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Patent Searching and Data


Title:
STEEL HAVING NON-MAGNETIC PORTION, ITS PRODUCING METHOD, AND REVOLVING ELECTRIC CORE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028522
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided are a steel having a non-magnetic portion, which can be applied to the steel of the remaining portion irrespective of the material and which has a structure of a short treating time required and a determined depth direction, its manufacturing method, and a revolving electric core. There is prepared an electromagnetic steel plate (10) having a recessed groove. A two-layered chip of a modified metal foil and a stainless steel foil is so set in the groove of the electromagnetic steel plate (10) that the electromagnetic steel plate (10) and the stainless steel foil have surfaces of the same height. The modified metal foil is melted when energized under pressure. When this pressure energization is continued, the electromagnetic steel plate (10) and the inner side of the stainless steel foil contacting the modified metal foil are melted to form a nonmagnetic alloy layer (2) in the region excepting the surface portions of an electromagnetic steel sheet layer (1) and a stainless steel layer (3). The nonmagnetic alloy layer (2) and the stainless steel layer (3) do not pass a magnetic flux.

Inventors:
KADOTA KEISUKE (JP)
AIHARA HIDEO (JP)
MITSUBAYASHI MASAHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065238
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 27, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
KADOTA KEISUKE (JP)
AIHARA HIDEO (JP)
MITSUBAYASHI MASAHIKO (JP)
International Classes:
H02K21/14; H02K1/06
Foreign References:
JP2004091842A2004-03-25
JPH0442513A1992-02-13
JP3507395B22004-03-15
JPH08256456A1996-10-01
JP2002171702A2002-06-14
JP2002069593A2002-03-08
JP3507395B22004-03-15
JP2001093717A2001-04-06
Attorney, Agent or Firm:
COSMOS PATENT OFFICE (Nagoya Center Building 2-22, Nishiki 2-chome, Naka-ku, Nagoya-sh, Aichi 03, JP)
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Claims:
非磁性箇所を有する鋼材において,
 前記非磁性箇所は,
  一方の表面側の表面鋼材層と,
  前記表面鋼材層の下の非磁性合金層とを有し,
  残部が前記非磁性箇所以外の箇所における鋼材と同じ材質および組織の主鋼材層であり,
 前記非磁性箇所における前記主鋼材層の厚さが,前記非磁性箇所以外の箇所における鋼材の全厚より薄いことを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材。
請求項1に記載の非磁性箇所を有する鋼材において,
 前記表面鋼材層が,オーステナイト系ステンレス鋼の層であることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材。
請求項1に記載の非磁性箇所を有する鋼材において,
 第1の主鋼材と第2の主鋼材とが重ね合わせられており,
 前記第1の主鋼材は,前記主鋼材層を含むものであり,
 前記第2の主鋼材は,前記表面鋼材層を含むものであり,
 前記非磁性合金層は,前記第1の主鋼材と,前記第2の主鋼材との双方に食い込んで形成されていることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材。
非磁性箇所を有する鋼材において,
 第1の主鋼材と第2の主鋼材とが重ね合わせられており,
 前記非磁性箇所は,内部に非磁性合金層が形成されており,
 前記非磁性合金層は,前記第1の主鋼材と前記第2の主鋼材との双方に食い込んで形成されていることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材。
請求項4に記載の非磁性箇所を有する鋼材において,
 前記第1の主鋼材と前記第2の主鋼材とが,重ね合わせられた面に対して対称な形状をしていることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材。
請求項3から請求項5までのいずれかに記載の非磁性箇所を有する鋼材において,
 前記非磁性合金層の体積抵抗率が,
 前記第1の主鋼材の体積抵抗率と前記第2の主鋼材の体積抵抗率とのいずれよりも大きいことを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材。
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の非磁性箇所を有する鋼材において,
 前記非磁性合金層が,その融点を上昇させる元素を含有するオーステナイト相の合金層であることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材。
非磁性箇所を有する回転電機コアにおいて,
 前記非磁性箇所は,
  一方の表面側の表面鋼材層と,
  前記表面鋼材層の下の非磁性合金層とを有し,
  残部が前記非磁性箇所以外の箇所における鋼材と同じ材質および組織の主鋼材層であり,
 前記非磁性箇所における前記主鋼材層の厚さが,前記非磁性箇所以外の箇所における鋼材の全厚より薄いことを特徴とする非磁性箇所を有する回転電機コア。
請求項8に記載の回転電機コアにおいて,
 複数の磁石取り付け穴が形成されており,
 前記非磁性箇所が,隣り合う磁石取り付け穴の間に位置しており,
 隣り合う磁石取り付け穴の間の最短距離の箇所が,前記非磁性箇所の中に位置していることを特徴とする回転電機コア。
請求項8に記載の回転電機コアにおいて,
 磁石取り付け穴が形成されており,
 前記非磁性箇所が,前記磁石取り付け穴と外周縁との間に位置しており,
 前記磁石取り付け穴と外周縁との間の最短距離の箇所が,前記非磁性箇所の中に位置していることを特徴とする回転電機コア。
非磁性箇所を有する回転電機コアであって,
 前記回転電機コアは,第1の主鋼材と,第2の主鋼材とが重ね合わせられた鋼材を積層したものであり,
 前記非磁性箇所は,内部に非磁性合金層が形成されており,
 前記非磁性合金層は,前記第1の主鋼材と前記第2の主鋼材との双方に食い込んで形成されていることを特徴とする非磁性箇所を有する回転電機コア。
請求項11に記載の非磁性箇所を有する回転電機コアにおいて,
 前記非磁性合金層の体積抵抗率が,
 前記第1の主鋼材の体積抵抗率と前記第2の主鋼材の体積抵抗率とのいずれよりも大きいことを特徴とする非磁性箇所を有する回転電機コア。
 凹部を設けた主鋼材の凹部に,蓋鋼材と,鉄とともに非磁性合金を形成する合金形成材とを,前記蓋鋼材が上層となるように挿入し,
 その箇所に通電することにより,前記合金形成材を,前記主鋼材の一部および前記蓋鋼材の一部とともに溶融して,主鋼材の残部と蓋鋼材の残部との間に非磁性合金の層を形成することを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材の製造方法。
請求項13に記載の非磁性箇所を有する鋼材の製造方法において,
 前記蓋鋼材として,オーステナイト系ステンレス鋼を用いることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材の製造方法。
請求項13または請求項14に記載の非磁性箇所を有する鋼材の製造方法において,
 前記通電を行う上層側の電極の接触面が,前記蓋鋼材のみに接触した状態で通電を行うことを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材の製造方法。
 一方の面に凹部を設けた第1の主鋼材及び第2の主鋼材を含む複数の鋼材を,両端の位置の鋼材が前記第1の主鋼材と前記第2の主鋼材となるように,前記第1の主鋼材の凹部と前記第2の主鋼材の凹部とが互いに向かい合うように重ね合わせるとともに,前記凹部で区切られた空間に合金形成材を配置した状態とし,
 その凹部のある箇所に通電することにより,前記合金形成材を,周囲の鋼材の一部とともに溶融して,第1の主鋼材の残部と第2の主鋼材の残部との間に非磁性合金の層を形成することを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材の製造方法。
請求項16に記載の非磁性箇所を有する鋼材の製造方法において,
 前記第1の主鋼材と前記第2の主鋼材との2枚を重ね合わせることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材の製造方法。
請求項16または請求項17に記載の非磁性箇所を有する鋼材の製造方法において,
 前記第1の主鋼材の凹部に合金形成材を挿入するとともに,前記第2の主鋼材の凹部に前記合金形成材とは別の合金形成材を挿入し,
 前記第1の主鋼材と前記第2の主鋼材とを重ね合わせることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材の製造方法。
請求項18に記載の非磁性箇所を有する鋼材の製造方法において,
 前記第1の主鋼材及び前記第2の主鋼材を凹部が上になるように配置した状態でそれらの凹部に合金形成材を挿入するとともに,少なくとも前記第2の主鋼材の凹部に,前記合金形成材とともに強磁性金属を,強磁性金属が上になるように挿入し,
 前記第2の主鋼材の凹部の下側に磁石を配置して前記磁石と前記強磁性金属とで前記第2の主鋼材及び前記合金形成材とを圧着し,その状態で前記第2の主鋼材を上下反転させ,
 前記第2の主鋼材と,前記第1の主鋼材とを重ね合わせることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材の製造方法。
請求項13から請求項19までのいずれかに記載の非磁性箇所を有する鋼材の製造方法において,
 前記合金形成材として,その融点を上昇させる元素を含有するものを用いることを特徴とする非磁性箇所を有する鋼材の製造方法。
Description:
非磁性箇所を有する鋼材および の製造方法および回転電機コア

