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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR SMOOTHING ELECTRODE, METHOD FOR PRODUCING CERAMIC SUBSTRATE AND CERAMIC SUBSTRATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113380
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method for smoothing the surface of an electrode formed on the surface of a base such as a ceramic substrate efficiently without imposing major damage on the base or the electrode. Especially, provided is a method for smoothing an electrode suitable for smoothing the surface of an electrode from which a constraining layer is removed by a no shrinkage method for firing not using a constraining layer. A base having an electrode formed on the surface is prepare, and the surface of the electrode is smoothed by vibrating a medium under such a state as the medium is touching the electrode formed on the surface of the base.

Inventors:
KAWAMURA AKIYOSHI (JP)
SATO TAKAKO (JP)
CHIKAGAWA OSAMU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053161
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
February 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MURATA MANUFACTURING CO (JP)
KAWAMURA AKIYOSHI (JP)
SATO TAKAKO (JP)
CHIKAGAWA OSAMU (JP)
International Classes:
H05K3/26; B24B31/06
Foreign References:
JP2007318173A2007-12-06
JPH04111769A1992-04-13
JP2000315667A2000-11-14
JP2007318098A2007-12-06
JPH10138116A1998-05-26
Attorney, Agent or Firm:
NISHIZAWA, HITOSHI (JP)
Hitoshi Nishizawa (JP)
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Claims:
 表面に電極が形成された基体を用意し、前記基体の前記電極と接するようにメディアを配した状態で、該メディアを振動させることにより前記電極の表面を平滑化することを特徴とする電極平滑化方法。
 前記基体を処理液に浸漬し、前記処理液に超音波を印加することにより、前記メディアを振動させることを特徴とする請求項1に記載の電極平滑化方法。
 前記メディアを敷き詰めたトレーに、前記メディアと前記電極とが接するように前記基体を載置した状態で、前記処理液に超音波を印加することを特徴とする請求項2に記載の電極平滑化方法。
 トレーに、前記電極が形成された面が上側に位置するような態様で、前記基体を載置し、さらに前記基体上に前記メディアを敷き詰めて、前記電極が前記メディアと接するような状態で超音波を印加することを特徴とする請求項2に記載の電極平滑化方法。
 前記処理液として、脱気水を用いることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の電極平滑化方法。
 前記メディアの比重が、前記処理液の比重よりも大きいことを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の電極平滑化方法。
 前記メディアの硬度が、前記基体に形成された前記電極の硬度よりも高いことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の電極平滑化方法。
 前記メディアの形状が、球状であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の電極平滑化方法。
 前記メディアがジルコニアからなるものであることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の電極平滑化方法。
 前記電極の端縁部の表面粗さと中央部の表面粗さを異ならせることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の電極平滑化方法。
 前記基体がセラミック基板であり、かつ前記電極が焼結金属よりなる電極であり、前記電極の表面を、請求項1~10のいずれかに記載の方法により平滑化する工程を備えていることを特徴とするセラミック基板の製造方法。
 表面が平滑化された前記電極上にめっき層を形成する工程を備えていることを特徴とする請求項11記載のセラミック基板の製造方法。
 請求項11または12に記載のセラミック基板の製造方法により製造され、表面に平滑化処理が施された電極を備えていることを特徴とするセラミック基板。
Description:
電極平滑化方法、セラミック基 の製造方法およびセラミック基板

 本発明は、例えばセラミック基板などの 体の表面に形成される電極を平滑化する方 、該方法を適用したセラミック基板の製造 法および、該製造方法により製造されるセ ミック基板に関する。

 例えば、セラミック基板の表面に形成され 焼結金属よりなる電極は、一般に表面粗さ 大きく、必ずしも十分な平滑性を備えてい とはいえない場合がある。特に、焼成工程 おいて、未焼成のセラミック基板の主面に 該セラミック基板の焼成温度では実質的に 結しない難焼結性材料を主たる成分とする 束層を配設して、セラミック基板が平面方 に収縮しないように焼成する、いわゆる無 縮工法を適用して作製したセラミック基板 場合には、拘束層を除去する際にその表面 形成された電極に凹凸が形成され、電極の 滑性が不十分になりやすい。
 また、スクリーン印刷などで形成した電極 面も、メッシュ痕などの影響により表面粗 が大きくなりやすい。
 そして、セラミック基板の表面に形成され 電極は、例えば、回路部品の実装ランドや の基板との接合部として用いられるが、電 の表面粗さが大きい場合、めっき性やはん 濡れ性などの特性が不十分になりやすいと う問題がある。

