Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
ELECTRODE CATALYST FOR FUEL CELL AND SOLID POLYMER ELECTROLYTE FUEL CELL USING THE ELECTRODE CATALYST
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/091025
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides an electrode catalyst for a fuel cell, which has a higher activity than the conventional platinum catalyst or platinum alloy-based catalyst, and an index for the evaluation of performance that is useful for the design of catalysts. The electrode catalyst for a fuel cell in one aspect comprises a catalyst component of platinum or a platinum alloy, an optional carrier for supporting the catalyst component, and a metal oxide for alleviating poisoning of the catalyst component. The electrode catalyst for a fuel cell is characterized in that the wave number of a spectrum, in which the peak area in IR absorption of CO adsorbed on the surface of platinum or a platinum alloy in the catalyst component is maximum, is not less than 2060 cm-1. The electrode catalyst for a fuel cell in another aspect is characterized in that the metal oxide is tantalum oxide and/or niobium oxide.

Inventors:
NAGAMI TETSUO (JP)
HAMA YUICHIRO (JP)
IISAKA HIROFUMI (JP)
NOMURA KUMIKO (JP)
KATAOKA MIKIHIRO (JP)
HATANAKA TATSUYA (JP)
HIROSHIMA KAZUTAKA (JP)
MORIMOTO YU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050533
Publication Date:
July 23, 2009
Filing Date:
January 16, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
NAGAMI TETSUO (JP)
HAMA YUICHIRO (JP)
IISAKA HIROFUMI (JP)
NOMURA KUMIKO (JP)
KATAOKA MIKIHIRO (JP)
HATANAKA TATSUYA (JP)
HIROSHIMA KAZUTAKA (JP)
MORIMOTO YU (JP)
International Classes:
H01M4/86; B01J23/42; B01J23/89; H01M4/90; H01M4/92; H01M8/10
Foreign References:
JP2008171647A2008-07-24
JPH09167620A1997-06-24
JPS598273A1984-01-17
JP2006228546A2006-08-31
JP2007149417A2007-06-14
JPS60225363A1985-11-09
JP2002231254A2002-08-16
Other References:
ATSUSHI UEDA ET AL.: "Electrochemical oxidation of CO in sulfuric acid solution over Pt and PtRu catalysts modified with TaOx and NbOx", CATALYSIS TODAY, vol. 84, 2003, pages 223 - 229
YUSUKE YAMADA ET AL.: "High-throughput screening of PEMFC anode catalysts by IR thermography", APPLIED SURFACE SCIENCE, vol. 223, 2004, pages 220 - 223
Attorney, Agent or Firm:
HIRAKI, Yusuke et al. (3-20 Toranomon 4-chom, Minato-ku Tokyo 01, JP)
Download PDF:
Claims:
 白金又は白金合金からなる触媒成分と、任意成分として該触媒成分を担持する担体と、該触媒成分の被毒を緩和する金属酸化物とを含む燃料電池用電極触媒であって、該触媒成分中の白金又は白金合金表面に吸着させたCOのIR吸収におけるピーク面積が最大であるスペクトルの波数が2060cm -1 以上であることを特徴とする燃料電池用電極触媒。
 前記金属酸化物が、(1)前記担体表面及び/又は内部に含まれる、(2)前記白金又は白金合金からなる触媒成分中に助触媒として含まれる、(3)前記白金又は白金合金からなる触媒成分のコア材として含まれる、(4)電極触媒中に添加剤として含まれる、(5)前記担体として含まれる、から選択されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極触媒。
 前記金属酸化物が、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ニオブ、及び酸化シリコンから選択される遷移金属酸化物の1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池用電極触媒。
 前記白金合金が白金と遷移金属からなり、該遷移金属が、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、オスニウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、金(Au)から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒。
 前記金属酸化物が、酸化タンタル及び/又は酸化ニオブであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃料電池用電極触媒。
 前記金属酸化物が酸化タンタル及び酸化ニオブからなり、該金属酸化物に酸化ニオブが10~95 mol%含まれることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池用電極触媒。
 請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒を備えた固体高分子型燃料電池。
Description:
燃料電池用電極触媒及びそれを いた固体高分子型燃料電池

 本発明は、従来の白金触媒又は白金合金 媒の性能向上を図った燃料電池用電極触媒 びそれを用いた固体高分子型燃料電池に関 る。

 従来、高分子電解質型燃料電池の電極触 のカソード及びアノード触媒としては、白 又は白金合金等の貴金属をカーボンブラッ に担持した触媒が用いられてきた。白金担 カーボンブラックは、塩化白金酸水溶液に 亜硫酸水素ナトリウムを加えた後、過酸化 素水と反応させ、生じた白金コロイドをカ ボンブラックに担持させ、洗浄後、必要に じて熱処理することにより調製するのが一 的である。高分子電解質型燃料電池の電極 、白金担持カーボンブラックを高分子電解 溶液に分散させてインクを調製し、そのイ クをカーボンペーパーなどのガス拡散基材 塗布し、乾燥することにより作製される。 の2枚の電極で高分子電解質膜を挟み、ホッ トプレスをすることにより電解質膜-電極接 体(MEA)が組立られる。

 ところで、白金は高価な貴金属であり、 ノード触媒、カソード触媒ともに、少ない 持量で十分な性能を発揮させることが望ま ている。そのため、より少量で触媒活性を める検討がなされており、白金と種々の金 とからなる合金触媒が開発されている。具 的には、CO被毒回避を目的に、白金と、ル ニウムやモリブデンとからなる合金触媒が る。

 例えば、下記特許文献1には、白金-コバ ト合金を触媒成分とする燃料電池用電極触 で、触媒表面及び/又は触媒近傍に遷移金属- 4窒化物構造(MN4構造)を配置して触媒の耐久性 を向上させる発明が開示されている。しかし 、この電極触媒などでは、白金や白金-コバ ト合金表面へのOH基の吸着による触媒活性の 劣化は抑制し切れなかった。

 このように、現状の自動車用燃料電池は1 台あたりのPt使用量が多く、将来の普及のた にはPt使用量の大幅低減が求められている

 カソード触媒においてPt量が多くなる理 について述べる。カソード反応では反応中 体であるOHがPt表面に一時被毒し、これが反 を阻害する。Ptは自らがPtメタルに還元され るまで反応を開始することができず、このと き電圧をロスする(過電圧が発生する)。これ 、電流-電圧(IV)カーブにおいて低電流密度 で電圧が急速に落ち込む現象として観測さ る。

 所定の効率(燃費)を得るには最頻出電流 度において所定の電圧値を得る必要がある この電圧値とPt量との間には実験的に70mV/deca deの関係が見出されている。すなわちPt目付 量が1/10になると電圧値が70mV低下する関係と なる。現在の触媒技術で所定の電圧値を得る ためにはPt量で補うしかないというのが現状 ある。これがPt量が多くなる理由である。

 カソード触媒のPt量を低減させるために 、Ptの質量活性向上が必要である。1990年頃 らPtをCo,Fe,Ni等遷移金属と合金化することに って、Ptの質量活性を向上させる試みがな れてきた。近年、これらPt合金触媒の性能向 上メカニズムの研究が進展し、Pt合金触媒表 においては上記OH吸着による一時被毒が緩 されることがわかってきている。OHの吸着力 はOHとPt表面(フェルミレベル)の電子的相互作 用によって決まる。Pt表面の電子密度が高い どOHとの相互作用が強くなり強固な吸着と る。Pt合金触媒では合金化によりPt表面の電 密度が下がることにより、OHの吸着力を弱 一時被毒を緩和するといわれている。

 こうして現在PtCo等Pt合金触媒は実用段階 なった。しかし、上述のとおり目標に対し 分なレベルにはない。Pt合金触媒において OHによる一時被毒に起因する過電圧は依然と して大きく、Ptの質量活性を飛躍的に高める は、OH被毒をさらに緩和することが求めら る。

