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Patent Searching and Data


Title:
MICROORGANISM CAPABLE OF PRODUCING IMPROVED POLYHYDROXYALKANOATE AND METHOD OF PRODUCING POLYHYDROXYALKANOATE BY USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/145164
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a microorganism capable of producing a polyhydroxyalkanoate (PHA) wherein: (1) the expression of phbA gene is repressed or the catalytic activity of the enzyme encoded by the gene is repressed; (2) the expression of bktB gene is enhanced or the catalytic activity of the enzyme encoded by the gene is increased; and (3) polyhydroxyalkanoate synthase gene and crotonyl-CoA reductase gene are introduced thereinto.  By culturing this microorganism, P(3HB-co-3HH), which is a PHA having an excellent flexibility and being applicable over a wide range, can be efficiently produced with the use of an inexpensive carbon source.

Inventors:
MURAKAMI HIROKA (JP)
SATO SHUNSUKE (JP)
FUJIKI TETSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059564
Publication Date:
December 03, 2009
Filing Date:
May 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KANEKA CORP (JP)
MURAKAMI HIROKA (JP)
SATO SHUNSUKE (JP)
FUJIKI TETSUYA (JP)
International Classes:
C12N15/09; C12N1/21; C12P7/62
Domestic Patent References:
WO2007049716A12007-05-03
Foreign References:
JP2008086238A2008-04-17
JP2008029218A2008-02-14
JPS57150393A1982-09-17
JPS59220192A1984-12-11
JPH0593049A1993-04-16
JPH07265065A1995-10-17
JPH10108682A1998-04-28
JP2001340078A2001-12-11
JP2008029218A2008-02-14
JP2007228894A2007-09-13
Other References:
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"Molecular Cloning", 1989, COLD SPRING HARBOR LABORATORY PRESS
See also references of EP 2295536A4
Attorney, Agent or Firm:
KANEKA CORPORATION (JP)
KANEKA Co. (JP)
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Claims:
 次の(1)から(3)の要件を備えた微生物;
(1)phbA遺伝子の発現が抑制されているか、該遺伝子がコードする酵素の触媒活性が抑制されていること、
(2)bktB遺伝子の発現が強化されているか、該遺伝子がコードする酵素の触媒活性が向上されていること、
(3)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子、および/または、クロトニル-CoA還元酵素遺伝子が導入されていること。
 次の(1)から(6)の少なくとも一つにより、phbA遺伝子の発現が抑制されているか、該遺伝子がコードする酵素の触媒活性が抑制されている、請求項1記載の微生物;
(1)phbA遺伝子の開始コドンと終止コドンの間に、新たな終止コドンが導入されている、
(2)phbA遺伝子のリボソーム結合部位に、リボソーム結合活性が低下する変異を導入している、
(3)phbA遺伝子内部に、phbA遺伝子がコードする酵素の触媒活性が低下する変異を導入している、
(4)RNA干渉を利用する、
(5)phbA遺伝子内部に、トランスポゾンを挿入している、
(6)phbA遺伝子の一部或いは全部を欠失している。
 bktB遺伝子の上流に、新たにbktB遺伝子の転写を誘発する活性を有するプロモーターが挿入されることにより、bktB遺伝子の発現が強化されたている、請求項1記載の微生物。
 新たに挿入されるプロモーターが、次の(1)または(2)のDNAである、請求項3記載の微生物;
(1)bktB遺伝子の上流に、配列番号1または2に示される塩基配列からなるDNAと70%以上の配列同一性を有し、bktB遺伝子の転写を誘発する活性を有するDNA、
(2)bktB遺伝子の上流に、配列番号1または2に示される塩基配列からなるDNAと相補的なDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、bktB遺伝子の転写を誘発する活性を有するDNA。
 次の(1)から(4)の少なくとも一つの、ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺伝子、および/または、クロトニル-CoA還元酵素遺伝子が導入されている、請求項1記載の微生物;
(1)配列番号3に示される塩基配列からなるDNAと70%以上の配列同一性を有し、クロトニル-CoAを還元し、ブチリル-CoAを生成する活性を有する酵素をコードする遺伝子、
(2)配列番号3に示される塩基配列からなるDNAと相補的なDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、クロトニル-CoAを還元し、ブチリル-CoAを生成する活性を有する酵素をコードする遺伝子、
(3)配列番号4に示される塩基配列からなるDNAと70%以上の配列同一性を有し、ポリヒドロキシアルカノエート合成活性を有する酵素をコードする遺伝子、
(4)配列番号4に示される塩基配列からなるDNAと相補的なDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、ポリヒドロキシアルカノエート合成活性を有する酵素をコードする遺伝子。
 植物油脂を炭素源として乾燥菌体量150g/L以上でポリマー含量70%以上、且つ3-ヒドロキシヘキサン酸組成比12mol%以上のポリヒドロキシアルカノエートを生産可能な微生物。
 遺伝子組換えにより作製した請求項5記載の微生物。
 植物油脂を炭素源として乾燥菌体量150g/L以上でポリマー含量70%以上、且つ3-ヒドロキシヘキサン酸組成比12mol%以上のポリヒドロキシアルカノエートを生産可能な、請求項1~5の何れかに記載の微生物。
 ポリヒドロキシアルカノエートが3-ヒドロキシ酪酸と3-ヒドロキシヘキサン酸を構成単位に含むポリエステルである請求項1~8の何れかに記載の微生物。
 微生物が Cupriavidus   necator 由来である請求項1~9の何れかに記載の微生物。
 微生物が Cupriavidus   necator  H16株由来である請求項10記載の微生物。
 請求項1~11の何れかに記載の微生物を、植物油脂を炭素源として培養することを特徴とする3-ヒドロキシヘキサン酸単位含有ポリヒドロキシアルカノエートの製造方法。
Description:
改良されたポリヒドロキシアル ノエート生産微生物及びそれを用いたポリ ドロキシアルカノエートの製造方法

 本発明は、炭素数4以上の3-ヒロドキシア カノエート単位を有するポリヒドロキシア カノエート共重合体を生産する微生物およ 該微生物を用いて該共重合体を効率よく製 する方法に関する。

 ポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHA と記す)は、広範な微生物によって生成され ポリエステル型有機分子ポリマーである。PH Aは生分解性を有する熱可塑性高分子である また、PHAは再生可能資源から産生されうる これらのことから、PHAを環境調和型素材ま は生体適合型素材として工業的に生産し、 様な産業へ利用する試みが行われている。

 現在までに数多くの微生物において、エネ ギー貯蔵物質としてポリエステルを菌体内 蓄積することが知られている。その代表例 しては3-ヒドロキシ酪酸(以下、3HBと記すこ もある)のホモポリマーであるポリ-3-ヒドロ キシ酪酸(以下、P(3HB)と記すこともある)が挙 られる。P(3HB)は1925年に Bacillusmegaterium で最初に発見された。P(3HB)は熱可塑性高分子 であり、自然環境中で生物学的に分解される ことから、環境にやさしいプラスチックとし て注目されている。しかし、P(3HB)は結晶性が 高いために硬くて脆い性質を持っていること から実用的には応用範囲が限られている。応 用範囲を広げるためには、P(3HB)に柔軟性を付 与することが必要であった。

 そこで、3HBと3-ヒドロキシ吉草酸(以下、3 HVと記す)とからなる共重合体(以下、P(3HB-co-3H V)と記す)の製造方法が開示されている(特許 献1、特許文献2)。P(3HB-co-3HV)はPHAの一種であ 。P(3HB-co-3HV)は、P(3HB)に比べると柔軟性に富 むため、幅広い用途に応用できると考えられ た。しかしながら、実際にはP(3HB-co-3HV)中の3H Vモル分率を増加させてもそれに伴う物性の 化が乏しく、特にフィルムやシート、軟質 包装容器等へ加工するために要求される程 は柔軟性が向上しないため、シャンプーボ ルや使い捨て剃刀の取手等、硬質成型体の られた分野にしか利用されていない。

 P(3HB)の柔軟性を高めるために、3HBと3-ヒド キシヘキサン酸(以下、3HHと記すこともある) からなる共重合体(以下、P(3HB-co-3HH)と記すこ もある)及びその製造方法について研究がな された(特許文献3、特許文献4)。P(3HB-co-3HH)もP HAの一種である。これら報告におけるP(3HB-co-3 HH)の製造方法は、土壌より単離された Aeromonascaviae の野生株を用い、オレイン酸、パルミチン酸 等の脂肪酸を炭素源として発酵生産するもの であった。3HH組成比はオレイン酸を炭素源と したとき15mol%、パルミチン酸を炭素源とした とき5mol%であった。