 本発明は,回転電機などの鉄心に用いて好 適な鋼材に関するものである。さらに詳細に は,部分的に非磁性の箇所を有する鋼材およ その製造方法および回転電機コアに関する のである。

 電動機や発電機などに用いられる鉄心に 一般に,高い透磁率が求められる。しかしな がら鉄心には部分的に,コイルや磁石の配置 より有効磁気経路とならない箇所もある。 えば,図1のようなステータ80とロータ90にお ては,ロータ90に磁石91が取り付けられている 。このロータ90における,ペリブリッジ部92お びセンターブリッジ部93は,有効磁束Fの経路 とはならない。このような箇所にも鉄心が存 在していることは,むしろ漏れ磁束により性 を低下させている。そのため,このような箇 の磁気抵抗を高めることが望ましい。とは え,全体の強度を維持し磁石91を安定して保 する必要もあるので,この箇所を空隙にする のは好ましくない。

 そこで従来から,鉄心のうちこのような箇 所を部分的に非磁性化することが行われてい る。例えば特許文献1には,鉄心の該当箇所を 所的に加熱しそして冷却させることでオー テナイト領域を形成する技術が開示されて る。すなわち,基材としては,準安定オース ナイト系ステンレス鋼を冷間圧延により強 性のマルテンサイト組織としたものを用い, の一部を,この方法で非磁性のオーステナイ ト組織とするのである。局所的な加熱の手段 としてはレーザー照射を挙げている。さらに 特許文献2には,対象の磁性部材を局所的に溶 しつつ,外部から改質元素を添加して固溶さ せ,非磁性化することが開示されている。

特許第3507395号公報

特開2001-93717号公報

 しかしながら前記した従来の技術には,次 のような問題点があった。まず,鉄心の主要 分にマルテンサイト化したオーステナイト ステンレス鋼を用いるものでは,結晶形の歪 等のため,透磁率が一般的な電磁鋼板より劣 り,最大磁束密度が不足する。また,溶融させ 状態で改質元素を添加するものでは,長い処 理時間を要すること,深さ方向の制御が困難 非磁性層を所望どおりに形成できないこと, いった問題がある。また,改質元素を添加し た分の体積増加により処理後の平坦性が悪い という問題もある。

 本発明は,前記した従来の技術が有する問 題点を解決するためになされたものである。 すなわちその課題とするところは,非磁性箇 以外の部分の鋼材の材質に関わらず適用で ,要処理時間が短く,決まった深さ方向構造の 非磁性箇所を持つようにした,非磁性箇所を する鋼板およびその製造方法および回転電 コアを提供することにある。

 この課題の解決を目的としてなされた本 明の非磁性箇所を有する鋼材は,前記非磁性 箇所が,一方の表面側の表面鋼材層と,前記表 鋼材層の下の非磁性合金層とを有し,残部が 前記非磁性箇所以外の箇所における鋼材と同 じ材質および組織の主鋼材層であり,前記非 性箇所における前記主鋼材層の厚さが,前記 磁性箇所以外の箇所における鋼材の全厚よ 薄いことを特徴とするものである。かかる 材は,非磁性箇所以外では強い透磁率を有す るため磁束を透過させるが,前記非磁性箇所 磁束の透過を抑えるため局所的な磁束の漏 を防止できる。

 上記において,さらに前記表面鋼材層が, ーステナイト系ステンレス鋼の層であれば およい。前記表面鋼材層が非磁性であるた ,磁束の漏れをより少なくできるからである

 上記において,第1の主鋼材と第2の主鋼材 が重ね合わせられており,前記第1の主鋼材 ,前記主鋼材層を含むものであり,前記第2の 鋼材は,前記表面鋼材層を含むものであり,前 記非磁性合金層は,前記第1の主鋼材と,前記第 2の主鋼材との双方に食い込んで形成されて てもよい。局所的な磁束の漏れを防止でき ことに変わりないからである。また,未接合 も生じない。

 また,本発明に係る非磁性箇所を有する鋼 材は,第1の主鋼材と第2の主鋼材とが重ね合わ せられており,前記非磁性箇所は,内部に非磁 合金層が形成されており,前記非磁性合金層 は,前記第1の主鋼材と前記第2の主鋼材との双 方に食い込んで形成されていることを特徴と するものである。かかる鋼材は,非磁性箇所 外では強い透磁率を有するため磁束を透過 せるが,前記非磁性箇所が磁束の透過を抑え ため局所的な磁束の漏れを防止できる。ま ,未接合部も生じないため,充分な強度を有 ている。

 上記において,前記第1の主鋼材と前記第2 主鋼材とが,重ね合わせられた面に対して対 称な形状をしているとなおよい。局所的な磁 束の漏れを防止できることに変わりないから である。また,未接合部も生じない。第1の主 材の凹部と,第2の主鋼材の凹部とが,正確に 向するからである。また,当該鋼材を積み重 ねる上で支障がない。

 上記において,前記非磁性合金層の体積抵 抗率が,前記第1の主鋼材の体積抵抗率と前記 2の主鋼材の体積抵抗率とのいずれよりも大 きいとなおよい。局所的な磁束の漏れを防止 できることに変わりないからである。また, 接合部も生じない。さらに,かかる鋼材を回 電機コアに用いた場合,非磁性合金層で発生 する渦電流によるエネルギー損失が小さいた めである。

 さらに,前記非磁性合金層が,その融点を 昇させる元素を含有するオーステナイト相 合金層であればなおよい。非磁性合金の融 と鋼材の融点が近くなるため,非磁性合金が 融している時間が短くなり,なおかつ温度の 制御性が向上するという,製造時における利 があるからである。

 また本発明は,非磁性箇所が,一方の表面 の表面鋼材層と,前記表面鋼材層の下の非磁 合金層とを有し,残部が前記非磁性箇所以外 の箇所における鋼材と同じ材質および組織の 主鋼材層であり,前記非磁性箇所における前 主鋼材層の厚さが,前記非磁性箇所以外の箇 における鋼材の全厚より薄い非磁性箇所を する回転電機コアにも及ぶ。

 上記に記載の回転電機コアにおいて,複数 の磁石取り付け穴が形成されており,前記非 性箇所が,隣り合う磁石取り付け穴の間に位 しており,隣り合う磁石取り付け穴の間の最 短距離の箇所が,前記非磁性箇所の中に位置 ているとよい。非磁性合金層または表面鋼 層の壁面と主鋼材層の壁面との間に未接合 が生じても,応力集中箇所でないため充分な 度が確保できるからである。

 上記に記載の回転電機コアにおいて,磁石 取り付け穴が形成されており,前記非磁性箇 が,前記磁石取り付け穴と外周縁との間に位 しており,前記磁石取り付け穴と外周縁との 間の最短距離の箇所が,前記非磁性箇所の中 位置しているとよい。非磁性合金層または 面鋼材層の壁面と主鋼材層の壁面との間に 接合部が生じても充分な強度が確保できる とに変わりはないからである。

