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Title:
SEALING MATERIAL FOR ELECTROLYTIC CAPACITOR AND ELECTROLYTIC CAPACITOR EMPLOYING THE SEALING MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/136175
Kind Code:
A1
Abstract:
A sealing material for electrolytic capacitors which has no fear of causing reversion due to crosslinking with an organic peroxide and can satisfy requirements including long-term heat resistance; and an electrolytic capacitor employing the sealing material. The sealing material is made of a modified butyl rubber composition obtained by reacting and modifying butyl rubber with a compound (a) which is stable at ordinary temperature even in the presence of oxygen and has a nitroxide free radical in the molecule, a radical initiator (b), and a radical-polymerizable monomer (c) having a functionality of 2 or higher and crosslinking the resultant modified butyl rubber composition with an organic peroxide. Alternatively, the sealing material is made of a modified butyl rubber composition obtained by reacting butyl rubber with a compound (a) which is stable at ordinary temperature even in the presence of oxygen and has a nitroxide free radical in the molecule and a radical initiator (b), incorporating a radical-polymerizable monomer (c) having a functionality of 2 or higher into the resultant modified butyl rubber composition, and crosslinking the mixture with an organic peroxide.

Inventors:
FUJITA HIROAKI (JP)
KIMURA KAZUHIKO (JP)
IEMURA MASATOSHI (JP)
OZAWA MASASHI (JP)
ASHIURA MAKOTO (JP)
KAWAZURA TETSUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/000831
Publication Date:
November 13, 2008
Filing Date:
March 31, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON CHEMICON (JP)
YOKOHAMA RUBBER CO LTD (JP)
FUJITA HIROAKI (JP)
KIMURA KAZUHIKO (JP)
IEMURA MASATOSHI (JP)
OZAWA MASASHI (JP)
ASHIURA MAKOTO (JP)
KAWAZURA TETSUJI (JP)
International Classes:
H01G9/10; C08K3/00; C08L51/04
Domestic Patent References:
WO2006032765A12006-03-30
Foreign References:
JP2004510858A2004-04-08
JPH07307254A1995-11-21
JP2001048929A2001-02-20
JP2007231244A2007-09-13
JPH09106932A1997-04-22
JPH11288853A1999-10-19
JP2000173876A2000-06-23
JP2003109660A2003-04-11
JPH06172547A1994-06-21
EP1777237A12007-04-25
Other References:
See also references of EP 2146360A4
Attorney, Agent or Firm:
KIUCHI, Mitsuharu (Toranomon-Yoshiara Bldg. 6-13, Nishi-Shinbashi 1-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 コンデンサ素子及び電解液を収納した外装ケースの開口部を封止する電解コンデンサの封口体において、
 ブチルゴムに、酸素が存在していても常温で安定なニトロキシドフリーラジカルを分子中に有する化合物(a)、ラジカル開始剤(b)及び二官能性以上のラジカル重合性モノマー(c)を反応させて変性することにより得られる変性ブチルゴム組成物を、有機過酸化物によって架橋した変性ブチルゴム組成物からなることを特徴とする電解コンデンサの封口体。
 コンデンサ素子及び電解液を収納した外装ケースの開口部を封止する電解コンデンサの封口体において、
 ブチルゴムに酸素が存在していても常温で安定なニトロキシドフリーラジカルを分子中に有する化合物(a)、ラジカル開始剤(b)及び二官能性以上のラジカル重合性モノマー(c)ならびにアルコキシシリル基を有するラジカル重合性モノマー(d)を反応させて変性することにより得られる変性ブチルゴム組成物を、有機過酸化物によって架橋した変性ブチルゴム組成物からなることを特徴とする電解コンデンサの封口体。
 コンデンサ素子及び電解液を収納した外装ケースの開口部を封止する電解コンデンサの封口体において、
 ブチルゴムに酸素が存在していても常温で安定なニトロキシドフリーラジカルを分子中に有する化合物(a)、ラジカル開始剤(b)を反応させて変性することにより得られる変性ブチルゴム組成物に、二官能性以上のラジカル重合性モノマー(c)を配合し、有機過酸化物によって架橋した変性ブチルゴム組成物からなることを特徴とする電解コンデンサの封口体。
 前記酸素が存在していても常温で安定なニトロキシドフリーラジカルを分子中に有する化合物(a)が、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル又はその誘導体であることを特徴とする請求項1及至3に記載の電解コンデンサの封口体。
 前記二官能以上のラジカル重合性モノマー(c)が電子吸引基を含有してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電解コンデンサの封口体。
 前記アルコキシシリル基を有するラジカル重合性モノマー(d)が電子吸引基を含有してなる請求項2に記載の電解コンデンサの封口体。
 前記変性ブチルゴム組成物が、補強剤を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電解コンデンサの封口体。
 前記補強剤が、カーボン、タルク、マイカ、シリカ、クレーのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の電解コンデンサの封口体。
 前記クレーは、焼成クレーであることを特徴とする請求項8に記載の電解コンデンサの封口体。
 変性ブチルゴム組成物を含むゴム成分100重量部に対して、クレーもしくはタルクを2~200重量部含むことを特徴とする請求項8に記載の電解コンデンサの封口体。
 前記ブチルゴム組成物が、シランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電解コンデンサの封口体。
 前記変性ブチルゴム組成物が、圧縮永久歪み(105℃×70時間)が60%以下、ゴム硬度(JIS-A)が60~95、ゴムの表面絶縁抵抗が10 4 Mω以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電解コンデンサの封口体。
 前記請求項1乃至3のいずれか1項に記載の封口体によって、コンデンサ素子及び電解液を収納した外装ケースの開口部を封止したことを特徴とする電解コンデンサ。
Description:
電解コンデンサの封口体とその 口体を用いた電解コンデンサ

