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Patent Searching and Data


Title:
DROPLET EJECTION HEAD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/072370
Kind Code:
A1
Abstract:
A droplet ejection head provided with a piezoelectric actuator made by using a KNbO3-NaNbO3 piezoelectric porcelain composition which exhibits a larger piezoelectric constant than those of conventional ones and does not have any secondary phase transition point in the neighborhood of room temperature (10 to 40°C) and which is suitable for use in the piezoelectric actuator of a droplet ejection head, that is, a droplet ejection head characterized by being provided with a piezoelectric actuator made by using a piezoelectric porcelain composition represented by the general formula: (1-y-z-w)(KxNa1-x)NbO3 + yLiNbO3 + zSrTiO3 + wBiFeO3 wherein (KxNa1-x)NbO3 represents potassium sodium niobate; LiNbO3 represents lithium niobate; SrTiO3 represents strontium titanate; and BiFeO3 represents bismuth ferrate; with the proviso that 0.4

Inventors:
URAKI SHINGO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070186
Publication Date:
June 11, 2009
Filing Date:
November 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KONICA MINOLTA HOLDINGS INC (JP)
URAKI SHINGO (JP)
International Classes:
C04B35/00; B41J2/045; B41J2/055; H01L41/187; H01L41/39
Foreign References:
JP2007145650A2007-06-14
JP2005008516A2005-01-13
JP2006205572A2006-08-10
JP2001240471A2001-09-04
JP2004345886A2004-12-09
JP2007145650A2007-06-14
JP2007055867A2007-03-08
Other References:
See also references of EP 2218702A4
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Claims:
ニオブ酸カリウム・ナトリウムを(K x Na 1-x )NbO 3 ,ニオブ酸リチウムをLiNbO 3 、チタン酸ストロンチウムをSrTiO 3 、鉄酸ビスマスをBiFeO 3 としたときに、(1-y-z-w)(K x Na 1-x )NbO 3 +yLiNbO 3 +zSrTiO 3 +wBiFeO 3 (ただし、0.4<x<0.6、0<y≦0.1、0<z<0.1、0<w<0.09、0.03<y+z+w≦0.12である。)で表される圧電磁器組成物を用いた圧電アクチュエータを備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
前記圧電磁器組成物の圧電d 33 定数が120(pC/N)以上であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の液滴吐出ヘッド。
前記圧電アクチュエータは、圧電d 15 定数を利用したせん断モード型の圧電アクチュエータであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の液滴吐出ヘッド。
前記圧電アクチュエータは、圧電d 31 定数を利用した撓み型の圧電アクチュエータであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の液滴吐出ヘッド。
前記圧電アクチュエータは、圧電d 31 定数を利用したプッシュ型の圧電アクチュエータであることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の液滴吐出ヘッド。
前記圧電アクチュエータは、圧電d 33 定数を利用したプッシュ型の圧電アクチュエータであることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の液滴吐出ヘッド。
Description:
液滴吐出ヘッド

 本発明は、液滴吐出ヘッドに関する。

 従来、圧電磁器組成物としては,鉛を含んだ PZT(PbTiO 3 -PbZrO 3 )成分系磁器が用いられてきた。前記PZTは、 きな圧電性を示しかつ高い機械的品質係数 有しており、センサ、アクチュエータ、フ ルター等の各用途に要求されるさまざまな 性の材料を容易に作製できるからである。 た、前記PZTは高い比誘電率を有するためコ デンサ等としても利用することができる。

 ところが、前記PZTからなる圧電磁器組成 は、優れた特性を有する一方、その構成元 に鉛を含んでいるため、PZTを含んだ製品の 業廃棄物から有害な鉛が溶出し、環境汚染 引き起こすおそれがあった。そして、近年 環境問題に対する意識の高まりは、PZTのよ に環境汚染の原因となりうる製品の製造を 難にしてきた。

 そこで、鉛成分を含有することに起因する 述した課題を解決するために、ここにきて フリーの新規な圧電磁器組成物が要求され いるが、このような中で、鉛を含有せず高 圧電性を示す材料として、KNbO 3 -NaNbO 3 を主成分とする圧電磁器組成物が注目されて いる。

 しかしながら、上述のKNbO 3 -NaNbO 3 を主成分とする圧電磁器組成物は、キュリー 温度(1次相転移)が約200℃以上と高いものの、 室温付近の温度範囲で、低温側の強誘電相か ら高温側の強誘電相に相変態する2次相転移 存在するため、2次相転移を通過する温度サ クル下においては、特性劣化が起こる可能 があり実用上問題があった。このため、2次 相転移の温度を室温以下に低下させる技術が 多数提案されている。

 特許文献1には、ニオブ酸カリウム・ナトリ ウム・リチウムを(K x Na y Li 1-x-y )NbO 3 、チタン酸ストロンチウムをSrTiO 3 、鉄酸ビスマスをBiFeO 3 としたときに、ニオブ酸カリウム・ナトリウ ム・リチウムと、チタン酸ストロンチウムと 、鉄酸ビスマスとが、(1-a-b)(K x Na y Li 1-x-y )NbO 3 +aSrTiO 3 +bBiFeO 3 、0<a≦0.1、0<b≦0.1、0<x≦0.18、0.8<y< ;1で表される範囲である圧電磁器組成物が開 されている。

 特許文献1によれば、ニオブ酸カリウム・ナ トリウム・リチウムを主成分とする圧電磁器 組成物について、その組成を上述のように、 Naリッチ側とした上で、その化合物に対して チタン酸ストロンチウムを最適量導入する ともに、さらに、菱面体晶からなるBiFeO 3 を最適量導入(キュリー温度約870℃)すること 、(NaKLi)NbO 3 に対して、異なる結晶を複合的に固溶させた 結果、相転移温度を変化させ、結果として弾 性定数の温度変化や圧電d 33 定数の室温付近において不連続に変化する部 分を抑制できるとしている。