 一方、天然ガスなどを燃料とする改質器と み合わせて使う燃料電池においては、改質 ス中に含まれる一酸化炭素(CO)がPt表面に一 被毒し、アノード反応(H 2 →2H + +2e - )を著しく阻害する。これまでに、ルテニウ (Ru)、モリブデン(Mo)を添加した合金触媒の開 発が進められている。

 しかしながら、前記合金触媒では、合金成 がイオンとして溶出し、これが触媒層中に 在するアイオノマのプロトン伝導阻害を誘 することにより、特に低加湿条件下での出 性能を著しく悪化させることも指摘されて る。

特開2005-44659号公報

 従来の白金触媒又は白金合金触媒の性能 上を図った燃料電池用電極触媒は、アノー 触媒及びカソード触媒の発電性能が十分で なく、より高性能の触媒の開発が望まれて た。本発明は、白金触媒又は白金合金触媒 性能向上を図ることを目的とする。

 触媒化学の分野で1980年代からSMSI(Strong Metal  Suppot Interaction)に関する研究が始まってい 。SMSIとは貴金属と担体の電子的相互作用に って触媒の活性・選択性向上など特異な機 を引出しうる概念である。自動車用三元触 においてPt/CeO 2 が有する酸素吸放出能も、SMSIの一例と言え 。近年、燃料電池用電極触媒の分野でもSMSI 利用した研究が行われ始めている。

 SMSIと呼ばれる貴金属と担体の相互作用は 、上述したPtの合金化によるPt表面の電子状 改変よりも更に強く作用すると考えた。

 そこで、本発明者らは、Pt又はPt合金とSMS I効果を持つ物質を接触させて、Pt又はPt合金 面の電子密度を最適にコントロールできな かと考えて本発明に到達した。

 即ち、第1に、本発明は、白金又は白金合金 からなる触媒成分と、任意成分として該触媒 成分を担持する担体と、該触媒成分の被毒を 緩和する金属酸化物とを含む燃料電池用電極 触媒の発明であって、該触媒成分中の白金又 は白金合金表面に吸着させたCOのIR吸収にお るピーク面積が最大であるスペクトルの波 が2060cm -1 以上であることを特徴とする。

 本発明の燃料電池用電極触媒は、金属酸化 等を担体、添加剤等として用い、酸化物等 白金又は白金合金との電子的相互作用によ て、Pt表面の電子密度を適正値に制御する 即ち、Pt表面の電子密度を下げ、酸素被毒を 弱める。本発明では、Pt表面の電子密度は、P t表面に吸着させたCOのIR吸収スペクトル位置( 波数)を指標とし、この値が2060cm -1 以上となる触媒が、触媒活性に優れるもので ある。

 前記金属酸化物が配置される位置・場所 は制限がなく、例えば、(1)前記担体表面及 /又は内部に含まれる、(2)前記白金又は白金 合金からなる触媒成分中に助触媒として含ま れる、(3)前記白金又は白金合金からなる触媒 成分のコア材として含まれる、(4)電極触媒中 に添加剤として含まれる、(5)前記担体として 含まれる、から選択される。

 本発明の燃料電池用電極触媒で用いられ 金属酸化物として、酸化ハフニウム、酸化 ンタル、酸化チタン、酸化ニオブ、及び酸 シリコンから選択される遷移金属酸化物の1 種以上が好ましく例示される。

 本発明の燃料電池用電極触媒に用いられ 触媒成分は白金又は白金合金である。ここ 、白金合金としては白金と遷移金属からな 、該遷移金属が、ルテニウム(Ru)、モリブデ ン(Mo)、オスニウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウ ム(Rh)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni) チタン(Ti)、タングステン(W)、パラジウム(Pd) 、レニウム(Re)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニ オブ(Nb)、タンタル(Ta)、及び金(Au)から選択さ れる1種以上であるものが好ましく例示され 。

 本発明の燃料電池用電極触媒で用いられ 金属酸化物として、酸化タンタル及び/又は 酸化ニオブが特に好ましく例示される。

 本発明の燃料電池用電極触媒で用いられ 金属酸化物として、酸化タンタル及び酸化 オブからなり、酸化ニオブが10~95 mol%含ま るものが特に好ましく例示される。

 第2に、本発明は、上記の燃料電池用電極 触媒を備えた固体高分子型燃料電池であり、 発電性能に優れている。

 本明細書は本願の優先権の基礎である日 国特許出願第2008-007092号及び第2009-005969号の 明細書及び/又は図面に記載される内容を包 する。

図1は、それぞれの触媒試料の吸着CO種 吸収波数を示す。 図2は、Ta 2 O 5 /Pt比と吸着COの吸収波数との関係を示す。 図3は、Nb 2 O 5 /Pt比と吸着COの吸収波数との関係を示す。 図4は、TaOx添加した電極触媒におけるPt 粒径を示す。 図5は、実施例1の試料をTEM観察した結 を示す。A:一般的部位のTEM像;B:特定部位のTEM 像。 図6は、TaOx添加した電極触媒におけるCO 吸着量を示す。 図7は、TaOx添加した電極触媒におけるPt の化学結合状態を示す。 図8は、TaOx添加した電極触媒におけるTa の化学結合状態を示す。 図9は、TaOx添加した電極触媒を用いて 製したMEAによる、質量活性の測定結果を示 。 図10は、NbOx添加した電極触媒における Pt粒径を示す。 図11は、実施例10の試料をTEM観察した 果(一般的部位のTEM像)を示す。 図12は、NbOx添加した電極触媒における CO吸着量を示す。 図13は、NbOx添加した電極触媒における Ptの化学結合状態を示す。 図14は、NbOx添加した電極触媒における Nbの化学結合状態を示す。 図15は、NbOx添加した電極触媒を用いて 作製したRDEによる、CO酸化開始電位(Eosp)の測 結果を示す。 図16は、NbOx添加した電極触媒を用いて 作製したRDEによる、CO吸着量から求めた電気 学表面積(SA(CO))の測定結果を示す。 図17は、NbOx添加した電極触媒を用いて 作製したRDEによる、H吸着量から求めた電気 学表面積(ECSA)の測定結果を示す。 図18は、TaOx添加した電極触媒を用いて 作製したRDEによる、CO酸化開始電位(Eosp)の測 結果を示す。 図19は、TaOx添加した電極触媒を用いて 作製したRDEによる、CO吸着量から求めた電気 学表面積(SA(CO))の測定結果を示す。 図20は、TaOx添加した電極触媒を用いて 作製したRDEによる、H吸着量から求めた電気 学表面積(ECSA)の測定結果を示す。 図21は、NbOx添加した電極触媒を用いて 作製したMEAによる、高加湿及び低加湿条件に おける電圧性能の測定結果を示す。 図22は、TaOx及びNbOxを添加した電極触 のCO吸着IR法におけるCO結合ピーク位置を示 。 図23は、TaOx及びNbOxを添加した電極触 におけるPt粒径を示す。 図24は、TaOx及びNbOxを添加した電極触 におけるCO吸着量を示す。 図25は、TaOx及びNbOxを添加した電極触 を用いて作製したMEAによる高加湿条件にお る電圧性能を、Ta及びNbの配合比率と電圧性 の関係として示す。 図26は、TaOx及びNbOxを添加した電極触 を用いて作製したMEAによる低加湿条件にお る電圧性能を、Ta及びNbの配合比率と電圧性 の関係として示す。

発明を実施するための形態

 以下、本発明の好ましい実施形態につい 詳細に説明する。

1.電極触媒の構成
 本発明の燃料電池用電極触媒は、白金又は 金合金からなる触媒成分と、任意成分とし 該触媒成分を担持する担体と、該触媒成分 被毒を緩和する金属酸化物とを含む。

1-1.触媒成分
 本発明の燃料電池用電極触媒において使用 れる触媒成分は、白金又は白金および遷移 属からなる白金合金である。白金は高価な 金属であり、アノード触媒、カソード触媒 もに、少ない担持量で十分な性能を発揮さ ることが好ましい。本発明の燃料電池用電 触媒において、白金および種々の遷移金属 らなる合金触媒を用いることにより、触媒 性を損なうことなく白金使用量を削減する とが可能となる。