 本発明は、変性ブチルゴム組成物を有機 酸化物によって架橋した変性ブチルゴム組 物からなる電解コンデンサの封口体と、そ 封口体を用いた電解コンデンサに関する。

 従来の電解コンデンサは電極引出し手段 あるリード線を備えた電極箔をセパレータ 介して巻回したコンデンサ素子に駆動用電 液が含浸される。そして、このコンデンサ 子が有底筒状の外装ケースに収納され、外 ケースの開口部に封口体が装着される。そ て、開口部を加締め加工によって封口して 電解コンデンサが形成される。通常、この 解コンデンサ用封口体として、ブチルゴム エチレンプロピレンゴムからなる封口ゴム 用いられる。

 しかしながら、近年、自動車の電装品や ンバータ照明に用いられる電解コンデンサ 使用環境温度が125℃程度へと高温化してい 。ところが、前記の従来の電解コンデンサ は、このような高温環境下での長時間使用 は耐えることができない。すなわち、長時 にわたる125℃の高温下で、外装ケース内に 入した電解液が封口ゴムを膨潤させ、封口 ムが熱酸化劣化をおこして、ゴム強度の低 、気密性の低下などをもたらし、電解コン ンサの特性が低下するという問題点があっ 。

 このような問題点を解決するために、特許 献1乃至特許文献4に示すように、耐熱性に れた過酸化物加硫(架橋)ブチルゴムを電解コ ンデンサの封口体として使用する提案がなさ れている。また、特許文献5に示すように、 熱性に優れた過酸化物ブチルゴムを得るた の方法として、有機過酸化物と電子吸引基 有する多官能性モノマーとの存在下で未架 ブチルゴムの架橋反応を行わせる技術も提 されている。

特開平9-106932号公報

特開平11-288853号公報

特開2000-173876号公報

特開2003-109860号公報

特開平6-172547号公報

 しかしながら、前記特許文献1乃至特許文 献4に示す封口体は、樹脂加硫したブチルゴ などを使用した従来の封口体に比較すると その特性の向上は見られるものの、必ずし その性能が十分なものとは言えなかった。 に、過酸化物架橋が可能なブチルゴムとし 部分架橋ブチルゴムが市販されているが、 れには加工性が十分でないという問題があ 、封口体としては不適切であった。

 一方、特許文献5に記載された方法は、有 機過酸化物と電子吸引性基を含有する多官能 性モノマーとの存在下で、未架橋ブチルゴム を架橋させるものであるが、この方法では激 しいリバージョン(Reversion:加硫戻り)が起こる おそれがあり、安定した特性が要求される封 口体用のゴムとしては不適切であった。

 本発明は、以上のような従来の技術的課 を背景になされたものであり、その目的は 有機過酸化物による架橋を行いながらも特 文献5の方法のようなリバージョンが発生す るおそれがなく、しかも、長期間にわたる耐 熱性などの要件を満足することのできる電解 コンデンサの封口体及びその封口体を使用し た電解コンデンサを提供することにある。

 上記の課題を解決するために、本発明は コンデンサ素子及び電解液を収納した外装 ースの開口部を封止する電解コンデンサの 口体において、ブチルゴムに、酸素が存在 ていても常温で安定なニトロキシドフリー ジカルを分子中に有する化合物(a)、ラジカ 開始剤(b)及び二官能性以上のラジカル重合 モノマー(c)を反応させて変性することによ 得られる変性ブチルゴム組成物を、有機過 化物によって架橋した変性ブチルゴム組成 から封口体を構成したことを特徴とする。

 上記の課題を解決するために、本発明は コンデンサ素子及び電解液を収納した外装 ースの開口部を封止する電解コンデンサの 口体において、ブチルゴムに、酸素が存在 ていても常温で安定なニトロキシドフリー ジカルを分子中に有する化合物(a)、ラジカ 開始剤(b)及び二官能性以上のラジカル重合 モノマー(c)ならびにアルコキシシリル基を するラジカル重合性モノマー(d)を反応させ 変性することにより得られる変性ブチルゴ 組成物を、有機過酸化物によって架橋した 性ブチルゴム組成物から封口体を構成した とを特徴とする。

 上記の課題を解決するために、本発明は コンデンサ素子及び電解液を収納した外装 ースの開口部を封止する電解コンデンサの 口体において、ブチルゴムに、酸素が存在 ていても常温で安定なニトロキシドフリー ジカルを分子中に有する化合物(a)、ラジカ 開始剤(b)を反応させることにより得られる 性ブチルゴム組成物に、二官能性以上のラ カル重合性モノマー(c)を配合し、有機過酸 物によって架橋した変性ブチルゴム組成物 ら封口体を構成したことを特徴とする。

 前記酸素が存在していても常温で安定な トロキシドフリーラジカルを分子中に有す 化合物(a)としては、2,2,6,6-テトラメチル-1- ペリジニルオキシラジカル又はその誘導体 、前記二官能以上のラジカル重合性モノマ (c)として電子吸引基を含有したものを、前 アルコキシシリル基を有するラジカル重合 モノマー(d)として電子吸引基を含有したも を使用することができる。