 P(3HB-co-3HH)の物性に関する研究もなされてい る(非特許文献1)。この報告では、炭素数が12 以上の脂肪酸を唯一の炭素源として A caviae を培養し、3HH組成が11~19mol%のP(3HB-co-3HH)を発 生産している。P(3HB-co-3HH)が3HH組成の増加に たがって、P(3HB)の様な硬くて脆い性質から 第に柔軟な性質を示すようになり、P(3HB-co-3 HV)を上回る柔軟性を示すことが明らかにされ た。すなわち、P(3HB-co-3HH)は3HH組成比を変え ことで、硬質ポリマーから軟質ポリマーま 応用可能な幅広い物性を持たせることがで るため、低3HH組成比のP(3HB-co-3HH)を用いたテ ビの筐体等のように硬さを要求されるもの ら、高3HH組成比のP(3HB-co-3HH)を用いたフィル ム等のように柔軟性を要求されるものまで、 幅広い分野への応用が期待できる。しかしな がら、前記製造方法では菌体生産量4g/L、菌 あたりのポリマー含量30%とポリマー生産性 低いものであったため、実用化に向けて更 高い生産性、特にポリマー含量を向上させ 方法が探索されてきた。

 P(3HB-co-3HH)の工業生産を目指した取組みの例 として、以下の技術が挙げられる。非特許文 献2では、 Aeromonas   hydrophila を用い、オレイン酸を炭素源とした43時間の 加培養を行うことにより、菌体量95.7g/L、ポ リマー含量45.2%、3HH組成比17mol%のP(3HB-co-3HH)が 生産された。また、 A . hydrophila を用いたグルコース及びラウリン酸を炭素源 とした培養により、3HH組成比が11mol%であり、 菌体量50g/L、ポリマー含量50%が達成された(非 特許文献3)。しかしながら、 A . hydrophila はヒトに対して病原性を有する(非特許文献4) ことから、工業生産に適した微生物とはいえ なかった。また、これらの培養生産で用いら れている炭素源は高価であるため、製造コス トの観点より安価な炭素源の利用が求められ ていた。

 このため、安全な宿主での生産及び生産性 向上を目指して以下のような取組みが行な れた。 A caviae よりクローニングされたポリヒドロキシアル カン酸(PHA)合成酵素遺伝子を Cupriavidusnecator  (旧分類: Ralstonia   eutropha 或いは Alcaligenes   eutrophus )に導入した形質転換体を用い、オクタン酸 炭素源としてP(3HB-co-3HH)の生産を行った結果 3HH組成比は22mol%であり、菌体量4g/L、ポリマ ー含量は33重量%であった(特許文献5、非特許 献5)。更に前記形質転換体を、炭素源とし 植物油脂を用いて培養した結果、3HH組成比 4~5mol%であり、菌体量4g/L、ポリマー含量80%が 達成された(非特許文献6)。後者の製造方法は 安価な植物油脂を炭素源とし、ポリマー含量 も高いものの、菌体量が低いため、ポリマー 生産性が低く、且つ3HH組成比4~5mol%ではフィ ム等の用途に適用できるほど柔らかいもの はなかった。

 大腸菌を宿主としたP(3HB-co-3HH)生産株も構築 された。 Aeromonas 属のPHA合成酵素遺伝子、 C necator のNADP-アセトアセチル-CoA還元酵素遺伝子等を 大腸菌に導入した株が構築された。ドデカン を炭素源として該大腸菌を40.8時間培養した 果、菌体量79g/L、ポリマー含量27.2%、3HH組成 10.8mol%であった(非特許文献8)。 A . caviae のPHA合成酵素遺伝子、エノイル-CoAヒドラタ ゼ遺伝子及びアシル-CoAデヒドロゲナーゼ遺 子を導入した大腸菌も構築された。ラウリ 酸を含む培地で該大腸菌を培養すると、菌 生産性は1g/L、ポリマー含量約16%、3HH組成比 約16mol%であった(非特許文献9)。これらの大腸 菌でもポリマー生産性は低く、工業的生産へ の適用は困難であった。

 P(3HB-co-3HH)の生産性向上並びに3HH組成制御を 目指して、PHA合成酵素の人為的な改変が行な われた(非特許文献10)。 A caviae 由来のPHA合成酵素変異体のなかで、149番目の アミノ酸アスパラギンがセリンに置換された 変異体酵素や、171番目のアスパラギン酸がグ リシンに置換された変異体酵素は、大腸菌内 でのPHA合成酵素活性や3HH組成が向上している ことが示され、また、518番目のフェニルアラ ニンがイソロイシンに置換された変異体酵素 や214番目のバリンがグリシンに置換された変 異体酵素は大腸菌でのPHA合成酵素活性やポリ マー含量が向上したことが報告されている。 しかし、これらは宿主として特殊な大腸菌を 用いており、更にポリマー含量は約13%と低い ことから、これらの変異体酵素の特徴を活か した工業的生産に向けた更なる改良が必要で あった。

 また、pJRD215(ATCC 37533)にポリエステル合成 素遺伝子やR-エノイル-CoAヒドラターゼ遺伝 等を導入したpJRDEE32やpJRDEE32d13等(特許文献5 非特許文献5参照)のPHA合成酵素発現プラスミ ドにによって C.necator を形質転換し、該形質転換体のPHA生産性が調 べられている。該菌株の菌体量は4g/Lと低か たが、植物油脂を炭素源とした同菌株の培 条件改善により菌体量45g/L、ポリマー含量62. 5%、3HH組成比8.1mol%にまでポリマー生産性が向 上した。このように、培養方法によってP(3HB- co-3HH)の3HH組成比やポリマー生産性を改善す 試みがなされた(特許文献6)。

 P(3HB-co-3HH)の物性を制御する方法も開示さ れている(特許文献6)。少なくとも2種類の炭 数の異なる油脂および/または脂肪酸を炭素 として用いることによって、3HH組成比が1~40 mol%のポリエステルを生産することが可能と り、種々の物性を有するP(3HB-co-3HH)が生産で るようになった。しかしながら、本製造方 では、3HH組成制御のために比較的高価なヘ サン酸、オクタン酸等を添加する必要があ 、また高濃度のヘキサン酸は細胞毒性を示 ことから菌体生産性が低下する結果となっ いる。また、多成分の炭素源を添加するた 、生産設備が複雑・高価になる場合がある

  C necator を宿主とし、果糖を炭素源とした培養で3HH組 成を向上させる方法も開示されている。ポリ エステル合成酵素遺伝子と放線菌 Streptomycescinnamonensis 由来のクロトニル-CoA還元酵素遺伝子(以下ccr 略記する)を導入すると3HH組成は0.9%であっ ものの、更にR-エノイル-CoAヒドラターゼ遺 子等を導入すると3HH組成は1.6%に向上した。 かし、その時の菌体量は約1.5g/L、ポリマー 量は40%前後と低く、高3HH組成P(3HB-co-3HH)の工 業的生産には一層の改良が必要であった(非 許文献7)。

 フィルムやシート、軟質系包装容器等へ 応用には3HH組成比が12mol%以上のP(3HB-co-3HH)が 望まれている。しかし、従来のP(3HB-co-3HH)生 において、3HH組成比を向上させようとすれ 、ポリマー含量あるいは菌体量の低下を招 ていた。工業生産において望ましいとされ 70%以上のポリマー含量且つ150g/L以上の菌体 かつ3HH組成比12mol%以上を実現する方法はな 、一層の改良が必要であった。

特開昭57-150393号公報

特開昭59-220192号公報

特開平5-93049号公報

特開平7-265065号公報

特開平10-108682号公報

特開2001-340078号公報

Y. Doi, S. Kitamura, H. Abe; Macromolecules, 28 , 4822-4823 (1995) Biotechnology and Bioengineering, vol.67, 240 (20 00) Appl. Microbiol. Biotechnol., vol.57, 50 (2001) 国立感染症研究所、病原体等安全管理規 定、別表1付表1(1999) T. Fukui, Y. Doi; J. Bacteriol, 179, 15, 4821- 4830 (1997) T. Fukui等、Appl. Microbiol. Biotecnol., 49, 33 3 (1998) T. Fukui等、Biomolecules, vol.3, 618 (2002) S. Park等、Biomacromolecules, vol.2, 248 (2001) X. Lu等、FEMS Microbiology Letters, vol.221, 97  (2003) T. Kichise等、Appl. Environ. Microbiol., 68, 24 11-2419 (2002)