 特定の実施形態において、前記遷移金属 しては、以下:ルテニウム(Ru)、モリブデン(M o)、オスニウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(R h)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、チ ン(Ti)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、 ニウム(Re)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニオ (Nb)、タンタル(Ta)、及び金(Au);から選択され 1種以上であるものが好ましく例示される。

 白金又は白金合金の担持密度は、電極触 の総重量に対する担持された白金又は白金 金の重量%で定義される。かかる担持密度は 、白金の場合には、白金重量/(白金重量+担体 重量)×100の計算式により算出される。また、 白金合金の場合には、(白金重量+遷移金属重 )/(白金重量+遷移金属重量+担体重量)×100の 算式により算出される。本発明の燃料電池 電極触媒において、白金又は白金合金の担 密度は10~60重量%であることが好ましい。

 白金合金の組成は、担持された白金合金 総重量に対する白金及び/又は遷移金属の重 量%で定義される。かかる組成は、白金重量/( 白金重量+遷移金属重量)×100の計算式により 出される。本発明の燃料電池用電極触媒に いて、白金合金の組成は白金が90~100重量%に して遷移金属が0~10重量%であることが好ま い。

1-2.担体
 本発明の燃料電池用電極触媒において使用 れる担体は任意成分であって、触媒成分を 持するために該電極触媒に加えられる。そ 故、触媒成分を担持できるとともに、それ 体が導電性を具備するものであれば特に限 されるものではない。燃料電池用電極触媒 慣用されている様々な材料を使用すること できる。触媒成分を担持する目的のために 例えばカーボンブラックのような、導電性 具備し、かつ比表面積が大きい担体材料が ましい。前記のような特徴を具備する担体 用いることにより、より広い触媒担持面積 確保することが可能となる。これによって 担持される触媒粒子の微小化を図ることが きるため、結果として触媒活性を向上させ ことが可能となる。

 本発明の燃料電池用電極触媒において使用 れる担体は、電気抵抗率が0.05~0.50 ω・cmで ることが好ましい。また、比表面積が30~1500  m 2 /gであることが好ましい。ここで電気抵抗率 JIS K1469によって測定することができる。ま た、比表面積は窒素BET吸着法によって測定す ることができる。好適な担体材料は、限定す るものではないが、例えばKetjen EC(ケチェン ラックインターナショナル製)、アセチレン ブラック(ケチェンブラックインターナショ ル製)、バルカンXC-72R(Cabot製)又はデンカブラ ック(DENKA製)のようなカーボン粉末である。

1-3.金属酸化物
 本発明の燃料電池用電極触媒において使用 れる金属酸化物は任意成分であって、触媒 毒を緩和する目的およびSMSI効果を引き出す 目的で該電極触媒に加えられる。金属酸化物 を電極触媒に加えることにより、触媒被毒に よる触媒性能の低下を軽減して質量活性を向 上させることが可能となるとともに、SMSI効 によって電極触媒の触媒活性及び/又は選択 を向上させることが可能となる。金属酸化 の添加による前記の好ましい効果について 、以下においてさらに詳細に説明する。

 特定の実施形態において使用される金属 化物としては、酸化ハフニウム、酸化タン ル、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化シリコ 及び酸化スズから選択される遷移金属酸化 の1種以上が好ましく例示される。

 前記金属酸化物が配置される位置・場所 は制限がなく、例えば、(1)前記担体表面及 /又は内部に含まれる、(2)前記白金又は白金 合金からなる触媒成分中に助触媒として含ま れる、(3)前記白金又は白金合金からなる触媒 成分のコア材として含まれる、(4)電極触媒中 に添加剤として含まれる、(5)前記担体として 含まれる、から選択される。前記金属酸化物 は白金又は白金合金からなる触媒成分中に助 触媒として含まれることが好ましい。

1-4.電極触媒の製造方法
 本発明の燃料電池用電極触媒は、白金又は 金合金からなる触媒成分を、当業界で慣用 れる様々な方法を用いて担体に担持するこ で製造される。本発明の燃料電池用電極触 は、金属態もしくは金属錯体である触媒成 と担体を水中で接触させて混合物とする工 (接触工程);該混合物に塩基を加えてアルカ 性とし、金属態もしくは金属錯体である触 成分を不溶性の水酸化物として担体表面に 出させる工程(析出工程);触媒成分水酸化物 析出した担体を回収する工程(回収工程);回 した担体を真空下で乾燥する工程(乾燥工程 );ならびに乾燥した担体を水素雰囲気下で熱 元して、金属態の触媒成分が担体に担持し 電極触媒粉末を得る工程(熱還元工程)を含 方法によって製造される。

 前記の製造方法は、触媒成分の被毒を緩 する金属酸化物を助触媒として加えるため 、前記熱還元工程で得られた電極触媒粉末 金属塩を水中で接触させて混合物とする工 (金属塩接触工程);該混合物に塩基を加えて ルカリ性とし、金属塩を不溶性の金属水酸 物として電極触媒粉末表面に析出させる工 (金属水酸化物析出工程);金属水酸化物が析 した電極触媒粉末を回収する工程(金属水酸 化物回収工程);回収した電極触媒粉末を真空 で乾燥する工程(金属水酸化物乾燥工程);な びに乾燥した電極触媒粉末を不活性ガス雰 気下で焼成して、金属酸化物を含む電極触 粉末を得る工程(焼成工程)をさらに含んで よい。

 本発明の燃料電池用電極触媒は、触媒成 の被毒を緩和する金属酸化物を担体として んでいてもよい。かかる実施形態において 本発明の燃料電池用電極触媒は、金属態も くは金属錯体である触媒成分と、担体とし 使用される金属酸化物を水中で接触させて 合物とする工程(接触工程);該混合物に塩基 加えてアルカリ性とし、金属態もしくは金 錯体である触媒成分を不溶性の水酸化物と て金属酸化物表面に析出させる工程(析出工 程);触媒成分水酸化物が析出した金属酸化物 回収する工程(回収工程);回収した金属酸化 を真空下で乾燥する工程(乾燥工程);ならび 乾燥した金属酸化物を水素雰囲気下で熱還 して、金属態の触媒成分が金属酸化物に担 した電極触媒粉末を得る工程(熱還元工程) 含む方法によって製造される。

2.IRスペクトルによる触媒被毒特 の評価
 白金を触媒成分とする燃料電池用電極触媒 おいて、触媒活性に大きな影響を与える原 の1つは触媒被毒である。カソード触媒にお いては、反応中間体であるOHが白金表面に一 被毒し、これがカソード反応((1/2)O 2 +2H + +2e - →H 2 O)を阻害するOH被毒が知られている。OH被毒は 白金表面の電子密度と相関があるため、該電 子密度を低下させることによりOH被毒を緩和 ることが可能である。一方、アノード触媒 おいては、特に天然ガスなどを燃料とする 質器と組み合わせて使う燃料電池の場合、 質ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)が白金表 面に一時被毒し、アノード反応(H 2 →2H + +2e - )を著しく阻害するCO被毒が知られている。CO 毒は白金表面にCO分子が吸着されることに り起きるため、Pt‐C結合強度を低下させる とによりCO被毒を緩和することが可能である 。

 一般に有機化合物の赤外線(IR)吸収は、該 化合物を構成する各原子間の結合強度に比例 する。すなわち、より結合強度の高い結合は 、より大きなエネルギーに相当するIRを吸収 る。ここでIRのエネルギーは波長に反比例 るため、その逆数である波数に比例する。 れ故、複数の外的環境下で特定の有機化合 のIRスペクトルを測定した際に吸収ピークの 波数シフトが観測された場合、高波数領域へ のシフトは吸収エネルギーの増加を表すこと から、外的環境の変化によって生じた結合強 度の相対的な向上を表すことになる。