 前記変成ブチルゴム組成物は、カーボン タルク、マイカ、シリカ、クレーなどの補 剤を含有することができ、特に、補強剤と て、変性ブチルゴム組成物を含むゴム成分1 00重量部に対して2~200重量部のクレーもしく タルクが好ましい。また、クレーのなかで 焼成クレーがさらに好ましい。前記ブチル ム組成物に、シランカップリング剤を含有 せることもできる。

 また、前記変性ブチルゴム組成物が、圧縮 久歪み(105℃×70時間)が60%以下、ゴム硬度(JIS -A)が60~95、ゴムの表面絶縁抵抗が10 4 Mω以上であることが好ましい。

 更に、前記のような各構成を有する封口 によって、コンデンサ素子及び電解液を収 した外装ケースの開口部を封止した電解コ デンサも本発明の一態様である。

 本発明によれば、リバージョンが発生す おそれがなく、長期間にわたる耐熱性など 要件を満足することのできる封口体及び電 コンデンサを得ることができる。

 以下、本発明の一実施の形態を具体的に 明する。本発明の電解コンデンサの封口体 、コンデンサ素子及び電解液を収納した外 ケースの開口部を封止することで、電解コ デンサを構成するものである。

 この封口体は、ブチルゴムに、酸素が存 していても常温で安定なニトロキシドフリ ラジカルを分子中に有する化合物(a)、ラジ ル開始剤(b)及び二官能性以上のラジカル重 性モノマー(c)を反応させて変性することに り得られる変性ブチルゴム組成物を、有機 酸化物によって架橋した変性ブチルゴム組 物から構成される。

 この封口体は、ブチルゴムに、酸素が存 していても常温で安定なニトロキシドフリ ラジカルを分子中に有する化合物(a)、ラジ ル開始剤(b)及び二官能性以上のラジカル重 性モノマー(c)ならびにアルコキシシリル基 有するラジカル重合性モノマー(d)を反応さ て変性することにより得られる変性ブチル ム組成物を、有機過酸化物によって架橋し 変性ブチルゴム組成物から構成される。

 さらには、ブチルゴムに、酸素が存在し いても常温で安定なニトロキシドフリーラ カルを分子中に有する化合物(a)、ラジカル 始剤(b)を反応させることにより得られる変 ブチルゴム組成物に、二官能性以上のラジ ル重合性モノマー(c)を配合し、有機過酸化 によって架橋した変性ブチルゴム組成物か も構成される。

 本発明によって変性するブチルゴムは、 わゆるブチルゴム(IIR)と呼ばれるイソブチ ンと少量(ゴム全体の例えば0.6~2.5モル%)のイ プレンとの共重合体ゴム又は塩素化ブチル ム、臭素化ブチルゴムなどの誘導体で、こ らは業界においてよく知られており、多数 市販品もある。

 本発明において使用する酸素の存在下で っても常温で安定なニトロキシドラジカル 分子中に有する化合物(a)としては、これら 限定するわけではないが、以下の化合物を 示することができる。

(上記式(1)~(6)において、Rは炭素数1~30のア キル基、アリル基、アミノ基、イソシアネ ト基、ヒドロキシル基、チオール基、ビニ 基、エポキシ基、チイラン基、カルボキシ 基、カルボニル基含有基(例えば、無水コハ 酸、無水マレイン酸、無水グルタン酸、無 フタル酸などの環状酸無水物)、アミド基、 エステル基、イミド基、ニトリル基、チオシ アン基、炭素数1~20のアルコキシ基、シリル 、アルコキシシリル基、ニトロ基などの官 基を含む有機基を示す。)

 本発明の使用する化合物(a)の使用量には に限定はないが、変性しようとするブチル ム100gに対し0.001~0.5モルであるのが好ましく 、0.005~0.1モルであるのが更に好ましい。この 使用量が少ないとブチルゴムの変性量が低く なるおそれがあり、逆に多いと後の架橋が進 行しなくなるおそれがある。

 本発明において使用することができるラ カル開始剤(b)としては、上記化合物(a)をブ ルゴムの分子鎖に導入することができる任 のラジカル開始剤を用いることができる。 体的には、ベンゾイルパーオキサイド、t- チルパーオキシベンゾエート、ジクミルパ オキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド 、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2 ,5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキサン、2,5-ジメ ル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシ-3-へキシン、2,4 -ジクロロ-ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t- チルパーオキシ-ジ-イソプロピルベンゼン 1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチ -シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチル パーオキシ)バレレー卜、2,2-ビス(t-ブチルパ オキシ)ブタン、ジイソブチルパーオキサイ ド、クミルパルオキシネオデカネート、ジ-n- プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソ プロピルパーオキシジカーボネート、ジ-Sec- チルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3-テ ラメチルブチルパーオキシネオデカネート ジ(4-t-ブチルシクロへキシル)パーオキシジ ーボネート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチ ルパーオキシネオデカネート、ジ(2-エトキシ エチル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エ キシへキシル)パーオキシジカーボネート、t -へキシルパーオキシネオデカネート、ジメ キシブチルパーオキシジカーボネート、t-ブ チルパーオキシネオデカネー卜、t-ヘキシル ーオキシピパレ-ト、t-ブチルパーオキシピ レート、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル) -オキサイド、ジ-n-オクタノイルパーオキサ ド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステ ロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチ ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート ジサクシン酸パーオキサイド、2,5-ジメチル- 2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキ ン、t-へキシルパーオキシ-2-エチルヘキサ エート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサ ド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノ ート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイ とベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキ サイドとジベンゾイルパーオキサイドの混合 物、ジベンゾイルパーオキサイド、t-ブチル ーオキシイソプチレートなどを例示するこ ができる。