 また,本発明に係る非磁性箇所を有する回 転電機コアは,第1の主鋼材と,第2の主鋼材と 重ね合わせられた鋼材を積層したものであ ,前記非磁性箇所は,内部に非磁性合金層が形 成されており,前記非磁性合金層は,前記第1の 主鋼材と前記第2の主鋼材との双方に食い込 で形成されていることを特徴とするもので る。かかる非磁性合金層を有する回転電機 アは,非磁性箇所以外では強い透磁率を有す ため磁束を透過させる一方,漏れ磁束が少な い。また,未接合部が生じないため,充分な強 を有している。

 上記において,前記非磁性合金層の体積抵 抗率が,前記第1の主鋼材の体積抵抗率と前記 2の主鋼材の体積抵抗率とのいずれよりも大 きいとなおよい。非磁性箇所以外では強い透 磁率を有するため磁束を透過させることに変 わりはないからである。また,未接合部が生 ないため,充分な強度を有している。さらに, 非磁性合金層で発生する渦電流によるエネル ギー損失も小さい。

 本発明の非磁性箇所を有する鋼材の製造 法では,凹部を設けた主鋼材の凹部に,蓋鋼 と,鉄とともに非磁性合金を形成する合金形 材とを,前記蓋鋼材が上層となるように挿入 し,その箇所に通電することにより,前記合金 成材を,前記主鋼材の一部および前記蓋鋼材 の一部とともに溶融して,主鋼材の残部と蓋 材の残部との間に非磁性合金の層を形成す 。合金形成材は融点が低いため加熱途中で 相となるが,蓋鋼材が液相の蓋の役割を果た 。このため,液相となった金属が通電電極に 凝着するのを防止できる。

 上記に記載の非磁性箇所を有する鋼材の 造方法において,前記蓋鋼材として,オース ナイト系ステンレス鋼を用いるとなおよい オーステナイト系ステンレス鋼は融点が鋼 とほぼ同等で,かつ非磁性であるため,前記非 磁性箇所の非磁性部の厚みを大きくできるか らである。

 上記に記載の非磁性箇所を有する鋼材の 造方法において,前記通電を行う上層側の電 極の接触面が,前記蓋鋼材のみに接触した状 で通電を行うとよい。蓋鋼材及び合金形成 を有効に発熱することができるためである

 また,本発明の非磁性箇所を有する鋼材の 製造方法では,一方の面に凹部を設けた第1の 鋼材及び第2の主鋼材を含む複数の鋼材を, 端の位置の鋼材が前記第1の主鋼材と前記第2 の主鋼材となるように,前記第1の主鋼材の凹 と前記第2の主鋼材の凹部とが互いに向かい 合うように重ね合わせるとともに,前記凹部 区切られた空間に合金形成材を配置した状 とし,その凹部のある箇所に通電することに り,前記合金形成材を,周囲の鋼材の一部と もに溶融して,第1の主鋼材の残部と第2の主 材の残部との間に非磁性合金の層を形成す 。かかる非磁性箇所を有する鋼材の製造方 においても,第1の主鋼材及び第2の主鋼材が 相の蓋の役割を果たす。このため,液相とな た金属が通電電極に凝着するのを防止でき ことに変わりはない。これにより,複数の鋼 材を重ね合わせた非磁性箇所を有する鋼材が 製造される。

 上記の非磁性箇所を有する鋼材の製造方 において,前記第1の主鋼材と前記第2の主鋼 との2枚を重ね合わせるようにしてもよい。 第1の主鋼材及び第2の主鋼材が蓋の役割を果 すことに変わりはないからである。これに り,2枚の鋼材を重ね合わせた非磁性箇所を する鋼材が製造される。

 上記の非磁性箇所を有する鋼材の製造方 において,前記第1の主鋼材の凹部に合金形 材を挿入するとともに,前記第2の主鋼材の凹 部に前記合金形成材とは別の合金形成材を挿 入し,前記第1の主鋼材と前記第2の主鋼材とを 重ね合わせるようにしてもよい。第1の主鋼 及び第2の主鋼材が蓋の役割を果たすことに わりはないからである。また,第1の主鋼材 第2の主鋼材とを重ね合わせる際に,合金形成 材が,別の合金形成材または鋼材とかじるこ がないからである。

 上記の非磁性箇所を有する鋼材の製造方 において,前記第1の主鋼材及び前記第2の主 材を凹部が上になるように配置した状態で れらの凹部に合金形成材を挿入するととも ,少なくとも前記第2の主鋼材の凹部に,前記 金形成材とともに強磁性金属を,強磁性金属 が上になるように挿入し,前記第2の主鋼材の 部の下側に磁石を配置して前記磁石と前記 磁性金属とで前記第2の主鋼材及び前記合金 形成材とを圧着し,その状態で前記第2の主鋼 を上下反転させ,前記第2の主鋼材と,前記第1 の主鋼材とを重ね合わせるようにするとなお よい。第1の主鋼材と第2の主鋼材とを重ね合 せる際に,合金形成材が凹部から落下するお それがないからである。

 上記に記載の非磁性箇所を有する鋼材の 造方法において,前記合金形成材として,そ 融点を上昇させる元素を含有するものを用 るとなおよい。非磁性合金の融点と鋼材の 点が近くなるため,非磁性合金が溶融してい 時間が短くなる。このため,溶融層の外部へ の漏出といったリスクを抑えることができ, 御性が向上するからである。

 本発明によれば,非磁性箇所以外の部分の 鋼材の材質に関わらず適用でき,要処理時間 短く,決まった深さ方向構造の非磁性箇所を つようにした,非磁性箇所を有する鋼材およ びその製造方法および回転電機コアが提供さ れている。

回転電機のロータにおける有効磁束の 路とならない部位を説明する斜視図である 第1の形態のロータに用いる電磁鋼板の 非磁性箇所の構造を示す断面図である。 第1の形態のロータに用いる電磁鋼板の 非磁性箇所の作成手順(その1)を説明する斜視 図である。 第1の形態のロータに用いる電磁鋼板の 非磁性箇所の作成手順(その2)を説明する断面 図である。 図4の状態での通電開始前における温度 分布のグラフを断面図とともに示す図である 。 図4の状態での通電開始後における温度 分布のグラフを断面図とともに示す図(その1) である。 図4の状態での通電開始後における温度 分布のグラフを断面図とともに示す図(その2) である。 図4の状態での通電開始前における温度 分布のグラフを断面図とともに示す図(その3) である。 通電箇所が2層チップより大きい場合に 分流の発生を説明する図である。 通電領域が2層チップとほぼ等しいか や小さい場合を説明する図である。 第2の形態における図5に相当する図で る。 ロータの改質箇所に未接合部が発生し た場合を説明する断面図である。 第3の形態のロータにおける非磁性箇 の作成手順(その1)を説明する斜視図である 第3の形態のロータにおける改質箇所 説明する図(その1)である。 第3の形態のロータにおける改質箇所 説明する図(その2)である。 第3の形態のロータにおける改質箇所 説明する図(その3)である。 第3の形態のロータにおける改質箇所 説明する図(その4)である。 第4の形態のロータに用いる電磁鋼板 非磁性箇所の構造を示す断面図(その1)であ 。 第4の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その1)である。 第4の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その2)である。 第4の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その3)である。 第4の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その4)である。 第4の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その5)である。 第4の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その6)である。 第4の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その7)である。 第4の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その8)である。 第4の形態のロータの別の製造工程を 明する断面図(その1)である。 第4の形態のロータの別の製造工程を 明する断面図(その2)である。 第1の形態のロータとその非磁性箇所 発生する渦電流を説明するための断面図で る。 第4の形態のロータとその非磁性箇所 発生する渦電流を説明するための断面図(そ 1)である。 第4の形態のロータとその非磁性箇所 発生する渦電流を説明するための断面図(そ 2)である。 第4の形態のロータに用いる電磁鋼板 非磁性箇所の構造を示す断面図(その2)であ 。 第5の形態のロータの製造工程を説明 る斜視図(その1)である。 第5の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その1)である。 第5の形態のロータの製造工程を説明 る斜視図(その2)である。 第5の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その2)である。 第5の形態のロータの製造工程を説明 る斜視図(その3)である。 第5の形態のロータの製造工程を説明 る断面図(その3)である。

