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Title:
LIQUID EJECTING HEAD, LIQUID EJECTING RECORDING DEVICE, AND LIQUID CHARGING METHOD FOR LIQUID EJECTING HEAD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/147944
Kind Code:
A1
Abstract:
A liquid ejecting head (10) provided with a nozzle body (23) having a nozzle row (31c) composed of nozzle holes (31a) comprises a nozzle guard (24) formed so as to cover the nozzle row (31c).  The nozzle guard (24) is provided with a top plate section (24a) located spaced from the surface of the nozzle body (23) and having formed therein a slit (24c) opposed to the nozzle row (31c), closing sections (24b) for closing between the nozzle body (23) and the peripheral edges of the top plate section (24a), and a suction flow path (15) having a suction opening (15a) open below the nozzle row (23c) and communicating with a space (S) on the inner side of the nozzle guard (24).  A suction section (16) connected to the suction flow path (15) causes the space (S) on the inner side of the nozzle guard (24) to be a negative pressure chamber (R), and a first liquid (Y) overflowing into the negative pressure chamber (R) is sucked from the nozzle hole (15a).

Inventors:
SAKATA AKIFUMI (JP)
TOMINAGA KAZUYOSHI (JP)
WATANABE TOSHIAKI (JP)
TODA MASATOSHI (JP)
SADAKI AKIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059205
Publication Date:
December 10, 2009
Filing Date:
May 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SII PRINTEK INC (JP)
SAKATA AKIFUMI (JP)
TOMINAGA KAZUYOSHI (JP)
WATANABE TOSHIAKI (JP)
TODA MASATOSHI (JP)
SADAKI AKIHIRO (JP)
International Classes:
B41J2/18; B41J2/175; B41J2/185
Foreign References:
JPH0584930A1993-04-06
JPH11505481A1999-05-21
JPH0232857A1990-02-02
JP2006043963A2006-02-16
JP2002052742A2002-02-19
JP2006168077A2006-06-29
JP2006082344A2006-03-30
JP2001334684A2001-12-04
JP2007216442A2007-08-30
JP2006231772A2006-09-07
JPH11334106A1999-12-07
JP2003320673A2003-11-11
JPH05116338A1993-05-14
Other References:
See also references of EP 2298560A4
Attorney, Agent or Firm:
MATSUSHITA, YOSHIHARU (JP)
Matsushita Yoshiharu (JP)
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Claims:
 複数のノズル孔からなるノズル列を有するノズル体と、前記各ノズル孔と対となって該ノズル孔に連通する複数の圧力発生室と、該圧力発生室に第一液体を供給する液体供給系と、前記圧力発生室に隣接配置されたアクチュエータとを備え、
 前記アクチュエータを駆動して該圧力発生室を加圧し、該圧力発生室内の前記第一液体を前記ノズル孔のノズル噴射口から噴射させる液体噴射ヘッドにおいて、
 前記ノズル列を覆うように形成されたノズルガードを備え、前記ノズルガードは、前記ノズル体の表面から離間配置され前記ノズル列と対向するスリットが形成された天板部と、前記天板部の周縁部と前記ノズル体との間を密閉する密閉部と、
 前記ノズル列の下方に吸引口が開口し前記ノズルガードの内側空間と連通する吸引流路とを備え、
前記吸引流路に接続される吸引部によって前記ノズルガードの内側空間を負圧室とし、前記ノズル孔から前記負圧室内に溢れ出た前記第一液体を吸引することを特徴とする液体噴射ヘッド。
 前記吸引口は、前記スリットと対向しない位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
 前記吸引口は、前記負圧室の重力方向最下部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
 前記スリットは、該スリットの長手方向を重力方向に向けて形成されると共に、下端部が円形状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
 前記ノズルガードの内側下部に前記吸引口へ収束する傾斜部が設けられ、
 前記傾斜部では、前記ノズル体の表面に平行で前記ノズル列に垂直な方向の幅寸法が前記吸引口に向けて漸次小となっていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
 前記ノズルガードの内側下部に前記吸引口へ収束する傾斜部が設けられ、
 前記傾斜部では、前記ノズル体の表面に垂直な方向における前記ノズル体との距離が前記吸引口に向けて漸次小となっていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
 前記ノズルガードの表面のうち、少なくとも外方に露出する外表面に撥水膜が形成されていることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
 前記ノズルガードの表面うち、前記負圧室と接する内表面に親水膜が形成されていることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
 前記ノズルガードの前記天板部に、前記負圧室側に窪む窪み部が形成され、
 該窪み部の底面に前記スリットが形成されていることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
 前記ノズルガードの前記天板部に、前記負圧室側に突出し、かつ、前記スリットを環状に囲繞する環状突出壁が形成されていることを特徴とする請求項1から9のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
 請求項1から10のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドを備え、
前記液体供給系に前記第一液体を供給し得るように構成された液体供給部を備えていることを特徴とする液体噴射記録装置。
請求項1から10のうちいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドを備え、
前記液体供給系に前記第一液体と第二液体とを切り換え供給し得るように構成された液体供給部を備えていることを特徴とする液体噴射記録装置。
請求項11または12に記載の液体噴射記録装置であって、
前記負圧室内に溢れ出た前記第一液体を吸引することで回収し、前記圧力発生室に該第一液体を供給する再利用液体供給系を有することを特徴とする液体噴射記録装置。
請求項13に記載の液体噴射記録装置であって、
前記再利用液体供給系に、フィルタ部もしくは脱気装置を有することを特徴とする液体噴射記録装置。
 複数のノズル孔からなるノズル列を有するノズル体と、前記各ノズル孔と対となって該ノズル孔に連通する複数の圧力発生室と、該圧力発生室に第一液体を供給する液体供給系と、前記圧力発生室に隣接配置されたアクチュエータとを備え、
 前記アクチュエータを駆動して該圧力発生室を加圧し、該圧力発生室内の前記第一液体を前記ノズル孔のノズル噴射口から噴射させると共に、
 前記ノズル列を覆うように形成されたノズルガードを備え、前記ノズルガードは、前記ノズル体の表面から離間配置され前記ノズル列と対向するスリットが形成された天板部と、前記天板部の周縁部と前記ノズル体との間を密閉する密閉部と、
 前記ノズル列の下方に吸引口が開口し前記ノズルガードの内側空間と連通する吸引流路とを備え、
前記吸引流路に接続される吸引部によって前記ノズルガードの内側空間を負圧室とし、前記ノズル孔から前記負圧室内に溢れ出た前記第一液体を吸引することを特徴とする液体噴射ヘッドの液体充填方法であって、
 前記吸引部により前記負圧室を大気圧より負圧とした状態で、前記液体供給系を用いて前記第一液体を前記圧力発生室まで加圧充填することを特徴とする液体噴射ヘッドの液体充填方法。
前記吸引部により前記負圧室を大気圧より負圧とした状態で、前記加圧充填を終了することを特徴とする請求項15に記載の液体噴射ヘッドの液体充填方法。
請求項15に記載の液体噴射記録装置の使用方法であって、
前記吸引部を第1出力により動作させることで、前記内側空間を負圧室とし、前記吸引流路を介して前記噴射孔列から漏出した前記液体を吸引する液体充填モードを有することを特徴とする液体噴射記録装置の使用方法。
 請求項15に記載の液体噴射記録装置の使用方法であって、
 前記吸引部を第1出力により動作させることで、前記内側空間を負圧室とし、前記吸引流路を介して前記噴射孔列から漏出した前記液体を吸引する液体充填モードと、
 前記吸引部を前記第1出力よりも小さい第2出力によって動作させ、前記噴射孔列から被記録媒体へ前記液体を噴射して前記被記録媒体に記録を行う通常使用モードとを切替制御することを特徴とする液体噴射記録装置の使用方法。
Description:
液体噴射ヘッド、液体噴射記録 置及び液体噴射ヘッドの液体充填方法