 また、レドックス触媒の作用により低温 分解が可能なもののうち代表的なものとし は、ジベンゾイルパーオキサイド、パラメ タンハイドロパーオキサイド、ジイソプロ ルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3 -テトラメチルブチルハイドロパーオキサイ 、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチル ハイドロパーオキサイドなどを例示すること ができる。これらを反応系(混合系、接触系) 添加することによってブチルゴムに炭素ラ カルを発生させることができ、安定なフリ ラジカルを有する化合物(a)がその炭素ラジ ルと反応することにより、変性ブチルゴム 成物が得られる。

 本発明に使用するラジカル開始剤(b)の添 量には特に限定はないが、変性しようとす ブチルゴム100gに対し、好ましくは0.001~0.5モ ル、更に好ましくは0.005~0.2モルである。この 配合量が少な過ぎるとブチルゴム鎖からの水 素原子引抜き量が低くなるおそれがあり、逆 に多過ぎるとブチルゴムの主鎖が分解し、分 子量が大きく低下するおそれがある。

 本発明において使用する二官能性以上の ジカル重合性モノマー(c)としては特に限定 ないが、例えば、エチレンジ(メタ)アクリ ート(ここでエチレンジ(メタ)アクリレート いう表記はエチレンジメタアクリレート及 エチレンジアクリレートの両方を含んでい 。以下、化合物が変わっても同様)、トリメ ロールプロパン(メタ)アクリレート、エチ ングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエ チレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6- ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テ ラメチロールメタントリ(メタ)アクリレー 、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アク リレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソ アヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキ シ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アタ レー卜、ペンタエリストールトリ(メタ)ア リレート、エトキシ化トリメチロールプロ ントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ト リメチロールプロパン(メタ)アクリレート、 ロポキシ化グリセリル(メタ)アクリレート ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレー ト、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ) クリレート、ジペンタエリスリトールペン (メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエ スリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリ シロキサンジ(メタ)アクリレート、各種ウレ ン(メタ)アクリレート、各種金属(メタ)アク リレート、ポリプロピレングリコールジ(メ )アクリレート、N,N’-フェニレンジマレイミ ド、ビスマレイミドジフェニルメタン、N,N’ -フェニレンジアクリルアミド、ジビニルベ ゼン、トリアリルイソシアヌレートなどを げることができる。

 これらのうち分子中に電子吸引基(例えば カルボニル基(ケトン、アルデヒド、エステ 、カルボン酸、カルボン酸塩、アミド)、ニ ロ基、シアノ基など)を含むモノマーが変性 率を高めるという観点から好ましい。

 前記二官能性以上のラジカル重合性モノ ー(c)の使用量には特に限定はないが、変性 ようとするブチルゴム100gに対して0.001~0.5モ ルであるのが好ましく、0.005~0.2モルであるの が更に好ましい。この使用量が少な過ぎると 後の架橋が進行しないおそれがあり、逆に多 過ぎると架橋物の物性が悪化するおそれがあ る。

本発明において、アルコキシシリル基を有 するラジカル重合性モノマーである成分(d)は 、[化14]で表される。〔化14中、R、R1は炭化水 素基を、Aはラジカル重合性基をそれぞれ示 、nは1~3の整数である。〕

nが2又は3のときのR1はそれぞれ異なってい もよく、そのR1 としては、具体的には、例 えば、メチル、エチル、プロピル、ヘキシル 、ドデシル、オクタデシル等のアルキル基、 シクロプロピル、シクロヘキシル等のシクロ アルキル基、フェニル、ベンジル等のアリー ル基、また、ポリエチレングリコール、ポリ プロピレングリコール等のポリオキシアルキ レン基などを挙げることができる。

また、nが2又は3のときのRはそれぞれ異な ていてもよく、そのR としては、具体的に 、例えば、メチル、エチル、プロピル、ヘ シル、ドデシル、オクタデシル等のアルキ 基、シクロプロピル、シクロヘキシル等の クロアルキル基、フェニル、ベンジル等の リール基などを挙げることができる。

 また、nが2又は3のときのラジカル重合性 Aはそれぞれ異なっていてもよく、そのAと ては、ビニル基、アリル基、スチリル基、( タ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド 、ハロゲン化ビニル基、アクリロニトリル などを挙げることができるが、その中でも 子吸引基(カルボニル基、ハロゲン、シアノ 基など)を含むものが好ましい。さらに、そ 中でも、(メタ)アクリロキシ基を有するもの が特に好ましい。

本発明で使用できる上記のアルコキシシリ ル基を有するラジカル重合性モノマーとして は特に制限はないが、好ましいものとしては 、例えば:ビニルメトキシシラン、ビニルト メトキシシラン、ビニルエトキシシラン、 ニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキ プロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリ キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ- タクリロキシプロピルジメチルメトキシシ ン、γ-アクリロキシプロピルメチルジエト シシラン、γ-アクリロキシプロピルジメチ エトキシシラン、γ-アクリロキシプロピル リエトキシシラン、N-(プロピルトリエトキ シラン)マレイミドなどを挙げることができ 。

