶性 有機物が除去されたCOD処理水W3を、太陽熱を 用して蒸留し、溶解している塩分を除去し 浄化水(有用水)W4を生成する太陽熱蒸留器( 分除去手段)50と、を含んで構成される。

 前記のような油濁水再利用システム1で生 成される浄化水W4の利用方法はいろいろ考え れるが、本実施形態においては、植物栽培 ラントPlに利用して、植物の栽培用の水と る例を示した。

 石油生産の工程で発生する油濁水W1は、 集磁気分離機10に注入され、磁気を利用した 凝集分離によって固形汚濁物が除去される。 すなわち、凝集磁気分離機10は、油濁水W1の 形汚濁物を除去して1次浄化水W2を生成する この1次浄化水W2は、固形汚濁物は除去され いるが、水溶性有機物や塩分は溶解した状 で含まれている。

 一方、除去された固形汚濁物は汚泥とし 分離され、汚泥処理設備60で処理される。 泥には、油濁水W1に含まれる重金属や、凝集 磁気分離機10で加えられる凝集剤やマグネタ トなどの処理剤等が含まれるため、汚泥処 設備60で分離回収して、再利用できるもの ついては再利用し、廃棄するものについて 、必要に応じてさらなる処理(無毒化など)を 加えて廃棄する。

 凝集磁気分離機10で生成された1次浄化水W 2は、COD除去装置30に注入される。COD除去装置 30では、1次浄化水W2に溶解している水溶性有 物を、オゾンによる酸化作用を利用して除 することで1次浄化水W2のCODの値を下げて、C OD処理水W3を生成する。

 なお、1次浄化水W2はその一部を河川等に 流してもよい。

 また、COD除去装置30に注入される1次浄化 W2には塩分が溶解している場合がある。ち みに、海岸沿いの油田はもちろん、海岸線 ら数十キロメートルの内陸部にある油田で 、油濁水W1には1%程度の塩分が含まれている 合がある。しかしながら、無機物である塩 はCOD除去装置30で除去されない。したがっ 、COD除去装置30で生成されるCOD処理水W3には 分が溶解している場合がある。

 植物の栽培用の水については、栽培する 物の種類にもよるが、1%程度の塩分濃度を すると、植物に致命的な影響を与えること 知られている。このことから、本実施形態 かかるCOD除去装置30で生成されたCOD処理水W3 、植物の栽培には利用できない。

 しかしながら、COD処理水W3は、水溶性有 物が除去されているので、蒸留手段で蒸留 ることができる。したがって、COD除去装置30 で生成されたCOD処理水W3を太陽熱蒸留器50に 入して蒸留し、塩分を除去することができ 。

 太陽熱蒸留器50に注入されたCOD処理水W3は 、太陽熱蒸留器50において、太陽熱を利用し 加熱器で加熱されて蒸留される。そして、 陽熱蒸留器50は蒸留で得られる蒸留水を浄 水W4として生成する。

 なお、COD処理水W3に溶解している塩分は 太陽熱蒸留器50での蒸留過程において塩Sと て析出されることから、例えば貯蔵タンク 蓄えて保管し、適宜トラック等で処理場に んで処理すればよい。

 太陽熱蒸留器50で生成される浄化水W4は、 固形汚濁物、水溶性有機物、塩分等が除去さ れていることから、浄化水W4を様々な目的に 用することができる。

 図1においては、油濁水再利用システム1 生成された浄化水W4を、例えばバイオ燃料用 の植物(ジャトロファなど)の栽培用の植物栽 プラントPlに使用した。そして、バイオ燃 生産プラントなどで、植物栽培プラントPlで 栽培されたジャトロファなどの植物からバイ オ燃料を生産することができる。このように 、本実施形態に係る油濁水再利用システム1 よって油濁水W1から生成された浄化水W4は、 イオ燃料の生産に利用(再利用)することが きる。