 本発明は、ノズル噴射口より液体を噴射 て被記録媒体に画像や文字を記録する液体 射ヘッド、液体噴射記録装置及び液体噴射 ッドの液体充填方法に関するものである。

 一般に、液体噴射記録装置、例えば各種 刷を行うインクジェットプリンタは、被記 媒体を搬送する搬送装置と、インクジェッ ヘッドとを備えている。ここで用いられる ンクジェットヘッドとしては、複数のノズ 孔からなるノズル列を有するノズル体と、 ノズル孔と対となって該ノズル孔に連通す 複数の圧力発生室と、該圧力発生室にイン を供給するインク供給系と、圧力発生室に 接配置された圧電アクチュエータとを備え おり、圧電アクチュエータを駆動して圧力 生室を加圧し、圧力発生室内のインクをノ ル孔のノズル噴射口から噴射させるものが られている。

 このようなインクジェットプリンタの一 として、上記インクジェットヘッドを記録 (被記録媒体)の搬送方向と直交する方向に 動させるキャリッジを設け、記録紙に印刷 施すものが知られている。この種のインク ェットプリンタでは、インクジェットヘッ の可動範囲内にメンテナンスのためのサー スステーションを設け、このサービスステ ションまでインクジェットヘッドを移動さ て、ノズル孔をクリーニングしたり、イン ジェットヘッドにキャップを被せて負圧吸 しノズル孔にインクを初期充填したりして る。

 また、上記インクジェットプリンタと異 る種のものとして、箱体などの比較的に大 の被記録媒体に用いられ、インクジェット ッドを固定して搬送される被記録媒体に印 を施すものがある。この種のインクジェッ プリンタでは、インクジェットヘッドを移 させることができず、また、インクジェッ ヘッドと被記録媒体との間やインクジェッ ヘッドの下方にサービスステーションを設 るスペースが少ない。このため、インクを 力発生室に初期充填する際には、インク供 系側からインクを加圧して充填するのが通 である。

 この加圧充填では、ノズル孔から垂れ流 となる余剰インクによってインクジェット ッド及びインクジェットプリンタ近傍が汚 されることを防止するため、また、インク 填後のインクの噴射が不安定になることを 止するために、余剰インクを除去する手段 講じなければならない。また、初期充填の 面だけでなく、通常使用時にノズル体上を れるインクを回収する場面でも同様である

下記特許文献1には、インクジェットヘッ の下部に、板状多孔質吸収体からなりノズ 形成面より外方に突出したインク案内部材 びこのインク案内部材に接続されたブロッ 型インク吸収体を設け、余剰インクをイン 案内部材で受け止めると共にインク吸収体 で導き、この導いた余剰インクをインク吸 体に吸収させるインクジェットヘッドが開 されている。

特開平5-116338号公報

 しかしながら、従来の技術では、インクジ ットヘッドの下部にインク案内部材とイン 吸収体を設けるので、インクジェットヘッ の下部を有効利用することができないとい 問題があった。また、一定制約下でインク ェットプリンタを設計した場合に被記録媒 の下部に印刷を行うことが出来ないという 題があった。
 さらに、従来の技術では、余剰インクをイ ク吸収体に吸収させるだけであるので、回 することができる余剰インクの量に限界が るという問題があった。

 本発明は、このような事情を考慮してなさ たもので、以下を目的とする。
(1)液体噴射ヘッドのスペースファクタを向上 させ、液体噴射記録装置の設計の自由度を向 上させる。
(2)余剰液体の回収能力を向上させて、余剰液 体による汚染を防止すると共に液体充填後の 液体噴射を安定させる。
(3)簡素な構成で液体噴射記録装置の初期充填 を実現する。

 上記目的を達成するために、本発明は以下 手段を採用している。
液体噴射ヘッドに係る解決手段として、複数 のノズル孔からなるノズル列を有するノズル 体と、前記各ノズル孔と対となって該ノズル 孔に連通する複数の圧力発生室と、該圧力発 生室に第一液体を供給する液体供給系と、前 記圧力発生室に隣接配置されたアクチュエー タとを備え、前記アクチュエータを駆動して 該圧力発生室を加圧し、該圧力発生室内の前 記第一液体を前記ノズル孔のノズル噴射口か ら噴射させる液体噴射ヘッドにおいて、前記 ノズル列を覆うように形成されたノズルガー ドを備え、前記ノズルガードは、前記ノズル 体の表面から離間配置され前記ノズル列と対 向するスリットが形成された天板部と、前記 天板部の周縁部と前記ノズル体との間を密閉 する密閉部と、前記ノズル列の下方に吸引口 が開口し前記ノズルガードの内側空間と連通 する吸引流路とを備え、前記吸引流路に接続 される吸引部によって前記ノズルガードの内 側空間を負圧室とし、前記ノズル孔から前記 負圧室内に溢れ出た前記第一液体を吸引する 、という手段を採用する。

 この発明によれば、液体の初期充填時や通 使用時の余剰液体が、スリットでのみ外部 連通する負圧室に流出すると共に、負圧室 部の気体がスリットを介して負圧室に流入 る。これにより、余剰液体がスリットから 部に漏出し難い状態で負圧室を移動し、吸 口から吸引流路内に吸引されて外部へと排 されるので、ノズル噴射口から流れ出た液 を回収するスペースを極めて小さいものと 、液体噴射ヘッドのスペースファクタを向 させることができると共に、液体噴射記録 置の設計の自由度を向上させることができ 。
 また、吸引流路により液体を連続して排出 ることができるので、余剰液体の回収能力 極めて高く、多量の余剰液体が流出した場 であっても余剰液体による汚染を防止する とができると共に、液体充填後の液体噴射 安定させることができる。
 また、ノズル面をワイパーによって清掃す 必要が無い上に、ワイパー等の清掃装置が 備されているサービスステーションを設け ことなく、ノズルガードと、吸引流路と、 引部とで余剰液体を回収することができる で、簡素な構成で液体噴射記録装置の初期 填を実現することが可能となる。

 また、液体噴射ヘッドに係る解決手段とし 、前記吸引口は、前記スリットと対向しな 位置に設けられている、という手段を採用 る。
 この発明によれば、スリットから流入した 気が内側空間を経由してから吸引口に達す ので、内側空間を速やかに減圧することが き、負圧室の負圧状態を良好に継続させる とができる。これにより、余剰液体の回収 速やかに行うことができると共に多量の余 液体の回収を安定的に行うことができる。

 また、液体噴射ヘッドに係る解決手段とし 、前記吸引口は、前記負圧室の重力方向最 部に設けられている、という手段を採用す 。
 この発明によれば、最下部において余剰液 が吸引されるので、下方に流れて最下部近 に到達した余剰液体を効率よく吸引するこ ができる。

 また、液体噴射ヘッドに係る解決手段とし 、前記スリットは、該スリットの長手方向 重力方向に向けて形成されると共に、下端 が円形状に形成されている、という手段を 用する。
 この発明によれば、余剰液体がスリットか 外部に漏出しようとしても、スリット下端 において表面張力により維持された液体の 面が破壊され難く、負圧室に余剰液体が留 り易くなるので、余剰液体の漏出による汚 を防止することができると共に余剰液体の 収能力を向上させることができる。

 また、液体噴射ヘッドに係る解決手段とし 、前記ノズルガードの内側下部に前記吸引 へ収束する傾斜部が設けられ、前記傾斜部 は、前記ノズル体の表面に平行で前記ノズ 列に垂直な方向の幅寸法が前記吸引口に向 て漸次小となっている、という手段を採用 る。
 この発明によれば、負圧室下部に達した余 液体が幅方向において吸引口に向かって流 て吸引口近傍に達するので、吸引口に吸引 れ易くなる。これにより、余剰液体を効率 く吸引することが可能となり、余剰液体の 収能力が向上する。

 また、液体噴射ヘッドに係る解決手段とし 、前記ノズルガードの内側下部に前記吸引 へ収束する傾斜部が設けられ、前記傾斜部 は、前記ノズル体の表面に垂直な方向にお る前記ノズル体との距離が前記吸引口に向 て漸次小となっている、という手段を採用 る。
 この発明によれば、ノズル体の表面に垂直 方向におけるノズル体と傾斜部との距離が 吸引口に向かうほど近くなっているので、 斜部を下方に向けて流れる余剰液体が吸引 近傍に達する。これにより、余剰液体を効 よく吸引することが可能となり、余剰液体 回収能力が向上する。