 また、上記アルコキシシリル基を有する ジカル重合性モノマーを加水分解縮合した のを用いてもよく、シロキサン結合の繰り し単位を2個以上有し、かつアルコキシシリ ル基を有するシリコーンオイル型カップリン グ剤でラジカル重合性基を有するオリゴマー などを用いてもよい。

 本発明において使用する成分(d)の使用量 は特に限定はないが、変性しようとするブ ルゴム100gに対し、0.0001~0.5モルであるのが ましく、0.0003~0.2モルであるのが更に好まし 。この量が少ないとその架橋物のモジュラ 、破断強度の向上に効果がないので好まし なく、逆に多いと過剰の(d)がその架橋物の 縮永久歪に悪影響を及ぼす恐れがあるので ましくない。

 本発明において、ブチルゴムを、前記化合 (a)、開始剤(b)及びラジカル重合性モノマー( c)および(d)で変性する方法には特に限定はな が、例えば以下のようにして変性すること できる。
予備混合したブチルゴム、化合物(a)、開始剤 (b)の混合物を窒素置換した密閉式混練機中で 、150~220℃の温度で反応させ、一旦温度を下 た後、ラジカル重合性モノマー(c)および(d) 添加した後、再度窒素置換を行い、150~220℃ 温度にて混練、反応させることにより所望 変性ブチルゴム組成物を得ることができる

 また、ブチルゴム、化合物(a)、開始剤(b) ラジカル重合性モノマー(c)および(d)を同時 混練して反応を行うこともできる。なお、 記変性は、二軸押出型混練機、一軸押出型 練機、ロールなどを用いて行なうこともで る。

 本発明におけるゴム組成物には、前記変 ブチルゴム組成物を含むゴム成分100重量部 対し、補強剤を2~300重量部、好ましくは30~20 0重量部配合することができる。補強剤とし は、カーボンブラック、タルク、マイカ、 リカ、クレーを単独又は組み合わせて使用 ることができ、特に、焼成クレーもしくは ルクが好ましい。この焼成クレーやタルク 、変性ブチルゴム組成物を含むゴム成分100 量部に対して、2~200重量部配合することがで きる。

 この焼成クレーは、カオリナイト(ケイ酸ア ルミニウム)を約600℃で焼成したもので、結 中の構造水が取り除かれ、粒子表面が疎水 されている。そのため、非極性のブチルポ マーには混練時分散性がよく封口ゴムの強 を高め、また表面活性も小さいことから空 中の酸素との反応も抑制され耐熱老化への 定性や、耐電解液性も期待出来る。タルク 、ケイ酸マグネシウムを主成分とする板状 無機粉末で、封口ゴムの強度を高め耐熱性 気体不透過性も付与することが出来る。
また、補強剤の添加を補助する加工助剤とし て、シランカップリング剤、ステアリン酸を 使用することもできる。

 また、有機過酸化物系の架橋剤を、好ま くは0.05~15重量部、更に好ましくは0.1~10重量 部配合するのが好ましい。

 前記架橋剤として使用する有機過酸化物 しては、例えば、ベンゾイルパーオキサイ 、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジク ルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキ サイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジ チル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキサン、2,5 -ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシ-3-ヘキシ ン、2,4-ジクロロ-ベンゾイルパーオキサイド ジ-t-ブチルパーオキシ-ジ-イソプロピルベ ゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-ト メチル-シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t- ブチルパーオキシ)バレレー卜、2,2-ビス(t-ブ ルパーオキシ)ブタンなどが使用できる。

 本発明の変性ブチルゴム組成物には、他 ゴム成分として、スチレン-イソプレン-ブ ジエン共重合体、クロロブレンゴム、エチ ン-プロピレン-ジエン3元共重合体ゴム、エ レン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピ レン-ブテン3元共重合体、スチレン-ブタジエ ン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イ プレン-スチレン共重合体、スチレン-エチ ン-ブテン-スチレンブロック共重合体、スチ レン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体 、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ レン、ポリ芳香族ビニル、ポリオレフィン、 ポリイソプレン、各種スチレン-ブタジエン 重合体、各種ポリプタジエン、アクリロニ リル-ブタジエン共重合体、水素化アクリロ トリル-ブタジエン共重合体、アクリルゴム 、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エピクロロ ヒドリンゴム、各種ポリメタクリル酸エステ ル、各種ポリエーテル、各種ポリスルフィド 、各種ポリビニルエーテル、各種ポリエステ ル、各種ポリアミド、セルロース、デンプン 、各種ポリウレタン、各種ポリウレア、各種 ポリアミンなどを配合することができるが、 変性ブチルゴム組成物の配合量がゴム成分中 に10重量%以上であるのが好ましい。

 本発明に係るゴム組成物には、前記した 分に加えて、その他の補強剤(フィラー)、 硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種 イル、老化防止剤、可塑剤などのゴム組成 用に一般的に配合されている各種添加剤を 合することができ、かかる添加剤は一般的 方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋 るのに使用することができる。これらの添 剤の配合量は本発明の目的に反しない限り 従来の一般的な配合量とすることができる