 例えば、セラミック基板の表面に形成さ た電極にNiめっきを行う場合、Niめっき粒子 は等方的に成長する。そして、下地である電 極に凹凸が存在すると、凹部に形成されたNi っき粒子を徐々に覆うようにNiめっき粒子 2次粒子が成長を繰り返し、凹凸はある程度 消されてゆくが、ある高さに到達するのに する時間が位置によって異なるため、2次粒 子が成長するにつれて粒界が大きくなる。そ の結果、2次粒子界面に不純物の巨視的な網 状ネットワークが形成され、置換めっきの これが溶出して、局部的に激しく腐食する そして、これにより電極の黒化現象が起こ 、はんだ接合時の接触面積の低下、腐食部 への水分トラップによるはんだ爆ぜなどの 具合を引き起こすという問題が生じる場合 ある。

 また、電極にワイヤボンディングを行う 合に、電極の表面に凹凸があるとワイヤプ 強度が低下する。なお、電極上にNiめっき Auめっきなどを施す場合、成長するNiめっき 、Auめっき膜は下地の電極の凹凸、粒界を レースするため、Niめっき膜、Auめっき膜の 面にも凹凸が形成されることになる。

 また、電極表面の凹凸を、めっき膜を厚 形成することにより解消しようとすると、 っき浴浸漬時間が長くなるため、基板を構 する材料の溶出などにより、基板がダメー を受け、強度低下を招くという問題点があ 。

 そこで、このような問題点を認識して、拘 層除去後の外部電極の表面粗さを0.1~6μmと ることにより、めっき性やはんだ濡れ性を 保できるようにする方法が提案されている( 許文献1参照)。
 そして、上記特許文献1によれば、拘束層除 去後の外部電極の表面粗さを0.1~6μmとするこ により、良好なめっき性やはんだ濡れ性を 保することができるとされている。

 しかしながら、特許文献1には、拘束層除去 後において、外部電極の表面粗さを確実に調 整、制御するための方策は具体的に示されて いないのが実情である。

特開2007-318173号公報

 本発明は、セラミック基板などの基体の 面に形成された電極の表面を、基体や電極 大きなダメージを与えることなく、効率よ 確実に平滑化することが可能で、特に拘束 を用いた無収縮工法により焼成を行い、拘 層を除去した後の電極表面を平滑化するの 好適な電極平滑化方法、該方法を適用した 面が平滑な電極を備えたセラミック基板の 造方法および、該製造方法により製造する とが可能な、表面が平滑な電極を備えたセ ミック基板を提供することを目的とする。

 上記課題を解決するために、本発明の電 平滑化方法は、表面に電極が形成された基 を用意し、前記基体の前記電極と接するよ にメディアを配した状態で、該メディアを 動させることにより前記電極の表面を平滑 することを特徴としている。

 本発明においては、前記基体を処理液に 漬し、前記処理液に超音波を印加すること より、前記メディアを振動させることが望 しい。

 さらに、前記メディアを敷き詰めたトレ に、前記メディアと前記電極とが接するよ に前記基体を載置した状態で、前記処理液 超音波を印加することが望ましい。

 また、トレーに、前記電極が形成された が上側に位置するような態様で、前記基体 載置し、さらに前記基体上に前記メディア 敷き詰めて、前記電極が前記メディアと接 るような状態で超音波を印加することも可 である。

 さらに、前記処理液として、脱気水を用 ることが望ましく、また、前記メディアの 重が、前記処理液の比重よりも大きいこと 望ましい。

 さらに、前記メディアの硬度が、前記基 に形成された前記電極の硬度よりも高いこ が望ましく、また、前記メディアの形状が 球状であることが望ましい。

 さらに、前記メディアがジルコニアから るものであることが望ましい。

 また、本発明の電極平滑化方法は、前記電 の端縁部の表面粗さと中央部の表面粗さを ならせるようにしたことを特徴としている
 なお、電極の端縁部と中央部とで表面粗さ 異なるようにする方法としては、例えば、 面粗さを粗くしたい領域にマスクを施して メディアの衝突による平滑化処理が進行し いようにする方法、平滑化後に電極表面の 望の領域をウエットブラストなどの方法に り粗面化する方法、メディアの大きさと電 の厚みとの関係を調整して電極の端縁部に ディアが衝突しにくくする方法、メディア 衝突させる方向を調節する方法などが例示 れる。