 また、特許文献2には、Na、K、Li、Sr、Nb、Ti 主成分とするペロブスカイト化合物を主体 した圧電磁器組成物であって、モル比によ 組成式を、次の式;(1-x-y)KNbO 3 +xNaNbO 3 +y(LiNbO 3 +SrTiO 3 )とした時、x及びyの値が、0.42≦x≦0.50、0.06 y≦0.12を満たす、圧電磁器組成物が開示され ている。

 特許文献2によれば、KNbO 3 -NaNbO 3 を主成分とする2成分系の圧電磁器組成物の 成の一部をLiNbO 3 及びSrTiO 3 で同時置換して4成分系の組成物とすること より上記圧電磁器組成物の2次相転移温度を 温以下に降下させることができるとしてい 。

特開2007-145650号公報

特開2007-55867号公報

 しかしながら、従来から報告されてきたKNbO 3 -NaNbO 3 を主成分とする圧電磁器組成物は、液滴吐出 ヘッドに使用される圧電アクチュエータ用の 材料として重要な特性である、圧電定数が、 圧電d 33 定数として、特許文献1では74(pC/N)以下、特許 文献2では112(pC/N)以下程度と小さいため、チ ン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛等に比較す と、広く実用化されるに至っていない。

 本発明はこのような点に鑑みてなされたも であり、従来のKNbO 3 -NaNbO 3 系圧電磁器組成物より大きい圧電定数を示し 室温付近(10℃~40℃)に2次相転移点を有しない 液滴吐出ヘッドの圧電アクチュエータでの 用に適したKNbO 3 -NaNbO 3 系圧電磁器組成物を用いた圧電アクチュエー タを備えた液滴吐出ヘッドを提供することを 目的とするものである。

 本発明の上記課題は、以下の構成により 成される。

 1.ニオブ酸カリウム・ナトリウムを(K x Na 1-x )NbO 3 ,ニオブ酸リチウムをLiNbO 3 、チタン酸ストロンチウムをSrTiO 3 、鉄酸ビスマスをBiFeO 3 としたときに、(1-y-z-w)(K x Na 1-x )NbO 3 +yLiNbO 3 +zSrTiO 3 +wBiFeO 3 (ただし、0.4<x<0.6、0<y≦0.1、0<z<0.1 0<w<0.09、0.03<y+z+w≦0.12である。)で表 れる圧電磁器組成物を用いた圧電アクチュ ータを備えたことを特徴とする液滴吐出ヘ ド。

 2.前記圧電磁器組成物の圧電d 33 定数が120(pC/N)以上であることを特徴とする前 記1に記載の液滴吐出ヘッド。

 3.前記圧電アクチュエータは、圧電d 15 定数を利用したせん断モード型の圧電アクチ ュエータであることを特徴とする前記1に記 の液滴吐出ヘッド。

 4.前記圧電アクチュエータは、圧電d 31 定数を利用した撓み型の圧電アクチュエータ であることを特徴とする前記1に記載の液滴 出ヘッド。

 5.前記圧電アクチュエータは、圧電d 31 定数を利用したプッシュ型の圧電アクチュエ ータであることを特徴とする前記1に記載の 滴吐出ヘッド。

 6.前記圧電アクチュエータは、圧電d 33 定数を利用したプッシュ型の圧電アクチュエ ータであることを特徴とする前記1または2に 載の液滴吐出ヘッド。

 本発明によれば、従来のKNbO 3 -NaNbO 3 系圧電磁器組成物より大きい圧電定数を示し 室温付近(10℃~40℃)に2次相転移点を有しない 液滴吐出ヘッドの圧電アクチュエータでの 用に適したKNbO 3 -NaNbO 3 系圧電磁器組成物を用いた圧電アクチュエー タを備えた液滴吐出ヘッドを提供することが できる。

本発明の第1実施形態の液滴吐出ヘッド の構成を示す図である。 本発明の第1実施形態のマルチノズル液 滴吐出ヘッドの構成を示す図である。 図1,図2に示す液滴吐出ヘッドの動作を す図である。 本発明の第2実施形態の液滴吐出ヘッド の構成を示す図である。 本発明の第2実施形態の変形例の液滴吐 出ヘッドの構成を示す図である。 本発明の第3実施形態の液滴吐出ヘッド の構成を示す図である。 本発明の試料番号8のX線回折図である 比較例の試料番号16のX線回折図である 本発明の試料番号8のP-Eヒステリシス特 性を表したグラフである。 比較例の試料番号1のP-Eヒステリシス 性を表したグラフである。

 以下に、本発明に係る液滴吐出ヘッドの 実施形態について説明する。

 本発明の液滴吐出ヘッドは、ニオブ酸カリ ム・ナトリウムを(K x Na 1-x )NbO 3 ,ニオブ酸リチウムをLiNbO 3 、チタン酸ストロンチウムをSrTiO 3 、鉄酸ビスマスをBiFeO 3 としたときに、(1-y-z-w)(K x Na 1-x )NbO 3 +yLiNbO 3 +zSrTiO 3 +wBiFeO 3 (ただし、0.4<x<0.6、0<y≦0.1、0<z<0.1 0<w<0.09、0.03<y+z+w≦0.12である。)で表 れる圧電磁器組成物を用いた圧電アクチュ ータを備えたことを特徴する。