 前記原理に基づいて、本発明の電極触媒 おいて触媒成分として含まれる白金表面に 着したCOのIRスペクトルを測定することによ り、C‐O結合の吸収ピークの波数を白金表面 電子密度の指標とすることができる。すな ち、白金表面に吸着したCOの吸収ピークの 数が高波数領域へシフトすれば、該CO分子中 のC‐O結合強度が相対的に向上したことを意 する。COは白金表面に吸着されているので C‐O結合強度の相対的向上は、白金表面の電 子密度低下に伴うPt‐C結合強度の相対的低下 に起因すると考えられる。

 白金表面に吸着したCOの吸収ピーク波数 高波数領域へのシフトは、白金表面の電子 度が低下したことを意味するため、カソー 触媒で問題となるOH被毒の傾向が低いことを 意味する。また、前記高波数領域へのシフト はPt‐C結合強度の相対的低下も意味するため 、アノード触媒で問題となるCO被毒の傾向が いことも意味する。

 したがって、電極触媒に含まれる白金表 に吸着したCOのIR吸収スペクトルを測定する ことにより、カソード及びアノード触媒にお ける触媒被毒に対する電極触媒の特性につい て、煩雑な電気化学的試験を行うことなく定 量的に予測し、かつ評価することが可能とな る。

 本発明の燃料電池用電極触媒において、カ ード触媒として使用するためには、白金表 の電子密度を低くすることが好ましい。一 、改質器と組み合わせて使う燃料電池のア ード触媒として使用するためには、Pt‐C結 強度を低下させることが好ましい。本発明 燃料電池用電極触媒において、触媒成分中 白金又は白金合金表面に吸着させたCOのIR吸 収におけるピーク面積が最大であるスペクト ルの波数は、2060cm -1 以上にあることが好ましい。

 前記実施形態における電極触媒を燃料電 のカソード触媒に使用することにより、OH 毒を緩和し質量活性を向上させることが可 となる。また、改質器と組み合わせて使う 料電池のアノード触媒に使用することによ 、CO被毒を緩和し質量活性を向上させること が可能となる。

3.酸化タンタル及び/又は酸化ニオ ブからなる金属酸化物
 本発明の燃料電池用電極触媒において、白 又は白金合金からなる触媒成分に酸化タン ル及び/又は酸化ニオブからなる金属酸化物 を添加することにより、他の金属酸化物を含 む電極触媒と比較して以下に説明するような 極めて良好な効果を奏する。

3-1.酸化タンタルからなる金属酸 物
 本発明の燃料電池用電極触媒において、白 又は白金合金からなる触媒成分に酸化タン ルを添加することにより、担持される触媒 子の粒径を無添加の場合と同程度又はそれ 満に抑制することが可能である。触媒粒子 粒径の微小化は反応に関与する触媒の表面 向上につながることから、酸化タンタルを 加した電極触媒を用いて燃料電池を作製す ことにより、白金単位質量あたりの活性(質 量活性)を向上させることが可能となる。ま 、添加された酸化タンタルは触媒粒子の表 を覆うように存在することにより、COが触媒 粒子の表面に吸着することを抑制すると考え られる。結果として、酸化タンタルの添加に より、その添加量依存的にCO吸着を有意に抑 することが可能となる。

 本発明の燃料電池用電極触媒において添加 れる酸化タンタルは、比較的酸化状態で存 することが好ましく、特にTa 2 O 5 に近い酸化状態で存在することが好ましい。

 本発明の燃料電池用電極触媒において、 化タンタルは触媒成分の重量に対して0.005~0 .5当量で添加されることが好ましい。

 本発明の酸化タンタルからなる金属酸化 を含む燃料電池用電極触媒は、前記の製造 法によって製造することが可能である。し しながら、前記の好ましい特徴は該電極触 を製造する際の工程によっても影響されう 。それ故、前記燃料電池用電極触媒の製造 法に含まれる焼成工程の処理温度は300~900℃ であることが好ましい。また、処理時間は30~ 300分間であることが好ましい。

3-2.酸化ニオブからなる金属酸化
 本発明の燃料電池用電極触媒において、白 又は白金合金からなる触媒成分に酸化ニオ を添加することで、担持される触媒粒子の 径を無添加の場合と同程度又はそれ未満に 制することが可能である。添加された酸化 オブは、触媒粒子の表面又はその近傍に存 することにより、COが触媒粒子の表面に吸 することを抑制すると考えられる。結果と て、酸化ニオブの添加はその添加量依存的 CO吸着を抑制することができる。

 酸化ニオブ添加によるCO吸着抑制効果は 前記酸化タンタルからなる金属酸化物を添 した電極触媒では得られない、酸化ニオブ 特有の効果である。すなわち、白金担持電 触媒に酸化ニオブを添加することにより、H 着に対する性能を損なうことなく、触媒成 中の白金又は白金表面へのCO吸着を選択的 軽減する効果を奏することが可能である。 れ故、天然ガスなどを燃料とする改質器と み合わせて使う燃料電池において、本発明 酸化ニオブを添加した電極触媒をアノード 媒として使用することにより、アノード反 に対する触媒活性を損なうことなくCO被毒に よる触媒活性の低下を選択的に軽減すること が可能となる。また、前記の好ましい特性に より、本発明の酸化ニオブを添加した電極触 媒を燃料電池に使用すると、高加湿条件にお ける燃料電池性能を維持したまま、低加湿条 件における燃料電池性能、特に出力性能を大 幅に向上させることが可能となる。

 本発明の燃料電池用電極触媒において、添 される酸化ニオブは、比較的酸化状態で存 することが好ましく、特にNb 2 O 5 及びNbOの中間的な酸化状態、又はNb 2 O 5 の酸化状態で存在することが好ましい。

 本発明の燃料電池用電極触媒において、 化ニオブは触媒成分の重量に対して0.005~0.5 量で添加されることが好ましい。

 本発明の酸化ニオブからなる金属酸化物 含む燃料電池用電極触媒は、前記の製造方 によって製造することが可能である。しか ながら、前記の好ましい特徴は該電極触媒 製造する際の工程によっても影響されうる それ故、前記燃料電池用電極触媒の製造方 に含まれる焼成工程の処理温度は300~900℃で あることが好ましい。また、処理時間は30~300 分間であることが好ましい。

3-3.酸化タンタル及び酸化ニオブ らなる金属酸化物
 本発明の燃料電池用電極触媒において、白 又は白金合金からなる触媒成分に酸化タン ル及び酸化ニオブからなる金属酸化物を添 することで、それぞれの金属酸化物を単独 加した場合に得られる効果、すなわち酸化 ンタルを単独添加した際に得られる質量活 の向上及び酸化ニオブを単独添加した際に られる低加湿性能の向上を同時に実現する とが可能である。

 酸化タンタル及び酸化ニオブからなる金 酸化物は、タンタル及びニオブの酸化物か なる結晶状態またはタンタル及びニオブを む複合酸化物の結晶状態として存在しうる

 本発明の燃料電池用電極触媒において、 加湿条件における効率性能の向上を図るた には、酸化タンタル及び酸化ニオブの総量 対して酸化ニオブが0~95mol%の範囲であるこ が好ましく、5~80mol%の範囲であることがより 好ましい。出力性能の向上を図るためには、 酸化ニオブが15~95mol%の範囲であることが好ま しく、30~80mol%の範囲であることがより好まし い。

 本発明の燃料電池用電極触媒において、 加湿条件における効率性能の向上を図るた には、酸化ニオブが10~100mol%の範囲であるこ とが好ましく、30~100mol%の範囲であることが り好ましい。特に好ましくは40mol%超の範囲 ある。出力性能の向上を図るためには、酸 ニオブが25~100mol%の範囲であることが好まし 、40~100mol%の範囲であることがより好ましい 。