 以下、油濁水再利用システム1を構成する各 機器について説明する。
《凝集磁気分離機》
 図2は、凝集磁気分離機の概略を示す図であ る。図2において、油濁成分等を含んだ油濁 W1は、ポンプPによって原水タンク12に送り込 まれて一旦溜められる。原水タンク12では、 ータMによって駆動される攪拌機12aによって 油濁水W1を攪拌する。攪拌された油濁水W1は 油濁水W1中の油は水面近傍に薄く広がると同 時にエマルジョン化して水中に分散する。凝 集磁気分離機10では、原水タンク12から出た 管にインラインミキサー13を介して再び原水 タンク12に戻るような循環経路14が設けられ おり、インラインミキサー13を運転して循環 経路14内で油濁水W1を循環させることにより 水タンク12内の水中油を充分にエマルジョン 化する。循環系を構成するインラインミキサ ー13、循環経路14を所定時間運転させて油濁 W1の油がエマルジョン化した後で、インライ ンミキサー13を止めて原水バルブ15を開ける

 なお、ここでは貯留式のエマルジョン生 法を示したが、連続式のAPI(American Petroleum  Institute)型、PPI(Parallel Plate Interceptor)型、CPI(C oagulated Plate Interceptor)型の油分離方式やサイ クロンを用いて油層を取り除き、エマルジョ ン状態の油濁水W1のみを凝集槽16へ送水する 式でも良い。

 これにより、エマルジョン化した油を含 油濁水W1は凝集槽16に流れ込む。この時、油 濁水W1に泥、砂、塩等の小さな固形物が入っ いると、これらの固形物は流れとともに凝 槽16に流入する。また、固形物によっては 油が表面に吸着しているものも存在する。

 凝集槽16では、鉄やアルミニウムの塩で る凝集剤、例えば硫酸第2鉄や塩化第1鉄、ポ リ塩化アルミニウム等を加えて、モータMで 動する攪拌機16aで攪拌し、凝集を起こさせ 。この時、同時にマグネタイト(四三酸化鉄) 等の磁性体の粒子(磁性成分)を添加すること より、油のエマルジョン粒子、水中の固形 濁物、磁性粒子が凝集して、数百マイクロ ートルから数ミリメートル程度の大きさの ロック(磁性フロック)が形成される(凝集槽1 6においてフロックを形成した水を以下、中 処理水と称す)。したがって、凝集槽16が磁 フロック生成手段となる。

 ここで、前記循環経路14によってエマル ョン化が充分に行えていないと、均一にフ ックを形成することができず、凝集剤の必 投入量が多くなる上に、汚泥発生量が増え 。さらに、フロックに取り込まれなかった 相が下流に流出して排水に含有するととも 、下流の分離装置を油で汚染してしまう。 た、凝集反応において、凝集剤は通常酸性 示すものが多いため、水酸化ナトリウム等 アルカリを入れてpHを調整するのが望ましい 。さらに、凝集課程中に高分子ポリマー等を 注入することによってフロックの強度を高め ることも可能である。この中間処理水を分離 部17に通水する。

 分離部17には、数マイクロメートルから 十マイクロメートル程度の目開きの回転濾 膜18が存在し、濾過膜によって濾過されて回 転濾過膜18内部に1次浄化水W2を得ることがで る。回転濾過膜18に堆積したフロックは洗 装置19による洗浄水によって剥がされ、回転 円筒体(磁気分離手段)20の近傍に落とされる 回転円筒体20の内側には、永久磁石、超電導 バルク磁石、あるいは電磁石の磁場発生手段 (磁気分離手段)21が取り付けられており、こ 磁場発生手段21の磁気力によってフロックは 吸引され、回転円筒体20の表面に沿って汚泥 収板22によって掻き取られて汚泥タンク23に 溜められる。汚泥回収板22による掻き取りは 中でなく大気中で行われるので、ある程度 水分は下に落下し、含水率の低い汚泥を得 ことができる。

 これにより、汚泥を処分する際のコスト 低減でき、場合によっては燃料を新たにほ んど加えなくても燃焼させることができる 油を中心とするフロックは比重が軽いため に浮くものが多い。しかし、水中の固形汚 物の影響や凝集剤の量によっては比重が重 なり水に沈むフロックも存在し、比重差に る水からの高除去率分離は難しい。この点 磁気力による分離は容易に高除去率を得る とが可能である。