 まず、以下に、本発明に係る圧電磁器組 物の一実施形態について説明する。

 上述したx、y、z、wおよびy+z+wの各範囲の 定理由は、次のとおりである。

 xに関して、0.4<x<0.6と限定するのは、 xが0.4以下であると圧電定数が著しく低下し また、0.6以上であると焼結性が極端に悪く ってしまうためである。

 yに関して、0<y≦0.1と限定するのは、0 場合には、Liが含まれなくなるので焼結性が 極端に悪くなり、また、0.1より大きい場合に は圧電定数が著しく低下してしまうためであ る。

 zに関して、0<z<0.1と限定するのは、0の 合には、SrTiO 3 が含まれなくなるので、室温付近に2次相転 点を有しない圧電磁器組成物が得られなく り、また、0.1以上の場合には圧電定数が著 く低下してしまうためである。

 wに関して、0<w<0.09と限定するのは、0の 場合には、BiFeO 3 が含まれなくなるので、圧電定数が著しく低 下し、また、0.09以上である場合には焼結性 極端に悪くなるためである。

 y+z+wに関して、0.03<y+z+w≦0.12と限定する のは、0.03以下の場合には、焼結性が極端に くなり、また、0.12より大きい場合には圧電 数が著しく低下してしまうためである。

 次に、本実施形態の圧電磁器組成物の製 方法について説明する。圧電磁器組成物の 造方法としては、特に制限は無いが、固相 化学反応による製造方法について説明する

 上述した圧電磁器組成物は、原料として各 属元素を含む原料を準備し、ボールミル等 より十分混合して得られるものである。原 は、一般に、Liを含有する化合物としては Li 2 CO 3 、Li 2 O、LiNO 3 、LiOH等がある。Naを含有する化合物としては 、Na 2 CO 3 、NaHCO 3 、NaNO 3 等がある。Kを含有する化合物としては、K 2 CO 3 、KNO 3 等がある。また、Nbを含有する化合物として 、Nb 2 O 5 、Nb 2 O 3 、NbO 2 等がある。また、Srを含有する化合物として 、SrCO 3 等がある。また、Tiを含有する化合物として 、TiO 2 等がある。また、Feを含有する化合物として 、Fe 2 O 3 等がある。また、Biを含有する化合物として 、Bi 2 O 3 等がある。

 まず、原料を準備し、十分に乾燥させる 乾燥後の各原料を前述の式を満たす化学量 比に基づいて秤量し、ボールミル等により 合、乾燥させる。続いて、この混合物を700~ 900℃程度で仮焼し、原料を分解するとともに 固相熱化学反応により固溶体化する。得られ た仮焼後の混合物を中心粒径5μm程度の微粒 に湿式粉砕し、乾燥して仮焼粉とする。

 仮焼粉に有機質の粘結剤(バインダー等) 添加し、造粒して加圧成形を行う。加圧成 は、造粒した粉砕物を一軸プレス成形等に りペレット状に成形したものを、さらに冷 等方圧プレス(CIP)等により再成形するのが好 ましい。

 このようにして得られた成形体を、1000~12 00℃程度にて焼成し、上述した圧電磁器組成 の焼結体を作製する。得られた焼結体を所 のサイズに切断、平行研磨した後、試料の 面にスパッタ法等により電極を形成する。 して、80~150℃程度のシリコーンオイル中に いて2~7kV/mmの直流電圧を電極間に印加し、 み方向に分極を施した圧電磁器組成物が作 される。

 以上のように、本実施形態の圧電磁器組成 は、焼結性に優れ圧電定数が大きい特定の 成のニオブ酸カリウム・ナトリウムに対し 、これらの組成の一部をニオブ酸リチウム 置換することによって、さらに焼結性を向 させ、チタン酸ストロンチウムで置換する とによって、室温付近の2次相転移点を抑制 することができ、鉄酸ビスマスの置換により さらに圧電定数が大きく、液滴吐出ヘッドの 圧電アクチュエータでの使用に適したKNbO 3 -NaNbO 3 系圧電磁器組成物を得ることができる。

 このような圧電アクチュエータの変位量は 圧電定数と印加電圧の積に比例し、圧電ア チュエータを変位させることにより液体を 出させる液滴吐出ヘッドとしては、様々な 態をとりうるが、以下に、圧電d 15 定数を利用したせん断モード型、圧電d 31 定数を利用した撓み型、プッシュ型、圧電d 33 定数を利用したプッシュ型を例に挙げて説明 する。

 以下、上記圧電磁器組成物を圧電d 15 定数を利用したせん断モード型の圧電アクチ ュエータとして用いた、本発明に係る液滴吐 出ヘッドの第1実施形態について図1ないし図3 を参照して説明する。なお、図1は、本発明 第1実施形態の液滴吐出ヘッドの構成を示す である。図2は、本発明の第1実施形態のマ チノズル液滴吐出ヘッドの構成を示す図で る。図3は、図1,図2に示す液滴吐出ヘッドの 作を示す図である。

 本実施形態の液滴吐出ヘッドでは、各々 液体吐出用のノズルを有する圧力室が隔壁 隔てられて多数配置され、該隔壁の一部ま 全体がせん断モード型の圧電アクチュエー で構成され、この隔壁の全表面または一部 電圧パルスが印加される電極が形成されて る。そして前記電極に電圧パルスを加える とにより、前記隔壁がせん断変形を生じ、 記圧力室内の圧力を変化させて、前記圧力 の一端に形成された前記ノズルから液滴が 出される。

 図1~図3において、1は液体チューブ、2は ズル形成部材、3はノズル、4は圧力室、5は 電隔壁(せん断モード型の圧電アクチュエー )、6はカバープレート、7は液体供給口、8は 共通液室、9は基板、10、11は電極である。そ て、圧力室4は圧電隔壁5とカバープレート6 び基板9によって形成されている。