 本発明の酸化タンタル及び酸化ニオブか なる金属酸化物を含む燃料電池用電極触媒 、前記の製造方法によって製造することが 能である。しかしながら、前記の好ましい 徴は該電極触媒を製造する際の工程によっ も影響されうる。それ故、前記燃料電池用 極触媒の製造方法に含まれる焼成工程の処 温度は300~900℃であることが好ましい。また 、処理時間は30~300分間であることが好ましい 。

4.燃料電池
 本発明の燃料電池用電極触媒は、前記のよ に燃料電池の性能向上に寄与する様々な特 を具備している。それ故、本発明の燃料電 用電極触媒を備えた燃料電池は、質量活性 び低加湿性能を向上させることが可能とな 。

 以上説明したように、本発明の金属酸化 を含む燃料電池用電極触媒は、燃料電池に 用すると白金使用量を削減しながらも高い 電効率を示す燃料電池を得ることが可能と る。特に酸化タンタル及び酸化ニオブから る金属酸化物を含む燃料電池用電極触媒は 酸化タンタルを単独添加した際に得られる 量活性の向上及び酸化ニオブを単独添加し 際に得られる低加湿性能の向上を同時に実 することができる。したがって、本発明の 化タンタル及び酸化ニオブからなる金属酸 物を含む燃料電池用電極触媒は、燃料電池 求められる異なる性能の向上を両立すると う、極めて有用な利点を有するものである

 又、本発明の触媒成分中の白金又は白金合 表面に吸着させたCOのIR吸収におけるピーク 面積が最大であるスペクトルの波数を2060cm -1 以上とする手法は、酸素還元型触媒の触媒設 計に広く役立つものである。同時に、改質器 と組み合わせて使う燃料電池のアノード触媒 におけるCO被毒の緩和に役立つ。これにより 燃料電池の実用化と普及に貢献することが 能となる。

[実施例]
 以下、実施例および比較例によって本発明 さらに詳細に説明する。

[Pt/金属酸化物触媒の調製]
 ZrO 2 ,CeO 2 ,Al 2 O 3 ,SiO 2 ,TiO 2 ,Nb 2 O 5 ,HfO 2 ,Ta 2 O 5 ,SnO 2 ,Fe 3 O 4 の各金属酸化物上にPt担持量が約1wt%になるよ うに、下記の手順により、Pt/金属酸化物触媒 を調製した。

1)20mLの純水をビーカー中に準備した。

2)Pt濃度4.4wt%のジニトロソアミン白金硝酸 溶液を0.45g(白金換算で0.02g)を秤量し、上記20 mLの純水中に添加した。

3)ZrO 2 ,CeO 2 ,Al 2 O 3 ,SiO 2 ,TiO 2 ,Nb 2 O 5 ,HfO 2 ,Ta 2 O 5 ,SnO 2 ,Fe 3 O 4 の各金属酸化物を2g秤量し、(2)の溶液中に添 した。

4)マグネチックスターラーにより溶液を攪 しながら、溶液を加熱し、蒸発乾固法によ 白金を各金属酸化物上に担持させた。

5)蒸発乾固後、乾燥機中で120℃で1昼夜乾燥 させた。

6)ビーカーよりPt担持金属酸化物を取り出 、めのう乳鉢を使って解砕した。

7)Pt担持金属酸化物をアルミナ皿上に移し 450℃で2時間焼成した。

[PtCo/C触媒の調製]
 下記の手順により、従来のPtCo/C触媒を調製 た。

1)カーボン(Ketejen)2.0gを純水0.2Lに分散させ スラリーを調製する。

2)スラリーを攪拌しながら、5wt%のヘキサヒ ドロキソ白金硝酸水溶液を33g(白金換算で1.6g) を滴下する。

3)上記混合液を攪拌する。

4)得られた混合液に、純水1Lを滴下し、混 した後、ろ過する。

5)ろ過後、得られたケーキを更に純水で洗 する。

6)洗浄後、得られたケーキを1Lの純水に分 させる。

7)硝酸コバルト1.5g(Co換算で0.16g)を純水40gに 溶解させる。

8)6)の混合液に7)の硝酸コバルト水溶液を滴 下する。

9)得られた混合液にpH9.0となるまで0.01Nのア ンモニア溶液を滴下する。

10)得られた混合液に純水1Lを滴下した後、 過する。

11)ろ過後、得られたケーキを更に純水を用 いて洗浄する。

12)洗浄後、得られたケーキを、真空下、100 ℃×24時間加熱して乾燥する。

13)乾燥させた粉末を、水素雰囲気下、700℃ ×2時間熱処理を行う。

14)更に、アルゴン雰囲気下、800℃×5時間熱 処理を行う。

[Pt/C触媒の調製]
 下記の手順により、従来のPt/C触媒を調製し た。

1)カーボン(Ketejen)2.0gを純水0.2Lに分散させ スラリーを調製する。

2)スラリーを攪拌しながら、5wt%のヘキサヒ ドロキソ白金硝酸水溶液を33g(白金換算で1.6g) を滴下する。

3)上記混合液を攪拌する。

4)得られた混合液に、純水1Lを滴下し、混 した後、ろ過する。

5)ろ過後、得られたケーキを更に純水で洗 する。

6)洗浄後、得られたケーキを1Lの純水に分 させる。

7)得られた混合液にpH9.0となるまで0.01Nのア ンモニア溶液を滴下する。

8)更に、上記混合液に3wt%の水素化ホウ素ナ トリウム水溶液を140mL滴下する。

9)上記混合液を十分に攪拌する。

10)得られた混合液をろ過する。

11)ろ過後、得られたケーキを更に純水を用 いて洗浄する。

12)洗浄後、得られたケーキを、80℃×48時間 加熱して乾燥する。

[CO吸着IR法]
 上記の触媒材料(SnO 2 を含む触媒材料を除く)について、下記の手 でCO吸着IR法を行った。

1)KBr希釈した試料約10mgで10mmφのペレットを 成形した。

2)サンプルをセルに固定後、真空下で400℃ 昇温し、1時間保持した。

3)真空を解除し、30分間H 2 ガスを流通させた。

4)H 2 からHeに切り替えて20分間保持した。

5)He気流中、室温に冷却してリファレンス 定した。

6)50℃に昇温して30分間COを吸着させた。

7)閉鎖系で室温まで冷却し、He気流中でCOを 脱気しながら1分、5分、15分、30分後のデータ を取得した。

8)7)のデータを5)のリファレンスを用いて演算 し、吸光度データを得た。
(ガス流通はすべて20mL/分であった)

 SnO 2 を含む触媒材料について、下記の手順でCO吸 IR法を行った。

1)KBr希釈した試料約10mgで10mmφのペレットを 成形した。

2)サンプルをセルに固定後、真空下で100℃ 昇温し、1時間保持した。

3)真空を解除し、100℃で20分間Heガスを流通 させた。

4)He気流中、室温に冷却してリファレンス 定した。

5)50℃に昇温して30分間COを吸着させた。

6)閉鎖系で室温まで冷却し、He気流中でCOを 脱気しながら1分、5分、15分、30分後のデータ を取得した。

7)6)のデータを4)のリファレンスを用いて演算 し、吸光度データを得た。
(ガス流通はすべて20mL/分であった)

 得られたCO吸着スペクトルを解析し、表1に それぞれの試料の吸着CO種の吸収波数、ピ ク高さ、及び吸収帯積分面積を示す。又、 1に、それぞれの触媒試料の吸着CO種の吸収 数を示す。なお、Pt/Fe 3 O 4 についてはCOピークが観察されなかった。

 表1及び図1の結果を考察する。縦軸の数 からわかることを述べる。COのIR吸収スペク ルの波数、吸収波長、C‐O結合力、Pt‐C結 力、Pt表面の電子密度には以下の関係が成り 立つ。波数が大きいということは吸収したIR 波長が短い、即ちC‐O結合力が強いことを 味する。C‐O結合力が強いということはPt‐C の結合力が相対的に弱いことを意味し、それ は即ちPt表面の電子密度が低いことを意味す 。