 本発明は、柔軟性に優れ幅広い用途が期 される高3HH組成比のPHAを、安価な炭素源で る植物油を用いて、実用的な生産性で製造 ることを目的とする。特には、菌体のポリ ー含量70%以上且つ菌体量150g/L以上を保った ま、3HH組成比12mol%以上のP(3HB-co-3HH)を効率よ く発酵生産することを目的とする。

 本発明者らは上記課題を解決するために 意研究を重ねた結果、微生物中のPHA合成酵 量を増加させるとともに、3HBモノマー合成 を減少させ且つ新たな3HHモノマー合成経路 創出し3HHモノマー供給系を増強させること よって前記微生物中に、3HH組成比率の向上 たPHAが大量に生成・蓄積できる事を見出し 本発明を完成するに至った。

 即ち、本発明の第一は、phbA遺伝子が不活 性化され、phaC遺伝子及びbktB(β-ケトチオラー ゼ)遺伝子発現が増強されると共に新たにccr 伝子導入でブチリル-CoA合成経路が導入され ことによって3HHモノマー合成能が向上した3 -ヒドロキシヘキサン酸単位含有ポリヒドロ シアルカノエートを生産可能な微生物に関 る。

 より詳細には、次の(1)から(3)の要件を備え 微生物に関する;
(1)phbA遺伝子の発現が抑制されているか、該 伝子がコードする酵素の触媒活性が抑制さ ていること、
(2)bktB遺伝子の発現が強化されているか、該 伝子がコードする酵素の触媒活性が向上さ ていること、
(3)ポリヒドロキシアルカノエート合成酵素遺 伝子、および/または、クロトニル-CoA還元酵 遺伝子が導入されていること。

 本発明の第二は、上記記載の微生物を用 、安価な炭素源を用いて菌体のポリマー含 70%以上且つ菌体量150g/L以上を保ったまま、3 HH組成比12mol%以上であることを特徴とする3HH 位含有PHAの製造方法に関する。

 本発明により、安価で安全な炭素源を用 て、菌体のポリマー含量70%以上且つ菌体量1 50g/L以上を保ったまま、3HH組成比12mol%以上のP HAを発酵生産することができる。

 以下、本発明につき、さらに詳細に説明 る。本発明の3HH単位含有PHAとは、3HHととも 、3HB、3HV、3-ヒドロキシオクタン酸、およ 、それらよりアルキル鎖の長い3-ヒドロキシ アルカン酸からなる群より選らばれる1以上 3-ヒドロキシアルカン酸が共重合したポリエ ステルである。

 本発明のphbA遺伝子とは、β-ケトチオラー ゼ活性を有する酵素のうち、2分子のアセチ -CoAを縮合する反応を触媒するが、β-ケトバ リル-CoAのチオリシスを殆ど触媒しない酵素 をコードする遺伝子で、例えば配列番号5に される塩基配列からなるphbA遺伝子が例示さ る。配列番号5に示される塩基配列と85%以上 の配列同一性を有し、2分子のアセチル-CoAを 合する反応を触媒するが、β-ケトバレリル- CoAのチオリシスを殆ど触媒しない酵素をコー ドする遺伝子は本発明に好適に用いることが できる。配列同一性は90%以上であればより好 ましく、更に好ましくは95%以上、更により好 ましくは98%以上である。

 本発明のbktB遺伝子とは、β-ケトチオラー ゼ活性を有する酵素のうち、2分子のアセチ -CoAの縮合およびアセチル-CoAとそれよりも鎖 長の長い、例えばプロピオニル-CoAの縮合の 方をよく触媒し、且つ3-ケトバレリル-CoAの オリシスを触媒する酵素をコードする遺伝 で、例えば配列番号29に示される塩基配列か らなる遺伝子が例示される(SLATER等、J.Bacteriol ., vol.180, 1979-1987, 1998)。配列番号29に示され る塩基配列と85%以上の配列同一性を有し、2 子のアセチル-CoAの縮合およびアセチル-CoAと それよりも鎖長の長い、例えばプロピオニル -CoAの縮合の両方をよく触媒し、且つ3-ケトバ レリル-CoAのチオリシスを触媒する酵素をコ ドする遺伝子は本発明に好適に用いること できる。配列同一性は90%以上であればより ましく、更に好ましくは95%以上、更により ましくは98%以上である。

 また、3HH単位含有PHAを合成可能なポリメラ ゼをコードする遺伝子としては、 A caviae のphaC遺伝子或いは、配列番号4に示される塩 配列からなるphaC変異遺伝子などが例示でき 、宿主が結果として該PHAを産生可能であれば よい。phaC遺伝子が有する塩基配列あるいは 列番号4に示される塩基配列と、85%以上の配 同一性を有する遺伝子で、3HH単位含有PHAを 成可能なポリメラーゼをコードする遺伝子 本発明に好適に用いることができる。配列 一性は90%以上であればより好ましく、更に ましくは95%以上、更により好ましくは98%以 である。

 本発明において、bktB構造遺伝子の内在の プロモーターとは、bktB構造遺伝子の転写を 発するDNAのことであり、宿主として用いるph bA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物中に 内在する。

 本発明におけるphbA遺伝子とbktB遺伝子を元 有する微生物とは、phbA遺伝子とbktB遺伝子を 有する野生株、或いは該野生株に遺伝子操作 した微生物であれば特に制限はなく、3HH単位 含有PHAを合成可能な菌株であれば、それらを 宿主として使用することができる。具体的に はラルストニア( Ralstonia )属、カプリアビダス( Cupriavidus )属、ワウテルシア( Wautersia )属、アエロモナス( Aeromonas )属、エシェリキア( Escherichia )属、アルカリゲネス( Alcaligenes )属、シュードモナス( Pseudomonas )属等の細菌類を使用することが好ましい。 全性及び生産性の観点から、より好ましく ラルストニア属、カプリアビダス属、ワウ ルシア属に属する細菌であり、特に好まし は Cupriavidusnecator である。 C.   necator としては、例えば、 C.   necator  H16(ATCC17699)等が挙げられる。当該株はAmerican  Type Culture Collection (ATCC)等から入手するこ ができる。勿論、前記微生物を人工的に突 変異処理して得られる変異株、遺伝子工学 手法により変異処理された類縁菌株であっ も、3HH単位含有PHAを合成可能な菌株であれ 本発明に使用できる。

 そして、3HH組成比を高めるためには、phbA 遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生物の染 体上に存在するphbA遺伝子が不活性化されて ることが好ましい。phbA遺伝子がコードする 酵素は、前記のようにアセチル-CoA2分子の縮 によって、PHAモノマーの一つである3-ヒド キシブチリル-CoAの前駆体であるアセトアセ ル-CoAを生成する反応を触媒する。一方、phb A遺伝子がコードする酵素はアセチル-CoAとブ ノイル-CoAを縮合する反応を触媒しない。従 って、phbA遺伝子の不活性化はポリマー中の3H B比率を低くするため、結果として3HH比率が 上すると考えられる。

 phbA遺伝子を不活性化する方法は、結果と してphbAが不活性化されていればよく、例え 、1)phbA遺伝子の開始コドンと終止コドンの に新たな終止コドンを導入する、2)リボソー ム結合部位にリボソーム結合活性が低下する 変異を導入する、3)phbA構造遺伝子内部に酵素 の触媒活性を低下させる変異を導入する、4)R NA干渉を利用する、5)トランスポゾンを挿入 る、6)phbA構造遺伝子の一部或いは全部を欠 させる等の方法が挙げられる。これらの方 は当業者に周知である。