 また、液体噴射ヘッドに係る解決手段とし 、前記ノズルガードの表面うち、少なくと 外方に露出する外表面に撥水膜が形成され いる、という手段を採用する。
 この発明によれば、余剰液体がスリットか 外部に漏出しようとしても、撥水膜にはじ れて負圧室に留まり易くなるので、余剰液 の回収能力が向上すると共に余剰液体の漏 による汚染が防止される。

 また、液体噴射ヘッドに係る解決手段とし 、前記ノズルガードの表面のうち、前記負 室と接する内表面に親水膜が形成されてい 、という手段を採用する。
 この発明によれば、余剰液体が負圧室を流 易くなってスリットから外部に漏出し難く ると共に、撥水膜にはじかれた余剰液体を 圧室に導くので、余剰液体がスリットから れ出ずに負圧室に留まり易くなる。

 また、液体噴射ヘッドに係る解決手段とし 、前記ノズルガードの前記天板部に、前記 圧室側に窪む窪み部が形成され、該窪み部 底面に前記スリットが形成されている、と う手段を採用する。
 この発明によれば、窪み部の底面にスリッ が形成されるので、ノズルガードが被記録 体等と接触した場合であっても、スリット 傍の撥水膜と接触させる確率を低減させて 水膜が剥離することを防止することができ 。

 また、液体噴射ヘッドに係る解決手段とし 、前記ノズルガードの前記天板部に、前記 圧室側に突出し、かつ、前記スリットを環 に囲繞する環状突出壁が形成されている、 いう手段を採用する。
この発明によれば、環状突出壁が内表面を伝 う余剰液体がスリットに向かうことを阻止す るので、スリットから余剰液体が漏出するこ とを防止することができる。特に、液体噴射 ヘッドのノズル噴射口を下方に向けて被記録 媒体に液体を噴射する場合において、負圧室 を復圧させた後の内側空間に余剰液体が残存 していたとしても、スリットから余剰液体が 漏出することを効果的に防止することができ る。

 また、液体噴射記録装置に係る解決手段と て、上記解決手段を採用したいずれかの液 噴射ヘッドを備え、前記液体供給系に第一 体を供給し得るように構成された液体供給 を備えている、という手段を採用する。
 この発明によれば、液体供給系に第一液体 供給されるので、例えば、第一液体をイン として、液体噴射ヘッドにインクを供給す ことができる。

 また、液体噴射記録装置に係る解決手段と て、上記解決手段を採用したいずれかの液 噴射ヘッドを備え、前記液体供給系に第一 体と第二液体とを切り換え供給し得るよう 構成された液体供給部を備えている、とい 手段を採用する。
この発明によれば、液体供給系に二種類の液 体が供給されるので、例えば、液体供給系に インクと洗浄液とを供給して、液体噴射ヘッ ドの清掃に対する労力を低減させると共に、 効率よく清掃をすることができる。これによ り、余剰液体の回収能力を回復させることが できる。

また、液体噴射記録装置に係る解決手段とし て、上記解決手段を採用したいずれかの液滴 噴射記録装置であって、負圧室内に溢れ出た 第一液体を吸引することで回収し、圧力発生 室に該第一液体を供給する再利用液体供給系 を有する、という手段を採用する。
この発明によれば、負圧室内に溢れ出た第一 液体を再利用することができる。

また、液体噴射記録装置に係る解決手段とし て、上記解決手段を採用したいずれかの液滴 噴射記録装置であって、再利用液体供給系に 、フィルタ部もしくは脱気装置を有するとい う手段を採用する。
この発明によれば、適切な状態の液体を再利 用することができる。

 また、液体噴射ヘッドの液体充填方法に係 解決手段として、複数のノズル孔からなる ズル列を有するノズル体と、前記各ノズル と対となって該ノズル孔に連通する複数の 力発生室と、該圧力発生室に第一液体を供 する液体供給系と、前記圧力発生室に隣接 置されたアクチュエータとを備え、前記ア チュエータを駆動して該圧力発生室を加圧 、該圧力発生室内の前記第一液体を前記ノ ル孔のノズル噴射口から噴射させると共に 前記ノズル列を覆うように形成されたノズ ガードを備え、前記ノズルガードは、前記 ズル体の表面から離間配置され前記ノズル と対向するスリットが形成された天板部と 前記天板部の周縁部と前記ノズル体との間 密閉する密閉部と、前記ノズル列の下方に 引口が開口し前記ノズルガードの内側空間 連通する吸引流路と、前記吸引流路に接続 れる吸引部によって前記ノズルガードの内 空間を負圧室とし、前記ノズル孔から前記 圧室内に溢れ出た前記第一液体を吸引する 体噴射ヘッドの液体充填方法であって、前 吸引部により前記負圧室を大気圧より負圧 した状態で、前記液体供給系を用いて前記 一液体を前記圧力発生室まで加圧充填する という手段を採用する。
 この発明によれば、内側空間が大気圧と同 の状態で液体を圧力発生室に加圧充填した 合に比べて、スリットから空気が連続的に 入するので、余剰液体がスリットから漏出 難く、また、吸引口が連続的に余剰液体を 出するので、余剰液体が内側空間(負圧室) 溜まってスリットから溢れ出ることもない これにより、余剰液体による汚染を防止し つ液体の充填が可能となり、液体充填後の 体噴射を安定させることができる。

 また、液体噴射ヘッドの液体充填方法に係 解決手段として、前記吸引部により前記負 室を大気圧より負圧とした状態で、前記加 充填を終了する、という手段を採用する。
この発明によれば、負圧室とした状態で、加 圧充填を終了し、負圧室に液体が流れ出なく なるので、内側空間を復圧させた後に圧力発 生室に加圧充填を終了した場合に比べて、余 剰液体がスリットから漏出し難く、また、ス リットから溢れ出ることもない。これにより 、余剰液体による汚染を防止しつつ液体の充 填が可能となり、液体充填後の液体噴射を安 定させることができる。

また、本発明の液体噴射記録装置の使用方法 は、上記本発明の液体噴射記録装置の使用方 法であって、前記吸引部を第1出力により動 させることで、前記内側空間を負圧室とし 前記吸引流路を介して前記噴射孔列から漏 した前記液体を吸引する液体充填モードを することを特徴としている。
 この構成によれば、吸引部を第1出力により 動作することで、噴射体ガードの内側空間が 大気圧よりも十分に負圧となった負圧室とな る。この場合、液体の初期充填時や通常使用 時に液体供給部から供給されて噴射孔列から 漏出した余剰液体は、スリットでのみ外部と 連通する負圧室に流出するとともに、負圧室 外部の気体がスリットを介して負圧室に流入 する。これにより、余剰液体がスリットから 外部に漏出し難い状態で負圧室を移動し、吸 引口から吸引流路内に吸引されて外部へと排 出されるので、噴射孔列から流れ出た液体を 回収することができる。
そのため、スリットからの余剰液体の漏出を 防いだ上で、液体の初期充填が可能となる。

 また、上記本発明の液体噴射記録装置の使 方法であって、前記吸引部を第1出力により 動作させることで、前記内側空間を負圧室と し、前記吸引流路を介して前記噴射孔列から 漏出した前記液体を吸引する液体充填モード と、前記吸引部を前記第1出力よりも小さい 2出力によって動作させ、前記噴射孔列から 記録媒体へ前記液体を噴射して前記被記録 体に記録を行う通常使用モードとを切替制 することを特徴としている。
この構成によれば、通常作動モードにおいて 、液体充填モードよりも小さい第2出力によ て吸引部を作動させておくことで、印刷時 に噴射孔から漏れ出た余剰液体や、液体充 後に噴射体ガードの内側空間に残存した余 液体が存在した場合であっても、それら余 液体を吸引することでスリットから余剰液 の漏出を防ぐことができる。したがって、 ービスステーションを設けることなく、噴 孔の開口方向を重力方向に向けた状態で、 体の初期充填から印刷までを行うことがで る。