 カーボン担体上のPt又はPt合金は分布の半ば にありPtへの相互作用が中庸であることが示 される。上述のように、Pt表面の電子状態 低くすることがカソード触媒の開発方向で るので、燃料電池用電極触媒としてはCOピー ク位置が2060cm ‐1 以上にあることが好ましいことが分かる。同 時に、Pt-C結合が弱まることにより、Pt表面へ のCO吸着力が減少するため、改質器と組み合 せて使う燃料電池のアノード触媒におけるC O被毒が緩和されると期待される。

[Ta 2 O 5 /Pt比と吸着COの結合ピーク位置]
 上記実施例と同様に、Ta 2 O 5 /Pt比を当量比で0.1~1.0に変化させて、その触 材料の吸着COの吸収波数を調べた。図2に、Ta 2 O 5 /Pt比と吸着COの吸収波数との関係を示す。な 、図中、700℃、900℃は熱処理温度である。 2の結果より、Ptに対する当量比で0.1~1.0のTa 2 O 5 を添加した触媒Ta 2 O 5 /Pt/Cは、Pt表面にCOを吸着させ吸着したCOのIR 収スペクトルを測定するとピーク位置はす て2,060cm -1 以上となり、Ptの電子状態を好ましい方向に 質することができることが分かる。また、 媒材料の熱処理が有効なことが分かる。

[Nb 2 O 5 /Pt比と吸着COの結合ピーク位置]
 上記実施例と同様に、Nb 2 O 5 /Pt比を当量比で0.1~1.0に変化させて、その触 材料の吸着COの吸収波数を調べた。なお、図 中、700℃、900℃は熱処理温度である。図3に Pt/Nb 2 O 5 比と吸着COの吸収波数との関係を示す。図3の 結果より、Ptに対する当量比で0.1~1.0のNb 2 O 5 を添加した触媒Nb 2 O 5 /Pt/C触媒においては、Nb 2 O 5 担持後の熱処理温度を好適に選択することに よって、吸着したC-OのIR吸収スペクトル位置 すべて2,060cm -1 以上となり、Ptの電子状態を好ましい方向に 質できることが分かる。

[TaOx/Pt/C触媒]
(TaOx/Pt/C触媒の調製)
(比較例1)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理した後、窒素ガス中で700℃ 2時間保持して触媒粉末を得た。

(比較例2)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理した後、窒素ガス中で900℃ 2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例1)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とタンタル(塩化タンタル)0. 39gを純水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアン モニアを滴下し、pHを6としタンタル酸化物を 形成した。この分散液をろ過し、得られた粉 末を100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素 ス中で700℃、2時間保持して触媒粉末を得た 。

(実施例2)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とタンタル(塩化タンタル)0. 78gを純水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアン モニアを滴下し、pHを6としタンタル酸化物を 形成した。この分散液をろ過し、得られた粉 末を100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素 ス中で700℃、2時間保持して触媒粉末を得た 。

(実施例3)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とタンタル(塩化タンタル)1. 95gを純水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアン モニアを滴下し、pHを6としタンタル酸化物を 形成した。この分散液をろ過し、得られた粉 末を100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素 ス中で700℃、2時間保持して触媒粉末を得た 。

(実施例4)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とタンタル(塩化タンタル)3. 9gを純水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアン ニアを滴下し、pHを6としタンタル酸化物を 成した。この分散液をろ過し、得られた粉 を100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素 ス中で700℃、2時間保持して触媒粉末を得た

(実施例5)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とタンタル(塩化タンタル)0. 39gを純水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアン モニアを滴下し、pHを6としタンタル酸化物を 形成した。この分散液をろ過し、得られた粉 末を100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素 ス中で900℃、2時間保持して触媒粉末を得た 。

(実施例6)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とタンタル(塩化タンタル)0. 78gを純水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアン モニアを滴下し、pHを6としタンタル酸化物を 形成した。この分散液をろ過し、得られた粉 末を100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素 ス中で900℃、2時間保持して触媒粉末を得た 。

(実施例7)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とタンタル(塩化タンタル)1. 95gを純水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアン モニアを滴下し、pHを6としタンタル酸化物を 形成した。この分散液をろ過し、得られた粉 末を100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素 ス中で900℃、2時間保持して触媒粉末を得た 。

(実施例8)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とタンタル(塩化タンタル)3. 9gを純水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアン ニアを滴下し、pHを6としタンタル酸化物を 成した。この分散液をろ過し、得られた粉 を100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素 ス中で900℃、2時間保持して触媒粉末を得た

(触媒物性の評価)
 実施例1~8ならびに比較例1および2によって られた電極触媒について、担持した白金粒 の粒径を測定した。以下の実施例において 白金粒子の粒径測定は、それぞれの電極触 のXRDを測定し、得られたXRDプロファイルに いて、約40°に検出されるPt(111)に相当するピ ークの半値全幅からシェラーの公式を用いて 算出した。結果を図4に示す。

 図4に示すように、700℃で焼成工程を実施 した試料(比較例1及び実施例1~4)はTaOx添加に もないPt粒子の成長が抑制され、触媒活性向 上に有利な結果を得た。900℃で焼成工程を実 施した試料についても、0.5当量添加まで(実 例5~7)はPt粒子の顕著な成長は観測されなか た。

 透過型電子顕微鏡(TEM)により実施例1の試 を観察すると、粒径2~5nmのPt粒子が観測され たが、この結果は図4に示したXRDから求めた 径の結果によく対応している(図5)。ごく一 に図5Bのような部位が観察された。この部位 では、Pt粒子の表面をTaOxが覆っている。TaOx 添加量増加に伴い、図5Bに示すような形状の 部位が増加する傾向が認められた。

 実施例1~8ならびに比較例1および2によっ 得られた電極触媒について、CO吸着量を測定 した。以下の実施例において、CO吸着量の測 はCOパルス吸着法によって行った。結果を 6に示す。

 図6に示すように、700℃及び900℃のいずれ の条件で焼成工程を実施した場合においても 、TaOx添加量の増加とともに、CO吸着量の低下 が観測された。700℃で焼成工程を実施した場 合(比較例1及び実施例1~4)にはPt粒子の成長が 制されていたことを考慮すると(図4)、TaOxに よるカバリングまたはPt表面の改質が生じて ることが示唆される。これは前記TEM観察の 果からも同様に示唆される。すなわち、TaOx 添加量の増加とともに、Pt粒子の表面をTaOxが 覆っている形状の部位が増加し(図5B)、結果 してCO吸着量が減少すると考えられる。

 実施例1および比較例1によって得られた 極触媒について、X線光電子分光法(XPS)によ 表面の化学結合状態を評価した。結果を図7 び8に示す。

 図7に示すように、実施例1(TaOx添加触媒) は、比較例1に比べてPt表面の化学結合状態 うち比較的酸化状態が増加していた。これ 、TaOx添加により、Ptの電子状態が変化した めと考えられる。

 また、図8に示すように、添加したTaOxはTa 2 O 5 に近い酸化状態で存在していると推測される 。

(MEAによる燃料電池特性の評価)
 実施例1および2ならびに比較例1によって得 れた電極触媒について、MEA評価により質量 性を測定した。

 図9に示すように、TaOx添加により、Pt単位 質量あたりの活性が向上することを確認した 。実施例1はTa添加量がPtに対して0.1当量、実 例2はTa添加量がPtに対して0.2当量であるが 質量活性に有意な差は認められなかった。

 以上についてまとめると、Pt担持電極触 にTaOxを添加することにより、Pt粒子の成長 抑制し、かつCO吸着量を減少させることが可 能となる。また、燃料電池にTaOx添加したPt担 持電極触媒を用いることにより、Pt単位質量 たりの活性を向上させることが可能となる