 まず、シート状に成形して焼成し、厚み 向に分極した前記圧電磁器組成物を2枚用意 する。基板9と互いに分極方向が異なるよう 重ね合わせた2枚の圧電磁器組成物とを接着 100を介して上下に貼り合わせ、その上側か ダイヤモンドブレード等により溝状の複数 圧力室4が全て同じ形状で平行に切削加工す る。これにより隣接する圧力室4は、矢印の 向に分極された圧電隔壁(せん断モード型の 電アクチュエータ)5によって区画される。 して、圧電隔壁5にめっき法あるいは気相堆 法により電極10,11を形成した後、上面にカ ープレート6を接着し、さらに前面にノズル 成部材2を接着する。

 図1には一個の圧力室と一個のノズルを有 する液滴吐出ヘッドが示されているが、実際 の液滴吐出ヘッドでは、図2(a)に示すように バープレート6と基板9の間に複数の圧電隔壁 5で隔てられた圧力室4が多数並列に形成され 圧力室4の一端はノズル形成部材2に形成さ たノズル3につながり、圧力室4の他端の液体 供給口7は、共通液室8を経て、液体チューブ1 によって図示されていない液体タンクに接続 されている。圧電隔壁5に密着形成された電 10とアース電極11の間には電圧パルスの駆動 圧が印加される。

 図2(a)に於いて、圧電隔壁5は矢印で示すよ に分極方向が異なる2個の圧電隔壁(せん断モ ード型の圧電アクチュエータ)5Aと5Bとから構 されている。図2(a)に示すように、この電極 10に電圧パルスが印加されない時は圧電隔壁5 A,5Bは変形しない。しかし図2(b)、図3に示すよ うに電極10に電圧パルスが印加されると圧電 壁の分極方向に直角な方向の電界により、 ん断応力が生じ、圧電隔壁5A、5Bとも圧電隔 壁の接合面にズリ変形を生じ、それにより圧 力室4の圧力変化によって圧力室4を満たして る液体を一部ノズル3から吐出する。この時 の、圧電隔壁の平均変位量δ及び発生圧力Pは 、
 δ=(圧電d 15 定数)×H×V/(4T)
 P=(圧電d 15 定数)×H×V/(2TW(1/B)+(1/S)(dS/dP))
 ここで、図3に示すように、Hは圧力室4の深 、Wは圧力室4の幅、Vは電圧パルスの駆動電 、Tは圧電隔壁5の厚さ、Bは液体の体積弾性 、Sは圧力室4の断面積である。

 また、液滴吐出後のノズルへの液体供給 、ノズルの毛細管現象による力によって液 タンクから液体供給口と圧力室4を経てノズ ルへ供給される。

 この液滴吐出ヘッドにおける圧電隔壁5は、 ニオブ酸カリウム・ナトリウムを(K x Na 1-x )NbO 3 ,ニオブ酸リチウムをLiNbO 3 、チタン酸ストロンチウムをSrTiO 3 、鉄酸ビスマスをBiFeO 3 としたときに、(1-y-z-w)(K x Na 1-x )NbO 3 +yLiNbO 3 +zSrTiO 3 +wBiFeO 3 (ただし、0.4<x<0.6、0<y≦0.1、0<z<0.1 0<w<0.09、0.03<y+z+w≦0.12である。)で表 れる圧電磁器組成物を用いている。

 本実施形態のような大きい圧電d 15 定数を示し室温付近(10℃~40℃)に2次相転移点 有しない圧電磁器組成物を圧電隔壁(せん断 モード型の圧電アクチュエータ)として用い ことにより、実用に供しうる程度の駆動電 でインク滴を吐出するのに必要な変位量を ることができるとともに室温付近の使用温 範囲内において、圧電アクチュエータの変 特性の変化が小さく液体の吐出性能が安定 る。

 また、その組成中に鉛を含有しないので 廃棄物等から有害な鉛が自然界に流出する とが無く、安全性が高い鉛フリーの圧電磁 組成物とすることができる。

 上記圧電磁器組成物を圧電d 15 定数を利用したせん断モード型の圧電アクチ ュエータは、本発明に係る液滴吐出ヘッドの 第1実施形態の変形例として、以下の液滴吐 ヘッドにおいても適用できる。

 この変形例の液滴吐出ヘッドでは、ノズ を備えた圧力室が隔壁により隔てられて複 設けられた液滴吐出ヘッドにおいて、前記 力室は二つの前記隔壁と、該二つの隔壁を 結する壁及び前記ノズルが形成された壁に り形成され、前記連結する壁の少なくとも つをせん断モード型の圧電アクチュエータ 構成し、この圧電アクチュエータの全表面 たは一部に電圧パルスが印加される電極が 成されている。そして前記電極に電圧パル を加えることにより、前記圧電アクチュエ タがせん断変形を生じ、前記圧力室内の圧 を変化させて、前記圧力室の一端に形成さ た前記ノズルから液滴が吐出される。

 このせん断モード型圧電アクチュエータ は、圧電アクチュエータの分極方向と垂直 電圧を印加するため、抗電界程度の高い電 をかけると脱分極を起こし、変位性能が大 に低下する。そのため、抗電界が低い圧電 器組成物をせん断モード型圧電アクチュエ タとして用いる場合は、電界を印加するせ 断モード型圧電アクチュエータの厚みを一 値以上にしなければならない。隔壁の厚み 厚いと共振周波数が低くなり、駆動周波数 低下する。また、隔壁の厚みが厚いと変位 率が低下する。さらにせん断モード型圧電 クチュエータを液体流路の隔壁として用い 場合は、電界を印加する隔壁の厚みを一定 以上にしなければならず、ノズル密度を向 させることができない。