 また、本発明のセラミック基板の製造方 は、焼結金属よりなる電極の表面を、上記 発明の電極平滑化方法を用いて平滑化する 程を備えていることを特徴としている。

 また、本発明のセラミック基板の製造方 は、表面が平滑化された前記電極上にめっ 層を形成する工程を備えていることを特徴 している。

 また、本発明のセラミック基板は、上記 発明のセラミック基板の製造方法により製 され、表面に平滑化処理が施された電極を えていることを特徴としている。

 本発明の電極平滑化方法は、基体の電極と するようにメディアを配した状態で、該メ ィアを振動させて電極の表面を平滑化する うにしているので、振動するメディアによ 、電極の表面を効率よく平滑にすることが きる。
 なお、本発明においては、振動によってメ ィアが衝突する部分において電極が平滑化 れてゆくことになるが、メディアの移動速 は比較的遅く、メディアの振動により生じ エネルギーは、例えばサンドブラスト法に る場合のように、電極を削り取ってしまう どの大きさのエネルギーではないため、点 触のような狭い範囲で接触した部分におい 、電極の突出した部分のみが平坦化されて くことになる。その結果、電極および電極 その表面に形成されている基体にダメージ 与えずに、電極の表面を鏡面研磨を施した うな状態にまで平滑化することが可能にな 。

 また、電極が平滑化されることにより、 えば、その表面にNiめっき膜を形成する場 にも、2次粒子を小さく抑制することができ ため、2次粒子の界面に不純物の巨視的な網 目状ネットワークが形成されることを防止し て、先行技術では問題となっていたはんだ爆 ぜの問題や、ワイヤボンディングを行う際の 接合強度低下の問題を、軽減、解消すること が可能になる。

 なお、本発明において、基体の構成材料や 状、形状などに特別の制約はなく、基体が ラミック基板のような板状部材である場合 、チップ型電子部品のような直方体状の構 体である場合など、種々の基体の表面に形 された電極の表面を平滑化する場合に広く 発明を適用することが可能である。
 また、本発明の電極平滑化方法によれば、 体の種類や性状によっては、基体の表面の 滑化を併せて図ることが可能になる場合が る。

 また、本発明において、「電極に接する うにメディアを配した状態で」とは、例え 、メディアが電極上に載置されており、振 することにより瞬間的に電極上から浮き上 るが、次の瞬間には沈降して再び電極上に っているような状態や、基体の電極が配置 れた面が下面側となるような姿勢で基体が ディア上に載置され、メディアが振動する とにより、瞬間的には、電極とメディアと 接していない状態となることがあるとして 、次の瞬間にはまた電極がメディアに接す ことになるような状態などを意味する広い 念である。

 また、基体を処理液に浸漬し、処理液に 音波を印加することにより、メディアを振 させるようにした場合、超音波を利用して メディアを効率よく振動させ、かつ、メデ アの振動状態を精度よく制御できるように り、電極をさらに効率よく平滑化すること 可能になり、本発明をより実効あらしめる とができる。

 さらに、メディアを敷き詰めたトレーに、 ディアと電極とが接するように基体を載置 た状態で、処理液に超音波を印加するよう した場合、電極とメディアを密に接触させ がら、メディアを振動させて、電極の表面 効率よく平滑化することが可能になる。
 すなわち、メディアが振動するため、微視 にみるとメディアと電極が接していない状 になるタイミングはあるが、ほぼ連続的に ディアが電極に接した状態を保つことが可 になり、電極の表面を効率よく平滑化する とが可能になる。
 また、トレーに電極が形成された面が上側 位置するような態様で、基体を載置し、基 上にメディアを敷き詰めて、電極がメディ と接するような状態で超音波を印加するよ にした場合にも、ほぼ同様の効果を得るこ ができる。

 さらに、処理液として、脱気水を用いるこ により、超音波の音圧が高まり、メディア 振動を大きくして、電極の表面をさらに効 よく平滑化することが可能になる。
 また、メディアとして、処理液よりも比重 大きいものを用いることにより、
メディアが処理液中に浮遊することがなく、 メディアを電極上に確実に位置させることが 可能になるため、電極の表面を効率よく平滑 化することが可能になる。
  

 また、メディアとして、硬度が、電極よ も高いものを用いることにより、電極の表 を効率よく平滑化することが可能になる。

 また、メディアが球状のものである場合 電極上で、回転、移動しやすく、電極や基 にダメージを与えることなく、電極の表面 効率よく平滑化することが可能になる。

 また、メディアとして、ジルコニア製のも を用いた場合、ジルコニアは比重が約5.8と 通常の処理液に用いられる液体よりも大き 、また、硬度もモース硬度で8.5と高いため 電極を効率よく平滑化することができる。
 また、基体との硬度の関係によっては、基 表面の平滑化も図ることができる場合があ 。

 また、本発明のセラミック基板の製造方 は、セラミック基板と同時焼成することに り形成された焼結金属よりなる電極の表面 、上記本発明の電極平滑化方法を用いて平 化する工程を備えているので、表面の平滑 に優れた電極を備えたセラミック基板を効 よく製造することができる。