 また、PHAの生産性を高めつつ3HH組成比を めるためには、bktB遺伝子がコードする酵素 を増強することが好ましい。bktB遺伝子がコ ドする酵素は、アセチル-CoA2分子の縮合だけ ではなく、アセチル-CoAとブタノイル-CoAを縮 する反応も触媒する。アセチル-CoAとブタノ イル-CoAが縮合すると、3-ヒドロキシヘキサノ イル-CoAの前駆体である3-ケトヘキサノイル-Co Aが生じる。bktB遺伝子がコードする酵素の活 は、アセチル-CoA2分子の縮合反応に対して りもアセチル-CoAとブタノイル-CoAの縮合反応 に対しての方が高い。

 bktB遺伝子がコードする酵素を増強する方 法は特に限定しないが、発現ベクターによる 高発現化や発現調節領域の改変による高発現 化が可能である。好ましくはphbA遺伝子とbktB 伝子を元来有する微生物の染色体上にある 遺伝子のプロモーターを改変して転写活性 上げること、例えば、phbA遺伝子とbktB遺伝 を元来有する微生物に内在しているbktB遺伝 の上流に、さらにbktB遺伝子の転写を誘発す るプロモーターが組み込まれていると、転写 活性が上がることによって高発現化が可能で ある。

 bktB遺伝子の転写を誘発するプロモーターは 、bktB遺伝子の開始コドンの上流に挿入され ことが好ましい。プロモーターは、bktB遺伝 の転写を誘発する限りはどのようなプロモ ターでも本発明に用いうる。該プロモータ はphbA遺伝子とbktB遺伝子を元来有する微生 内在のプロモーター及び異種微生物のプロ ーターの少なくとも何れかであることが好 しい。例えば、配列番号1に示される塩基配 からなる C . necator のphbCABオペロンのプロモーターや、配列番号 2に示される塩基配列からなる A caviae のphaPCJオペロンのプロモーターは、phbA遺伝 とbktB遺伝子を元来有する微生物として C . necator を用いる場合に好適である。

 ここで、プロモーターとして用いるDNAは 配列番号1および2に示した塩基配列と70%以 の配列同一性を有することが好ましく、よ 好ましくは85%以上であり、更に好ましくは90 %以上であり、更により好ましくは95%以上で り、最も好ましくは98%以上である。bktB遺伝 の転写を誘発する限りは本発明に用いるこ ができる。

 さらに、プロモーターとして用いるDNAと て、配列番号1および2に示した塩基配列と 補的な塩基配列をプローブとして、コロニ ・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ イブリダイゼーション法、あるいはサザン ハイブリダイゼーション法等を行った時に ストリンジェントな条件でハイブリダイズ るDNAを用いることができる。bktB遺伝子の転 を誘発する限りは本発明に用いることがで る。

 前記ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning, A laboratory manual, second edition(ColdSprin g Harbor Laboratory Press, 1989)等に記載されてい る方法に準じて行うことができる。ここで、 ハイブリダイズするDNAとは、例えば、コロニ ーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフ ィルターを用いて、0.7~1.0MのNaCl存在下、65℃ ハイブリダイゼーションを行った後、2倍濃 度のSSC溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムより る)を用い、65℃の条件下でフィルターを洗 することにより取得できるDNAをあげること できる。好ましくは65℃で2倍濃度のSSC溶液 洗浄、より好ましくは65℃で0.2倍濃度のSSC 液で洗浄、更に好ましくは65℃で0.1倍濃度の SSC溶液で洗浄することにより取得できるDNAで ある。

 以上のようにハイブリダイゼーション条 を記載したが、これらの条件に特に制限さ ない。ハイブリダイゼーションのストリン ェンシーに影響する要素としては温度や塩 度など複数の要素が考えられ、当業者であ ばこれら要素を適宜選択することで最適な トリンジェンシーを実現することが可能で る。

 上記の条件にてハイブリダイズ可能なDNA しては、配列番号1、或いは2に示されるDNA 、配列同一性が70%以上、好ましくは85%以上 より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95 %以上、最も好ましくは98%以上のDNAをあげる とができ、bktB遺伝子の転写を誘発する限り 上記プロモーターに包含される。

 更に3HH組成を高める方法として、ccr遺伝 導入で3-ヒドロキシブチリル-CoA合成経路を 入することが有効である。ccr遺伝子がコー するクロトニル-CoA還元酵素は脂肪酸のβ酸 経路の中間体であるクロトニル-CoAを還元し 、bktB遺伝子がコードする酵素の基質である チリル-CoAを生成する酵素である。この遺伝 を導入することにより、3-ヒドロキシヘキ ノイル-CoAはβ酸化経路からの直接的な供給 みでなく、β酸化経路から派生するアセチル -CoAからも供給される。

 本発明に用いるccr遺伝子は、クロトニル- CoAを還元し3-ヒドロキシヘキサノイル-CoAを生 成する活性を有する酵素をコードする限り本 発明に用いることができるが、配列番号3に した塩基配列と70%以上の配列同一性を有す 塩基配列からなる遺伝子であることが好ま く、より好ましくは85%以上であり、更に好 しくは90%以上であり、更により好ましくは95 %以上であり、最も好ましくは98%以上である

 さらに、配列番号3に示した塩基配列と相 補的な塩基配列をプローブとして、コロニー ・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハ イブリダイゼーション法、あるいはサザン・ ハイブリダイゼーション法等を行った時に、 ストリンジェントな条件でハイブリダイズす るDNAも、クロトニル-CoAを還元しブチリル-CoA 生成する活性を有する酵素をコードする限 、本発明に用いることができる。

 本発明に用いるポリヒドロキシアルカノ ート合成酵素遺伝子は、ポリヒドロキシア カノエート合成活性を有する酵素をコード る限り、本発明に用いることができるが、 列番号4に示した塩基配列と70%以上の配列同 一性を有する塩基配列からなる遺伝子である ことが好ましく、より好ましくは85%以上であ り、更に好ましくは90%以上であり、更により 好ましくは95%以上であり、最も好ましくは98% 以上である。

 さらに、配列番号4に示した塩基配列と相 補的な塩基配列をプローブとして、コロニー ・ハイブリダイゼーション法、プラーク・ハ イブリダイゼーション法、あるいはサザン・ ハイブリダイゼーション法等を行った時に、 ストリンジェントな条件でハイブリダイズす るDNAも、ポリヒドロキシアルカノエート合成 活性を有する酵素をコードする限り、本発明 に用いることができる。

 本発明において、3HH含有PHAの生産に用い る炭素源としては、例えばグルコース、フ クトース等の糖類や、メタノール、エタノ ル、ブタノール等のアルコール類、酢酸、 ロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デ ン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチ 酸、リノール酸、リノレン酸、ミリスチン 等の飽和・不飽和脂肪酸などの脂肪酸類、 るいはこれら脂肪酸のエステルや塩等の脂 酸誘導体、乳酸等の有機酸類、炭素数が10 上である飽和・不飽和脂肪酸を多く含む油 、例えば植物油脂、中でも、ヤシ油、パー 油、パーム核油、パーム核油オレイン(以下 PKOOとも記載する)、パームダブルオレイン( 下、POOとも記載する)等が挙げられる。培養 する際の炭素源の添加量としては、菌株が増 殖し、ポリエステルを合成できる範囲であれ ば良い。

 本発明において、宿主に用いるphbA遺伝子と bktB遺伝子を元来有する微生物の野生株が、3- ヒドロキシヘキサノイル-CoAを殆どPHAへと変 させる事ができない場合、3-ヒドロキシヘキ サノイル-CoAをPHAへと変換する能力の高い酵 をコードする遺伝子を染色体上へ挿入する 、或いはプラスミドベクターなどを用いて 入する事で、細胞内にて合成された33-ヒド キシヘキサノイル-CoAをPHAへと変換する効率 向上させる必要がある。例えば、宿主とし C . necator を使用する場合、3-ヒドロキシヘキサノイル- CoAをPHAへと変換する能力の高い酵素をコード する遺伝子として、 A caviae のphaC遺伝子或いは配列番号4に示したその変 体遺伝子を導入することが好ましい。

 本発明の3HH含有PHAを生産可能な微生物の作 方法は、特に限定するわけではないが、 C necator を宿主として以下に例示する。 A . caviae 由来で3-ヒドロキシヘキサノイル-CoAをPHAへと 変換する能力の高い酵素をコードするポリエ ステル合成酵素変異体遺伝子を染色体上に相 同組換え法などで元のポリエステル合成酵素 遺伝子と置換する。そして遺伝子破壊法を用 いて、染色体上に存在するphbA遺伝子を不活 化するが、その態様はphbA遺伝子産物である ンパク質の活性が低下或いは消失すればど ような方法でも良い。例えば、phbA遺伝子の 内部に終止コドンを導入しても良いし、遺伝 子上流のプロモーター及び/又はリボソーム 合部位を改変しても良い。更にbktB遺伝子の 現を増強するが、その態様はbktB遺伝子産物 の活性が上がればどのような方法でも良い。 例えば、より比活性の向上したbktB変異体遺 子を用いてもよく、bktB遺伝子の開始コドン 上流に異種又は同種のプロモーター及びリ ソーム結合部位を含むDNAを挿入してもよい 、bktB遺伝子の本来のプロモーター及び/又 リボソーム結合部位を異種又は同種のプロ ーター及び/又はリボソーム結合部位を含む 基配列からなるDNAに置換する方法でもよい 本来のプロモーターは染色体上からすべて われていてもよいし、一部が欠失していて よい。