 さらに、凝集剤として硫酸アルミニウム のアルミニウム化合物を使用することで、 濁水W1に含まれるホウ素を除去し、油濁水W1 のホウ素濃度を低くすることができる。ホウ 素が多量に含まれる水を植物の栽培に利用す ると植物に悪影響を及ぼすことが知られてい るため、ホウ素が多量に含まれる水を植物の 栽培に利用することは避けたほうがよい。

 とくに、中東地域のような乾燥した地域 は、乾燥が原因で土壌中のホウ素が過剰に りがちで、しばしばホウ素過剰による植物 生育障害を引き起こすことが知られている したがって、特に乾燥した地域での植物の 培に使用する水には、ホウ素が少ないこと 好ましい。例えば、ジャトロファの場合、 ウ素濃度が4ppm以上の水の使用は、致命的な 影響を与えることが知られている。

 本実施形態における、凝集磁気分離機10 、油濁成分である固形汚濁物の除去の際に わせてホウ素を除去することができ、油濁 W1のホウ素濃度を下げることができるので、 ホウ素濃度が4ppm未満になるように設定(凝集 16で使用するアルミニウム化合物の種類や 、攪拌時間の設定など)することで、図1に示 すように、油濁水再利用システム1で生成さ る浄化水W4を、ジャトロファの植物栽培プラ ントPlにも利用することができる。

 なお、栽培する植物の種類や、栽培する 境条件(土壌や気象など)によって、許容さ るホウ素濃度は異なることも知られており 凝集磁気分離機10で除去するホウ素の量は適 宜設定すればよい。本実施形態の油濁水再利 用システム1によれば、前記のように例えば ルミニウム化合物の種類や量、攪拌時間な を適宜設定することで、ホウ素濃度を幅広 設定できる。

 さらに、後段の処理である蒸留によって ホウ素を除去できるため、さらにホウ素濃 を低くすることができ、乾燥した地域にお る植物栽培に好適な水(浄化水W4)を得ること ができる。

 また、凝集磁気分離機10に使用する磁石 、永久磁石や電磁石でも効果はあるが、超 導のバルク体、特に高温超電導のバルクを 用すれば小型で大きな磁気力を発生できる め、高除去率装置として適している。また この時、高温超電導のバルクをGM(Gifford McMah on)冷凍機やパルスチューブ冷凍機等の小型冷 凍機で伝導的に冷却する方式をとれば、液体 ヘリウムや液体窒素等の冷媒を補充する必要 が無いため、操作性も優れる。

 本実施形態に係る油濁水再利用システム1 (図1参照)は、前記のような構成の凝集磁気分 離機10を有し、油濁水W1の固形汚濁物を除去 た1次浄化水W2を生成することができる。

 本実施形態では,油濁成分や固形汚濁物の除 去法として凝集磁気分離の例を示したが、凝 集過程において、磁性粒子(磁性成分)の代わ に砂粒子や加圧空気を入れて、沈降や浮上 サイクロン等を利用して分離する、他の凝 分離方式を用いた場合でも、本実施形態と 等の効果が得られる。
《COD除去装置》
 1次浄化水W2に溶解する水溶性有機物を除去 るCOD除去手段として、本実施形態において 、オゾン分解処理と活性炭吸着処理を利用 るCOD除去装置を使用した。図3は、本実施形 態に使用するCOD除去装置の構成を示す図であ る。図3に示すように、COD除去装置30は、凝集 磁気分離機10が生成する1次浄化水W2を注入す オゾン処理槽31と、オゾン処理槽31にオゾン を供給するオゾン発生器32と、活性炭33aが充 されている活性炭処理層33とを含んで構成 れる。

 オゾン発生器32は、特に限定するもので ないが、例えば空気や誘電体を挟んだ2つの 極間に、交流の高電圧を通電して放電を発 させ、放電プラズマのエネルギで酸素をオ ン化する方式(無声放電方式)のものなどが 用できる。

 図3に示すように、凝集磁気分離機10で生 された1次浄化水W2は、オゾン処理槽31に注 されて貯留され、オゾン処理槽31には、オゾ ン発生器32で発生したオゾンが供給される。 ゾンは非常に酸化力が強い物質であるため オゾン槽31に貯留される1次浄化水W2に溶解 ている水溶性有機物を酸化して、生物分解 除去しやすい物質(生物易分解性物質)に分解 することができる。