 本発明によれば、液体の初期充填時や通常 用時の余剰液体が、スリットでのみ外部と 通する負圧室に流出すると共に、負圧室外 の気体がスリットを介して負圧室に流入す 。これにより、余剰液体がスリットから外 に漏出し難い状態で負圧室を移動し、吸引 から吸引流路内に吸引されて外部へと排出 れるので、ノズル噴射口から流れ出た液体 回収するスペースを極めて小さいものとし 液体噴射ヘッドのスペースファクタを向上 せることができると共に、液体噴射記録装 の設計の自由度を向上させることができる
 また、吸引流路により液体を連続して排出 ることができるので、余剰液体の回収能力 極めて高く、多量の余剰液体が流出した場 であっても余剰液体による汚染を防止する とができると共に、液体充填後の液体噴射 安定させることができる。
また、ノズル面をワイパーによって清掃する 必要が無い上に、サービスステーションを設 けることなく、ノズルガードと、吸引流路と 、吸引部とで余剰液体を回収することができ るので、簡素な構成で液体噴射記録装置の初 期充填を実現することが可能となる。

本発明の実施形態において、インクジ ット記録装置1を示す斜視図である。 本発明の実施形態において、右側面か 見たインクジェット記録装置1の概略構成図 であって、構成の一部を断面表示した図であ る。 本発明の実施形態において、インクジ ットヘッド10の正面図である。 本発明の実施形態において、右側面か 見たインクジェット記録装置1の概略構成図 であって、構成の一部を断面表示した図であ る。 本発明の実施形態において、図4におけ るI-I線断面図である。 本発明の実施形態において、ヘッドチ プ20の分解斜視図である。 本発明の実施形態において、セラミッ 圧電プレート21及びインク室プレート22の詳 細を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態において、吸引ポン 16と加圧ポンプ54との動作タイミング及び空 間S(負圧室R)との関係を示した図である。 本発明の実施形態において、ヘッドチ プ20の初期充填時の動作を示した要部拡大 面図である。 本発明の実施形態におけるインクジェ ットヘッド10の変形例を示す図であって、イ クジェットヘッド60の要部拡大図である。 本発明の実施形態におけるインクジェ ットヘッド10の変形例を示す図であって、イ クジェットヘッド70を示す要部拡大図であ 。 本発明の実施形態におけるインクジェ ットヘッド10の変形例を示す図であって、イ クジェットヘッド80,90,100を示す要部拡大図 ある。

 以下、図面を参照し、本発明の実施の形態 ついて説明する。
(液体噴射記録装置)
 図1は、本発明の実施の形態に係るインクジ ェット記録装置(液体噴射記録装置)1を示す斜 視図であり、図2は、インクジェット記録装 1の概略構成図である。このインクジェット 録装置1は、所定のパーソナルコンピュータ に接続されて、このパーソナルコンピュータ から送られた印刷データに基づいて、インク (液体)Iを吐出(噴射)して箱体Dに印刷を施すも のである。インクジェット記録装置1は、箱 Dを一方向に搬送するベルトコンベア2と、複 数のインクジェットヘッド10を備えるインク 出部3と、図2に示すように、インクジェッ ヘッド10にインク(第一液体)I及びクリーニン グ用洗浄液(第二液体)Wを供給するインク供給 部5とを備えている。

 インク吐出部3は、箱体DにインクIを吐出 るものであり、図1に示すように、直方体形 状の筐体6を四つ有し、これら筐体6内にイン ジェットヘッド10がそれぞれ内装されてい (図2参照)。各筐体6は、ベルトコンベア2の幅 方向両側にそれぞれインク吐出面6aをベルト ンベア2側に向けた状態で二つずつ配設され ている。ベルトコンベア2の幅方向両側にそ ぞれ配置された二つの筐体6は上下方向に並 され、それぞれ支持部材7によって支持され ている。なお、筐体6のインク吐出面6aには、 開口部6bが形成されている。

(液体噴射ヘッド)
 図3は、インクジェットヘッド10の正面図で り、図4は、右側面から見たインクジェット ヘッド10の概略構成図であり、図5は、図4のI- I線断面図である。
 インクジェットヘッド10は、図4に示すよう 、ケース11と、液体供給系12と、ヘッドチッ プ20と、駆動回路基板14と(図5参照)、吸引流 15とを備えている。

 ケース11は、正面11aに露出孔11bが形成さ た薄箱形状のものであり、厚さ方向を水平 向に向けて、また、露出孔11bを開口部6bに向 けて筐体6内に固定されている。このケース11 は、図4及び図5に示すように、背面11cにおい 内部空間に連通する貫通孔が形成されてお 、具体的には、高さ方向略中間の位置にイ ク注入孔11dが、下部にインク吸引孔11eが形 されている。このケース11は、その内部空 においてケース11に立設して固定されたベー スプレート11fを備えると共にインクジェット ヘッド10の各構成物品を収容している。

 液体供給系12は、インク注入孔11dを介して ンク供給部5と連通したものであり、ダンパ 17と、インク流路基板18とから概略構成され ている。
 ダンパー17は、図5に示すように、インクIの 圧力変動を調整するためのものであり、イン クIを貯留する貯留室17aを備えている。この ンパー17は、ベースプレート11fに固定されて おり、インク注入孔11dと管部材17dとを介して 接続されるインク取込孔17bと、インク流路基 板18と管部材17eを介して接続されるインク流 孔17cとを備えている。
 インク流路基板18は、図4に示すように、縦 に形成された部材であって、図5に示すよう に、その内部にダンパー17と連通してインクI が流通する流通路18aが形成された部材であり 、ヘッドチップ20に取り付けられている。

 駆動回路基板14は、図5に示すように、図 しない制御回路と、フレキシブル基板14aと 備えている。この駆動回路基板14は、フレ シブル基板14aの一端が後述の板状電極28に、 他端が駆動回路基板14上の図示しない制御回 に接合されることで、印刷パターンに応じ セラミック圧電プレート21に電圧を印加す 。この駆動回路基板14は、ベースプレート11f に固定されている。

 ヘッドチップ20は、図6に示すように、セ ミック圧電プレート(アクチュエータ)21と、 インク室プレート22と、ノズル体23と、ノズ ガード24とを備えている。

 セラミック圧電プレート21は、PZT(チタン ジルコン酸鉛)からなる略矩形板状の部材で あり、図6及び図7に示すように、二つの板面2 1a、21bのうち一方の板面21aに複数の長溝26が 設されて、各長溝26が側壁27で隔離されてい 。

 長溝(圧力発生室)26は、図6に示すように、 ラミック圧電プレート21の短手方向に延設さ れており、セラミック圧電プレート21の長手 向の全長にわたって複数並設されている。 長溝26は、図7に示すように、圧電アクチュ ータの厚さ方向に沿った断面が矩形状に形 されている。また、各長溝26の底面は、セ ミック圧電プレート21の前側面21cから短手方 向の略中央部まで延びる前方平坦面26aと、こ の前方平坦面26aの後部から後側面側に向かっ て溝深さが漸次浅くなる傾斜面26bと、この傾 斜面26bの後部から後側面側に向かって延びる 後方平坦面26cとからなっている。
 各長溝26は、円盤状のダイスカッターによ 形成されている。

 側壁27は、セラミック圧電プレート21の長 手方向に亘って複数並設されて、長溝26をそ ぞれ区分けしている。これら各側壁27の両 面における長溝26開口側(板面21a側)には、セ ミック圧電プレート21の短手方向に亘って 動電圧印加用の板状電極28が延設されている 。この板状電極28は、公知の斜め方向からの 着により形成されている。この板状電極28 、上述したフレキシブル基板14aが接合され いる。

 このようなセラミック圧電プレート21は 図5に示すように、板面21bのうち後側面側が ースプレート11fの縁部に固定されており、 溝26の延在方向を露出孔11bに向けている。

 図6及び図7に戻って、インク室プレート22は 、セラミック圧電プレート21と同様に略矩形 状の部材であり、セラミック圧電プレート2 1の寸法と比較して、長手方向の寸法が略同 に、短手方向の寸法が短く形成されている このインク室プレート22は、厚さ方向に貫通 し、かつ、インク室プレート22の長手方向に って形成された開放孔22cを備えている。
 なお、このインク室プレート22は、セラミ クプレート、金属プレートなどで形成する とができるが、セラミック圧電プレート21と の接合後の変形を考えて、熱膨張率の近似し たセラミックプレートを用いている。