 また、上記本発明の方法で製造されるセ ミック基板は、電極の表面平滑性に優れて るため、その表面にめっき層を形成する場 、緻密なめっき層を形成することが可能に るため、めっき層に凹凸が形成されにくく 二次粒子の大きな粒界が形成されにくくな とともに、二次粒子界面に偏析する不純物 網目状ネットワークが形成されることを防 して、はんだ爆ぜの問題や、電極にワイヤ ンディングを施す場合の強度低下の問題を 減、解消することが可能になる。

 また、電極表面が平滑化されているため、 とえば、電極表面にNiめっき膜を形成する 合に、Niめっき膜を薄くしても電極表面が平 滑化されているため、従来に比べNiめっき膜 薄くすることができる。
 また、電極表面が平滑化されることによりN iめっき膜を形成する場合に発生していた、2 粒子界面に偏析する不純物の巨視的な網目 ネットワークは形成されず、先行技術で問 となっていたはんだ爆ぜの問題や、電極に イヤボンディングを施す場合の強度低下の 題を軽減、解消することが可能になる。

 また、本発明のセラミック基板は、上記 発明のセラミック基板の製造方法により製 され、表面に平滑化処理が施された電極を えたものであることから、はんだ爆ぜの問 や、電極にワイヤボンディングを施す場合 強度低下の問題のない信頼性の高いセラミ ク基板を提供することが可能になる。

(a)は本発明の実施例1において作製した 、基材層(未焼成のセラミック基板)の上下両 に、拘束層が配設された構造を有する未焼 積層体を示す図、(b)は(a)の未焼成積層体を 成することにより得た焼成積層体を示す図 ある。 本発明の実施例1において、図1の未焼 積層体を焼成することにより得られた焼成 層体から拘束層を除去する方法を説明する である。 本発明の実施例の方法により平滑化処 を行った後、その表面にめっき処理を施し 電極の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)により 影した像を示す図である。 比較例の方法で作製した試料の電極に 実施例の場合と同様にめっき処理を施した の電極の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)によ 撮影した像を示す図である。 本発明を適用することにより製造する とが可能な、一般的な構造を有するセラミ ク多層基板の一例を示す図である。 本発明の他の実施例(実施例5)にかかる ラミック基板の要部構成を示す図である。

符号の説明

 1         基材層用セラミックグリーン シート
 1a        電極を備えた基材層用セラミ クグリーンシート
 2(2a,2b)  拘束層用セラミックグリーンシー
 10        パッド電極
 11        未焼成積層体
 12        メディア(ジルコニアボール)
 13        トレー
 14        処理液
 15        超音波洗浄槽
 16        超音波発振子
 21        焼成積層体
 31        絶縁性セラミック層
 32        内部導体
 33        積層体
 34        表面導体
 35        ビアホール導体
 A         基材層(未焼成のセラミック 板)
 A F          焼結基材層
 B         セラミック多層基板
 41        セラミック基板本体
 42a,42b   表面電極
 42a 1 ,42b 1   表面電極の中央部
 42a 2 ,42b 2   表面電極の端縁部
 43        ICチップ
 44        ボンディングワイヤ
 45        封止樹脂

 以下、本発明の実施例を示して、本発明 特徴とするところを詳しく説明する。

 この実施例1では、基体がセラミック基板 であり、かつ電極がセラミック基板と同時焼 成することによりその表面に形成された焼結 金属よりなる電極であり、電極の表面を、本 発明の実施例にかかる方法により平滑化する 工程を備えたセラミック基板の製造方法を例 にとって説明する。

 (1)まず、焼成後にセラミック基板の主要部 構成することになる基材層を以下の方法で 製した。
 セラミック粉末としてアルミナ粉末を用意 るとともに、ガラス粉末として、SiO 2 :59重量%、B 2 O 3 :10重量%、CaO:25重量%、Al 2 O 3 :6重量%の割合で含有する組成のホウケイ酸ガ ラス粉末を用意した。

 そして、上述のアルミナ粉末とガラス粉 を、例えば、重量比で40:60の割合で混合し この混合粉末にバインダ、分散剤、可塑剤 よび有機溶剤などを各々適量添加し、混合 ることにより、セラミックスラリーを作製 た。

 次いで、このセラミックスラリーをドクタ ブレード法などの方法によってシート状に 形し、基材層用グリーンシートを作製した
 そして、複数の基材層用グリーンシートを 層することにより形成される基材層Aの上面 を形成する基材層用グリーンシートには、特 性を評価するために、4mm□のパッド電極10(図 1(a),(b))が形成された基材層用セラミックグリ ーンシートを用意した。なお、パッド電極10 Ag電極ペーストをスクリーン印刷すること より形成した。