符号の説明

1…電磁鋼板層
2,110,210…非磁性合金層
3…ステンレス鋼層
10,20…電磁鋼板
11…溝
12…2層チップ
13…ステンレス鋼箔
14…改質金属箔
15…電極
16…液状部
31…改質金属箔
32…高抵抗改質金属箔
33…強磁性金属箔
40…電磁石
50,100,200…非磁性箇所を有する電磁鋼板
90,190,290…ロータ
X…非磁性箇所

[第1の形態]
 以下,本発明を具体化した最良の形態につい て,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。 形態に係る回転電機は,図1に示したロータ90 ペリブリッジ部92およびセンターブリッジ 93として,以下に説明する手順で作成した非 性箇所を備えたものである。センターブリ ジ部93は,隣り合う磁石取り付け穴の間の箇 であり,ペリブリッジ部92は,磁石取り付け穴 外周縁との間の箇所である。ロータ90およ ステータ80はいずれも,多数枚の電磁鋼板を 層してなるものである。

 まず,本形態のロータ90における非磁性箇 の構造を説明する。ロータ90における非磁 箇所は,図2に示す断面構造を有している。図 2は,ロータ90の非磁性箇所の,電磁鋼板50の断 図である。図2に示す非磁性箇所Xは,電磁鋼 層1と,非磁性合金層2と,ステンレス鋼層3との 3層構造となっている。電磁鋼板層1は主鋼材 であり,ステンレス鋼層3は表面鋼材層であ 。電磁鋼板層1が図2中下側の表面をなしてお り,ステンレス鋼層3が図中上側の表面をなし いる。非磁性合金層2はそれらの間にある。

 電磁鋼板層1は,主鋼材である電磁鋼板10そ のものの一部分である。非磁性合金層2は,Fe 主成分としてそれにMn,Ni等の合金元素を添加 してなる,オーステナイト相の非磁性の合金 である。ステンレス鋼層3は,オーステナイト 系ステンレス鋼の層である。

 かかる非磁性箇所Xにおいては,電磁鋼板 1のみが磁性体であり,非磁性合金層2および テンレス鋼層3はいずれも非磁性体である。 って,非磁性箇所Xにおいて有効な磁気経路 なりうるのは,電磁鋼板層1の部分に限られる 。すなわち非磁性箇所Xでは,電磁鋼板10の全 のうちごく限られた部分しか磁気経路とな 得ない。このために磁気抵抗が大きく,実質 に非磁性の箇所と見ることができるのであ 。

 図1に示したロータ90のペリブリッジ部92 よびセンターブリッジ部93においては,すべ の電磁鋼板が図2に示す非磁性箇所Xとなって いる。このため,磁石91の磁束はほとんどペリ ブリッジ部92やセンターブリッジ部93を通ら い。よって,磁石91の磁束のほとんどが有効 束Fとなる。また,電磁鋼板10のうち非磁性箇 X以外の部分は,一般的なFe-Si系のものであり ,透磁率が非常に高い。したがって,本形態の 転電機の磁気効率は優れている。このよう 本形態では,磁気効率に優れた非磁性箇所を 有する鋼材および回転電機コアが実現されて いる。

 続いて,非磁性箇所Xの作成手順を説明す 。まず,図3に示すように,電磁鋼板10のうち非 磁性箇所Xとなるべき箇所に溝11を形成する。 溝11の形成は,切削など公知の適切な方法で行 えばよい。また,溝11の大きさ及び形状は形成 したい非磁性箇所Xの領域に応じて選ぶこと できる。

 電磁鋼板10の厚さt1が0.3mmであれば,溝11の 分の電磁鋼板10の厚さt2はその半分の0.15mm程 度とする。すなわち,溝11の深さは電磁鋼板10 厚さの半分程度である。これは,図2中にお る非磁性合金層2とステンレス鋼層3の合計の 厚さよりずいぶん少ない。その理由は後述す る。なお,このことは,溝11の部分の電磁鋼板10 の厚さt2がさほど小さくないことを意味する つまり,溝11の部分は極端に弱いわけではな 。よって,溝11を形成した後の電磁鋼板10の り扱いにそれほど慎重さが要求されるわけ はない。また,図3中の幅wは,図1中のペリブリ ッジ部92またはセンターブリッジ部93の幅に 当する。

 そして,別途用意した2層チップ12を,溝11に 挿入する。2層チップ12は,ステンレス鋼箔13と 改質金属箔14とを重ね合わせて一体化したも である。ステンレス鋼箔13の材質は,例えばJ IS-SUS304のようなオーステナイト系ステンレス 鋼である。また,ステンレス鋼箔13は,後述す ように溶融した改質金属箔14の漏れを防ぐ蓋 鋼材である。改質金属箔14は,Feとともにオー テナイト相を形成する種類の金属またはそ 合金からなる合金形成材である。具体的な 質として,Ni,Mn,Ni-Mn合金等が使用可能である 以下では,特記しない限りNi-Mnを用いること する。かかる2層チップ12を,ステンレス鋼箔 13が上層となるように溝11に挿入する。

 2層チップ12のサイズは,溝11をちょうど隙 なく埋める大きさとする。すなわち,2層チ プ12の厚さは溝11の深さと同じである。さら ,ステンレス鋼箔13の厚さと改質金属箔14の さはほぼ同じである。これは,図2中における ステンレス鋼層3や非磁性合金層2の厚さと比 して,ステンレス鋼箔13は厚く改質金属箔14 薄い。その理由も後述する。2層チップ12を 入することにより,電磁鋼板10の図3中上側の は,段差のないフラットな面となる。

 なお,ステンレス鋼箔13と改質金属箔14と 一体化せずに使用してもよい。すなわち,単 の改質金属箔14と単独のステンレス鋼箔13と を順次溝11に挿入してもかまわない。

 そして図4に示すように,2層チップ12を挿入 た溝11の箇所を,表裏から電極15,15で挟み付け る。そして,スポット溶接と類似の要領で,加 しながら電極15,15間に通電する。加圧の圧 は0.15MPa程度とし,電流値は,2層チップ12の面 (cm 2  )当たり10kA程度とする。この通電の抵抗発 により,改質金属箔14が溶融する。そして通 終了後に再び凝固することにより,図2に示し た非磁性合金層2が形成されるのである。

 ここで,通電時の改質金属箔14の溶融の様 をより詳細に説明する。通電開始前におけ 溝11の箇所の深さ方向の温度分布は,図5中の 下方のグラフのカーブQに示すように,全厚に たって室温(R.T.)となっている。この温度分 は,図5中の上方の断面図における矢印Aの位 におけるものである。なお,図5中の下方の ラフにおける「M.T.」は,ステンレス鋼箔13,改 質金属箔14,電磁鋼板10のそれぞれの融点を示 ている。図から明らかなように,ステンレス 鋼箔13と電磁鋼板10との融点はほぼ同じであ が,改質金属箔14の融点はそれよりやや低い その融点の差を図5中では「δT」と記してい 。

 通電を開始すると,最も速く昇温するのは ,ステンレス鋼箔13と改質金属箔14との境目の 所と,改質金属箔14と電磁鋼板10との境目の 所である。接触抵抗があるからである。こ ため,図6中の下方のグラフに示すカーブQの うな温度分布となる。なお,このカーブQはシ ミュレーションの結果による。このとき,改 金属箔14のうち,ステンレス鋼箔13または電磁 鋼板10との接触箇所付近は,早々にその融点に 達して溶融する。これにより液状部16,16が発 する。液状部16,16が発生すると,ステンレス 箔13や電磁鋼板10のうち液状部16に接してい 部分も,液状部16に少し溶け込んでいく。こ ため,ステンレス鋼箔13や電磁鋼板10の温度 その融点に達する前に,液状部16,16が少しス ンレス鋼箔13,電磁鋼板10に食い込むこととな る。