 本発明の圧電磁器組成物は後述する実施 に示すように抗電界が高い。このことによ 、該圧電磁器組成物を用いたせん断モード 圧電アクチュエータを備えた液滴吐出ヘッ によれば、該せん断モード型圧電アクチュ ータに印加する駆動電圧を増加させて、最 変位量を大きくできる。また、せん断モー 型圧電アクチュエータの厚みを薄くできる で、アクチュエータの共振周波数が高めら 、高周波駆動が可能になる。また、同様に ん断モード型圧電アクチュエータの厚みを くできるので、変位効率も向上する。さら 、せん断モード型圧電アクチュエータを液 流路の隔壁として用いた場合、隔壁の厚み 薄くできるので、ノズルピッチP(図2(a)参照 )を小さくして、ノズル密度を向上させるこ とが可能になる。

 (第2の実施の形態)
 以下、上記圧電磁器組成物を圧電d 31 定数を利用したプッシュ型の圧電アクチュエ ータとして用いた、本発明に係る液滴吐出ヘ ッドの第2実施形態について図4を参照して説 する。

 図4は圧力室壁に設けた圧電アクチュエー タの伸縮変形によって圧力室の体積を変化さ せるタイプの液滴吐出ヘッド20の概略断面図 ある。

 基台21bは一端部、図では下方に後述する 電アクチュエータ23aと電極23bの積層体23(以 、積層体23と記す)を固定するための側方に 突出した突部が形成されており、上端面に 圧力室29と積層体23とを隔離する振動板24が 定される。

 振動板24は、積層体23と当接する近傍に凹 部を形成して積層体23の振動に応答しやすく 成される。振動板24の表面には圧力室形成 材及び液体導入口26aを有する供給板を兼ね スペーサ部材22が固定されており、積層体23 対向する領域は振動板24と協同して圧力室 形成するよう構成され、また液体供給側の 体導入口26aは、図示しないが液体の流動を 限するよう圧力室29の方向に圧力室が狭くな る形状とされる。

 スペーサ部材22の表面にはノズルプレー 25が固定されており、圧電アクチュエータ23a と電極23bとをそれぞれ層状に交互に積層した 積層体23の配列形態に合わせて複数のノズル 25aが設けられている。また、液体供給側も ノズルプレート25のノズル孔25aが設けられ いない部分より開口部が封止されて液体供 部27が形成されている。

 積層体23は、シート状に成形して焼成し、 み方向に分極した前記圧電磁器組成物から る圧電アクチュエータ23aと電極23bとをそれ れ層状に交互に積層した状態で、一端を振 板24に固定され、また他端の側方を基台21bの 突部に固定される。基台21bは、その下端を固 定部材21aに固定されている。固定部材21aは、 振動板24、スペーサ部材22、及びノズルプレ ト25を支持し、また基台21bを介して積層体23 自由端(図中、上端)を振動板24に当接させて いる。そして図から明らかなように、基台21b は、一端が、積層体23の自由端側の端面とほ 一致し、また他端が積層体23の固定端側よ も突出する大きさに構成される。このよう 構造をした液滴吐出ヘッド20は、各圧電アク チュエータ23aの両面の電極23b、23b間に電圧を 印加すると、積層体23が、電界方向と垂直方 である、軸方向に伸張し、積層体23の先端 固定された振動板24が伸張しノズルプレート 25の方向に変位して圧力室29を圧縮する。こ 圧力室29の容積減少により圧力を受けた液体 は、ノズル孔25aからから液滴となって飛翔す る。この時の、積層体23の変位量δは、
 δ=(圧電d 31 定数)×L0×V/T
 ここで、図4に示すように、L0は活性部の長 、Vは電圧パルスの駆動電圧、Tは圧電アク ュエータ23aの厚さである。

 また、液滴吐出後のノズルへの液体供給 、ノズルの毛細管現象による力によって液 タンクから液体供給口と圧力室29を経てノ ルへ供給される。

 この液滴吐出ヘッドにおける圧電アクチュ ータ23aは、ニオブ酸カリウム・ナトリウム (K x Na 1-x )NbO 3 ,ニオブ酸リチウムをLiNbO 3 、チタン酸ストロンチウムをSrTiO 3 、鉄酸ビスマスをBiFeO 3 としたときに、(1-y-z-w)(K x Na 1-x )NbO 3 +yLiNbO 3 +zSrTiO 3 +wBiFeO 3 (ただし、0.4<x<0.6、0<y≦0.1、0<z<0.1 0<w<0.09、0.03<y+z+w≦0.12である。)で表 れる圧電磁器組成物を用いている。

 本実施形態のような大きい圧電d 31 定数を示し室温付近(10℃~40℃)に2次相転移点 有しない圧電磁器組成物を圧電アクチュエ タとして用いることにより、実用に供しう 程度の駆動電圧でインク滴を吐出するのに 要な変位量を得ることができるとともに室 付近の使用温度範囲内において、圧電アク ュエータの変位特性の変化が小さく液体の 出性能が安定する。

 また、その組成中に鉛を含有しないので 廃棄物等から有害な鉛が自然界に流出する とが無く、安全性が高い鉛フリーの圧電磁 組成物とすることができる。

 また、本実施形態では、圧電d 31 定数を利用したプッシュ型の圧電アクチュエ ータとして用いた、液滴吐出ヘッドを例示し たが、これに限定されるものではない。以下 に示す第2実施形態の変形例の液滴吐出ヘッ にも適用できる。

 以下、上記圧電磁器組成物を圧電d 33 定数を利用したプッシュ型の圧電アクチュエ ータとして用いた、本発明に係る液滴吐出ヘ ッドの第2実施形態の変形例について図5を参 して説明する。