 以下、実施例によって本発明を更に説明 るが、本発明の範囲をこれらの実施例に限 するものでないことはいうまでもない。

 以下の実施例において使用した原料は、次 通りである。
(1) ブチルゴム
・IIR:ブチルゴム〔バイエル(株)製、BUTYL301〕
(2) ニトロキシドフリーラジカルを分子中に する化合物(a)
・OH-TEMPO:4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピ リジニル-1-オキシル〔旭電化工業(株)製、LA 7RD〕
(3) ラジカル開始剤(b)
・ジクミルパーオキサイド:〔日本油脂(株)製 、パークミルD〕
・ジ-t-ブチルパーオキサイド:〔日本油脂(株) 製、パーブチルD〕
・1,3-ビス-(t-ブチルパーオキシイソプロピル) ベンゼン:〔化薬アクゾ(株)製、パーカドック ス14-G〕
(4) 二官能性以上のラジカル重合性モノマー( c)
・エチレンジメタクリレート:〔東京化成(株) 製〕
・トリメチロールプロパントリメタクリレー ト:〔新中村化学工業(株)製、NKエステル TMPT
・ジトリメチロールプロパンテトラアクリレ ート:〔サートマー(株)製、SR-355〕
(5) アルコキシシリル基を有するラジカル重 性モノマー(d)
・γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシ ラン:〔東京化成(株)製〕
(6) 有機過酸化物
 ジクミルパーオキサイド〔日本油脂(株)製 パークミルD-40(パークミルDの40%希釈品)〕

 前記の原料を使用してなる変性ブチルゴ 組成物の調製例を以下に示す。これらの調 例1~6は過酸化物架橋されていない状態のも であり、この変性ブチルゴム組成物に、後 する実施例に示すような、有機過酸化物や 強剤を添加して加硫して封口ゴムを作製す 。

(1)変性IIR組成物の調製例1(IIR-EDM)
 IIR 350.0g、(b)としてジクミルパーオキサイ 32.6g、(a)としてOH-TEMPO32.2gを60℃に温度を設定 した密閉型バンバリーに入れ10分間混合した 得られた混合物を、100℃に温度設定した密 型バンバリー中で混練しながら5分間窒素置 換した。混練しながら温度を185℃まで上昇さ せ20分間混練した。得られたポリマーの一部 トルエンに溶解し、再沈殿操作によりポリ ーを単離精製した。精製品を用いて 1 H-NMRにて分析を行うことにより、TEMPO部位の 入(アルコキシアミノ基)を確認した。その導 入率は0.156mol%であった。

 一旦反応系を150℃にし、(c)としてエチレン メタクリレート37.0gを添加して混練しなが 5分間窒素置換した。混練しながら温度を185 まで上昇させ20分間混練した。得られたポ マーの一部をトルエンに溶解し、再沈殿操 によりポリマーを単離精製した。精製品を いてIR分析ならびに 1 H-NMR分析を行った。1720cm-1付近にエステルの ルボニル由来の吸収が観測され、 1 H-NMRからは、4.37ppm付近にエチレンのプロトン 由来のシグナル、6.12ならびに5.60ppm付近にメ クリレートのオレフィンのプロトン由来の グナルが観測された。

(2)変性IIR組成物の調製例2(IIR-GT)
 IIR 350.0g、(b)としてジ-t-ブチルパーオキサ ド30.4g、(a)としてOH-TEMPO32.2gを60℃に温度を設 定した密閉型バンバリーに入れ10分間混合し 。得られた混合物を、100℃に温度設定した 閉型バンバリー中で混練しながら5分間窒素 置換した。混練しながら温度を185℃まで上昇 させ20分間混練した。得られたポリマーの一 をトルエンに溶解し、再沈殿操作によりポ マーを単離精製した。精製品を用いて 1 H-NMRにて分析を行うことにより、TEMPO部位の 入(アルコキシアミノ基)を確認した。その導 入率は0.259mol%であった。

 一旦反応系を150℃にし、(c)としてトリメチ ールプロパントリメタクリレート(TMPT)44.9g 添加して混練しながら5分間窒素置換した。 練しながら温度を185℃まで上昇させ15分間 練した。得られたポリマーの一部をトルエ に溶解し、再沈殿操作によりポリマーを単 精製した。精製品を用いてIR分析ならびに 1 H-NMR分析を行った。1720cm-1付近にエステルの ルボニル由来の吸収が観測され、 1 H-NMRからは、6.09ppm、5.75ppmならびに4.16ppm付近 TMPT由来のシグナルが観測され、TMPTが2つの レフィンを残す構造で導入されていること 確認された。その導入率は0.185mol%であった

(3)変性IIR組成物の調製例3(IIR-GTS)
 IIR 350.0g、(b)としてジ-t-ブチルパーオキサ ド30.4g、(a)としてOH-TEMPO32.2gを60℃に温度を設 定した密閉型バンバリーに入れ10分間混合し 。得られた混合物を、100℃に温度設定した 閉型バンバリー中で混練しながら5分間窒素 置換した。混練しながら温度を185℃まで上昇 させ20分間混練した。得られたポリマーの一 をトルエンに溶解し、再沈殿操作によりポ マーを単離精製した。精製品を用い 1 H-NMRにて分析を行うことにより、TEMPO部位の 入(アルコキシアミノ基)を確認した。その導 入率は0.303mol%であった。

 一旦反応系を150℃にし、(c)としてジトリメ ロールプロパンテトラアクリレート(DTMP)44.9 gを添加して混練しながら5分間窒素置換した 混練しながら温度を185℃まで上昇させ15分 混練した。得られたポリマーの一部をトル ンに溶解し、再沈殿操作によりポリマーを 離精製した。精製品を用いてIR分析ならびに 1 H-NMR分析を行った。1720cm-1付近にエステルの ルボニル由来の吸収が観測され、 1 H-NMRからは、6.39、6.10、5.96、4.12ならびに3.30pp m付近にDTMP由来のシグナルが観測され、DTMPが 3個のオレフィンを残す構造で導入されてい ことが確認された。その導入率は0.23mol%であ った。