 さらに通電を続けると,図7に示すように 状部16が広がる。この状態では改質金属箔14 大部分がすでに溶融している。ステンレス 箔13や電磁鋼板10へ向けての液状部16の広が も,図6と比べて大きくなっている。

 さらに通電を続けると,図8に示すように, 状部16がさらに広がる。この状態では,改質 属箔14は完全に溶けて電磁鋼板10やステンレ ス鋼箔13と混ざっている。溝11の箇所のステ レス鋼箔13や電磁鋼板10の厚さは,図5の通電 始前の厚さに比べればかなり減少している ただし,ステンレス鋼箔13,電磁鋼板10とも,消 することなく,穴が開くこともなく,残って る。

 図8の状態になれば,この上さらに加熱す 必要はない。むしろ,このままさらに加熱を けると,ステンレス鋼箔13や電磁鋼板10に穴 開いて液状部16の溶融金属が電極15,15に融着 たり,あるいは外部に流出したりするおそれ がある。このためここで通電を終了する。す るとその後は,周囲への放熱により次第に温 が低下していく。温度の低下により,液状部1 6が凝固する。このとき,空孔ができることは い。

 図8の状態での液状部16の組成は,Feを主成 とし,改質金属箔14に由来するNiやMn等を相当 程度に含んだものとなっている。このため, 固するとオーステナイト相となり,非磁性で る。こうして液状部16は,図2に示した非磁性 合金層2となる。ステンレス鋼箔13や電磁鋼板 10のうち,溶融することなく残っている部分が ,図2中のステンレス鋼層3や電磁鋼板層1であ 。こうして,図2に示した非磁性箇所Xができ がる。ここで,図3における改質金属箔14は電 鋼板10およびステンレス鋼箔13の一部を取り 込み,非磁性合金層2を形成する。このため非 性合金層2の厚さは改質金属箔14の厚さより 大きくなっている。なお,通電開始から通電 終了までの時間は,改質金属箔14の種類や各部 の厚さなどにも左右されるが,おおむね1.8秒 度が適切である。条件によっては,更に短時 とすることも可能である。

 また,2層チップ12を挿入した溝11の箇所を, 表裏から電極15,15で挟み付け通電する際には, 図10に示すように電極15,15が2層チップ12及び 磁鋼板層1の箇所のみを挟み通電するとよい そのために,電極15,15の接触面の形状は2層チ ップ12の表面の形状と同一かまたは電極の接 面の方がやや小さいものにする。これによ ,2層チップ12の表面側にある電極が2層チッ 12にのみ接触する。ここで,2層チップの裏面 にある電極は2層チップに比べて多少大きく ても構わない。このため,溝11の外の電磁鋼板 10に電流がほとんど流れず,ステンレス鋼箔13 び改質金属箔14に主に電流が流れる。電極15 ,15の接触面の形状が大きい場合,図9に示すよ な電流の分流が発生し,分流の分の発熱は有 効に使われない。このため,ステンレス鋼箔13 及び改質金属箔14の温度が充分に上昇せず,適 切な非磁性箇所Xの形成をすることが困難で る。この状況を回避するため,通電領域を適 に設定するのである。これにより,図10に示 ように溝11の外の電磁鋼板10には電流がほと んど流れない。

 以上詳細に説明したように上記の手順を いることにより,本形態では,次のようなメ ットを有する非磁性箇所を有する鋼材の製 方法が実現されている。すなわち,非磁性箇 Xとなるべき部分にのみ通電して加熱するの で,他の部分の材質を問わない。このため,電 鋼板10そのものについては,透磁率重視で種 を選択することができる。したがって,磁気 効率のよいロータ90が得られる。

 また,溝11の初期深さや改質金属箔14の厚 などにより,非磁性箇所Xに形成される非磁性 合金層2の厚さを調整することができる。さ に,非磁性合金層2の厚さの再現性も良好であ る。このため,なるべく厚い非磁性合金層2が られるように種々の条件を定めることによ ,非磁性箇所Xに占める電磁鋼板層1の厚さを りぎりまで小さくすることができる。これ より,無効磁束を極限まで減らすことができ る。溝11及び2層チップ12の形状を自由に選ぶ とができるため,形成される非磁性箇所Xの 域も限定されることはない。

 また,溝11の初期サイズと2層チップ12のサ ズを一致させておくことにより,加熱の前後 での体積変化がほとんどない。このため,空 もなく,かつ表面が平坦な非磁性箇所Xを得る ことができる。よって,非磁性箇所Xを持つこ による強度面での不利がほとんどない。ま 積み重ねの障害となることもない。

 また,加熱するのは非磁性箇所Xとなるべ 部分だけであり,電磁鋼板10の全体を加熱す のではない。このため,消費電力が少なくて む。また,スポット溶接と類似の要領で短い 処理時間で非磁性箇所Xを形成できる。この め量産にも適している。

[第2の形態]
 以下に,本発明の第2の形態を説明する。ロ タ90を構成する電磁鋼板10に凹部を形成し,ス テンレス鋼箔13と改質金属箔14とからなる2層 ップ12を図3のように凹部にセットすること 第1の形態と同様である。また,2層チップ12 セットした部分を図4のように加圧通電し,改 質金属箔14およびステンレス鋼箔13と電磁鋼 10の内側を溶融させることも第1の形態と同 である。つまり,図6上部から図8上部のよう 経過をたどるのである。また,温度が降下し 後は,3層構造が形成されることも第1の形態 同様である。つまり,電磁鋼板層1とステン ス鋼層3および凝固した非磁性合金層2が形成 されるのである。

 第1の形態と異なる点は,改質金属箔14とし て,前述の成分にCo,Rh等の金属元素を助材とし て添加したものを用いることである。例えば ,Coを約20体積%,Rhを約5体積%添加する。この助 は改質金属箔14の融点を上昇させる効果が る。よって改質金属箔14の融点を,電磁鋼板10 およびステンレス鋼箔13の融点よりわずかに となるように調整可能である。この改質金 箔14とステンレス鋼箔13を挿入した場合を図 11に示す。図11中の下方のグラフに示す改質 属箔14と電磁鋼板10およびステンレス鋼箔13 融点の差δTは,図5に比べて小さい。このδTが 小さな鋼材およびその製造方法および回転電 機コアが第2の形態である。

 このように融点の差δTが小さいため,加圧 通電して改質金属箔14が溶融を始める温度は 磁鋼板10とステンレス鋼箔13の融点と近い。 このため,改質金属箔14が溶融し始めた後,電 鋼板10とステンレス鋼箔13が溶融し始めるま の時間は第1の形態に比べて短い。つまり, 6上部から図8上部への移行がより短い時間で 達成される。そのため溶融金属がステンレス 鋼箔13と電磁鋼板10の隙間から外部に漏れ出 可能性が第1の形態よりも小さくなっている これにより加圧通電工程の制御性が向上し おり,形成される非磁性合金層2の深さの調 ,溶融金属の温度管理等が向上し,より高い品 質確保が可能である。

 なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず ,本発明を何ら限定するものではない。した って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない 囲内で種々の改良,変形が可能である。例え ば,ステンレス鋼層3はオーステナイト系ステ レス鋼に限らない。通電したときに溶けな ものであれば普通鋼あるいは電磁鋼板等で っても構わない。ただし,非磁性の方が望ま しい。また,チップにおける改質金属箔14の部 分は2層以上の複数箔であっても構わない。 ちろん,オーステナイト安定化元素を含んで れば1層でも構わない。また,改質金属箔14に 添加する融点上昇金属は融点を上げるもので あればどんなものでも構わない。また,非磁 箇所Xをもつ鋼材の用途は回転電機コアに限 ない。つまり,ステータ,変圧器のコア等で っても,部分的に非磁性であることが有効で るものであれば適用可能である。

[第3の形態]
 以下に,本発明の第3の形態を説明する。本 態のロータ90は,使用時に高速で回転するも であり,その際に電磁鋼板10及び非磁性箇所X は強い遠心力がかかるものである。このた ,それに耐えうる強度を確保する必要がある 。ゆえに,ロータ90は強度の確保と非磁性箇所 による磁束の漏れの防止とを同時に満たすこ とが望ましい。