 図5において、図4の第2実施形態の液滴吐 ヘッドと同一の機能を有する部材について 、同一の符号を付し、その詳細な説明を省 する。本変形例では、圧電アクチュエータ2 3aと電極23bとを積層体23の長手方向に積層し その長手方向の一端を固定部材21aに固定し いる。各圧電アクチュエータ23aの両面の電 23b、23b間に電圧を印加すると、積層体23が、 電界方向に伸張し、積層体23の先端に固定さ た振動板24が伸張しノズルプレート25の方向 に変位して圧力室29を圧縮する。この圧力室2 9の容積減少により圧力を受けた液体は、ノ ル孔25aからから液滴となって飛翔する。

 (第3の実施の形態)
 以下、上記圧電磁器組成物を圧電d 31 定数を利用した撓み型の圧電アクチュエータ として用いた、本発明に係る液滴吐出ヘッド の第3実施形態について図6を参照して説明す 。

 図6は圧力室壁に設けた圧電アクチュエー タの伸縮変形によって圧力室の体積を変化さ せる第2の実施の形態と同様のタイプで、構 が異なる液滴吐出ヘッドの概略断面図であ 。

 具体的には、例えば、複数のノズル孔35a 設けられた金属製のノズルプレート35と、 力室39の液体導入側に設けられて液体の流動 を制限する部材である、複数の液体導入口36a が設けられた金属製の供給プレート36とを、 路プレート32aを挟んで積層、接合すること より、前記ノズル孔35aに液体を導く液体圧 室と、前記液体導入口36aに液体を導く液体 給流路とを、それぞれ内部に形成せしめ、 れに金属や合成樹脂製のプレート32b,32c,32d 積層体にて形成された、前記各ノズル孔35a よび液体導入口36aに対応する複数の開口を する部材を重ね合わせて接着一体化するこ により、前記ノズル孔35aおよび液体導入口36 aの背後に、それぞれ、圧力室39を形成すると 共に、圧力室39の壁部に下部電極33a,シート状 に成形して焼成し、厚み方向に分極した前記 圧電磁器組成物からなる圧電アクチュエータ 33bおよび上部電極33aからなる積層体33を固着 ることによって形成される。

 液滴吐出ヘッド30は、圧力室39に供給され た液体が、ノズルプレート35に設けられたノ ル孔35aを通じて、吐出されるようになって る。より詳細には、ノズルプレート35と、 力室の液体導入側に開口を有し液体の流動 制限する部材である供給プレート36が、それ らの間に流路プレート32aを挟んで重ね合わさ れ、接着剤によって一体的に接合されてなる 構造とされている。

 また、ノズルプレート35には、液体吐出 のノズル孔35aが、複数個(図示せず)、形成さ れていると共に、供給プレート36および流路 レート32aには、各ノズル孔35aに対応する位 において、板厚方向に貫通する通孔が、該 ズル孔35aよりも所定寸法大きな内径をもっ 形成されている。

 さらに、供給プレート36には、液体導入 36a(オリフィス孔)が、複数個(図示せず)、形 されていると共に、流路プレート32aに設け れた窓部が、ノズルプレート35および供給 レート36にて、両側から覆蓋されることによ り、それらノズルプレート35と供給プレート3 6との間に、各液体導入口36aに連通せしめら た液体供給流路が形成されている。また、 給プレート36には、液体供給流路に対して、 液体タンクから導かれる液体を供給する供給 口が設けられている。

 なお、各プレート35,36,32aは、ノズル孔35a よび液体導入口36aを高い寸法精度で形成す うえで、一般にプラスチックや、ニッケル 至ステンレスといった金属を使用すること 好ましい。また、液体導入口36aは図示され いるように、液体流通方向に向って小径化 るテーパ形状をもって、形成することが望 しい。

 一方、供給プレート36の反対側には、閉 プレート32dと接続プレート32bが、スペーサ レート32cを挟んで重ね合わされてなる構造 もって、一体的に形成されている。

 接続プレート32bには、供給プレート36に 成された通孔および液体導入口36aに対応す 位置に、連通用開口部がそれぞれ形成され いる。

 また、スペーサプレート32cには、長手矩 状の窓部が、複数個形成される。そして、 れら各窓部に対して、接続プレート32bに設 られた各連通用開口部が開口するように、 ペーサプレート32cが、接続プレート32bに対 て重ね合わされている。

 このスペーサプレート32cの、接続プレー 32bが重ね合わされた側とは反対側の面には 閉塞プレート32dが重ね合わされていて、こ 閉塞プレート32dで、窓部の開口が覆蓋され いる。それによって、各連通用開口部を通 て外部に連通された液体の圧力室39が形成 れている。

 閉塞プレート32d、スペーサプレート32cお び接続プレート32bは、セラミックスで構成 れることが好ましい。このセラミックスの 質は、成形性等の点から、アルミナ、ジル ニア等を使用することが好ましい。閉塞プ ート32dの板厚は好ましくは50μm以下、より ましくは3~12μm程度、接続プレート32bの板厚 好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以 上、スペーサプレート32cの板厚は好ましくは 50μm以上、より好ましくは100μm以上である。

 このようにして形成された圧力室39は、 ラミックスの一体焼成品として形成するこ もできるが、各プレートを接着剤で接着し 用いてもよい。

 閉塞プレート32dの外面上の、各液体の圧 室39に対応する部位に、それぞれ、積層体33 が設けられている。この積層体33は、閉塞プ ート32d上に、下部電極33a,圧電アクチュエー タ33bおよび上部電極33aからなる積層体33を固 することによって形成されたものである。