 (2)また、拘束層となるセラミックグリーン ート(拘束層用セラミックグリーンシート) 以下の手順で作製した。
 まず、上記基材層用セラミックグリーンシ トの焼成温度では実質的に焼結しないセラ ック粉末、この実施例1では、平均粒径1.0μm のAl 2 O 3 粉末を有機バインダ、有機溶剤、可塑剤など からなる有機ピヒクル中に分散させてスラリ ーを調製した。

 そして、得られたスラリーをシート状に成 して、厚み300μmの拘束層用セラミックグリ ンシートを作製した。
 この拘束層用セラミックグリーンシートの 結温度は、1400~1600℃であり、基材層用セラ ックグリーンシートの焼結温度では実質的 焼結しないものである。

 (3)次に、図1(a)に示すように、拘束層用セ ラミックグリーンシート2(2a)、複数の基材層 セラミックグリーンシート1、拘束層用セラ ミックグリーンシート2(2b)の順序に積層した 、静水圧プレスなどの方法で、例えば、5~20 0MPaの圧力でプレスして圧着することにより 基材層(未焼成のセラミック基板)Aの上下両 に、拘束層2(2a,2b)が配設された構造を有する 未焼成積層体11を作製した(図1(a)参照)。

 この実施例1では、基材層(未焼成のセラ ック基板)Aの厚みが300μmとなるように、複数 の基材層用セラミックグリーンシート1を積 した。なお、基材層Aの上面を構成する基材 用セラミックグリーンシート1としては、上 述のように、0.4mm□のパッド電極(Ag電極)10が 成された基材層用セラミックグリーンシー 1(1a)を用いた。

 また、基材層(未焼成のセラミック基板)A 上下両側の拘束層2(2a,2b)としては、厚みが30 0μmの拘束層用セラミックグリーンシートを れぞれ1枚積層し、厚みが約300μmの拘束層2(2a ,2b)を形成した。

 なお、この実施例1では複数の基材層用セラ ミックグリーンシート1を積層して、複数層 造の基材層Aを作製するようにしているが、 材層用セラミックグリーンシート1の枚数を 一枚として、単層構造の基材層を作製し、単 板型のセラミック基板を製造することも可能 である。
 また、この実施例1では基材層Aの上下両側 拘束層2を配設するようにしているが、拘束 2は基材層Aの一方主面にのみ配設するよう 構成することも可能である。
 また、この実施例1では、拘束層2を、一枚 拘束層用セラミックグリーンシートから形 するようにしているが、拘束層用セラミッ グリーンシートを複数枚積層することによ 形成してもよい。

 (4)次に、この未焼成積層体Aを、大気中で、 低温の脱脂温度(例えば、400℃程度の温度)で 処理を行いバインダなどの有機物を除去し 。
 その後、基材層は焼結するが、拘束層を構 するセラミック粉末は焼結しない条件で900 に昇温して焼成した。これにより、図1(b)に 示すように、焼結基材層A F の両主面側に、焼結していない拘束層2(2a,2b) 備えた焼成積層体21を得た。

 (5)そして、上述のようにして得た焼成積層 21から、以下に説明する方法で拘束層2(2a,2b) を除去するとともに、電極の表面を平滑にす る電極平滑化処理を行った。
 まず、図2に示すように、球状で直径が2mmの ジルコニア(ZrO 2 )製のメディア(以下、ジルコニアボールとも う)12をステンレス製のトレー13上に敷き詰 、その上に、焼結基材層A F (図1(b))の両主面側に焼結していない拘束層2( 1(b))を備えた焼成積層体21を載置する。さら に、焼成積層体21上に、メディアとして、ジ コニアボール12を一層あるいは二層程度に るように載置する(図2では、ジルコニアボー ル12を一層となるように載置した状態を示し いる)。なお、この実施例1では、焼結基材 A F が、表面に電極が形成された、本願発明にお ける基体となる。

 それから、トレー13ごと、全体(ジルコニア ール12、トレー13、焼成積層体21)を、処理液 14を満たした超音波洗浄槽(出力600W、周波数40 KHz)15に入れ、超音波発振子16から超音波を印 してジルコニアボール12を30分間振動させる ことにより、拘束層除去と、電極平滑化処理 を行った。
 なお、処理液14としては、超音波を印加し 際の音圧を高めるために、脱気処理を施し 水を使用した。

 また、比較のため、実施例1と同様の方法 で作製した、焼結基材層の両主面側に焼結し ていない拘束層を備えた焼成積層体から、ウ エットブラスト法により、#500のアルミナ砥 15%濃度のスラリーを0.15MPaの圧力で吹き付け 拘束層を除去することにより、表面に電極 露出した焼結基材層(セラミック基板)を得 。