 前記染色体の改変において、染色体上に任 の遺伝子を部位特異的に挿入/置換する方法 は当業者に周知であり、代表的な方法として は特に限定するわけではないが以下の方法が 挙げられる。トランスポゾンと相同組換えの 機構を利用した方法(Ohman等、J.Bacteriol., vol.16 2, p1068 (1985))や相同組換えの機構によって起 こる部位特異的な組み込みと第二段階の相同 組換えによる脱落を原理とした方法(Noti等、M ethodsEnzymol., vol.154, p197 (1987))などがあり、 た、 Bacillus   subtilis 由来のsacB遺伝子を共存させて、第二段階の 同組換えによって遺伝子が脱落した微生物 をシュークロース添加培地耐性株として容 に単離する方法(Schweizer;Mol. Microbiol., vol.6,  p1195 (1992)、Lenz等; J. Bacteriol., vol.176, p4385(1 994))も利用することができるが、染色体上に 意遺伝子を挿入/置換出来ればその方法は特 に制限されない。

 例えば C necator のbktB遺伝子の開始コドン直前に、 A caviae のphaC遺伝子のプロモーター及びリボソーム 合部位を含む塩基配列からなるDNAを挿入す 場合の方法を、より具体的に例示する。ま 、置換フラグメントを作製する。置換フラ メントはbktB遺伝子の開始コドンの直前に A . caviae のphaC遺伝子(以下、phaCとも記す)のプロモー ー及びリボソーム結合部位を含む塩基配列 らなるDNAがつながり、その後にbktB遺伝子が ながった形とする。すなわち、該遺伝子の 始コドンの直前にphaCのプロモーター及びリ ボソーム結合部位を含む塩基配列からなるDNA が挿入されたDNA断片である。phaCのプロモー ー及びリボソーム結合部位を含む塩基配列 らなるDNAを挟んで存在する上流と下流は染 体上のDNAと相同組換えを起こすために必要 相同配列であって、一般的にはその長さが いほど組換え頻度は高くなるが、相同組換 さえ起こればよく、その長さは任意に設定 きる。

 置換断片には、遺伝子置換の際に選択マー ーとなる遺伝子を付加することができる。 択マーカーとなる遺伝子は、例えばカナマ シン、クロラムフェニコール、ストレプト イシン、アンピシリン等の抗生物質の耐性 伝子や各種の栄養要求性を相補する遺伝子 が使用できる。 C . necator を宿主とする場合にはカナマイシンの耐性遺 伝子が好適である。さらにそれらに加えて、 第二段階の相同組換えによって選択マーカー 遺伝子を含む領域が脱落した微生物株の選択 を容易にするための遺伝子が付加できる。そ のような遺伝子としては Bacillussubtilis 由来のsacB遺伝子が例示できる。この遺伝子 発現している微生物株はシュークロースを む培地で生育できないことが知られており シュークロースを含む培地での生育により の遺伝子を脱落によって失った株を選択す ことが容易となる。

 これらで構成された置換フラグメントは 宿主微生物株中で複製しないベクターに接 することによって遺伝子置換用のプラスミ として作製される。ラルストニア属やシュ ドモナス属等で利用できるこのようなベク ープラスミドには、例えばpUCベクター、pBlu escriptベクター、pBR322ベクター、或いはそれ と同じ複製起点を持つベクター等が挙げら る。さらには、接合伝達を可能にするmob、or iTなどのDNA配列を共存させることも可能であ 。

 このような構成で作製された遺伝子置換用 プラスミドDNAは、エレクトロポレーション や接合伝達法など公知の方法により C necator に導入することができ、相同組換えを行うこ とができる。

 次に相同組換えによって染色体上に遺伝 置換用のプラスミドDNAが挿入された株の選 を行う。株の選択は、遺伝子置換用プラス ドDNAに共存させた選択用の遺伝子に基づい 方法によって行うことができる。カナマイ ン耐性遺伝子を用いた場合には、カナマイ ンを含む培地で生育してきた株から選ぶこ ができる。

 次の段階で、第二の相同組換えによって 色体上から選択マーカー遺伝子を含む領域 脱落した株を選択する。挿入時に利用した 択用の遺伝子に基づいて、例えばカナマイ ンを含む培地で生育できなくなった株を選 してもよいが、sacB遺伝子を遺伝子置換用プ ラスミドに共存させている場合は、シューク ロースを含む培地で生育してくる株から容易 に選択できる。このようにして得られた株が 、所望するように遺伝子が置換された株かど うか確認するには、PCR法やサザン・ハイブリ ダイゼーション法、DNA塩基配列の決定など、 公知の方法が使用できる。

 以上のようにして、 C necator の染色体上にあるbktB構造遺伝子の開始コド の上流に A caviae のphaCのプロモーター及びリボソーム結合部 を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株 取得することができる。

 次に発現ベクターについて説明する。 C necator で通常用いられる発現ベクターにはpJRD215由 の発現ベクター(例えば特許文献5)やpBBR122由 の発現ベクター(非特許文献7)がある。発現 クターはその宿主細胞内において、非選択 条件下でも安定に複製・維持されることが ましい。従って国際公開公報WO/2007/049716号 報[0041]に記載のpCUP2等がより好適である。pCU P2には C . necator と近縁であるカプリアビダス・メタリデュラ ンス( Cupriavidus   metallidurans )CH34株が保有するメガプラスミドpMOL28由来の ラスミドの複製や安定維持に必要な領域が まれている。

 このpCUP2に A caviae 由来のphaC遺伝子発現ユニットと S cinnamonensis 由来のccr遺伝子発現ユニットを挿入したプラ スミドがpCUP2-631ベクターである。pCUP2-631に更 に A . caviae 由来のフェイシンをコードするphaP遺伝子及 同由来のR-特異的エノイル-CoAヒドラターゼ コードするphaJ遺伝子を挿入しても良い。ま 、pCUP2-631に更に C . necator 由来のフェイシンをコードするphbP遺伝子及 A caviae 由来のR-特異的エノイル-CoAヒドラターゼをコ ードするphaJ遺伝子を挿入しても良い。

 前述した染色体上のphbA遺伝子を破壊し、 且つbktB遺伝子発現を増強した株に、この発 ベクターを導入して得られる菌株としてKNK-6 31株等の菌株が例示できる。これらの株はい れも安価で安全な炭素源を用いて、菌体の リマー含量70%以上且つ菌体量150g/L以上を保 たまま、3HH組成比12mol%以上のPHAを発酵生産 ることができる。

 前述した方法で作製した微生物を用いて3 HH含有PHAを製造する方法について説明する。 の方法は特に限定するわけではないが、以 のようにして行う事ができる。本発明のPHA 生産においては、炭素源、窒素源、無機塩 、そのほかの有機栄養源を含む培地を用い 、前記微生物を培養することが好ましい。

 炭素源としては、糖類、油脂類、脂肪酸 などが好ましく、より好ましくは植物油脂 であり、更に好ましくはパーム油及びパー 核油である。窒素源としては、例えばアン ニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウ 、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩 他、ペプトン、肉エキス、酵母エキス等が げられる。無機塩類としては、例えばリン 2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、 ン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩 ナトリウム等が挙げられる。

 そのほかの有機栄養源としては、例えば リシン、アラニン、セリン、スレオニン、 ロリン等のアミノ酸、ビタミンB1、ビタミ B12、ビタミンC等のビタミン等が挙げられる また、培養液中に、発現プラスミドに存在 る薬剤耐性遺伝子に対応する抗生物質(カナ マイシン等)を添加しても良い。