 オゾン処理槽31で、水溶性有機物が生物 分解性物質に分解された1次浄化水W2は、活 炭33aが充填される活性炭処理槽33に注入され る。

 活性炭処理槽33では、活性炭33aの表面に 着している微生物によって、1次浄化水W2に まれる生物易分解性物質を生物分解すると もに、1次浄化水W2に残留している水溶性有 物を吸着除去する。

 このように、本実施形態に係るCOD除去装 30においては、1次浄化水W2に溶解している 溶性有機物をオゾンで酸化分解するととも 、酸化分解によって生成される生物易分解 物質を活性炭に付着する微生物で生物分解 ることで浄化し、COD処理水W3を得る。

 オゾンは酸素から生成される物質である とから、浄化処理した後の水(COD処理水W3)に 不純物が残留しないという利点がある。また 、空気中に広く存在する酸素から生成される ため、必要なときに必要な量を得ることがで きるという利点もある。このことから、本実 施形態においては、オゾン分解処理によるCOD 除去装置30を使用した。さらに、オゾン分解 理で生成される生物易分解性物質を生物分 するためと、残留する水溶性有機物を吸着 去するために、COD除去装置30に活性炭吸着 理を備えた。しかしながら、COD除去手段は オゾン分解処理と活性炭吸着処理によるCOD 去装置30に限定されるものではない。油濁水 等に溶解している水溶性有機物を除去して浄 化する技術としては、オゾン分解処理と活性 炭吸着処理によるもののほか、フェントン処 理、電気分解処理によるものなどが周知であ り、これらの技術をCOD除去手段として使用し てもよい。これらの技術は単独で使用しても よいし、2つ以上を組み合わせて使用しても い。

 このようにして得られたCOD処理水W3には 水溶性有機物が含まれないことから、蒸留 段で蒸留しても水溶性有機物が析出したり 生成される蒸留水に残留することがない。 らに、固形汚濁物は凝集磁気分離機10(図2参 )によって除去されている。したがって、COD 処理水W3を蒸留手段で蒸留しても、固形汚濁 や水溶性有機物によって、蒸留手段の加熱 が有する導管が目詰まりを起こすことがな 。このことから、本実施形態に係るCOD処理 W3は、蒸留手段でさらに浄化して、塩分を 去することが可能である。

 なお、図3に示すCOD除去装置30においては、 着剤として活性炭33aを使用したが、これに 定されるものではなく、例えばゼオライト あってもよい。さらに、図3に示すCOD除去装 置30においては、活性炭処理槽33で生物分解 実施しているが、これも限定されるもので なく、活性炭処理槽33とは別の装置で行うよ うに構成してもよい。
《太陽熱蒸留器》
 本実施形態においては、COD除去装置30(図3参 照)で生成されたCOD処理水W3(図3参照)を蒸留手 段で蒸留して、塩分を除去した浄化水W4(図1 照)を得ることを特徴としているが、COD処理 W3を蒸留する蒸留手段として、太陽熱を利 した加熱器を有する太陽熱蒸留器を使用し 。太陽熱蒸留器として、例えば図4に示すも が知られている。図4は、太陽熱蒸留器の一 例を示す図である。

 図4に示すように、COD除去装置30で生成さ たCOD処理水W3は、ポンプPによって太陽熱蒸 器50の加熱器51に導水され、太陽熱によって 加熱される。加熱器51は、例えばCOD処理水W3 流れる導管が太陽の照射面に平行に広がる うに配置され、導管に照射される太陽熱に って、導管を流れるCOD処理水W3が加熱される 。ここで、導管を例えば黒色など、太陽熱を 吸収しやすい色にすることで、太陽熱の吸収 効率が向上し、COD処理水W3を効率よく加熱す ことができる。さらに、導管の肉厚を薄く ることで伝熱の効率が向上し、内部を流れ COD処理水W3が効率よく加熱される。また、 管を太陽の照射面に対して可能な限り広げ 配置することでも加熱の効率が向上する。 して、送水の圧損を抑制するためには管径 太く曲管部を少なくすることが好ましい。