 この場合には閉塞プレート32dとして、酸 ジルコニウムを主成分とするセラミック基 を使用することが好ましい。

 酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化 グネシウム、酸化カルシウムのうちの一つ 化合物を単体で若しくは組み合わせて添加 含有することにより、酸化ジルコニウムは 分的に或いは完全に安定化される。それぞ の化合物の添加含有量は、酸化イットリウ は2モル%~7モル%、酸化セリウムは6モル%~15モ ル%、酸化マグネシウム、酸化カルシウムは5 ル%~12モル%とすることが好ましいが、その でも、特に酸化イットリウムを部分安定化 として用いることが好ましく、その場合は2 ル%~7モル%、更に好ましくは2モル%~4モル%と ることが望ましい。そのような範囲で酸化 ットリウムを添加・含有した酸化ジルコニ ムは、その主たる結晶相が正方晶若しくは として立方晶と正方晶からなる混晶におい 部分安定化され、優れた基板特性を与える ととなる。

 電極膜33a,33aの材料としては、熱処理温度 並びに焼成温度程度の高温酸化雰囲気に耐え られる導体であれば、特に規制されるもので はなく、例えば金属単体であっても、合金で あっても良く、また絶縁性セラミックスやガ ラス等と、金属や合金との混合物であっても 、更には導電性セラミックスであってもよい 。好ましくは、白金、パラジウム、ロジウム 等の高融点貴金属類、或いは銀-パラジウム 銀-白金、白金-パラジウム等の合金を主成分 とする電極材料が用いられる。

 積層体33が設けられた、閉塞プレート32d スペーサプレート32cおよび接続プレート32b 、その接続プレート32bが、図6に示されてい ように、供給プレート36に対して重ね合わ れ、接着剤を用いて一体化されている。

 振動板としての閉塞プレート32dに圧電ア チュエータ33bの作動により、液体供給流路 通じて導かれた液体が、液体導入口36aより 力室39に供給され通孔を通じ、ノズル孔35a り吐出される液滴吐出ヘッド30が形成される 。

 振動板としての閉塞プレート32dに積層され 圧電アクチュエータ33bは、厚み方向に分極 れており、上下に設けられた上部電極33a,下 部電極33a間に電圧を印加することで長さ方向 (図6のL1方向)に圧電アクチュエータ33bを縮ま 、閉塞プレート32dと圧電アクチュエータ33b バイメタルのように曲げ変形をおこし、圧 室39の容積を変形させ、ノズル孔35aより液 が吐出される。この時の、圧電アクチュエ タ33bの変位量δは、
 δ=(圧電d 31 定数)×L1×V/T
 ここで、図6に示すように、L1は圧力室39の さ、Vは電圧パルスの駆動電圧、Tは圧電アク チュエータ33bの厚さである。

 また、液滴吐出後のノズルへの液体供給 、ノズルの毛細管現象による力によって液 タンクから液体供給口と圧力室39を経てノ ルへ供給される。

 この液滴吐出ヘッドにおける圧電アクチュ ータ33bは、ニオブ酸カリウム・ナトリウム (K x Na 1-x )NbO 3 ,ニオブ酸リチウムをLiNbO 3 、チタン酸ストロンチウムをSrTiO 3 、鉄酸ビスマスをBiFeO 3 としたときに、(1-y-z-w)(K x Na 1-x )NbO 3 +yLiNbO 3 +zSrTiO 3 +wBiFeO 3 (ただし、0.4<x<0.6、0<y≦0.1、0<z<0.1 0<w<0.09、0.03<y+z+w≦0.12である。)で表 れる圧電磁器組成物を用いている。

 本実施形態のような大きい圧電d 31 定数を示し室温付近(10℃~40℃)に2次相転移点 有しない圧電磁器組成物を圧電アクチュエ タとして用いることにより、実用に供しう 程度の駆動電圧でインク滴を吐出するのに 要な変位量を得ることができるとともに室 付近の使用温度範囲内において、圧電アク ュエータの変位特性の変化が小さく液体の 出性能が安定する。

 また、その組成中に鉛を含有しないので 廃棄物等から有害な鉛が自然界に流出する とが無く、安全性が高い鉛フリーの圧電磁 組成物とすることができる。

 また、本発明の液滴吐出ヘッドは、イン ジェットプリンタ等に用いるインクジェッ ヘッドだけでなく、例えば、電子回路の形 や液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの 造、有機ELディスプレイの製造といった工 用途にも、広く利用することができる。

 以下、本発明の実施例にかかる圧電磁器 成物を製造し、その特性を評価した。

 以下、製造方法について詳細に説明する

 まず、圧電磁器組成物の原料として、純度9 9%以上の高純度のLi 2 CO 3 、Na 2 CO 3 、K 2 CO 3 、SrCO 3 、Nb 2 O 5 、TiO 2 、Fe 2 O 3 、Bi 2 O 3 を準備した。これらの原料を十分乾燥させ、 圧電磁器組成物の組成式が(1-y-z-w)(K x Na 1-x )NbO 3 +yLiNbO 3 +zSrTiO 3 +wBiFeO 3 において、表1に示すような組成となるよう 秤量した。

 そして、配合した原料をボールミルによ 無水アセトン中で24時間混合、乾燥して混 物を作製した。

 次に、この混合物を700℃~900℃にて3時間 焼した後、ボールミルにて24時間粉砕し、仮 焼粉とした。

 続いて、仮焼粉にバインダーとしてポリビ ールアルコールを添加し、造粒し加圧成形 行った。加圧成形は、造粒した粉砕物を一 プレス成形によりペレット状に成形したも を、さらに冷間等方圧プレス(CIP)により1t/cm 2 の圧力で再成形した。