 本発明において、菌体からの3HH含有PHAの 収は、特に限定はないが、例えば次のよう 方法により行うことができる。培養終了後 培養液から遠心分離機等で菌体を分離し、 の菌体を蒸留水およびメタノール等により 浄し、乾燥させる。この乾燥菌体から、ク ロホルム等の有機溶剤を用いて3HH含有PHAを 出する。この3HH含有PHAを含んだ有機溶剤溶 から、濾過等によって菌体成分を除去し、 のろ液にメタノールやヘキサン等の貧溶媒 加えて3HH含有PHAを沈殿させる。さらに、濾 や遠心分離によって上澄み液を除去し、乾 させて3HH含有PHAを回収する。

 得られた3HH含有PHAの重量平均分子量(Mw)や 3HH組成(mol%)の分析は、例えば、ガスクロマト グラフ法や核磁気共鳴法等により行うことが できる。

 本発明で得られる柔軟性の高いPHAは、フ ルムやシート、軟質系包装容器などに好適 用いられる。

 以下に実施例を示し、本発明をより具体 に説明するが、本発明はこれらの実施例に ら限定されるものではない。なお一般的な 伝子操作は、MolecularCloning(Cold Spring Harbor L aboratory Press (1989))に記載されているように うことができる。また、遺伝子操作に使用 る酵素、クローニング宿主等は、市場の供 者から購入し、その取扱説明書に従い使用 ることができる。なお、酵素は、遺伝子操 に使用できるものであれば特に限定されな 。

 (実施例1)
 <遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製 >
 挿入用DNAとして A caviae のphaCのプロモーターおよびリボソーム結合 位を含む塩基配列からなるDNAを次のように 製した。 A . caviae のゲノムDNAをテンプレートとして配列番号6 よび配列番号7で示されるプライマーを用い 、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15 秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り し、ポリメラーゼはKOD-plus-(TOYOBO製)を用いた 。PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびEcoRI 化した。このDNA断片をP Ac -5P+Ecoとした。

 次に、特開2008-029218号公報[0038]に記載のKN K-005AS株の染色体DNAのbktB遺伝子の開始コドン 前をDNA挿入部位と設定し、以下の手順で該 伝子の開始コドンより上流側の塩基配列か なるDNAを作製した。

 特開2008-029218号公報[0036]に記載のKNK-005株の ノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号8 および配列番号9で示されるプライマーを用 てPCRを行い、bktB遺伝子の開始コドンより上 の塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃ 2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30秒を2 5サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD-plus- 用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素BamHIおよ びEcoRIで2酵素同時消化した。このDNA断片をP bktB -Bam+Ecoとした。

 P Ac -5P+EcoおよびP bktB -Bam+Ecoをライゲーションし、ライゲート液中 生成したDNAを鋳型DNAとして配列番号8および 配列番号7で示されるプライマーを用いてPCR 行った。PCRは(1)98℃で2分、98℃で15秒、60℃ 30秒、68℃で50秒を25サイクル繰り返し、ポリ メラーゼはKOD-plus-を用いた。PCRで得たDNA断片 を末端リン酸化およびBamHI消化した。このDNA 片をbPac-5P+Bamとした。

 次に、該遺伝子の開始コドンより下流側 塩基配列からなるDNAを作製した。KNK-005株の ゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として、配列番号 10および配列番号11で示されるプライマーを いてPCRを行い、bktB遺伝子の開始コドンより 流側の塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)9 8℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30 を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD-p lus-を用いた。PCRで得たDNA断片を末端リン酸 およびClaI消化した。このDNA断片をORF-5P+Claと した。

 bPac-5P+BamとORF-5P+Claをライゲーションし、 イゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして 列番号8および配列番号11で示されるプライ ーを用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、( 2)98℃で15秒、60℃で30秒、68℃で1分30秒、を25 イクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を いた。PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで2酵 素同時消化した。このDNA断片を、ベクターpBl uescript II KS(-)(TOYOBO製)の同制限酵素で消化し た部位にサブクローニングした。得られたベ クターをbAO/pBluとした。APPLIED BIOSYSTEMS社製の DNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzerを用い 塩基配列を決定し、鋳型としたDNAの塩基配 と同一であることを確認した。

 続いて、特開2008-029218号公報[0037]に記載 pSACKmを制限酵素NotIで処理することによって ナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子を含 む約5.7kbのDNA断片を切り出した。これを、bAO/ pBluの同酵素で切断した部位に挿入して遺伝 破壊・挿入用プラスミドbAO/pBlu/SacB-Kmを作製 た。

 <遺伝子挿入株Pac-bktB/AS株の作製>
 次に、KNK-005AS株を親株としてbAO/pBlu/SacB-Kmを 用いてbktB遺伝子の開始コドン直前にphaCのプ モーターおよびリボソーム結合部位を含む 基配列からなるDNAが挿入された菌株を作製 た。遺伝子挿入用プラスミドbAO/pBlu/SacB-Kmで 大腸菌S17-1株(ATCC47005)を形質転換した。得ら た形質転換体をKNK-005AS株とNutrient Agar培地(Di fco社製)上で混合培養して接合伝達を行った 250mg/Lのカナマイシンを含むシモンズ寒天培 (クエン酸ナトリウム2g/L、塩化ナトリウム5g /L、硫酸マグネシウム・7水和物0.2g/L、リン酸 二水素アンモニウム1g/L、リン酸水素二カリ ム1g/L、寒天15g/L、pH6.8)上で生育してきた菌 を選択して、プラスミドがKNK-005AS株の染色 上に組み込まれた株を取得した。この株をNu trient Broth培地(Difco社製)で2世代培養した後、 15%のシュークロースを含むNutrient Agar培地上 希釈して塗布し、生育してきた菌株を選択 て2回目の組換えが生じた株を取得した。さ らにPCRによる解析により所望の遺伝子挿入株 を単離した。

 この遺伝子挿入株をPac-bktB/AS株と命名し DNAシークエンサー3130xl Genetic Analyzerを用い 塩基配列を決定し、bktB遺伝子の開始コドン 直前にphaCのプロモーターおよびリボソーム 合部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入さ た株であることを確認した。

 (実施例2) Pre-bktB/AS株の作製
 <遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製 >
 挿入用DNAとして C necator のphbCのプロモーターおよびリボソーム結合 位を含む塩基配列からなるDNA(以下Preとする) を次のように作製した。KNK-005株のゲノムDNA テンプレートとして配列番号12および配列番 号13で示されるプライマーを用いて、PCRを行 た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で15秒、54℃で3 0秒、68℃で25秒、を25サイクル繰り返し、ポ メラーゼはKOD-plus-を用いた。PCRで得たDNA断 を末端リン酸化した。このDNA断片をP re -5Pとした。

 次に、KNK-005AS株の染色体DNAのbktB遺伝子の 開始コドン直前をDNA挿入部位と設定した。

 bktB遺伝子の開始コドンより下流側の塩基 配列からなるDNAとして実施例1で作製したORF-5 P+Claを用いた。

 P re -5PおよびORF-5P-Claをライゲーションし、ライ ート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列 号12および配列番号11で示されるプライマー 用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98 で15秒、54℃で30秒、68℃で50秒、を25サイク 繰り返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた PCRで得たDNA断片を末端リン酸化およびClaI消 した。このDNA断片をPRO-5P+Claとした。

 次に、該遺伝子の開始コドンより上流側の 列を作製した。KNK-005株のゲノムDNAを鋳型DNA の供給源として、配列番号8および配列番号14 で示されるプライマーを用いてPCRを行い、bkt B遺伝子の開始コドンより上流側の塩基配列 らなるDNAを得た。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で 15秒、58℃で30秒、68℃で20秒、を25サイクル繰 り返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた。PCR で得たDNA断片を末端リン酸化およびBamHI消化 た。このDNA断片をP bktB -5P+Bamとした。

 P bktB -5P+BamとPRO-5P+Claをライゲーションし、ライゲ ト液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配列番 9および配列番号11で示されるプライマーを いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃ 15秒、60℃で30秒、68℃で1分30秒、を25サイク 繰り返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで2酵素同時 消化した。このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(-)を同制限酵素で消化した部位に、サ クローニングした。得られたベクターをbRO/p Bluとした。塩基配列を決定し、鋳型としたDNA の塩基配列と同一であることを確認した。

 続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理するこ とによってカナマイシン耐性遺伝子およびsac B遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。 これを、bRO/pBluの同酵素で切断した部位に挿 して遺伝子破壊・挿入用プラスミドbRO/pBlu/S acB-Kmを作製した。