[NbOx/Pt/C触媒]
(NbOx/Pt/C触媒の調製)
(実施例9)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.2gを 水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアンモニ を滴下し、pHを6としニオブ酸化物を形成し 。この分散液をろ過し、得られた粉末を100 で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス中 700℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例10)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.4gを 水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアンモニ を滴下し、pHを6としニオブ酸化物を形成し 。この分散液をろ過し、得られた粉末を100 で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス中 700℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例11)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)1gを純 水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアンモニア を滴下し、pHを6としニオブ酸化物を形成した 。この分散液をろ過し、得られた粉末を100℃ で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス中で7 00℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例12)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)2gを純 水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアンモニア を滴下し、pHを6としニオブ酸化物を形成した 。この分散液をろ過し、得られた粉末を100℃ で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス中で7 00℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例13)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.2gを 水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアンモニ を滴下し、pHを6としニオブ酸化物を形成し 。この分散液をろ過し、得られた粉末を100 で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス中 900℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例14)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.4gを 水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアンモニ を滴下し、pHを6としニオブル酸化物を形成 た。この分散液をろ過し、得られた粉末を1 00℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス で900℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例15)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)1gを純 水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアンモニア を滴下し、pHを6としニオブ酸化物を形成した 。この分散液をろ過し、得られた粉末を100℃ で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス中で9 00℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例16)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)2gを純 水0.5Lに加え分散させた。これに1Nアンモニア を滴下し、pHを6としニオブ酸化物を形成した 。この分散液をろ過し、得られた粉末を100℃ で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス中で9 00℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(触媒物性の評価)
 実施例9~16ならびに比較例1および2によって られた電極触媒について、前記と同様の方 により担持した白金粒子の粒径を測定した 結果を図10に示す。

 図10に示すように、700℃で焼成工程を実 した試料(比較例1及び実施例9~12)はNbOx添加に ともないPt粒子の成長が抑制され、触媒活性 上に有利な結果を得た。900℃で焼成工程を 施した試料についても、0.2当量添加まで(実 施例13および14)はPt粒子の顕著な成長は観測 れなかった。

 透過型電子顕微鏡(TEM)により実施例10の試 料を観察すると、粒径2~5nmのPt粒子が観測さ たが、この結果は図10に示したXRDから求めた 粒径の結果によく対応している(図11)。NbOxの 在位置をTEM像から判断することはできなか たが、エネルギー分散型X線分光法(EDX)分析 よりPtと同時に検出されることから、Pt表面 またはその近傍に存在すると推測される。

 実施例9~16ならびに比較例1および2によっ 得られた電極触媒について、前記と同様の 法によりCO吸着量を測定した。結果を図12に 示す。

 図12に示すように、700℃及び900℃のいず の条件で焼成工程を実施した場合において 、NbOx添加量の増加とともに、CO吸着量の低 が観測された。特に0.2当量以上のCO吸着量の 低下はTaOx添加の場合に比べて顕著であった( 6参照)。この点については以下の電気化学 特性の評価と合わせさらに詳細に説明する

 実施例10および比較例1によって得られた 極触媒について、X線光電子分光法(XPS)によ 表面の化学結合状態を評価した。結果を図1 3及び14に示す。

 図13に示すように、実施例10(NbOx添加触媒) では、比較例1に比べてPt表面の化学結合状態 のうち比較的酸化状態が増加していた。これ は、TaOx添加の場合と同様、NbOx添加により、P tの電子状態が変化したためと考えられる(図7 参照)。

 また、図14に示すように、添加したNbOxはNb 2 O 5 及びNbOの中間的な酸化状態で存在していると 推測される。

(RDEによる電気化学的特性の評価)
 回転ディスク電極(RDE)を介した測定により CO酸化開始電位(Eosp)、CO吸着量から求めた電 化学表面積(SA(CO))およびH吸着量から求めた 気化学表面積(ECSA)をそれぞれ求めた。結果 図15~17に示す。

 図15に示すように、NbOx添加に伴いCOスト ッピング時のCO酸化開始電位が低下する結果 となった。本実験は、電極表面にCOを吸着さ て電気化学的に酸化していく際の酸化開始 位をプロットしたものである。すなわち、 化開始電位の低下はCO吸着力の低下を示し いる。それ故この結果は、NbOx添加に伴いPt 面へのCO吸着力が弱まったことを示唆してい る。

 また、図16に示すように、NbOx添加に伴いC O吸着から求めた電気化学表面積も低下する 果となった。本実験は、電極表面に吸着し COの量から算出した電気化学的な比表面積を プロットしたものである。すなわち、CO吸着 ら求めた電気化学表面積の低下は実質的なC O吸着量の低下を示している。それ故この結 も図15と同様に、NbOx添加に伴いPt表面へのCO 着力が弱まったことを示唆している。

 これに対して、図17に示すように、H吸着 から求めた電気化学表面積はNbOx添加量を変 化させてもほぼ一定の値であった。したがっ て、図15~17の結果を勘案すると、NbOx添加はPt 面へのH吸着には影響を及ぼさないが、CO吸 を選択的に軽減する効果を奏すると推測さ る。これは、図12に示されているCO吸着量の 低下と高い相関を有する結果である。

 前記の効果をさらに詳しく検討するため 比較としてTaOx添加した試料(実施例1~3)につ ても、RDEによる電気化学特性を同様の試験 より評価した。結果を図18~20に示す。

 図18~20の結果を図15~17の結果とそれぞれ比 較すると、TaOx添加した場合(実施例1~3)には、 NbOx添加した場合(実施例9~11)に見られたCO吸着 に対する選択的な軽減効果という、有利な効 果を確認することはできなかった。むしろ、 図19及び20に示すように、TaOx添加量に対するC O吸着量から求めた電気化学表面積の変化とH 着量から求めた電気化学表面積の変化は、0 .2当量添加時に最大値を示すという同様の傾 であった。それ故、図12、及び15~17に示され たCO吸着の軽減効果は、NbOx添加に特有の効果 であると推測される。したがって、Pt担持電 触媒にNbOxを添加することにより、CO被毒を 択的に軽減することが可能であると推測さ る。

(MEAによる燃料電池特性の評価)
 実施例9及び10ならびに比較例1によって得ら れた電極触媒について、MEA評価により電圧性 能を測定した。加湿条件の調整は、温度設定 したバブラー内にガスを導入して水分吸収さ せることで行った。80℃に設定したバブラー 通過した場合、相対湿度100%に相当し、これ を「高加湿条件」とした。一方、相対湿度40% 程度を「低加湿条件」とした。

 出力電圧は、「効率点電圧(効率)」及び「 力点電圧(出力)」の2種類を測定したが、効 点電圧は0.2A/cm 2 における電圧を、出力点電圧は1.0A/cm 2 における電圧を測定した値である。

 図21に示すように、NbOx添加により、高加 性能を維持したまま、低加湿性能、特に出 性能を大幅に向上させる結果を得た。

 以上についてまとめると、Pt担持電極触 にNbOxを添加することにより、Pt粒子の成長 抑制し、かつCO被毒を選択的に軽減すること が可能となる。また、燃料電池にNbOx添加し Pt担持電極触媒を用いることにより、高加湿 性能を維持したまま、低加湿性能、特に出力 性能を大幅に向上させることが可能となる。