 このようなインク室プレート22は、図6に示 ように、前側面22aがセラミック圧電プレー 21の前側面21cと同一平面となる突合わせ面25 aを構成するように、板面21a側からセラミッ 圧電プレート21に接合されている。この接合 状態においては、開放孔22cがセラミック圧電 プレート21の複数の長溝26を全体にわたって 出させて、全ての長溝26を外方に開放し、各 長溝26がそれぞれ連通した状態になっている
 インク室プレート22には、図5に示すように 開放孔22cを覆うようにしてインク流路基板1 8が装着され、インク流路基板18の流通路18aと 各長溝26とが連通している。

 ノズル体23は、図5に示すように、ノズルプ ート31がノズルキャップ32に貼着されること により構成されている。
 ノズルプレート31は、図6に示すように、ポ イミドからなる薄板状、かつ、細長状の部 であり、厚さ方向に貫通する複数のノズル 31aが列設してノズル列31cを構成している。 り具体的には、長溝26と同数のノズル孔31a 、ノズルプレート31の短手方向中間の位置に おいて同一線上に、かつ、長溝26と同一の間 で形成されている。
 ノズルプレート31の二つの板面のうち、イ クIを吐出するノズル吐出口(ノズル噴出口)31 bが開口する板面には、インクの付着等を防 するための撥水性を有する撥水膜が塗布さ ており、他方の板面は上記突合わせ面25a及 ノズルキャップ32との接合面とされている。
 なお、ノズル孔31aは、エキシマレーザ装置 用いて形成されている。

 ノズルキャップ32は、枠板状の部材が有す 二つの枠面のうち一方の枠面の外周縁を削 取ったような形状の部材であって、薄板状 なった外枠部32aと、外枠部32aよりも厚くな た中枠部32hと、中枠部32hよりも厚くなった 枠部32bと、内枠部32bの短手方向中間部にお て厚さ方向に貫通すると共に長手方向に延 する長孔32cと、外枠部32aの一端部において さ方向に貫通する排出孔32dとを備える部材 ある。換言すれば、外枠部32aが有する外枠 32eから中枠部32hと内枠部32bとが厚さ方向に 状に突出しており、厚さ方向の断面輪郭が 孔32cに向かって外枠部32a、中枠部32h、内枠 32bの順に高くなる階段状となっている。
 外枠面32eと同方向に延在する内枠面32fには 長孔32cを塞ぐようにノズルプレート31が貼 されており、外枠面32e及び外枠面32eの直交 向に延在する中側面32iには、ノズルガード24 が当接している。

 このようなノズル体23は、ノズルキャップ32 の排出孔32dが下側に位置するように(図3参照) 、ケース11の内部空間に収容され、ケース11 びベースプレート11fに固定されている(図5参 照)。
 この状態においては、長孔32cにセラミック 電プレート21及びインク室プレート22の一部 が挿入されて、ノズルプレート31に突合わせ 25aが突き合わされている。またノズルプレ ト31は、内枠面32fに接着剤によって接着さ ているとともに、内枠面32fの面積と比較す と、ノズルプレート31の面積が大きく形成さ れており、ノズルプレート31が内枠面32fから 少はみ出て設置されている。

 このような構成により、ダンパー17内の 留室17aから所定量のインクIがインク流路基 18に供給されると、この供給されたインクI 開放孔22cを介して、長溝26内に送り込まれ ようになっている。なお、長溝26の後方平坦 面26c側(図7参照)に生じたインク室プレート22 長溝26との間隙は、封止材によって封止さ ている。

(ノズルガード)
 ノズルガード24は、ステンレス鋼からなる 箱型形状の部材でありプレス成形で形成さ たものある。このノズルガード24は、矩形板 状に形成された天板部24aと、この天板部24aの 周縁部から板面方向と略直交する方向に延出 した密閉部24bとを備えている。

 天板部24aは、内枠面32fと略同大の板面を有 ており、天板部24aの短手方向中間部におい 長手方向に延在したスリット24cを備えてい 。このスリット24cは、ノズル列31cの長さよ も多少長く形成されており、両端部(上端部 24i、下端部24j)が円形に形成されたものであ 。
 スリット24cの幅寸法は、ノズル孔31aのノズ 径40μmに対して幅寸法が略1.5mmに設定されて いる。このスリット24cの幅寸法は、吸引ポン プ16で負圧とすることができる幅寸法を上限 し、インクIの初期充填の際にインクIがス ット24cから溢れ出て垂れない幅寸法を下限 した範囲で設定するのが望ましい。
 また、上端部24i、下端部24jは、上述した幅 法よりもやや大きい直径で円形に形成され いる。

 このノズルガード24は、内方に面する内 面24eにチタンコーティングによる親水膜24g 形成されており、この内表面24eと背向する 表面24fと、スリット24cの内面にフッ素樹脂 ーティングやテフロン(登録商標)メッキによ る撥水膜24hが形成されている。

 このようなノズルガード24は、天板部24a 内枠部32bと排出孔32dとを覆うように(図3参照 )、また、密閉部24bにおける内表面24eと中枠 32hの中側面32iとが当接するように、環状端 24dが外枠面32eと接着剤で接着されて、ノズ キャップ32に被着している(図5参照)。この状 態においては、スリット24cがノズル列31cと対 向すると共に排出孔32dと対向しないように、 空間(内側空間)Sを介してノズル列31cを覆って いる。換言すれば、スリット24cの開口方向に おいて、スリット24cからノズル列31cを臨むよ うに、かつ、排出孔32dを臨まないようにノズ ル吐出口31bを覆っている(図3参照)。

 このノズルガード24は、天板部24aとノズ プレート31との距離を、吸引ポンプ16で負圧 することができる距離を上限とし、インクI の初期充填の際にインクIがスリット24cから れ出ない距離を下限とした範囲で設定する が望ましい。

 吸引流路15は、図4に示すように、吸引口15a なるチューブ管の一端が排出孔32dに嵌挿さ て固定されており、他端がインク吸引孔11e 接続されて構成されている。上述したよう 、吸引口15aは、スリット24cと対向しない位 に開口している。
 吸引ポンプ16は、インク吸引孔11eにチュー を介して接続されている。この吸引ポンプ16 は、作動時に、空間S内の空気及びインクIを 引して、空間Sを負圧室Rとする。なお、こ 吸引ポンプ16は、廃液タンクE(図2参照)に吸 したインクIを貯留する。

 図2に戻って、インク供給部5は、インクIが 留されたインクタンク51と、洗浄液Wが貯留 れた洗浄液タンク52と、二つの流路を切替 能な切替バルブ53と、インクI又は洗浄液Wを ンクジェットヘッド10に加圧供給する加圧 ンプ54と、流路を開閉可能な開閉バルブ55と 備えている。
 インクタンク51は、供給管57a、切替バルブ53 及び供給管57cを介して、洗浄液タンク52は、 給管57b、切替バルブ53及び供給管57cを介し それぞれ加圧ポンプ54に連通している。すな わち、切替バルブ53は、流入管として供給管5 7a,57bが、流出管として供給管57cが接続されて いる。

 加圧ポンプ54は、供給管57cが接続される 共に供給管57dを介してインクジェットヘッ 10に連通しており、供給管57cから流入したイ ンクI又は洗浄液Wをインクジェットヘッド10 供給する。この加圧ポンプ54は、非作動時に は流体が流れないように構成されたものであ り、開閉弁的な機能を有するものである。

 開閉バルブ55は、供給管57cに連通し流入 となる供給管57eと、供給管57dに連通し流出 となる供給管57fとが接続されている。すな ち、この開閉バルブ55を開とすると供給管57e ,57fが加圧ポンプ54のバイパス管として機能す るようになっている。

 次に、上記構成からなるインクジェット 録装置1の動作について説明する。以下の説 明においては、インクIをインクジェットヘ ド10に初期充填した後に、箱体Dに印刷を施 場合について説明し、さらに、インクジェ トヘッド10をクリーニングする場合について 説明する。