 しかしながら,加圧通電後に形成される非 磁性合金層2及びステンレス鋼層3において,図 12に示すように溝11の壁面に接合していない 所ができることがある。つまり,非磁性合金 2及びステンレス鋼層3の壁面と電磁鋼板10と の間に未接合部94が生じるのである。この未 合部94ができると,溝11と2層チップ12がわず に接合した箇所に遠心力により生ずる応力 集中するおそれがある。また,接合具合によ ては薄い電磁鋼板層1のみに力が集中する場 合もある。このように未接合部94が生じたと ても一定の強度を確保できるように,本形態 のロータ90に用いる電磁鋼板10は2層チップ12 壁面の面積が大きいものを用いるのである

 本形態の非磁性箇所を有する鋼材とその 造方法を図13により説明する。図13の電磁鋼 板10はロータ90の一部に相当するものである 改質金属箔14の材質は,第1の形態または第2の 形態のどちらのものを用いても構わない。そ して,ステンレス鋼箔13及び改質金属箔14から る2層チップ12を,ステンレス鋼箔13が表面側 なるように電磁鋼板10の溝11に挿入する。2 チップ12を挿入した後は,ステンレス鋼層13の 上側と電磁鋼板10の上側はほぼ同じ高さであ 。

 次に,図4に示すように,2層チップ12を挿入 た溝11の箇所を,表裏から電極15,15で挟み付 る。挟み付けた後,スポット溶接と類似の要 で,加圧しながら電極15,15間に通電する。加 の圧力及び電流値は,第1の形態と同様であ 。この通電の抵抗発熱により,改質金属箔14 溶融する。この際,図6上部から図8上部のよ な経過をたどる。そして通電終了後に再び 固することにより,図2に示した非磁性合金層 2が形成されるのである。

 この加圧通電工程における電磁鋼板層1及 びステンレス鋼箔13及び改質金属箔14が溶融 る過程も第1の形態又は第2の形態と同様であ る。加圧通電の終了の後,非磁性箇所Xは,図2 あるように非磁性合金層2及びステンレス鋼 3が形成されている。このとき,図12に示すよ うな未接合部94が多少発生していたとしても, 2層チップ12の壁面の面積を大きくしてあるた め,接合強度は充分保たれている。また,2層チ ップの大きさが充分なものであるため,依然 して磁束の漏れは小さい。つまり,非磁性箇 Xの領域が大きくなっても,有効磁束Fは第1の 形態及び第2の形態と変わらない。

 ここで,ロータ90を構成する鋼板に非磁性 所Xを形成する箇所について図14~図17により 明する。図14~図17は,図1を真上から見た図に 相当する。図14は,センターブリッジ部93及び リブリッジ部92に非磁性箇所Xを設けている 図15は,センターブリッジ部93のみに非磁性 所Xを設けている。図16は,ペリブリッジ部92 みに非磁性箇所Xを設けている。図17は,セン ーブリッジ部93と,2つのペリブリッジ部92の ちの片方に非磁性箇所Xを設けている。上記 のいずれにおいても,非磁性箇所Xにより,ロー タ90における磁束のロスを減らすことができ 。

 以上詳細に説明したように,本形態におけ る回転電機に用いる鋼板は2層チップ12の大き さを充分にとることにより,電磁鋼板10と非磁 性合金層2及びステンレス鋼層3との接合面積 確保した。これにより,有効磁束Fのロスが なく,かつ非磁性箇所Xの強度を確保すること ができるロータ90が実現されている。

 なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず ,本発明を何ら限定するものではない。した って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない 囲内で種々の改良,変形が可能である。例え ば,2層チップ12及び溝11を図13のように円板形 にするとよい。これにより,2層チップ12を嵌 め込む向きを考える必要がないため,挿入が 易である。また,電極15の接触面の形状も円 に限られ,多くの種類を用意する必要がない このため,量産に適している。

[第4の形態]
 以下に,本発明の第4の形態を説明する。本 態に係るロータ190(図30参照)に用いる非磁性 所を有する電磁鋼板100は,2枚の電磁鋼板を ね合わせ,部分的に接合したものである。図1 8に示すように,本形態の電磁鋼板100は,電磁鋼 板10と,電磁鋼板20とを有するものである。こ で,電磁鋼板10は第1の主鋼材であり,電磁鋼 20は第2の主鋼材である。また,電磁鋼板10と 磁鋼板20とは,その間に食い込むように形成 れた非磁性合金層110により接合されている つまり,非磁性合金層110と,電磁鋼板10とは,そ の接触面で接合されている。また,非磁性合 層110と,電磁鋼板20とも,その接触面で接合さ ている。しかし,電磁鋼板10と,電磁鋼板20と 接触面は接合されていない。

 本形態の非磁性箇所を有する電磁鋼板100 ,電磁鋼板10及び電磁鋼板20を有効な磁気経 とするものである。また,非磁性合金層110は, 有効な磁気経路とはならない。このため,非 性箇所Xにおいて有効な磁気経路となりうる は,非磁性合金層110を挟み込んでいる電磁鋼 板10及び電磁鋼板20の薄い主鋼材層の部分だ である。このため,磁束の漏れを抑制するこ ができるのである。

 また,本形態の非磁性箇所を有する電磁鋼 板100において,その非磁性合金層110の電気抵 は高い。つまり,非磁性合金層110は,電気抵抗 及び磁気抵抗において主鋼材である電磁鋼板 10及び電磁鋼板20より高いものである。

 また,非磁性合金層110は,第1の形態~第3の 態の非磁性合金層2に比べて電気抵抗率の高 ものである。つまり,非磁性合金層110は,第1 形態~第3の形態の非磁性合金層2と同程度の 気抵抗を有し,非磁性合金層2よりも高い電 抵抗率を有するものである。なお,非磁性合 層110は,Feの他に,例えばNi,Cr,その他の元素を 含有している。

 本形態の非磁性箇所を有する電磁鋼板100 製造方法について図19~図26により説明する 本形態の電磁鋼板100に用いる電磁鋼板10には ,図19の下に示すように溝11が形成されている また,図中上の電磁鋼板20は,反転させたとき にちょうど電磁鋼板10と重ね合わさるような 状をしている。つまり,電磁鋼板20の溝21は, 磁鋼板20を反転させた場合に電磁鋼板10の溝 11と対応する位置に形成されている。また,溝 21は,溝11と同一形状若しくは左右対称形状で る。

 まず,図19に示すように,図中下の電磁鋼板 10の溝11に高抵抗改質金属箔32及び強磁性金属 箔33を挿入する。このとき,強磁性金属箔33を にして挿入する。このため,高抵抗改質金属 箔32は,強磁性金属箔33と電磁鋼板10とで挟ま ることとなる。一方,図中上の電磁鋼板20の 21にも同様に,高抵抗改質金属箔32と強磁性金 属箔33とを挿入する。なお,高抵抗改質金属箔 32と,強磁性金属箔33とは,予め接合することに より一体としておいてもよい。

 ここで,高抵抗改質金属箔32は,Feのオース ナイト相を安定化する種類の金属またはそ 合金からなる合金形成材である。例えば,Ni- Cr系の合金を用いることができる。また,高抵 抗改質金属箔32は,第1の形態~第3の形態で用い た改質金属箔14に比べて電気抵抗が高いもの ある。また,強磁性金属箔33は,強磁性を示す 金属である。なお,高抵抗改質金属箔32及び強 磁性金属箔33の融点は,電磁鋼板10及び電磁鋼 20の融点よりもやや低い。

 なお,図20に示すように,図中下の電磁鋼板 10の上側の表面と溝11に挿入された強磁性金 箔33の上側の表面とは,段差のないフラット 面である。また,図中上の電磁鋼板20の上側 表面と溝21に挿入された強磁性金属箔33の上 の表面とは,段差のないフラットな面である 。