 <遺伝子挿入株Pre-bktB/AS株の作製>
 実施例1の遺伝子置換株の作製方法と同様に して、KNK-005AS株を親株としてbRO/pBlu/SacB-Kmを いてbktB遺伝子の開始コドン直前にphbCのプロ モーターおよびリボソーム結合部位を含む塩 基配列からなるDNAが挿入された菌株を作製し た。このDNA挿入株をPre-bktB/AS株と命名した。 基配列を決定し、bktB遺伝子の開始コドン直 前にphbCのプロモーターおよびリボソーム結 部位を含む塩基配列からなるDNAが挿入され 株であることを確認した。

 (実施例3) BAB3/AS株の作製
 <遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製 >
 DNA挿入位置をKNK-005AS株の染色体DNAのbktB遺伝 子の開始コドン上流側91塩基目と92塩基目の 、即ちbktB遺伝子の上流に存在するORFの停止 ドン直後と設定した。

 挿入用DNAとして、 A caviae のphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合 部位を含む塩基配列からなるDNAを次のように 作製した。

  A caviae のゲノムDNAをテンプレートとして配列番号15 よび配列番号16で示されるプライマーを用 て、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で 15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り 返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた。PCRで 得たDNA断片をMunI消化した。このDNA断片をP Ac -Mun/3とした。

 また以下の手順で挿入部位より上流側の 基配列からなるDNAを作製した。

 KNK-005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源とし て、配列番号17および配列番号18で示される ライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の上 側ORFの塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)9 8℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30 を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD-p lus-を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素MunI 消化した。このDNA断片をmiaB-Mun/3とした。

 P Ac -Mun/3およびmiaB-Mun/3をライゲーションし、ラ ゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配 番号17および配列番号16で示されるプライマ を用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)9 8℃で15秒、60℃で30秒、68℃で60秒を25サイク 繰り返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで消化した このDNA断片をBAB3-Bam+Claとした。

 このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(-) の同制限酵素で消化した部位にサブクローニ ングした。得られたベクターをBAB3/pBluとした 。塩基配列を決定し、所望の塩基配列である ことを確認した。

 続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理するこ とによってカナマイシン耐性遺伝子およびsac B遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。 これを、BAB3/pBluの同酵素で切断した部位に挿 入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドBAB3/pBlu /SacB-Kmを作製した。

 <遺伝子挿入株BAB3/AS株の作製>
 実施例1の遺伝子挿入株の作製方法と同様に して、KNK-005AS株を親株としてBAB3/pBlu/SacB-Kmを いてbktB構造遺伝子の開始コドンの上流側に phaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部 位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌 株を作製した。このDNA挿入株をBAB3/AS株と命 した。塩基配列を決定し、bktB遺伝子の開始 ドン上流側91塩基目と92塩基目の間にphaPCJの プロモーターおよびリボソーム結合部位を含 む塩基配列からなるDNAが挿入された株である ことを確認した。

 (実施例4) BAB4/AS株の作製
 <遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製 >
 DNA挿入位置をKNK-005AS株の染色体DNAのbktB遺伝 子の開始コドン上流側65塩基目と66塩基目の 、即ちbktB遺伝子の上流に存在するORFの停止 ドンから26塩基下流と設定した。

 挿入用DNAとして、 A caviae のphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合 部位を含む塩基配列からなるDNAを次のように 作製した。

  A caviae のゲノムDNAをテンプレートとして配列番号15 よび配列番号19で示されるプライマーを用 て、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で 15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り 返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた。PCRで 得たDNA断片をMunI消化した。このDNA断片をP Ac -Mun/4とした。

 また以下の手順で挿入部位より上流側の 基配列からなるDNAを作製した。

 KNK-005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源とし て、配列番号17および配列番号20で示される ライマーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の上 側ORFの塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)9 8℃で2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30 を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD-p lus-を用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素MunI 消化した。このDNA断片をmiaB-Mun/4とした。

 P Ac -Mun/4およびmiaB-Mun/4をライゲーションし、ラ ゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配 番号17および配列番号19で示されるプライマ を用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)9 8℃で15秒、60℃で30秒、68℃で60秒を25サイク 繰り返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで消化した このDNA断片をBAB4-Bam+Claとした。

 このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(-) の同制限酵素で消化した部位にサブクローニ ングした。得られたベクターをBAB4/pBluとした 。塩基配列を決定し、所望の塩基配列である ことを確認した。

 続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理するこ とによってカナマイシン耐性遺伝子およびsac B遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。 これを、BAB4/pBluの同酵素で切断した部位に挿 入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドBAB4/pBlu /SacB-Kmを作製した。

 <遺伝子挿入株BAB4/AS株の作製>
 実施例1の遺伝子挿入株の作製方法と同様に して、KNK-005AS株を親株としてBAB4/pBlu/SacB-Kmを いてbktB構造遺伝子の開始コドンの上流側に phaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合部 位を含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌 株を作製した。このDNA挿入株をBAB4/AS株と命 した。塩基配列を決定し、bktB構造遺伝子の 始コドン上流側65塩基目と66塩基目の間にpha PCJのプロモーターおよびリボソーム結合部位 を含む塩基配列からなるDNAが挿入された株で あることを確認した。

 (実施例5) BAB5/AS株の作製
 <遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製 >
 DNA挿入位置をKNK-005AS株の染色体DNAのbktB遺伝 子の開始コドン上流側58塩基目と59塩基目の 、即ちbktB遺伝子の上流に存在するORFの停止 ドンから33塩基下流と設定した。

 挿入用DNAとして、 A caviae のphaPCJのプロモーターおよびリボソーム結合 部位を含む塩基配列からなるDNAを次のように 作製した。

  A caviae のゲノムDNAをテンプレートとして配列番号15 よび配列番号21で示されるプライマーを用 て、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で 15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り 返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた。PCRで 得たDNA断片をMunI消化した。このDNA断片をP Ac -Mun/5とした。

 また以下の手順で挿入部位より上流側の塩 配列からなるDNAを作製した。
KNK-005株のゲノムDNAを鋳型DNAの供給源として 配列番号17および配列番号22で示されるプラ マーを用いてPCRを行い、bktB遺伝子の上流側 ORFの塩基配列からなるDNAを得た。PCRは(1)98℃ 2分、(2)98℃で15秒、64℃で30秒、68℃で30秒を 25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD-plus- 用いた。PCRで得たDNA断片を制限酵素MunIで消 化した。このDNA断片をmiaB-Mun/5とした。

 P Ac -Mun/5およびmiaB-Mun/5をライゲーションし、ラ ゲート液中に生成したDNAを鋳型DNAとして配 番号17および配列番号21で示されるプライマ を用いてPCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)9 8℃で15秒、60℃で30秒、68℃で60秒を25サイク 繰り返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた PCRで得たDNA断片をBamHIおよびClaIで消化した このDNA断片をBAB5-Bam+Claとした。

 このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(-) の同制限酵素で消化した部位にサブクローニ ングした。得られたベクターをBAB5/pBluとした 。塩基配列を決定し、所望の塩基配列からな るDNAであることを確認した。

 続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理するこ とによってカナマイシン耐性遺伝子およびsac B遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。 これを、BAB5/pBluを同酵素で切断した部位に挿 入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドBAB5/pBlu /SacB-Kmを作製した。

 <遺伝子挿入株BAB5/AS株の作製>
 実施例1の遺伝子挿入株の作製方法と同様に して、KNK-005AS株を親株としてBAB5/pBlu/SacB-Kmを いてbktB遺伝子の開始コドンの上流側にphaPCJ のプロモーターおよびリボソーム結合部位を 含む塩基配列からなるDNAが挿入された菌株を 作製した。このDNA挿入株をBAB5/AS株と命名し 。塩基配列を決定し、bktB遺伝子の開始コド 上流側58塩基目と59塩基目の間にphaPCJのプロ モーターおよびリボソーム結合部位を含む塩 基配列からなるDNAが挿入された株であること を確認した。

 (実施例6) BRB5/AS株の作製
 <遺伝子挿入用プラスミドベクターの作製 >
 DNA挿入位置をKNK-005AS株の染色体DNAのbktB遺伝 子の開始コドン上流側58塩基目と59塩基目の 、即ちbktB遺伝子の上流に存在するORFの停止 ドンから33塩基下流と設定した。