(インク初期充填)
 図8は、吸引ポンプ16と加圧ポンプ54との動 タイミング及び空間S(負圧室R)との関係を示 た図であり、図9は初期充填時の動作を示し たヘッドチップ20の要部拡大断面図である。
まず、図4及び図8に示すように、吸引ポンプ1 6を作動させ(ON1)、この吸引ポンプ16が吸引流 15を介して吸引口15aから空間Sの空気を吸引 る(図8における時間T0)。この際、作動する 引ポンプ16の出力は、空間S内を十分に負圧 することができる程度に設定することが好 しく、このときの出力を吸引ポンプ16の充填 出力とする。吸引ポンプ16を充填出力(第1出 )で作動させると、外部の空気がスリット24c ら空間Sに流入するが、この空気が空間Sを 由してから吸引口15aに達した後に吸引され ことで空間Sを減圧する(液体充填モード)。 して、所定時間T1経過後に、空間Sが大気圧 りも十分に負圧となった負圧室Rとなる。

 空間Sが負圧室Rとなった後、インク供給 5がインクIをインクジェットヘッド10に加圧 填する(図8における時間T2)。この際、イン 供給部5は、以下のように設定されている。 なわち、図2に示すように、切替バルブ53に り供給管57aと供給管57cとを連通させた状態 し、開閉バルブ55を閉塞させて供給管57eと 給管57fとを遮断する。この状態において加 ポンプ54を作動させる。加圧ポンプ54は、イ クタンク51から供給管57a,57c,57dを介してイン クジェットヘッド10のインク注入孔11dにイン Iを注入する。

 インク注入孔11dに注入されたインクIは、 図4及び図5に示すように、ダンパー17のイン 取込孔17bを介して貯留室17aに流入した後に インク流出孔17cを介してインク流路基板18の 流通路18aに流出する。そして、流通路18aに流 入したインクIが開放孔22cを介して各長溝26内 に流入する。

 各長溝26に流入したインクIは、ノズル孔3 1a側に流れてノズル孔31aに達した後、図9(a)に 示すように、余剰インクYとなってノズル孔31 aから流出する。余剰インクYが流出し始めた には、その量が少量であるため、余剰イン Yは、ノズルプレート31上を下方に向かって れる。負圧室Rの下部まで達したインクIは 吸引口15aから吸引流路15に吸引されて、廃液 タンクEへと排出されていく(図9(b)参照)。

 余剰インクYは、その流出量が多量となる と、図9(b)に示すように、ノズルプレート31上 だけではなく、ノズルガード24の内表面24e上 も下方に流れるようになる。この際、スリ ト24cから負圧室Rに継続して空気が流入して おり、余剰インクYがスリット24cから外部に 出し難い。仮に、図9(c)に示すように、スリ ト24c近傍の内表面24eを流れる余剰インクYの 量が局部的に多くなり、この余剰インクYの 部がスリット24cから流入する空気に抗して 表面24f近傍まで達しても、外表面24fに形成 れた撥水膜24hに弾かれる。この弾かれたイ クIは、内表面24eに形成された親水膜24gに誘 されて再び負圧室Rに戻される。

 また、スリット24cの下端部24jにおいては、 形状の下端部24jの輪郭(外表面24fと下端部24j との境界)でインクIに表面張力が働く。下端 24jにおいては、インクIに強い表面張力が働 き、また、この表面張力の均衡が保たれてイ ンクIの表面が破壊されず、外部に漏出しな 。さらに、上記と同様に、外表面24fに形成 れた撥水膜24h及び内表面24eに形成された親 膜24gに誘導されて負圧室Rに戻される。
 このようにして、ノズル孔31aから流出する 剰インクYを連続して廃液タンクEに排出す 。

 図8に示すように、所定時間T3経過後に加 ポンプ54を停止して、インクIの加圧充填を 了する。加圧ポンプ54の停止に伴いノズル 31aから余剰インクYが流出しなくなり、負圧 Rに残存している余剰インクYが吸引口15aを して廃液タンクEに排出される。

 そして、所定時間T4経過後に吸引ポンプ16 を停止させる。インクIの充填完了後には、 9(d)に示すように、長溝26にインクIが充填さ た状態となる。なお、空間Sは、復圧されて 再び大気圧と同圧となる(図8参照)。

(印刷時)
 続いて、箱体Dに印刷を施す場合の動作につ いて説明する。最初にインク供給部5の設定 ついて説明する。すなわち、図2に示すよう 、切替バルブ53により供給管57aと供給管57c を連通させた状態とし、開閉バルブ55を開放 させて供給管57eと供給管57fとを連通させる。 この状態において加圧ポンプ54を非作動とし 、加圧ポンプ54を介して供給管57cと供給管57 dとを連通させないようになっている。この 態においては、インクIが供給管57a,57c,57e,57f, 57dを介して、インクジェットヘッド10のイン 注入孔11dに注入されるようになっている。

 インク供給部5を上記のように設定した状態 でベルトコンベア2を駆動して(図1参照)、箱 Dを一方向に搬送すると共に、搬送される箱 Dが筐体6の前を通過する際、つまり、ノズ プレート31(ノズル孔31a)の前を通過する際、 ンク吐出部3が箱体Dに向けてインク滴を吐 する。
 具体的には、外部のパーソナルコンピュー から入力された印刷データに基づいて、駆 回路基板14がこの印刷データに対応した所 の板状電極28に選択的に電圧を印加する。こ れにより、この板状電極28に対応した長溝26 容積が縮小し、長溝26内に充填されたインク Iがノズル吐出口31bから箱体Dに向かって吐出 れる。
 インクIを吐出すると長溝26が負圧になるた 、上述した供給管57a,57c,57e,57f,57dを介して、 インクIが長溝26に充填される。

このようにして、インクジェットヘッド10 セラミック圧電プレート21を画像データに じて駆動させ、ノズル孔31aからインク滴を 出して箱体Dに着弾させる。このように、箱 Dを移動させつつインクジェットヘッド10か インク滴を連続して吐出させることで箱体D の所望の位置に画像(文字)が印刷される。

ここで、本実施形態のインクジェットヘッド 10は、ノズル列31cの列設方向を重力方向に向 、また、ノズル孔31aの開口方向を水平方向 向ける構成としたが、このような構成だけ はなく、ノズル孔31aの開口方向を重力方向 向ける構成として、ノズル列31cの延在方向 水平方向に向ける構成も考えられる。
このような場合、ノズル孔31aの吐出口31bの開 口方向が重力方向を向いているため、インク Iの充填時にノズル孔31aから漏出した余剰イ クYを吸引しきれず、ノズルガード24の天板 24aと周壁部24bとの境界部分等に残存してい 場合がある。また、インクIの充填後、例え 印刷時になってノズル孔31aから余剰インクY が漏れ出る虞もある。

そこで、図8に示すように、本実施形態で インクIの充填後でも吸引ポンプ16を常時作 させている(図8中ON2)。この際、吸引ポンプ16 の出力は、インクI充填時の出力(充填出力)よ りも弱く、かつ印刷時において空間S内に存 する余剰インクYを十分に吸引できる程度に 定する(通常使用モード)。これにより、空 SはインクIの充填時よりも弱い負圧空間とな る。なお、吸引ポンプ16の出力が強すぎると 印刷時にノズル孔31aから吐出されるインク の飛行経路に影響が出て、印刷精度に影響 生じる虞があるため好ましくない。そして この際の吸引ポンプ16の出力を通常出力(第2 出力)とする。

 吸引ポンプ16を通常出力で作動させながら 刷を行うと、ノズル孔31aから漏れ出た余剰 ンクYや、ノズルガード24の内表面24e上に残 した余剰インクYが、各吸引流路15に向かっ 流れる。そして、吸引流路15まで到達したイ ンクIは、吸引流路15内に吸引されて廃液タン クEへと排出されていく。
なお、通常使用モードとして記載した図8に けるON2の動作は、必ずしも前述の液体充填 ードとして記載した図8におけるON1の動作と もに実施する必要は無く、周囲の動作環境 インクIの種類によって、適宜実施すればよ い。