 次に,電磁鋼板20の下側から電磁石40を接 させる。この様子を図20に示す。つまり,強 性金属箔33と,電磁石40とで,高抵抗改質金属 32と,電磁鋼板20とを挟みつけるような箇所に 電磁石40を配置するのである。そして,電磁石 40をオンにする。このため,強磁性金属箔33が 磁石40に引き寄せられる。この状態では,高 抗改質金属箔32と,強磁性金属箔33とが電磁 板20から離れることはない。

 続いて,電磁石40により高抵抗改質金属箔3 2と強磁性金属箔33とが圧着された電磁鋼板20 ,これらが圧着された状態のまま上下反転さ せる。反転させた後の状態を図21に示す。こ で,電磁石40により強磁性金属箔33を上方に っ張っているため,強磁性金属箔33及び高抵 改質金属箔32は落下しない。

 次に,図22に示すように,上下面を逆にした 電磁鋼板20を電磁鋼板10に上から接触させる ここで,図中下の電磁鋼板10の溝11と図中上の 電磁鋼板20の溝21とが対向する位置にくるよ にするのである。このため,溝11に挿入され 強磁性金属箔33の表面と,溝21に挿入された強 磁性金属箔33の表面とがちょうど重なる。

 なお,図22に示すように,電磁鋼板10及び下 強磁性金属箔33の表面はフラットであり,電 鋼板20及び上の強磁性金属箔33の表面はフラ ットである。このため,溝11に挿入された強磁 性金属箔33または溝21に挿入された強磁性金 箔33が,電磁鋼板10と電磁鋼板20とを重ねる際 かじることがない。

 次に,電磁石40をオフにする。そして,図23 示すように,電磁石40を電磁鋼板20から離す このとき,高抵抗改質金属箔32と,強磁性金属 33とが挿入された箇所は,多層構造となって る。この溝11及び溝21の箇所は,下から,電磁 板10,高抵抗改質金属箔32,強磁性金属箔33,強 性金属箔33,高抵抗改質金属箔32,電磁鋼板20 順に積み重ねた構造となっている。

 次に,電極15,15で電磁鋼板10と電磁鋼板20と を挟み込む。電極15,15で挟み込む箇所は,溝11 ,溝21とに,高抵抗改質金属箔32と,強磁性金属 箔33とを挿入した箇所である。電極15,15で電 鋼板10と電磁鋼板20とを挟み込んだ後,加圧し た状態で電極15,15間に通電する。通電する条 は,第1の形態とほぼ同様である。

 この加圧通電により,高抵抗改質金属箔32, 強磁性金属箔33,電磁鋼板10の溝11周辺,電磁鋼 20の溝21周辺が溶融し始める。接触抵抗のた め,溝11及び溝21の周辺,並びに他の部材との接 触面から溶融し始めるのは,図6~図8の経過と 様である。高抵抗改質金属箔32及び強磁性金 属箔33が電磁鋼板10及び電磁鋼板20の一部とと もに溶融した状態を図24に示す。

 そして,図25に示すように,通電により液状 部16が広がる。続いて,通電を終了した後,電 15,15を電磁鋼板10及び電磁鋼板20から離す。 の様子を図26に示す。そして,液状部16は凝固 する。これにより,非磁性箇所を有する電磁 板100が製造された(図18参照)。

 ここで,本形態の電磁鋼板100の変形例につ いて以下に説明する。本形態では,強磁性金 箔33を電磁鋼板10の溝11及び電磁鋼板20の溝21 双方に挿入した。しかし,図27に示すように, 強磁性金属箔33を溝21のみに挿入するように ても構わない。電磁鋼板20の溝21に挿入され 高抵抗改質金属箔32を,電磁鋼板20に圧着す ことに変わりはないからである。

 なお,この場合において,電極15,15による加 圧通電を行う前の状態を図28に示す。また,図 27において,電磁鋼板10の溝11に高抵抗改質金 箔32を挿入しないようにしてもよい。その場 合には,電磁鋼板20の溝21に挿入した高抵抗改 金属箔32又は強磁性金属箔33を大きくすれば よい。

 ここで,以上に説明した第1の形態の非磁 箇所を有する電磁鋼板50と,本形態の非磁性 所を有する電磁鋼板100とに発生する渦電流 比較について以下に説明する。渦電流は,電 誘導効果により金属内に発生する渦状の電 である。この渦電流は,モータの使用時にロ ータの電磁鋼板内にも発生する。これにより ,ロータが発熱し,エネルギー損失を招くこと なる。このエネルギー損失を,渦電流損とい う。このため,モータにおいては,可能な限り の渦電流損を小さくすることが好ましい。

 渦電流損は,次式,
    Pe=ke・(t・f・Bm) 2 /ρ      (1)
        Pe:渦電流損
        ke:比例定数
        t :電磁鋼板の板厚
        f :周波数
        Bm:最大磁束密度
        ρ :電磁鋼板の電気抵抗率
で表される。つまり,渦電流損Peは,電磁鋼板 板厚の2乗に比例し,電磁鋼板の電気抵抗率に 反比例する。

 図29は,第1の形態~第3の形態のロータ90を す図である。積層されている電磁鋼板50のう ち,4枚のみを図示した。図29の矢印に示すよ に,非磁性箇所に発生する渦電流は,それぞれ の電磁鋼板50のそれぞれに発生する。電磁鋼 1枚は薄いため,渦電流は小さい。すなわち, 電流損も小さい。

 図30は,本形態のロータ190を示す図である ここで,非磁性箇所Xに発生する渦電流は小 い。式(1)によれば,非磁性箇所Xの厚さの2乗 渦電流は大きくなる。しかし,本形態の電磁 板100は,非磁性合金層110の電気抵抗が大きい 。このため,渦電流損は第1の形態のロータ90 ほぼ同程度である。なお,非磁性箇所X以外の 箇所に発生する渦電流による渦電流損は,ロ タ90と同様である。

 ここで,非磁性合金層110の電気抵抗につい て具体例に基づき説明する。改質金属箔14と てNiを,高抵抗改質金属箔32としてNiとCrの合 を,強磁性金属箔33としてNiを使用した場合 例を表1に示す。NiとCrの合金の電気抵抗は,Ni に比べて非常に大きい。このため,非磁性合 層110の電気抵抗は,改質金属として,Niだけの のを用いるより,NiとCrの合金を同時に用い ほうが高い。

   

 また,式(1)によれば,板厚が2倍になれば,渦 電流損は4倍となる。一方,表1より,非磁性合 層110の電気抵抗は,109μωcmであり,通常の改質 金属箔31により非磁性化した合金の抵抗値22μ ωcmの4倍以上である。このため,本形態のロー タ190における渦電流損は,ロータ90におけるも のと同程度である。

 図31は,ロータ190とは別のロータ290である ロータ290は,改質金属箔として,Niのみを用い たものである。また,非磁性合金層210の電気 抗は,表1より22μωcmである。このため,渦電流 損は,ロータ90及びロータ190に比べて大きい。

 本形態の電磁鋼板100は,非磁性合金層110を 介して2枚の電磁鋼板を部分的に接合したも である。このため,電極15,15が挟む箇所は,い れも主鋼材層である。ゆえに,第3の形態で べたような未接合部94は発生しない。また, 磁性箇所Xを電磁鋼板100の所望の箇所に形成 ることにより,磁束経路を確保することがで きる。つまり,無効となる磁束の発生を抑制 ることができる。さらに,渦電流損も増大し い。

 本形態のロータ190は,多数枚の非磁性箇所 を有する電磁鋼板100を積層してなるものであ る。このため,本形態のロータ190は,渦電流に るエネルギー損失を増大させることなく,電 磁鋼板の強度を確保し,なおかつ無効となる 束の発生を抑制するものである。