 加熱されたCOD処理水W3は、散水器52によっ て冷却槽53に散水され、散水されたCOD処理水W 3は、冷却槽53の空気との熱交換によって、蒸 発して蒸気STを得る。なお、散水器52は特に 定するものではなく、例えば図示しないフ ンの回転によって、COD処理水W3を散水する機 能を有すればよい。

 冷却槽53では、蒸発に伴う潜熱によってCO D処理水W3は冷却され、蒸発しないCOD処理水W3 冷却水として、冷却槽53に貯留される。

 一方、蒸発して蒸気STとなったCOD処理水W3 は、凝縮槽54に注入される。凝縮槽54には、 却槽53で冷却されたCOD処理水W3が冷却水Wcと て循環していて、凝縮槽54に注入された蒸気 STは、冷却水Wcで冷却されて凝縮され、浄化 W4を得る。そして、蒸気STを冷却したCOD処理 W3は冷却槽53に戻される。

 このような構成の太陽熱蒸留器50では、 ンプPによってCOD処理水W3が加熱器51に注入さ れる。COD処理水W3は加熱器51で太陽日射によ 10℃乃至20℃程度温度が上昇し、散水器52に って冷却槽53に散水される。冷却槽53では温 が上昇したCOD処理水W3が空気との熱交換に り蒸発し、この蒸発に伴う潜熱によりCOD処 水W3が冷却される一方、空気が加熱される。 冷却槽53で蒸発した蒸気STは、凝縮槽54に送ら れ、冷却槽53で冷却されたCOD処理水W3によっ 蒸気STが冷却されて凝縮される。冷却槽53で 発して凝縮槽54に送られる蒸気STは、冷却槽 53で冷却されて凝縮槽54に送られるCOD処理水W3 よりも、10℃程度温度が高いので、凝縮槽54 は蒸気STの一部が冷却されて凝縮され、浄化 水W4を得る。

 図4に示す構成の太陽熱蒸留器50において 加熱器51で太陽熱を利用してCOD処理水W3を加 熱し、さらに蒸発及び凝縮によって浄化水W4 得るようにしているので、浄化水W4を得る に必要な動力は、ポンプPの動力及び散水器5 2の動力であり、自然エネルギである太陽熱 最大限に利用して、非常に少ない動力で浄 水W4を得ることが可能になる。従って、低コ ストでCOD処理水W3を蒸留して浄化水W4を得る とができるとともに、二酸化炭素の排出を えることができ、地球環境に配慮したシス ムを構築することができる。

 なお、本実施形態における蒸留手段とし 、図4に示すように、冷却槽53及び凝縮槽54 有する太陽熱蒸留器50を使用したが、これに 限定されるものではなく、例えば疎水性多孔 質膜を使用した膜蒸留器なども知られている 。

 図5は、膜蒸留器の一例を示す図である。 図5に示すように、膜蒸留器55は、加熱された COD処理水W3が流れる導管と、冷却水Wcが流れ 導管とが疎水性多孔質膜56を介して接する構 造を有する。

 疎水性多孔質膜56は、水蒸気となった水 子が透過可能なサイズの多数の微細な孔を する膜であり、液体である水(COD処理水W3)と 体である水蒸気とを分離することができる そして、疎水性多孔質膜56を透過した水蒸 は、冷却水Wcで冷却され凝縮し、浄化水W4を る。なお、図5に示すように、疎水性多孔質 膜56と冷却水Wcが流れる導管の間に、浄化水W4 が凝縮する空間領域を有していてもよい。

 そして、図5に示すような、膜蒸留器55を 用した場合であっても、COD処理水W3の加熱 太陽熱を利用することができる。

 そして、COD除去装置30(図3参照)によってCO Dが除去されていることから、膜蒸留器55を使 用した場合であっても、加熱段階での伝熱効 率が低下したり、疎水性多孔質膜56が目詰ま したりしない。

 このように、蒸留手段として、太陽熱を 用した太陽熱蒸留器50を使用することで、 球環境に与える負担を小さくできる。そし 、COD処理水W3を蒸留し、蒸留によって浄化さ れた浄化水W4を得ることができる。さらに、C OD除去装置30(図3参照)によってCODが除去され いるので、伝熱効率が低下することなく、 陽熱を有効に利用できる。