(4)変性IIR組成物の調製例4(IIR-GTe)
 IIR 350.0g、 (b)として1,3-ビス-(t-ブチルパー キシイソプロピル)ベンゼン24.2g、(a)としてO H-TEMPO32.2gを60℃に温度を設定した密閉型バン リーに入れ10分間混合した。得られた混合 を、100℃に温度設定した密閉型バンバリー で混練しながら5分間窒素置換した。混練し がら温度を185℃まで上昇させ20分間混練し 。得られたポリマーの一部をトルエンに溶 し、再沈殿操作によりポリマーを単離精製 た。精製品を用いて 1 H-NMRにて分析を行うことにより、TEMPO部位の 入(アルコキシアミノ基)を確認した。その導 入率は0.360mol%であった。

 一旦反応系を150℃にし、(c)としてジトリメ ロールプロパンテトラアクリレート(DTMP)44.9 gを添加して混練しながら5分間窒素置換した 混練しながら温度を185℃まで上昇させ15分 混練した。得られたポリマーの一部をトル ンに溶解し、再沈殿操作によりポリマーを 離精製した。精製品を用いてIR分析ならびに 1 H-NMR分析を行った。1720cm-1付近にエステルの ルボニル由来の吸収が観測され、 1 H-NMRからは、6.39、6.10、5.96、4.12ならびに3.30pp m付近にDTMP由来のシグナルが観測され、DTMPが 3個のオレフィンを残す構造で導入されてい ことが確認された。その導入率は0.185mol%で った。

(5)変性IIR組成物の調製例5(OHT-IIR)
 IIR 350.0g、 (b)として1,3-ビス-(t-ブチルパー キシイソプロピル)ベンゼン24.2g、(a)としてO H-TEMPO32.2gを60℃に温度を設定した密閉型バン リーに入れ10分間混合した。得られた混合 を、100℃に温度設定した密閉型バンバリー で混練しながら5分間窒素置換した。混練し がら温度を185℃まで上昇させ20分間混練し 。得られたポリマーの一部をトルエンに溶 し、再沈殿操作によりポリマーを単離精製 た。精製品を用いて 1 H-NMRにて分析を行うことにより、TEMPO部位の 入(アルコキシアミノ基)を確認した。その導 入率は0.317mol%であった。

 なお、この調整例5の変性ブチルゴム組成 物には(c)は入っておらず、この後の加硫(有 過酸化物や補強剤を添加した)の際に、(c)を 加して本発明の封口体を作製する。

(6)変性IIR組成物の調製例6(IIR-GTSI)
 IIR 350.0g、 (b)として1,3-ビス-(t-ブチルパー キシイソプロピル)ベンゼン24.2g、(a)としてO H-TEMPO32.2gを60℃に温度を設定した密閉型バン リーに入れ10分間混合した。得られた混合 を、100℃に温度設定した密閉型バンバリー で混練しながら5分間窒素置換した。混練し がら温度を165℃まで上昇させ20分間混練し 。得られたポリマーの一部をトルエンに溶 し、再沈殿操作によりポリマーを単離精製 た。精製品を用いて 1 H-NMRにて分析を行うことにより、TEMPO部位の 入(アルコキシアミノ基)を確認した。その導 入率は0.360mol%であった。

 一旦反応系を150℃にし、(c)としてジトリメ ロールプロパンテトラアクリレート(DTMP)11.2 gおよび(d)としてγ-メタクリロキシプロピル リメトキシシラン5.8gを添加して混練しなが 5分間窒素置換した。混練しながら温度を185 ℃まで上昇させ15分間混練した。得られたポ マーの一部をトルエンに溶解し、再沈殿操 によりポリマーを単離精製した。精製品を いてIR分析ならびに 1 H-NMR分析を行った。1720cm-1付近にエステルの ルボニル由来の吸収が観測され、 1 H-NMRからは、6.39、6.10、5.96、4.12ならびに3.30pp m付近にDTMP由来のシグナルが観測され、DTMPが 3個のオレフィンを残す構造で導入されてい ことが確認された。その導入率は0.084mol%で った。また、3.55
ppm付近にγ-メタクリロキシプロピルトリメト キシシラン由来のシグナルが観測され、その 導入率は0.015mol%であった。

(7)実施例1~4,7
 上記調製例2~6の変性ブチルゴム組成物を用 、下記に示す配合(重量部)において150ccのニ ーダーで6分間混練した。8インチのオープン ールにてさらに混練しゴム組成物を得た。 れを電解コンデンサ用封口体として用いた γ―ブチロラクトンを含む電解液が含浸さ たコンデンサ素子を、外装ケースに収納す と共に、この外装ケースの開口部を上記の 口体で封止して電解コンデンサを作製し、 記評価を行った。ここで実施例1~4,7は、前記 調整例2~6に相当している。

 この場合、実施例4におけるトリメチロー ルプロパントリメタクリレート(TMPT)は、調整 例5において、後で添加する(c)の二官能性以 のラジカル重合性モノマーに相当する。