 以上詳細に説明したように,本形態のロー タ190に用いる非磁性箇所を有する電磁鋼板100 は,非磁性合金層110を介して2枚の電磁鋼板を 分的に接合したものである。本形態の非磁 箇所を有する電磁鋼板100は,電磁鋼板10及び 磁鋼板20を有効な磁気経路とするものであ 。一方,非磁性合金層110は,有効な磁気経路と はならない。また,電極15,15により奪熱される 箇所がともに主鋼材層であるため,未接合部94 も生じない。このため,非磁性合金層110を所 の箇所に形成することにより,強度と,有効な 磁束経路とを確保する電磁鋼板が実現されて いる。

 また,本形態の非磁性箇所を有する電磁鋼 板100は,その非磁性合金層110における体積抵 率が高い。つまり,非磁性合金層110は,電気抵 抗及び磁気抵抗において非磁性合金層以外の 箇所より高いものである。ゆえに,本形態の 磁鋼板100をロータに用いた場合,渦電流によ エネルギー損失,磁束の漏れによる有効な磁 束の損失を抑制することができるのである。

 なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず ,本発明を何ら限定するものではない。した って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない 囲内で種々の改良,変形が可能である。例え ば,高抵抗改質金属箔32及び強磁性金属箔33及 溝の形状を円板形状にしてもよい。高抵抗 質金属箔32及び強磁性金属箔33が回転したと しても,位置決めに変更が生じることがなく, 入が容易であるためである。

 また,第2の形態と同様に,高抵抗改質金属 32と,強磁性金属箔33と,電磁鋼板との融点の (δT)が小さくなるようにするとよりよい。 磁性箇所Xの領域の大きさを制御しやすいか である。また,非磁性箇所を有する電磁鋼板 をロータ190に用いる場合,非磁性箇所Xは第3の 形態と同様にペリブリッジ部92及びセンター リッジ部93に設けるとよい。

 また,高抵抗改質金属箔32の代わりに,図3 示す第1の形態の改質金属箔14を用いること できる。この場合に製造された電磁鋼板200 ,図32に示す。その場合には,電磁鋼板200の非 性合金層210の電気抵抗は必ずしも高くない この場合,改質金属箔14が強磁性のものであ ば,強磁性金属箔33は必要ない。つまり,溝に 挿入する金属箔は,改質金属箔14のみで充分で ある。また,電磁石の代わりに永久磁石を用 ても構わない。

[第5の形態]
 以下に,本発明の第5の形態を説明する。本 態のロータ190及びロータ290は,第4の形態のも のと同様である。また,ロータに用いる電磁 板100及び電磁鋼板200も,第4の形態のものと同 様,非磁性合金層を介して2枚の電磁鋼板を部 的に接合したものである。このため,非磁性 合金層は,第1の主鋼材である電磁鋼板10及び 2の主鋼材である電磁鋼板20と接触面で接合 ている。しかし,電磁鋼板10と,電磁鋼板20と ,その接触面で接合していない。このため,未 接合部94が発生しないことも第4の形態と同様 である。第4の形態と異なる点は,電磁鋼板100 び電磁鋼板200の製造方法である。

 ここで,本形態の非磁性箇所を有する電磁 鋼板100及び電磁鋼板200の製造方法について図 33~図38により説明する。まず,図33に示すよう ,電磁鋼板10の溝11に改質金属箔31を挿入する 。改質金属箔31は,第1の形態における改質金 箔14と同じ材質である。改質金属箔14と異な 点は,改質金属箔31が円板形状であることで る。このため,溝11の形状も円板形状である

 ただし,この形状は例示であり,深さの均 な形状であれば別の形状でも構わない。ま ,溝11の深さは,電磁鋼板10の厚さの半分程度 ある。また,改質金属箔31の厚さは,溝11の深 の2倍である。なお,図33のBB断面を図34に示す 。

 次に,図35に示すように,改質金属箔31を溝1 1に挿入した電磁鋼板10の上方から,電磁鋼板20 を載せる。図35のCC断面を図36に示す。ここで ,電磁鋼板10の上面より突き出た改質金属箔31 上半分が,図中上の電磁鋼板20の溝21に挿入 れる。

 図37に示すように,改質金属箔31は,電磁鋼 10と電磁鋼板20との間にちょうど収まってい る。ここで,図37のDD断面を図38に示す。つま ,溝11と溝21とが仕切る空間と,改質金属箔31の 外形とはちょうど一致するようになっている 。また,電磁鋼板10の上側の表面は,電磁鋼板20 の下側の表面と,溝11及び溝21の外側で接して る。

 次に,電極15,15で電磁鋼板10と電磁鋼板20と を挟み込む。電極15,15で挟み込む箇所は,改質 金属箔31を挿入した箇所である。電極15,15で 磁鋼板10と電磁鋼板20とを挟み込んだ後,加圧 した状態で電極15,15間に通電する。通電する 件は,第1の形態とほぼ同様である。ただし, 電時間は,電磁鋼板10,電磁鋼板20,改質金属箔 31の厚さ等に応じて変える必要がある。これ より,改質金属箔31,電磁鋼板10の溝11周辺,電 鋼板20の溝21周辺が溶融し始める。接触抵抗 のため,溝11及び溝21の周辺から溶融し始める は,図6~図8の経過と同様である。改質金属箔 31が電磁鋼板10及び電磁鋼板20の一部とともに 溶融金属となった様子を図24に示す。

 さらに,加圧通電を続けることにより,電 鋼板10及び電磁鋼板20の,液状部16との接触面 近の金属原子は,溶融金属に溶け出す。この ため,液状部16はさらに広がる。この様子を図 25に示す。液状部16が充分な大きさに達した ころで通電を停止する。そして,図26に示す うに電極15,15を電磁鋼板10及び電磁鋼板20か 離す。この後,液状部16が凝固する。以上に り,非磁性箇所を有する電磁鋼板200が製造さ た。

 また,第2の形態と同様に,改質金属箔31と, 磁鋼板との融点の差(δT)が小さくなるよう するとよりよい。非磁性箇所Xの領域の大き を制御しやすいからである。また,非磁性箇 所を有する電磁鋼板をロータ190及びロータ290 に用いる場合,非磁性箇所Xは第3の形態と同様 にペリブリッジ部92及びセンターブリッジ部9 3に設けるとよい。

 本形態の非磁性箇所を有する電磁鋼板200 は,改質金属箔31を用いた。しかし,改質金属 箔31の代わりに,高抵抗改質金属箔32を用いて 構わない。この場合,電磁鋼板の非磁性合金 層の電気抵抗は高い。ゆえに,第4の形態と同 ,渦電流によるエネルギー損失をも抑制する ことができる。

 本形態のロータは,多数枚の非磁性箇所を 有する電磁鋼板を積層してなるものである。 このため,電磁鋼板の強度を確保し,無効とな 磁束の発生を抑制することができるロータ 実現されている。

 以上詳細に説明したように,本形態のロー タに用いる非磁性箇所を有する電磁鋼板は, 磁性合金層を介して2枚の電磁鋼板を部分的 接合したものである。本形態の非磁性箇所 有する電磁鋼板は,電磁鋼板10及び電磁鋼板2 0を有効な磁気経路とするものである。一方, 磁性合金層は,有効な磁気経路とはならない 。また,電極15,15により奪熱される箇所がとも に主鋼材層であるため,未接合部94も生じない 。このため,非磁性合金層を所望の箇所に形 することにより,強度と,有効な磁束経路とを 確保する電磁鋼板が実現されている。

 なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず ,本発明を何ら限定するものではない。した って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない 囲内で種々の改良,変形が可能である。例え ば,本形態では2枚の電磁鋼板を一体化したが, 3枚以上を一度に重ねるようにしても構わな 。この場合,3枚以上の一番上と一番下の電磁 鋼板には溝を設け,その間の電磁鋼板には貫 穴を設けたものを用いればよい。または,2枚 目の電磁鋼板に改質金属箔を埋め込み,1番上 1番下の電磁鋼板でそのままはさみ,加圧通 改質しても良い。

 また,本発明の非磁性箇所を有する電磁鋼 板は,電磁鋼板のみに限定するものではなく, 磁性箇所を有する鋼材に適用可能なもので る。