 そして、実施例1および比較例の方法により 拘束層を除去して得た焼結基材層(セラミッ 基板)を洗浄した後、表面のパッド電極(Ag電 )の表面にNiめっきを施して、厚さ5μmのNiめ き膜をパッド電極上に形成した。
 それから、このNiめっき膜上に、Pdめっきを 施して、Niめっき膜上に厚さ0.2μmのPdめっき を形成し、さらに、その上にAuめっきを施し て、Pdめっき膜上に、厚さ0.1μmのAuめっき膜 形成し、Ag電極の上に三層構造のめっき膜を 備えた電極を形成した。

[特性の評価]
 それから、実施例1の方法および比較例の方 法により得た試料(セラミック基板)について 電極(パッド電極)の表面粗さRaおよび電極の ワイヤプル強度(W/Bプル強度)を測定した。そ 結果を表1に示す。

 なお、電極の表面粗さRaおよびワイヤプル 度は、それぞれ以下に説明する方法で測定 た。
 (1)表面粗さRa
 レーザー顕微鏡を用いてパッド電極の線粗 を測定することにより表面粗さRaを求めた
 (2)ワイヤプル強度
 直径20μm、長さ800μmのAuワイヤをパッド電極 にワイヤ接合し、ワイヤプル試験機にてワイ ヤを引張り、ワイヤが切断、あるいは接合部 およびその近傍が破断あるいは剥離したとき の引張り力をワイヤプル強度とした。

 表1に示すように、比較例の試料の場合、 電極の表面粗さRaは、0.60μmと大きいが、実施 例の試料の場合、電極の表面粗さRaは、0.15μm と小さく、平滑性に優れていることが確認さ れた。

 また、ワイヤプル強度についてみると、 較例の試料の場合、ワイヤプル強度は6.45gf あるのに対して、実施例の試料のワイヤプ 強度は8.05gfと大きく、ワイヤボンディング 行う際の接合強度低下の問題が解消される とが確認された。

 上記結果から、焼結基材層と未焼結の拘 層を備えた焼成積層体を作製した後、拘束 に接するようにメディアを配した状態で超 波を印加してメディアを振動させることに り、拘束層を焼結基材層から除去するとと に、電極平滑化処理を行うようにした実施 1の方法によれば、焼結基材層(基体)の表面 形成された電極を効率よく平滑化できるこ が確認された。なお、電極の表面が平滑化 れているので、その表面にNiめっき膜を形 する場合にも、2次粒子界面に不純物の巨視 な網目状ネットワークが形成されることを 止して、先行技術では問題となっていたは だ爆ぜの問題も解消されることが確認され いる。

 なお、図3にこの実施例1の方法により平 化処理を行い、その表面にNiめっき、Pdめっ 、およびAuめっきを順次行って表面にNiめっ き膜、Pdめっき膜、Auめっき膜を順次形成し 後の電極の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)によ り撮影した像を示す。

 また、図4に上記比較例の方法で作製した 試料の電極に、同様にめっき処理を施してめ っき膜を形成した後の電極の表面をSEM(走査 電子顕微鏡)により撮影した像を示す。

 図3および図4より、比較例の試料の場合 表面に凹凸が多く認められ、めっき膜の二 粒子界面が巨視的に網目状になっているこ がわかる。これに対し、実施例の試料の場 、平滑度が高く、粒界も認められにくくな ていることがわかる。

 なお、実施例1と比較例とを対比すると、 上記比較例の、ウエットブラスト法が、砥粒 で電極の表面を削り取る工法であるのに対し 、実施例1の方法は、メディアによって電極 の拘束層粒子を擦り取った後、振動によっ メディアが衝突する部分において電極を圧 して、表面を平らにする工法であることか 、実施例1の方法の場合、電極の表面粗さを さくすることができる。そして、電極の表 粗さが小さくなるとワイヤプル強度が高く ることは一般的にも知られているところで るが、この実施例1の場合にも、その効果が 上記の表1の結果に表れていることがわかる なお、電極表面の平滑度が高いため、ワイ ボンダーのキャピラリと電極表面間の角度 垂直に近く保つことができることも、ワイ プル強度の向上に寄与しているものと考え れる。

 また、上記実施例1の方法の場合、振動に よってメディアが衝突する部分において電極 が平滑化されてゆくことになるが、メディア が電極に与えるエネルギーは、電極の突出し た部分を圧延する程度の大きさしかないため 、電極自体はほとんど削られることはなく、 平滑化される。これにより、めっき膜を形成 した後においても、表面粗さ(Ra)が0.15μm程度 プリント基板の銅箔電極並みの平滑度を有 る電極を得ることが可能になる。