[Ta・NbOx/Pt/C触媒]
(Ta・NbOx/Pt/C触媒の調製)
(実施例17)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.06g、 タンタル(塩化タンタル)0.66gを純水0.5Lに加え 散させた。これに1Nアンモニアを滴下し、pH を6としニオブ酸化物、タンタル酸化物を形 した。この分散液をろ過し、得られた粉末 100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス 中で700℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例18)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.16g、 タンタル(塩化タンタル)0.47gを純水0.5Lに加え 散させた。これに1Nアンモニアを滴下し、pH を6としニオブ酸化物、タンタル酸化物を形 した。この分散液をろ過し、得られた粉末 100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス 中で700℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例19)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.32g、 タンタル(塩化タンタル)0.16gを純水0.5Lに加え 散させた。これに1Nアンモニアを滴下し、pH を6としニオブ酸化物、タンタル酸化物を形 した。この分散液をろ過し、得られた粉末 100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス 中で700℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例20)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.06g、 タンタル(塩化タンタル)0.66gを純水0.5Lに加え 散させた。これに1Nアンモニアを滴下し、pH を6としニオブ酸化物、タンタル酸化物を形 した。この分散液をろ過し、得られた粉末 100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス 中で900℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例21)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.16g、 タンタル(塩化タンタル)0.47gを純水0.5Lに加え 散させた。これに1Nアンモニアを滴下し、pH を6としニオブ酸化物、タンタル酸化物を形 した。この分散液をろ過し、得られた粉末 100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス 中で900℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(実施例22)
 市販カーボンであるKetjen EC(ケチェンブラ クインターナショナル製)5gと白金4.2gを純水0 .5Lに加え分散させた。これに0.1Nアンモニア 100mLを添加してpHを約10とし、水酸化物を形 させ、カーボン上に析出させた。この分散 をろ過し、得られた粉末を100℃で10時間真空 乾燥させた。次に水素ガス中で400℃、2時間 持して還元処理して触媒粉末を得た。

 上記触媒粉末とニオブ(塩化ニオブ)0.32g、 タンタル(塩化タンタル)0.16gを純水0.5Lに加え 散させた。これに1Nアンモニアを滴下し、pH を6としニオブ酸化物、タンタル酸化物を形 した。この分散液をろ過し、得られた粉末 100℃で10時間真空乾燥させた。次に窒素ガス 中で900℃、2時間保持して触媒粉末を得た。

(TaOx及びNbOxからなる金属酸化物添加触媒のCO 合ピーク位置)
 実施例18~20によって得られた電極触媒につ て、前記CO吸着IR法によってCO結合ピーク位 を測定した。なお、Nb組成が0mol%(すなわちTa 成が100mol%)である試料として実施例2(処理温 度700℃)を、Nb組成が100mol%(すなわちTa組成が0m ol%)である試料として実施例10(処理温度700℃) 、対照区として併せて評価に用いた。結果 図22に示す。

 図22に示すように、試験に供した実施例試 はいずれも2,060cm -1 以上のCO結合ピーク位置であった。それ故、T aOx及びNbOxからなる金属酸化物添加により、Pt の電子状態を好ましい方向に改質できること が明らかとなった。

(触媒物性の評価)
 実施例17~22によって得られた電極触媒につ て、前記と同様の方法により担持した白金 子の粒径を測定した。なお、Nb組成が0mol%(す なわちTa組成が100mol%)である試料として実施 2及び6(それぞれ処理温度700℃及び900℃)を、N b組成が100mol%(すなわちTa組成が0mol%)である試 として実施例10及び14(それぞれ処理温度700 及び900℃)を、対照区として併せて評価に用 た。結果を図23に示す。

 図23に示すように、700℃で焼成工程を実 した試料(実施例2、17~19及び10)及び900℃で焼 工程を実施した試料(実施例6、14及び20~22)の 間では、有意な組成依存的変化は確認されな かった。

 実施例17~22ならびに実施例2、6、10及び14 よって得られた電極触媒について、前記と 様の方法によりCO吸着量を測定した。結果を 図24に示す。

 図24に示すように、700℃で焼成工程を実 した試料のうち、40mol%以下のNb組成である試 料(実施例2、17及び18)ではCO吸着量に差は認め られなかったが、40mol%超のNb組成である試料( 実施例19及び10)ではNb組成の増加とともにCO吸 着量の低下が観測された。これに対して、900 ℃で焼成工程を実施した試料については、有 意な組成依存的変化は確認されなかった。

(MEAによる燃料電池特性の評価)
 実施例17~19、実施例2及び10ならびに比較例1 よって得られた電極触媒について、前記と 様のMEA評価により電圧性能を測定した。加 条件は、相対湿度100%を「高加湿条件」とし 、相対湿度40%程度を「低加湿条件」とした。 また、出力電圧は、0.2A/cm 2 における電圧を効率点電圧とし、1.0A/cm 2 における電圧を出力点電圧とした。図25に高 湿条件における電圧性能を、図26に低加湿 件における電圧性能を示す。

 図25に示すように、高加湿条件において 実施例の電極触媒と比較例1の電極触媒によ て作製したMEAの燃料電池特性を比較すると 効率点電圧については、95mol%未満のNb組成 範囲で純白金触媒(比較例1)を上回る効果を することが明らかとなった。また、TaOx単独( 実施例2)及びNbOx単独(実施例10)添加の試料と 較した場合、TaOx及びNbOxからなる金属酸化物 の添加(実施例17~19)はいずれもTaOx及びNbOxの単 独添加を上回る効果を奏し、TaOx及びNbOxから る金属酸化物添加は効率性能の向上に寄与 ることが明らかとなった。特に、15~70mol%のN b組成の範囲でTaOx及びNbOxからなる金属酸化物 を添加すると、高い効率点電圧を得ることが 可能である。

 一方、出力点電圧については、前記効率 能における効果ほどではないものの、15~95mo l%のNb組成の範囲で純白金触媒(比較例1)を上 る効果を奏することが明らかとなった。TaOx 独(実施例2)及びNbOx単独(実施例10)添加の試 と比較した場合には、前記効率性能と同様 TaOx及びNbOxからなる金属酸化物添加(実施例17 ~19)はいずれもTaOx単独及びNbOx単独の添加を上 回る効果を奏し、TaOx及びNbOxからなる金属酸 物添加は出力性能の向上についても寄与す ことが明らかとなった。

 図26に示すように、低加湿条件における 率性能については、10mol%超のNb組成の範囲で 純白金触媒(比較例1)を上回る効果を奏するこ とが明らかとなった。また、TaOx単独(実施例2 )及びNbOx単独(実施例10)添加の試料と比較した 場合、TaOx及びNbOxからなる金属酸化物添加(実 施例17~19)はいずれもTaOx単独添加を上回る効 を奏することが明らかとなった。特に、40mol %超のNb組成の範囲では、NbOx単独添加に匹敵 る効率性能を引き出すことが可能である。

 出力性能についても前記効率性能と同様 傾向を示した。すなわち、15mol%超のNb組成 範囲で純白金触媒(比較例1)を上回る効果を することが明らかとなった。また、Nb組成依 存的に出力点電圧が向上する結果を示したこ とから、配合するNb組成を高めるにしたがっ より高い出力性能を引き出すことが可能で る。

 図25及び26の結果を勘案すると、0~95mol%のN b組成の範囲でTaOx及びNbOxからなる金属酸化物 を添加することで、高加湿又は低加湿条件に おける効率又は出力性能を向上させることが 可能である。

 本発明の燃料電池用電極触媒は高活性であ 、高価な白金使用量の低減に役立つ。又、 発明の触媒成分中の白金又は白金合金表面 吸着させたCOのIR吸収におけるピーク面積が 最大であるスペクトルの波数を2060cm -1 以上とする手法は、酸素還元型触媒の触媒設 計に広く役立つものである。同時に、改質器 と組み合わせて使う燃料電池のアノード触媒 におけるCO被毒の緩和に役立つ。これにより 燃料電池の実用化と普及に貢献する。

 また、本発明の金属酸化物を含む燃料電 用電極触媒は、燃料電池の性能向上に寄与 ることが可能である。特にTaOx及びNbOxから る金属酸化物を含む燃料電池用電極触媒は Ta酸化物を単独添加した際に得られる質量活 性の向上及びNb酸化物を単独添加した際に得 れる低加湿性能の向上を同時に実現しうる したがって、本発明のTaOx及びNbOxからなる 属酸化物を含む燃料電池用電極触媒は、燃 電池に求められる異なる性能の向上を両立 るという、極めて有用な利点を有するもの ある。

 本明細書で引用した全ての刊行物、特許 よび特許出願をそのまま参考として本明細 にとり入れるものとする。




 
Previous Patent: FUEL CELL

Next Patent: METHOD FOR PRODUCING ADENINE COMPOUND