(8)比較例1
 同様にして、通常のブチルゴム(Reg-IIR)を樹 加硫した比較例1として、下記に示す配合( 量部)において150ccのニーダーで6分間混練し 。8インチのオープンロールにてさらに混練 しゴム組成物を得た。これを電解コンデンサ 用封口体として用いた。γ―ブチロラクトン 含む電解液が含浸されたコンデンサ素子を 外装ケースに収納すると共に、この外装ケ スの開口部を上記の封口体で封止して電解 ンデンサを作製し、下記評価を行った。

(9)比較例2
 更に、通常のブチルゴム(Reg-IIR)を有機過酸 物架橋した比較例2として、下記に示す配合 (重量部)において150ccのニーダーで6分間混練 た。8インチのオープンロールにてさらに混 練しゴム組成物を得た。これを電解コンデン サ用封口体として用いた。γ―ブチロラクト を含む電解液が含浸されたコンデンサ素子 、外装ケースに収納すると共に、この外装 ースの開口部を上記の封口体で封止して電 コンデンサを作製し、下記評価を行った。

 なお、前記実施例1~4,7及び比較例2におけ ジクミルパーオキサイド(DCP-40C)は過酸化物 硫を行わせるための有機過酸化物として使 されている。また、実施例1~4,7及び比較例1, 2におけSRFカーボン、ハードクレー、焼成ク ー、タルクは補強剤として使用され、各実 例及び比較例において同量使用されている

(10)評価結果…その1
 前記表1の通り、通常のブチルゴム(Reg-IIR)を 樹脂加硫してなるブチルゴム組成物によって 封口体を作製した比較例1は、初期特性では 施例1~4,7とほぼ同程度の性能を示すものの、 125℃360時間の熱老化後の物性変化では、その 硬度変化及び引張り強度変化率とも大幅に低 下し、コンデンサの封口体としては機能し得 ないことが確認された。

 また、通常のブチルゴム(Reg-IIR)を有機過 化物によって加硫(架橋)してなるブチルゴ 組成物によって封口体を作製した比較例2は 封口体を構成するシート自体を作製するこ ができず、耐熱性の試験自体を実施できな った。

 一方、本発明の変性ブチルゴム組成物から 口体を作製した実施例1~4,7においては、電 コンデンサの封口体として好ましいと言わ る特性、すなわち、圧縮永久歪み(105℃×70時 間)が60%以下、ゴム硬度(JIS-A)が60~95、ゴムの 面絶縁抵抗が10 4 Mω以上の初期特性を満足していることが確認 された。また、熱老化硬度変化も比較例1に 較して格段に少なく、熱老化引張り強度変 率が低いことから電解液の透過量が低いこ が確認された。したがって、実施例1~4,7の封 口体によれば、電解コンデンサの長寿命化が 可能となる。

(11)実施例5,6
 前記実施例1は、表1に示すように、補強剤 として、SRFカーボン、焼成クレー、ステア ン酸、シランカップリング剤を添加したも であるが、補強剤の封口体に対する影響を 認するため、補強剤をSRFカーボン単独とし 実施例5と、補強剤をSRFカーボンとハードク ーの併用とした実施例6を作製し、補強剤を SRFカーボンと焼成クレーとした前記実施例1 同様な手法で、封口体の性能試験を行った その結果は、下記の表2の通りである。

(12)評価結果…その2
 補強剤をSRFカーボン単独で使用した実施例5 では封口体を作製することは可能であるが、 その初期特性は、前記実施例1~4,7に比較する 劣っている。しかし、長期にわたる耐熱試 については、その熱老化硬度変化及び熱老 引張り強度変化率共に、比較例1の樹脂加硫 したブチルゴムを使用した封口体よりも優れ ている。

 一方、ハードクレー及び焼成クレーを配 した実施例6及び実施例1では、封口体とし の硬度並びに圧縮永久歪みなどの初期特性 、比較例1に対して改善され、125℃360時間後 も、熱老化引張り強度変化率が低く、電解 の透過量が低い。特に、焼成クレーを添加 た実施例1が、ハードクレーを添加した実施 例6よりも初期特性並びに長期耐熱特性につ ても優れていることが確認された。

(13)実施例8,9
 前記実施例7は、表1に示すように、補強剤 として、SRFカーボン、焼成クレー、ステア ン酸、シランカップリング剤を添加したも であるが、補強剤の封口体に対する影響を 認するため、補強剤をSRFカーボン単独とし 実施例9と、補強剤をSRFカーボンとタルクの 用とした実施例8を作製し、補強剤をSRFカー ボンと焼成クレーとした前記実施例7と同様 手法で、封口体の性能試験を行った。その 果は、下記の表3の通りである。

(14)評価結果…その3
 補強剤をSRFカーボン単独で使用した実施例9 では封口体を作製することは可能であるが、 その初期特性は、前記実施例1~4,7に比較する 劣っている。しかし、長期にわたる耐熱試 については、その熱老化硬度変化及び熱老 引張り強度変化率共に、比較例1の樹脂加硫 したブチルゴムを使用した封口体よりも優れ ている。

 一方、タルク及び焼成クレーを配合した 施例8及び実施例7では、封口体としての硬 並びに引張り強度などの初期特性が、比較 7に対して改善され、125℃360時間後でも、熱 化引張り強度変化率が低く、電解液の透過 が低い。特に、タルクを添加した実施例8が 、焼成クレーを添加した実施例7よりも圧縮 久歪みは低下するが硬度・強度並びに長期 熱特性についても優れていることが確認さ た。




 
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