(クリーニング時)
 続いて、インクジェットヘッド10のクリー ング時の動作について説明する。最初にイ ク供給部5の設定について説明する。すなわ 、図2に示すように、切替バルブ53により供 管57bと供給管57cとを連通させて、開閉バル 55を閉塞させて供給管57eと供給管57fとを閉 させる。この状態において加圧ポンプ54を作 動させる。加圧ポンプ54は、洗浄液タンク52 ら供給管57b,57c,57dを介してインクジェットヘ ッド10のインク注入孔11dに洗浄液Wを注入する 。
 上記初期充填時と同様に、長溝26等を介し 洗浄液Wをノズル孔31aから流出させ、吸引口1 5aからこの流れ出た洗浄液Wを吸引する。
 なお、インクジェット記録装置1を長期間使 用しないと、長溝26に充填されたインクIが乾 燥硬化することになる。この場合、クリーニ ング時と同様にインクジェットヘッド10内を 浄液Wで満たせば、インクジェット記録装置 1を長期間にわたり保存することができる。

 以上説明したように、インクジェット記録 置1によれば、インクジェットヘッド10にお て余剰インクYがスリット24cから外部に漏出 し難い状態で負圧室Rを移動し、吸引口15aか 吸引流路15に吸引されて外部へと排出される ので、ノズル吐出口31bから流れ出たインクI 回収するスペースを極めて小さいものとし インクジェットヘッド10のスペースファクタ を向上することができると共に、インクジェ ット記録装置1の設計の自由度を向上させる とができる。
 また、吸引流路により多量の余剰インクYを 連続して排出することができるので、余剰イ ンクYの回収能力が向上し、余剰インクYによ 汚染を防止すると共にインクI充填後のイン クIの吐出を安定させることができる。
 また、サービスステーションを設けること く、簡素な構成でインクジェット記録装置1 の初期充填を実現することが可能となる。

 また、吸引口15aがスリット24cと対向せず 配置されており、スリット24cから流入した 気が空間S(負圧室R)を経由してから吸引口15a に達するので、空間Sを速やかに減圧するこ ができ、負圧室Rの負圧状態を良好に継続さ ることができる。これにより、余剰インクY の回収を速やかに行うことができると共に多 量の余剰インクYの回収を安定的に行うこと できる。

 また、吸引口15aが負圧室Rの重力方向最下 部に形成されており、最下部においてインク Iを吸引するので、下部に流れる余剰インクY 効率よく吸引することができる。

 また、外表面24fに撥水膜24hが形成されてい ので、負圧室Rの余剰インクYがスリット24c 介して外部へと流出しようとしても、撥水 24hにはじかれて、負圧室Rに留まり易くなる
 また、内表面24eに親水膜24gが形成されてい ので、インクIが負圧室Rを流れ易くなると に、撥水膜24hにはじかれた余剰インクYを負 室Rに導き、余剰インクYが負圧室Rに留まり くなるので、スリット24cから余剰インクYが 流れ出ることを高い確率で防止することがで きる。

 また、スリット24cの下端部24jが円形状であ ので、下端部24jにおいて表面張力により維 されたインクIの表面が破壊され難く、負圧 室Rに余剰インクYが留まり易くなる。具体的 説明すると、まず、スリット24cの下端部24j 到達したインクIは、下端部24jに接触する。 このとき、円形状の下端部24jの輪郭(外表面24 fと下端部24jとの境界)において、インクIに表 面張力が働く。ここで、液体(インクI)は、外 力の作用が強く働かない環境において略球体 で存在するため、スリット24cの端部が矩形状 である場合は、表面張力により維持された略 球体の表面が壊れてしまい、スリット24cの外 部へインクIが漏れ出てしまう恐れがある。
 一方、本実施形態のように、スリット24cの 部が円形状である場合は、表面張力により 持された液体(インクI)の表面が破壊されず 下端部24jにおいて漏れ出ることなく負圧室R に留まり易い。さらに、上記と同様に、外表 面24fに撥水膜24hが形成されているので、漏れ 出ようとするインクIを負圧室Rに留めること できる。
 このような構成を採用すると、上述したよ に、余剰インクYがスリット24cから外部に漏 出しようとしても、スリット24cの下端部24jに おいて、負圧室RにインクIが留まり易くなる で、余剰インクYの漏出による汚染を防止す ることができると共に余剰インクYの回収能 を向上することができる。

 また、インク供給部5がインクIと洗浄液W を切り換え供給し得るように構成されてお 、液体供給系12にインクIと洗浄液Wとが供給 されるので、インクジェットヘッド10の清掃 対する労力を低減させると共に、効率よく ンクジェットヘッド10を清掃することがで る。

 また、上述したように本実施形態では、ノ ル列31cを覆うように形成されたノズルガー 24を用いて空間S(負圧室R)を形成し、吸引口1 5aから余剰インクYを排出するという構成を特 徴としている。ここで、本構成の特徴を以下 に記述する。
 本構成では、空間Sが大気圧より十分に負圧 となった負圧室Rとなり、負圧室Rに流れ出た ンクIがスリット24cに向けて流れ難くなった 状態でインクIの加圧充填が開始される。こ ため、ノズルガード24及び空間Sが形成され いない場合など、空間Sが大気圧と同圧の状 でインクIを長溝26に加圧充填した場合に比 て、スリット24cから空気が連続的に流入す ので、余剰インクYがスリット24cから漏出し 難い。また、吸引口15aが連続的に余剰インク Yを排出するので、余剰インクYが空間S(負圧 R)に溜まってスリット24cから溢れ出ることも ない。
 また、負圧室Rとした状態で、加圧充填を終 了し、負圧室Rに液体が流れ出なくなるので 空間Sを復圧させた後に長溝26に加圧充填を 了した場合に比べて、余剰インクYがスリッ 24cから漏出し難く、また、スリット24cから れ出ることもない。これにより、余剰イン Yによる汚染を防止しつつインクIの充填が 能となり、充填後のインクIの吐出を安定さ ることができる。

(変形例)
 以下、図面を用いて、インクジェットヘッ 10の具体的な変形例を説明する。なお、イ クジェットヘッド10と同様の構成のものにつ いては、同一の符号を付し、説明を省略する 。

 図10は、インクジェットヘッド10の変形例を 示すインクジェットヘッド60を示した図であ 。このインクジェットヘッド60は、負圧室R 底部r1に二つの傾斜部61が設けられている。
 傾斜部61は、それぞれ断面が直角三角形状 三角柱部材からなり、互いに直角を形成す 二つの矩形側面を密閉部24bに当接させると に、この二つの矩形側面によって構成され 直角部を密閉部24bが形成する二つの角部の ち一方に当接させて設けられ、直角部と対 する矩形側面が吸引口15aへ収束する斜面を 成するように配置されている。このような 成により、負圧室Rの下部の幅寸法(ノズルプ レート31の表面に平行でノズル列31cに垂直な 向における幅寸法)が吸引口15aに向けて漸次 小となっている。
 このような構成によれば、負圧室Rの下部に 達した余剰インクYが、幅方向において吸引 15aに向かって流れていくので、余剰インクY 吸引口15aから吸引し易いものとすることが きる。

 図11は、インクジェットヘッド10の変形例を 示すインクジェットヘッド70を示した図であ 。このインクジェットヘッド70は、負圧室R 底部r1に一つの傾斜部62が設けられている。
 傾斜部62は、この傾斜部62は、断面が直角三 角形状の三角柱部材からなり、天板部24aと密 閉部24bが形成する角部に直角に形成された角 部を当接させて設けられ、この角部に対向す る斜面が吸引口15aへ収束するように配置され ている。このような構成により、ノズルプレ ート31の表面に垂直な方向においてノズルプ ート31と天板部24aとの距離が吸引口15aに向 て漸次小となっている。
 このような構成によれば、負圧室Rの下部に 達した余剰インクYが、負圧室Rの吸引口開口 向において吸引口15aに向かって流れていく で、余剰インクYを吸引口15aから吸引し易い ものとすることができる。

 図12(a)は、インクジェットヘッド10の変形 例を示すインクジェットヘッド80を示した図 ある。この図12(a)に示すように、インクジ ットヘッド80のノズルガード24には、天板部2 4aに負圧室R側に窪む窪み部24xが形成されてい る。窪み部24xは、プレス成形(圧延)で形成し ものであり、この窪み部24xの底面にはスリ ト24cが形成されている。これにより、ノズ ガード24が箱体Dと接触した場合であっても スリット24c近傍の撥水膜24hが箱体Dと接触す る確率を低減させて、撥水膜24hが剥離するこ とを防止することができる。