 挿入用DNAとして C necator のphbCのプロモーターおよびリボソーム結合 位を含む塩基配列からなるDNAを次のように 製した。

  C necator のゲノムDNAをテンプレートとして配列番号23 よび配列番号24で示されるプライマーを用 て、PCRを行った。PCRは(1)98℃で2分、(2)98℃で 15秒、60℃で30秒、68℃で20秒を25サイクル繰り 返し、ポリメラーゼはKOD-plus-を用いた。PCRで 得たDNA断片を制限酵素MunIで消化した。このDN A断片をP Re -Mun/5とした。

 P Re -Mun/5および実施例5で調製したmiaB-Mun/5をライ ーションし、ライゲート液中に生成したDNA 鋳型DNAとして配列番号17および配列番号24で 示されるプライマーを用いてPCRを行った。PCR は(1)98℃で2分、98℃で15秒、60℃で30秒、68℃ 60秒を25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはK OD-plus-を用いた。PCRで得たDNA断片をBamHIおよ ClaIで消化した。このDNA断片をBRB5-Bam+Claとし 。

 このDNA断片を、ベクターpBluescript II KS(-) の同制限酵素で消化した部位にサブクローニ ングした。得られたベクターをBRB5/pBluとした 。塩基配列を決定し、所望の塩基配列からな るDNAであることを確認した。

 続いて、pSACKmを制限酵素NotIで処理するこ とによってカナマイシン耐性遺伝子およびsac B遺伝子を含む約5.7kbのDNA断片を切り出した。 これを、BRB5/pBluを同酵素で切断した部位に挿 入して遺伝子破壊・挿入用プラスミドBRB5/pBlu /SacB-Kmを作製した。

 <遺伝子挿入株BRB5/AS株の作製>
 実施例1の遺伝子挿入株の作製方法と同様に して、KNK-005AS株を親株としてBRB5/pBlu/SacB-Kmを いてbktB遺伝子の開始コドンの上流側にphbC プロモーターおよびリボソーム結合部位を む塩基配列からなるDNAが挿入された菌株を 製した。このDNA挿入株をBRB5/AS株と命名した 塩基配列を決定し、bktB構造遺伝子の開始コ ドン上流側58塩基目と59塩基目の間にphbCのプ モーターおよびリボソーム結合部位を含む 基配列からなるDNAが挿入された株であるこ を確認した。

 (実施例7)
 <ccr遺伝子のクローニング及び発現ユニッ ト構築>
 クロトニル-CoAを、3HHモノマーの前駆体であ るブチリル-CoAに変換する酵素をコードするcc r遺伝子を、ストレプトマイセス・シンナモ ンシス( Streptomycescinnamonensis )Okami株(DSM 1042)の染色体DNAからクローニング た。配列番号25及び配列番号26記載のDNAをプ ライマーとしPCRを行った。その条件は(1)98℃ 2分、(2)94℃で10秒、55℃で20秒、68℃で90秒を 25サイクル繰り返し、ポリメラーゼはKOD-plus- 用いた。PCRで増幅した断片を精製後、制限 素BamHI及びAflIIで切断した。EE32d13断片(J.Bacte riol., 179, 4821 (1997))を、pUC19ベクターのEcoRI 位にサブクローニングし、このプラスミド BglIIとAflIIで切断し、BamHI及びAflII断片とした ccr遺伝子と断片を置換することによってccr発 現ユニットを構築した。

 (実施例8)
 <phaC遺伝子のクローニング及び発現ユニ ト調製>
 配列番号4を含むphaC発現ユニットをSpeI断片 して調製した。特開2007-228894号公報[0031]に 載のHG::P Re -N149S/D171G-T/pBluを鋳型とし、配列番号27と配列 番号28に示すプライマーとしてPCRを行った。 の条件は(1)98℃で2分、(2)94℃で10秒、55℃で3 0秒、68℃で2分を25サイクル繰り返し、ポリメ ラーゼはKOD-plus-を用いた。PCRで増幅した断片 を精製後、制限酵素SpeIで切断して発現ユニ トを調製した。

 (実施例9)
 <発現ベクターの構築>
 発現ベクターpCUP2-631は以下のようにして構 した。
C necator における発現ベクター構築用のプラスミドベ クターとしては、国際公開公報WO/2007/049716号 報[0041]に記載のpCUP2を用いた。まず実施例7 構築したccr遺伝子発現ユニットをEcoRI処理 より切り出し、この断片をMunIで切断したpCUP 2と連結した。次に実施例8で作製したphaC発現 ユニットをSpeI断片として調製し、ccr遺伝子 現ユニットを含むpCUP2のSpeI部位に挿入してpC UP2-631ベクターを構築した。

 (実施例10)形質転換細胞の作製
 pCUP2-631ベクターの種々の細胞への導入は以 のように電気導入によって行った。遺伝子 入装置はBiorad社製のジーンパルサーを用い キュベットは同じくBiorad社製のgap0.2cmを用 た。キュベットに、コンピテント細胞400μl 発現ベクター20μlを注入してパルス装置にセ ットし、静電容量25μF、電圧1.5kV、抵抗値800ω の条件で電気パルスをかけた。パルス後、キ ュベット内の菌液をNutrientBroth培地(DIFCO社製) 30℃、3時間振とう培養し、選択プレート(Nut rientAgar培地(DIFCO社製)、カナマイシン100mg/L)で 、30℃にて2日間培養して、生育してきた形質 転換体を取得した。

 (実施例11)
 作製した種々の形質転換体の培養を行った 前培地の組成は1%(w/v)Meat-extract、1%(w/v)Bacto-Tr ypton、0.2%(w/v)Yeast-extract、0.9%(w/v)Na 2 HPO 4 ・12H 2 O、および、0.15%(w/v)KH 2 PO 4 で、pH6.7に調整した。

 ポリエステル生産培地の組成は1.1%(w/v)Na 2 HPO 4 ・12H 2 O、0.19%(w/v)KH 2 PO 4 、0.6%(w/v)(NH 4 ) 2 SO 4 、0.1%(w/v)MgSO 4 ・7H 2 O、0.5%(v/v)微量金属塩溶液(0.1N塩酸に1.6%(w/v)FeC l 3 ・6H 2 O、1%(w/v)CaCl 2 ・2H 2 O、0.02%(w/v)CoCl 2 ・6H 2 O、0.016%(w/v)CuSO 4 ・5H 2 O、0.012%(w/v)NiCl 2 ・6H 2 O、0.01%(w/v)CrCl 3 ・6H 2 Oを溶かしたもの。)とした。炭素源としてPKOO (パーム核油オレイン画分)を流加する流加培 にて行った。

 それぞれの形質転換体のグリセロールス ックを前培地に接種して20時間培養し、2.5L ポリエステル生産培地を入れた5Lジャーフ ーメンター(丸菱バイオエンジ製MD-500型)に10% (v/v)接種した。運転条件は、培養温度28℃、 拌速度420rpm、通気量0.6vvmとし、pHは6.6から6.8 の間でコントロールした。コントロールには 14%のアンモニア水を使用した。培養は65時間 で行った。培養後遠心分離によって菌体を 収し、メタノールで洗浄後、凍結乾燥し、3 HH組成比率を分析した。

 生産されたポリエステルの3HH組成分析は 下のようにガスクロマトグラフィーによっ 測定した。乾燥ポリエステルの約20mgに2mlの 硫酸-メタノール混液(15:85)と2mlのクロロホル を添加して密栓し、100℃で140分間加熱して ポリエステル分解物のメチルエステルを得 。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウム を少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生が とまるまで放置した。4mlのジイソプロピルエ ーテルを添加してよく混合した後、遠心して 、上清中のポリエステル分解物のモノマーユ ニット組成をキャピラリーガスクロマトグラ フィーにより分析した。ガスクロマトグラフ は島津製作所GC-17A、キャピラリーカラムはGL イエンス社製NEUTRABOND-1(カラム長25m、カラム 内径0.25mm、液膜厚0.4μm)を用いた。キャリア スとしてHeを用い、カラム入口圧100kPaとし、 サンプルは1μlを注入した。温度条件は、初 温度100から200℃まで8℃/分の速度で昇温、さ らに200から290℃まで30℃/分の速度で昇温した 。上記条件にて分析した結果、化学式(1)に示 すような共重合体ポリエステルP(3HB-co-3HH)で った。乾燥菌体重量、ポリマー含量、3HH比 を表1に示した。

 (式中、m、nは1以上の整数を表す)