 なお、塩分除去手段は、太陽熱蒸留器50( 4参照)や膜蒸留器55(図5参照)に限定されるも のではない。塩分を含む水の浄化技術として は、例えば逆浸透膜法や凍結法などが周知の 技術であり、本実施形態に係る塩分除去手段 として使用できる。

 以上のように、本実施形態においては、 油生産時に発生する油濁水を、最終的に蒸 して浄化することから、生成される浄化水 、被除去物である固形汚濁物、水溶性有機 および塩分がほとんど含まれないクリーン 水である。このため、浄化水を幅広い用途 利用することができる。さらに、凝集磁気 離機10(図1参照)においては、前記のように 凝集剤としてアルミニウム化合物を添加し 凝集分離することによって、油濁水W1(図1参 )に含まれるホウ素を除去して、ホウ素濃度 を下げることができる。

 このように、凝集磁気分離機10において 集剤を使用した凝集処理を行うことで、ホ 素が除去されることから、その後の工程に いて機器選択の自由度が広がる。

 さらに、前記のように、ホウ素の過剰は 物には有害であり、特に乾燥した地域では 与える水にホウ素が多く含まれていなくて 、ホウ素が過剰になりがちで植物の生育障 が発生することがあるため、ホウ素を含ん 水を植物の栽培に利用することは避けたほ がよい。本実施形態に係る油濁水再利用シ テム1で生成される浄化水W4は、ホウ素が除 され、含まれるホウ素濃度が低いため植物 栽培にも利用できる。

 本実施形態においては、図1に示すように、 油濁水W1から生成される浄化水W4を植物栽培 ラントPl、特にジャトロファの栽培プラント に利用した例を示した。ジャトロファは、そ の種子から抽出される油分でバイオ燃料を生 成できるうえ、食用の植物ではない。したが って、トウモロコシやサトウキビなどとは異 なり、食糧の供給に影響を与えることなく、 バイオ燃料の生産のためだけに栽培できるこ とから、その栽培量の増加が見込まれる植物 である。さらに、栽培に必要な水分の量も比 較的少なくてよいことから、例えば石油生産 地である中東地域のような、降水量の少ない 乾燥した地域でも比較的栽培しや
すい植物である。

 図6は、ジャトロファ栽培畑を示す模式図 である(写真は参考図)。図6に示すように、ジ ャトロファJaは、約2.5m(2~3m)の間隔で栽培でき 、1haのジャトロファ栽培畑70には約1600本のジ ャトロファJaが栽培できる。そして、1600本の ジャトロファJaを1haのジャトロファ栽培畑70 栽培すると、栽培開始から6年後には、約2.5~ 12トンの種の収穫が見込まれ、この収穫量の からは約0.71~3.4kLのバイオ燃料が生産できる 。すなわち、1haのジャトロファ栽培畑70から 年間約0.71~3.4kLのバイオ燃料が生産できる。

 なお、このようなジャトロファ栽培畑70 集約して、広大なジャトロファ栽培畑70から なる植物栽培プラントPl(図1参照)が形成され 。そして、植物栽培プラントPlで生産され ジャトロファJaからバイオ燃料が生産される 。

 ここで、前記のように、ジャトロファJaは 燥に強い植物であるが、1600本のジャトロフ Jaが栽培される1haのジャトロファ栽培畑70に は、1年間で2500m 3 の水が必要となり、これは、年間降水量250mm 相当する。

 この年間降水量は、主な石油生産地であ 中東地域の年間降水量の数倍(例えば、オマ ーンの年間降水量約40~50mmの5~6倍)であること ら、中東地域の降水量だけでは、ジャトロ ァJaの栽培に必要な水を確保できない。

 本実施形態においては、石油生産で生じ 油濁水から生成される浄化水をジャトロフ Jaの栽培に利用することで、降水量の少な 中東地域でもジャトロファJaが栽培できるよ うになる。そして、ジャトロファJaからバイ 燃料を生産することで、新規のエネルギ資 供給源を得ることができるという優れた効 を奏するとともに、砂漠の緑化にも貢献で るという優れた効果を奏する。