 このようにして得られた成形体を1000~1200 の大気中にて3時間焼成し、焼結体を作製し た。

 得られた焼結体について粉末X線回折(XRD) より結晶相の同定を行った結果、本発明の 結体は、図7に示すが如く、回折ピークがペ ロブスカイト構造単相であることがわかった 。また、比較例の試料番号16の焼結体は、図8 に示すが如く、異相(図8中に▼で表示)が生成 し、ペロブスカイト構造単相が得られなかっ た。

 得られた試料は、アルキメデス法による さ密度測定を行い、理論密度比から相対密 を算出した。相対密度80%未満のものを焼結 良として×、相対密度80%以上90%未満のもの △、90%以上のものを○として焼結性を評価 た。

 次に、得られた焼結体を所定のサイズに 断し、平行研磨した後、試料の両面にスパ タ法により金電極を設けた。そして、100℃ シリコーンオイル中にて2~7kV/mmの直流電圧 10分間、電極間に印加し、厚み方向に分極し た圧電磁器組成物を作製した。

 次に、得られた圧電磁器組成物について、 電d 33 定数、室温付近(10℃~40℃)の2次相転移点の有 、キュリー温度Tc、比誘電率εr、P-Eヒステ シス特性、残留分極Pr、抗電界Ecを測定した

 圧電d 33 定数は、インピーダンスアナライザー(Agilent Technologies社製 4294A)を用いて共振-反共振法 より25℃で測定した。

 室温付近の2次相転移点の有無及びキュリ ー温度Tcは、-30℃~+500℃の温度範囲における 誘電率εrの温度依存性を測定することによ 求めた。具体的には、インピーダンスアナ イザー(Agilent Technologies社製 4294A)と恒温槽 使用して、-30℃~+500℃の範囲で2℃~5℃毎に所 定時間保持したのち、各温度での比誘電率εr を測定周波数100kHzにて測定した。2次相転移 の有無は、室温付近での誘電率εrの不連続 の有無から判断し室温付近に2次相転移点が るものを×、ないものを○と評価した。キ リー温度Tcは、比誘電率が最も高いときの温 度をもってキュリー温度Tcとした。

 P-Eヒステリシス特性は、強誘電体特性評価 ステム(Radiant Technologies社製)を用いて5kVの 圧を印加して25℃で測定した。本発明の試料 番号8の測定結果を図9に、比較例の試料番号1 の測定結果を図10に示す。図9からわかるよう に、本発明にかかる圧電磁器組成物は角型性 の良好なヒステリシス曲線が得られ、残留分 極Pr(uC/cm 2 )が大きく好ましい。なお、残留分極とは、 界が反転するとき、すなわち印加される電 強度が0kV/cmとなるときの分極の大きさであ 、図9では、ヒステリシス曲線とY軸(電界強 が0kV/cmの直線)との交点における分極の大き である。

 P-Eヒステリシス特性を測定して得られた ステリシス曲線から、分極量がゼロのとき 電界強度を求め、抗電界Ecとした。

 作製した圧電磁器組成物の組成、圧電d 33 定数、室温付近の2次相転移点の有無、キュ ー温度Tc、比誘電率εr、焼結性、残留分極Pr 抗電界Ecを表1に示した。試料番号2、11、21,2 5は焼結不良のため、試料番号17は、室温付近 に2次相転移点を有しているため、評価を行 ことができなかった。また、試料番号16、18 22は圧電d 33 定数が小さいため、2次相転移点の有無、キ リー温度Tcの評価を中止している。

 表1において、比較例の試料は、この発明の 範囲外のものである。表1において、0.4<x< ;0.6、0<y≦0.1、0<z<0.1、0<w<0.09、0.03& lt;y+z+w≦0.12の各条件をすべて満たす本発明の 試料については、表1に示すように、すべて 圧電d 33 定数が従来のKNbO 3 -NaNbO 3 系圧電磁器組成物よりも大きい120(pC/N)以上で あり、室温付近に2次相転移点を有さず、さ に、焼結性が高く緻密な焼結体が得られる というように良好な特性を示している。

 これに対して、0.4<x<0.6の条件を満足し い試料のうち、xが0.4以下である試料番号22 は、圧電d 33 定数が62(pC/N)となり、120(pC/N)以上の圧電d 33 定数を達成し得ない。また、xが0.6以上とな 試料番号25では、焼結不良が生じている。

 また、0<y≦0.1の条件を満足しない試料の ち、yが0である試料番号2では、焼結不良が じている。また、yが0.1より大きい試料番号 16では、異相が生成し圧電d 33 定数が90(pC/N)となり、120(pC/N)以上の圧電d 33 定数を達成し得ない。

 また、0<z<0.1の条件を満足しない試料の うち、zが0である試料番号17では、室温付近 2次相転移点が確認され、室温付近に2次相転 移点を有さない圧電磁器組成物を実現し得な い。また、zが0.1以上の試料番号18では、圧電 d 33 定数が6(pC/N)となり、120(pC/N)以上の圧電d 33 定数を達成し得ない。

 また、0<w<0.09の条件を満足しない試料 うち、wが0である試料番号1では、圧電d 33 定数が67(pC/N)となり、120(pC/N)以上の圧電d 33 定数を達成し得ない。また、wが0.09以上の試 番号21では、焼結不良が生じている。

 また、0.03<y+z+w≦0.12の条件を満足しない 料のうち、y+z+wが0.03以下である試料番号2及 試料番号11では、焼結不良が生じている。 た、y+z+wが0.12より大きい試料番号16及び試料 番号18では、圧電d 33 定数が90(pC/N)及び6(pC/N)となり、120(pC/N)以上の 圧電d 33 定数を達成し得ない。

 本実施例においては、圧電定数として圧電d 33 定数の評価結果を示したが、圧電d 15 定数及び圧電d 31 定数についても同様の評価を行い、同様の効 果を得ることができることを確認している。