 図12(b)は、インクジェットヘッド10の変形 例を示すインクジェットヘッド90を示した図 ある。この図12(b)に示すように、インクジ ットヘッド90のノズルガード24には、負圧室R 側に突出し、かつ、スリット24cを環状に囲繞 する環状突出壁24yが形成されている。これに より、インクジェットヘッド90のノズル吐出 31bを下方に向けて箱体DにインクIを吐出す 場合において、負圧室Rを復圧させた後に空 Sに余剰インクYが残存していたとしても、 の余剰インクYが内表面24eを伝ってスリット2 4cに到達するのを阻止して、スリット24cから 剰インクYが漏出することを防止することが できる。

 図12(c)は、インクジェットヘッド10の変形例 を示すインクジェットヘッド100を示した図で ある。この図12(c)に示すように、インクジェ トヘッド100のノズルガード24には、窪み部24 xと環状突出壁24yとがプレス成形により形成 れている。これにより、撥水膜24hが剥離す ことを防止することができると共に、イン ジェットヘッド100のノズル吐出口31bを下方 向けて箱体DにインクIを吐出する場合に、ス リット24cから余剰インクYが漏出することを 止することができる。
 なお、プレス成形であれば、窪み部24xと環 突出壁24yとを同時に形成することができ、 産効率が良好なものとなる。

なお、上述した実施の形態において示した 動作手順、あるいは各構成部材の諸形状や組 み合わせ等は一例であって、本発明の主旨か ら逸脱しない範囲において設計要求等に基づ き種々変更可能である。

例えば、上述した実施の形態においては、 図2に示すように吸引ポンプ16及び廃液タンク Eをインクジェットヘッド10の内部に備えるよ うな構成としたが、このような形態に限られ るものではない。すなわち、吸引ポンプ16と 液タンクEをインクジェットヘッド10の外部 設け、例えばインクジェット記録装置1に搭 載させてもよい。

 例えば、上述した実施の形態においては ノズル体23をノズルプレート31とノズルキャ ップ32とから構成し、ノズルキャップ32にノ ルガード24の環状端部24dを被着させたが、吸 引口15aが空間Sに開口されることを条件とし 、ノズルプレート31に被着させてもよい。

 また、上述した実施の形態においては、 引口15aをノズルキャップ32に形成した排出 32dに嵌挿させる構成としたが、排出孔32dを ズルプレート31やノズルガード24に形成して よいし、排出孔32dに吸引流路15を接続して この排出孔32dを吸引口としてもよい。

 また、上述した実施の形態においては、撥 膜24hをフッ素樹脂コーティングやテフロン( 登録商標)メッキによって形成したが、撥水 ートを貼付したり撥水剤を塗布したりして よい。
 また、上述した実施の形態においては、親 膜24gをチタンコーティングによって形成し が、金メッキを施してもよいし、アルカリ の薬品を塗布してもよい。

 また、上述した実施の形態においては、 ンクジェットヘッド10を固定してインクジ ット記録装置1を構成したが、インクジェッ ヘッド10を可動してインクジェット記録装 1を構成することも可能である。すなわち、 ンクジェットヘッド10を採用すれば、負圧 引するためのキャップが不要となったイン ジェット記録装置を実現することができる

 また、上述した実施の形態においては、 ンクジェットヘッド10のノズル列31cの列設 向を重力方向に向け、また、ノズル孔31aの 口方向を水平方向に向ける構成としたが、 のような設置の方向に限られない。ノズル 31aの開口方向を重力方向に向ける構成とし もよいし、ノズル列31cの延在方向を水平方 に向ける構成をしてもよい。

 また、上述した実施の形態においては、 期充填時及びクリーニング時に吸引ポンプ 作動させたが、印刷時においてもノズル孔3 1aからインクIが垂れる場合があり、このよう なインクIを回収してもよい。

 また、上述した実施の形態においては、ノ ルガード24とは別部材の傾斜部61,62を設けた が、この傾斜部61,62を設ける代わりにノズル ード24の内表面24eを傾斜して形成し傾斜部 してもよい。
 また、傾斜部61と傾斜部62を重畳的に用いて もよい。すなわち、下方に向かうほど
負圧室Rの下部の幅寸法及びノズルプレート31 と天板部24aとの距離を漸次小とする部材を設 けてもよいし、内表面24eをこのような形状に 成形してもよい。

また、上述した実施の形態においては、窪 み部24x、環状突出壁24yをプレス成形により形 成したが、他の加工法、例えば、切削により 形成してもよい。

また、上述した実施の形態においてヘッドチ ップ20は、図6及び7に記載したとおり、開放 22cが各長溝26全体に開口している形態を示し たが、これに限らず、例えば長溝26の一つお に連通するスリットをインク室プレート22 形成し、インクIが導入される長溝26とイン Iが導入されない長溝26を形成してもよい。 のような形態を採用することによって、例 ば導電性のインクIであったとしても、隣り う側壁27の板状電極28が短絡することなく、 独立したインク吐出を実現することができる 。
すなわち、上述した実施の形態において記し たヘッドチップは形態を限定したものではな いため非導電性の油性インク、導電性の水性 インク、ソルベントインクやUVインク等を用 ても構わない。このように液体噴射ヘッド 構成することで、いかなる性質のインクで っても使い分けることができる。特に、導 性を有するインクであっても問題なく利用 き、液体噴射記録装置の付加価値を高める とができる。なお、その他は同様の作用効 を奏することができる。

また、上述した実施の形態においては、イ ンクIを吐出するアクチュエータとして、電 が設けられたセラミック圧電プレート21を備 えるようにしたが、この形態に限られるもの ではない。例えば、電気熱変換素子を用いて 、インクIが充填されている室内に気泡を生 させ、その圧力によって、インクIを吐出す 機構としても構わない。

また、上述した実施の形態においては、液 体噴射記録装置の一例として、インクジェッ トプリンタ1を例に挙げて説明したが、プリ タに限られるものではない。例えば、ファ クスやオンデマンド印刷機などであっても わない。

また、上述した実施の形態においては、図2 示す構成の通り、吸引ポンプ16によって吸引 した余剰インクYを廃液タンクEへ排出するこ としたが、この形態に限られるものではな 。例えば、吸引ポンプ16の出口側の流路に 続される構成を、廃液タンクではなく、イ クタンク51とすることもできる。すなわち、 吸引ポンプ16によって吸引された余剰インクY をインクタンク51へ供給し、インクタンク51 らインクジェットヘッド10へインクIとして 給する形態としてもかまわない。このよう 形態を採用することによって、余剰インクY インクIとして再利用することができる。
またこの構成に加えて、余剰インクYを再利 するにあたり、吸引ポンプ16からインクタン ク51へ通じる流路にフィルタ部材を設けても まわない。このような構成を採用すること よって、余剰インクYに含まれる不純物を除 去し、適切な状態のインクをインクタンク51 供給することができる。
さらに、余剰インクYを再利用するにあたり 吸引ポンプ16からインクタンク51へ通じる流 に脱気装置を設けてもかまわない。このよ な構成を採用することによって、余剰イン Yに含まれる気泡を脱気し、適切な脱気状態 のインクをインクタンク51へ供給することが きる。
ただし、上述したこれらの構成は、必ず用い られなければならない構成ではなく、液滴噴 射記録装置の仕様に応じて適宜使用されれば よい。

1…インクジェット記録装置(液体噴射記録装 )
10,60,70,80,90,100…インクジェットヘッド(液体 射ヘッド)
12…液体供給系
15…吸引流路
15a…吸引口
16…吸引ポンプ(吸引部)
21…セラミック圧電プレート(アクチュエータ )
23…ノズル体
24…ノズルガード
24a…天板部
24b…密閉部
24c…スリット
24e…内表面
24f…外表面
24g…親水膜
24h…撥水膜
24j…下端部
24x…窪み部
24y…環状突出壁
26…長溝(圧力発生室)
31a…ノズル孔
31b…ノズル吐出口(ノズル噴出口)
31c…ノズル列
61,62…傾斜部
r1…底部
I…インク(第一液体)
R…負圧室
S…空間(内側空間)
W…洗浄液(第二液体)