 なお、上記実施例では、拘束層の除去と 電極の平滑化処理を、連続した一連の工程 して実施した場合を例にとって説明したが 拘束層を除去した後に、拘束層の除去工程 は別の独立した工程として、電極平滑化処 を行うように構成することも可能である。

 なお、上記実施例1の方法を、一般的な構 造を有するセラミック基板(セラミック多層 板)、すなわち、例えば図5に示すように、積 層された複数の絶縁性セラミック層31の間に 設された内部導体32と、積層体33の表面に形 成された表面導体34を備え、内部導体32どう 、あるいは、内部導体32と表面導体34とがビ ホール導体35により接続された構造を有す セラミック多層基板Bを製造する場合に適用 た場合にも、上記実施例の場合に準じる作 効果が得られ、表面導体34の平滑性に優れ セラミック多層基板が得られることが確認 れている。

 また、メディアの粒径が電極平滑化に与え 影響を調べるため、メディアとして、球状 直径が1mmのジルコニア(ZrO 2 )製のメディア(ジルコニアボール)と、球状で 直径が3mmのジルコニアボールを用い、その他 は上記実施例1の場合(すなわち、球状で直径 2mmのジルコニアボールを使用)と同様の方法 で、焼成積層体から拘束層を除去するととも に、電極の平滑化処理を行う工程を経てセラ ミック基板を製造した。

 その結果、直径が1mmのジルコニアボールを ディアとして使用した場合には、電極の表 を十分に平滑化することができないことが 認された。また、拘束層の除去も不十分に る傾向が認められた。
 これは、直径が1mmのジルコニアボールを用 た場合、質量が小さすぎて、超音波を印加 てメディアを振動させてもそのエネルギー 小さく、拘束層を十分に除去することがで ず、電極の表面を十分に平滑化することも きなかったものと考えられる。

 なお、直径が1mmのジルコニアボールを用 た場合に、電極の表面を十分に平滑化する とができなくなるのは、エネルギーが小さ 、メディアが衝突する部分において電極を 延して、表面を平らにする効果が小さくな ことによるものと考えられる。

 また、直径が1mmのジルコニアボールを用い 場合に、拘束層の除去が不十分になるのは 焼結基材層と拘束層との間に形成される反 層を破壊するのに十分なエネルギーを与え ことができないことが理由の一つであると えられる。
 なお、大きなエネルギーを与えるべく、超 波の出力を上げた場合(すなわち、音圧を上 げた場合)、メディアの質量が小さすぎて、 レーの外に飛び出してしまい、所望の効果 得ることはできなかった。

 また、直径が3mmのジルコニアボールをメデ アとして使用した場合には、電極表面に平 化できていない領域がムラになって点在し いることが確認された。また、拘束層の除 も不十分になることが確認された。
 これは、直径が3mmのジルコニアボールを用 た場合、質量が大きく、十分なエネルギー 与えることはできるが、メディアの曲率が きすぎて、接触点の間隔が大きくなってし い、効率よく電極表面の平滑化および拘束 の除去を行うことができなかったものと考 られる。
 なお、曲率の大きい直径3mmのメディアを用 た場合にも、時間をかければ、電極表面の 滑度を向上させることができることは可能 あるが、生産性が低下するためあまり好ま くない。

 したがって、上記実施例1で説明したような 条件下では、ジルコニアボールとして、球状 で、直径が1mmを超え、かつ、3mm未満であるよ うなジルコニアボールを用いることが好まし いということができる。
 ただし、メディアの直径の好ましい範囲は 拘束層の厚みや、拘束層の構成材料、処理 の比重などに影響を受けることから、メデ アの直径の好ましい範囲は、必ずしも上記 囲に限られるものではない。

 実施例1の基材層(未焼成のセラミック基板) 同じ基材層を、拘束層を使用せず、実施例1 の場合と同一の条件で焼成し、セラミック基 板を得た。
 このセラミック基板について、実施例1と同 じメディア(直径が2μmのジルコニアボール)を 用いて、実施例1の場合と同じ条件で平滑化 理を行った。
 その結果、実施例1の場合と同様に、電極の 表面粗さRaが、0.15μmと平滑性に優れた電極を 有するセラミック基板を得ることができた。

 アルミナを主たる成分とするセラミックグ ーンシートを用いて焼成基板を作製し、こ に銅電極ペーストを印刷し、還元雰囲気中1 000℃で焼成(ポストファイヤ)することにより 面に銅電極を有するセラミック基板を作製 た。
 この銅電極の表面粗さ(Ra)は0.5μmであったが 、実施例1と同じメディア(直径が2μmのジルコ ニアボール)を用いて、実施例1の場合と同じ 件で平滑化処理を行ったところ、表面粗さR aが0.18μmに改善された。

 基板材料としてアルミナを主たる成分と るセラミックグリーンシート、電極(配線) 料としてタングステンペーストを用い、タ グステンペーストを上記セラミックグリー シートにスクリーン印刷することにより、 極(配線)を形成した。それから、このセラミ ックグリーンシートを積層、圧着し、焼成す ることにより、表面に電極を備えたアルミナ 基板を得た。この電極の表面粗さ(Ra)は0.55μm あったが、実施例1と同様のメディア(直径 2μmのジルコニアボール)を用いて、実施例1 場合と同じ条件で平滑化処理を行ったとこ 、表面粗さRaが0.16μmに改善された。

 図6は、本発明の他の実施例(実施例5)にかか るセラミック基板の要部構成を示す図である 。このセラミック基板Bは、実施例1において 5を参照しつつ説明したセラミック基板の製 造方法と同様の方法で作製されたものであり 、セラミック基板本体41に配設された表面電 42a上にICチップ43が搭載され、ICチップ43は ンディングワイヤ44により表面電極42bに電気 的に接続された構造を有している。さらに、 セラミック基板本体41の上面側は、封止樹脂4 5により封止されている。
 そして、この実施例5のセラミック基板にお いては、表面電極42aのICチップ43が実装され 中央部42a 1 、および、表面電極42bのワイヤボンディング が行われる中央部42b 1 は平滑化されているが、ICチップの実装やワ ヤボンディングなどが行われない表面電極4 2a,42bの端縁部42a 2 ,42b 2 は、表面が粗い状態とされている。すなわち 、この実施例5では、セラミック基板本体41へ の封止樹脂45の接合強度を向上させるべく、 面電極42a,42bの端縁部42a 2 ,42b 2 の表面粗さを粗くして、封止樹脂45との接触 積を大きくするとともに、アンカー効果を 揮させるようにしている。

 なお、表面電極42a,42bの表面全体を平滑化し たセラミック基板と、図6に示すように、端 部42a 2 ,42b 2 の表面粗さを中央部42a 1 ,42b 1 よりも粗くしたセラミック基板を作製し、両 者における封止樹脂45のダイシェア強度を測 したところ、全体を平滑化したセラミック 板の場合、封止樹脂45のダイシェアが80Nで るのに対して、端縁部42a 2 ,42b 2 の表面粗さを粗くしたセラミック基板では封 止樹脂45のダイシェアが100Nであった。この結 果より、端縁部42a 2 ,42b 2 の表面粗さを電極の中央部42a 1 ,42b 1 より粗くすることにより、封止樹脂45とセラ ック基板本体41の間の接合強度を確保でき こと(すなわち、電極の表面を平滑化するこ による封止樹脂45とセラミック基板本体41の 接合強度の低下を補うこと)が可能になるこ が確認された。

 なお、この実施例では、表面粗さを粗くし い領域(端縁部)にマスクを施し、メディア 衝突することによる平滑化処理が行われな ようにして、表面電極の中央部の表面粗さ りも端縁部の表面粗さを粗くした。
 ただし、表面電極の中央部の表面粗さより 端縁部の表面粗さを粗くする方法としては 例えば、平滑化後の電極表面の端縁部をウ ットブラストなどの方法により粗面化する 法、メディアの大きさと電極の厚みとの関 を調整する方法、メディアを衝突させる方 を調節する方法などを用いることが可能で る。

 なお、上記各実施例では基体がセラミッ 基板であり、そのセラミック基板上に形成 れた電極を平滑化処理する場合を例にとっ 説明したが、平滑化処理の対象とされてい 電極が形成される基体の形状に特別の制約 ない。すなわち、板状の部材以外のブロッ 状の基体や、電極が形成される面が曲面で るような形状の基体など、種々の形状、構 を有する基体上に形成された電極を平滑化 る場合に、本発明を広く適用することが可 である。

 本発明はさらにその他の点においても上 実施例に限定されるものではなく、基体を 成する材料の具体的な種類や配合割合、平 化処理を行う対象となる電極の構造や構成 料、超音波を印加する際の条件、メディア 構成材料などに関し、発明の範囲内におい 、種々の応用、変形を加えることができる

 上述のように、本発明によれば、セラミッ 基板などの基体の表面に形成された電極の 面を、電極や基体に大きなダメージを与え ことなく、効率よく確実に平滑化すること 可能で、特に拘束層を用いた無収縮工法に り焼成を行い、拘束層を除去した後の電極 面を効率よく平滑化することができる。
 したがって、本発明は、セラミック基板を じめとする、表面電極を備えた種々の電子 品の製造技術の分野に広く利用することが 能である。